2020年3月24日
福田くみ子議員の討論
気候非常事態宣言に関する決議に賛成する討論を行います。
まず第1に、議会として宣言することの意義について述べます。
議会での決議は、議会の意思を対外的に表明するために行うものです。2元代表制である地方議会では、執行機関の長と審議などを行う議会の議員がそれぞれ住民による直接選挙によって選ばれます。行政機関つまり執行機関と議会は対等であり、常に緊張感を持ちながら相互に歩み寄ることで自治運営にあたるとされています。住民に最も身近な行政機関である地方自治体が、2元代表制のもとで執行機関と議会は車の両輪であるといわれるゆえんです。そのような中で、地方議会は自らの意思及び議会としての総意を発信することは大変重要な意義をもつものと考えます。
反対するご意見の中に、具体性がないとのご意見があったと伺いました。執行部に何かを求めることは議会の決議ではできません。また、執行権は執行部にあることから、議決は具体的な施策を盛り込む性格のものでもありません。
もちろん「宣言する」ことそのものが目的ではありませんが、「宣言する」という行為そのものが物事を大きく動かす、多くの市民のみなさんの意識を変える牽引力があると考えるものです。長野県白馬村の「宣言」は、高校生の請願から始まりました。この宇都宮では、立場や主義・主張の異なる議員がその違いを超えて、まずは議会の中で危機感を共有し、議会の総意として意思を表明しようではありませんか。
2点目に、宣言は今がチャンスと考えるからです。オーストラリアで広がる山火事で逃げ惑うコアラの映像はショッキングなものでした。これまでの想定を超えた大規模な台風、命をも脅かす夏の猛暑、海水温の上昇など、近年では私たちの身近でも異常気象はすでに日常の出来事になりつつあります。昨年の台風19号はまさにその象徴であり、大きな教訓でもあります。地球温暖化の問題を我が事としてとらえる絶好の機会ではないでしょうか。まさに今が宣言のチャンスです。
第3に、議会として「気候非常事態宣言」をすることは、市の取り組みを後押しし、励ますものになるという点です。
宇都宮市の「地球温暖化対策実行計画」では、2030年度までにCO2を27%削減、2020年度までには11,6%削減という低い目標であるにもかかわらず、現時点での家庭からのCO2排出量は20%増となっています。この結果は、これまでの延長線上のやり方では、目標を達成できないことを証明しています。
執行部の長である佐藤市長は、今後の取り組みについて、「環境未来都市うつのみや」の実現に向けた決意を「気候非常事態を宣言するのではなく、地域全体で様々な環境問題を認識・共有し具体的に行動を実践していくことで、温室効果ガスの排出量が削減された脱炭素社会構築をはじめとした持続可能な「環境未来都市」うつのみやの実現に向け、一丸となって取り組む。」と述べておられます。つまり、実践の結果として実現するということだと受け止めました。また、「危機感を共有するのではなく」、とも述べておられますが、「さまざまな環境問題を認識・共有し」とも言っておられその違いは、定かではありません。
いずれにしても、国連によって2050年までに、CO2の排出をゼロにしないと地球が持続可能でなくなると予測される中、未来の姿から逆算して現在の施策を考えるバックキャスティング方式に切り替えて対策を考える必要があります。
しかしながら市の考え方は、バックキャスティング方式ではなく、現状からより良いものを考えていくというフォアキャスティング方式の範囲ではないかと受け止めております。
今や、世界ではCO2ゼロに取り組まない企業は相手にされなくなっています。宇都宮市は、昨年7月、国からSDGs未来都市に選定されましたが、SDGsの肝は「温暖化を止めること」です。火力発電にしがみつき、昨年夏のCOP25開催中に2度も化石賞を受賞した国の延長線上の取り組みでは間に合わないことは明らかです。
ここに留まっている市の取り組みを力強く後押しするためにも、議会の総意としての「気候非常事態宣言」は大きな力を発揮するものと考えます。
市長であれ、議会であれ「宣言」をすることは、具体的な行動をより確実に実行するための、地域全体で認識を共有するための効果的な接着剤となると考えるものです。
議員の皆さま、ぜひ世界中で声をあげ始めているグレタさんのような若者を励ますためにも、連帯の意思を「気候非常事態宣言」という形で発信しようではありませんか。
以上をもちまして「気候非常事態宣言に関する決議案」に賛成をする討論といたします。議員各位のご賛同を心から期待いたします。