2020年3月4日




福田くみ子議員の代表質問
(再質問・再答弁は質問日の1ヵ月後ごろから市議会HPで閲覧できます➔宇都宮市議会HP





 日本共産党の福田くみ子です。日本共産党を代表して質問を致します。



1.新型コロナウィルス感染症対策について

 
 世界中に広がりを見せている新型コロナウィルス感染症は、市内でも急激な感染拡大が起こっても不思議ではない状況に来ています。
 政府は感染経路不明の寛恕が散発的に発生してきているものの、まだ、大規模な感染拡大は認められず、今が今後の被害を最小限に抑える上で、極めて重要な時期とし基本方針を示しました。また、突然、2月27日には全国の小中高学校、特別支援学校を3月2日からの休校を一律要請、自治体や現場では、対応に追われています。
 これを受けて本市では、3月2日からの休校を決めましたが、どのような検討がなされたのか伺います。また、休校にあたって子どもの家・留守家庭児童会が長期休業の体制で児童を預かると聞いていますが、どのような対応となったのか伺います。
 
 2点目に市保健所と市内医療施設の検査体制および受け入れ体制はどのようになっているか伺います。

 3点目に介護施設・老健施設・保育施設、および医療施設等に感染予防用品がいきわたるよう支援が必要と考えますが見解を伺います。

 4点目に新型コロナウィルスの感染症にかかる帰国者・接触者外来の受診時における国民健康保険被保険者資格証明書の取り扱いについて、2月28日、厚労省から感染拡大を防止する必要性から帰国者・接触者外来を受診した場合、被保険者証とみなして取り扱う旨の通達があったとお聞きしました。
 資格証明書の交付をされている人は、通常、全額自己負担となることから、安心して医療を受けられず、感染リスクが高まってしまうおそれがあります。厚労省からの通達を一刻も早く周知する必要があると考えますが、市長の見解を伺います。

 5点目に地域経済への影響と支援についてでありますが、感染リスクを避けるため、様々なイベントが中止されています。市内業者への影響調査と支援について検討すべきと考えますが市長の見解を伺います。



緒方保健福祉部長


 
まず、「新型コロナウイルス感染症対策について」のうち、「保健所と市内医療施設の検査体制及び受け入れ体制について」でありますが、「検査体制」につきましては、市衛生環境試験所におきまして、いち早く遺伝子検査が可能な体制を整え、適正にPCR検査を行っており、現在、4時間から5時間で結果が判明しております。

 
また、「医療施設の受入体制」につきましては、感染の疑われる方を外来で診察する「帰国者・接触者外来」を市内に設置し、感染者の「入院医療機関」として、院内感染対策の行き届いた市内の医療機関において受け入れ可能な体制を整備するなど、医療機関との連携のもと、十分な体制が整っているところであります。

 次に、「介護施設・老健施設等への感染予防用品の支援」につきましては、各施設に対しまして、予防対策の基本であり効果的な手洗いや咳エチケットによる感染症対策を徹底していただくよう周知しているところであります。

 
現在、新型コロナウイルス感染症への対応がますます必要となっており、より一層、石けん・流水による手洗いが重要となりますことから、重症化リスクの高い高齢者などが利用する介護サービス提供事業所や入所施設等の施設管理者を対象に2月末に研修会を開催し、その中で、施設内感染予防の観点から新型コロナウイルス感染症の特徴のほか、利用者や職員の手洗いの重要性や方法などについて説明を行ったところであります。

 
今後も、状況に応じた最新の情報を提供し、各施設において適切な感染症予防対策が実施できるよう支援してまいります。

 
次に、「国民健康保険における被保険者資格証明書の方への周知について」でありますが、被保険者資格証明書を持つ方が緊急的に医療機関を受診する必要が生じた場合につきましては、本人などからの申し出により短期被保険者証を交付しているところでありますが、令和2年2月28日に厚生労働省から発出された通達により、資格証明書を持つ方が、新型コロナウイルス感染症の疑いがある場合につきましては、感染拡大を防止する観点から、帰国者・接触者外来への受診を優先する必要があり、資格証明書を被保険者証とみなして取り扱うこととされたところであります。

 
今回の取り扱いに関しましては、県から県医師会等を通じて医療機関に周知されたところであり、本市といたしましては、安心して検査や診療を受けていただけますよう帰国者・接触者相談センターや保健所におきまして適切な取り扱いを図るとともに、資格証明書を持つ方に向け、速やかに、ホームページに掲載したほか、今後は、個別に通知するなど様々な機会を捉えて周知を図り、新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでまいります。



大竹経済部長


 
「イベント中止に伴う市内業者への影響調査と支援について」のご質問にお答えいたします。

 
本市におきましては、2月下旬に開催いたしましたセミナーに参加した企業に対し、新型コロナウイルスの影響に関するアンケート調査を実施し、76社中17社の企業から、イベントの中止などにより売り上げが減少しているという回答結果を得たところであります。

 
また、宇都宮商工会議所が実施した実態調査の途中経過におきましても、飲食業等を中心として、イベント中止により売り上げなどに大きな影響を受けているとの声があがっていることを把握したところであります。

 
このようなことから、特に、中小企業・小規模事業者におきましては、イベント中止による売り上げ減少の深刻化が懸念されますことから、資金繰りの支援といたしまして、まずは、既存融資制度の1つである「緊急景気対策特別資金」の運用を見直し新型コロナウイルス感染症の影響を受けている事業者を対象としたところであります。

 
また、国におきましては、イベントや営業などを中止した事業者に対し、直接声を聞く仕組みづくりや資金繰り支援をはじめとした対策を講じるとの方針が示されたところでありますことから、これらの動向に注視しながら、本市といたしましても融資制度の拡充の検討を進めるなど市内企業への適切な支援に努めてまいります。



小堀教育長



 
「小・中学校の休校について」また、「休校にあたっての子どもの家・留守家庭児童会の対応について」のご質問にお答えいたします。

 
小・中学校の休校につきましては、2月27日の内閣総理大臣の要請を受け、その日のうちに、教育委員会事務局内で、臨時休業の可否について協議を始め、児童生徒の学力保障や卒業式の実施、さらに、子どもの家等での児童の受入などについて、教育委員や学校長の意見を聞きながら、翌28日まで検討を重ね、児童生徒の健康と安全を第一に考え、市内全小・中学校を、3月2日から春休みまでの間、臨時休業とすることを決定し、新型コロナウイルス感染症危機対策本部会議に報告したところであります。

 
また、子どもの家等の対応につきましては、厚生労働省からの依頼を受け、保護者の就労支援と子育て支援の観点から、子どもの家等の登録児童のほか、学校の休業に伴い保育が必要となる児童を受け入れることとし、市内66ヶ所全ての子どもの家等におきまして、小学校の休業期間中、午前中から開所し、長期休業に準じた取り扱いとしたところであります。

 
開所にあたりましては、感染防止対策を徹底した上で、学校とも連携協力しながら、指導員を確保するなどの体制を整えるとともに、学校の休業に伴い発生する新たな保護者負担は求めずに対応することとしたところであります。



2.市長の政治姿勢について


(1)新年度予算案について

 まず、経済状況と市民の暮らし向きについて伺います。昨年度は、消費税の8%から10%への値上げ、東日本台風の未曾有の被害など市民のくらしを直撃しました。それに加えて、新型コロナウイルス感染症の広がりは予断を許しません。新年度予算編成にあたっての、本市の地域経済と市民のくらし向きについての市長の見解を伺います。

 2点目に、マンパワーの強化について伺います。行政改革の名のもとにすすめられてきた公務労働の非正規化が問題視される中、会計年度任用制度が始まります。一方では、ICT化による公務員の削減を進めようという動きも加速化しています。会計年度任用制度は、単年度のみで見ると、期末手当の支給などで処遇は改善するものの、非正規という働き方を固定化しかねない側面を持っていることは重大です。公務労働者としての誇りとやりがいを感じながら、より良い仕事をしてもらう、その保障は、より良い処遇にあります。また、近年の災害時の正規職員の役割という側面からも、正規職員をこれ以上削減すべきではないと考えますが、市長の見解を伺います。合わせて、新年度における正規と非正規それぞれの人数と比率を伺います。また、医師、看護師、保健師、などの専門職員の人数、および消防職員、ケースワーカーの人数及び充足率を伺います。

 3点目に児童虐待対策について伺います。児童玉対対策の強化が喫緊の課題となる中で、本市では当面児童相談所は置かず、子ども家庭総合支援拠点として対応していくとのことですが、専門職をはじめどのような体制となるのか伺います。
 
 4点目に学校教育をめぐって伺います。不登校児童生徒は、未だに増加傾向にあり、問題も複雑多様化する中で、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー、メンタルサポーターなどの強化が求められています。新年度スクールソーシャルワーカーが1名増員(319万9千円)されますが、それぞれ各学校に週何時間勤務していますか、答弁を求めます。

 次に国のすすめる児童生徒に一人一台端末整備という降ってわいたような経済対策であるGIGAスクール構想に、本市は現場の教員の意見も聞かずに飛びつきました。新年度からの4年計画ですべての小中学生にタブレットを配備し、その環境整備を行うというものです。まさに手段が目的化してしまったと言わざるを得ません。むしろ、30人学級に少しでも近づけることが先ではないかと考えますが、市長および教育長の見解を求めます。

 5点目にJR宇都宮駅東口地区整備、LRT整備事業は、これまでも指摘してきたように市民本位の公共事業とは言えず、ゼネコン・デベロッパーへの際限のない奉仕型大型公共投資ではないでしょうか。市民の願いに寄り添えば、もっと直接的に福祉・暮らしを支えるために、あるいは教育や子育て応援に回すべきであると考えますが、市長の見解を求めます。



佐藤市長


「市長の政治姿勢について」のご質問にお答えいたします。

「新年度予算案について」のうち、「予算編成にあたっての経済状況と市民の暮らし向きについて」でありますが、我が国の経済情勢は、雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調が続いており、令和元年10月に実施された消費税率引き上げの影響につきましては、国におきまして、軽減税率制度や各種対応策等により、駆け込み需要や引き上げ後の落ち込みは、平成26年度の前回引き上げ時ほどではないと見ているところであります。

 このような経済状況を踏まえて編成した本市の新年度における市税収入は、法人市民税の税率が引き下げとなるものの引き続き900億円台を確保できる見込みであります。

 また、令和元年台風第19号による被害につきましては、市民生活や経済活動にも大きな影響が生じましたことから、順次、補正予算を編成し、被災者への支援策を講じるとともに公共施設の復旧工事などに迅速かつ適切に対応してきたところであり、新年度予算におきましても、最優先で総合的な治水・雨水対策に取り組むこととしたところであります。

 さらに、新型コロナウイルス感染症の対応につきましては、国・県等の動向を踏まえるとともに、市民生活などに与える影響を見極めながら、適宜、必要な予算措置を行ってまいります。



小堀教育長


 
「新年度予算案について」のうち、「スクールソーシャルワーカー等の勤務時間について」のご質問にお答えいたします。

 スクールカウンセラーにつきましては、県費で25名、市費で6名を配置し、1日7時間45分、週1日程度の勤務において、児童生徒や保護者へのカウンセリングや、教職員への助言などを実施しているところであります。

 
また、メンタルサポーターにつきましては、不登校対策の充実を図るため、今年度から、全中学校25校に1名ずつ配置し、1日4時間、週3日程度の勤務において、生徒の面談や、別室登校支援などを行っているところであります。

 
さらに、スクールソーシャルワーカーにつきましては、教育委員会事務局に2名を配置し、1日6時間、週5日の勤務において、学校だけでは解決が困難な事案に対し、学校や福祉等の関係機関と連携しながら、家庭環境の改善に向けた支援を行っており、新年度予算におきまして、1名分を増員して予算計上したところであります。

 
次に「GIGAスクール構想及び30人学級編制について」でありますが、GIGAスクール構想につきましては、Society5.0の時代においてICTを基盤とした先端技術を効果的に活用し、多様な人々と関わりながら主体的に未来を生き抜く力をもつ児童生徒を育成するため、本市として推進するものであります。一方、35人学級編制につきましては、新年度から小・中学校全学年で実施されますことから、今後は、35人学級の効果を十分に検証しながら、児童生徒が互いに切磋琢磨できる適切な学級編制の人数について研究してまいります。



(2)LRT整備事業と公共交通について


 1点目にLRT宇都宮駅東側ルートの本格化していますが、軌道用地は100%の用地取得の見通しはあるのか、まず伺います。LRTは、軌道がつながってこその事業です。合わせて、当初概算事業費の本市分約412億円について、現在の執行額及び進捗率を伺います。宇都宮市用地事務処理要領によれば、土地等の取得前における工事は禁止されているものと認識しているが、市長の見解を求めます。また、東京オリンピックや災害復旧等による人件費や材料の高騰、さらには消費増税による上乗せ等を考えると、当初の概算事業費で収まるのか、市長の見解を伺います。

 2点目にM&Aからの車両基地の土地取得の契約について伺います。同仮契約書の第5条5に「甲(つまり売主であるM&A)は、土壌汚染等が後日発覚しても責任を負わない」と記されています。宅建法40条によれば、宅地建物取引業者である売主で、宅地建物取引業者ではない者が買主である場合、瑕疵担保責任について民法より、買主に不利な特約をしてはならないとの原則があるそうです。

 この仮契約書には、わざわざ、このような条項が、盛り込まれているのは異常ではないでしょうか。市のなりふり構わない事業推進の姿勢、事業者の言い値に屈する姿勢が見て取れます。市民福祉の最大化を役割とする市の仕事として、ありえない契約と考えますが市長の見解を求めます。

 3点目に駅西側延伸計画について伺います。新年度には整備区間を決定するとのことですが、それに伴うバス路線の再編計画や東武線との接続がどのようになるのかなども示されていません。果たして市民の利便性が向上するのかは、まったくの未知数と言えます。

 そこで、H30年5月に公表された計画概要において、JR宇都宮駅から桜通り十文字付近までの概算事業費として示された基準額には何が含まれるのか伺います。



若狭建設部長


 
「LRT整備事業と公共交通について」のご質問にお答えいたします。

 
「軌道用地取得の見通しについて」でありますが、本年2月末現在で必要とされる事業面積全体の約88パーセントにあたる約10万6千平方メートルの土地について、全権利者の約74パーセントにあたる約290名の方々と「土地売買」や「物件移転補償」の契約を締結したところであります。

 
今後も、引き続き丁寧な交渉を行うことで全ての権利者の方々とご契約いただけるものと見込んでおります。

 
次に、「現在の執行額及び進捗率について」でありますが、本市分の概算事業費である412億円のうち、現在までの執行額につきましては、決算の審査前ではありますが、令和元年度までの支出額として、約130億円を予定しており、進捗率は約30パーセントとなっております。

 
次に、「土地等の所得前における工事の禁止について」でありますが、工事の着工にあたりましては、「宇都宮市用地事務処理要領」第5条ただし書きに基づき、当該土地等の権利者の方々から承諾を得たうえで、工事に着手しております。

 
次に、「人件費や材料高騰、消費増税の概算事業費への影響について」でありますが、今後とも、本市分の概算事業費である412億円をもとに精査しながら、整備を進めてまいりますが、さまざまな要因により事業費が増減する可能性も考えられますことから、変更がある場合には議会にお示ししてまいります。

 
次に、「車両基地の土地取得の契約について」でありますが、当該土地につきましては、契約の相手方から専門業者による土壌調査の結果が示され、汚染物質が基準値以下であると確認できたことから、双方合意の上、仮契約書に同条項を盛り込んだものであります。次に、「駅西側LRTの概算事業費について」でありますが、平成30年5月にお示しした概算事業費につきましては、軌道や停留場などの施設整備費や、車両費、用地補償費を見込んで算出したものであります。



 (3)気候非常事態宣言について


 地球規模での気候変動が極めて深刻な状況にあることは論を待ちません。昨年10月の東日本台風は、本市にも未曽有の爪痕を残しました。

 昨年9月の国連気候行動サミットでは、16歳のスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが、「人びとは苦しみ、死にかけ、生態系全体が崩壊しかけている」と世界に訴えたことは、大きな反響を呼びました。

 2015年に採択されたパリ協定は、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2度より十分低く抑え、1.5度に抑制する努力目標を設定し、そのために21世紀後半までに人間活動による温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにする方向性を打ち出しました。1.5度の上昇であっても、深刻な熱波、嵐、水不足、山林火災、食糧生産の不安定化などが生じるとされていますが、現在出されている各国の目標の合計では、21世紀末には約3度の気温上昇が起こると予測され、そうなった場合の破壊的影響ははかり知れないものがあります。この人類的問題を打開しようという運動が、世界中で広がっています。

 本市では、CO₂削減のためにこれまでも様々な取り組みをしてきましたが、この危機的状況に正面から向き合い、取り組みをさらに加速していくために、市として「気候非常事態」を宣言してはいかがでしょうか。

 さらに具体的には、2050年までに市内で利用するエネルギーを再生可能エネルギーに完全移行できるよう取り組みを加速させること、自然環境を最大限保全すること、リデュース(抑制)・リユース(再利用)・リサイクル(再利用)の3℞に加えリフューズ(発生回避)の取り組みを推進すること、プラスチックごみの削減を推進することなどへの、市長の決意を伺います。



千賀環境部長


 
「気候非常事態宣言について」のご質問にお答えいたします。

 
本市におきましては、「第3次宇都宮市環境基本計画」に基づき、自立分散型の再生可能エネルギーの普及促進や動植物の生息・生育環境の保全、循環型社会の形成などを推進しておりますが、近年、地球温暖化や海洋プラスチックごみなどの様々な環境問題が顕在化しており、市民・事業者・行政が、より一層連携・協力し、各所取り組みを推進していく必要があると認識しております。こうした中、「市として気候非常事態を宣言すること」についてでありますが、本市における環境問題に対応しながら、社会・経済・環境の統合的な向上を目指すSDGsの推進を図るため、気候非常事態を宣言し、気候変動に関する危機感の共有を図るのではなく、市民・事業者・行政など、地域全体で様々な環境を認識・共有すること、そして、何よりも具体的に行動を実践していくことにより、広範な環境問題の解決に向け、取り組んでまいります。

 
次に、「2050年までの再生可能エネルギーへの完全移行など」についてでありますが、引き続き、環境政策を取り巻く状況や、社会情勢などに的確に対応しながら、再生可能エネルギーのより一層の普及拡大などによる脱炭素社会の構築や、本市固有の豊かな生物多様性の保全、プラスチックごみをはじめとするごみの減量化・資源化などの各種取組を市民・事業者・行政が一丸となって推進し、「環境未来都市うつのみや」を実現してまいります。



3.災害対策について


 令和元年東日本台風では、本市は近年に経験したことのない甚大な被害を受けました。復興はいまだ道半ばですが、これまでの取り組みについてどのように評価し、どのような点を教訓とし今後に生かそうとしているのかまず伺います。

 次に東日本台風における災害救助法に基づく住宅応急修理制度や生活必需品の給与などの被災者支援について、栃木市や佐野市、小山市、足利市など県内他市と比較すると、被災者の生活再建などのためには、基準や制度などが足かせとなり、本市の支援は財政規模からみても、被災実態からみても、十分ではなかったと感じますが市長の見解を伺います。

 3点目に避難所の在り方について伺います。今回の災害で、市内では57ヶ所の避難所を開設、3,099人が避難しました。最長で12日間を避難所で生活されたそうです。未だに、市営住宅での避難生活を余儀なくされている方もいると聞いております。東日本大震災や熊本地震では、せっかく助かった人々の多くが、長期化する劣悪な環境下の避難所生活によってその後「災害関連死」するという現実が起こっています。

 内閣府ではH28年4月に示した「避難所運営ガイドライン」の中で「人道憲章の枠組みに基づき、生命を守るための主要な分野における最低限満たされるべき基準」として「スフィア基準」を紹介しています。スフィア基準とは、1994年のルワンダの難民支援活動を行ったNGOなどによって、被災者個人の尊厳と人権保障の観点から作られた国際赤十字の基準です。徳島県では、「避難所運営マニュアル作成指針」の中で同基準を採用し、避難所の質の向上を盛り込んでいます。本市においても、避難生活の長期化に耐えうる避難所の在り方を個人の尊厳と人権保障の観点に立ち転換すべきと考えますが、市長の見解を求めます。



酒井行政経営部長


 
「災害対策について」のご質問にお答えいたします。

 
まず「東日本台風被害に対する取組の評価と今後の教訓について」でありますが、令和元年台風第19号への対応におきましては、市民のみなさまに早めの避難行動をとっていただいたことに加え、自主防災会や消防団などが連携し、避難の呼びかけを行っていただいたことなどにより、人的被害がなかったことにつながったものと考えております。

 
また、「地域防災計画」に基づき、災害発生当初から被災家屋等からの片づけごみの処分や被災家屋の被害調査、保健師等の巡回による健康相談などを速やかに実施するとともに、河川や道路等の復旧作業についても、民間事業者等と連携しながら実施してきたものと評価しているところであります。

 
さらに、多くのボランティアに協力をいただき、改めて、自助・共助の大切さを実感したところであります。

 
一方で、災害発生直後において、被害情報の迅速な収集・集約や、多数の避難所を同時に開設した中で、避難所運営に係る情報の共有などの課題がありましたことから、今後につきましては、災害が発生時に収集した様々な情報を一元的に集約し共有することができる「災害情報共有システム」を導入することにより、災害発生当初から迅速な復旧・支援ができる体制を構築してまいります。

 
次に、「東日本台風における被災者支援について」でありますが、本市では、これまで、東日本大震災や関東・東北豪雨におきまして、住宅や家財などに一定以上の被害があった場合には、被害を受けた方に対し、各種制度などを活用し、生活再建に向けた支援に取り組んできたところであります。

 
この度の令和元年台風第19号におきましても、支援制度を有効に活用していただけますよう、広報紙や市ホームページなどを通じて広く制度の周知に努めるとともに、発災直後の保健による家庭訪問の際に、支援制度をまとめたチラシを配布するなど、対象となる世帯へのきめ細かな案内を行ったことにより、「災害援護資金貸付金」制度や支援金を支給する「被災者生活再建支援制度」において、合わせて14件の申請があり、支援が必要な方に活用いただいたところであります。

 
また、今回の災害では、住宅への泥の流入を含む床下浸水などの生活に支障をきたす水害も発生したことから、被災された世帯が一日も早い生活再建につながるよう、災害ごみの戸別収集などに迅速に取り組むとともに、災害見舞金の支給や義援金の配分にあたりましては新たに床下浸水を対象に拡大するなど、必要な支援を実施してきたところであります。 

 
今後とも、被災された方々の生活再建に向け、適切な支援に取り組んでまいります。

 
次に、「避難生活の長期化に耐えうる避難所のあり方について」でありますが、避難所の質の向上は、避難者の尊厳と人権を守るために大変重要であると認識しておりますことから、避難所の床面積につきましては、一人当りの居住スペースが「3.5平方メートル」である「スフィア基準」に対し、本市におきましては国の「避難所運営ガイドライン」を参考に、長期的な避難を想定し、居住スペースに加えて荷物置き場や通路などの共有部分も考慮したスペースとして、一人当り「6.6平方メートル」を基準として、「地域防災計画」に定めていることころであります。

 
また、避難者が快適に過ごせるよう、「第2次宇都宮市防災備蓄・調達計画」に基づき、プライバシーを確保するためのハイ・パーテーションや個室用テントなど、物資の備蓄を進めているほか、学校体育館を避難所として開設する場合におきましては、校舎内の多目的トイレや冷暖房設備を有する教室の利用などによる避難所の質の向上を目指して取り組んでいるところであります。

 
今後も、引き続き、避難所生活が長期化した場合においても、良好な生活環境を保つために、暑さ寒さ対策やプライバシーの確保、備蓄物資の拡充などに取り組んでまいります。



4.学校教育をめぐる問題について


 (1)小中学校教員の変形労働時間制について

 昨年12月に成立した「改正教職員給与特別措置法」により、「変形労働時間制」を導入することが可能となりましたが、教員の長時間労働に拍車をかけるおそれがあるなど導入すべきではないと考えますが、市長および教育長の見解を伺います。


(2)外国人児童生徒への日本語指導について

 本市においては、日本語指導が必要な外国人児童生徒数は横ばい状態ではありますが、母国語が多様化し、対応も個別指導がより求められているとのことでした。今後はさらに増加も見込まれるものと思いますが、対応をどのように考えているか市長及び教育長の見解を伺います。



小堀教育長


 
「学校教育をめぐる問題について」のご質問にお答えいたします。

 
まず「小中学校教員の変形労働時間制について」でありますが、教職員の勤務時間につきましては、令和元年12月に「教職員給与特別措置法」が改正され、人事権を有する県が条例を改正することにより、学校が教職員一人一人の事情に応じて、業務量が多い時期の勤務時間を延長し、その分をまとめて長期休業期間に休日として取得させる1年単位での変形労働時間制を、選択的に適用できるようになったところであります。

 
しかしながら、長時間労働の常態化につながるおそれや、長期休業中には研修や部活動指導等により休日のまとめ取りが難しいこと、また、勤務時間管理の複雑化などの課題も指摘されておりますことから、まずは、教職員の業務縮減に優先的に取り組みながら、年次休暇や特別休暇の確実な取得促進を図ったうえで、長期休業中の休日のまとめ取りがされるよう、変形労働時間制の実施にあたっての留意事項について、県や他市町、学校などと意見交換を行い、慎重に検討してまいります。

 
次に、「外国人児童生徒への日本語指導について」でありますが、外国人児童生徒に日本語を身につけさせることは、将来自立して生きるための学力を育成するとともに生活適応を図る上で大変重要であると考えております。

 
本市におきましては、これまで、初期日本語指導教室において、来日まもない外国人児童生徒が、2カ月間集中して、簡単な日本語や学校生活のきまりを学んだ上で、各学校において、来日前に使用していた言語による指導を1年間行った後、日本語による指導を2年間継続して行う体制を構築し、児童生徒が、確実に日本語を習得できるよう努めてまいりました。これらの個別指導の充実を図るため、本市独自の日本語習得状況調査を行い、調査の結果明らかになった一人一人の日本語習得状況に応じたきめ細かな指導を行うとともに、近年、多様化する母語についても、市や県の国際交流協会などとの連携により、すべての言語にたいおうしているところであり、日本語指導を受けた多くの外国人児童生徒が、日本が話せるようになるなど、学校生活への適応を図られており、取り組みの成果がみられております。

 
今後とも、関係団体との連携を強化し、日本語指導に係る取組を直実に推進してまいります。



5.子どもの家・留守家庭児童会について


 1点目に、本市、法人、運営委員会の三者での意見交換やクラブ単位での意見の反映について、指定管理者制度の中でどのように担保されるのか、市長の見解を伺います。

 2点目に、どのように指導員の継続雇用を担保するのか伺います。

 3点目に、子どもの家の運営について、市で統一的な基準を設定することについては一定理解できるところですが、昼食の手配などの利便性や、保育内容の充実につながる各施設の独自の取り組みも取り入れる必要があると考えますが、市長の見解を伺います。

 4点目に、子どもの家事業を株式会社が含まれる指定管理者とすることについて、市の責任においてサービスの質を担保できないことが懸念されます。市長の見解を伺います。



菊池教育次長


 
「子どもの家・留守家庭児童会について」のご質問にお答えいたします。

 
まず、「意見聴取とその反映の担保」についてでありますが、運営主体の移行後におきましても、これまでの地域の特色を生かした行事や保育内容等を継承すること、また、利用者の意見を取り入れながら運営することは大変重要でありますことから、法人と現行の運営委員会が、運営区域単位、及び、クラブ単位で意見交換や連携することを仕様書に定めることとしております。

 
さらに、指定管理者の業務を適切に評価する本市独自のモニタリング制度の中において、意見箱の設置や利用者アンケート調査など、利用者の意見を聴取するとともに、毎月、業務報告書の提出や本市と指定管理者との意見交換などを通して、その反映状況について、確認することとしております。

 次に、「指導員の継続雇用の担保」についてでありますが、法人への移行後におきましても、児童や保護者との信頼関係を築いた指導員による保育を継続することは、大変重要であると認識しておりますことから、本市といたしましては、指導員が安定した雇用のもと、保育を継続することができるよう、指定管理者の公募の要件として、指導員の継続雇用の努力義務を仕様書に定めることとしております。

 次に、「利便性や保育内容の充実につながる施設独自の取り組み」についてでありますが、子どもの家等事業を、誰もが利用しやすく、均等なサービスとして受け入れられるよう、全ての子どもの家等において、開設日、開設時間、入所基準などの「基本的なサービス水準」について、統一することとしたところであり、「施設独自の取り組み」につきましては、先ほどご答弁いたしました法人と現行の運営委員会が連携する仕組みにおいて、逐次、協議・検討してまいります。

 次に、「株式会社を含む指定管理者制度」についてでありますが、本市といたしましては、本事業を将来にわたり安定した事業とするとともに、本市が定めるサービス水準を確保するため、保育に関する優れたノウハウを持つ法人を選定し、指定管理者とする方針を掲げたところであります。

 なお、利用者の声につきましては、先ほどご答弁いたしましたとおり、モニタリング制度を活用しながら、反映することとし、サービスの質につきましては、本市の責任において、適正に指導監督することを通して、確保してまいります。



6.ジェンダー平等社会の実現について


 日本のジェンダーギャップ指数は前年の110位からさらに順位を下げ、153か国中121位に転落していますが、本市のジェンダー平等社会の実現への取り組みについて、市長の見解を伺います。

 次に、同性カップルの関係が婚姻に相当することを自治体が公に証明するパートナーシップ制度の導入について市長の見解を求めます。




笹原市民まちづくり部長


 
「ジェンダー平等社会の実現について」のご質問にお答えいたします。

 
まず、「本市のジェンダー平等社会の実現への取り組みついて」でありますが、本市では、平成30年3月に策定した「第4次宇都宮市男女共同参画行動計画」におきまして、一人ひとりが尊重され、多様な選択を可能にし、個性と能力を十分に発揮できる社会を目指すべき姿としており、これは、持続可能な開発目標であるSDGsの17の目標の一つの「ジェンダー平等を実現しよう」につながるものと考えております。

 
今後とも、この行動計画に位置づけられている、固定的性別役割分担の解消に向けた男女共同参画意識の醸成や、雇用の場における女性活躍の推進、人権尊重の視点からの性についての理解促進などを着実に進めてまいります。

 
次に、「パートナーシップ制度の導入について」でありますが、本市におきましては、「令和元年度市政世論調査」において、LGBTの「言葉も内容も知っている」と回答した方の割合は、50.4%であり、市民の理解が十分とは言えない状況であることや、当事者支援団体と意見交換を定期的に行っている中で、社会全体の理解が求められておりますことから、まずは、性的マイノリティなど、多様な性について市民の理解を促進していくことが必要であると考えております。

 
このようなことから、広報紙等での意識啓発などのほか、今年度新たに市民向け啓発講座を開催したところであり、今後も、市民に対する周知啓発を積極的に進め、社会全体が性の多様性を受け入れる環境づくりに取り組むとともに、パートナーシップ制度の導入につきましては、国や県、他自治体の動向を注視してまいります。







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