2019年12月6日
天谷みえ子議員の一般質問
1.台風第19号に伴う河川改修工事について
10月の台風19号により被災された皆さまに心からお見舞いを申し上げます。私は台風が去った13日朝から地元城山地域の避難所をはじめ姿川流域で濁流により床上浸水となった大谷地域の状況の調査にはいりました。午後からは共産党市議団と野村県議で宮の橋周辺、千波町などを調査してまわりました。
大谷・田下町地域は平成27年の関東・東北豪雨の際も姿川が氾濫し床上浸水の被害にあった地域です。4年たった今年再び更に大きな水害に見舞われてしまいました。人的被害がなかったことは幸でしたが、4年前とは格段に大きな被害となりました。本市では大谷を観光拠点に位置づけ、集客にも力を入れているところでありますが、至る所に姿川氾濫の爪痕が残り、せっかく賑わいを見せていたオシャレなレストランも閉店状態が続いています。一方で大谷資料館には雨でも駐車場が埋まっているほど観光客が来ているという不思議な状況が生まれています。
姿川は宇都宮市北部の古賀志山地の鞍掛山に源を発し、宇都宮西部を流れた後、小山市半田で思川に合流する河川であります。平成12年度から平成35年度を事業期間として城山工区の改修工事が進められておりますが、この間にも平成27年にこの工区の上流で大きな水害が発生してしまっています。そしてまた今回の大水害。大谷橋より上流についてはまだ計画も決まっていない状況です。期せずして今回の大水害の発生直前の今年9月25日佐藤市長が会長を務める姿川河川改修期成同盟会が改修事業の促進に関する提言書を下野・小山・壬生の市町の長と共に国に提出しています。
しかしこの提言書では大谷橋上流部約700メートルの大杉橋までの整備をすすめるよう提言しておりますが、実際にはもっと上流でも大きな被害が広がっているのです。大谷を宇都宮最大の観光地として振興させていくためにはこの姿川の河川改修計画を何よりも優先して工事を素早くすすめていかなければと考えます。姿川は上流部にいくほど蛇行が激しく田下町から大谷町景観公園を流下するあたりはかなりの蛇行になっています。河川の専門家による抜本的な河川改修計画の練り直しも含めて再度国への提言を出していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
平成27年の水害2か月前に自宅を新築した方にお会いしました。新築した自宅が床上浸水し大変だったのに今回もまた水害にあい床上浸水してしまったそうです。ここにはもう住みたくないと話されていました。姿川沿いのデイサービスセンターも度重なる被害に事業を閉鎖せざるをえませんでした。
大谷・田下町地域の住民の命とくらしを守るためにも、観光地として発展させるためにも治水対策を急ぐ必要があります。8月に地元との意見交換会が実施され、姿川上流部に調節池を造るという計画であることがわかりました。本市としてはこの調節池整備を含めた姿川の河川改修を一刻も早く進めていただくよう国と県に働きかけをお願いするものですが市長の決意をお聞かせください。
またこの度の台風では姿川・田川などの1級河川だけではなくその支流であったり宇都宮市が管理する中小の河川が甚大な被害をうけました。例えば、駒生地域を流れる鎧川においても氾濫して床上浸水したり護岸が崩れたりしております。こうした本市が管理する河川改修を急がないと最近の異常気象によってまた再び同じような水害に見舞われてしまいます。これらの市管理河川による今回の被害状況の把握と対策を伺います。
若狭建設部長
「台風第19号に伴う河川改修工事について」のご質問にお答えいたします。
まず、「姿川河川改修計画の練り直しと再度の国への提言について」でありますが、大谷地域は、本市の観光拠点であり、大谷石に関する歴史文化資源が多数存在するまちとして重要な地域と認識しております。
当該地域は、近年の集中豪雨や台風による大雨により、浸水被害が発生しておりますことから、被害解消に向けて、毎年、本市として栃木県へ姿川の未整備区間である大谷地域の河川改修整備の要望を行うとともに、姿川地域の本市と下野市・小山市・壬生町の市町で組織している姿川河川改修期成同盟会におきましても、同区間の事業の推進につきまして国への提言を行ってきたところであります。
さらに、台風第19号による被害を受け、計画区間と大谷橋上流部の溢水した区間を含めた一体的な早期整備につきまして、緊急要望を栃木県に行ったところであります。
現在、栃木県におきましては、姿川の上流部に、調節池を含めた具体的な整備方法の検討を始めたところと伺っておりますことから、早期の整備が実現できるよう改めて栃木県に粘り強く働きかけるとともに、姿川の上流部を含めた計画変更が整い次第、適切な時期に再度、国に対し提言してまいります。
次に、「一刻も早い姿川の河川の改修について」でありますが、大谷地域は重要な地域と認識しておりますことから、姿川の上流部への調節池を含めた河川改修が早期に実現できますよう国・栃木県へ粘り強く働きかけてまいります。
また、本市におきましては総合的に治水対策を推進するため、庁内の各部局が連携する横断的な組織を立ち上げたところであり、今後、スピード感を持って雨水流出抑制策の検討を進めてまいります。
次に、「市管理河川による今回の被害状況の把握と対策について」でありますが、本市におきましては、台風第19号が接近する前から、市内各所の河川パトロールを実施し、河川へのゴミなどの流入を阻止するスクリーンの清掃やこれまでの大雨時に、河川の溢水が見受けられる箇所に土のうを積むなど、台風の接近に備え、被害が軽減するよう、事前の対策を実施したところであります。
台風による大雨警報が発令された直後から、河川状況の巡視を行うとともに、市民の皆様からの通報に対応しながら被害箇所の確認を行い、溢水などによる危険箇所におきまして、通行止めや土のう積みなどの応急措置を、栃木県警察や消防などと連携を図りながら、早急に実施したところであります。
また、台風通過後におきましても、新たな被害箇所の発生の有無を調べるための巡視や通報による被害箇所の確認を継続して実施し、一級河川奈坪川や準用河川鎧川などの11河川22件の河川の溢水や一級河川石川や準用河川鶴田川などの22河川59件の護岸崩れなどの被害を把握したところであります。
それらの被害箇所につきましては、速やかに被害拡大を防止する応急措置を講じるとともに、現在、復旧工事を実施しているところであります。
引き続き、被害箇所の早期復旧に取り組んでまいります。
2.介護予防・日常生活支援総合事業について
消費税は社会保障の充実のために利用するということでしたが、介護保険の国民負担はさらに値上げが予定されています。利用料の負担を年金収入によって、2割・3割負担の人をさらに増やすことを狙っています。軽度の要支援1・要支援2の訪問介護と通所介護はすでに保険給付から外されていますが今度は要介護1・2の生活援助サービスも保険給付から外そうとしています。ケアプランの作成は現在10割給付ですが新たに利用者負担を導入しようとしているのです。市民の中には、介護保険料を長年払ってきたのにいざ介護保険を使おうとしてもこれでは利用できないのではないか、という不安が広がっています。
団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、一人暮らしの高齢者世帯や高齢者夫婦のみの世帯、認知症高齢者の増加が予想されています。本市では「高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、地域全体で高齢者を支え、高齢者自身も自らの能力を最大限に活かしつつ介護予防に取り組む」として2017年から介護予防・日常生活支援総合事業を開始しました。
総合事業には「介護予防・生活支援サービス」と「一般介護予防事業」があります。介護予防・生活支援サービス事業のうちサービスBの実施団体に対して運営経費の一部を補助しています。地域におけるささえ合い活動の充実、住民主体の自主活動として取り組みが始まっています。さて高齢福祉課によりますと今年度9月までに訪問型サービスBの事業所としての登録は4事業所、利用者数は15人と伺いました。
サービス内容としては、傾聴・新聞朗読・掃除・ゴミ出し・草とり・買い物などで、利用者には自己負担30分50円という利用料が設定されています。地域でこの住民主体のサービスB事業を率先して始められた自治会長さんにお話しを伺う機会がありました。「これまでは隣3軒両隣りで助け合うこともできたが、今は、どちらを見ても高齢化でなかなか助け合うこともできなくなっている。そこでうちの自治会はせっかく市でやろうとしている事業に去年から手を挙げたんだ」「傾聴ボランティアなどでがんばっている地域のみんなも生きがいになっているよ」というお話をされていました。課題は、地域のなかであまり知られていないこともあって地域包括支援センターからの依頼も少ないということでした。本市が2018年に策定した「にっこり安心プラン」では地域支援事業の見込み回数として2018年度5280回、2019年度7920回、としています。
計画との乖離があまりに大きいと思いますが、サービス提供事業所も利用者もなかなか増えない状況について市長はどう考えておられるかまた今後の事業の見通しを伺います。
緒方保健福祉部長
総合事業のうち、ゴミ出しや買い物などの支援を行う訪問型サービスBにつきましては、地域団体などにおける事業への参入を推進するため、本市では、これまで事業内容や事務手続きなどの内容を盛り込んだ「サービスB補助制度の手引き」を作成し、地域への出前講座や説明会を開催しながら、事業への理解促進に取り組むとともに、地域包括支援センターや事業者等を対象としたヒアリングを行いながら現状を把握し、サービスの提供時間や頻度の見直し、運営に対する補助の増額を行ってきたところであり、現在、社会福祉法人や単位自治体など市内4つの団体が、事業に取り組んでおります。
また、サービスBの利用促進につきましては、地域包括支援センターを対象とする会議や研修会の機会を捉え、サービスBを利用した事例の紹介などを行ってきたところであり、その利用者数は、昨年度、月平均7人でありましたが、今年度は月平均15人に増加してきている状況にあります。
議員ご質問の「サービス提供事業所数や利用者数に対する考え方と、今後の事業の見通しについて」でありますが、サービスBは、ホームヘルパーなどの専門職によるサービスとは異なり、地域住民等の支え合いによって成り立つ、今後必要なサービスであり、支援をする側と受ける側の相互理解を充分に図りながら進めていく事業であることや、事業を創設して間もない状況にあることなどから、今後とも、事業への参加に向けた地域のさらなる機運醸成を図ることができるよう、第2層協議体における検討や出前講座の開催など、様々な機会を通じ、粘り強く周知啓発を行いながら、サービスBの更なる創出や利用促進に努めてまいります。
3.認知症ケア体制について
高齢化に伴い、国の認知症高齢者数推計においても認知症高齢者数は年々増加する傾向と見込まれています。国の推計を本市にあてはめて推計した場合、2020年には12000人、2025年には14000人まで増加すると見込まれています。
国は認知症の早期診断・早期対応のための体制整備として「認知症初期集中支援チームの設置」を位置づけ平成30年度から各市町村で実施することになりました。本市では平成27年度から検討部会を設置しチームのあり方、設置の方向性等について協議してきたとのことです。対象は「妄想など周囲に影響を与える」「頻繁に徘徊している」など問題行動のある方や行動面から明らかに精神的な疾患のある方で公的なサービスや医療機関に繋がっていない人、医療的なアドバイスを受けたい人、医師を交えて相談したい人などを主な対象者とするとあります。基本構成は地域包括支援センター職員2名、医師(認知症サポート医、認知症疾患医療センター)1名、市保健師1名の体制となっています。チームは常設の機関ではなくケースに応じ、必要な時に必要な人員で構成する「チームアプローチ体制」とすることになっています。2018年度はこの初期集中支援チームが稼働した例は1例だったと聞いておりますが随分少ないと感じました。
せっかくできた支援チームですし医師会の中でも地域に貢献しようとやる気になっておられる先生方を是非活用してほしいということだと思います。
そこで、第1に2019年度の認知症初期支援チームの稼働状況を教えて下さい。
第2に、本市としてはこの初期集中支援チームに対してどのような期待をよせているのか伺います。
また、各地域包括支援センターを中心に地域ケア個別会議が行われております。この会議では個別事例の検討を通じて、多職種協働によるケアマネジメント支援を行うとともに地域のネットワークづくりにも役に立っていると思います。国は地域ケア会議について介護保険法で努力義務として位置づけられています。そこで第3に本市としてはこの地域ケア会議についてどのように取り組んでいかれるのか伺います。
緒方保健福祉部長
「認知症ケア体制について」のうち、「2019年度の認知症初期集中支援チームの稼働状況について」でありますが、本市におきましては、認知症の疑いがあるものの、医療や介護などのサービスに繋がっていないケースに対しまして、状況に応じ、専門職と連携しながら、医療や介護のサービスに繋げておりますが、本人の受診拒否などの理由により、サービスに繋がらない場合には、身近な地域包括支援センターが「地域ケア個別会議」を開催し、認知症初期集中支援チームの編成の必要性を検討した上で、市の認知症地域支援推進員が「医療・介護連携支援ステーション」と連携して、身近な地域の認知症サポート医を選定し、担当する地域包括支援センターの職員、市基幹相談支援センターの保健師で構成するチームを編成しているところであります。
このような中、平成30年度末に編成した1チームにつきましては、認知症サポート医が自宅を訪問し、医療に繋げ、今年度、活動を終結したほか、新たに編成した2チームにつきましては、チーム員が本人・家族への支援策を検討した上で認知症の診断や介護サービスのための認定申請に向けた支援を行っているところであります。
次に、「認知症初期集中支援チームに対する本市の期待について」でありますが、今後、ますます高齢化が進むことにより、認知症やひとり暮らし、高齢者世帯など、介護や支援を必要とする高齢者の更なる増加が見込まれる中、医療や福祉の専門的な視点からチームが対応することで、円滑に医療や介護サービス等に繋がることを期待しており、こうした取組により、認知症の人やその家族が、住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることができるものと考えております。
そのためには、チームが、継続して効果的に運用されることが重要でありますことから、チームの個々の事例を積み上げ、その支援内容やチームとして対応したことによる効果などにつきまして、「宇都宮市地域包括ケア推進会議・認知症対策部会」において、医師会等の関係団体から意見を伺いながら評価・検証を行うとともに、各地域支援センターが、支援を必要とする高齢者を把握した場合に速やかに対応できるよう、実際に対応した事例を用いた検討会を開催することなどにより、認知症初期集中支援チームの対応力向上に取り組んでまいります。
次に、「地域ケア会議について」でありますが、本市の「地域ケア会議」につきましては、多職種や地域団体等の協働による地域のネットワークを構築するとともに、高齢者を取り巻く地域に共通した課題を明らかにし、対応するため、各地域包括支援センターが39地区の連合自治会を単位に開催しており、連合自治会、民生委員等の地域団体の代表者や医療・介護の関係者などが、「地域ケア個別会議」等から把握した地域の課題の解決に向け取り組んでいるところであります。
このような中、それぞれの地域における課題を解決していくためには、地域ケア会議が十分機能することが重要でありますことから、会議運営において中心的な役割を担っている地域包括支援センターのコーディネート力を更に高めるため、会議の実施手順や地域の課題を引き出す手法を盛り込んだ「地域ケア会議運営マニュアル」を作成し、理解促進を図るとともに、日頃から、市基幹相談支援センターが、各地域包括支援センターへの助言を行うことなどにより、地域包括支援センターのスキルアップに繋げ、地域ケア会議の充実により一層努めてまいります。
4.公立・公的病院の再編統合について
厚生労働省は9月26日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の第24回会議で、再編統合などの再検証を要請する対象であるとして、424病院の病院名を公表しました。その中に本市のNHO宇都宮病院、JCHOうつのみや病院もあげられました。公立・公的病院を対象に、がん・心臓・脳疾患領域など急性期の診療実績が特に少ない場合や、車で20分以内に似た実績の病院がある場合に、病院の再編統合を検討し、遅くとも2020年9月末までに結論を得るよう求めています。しかし診療実績は急性期医療機能の一部だけを取り出して、しかも2017年6月の1か月分のみで判断するなど大変不十分なものです。また各症例の総数に基づくため、医師不足等で患者を受けいれることが困難だった場合は、診療実績が低いと判断され、その地域で医療ニーズが高くても削減対象とされてしまいます。特に地方の中小病院は対象となりやすく、実績が少ないとされた病院は200床以下が7割強を占めます。
公表された病院には、へき地医療を担う病院や災害拠点病院なども含まれており、これらの病院が地域で果たしてきた役割なども考慮されていないなど基準自体が稚拙すぎます。厚労省が病院名を公表したことで、地域では大きな不安が広がっています。
本市でもJCHOうつのみや病院では地域に対して回覧板で「ご安心ください ジェイコーうつのみや病院は今後もずっと存続します!」というチラシを配布しました。またNHO宇都宮病院でも院長が医師会報にー「再検証対象医療機関」の実際―という一文を発表しました。そのなかでは「宇都宮医療圏において重症心身障害病棟と地域包括ケア病棟はどちらも当院のみでありいずれも90%以上の高い病床稼働率を維持しておりまた県内唯一の結核患者の入院施設となった。公立・公的医療機関の役割が『民間病院では担うことのできないものに重点化されているか』が問われているし今後も責任をもって継続する覚悟です。」とのべています。
この2つの病院の地元では新聞に公表されて以来、病院がなくなってしまうのではないかという市民の不安の声が多数寄せられています。
さらに見過ごせないのは、「民間医療機関についても,2025年における地域医療構想の実現に沿ったものとなるように対応方針の策定を改めて求める」とあります。先日も新聞にはベッド削減の民間病院支援のために基金を各都道府県に設けて病院の再編統合を加速させる方針であると報道されました。こうした強権的な病院の再編・統合により地域医療の崩壊が加速させられていくと懸念されます。地域医療の提供体制は一度崩壊すると再生は極めて困難であると思われます。
本市は医療・介護連携支援ステーションとしてブロック拠点を設置しております。その中に今回名前が公表されたNHO宇都宮病院は東および北ブロックの拠点、JCHOうつのみや病院は南ブロックの拠点として位置づけられております。今後の地域包括ケアシステムを築いていくためにも重要な役割を果たしていくこの2つの病院が再編・統合の対象となったら市民の命と健康が守られなくなってしまいます。今回の病院名の公表に対しては、私たち共産党議員団はもちろん他の会派の議員団、そして何より地域の住民の皆さん、2つの病院で働くすべての労働者に怒りが広がっています。本市で重要な役割を果たしていただくこの2つの病院を守るための市長の覚悟をお聞かせ下さい。
佐藤市長
「公立・公的病院の再編統合について」でありますが、本年9月に厚生労働省から、「地域医療構想調整会議での再検討要請」が出され、本市では、NHO宇都宮病院とJCHOうつのみや病院がその対象として公表されたところであります。
本市におきましては、済生会宇都宮病院、NHO栃木医療センター、NHO宇都宮病院、JCHOうつのみや病院からなる4つの公的医療機関が、本市の二次救急医療における輪番制病院や、地域包括ケアシステムなどにおいて、地域の基幹的な病院として地域医療をけん引しており、民間医療機関、医師会、行政等の連携・協力のもと、現在の地域医療体制が構築されてきたものと認識しております。
このように、2つの医療機関は、本市の地域医療体制において大変重要な役割を果たしており、引き続き、市民のニーズに的確に応え、良質かつ適切な医療・介護を提供していくためには、公的医療機関として存続していくことが不可欠であると考えておりますことから、今後、本市が参画している「宇都宮医療圏 地域医療構想調整会議」において、本市の考えを提示してまいります。
今後とも、市民の皆様が地域で安心して暮らせるよう、医療・介護の連携による地域医療体制の更なる充実に努めてまいります。
5.ひきこもり支援について
様々な要因の結果として、社会的参加を回避し原則的には6か月以上にわたって概ね家庭に留まり続けている状態を指す現象概念を「ひきこもり」としています。近年マスコミでも大きく取り上げられ平成27年内閣府調査では15歳~39歳で54.1万人、平成30年内閣府調査では40歳~64歳で61.3万人と推計されています。栃木県では15歳~39歳までが8100人余、40歳~64歳までが9600人余と推計されています。本市では15歳~39歳までが推計2200人余、40歳~64歳までが推計2600人余ということであります。このうち40歳以降にひきこもってしまった数としては約1500人といわれています。
実際に支援に繋がっているケースは栃木県子ども若者・ひきこもり総合相談センター「ポラリスとちぎ」で70人余、宇都宮市青少年自立支援センター「ふらっぷ」では40人弱であり、ほとんどが相談支援にも繋がっていないという状況です。
ひきこもりの方は地域でも珍しくなくなっており、周りをみわたせば必ず一人二人思い当たる方がいる状況です。現在親が働いている家庭、両親が年金暮らしである家庭など個々に状況は違いますが、親はいつまでも生きてはいないわけで、何とか自立した生活をするための支援をしていくことが今非常に重要になっています。親亡き後の困窮などを考えると、できるだけ早く社会参加できるように支援の手が必要です。
現在本市では「ふらっぷ」において39歳以下の方の支援を実施することになっています。それでは40歳以上64歳までの当事者にはどこがかかわることになっているのでしょうか?
地域で一番「ひきこもり」の発見をしやすいのが地域包括支援センターの職員であり支援にはいっているヘルパーさんたちであると思います。
地域包括支援センターでは家族からお話しを伺って必要であれば保健所の保健師さんにつないだりすることも多いと聞きました。地域の身近な相談窓口である地域包括支援センターの機能を強化し、もちろん担当職員も増やす必要がありますが、高齢者だけでなく「何でも相談窓口」としての働きをしていくべきだと思います。山口県宇部市では全世代型相談体制を敷きアンテナを高くかかげ、断らない相談窓口として地域包括支援センターが機能しておりました。
こうして発見された場合は支援につながりますが、両親が働いていたり、親が誰にも相談しようとしなければ周りが気づかない場合も多くあります。
今や「認知症」はほとんどの人が知っており病気であることが認知されるようになりましたが、以前は家族だけで抱え込んでいたこともありました。「ひきこもり」についても病気が隠れていることもあるわけで社会の中で何とか支えていく必要があります。「ふらっぷ」の存在や、「ポラリスとちぎ」のことを知らせていくことが、まずは第一歩でありひきこもりについての学習会などを多く開いていくことがひきこもりで悩む家族支援につながるのではないかと考えます。
ひきこもり支援は一人ひとり状況が違うために息の長い個別の支援が重要です。いかに継続してかかわっていけるか、人との関係が結べなくて成長してしまった場合は、当事者といかにして心を開いた関係が結べるかが重要になっています。愛知県東海市では平成19年からこのひきこもり支援に取り組み、平成21年から東海市社会福祉協議会に運営を委託し「ひきこもり支援センターほっとプラザ」を開設しました。ここでは相談事業と居場所事業を中心に支援を行っています。来所者が安心して思い思いに過ごせる場所としてのフリースペースです。部屋から社会に出る前の一つ手前の場所として位置づけていました。「義務教育の不登校者をひきこもりにしない支援」に力を入れていること、発達障害を抱える若者に対して自己肯定感をもてるような支援をしていることなど学ぶべき点が多くありました。
本市の「ふらっぷ」の職員体制にも、臨床心理士や精神保健福祉士などの専門職が是非とも必要と思います。ひきこもりの当事者には発達障害や何らかの精神疾患、社会にでてから仕事上でつまづき、その挫折体験から立ち直れない方などさまざまな課題を持ち「人」との関係がうまく作れない場合が多くあります。臨床心理士によるカウンセリングを定期的に実施することなども「ふらっぷ」の事業内容につけ加えるべきだと思います。また市民の中にこうした相談窓口があることをもっと周知していくことが重要だと思います。
当事者は、少なくとも家族とは接しているわけで、その家族をサポートしていくことがとても大事になります。東海市では毎月家族会を持って悩みを共有し、家族関係のあり方等について意見交換したり専門家を招いての講義やアドバイスをいただいたりしているとのことでした。本市としても39歳という年齢で区切ることでなく切れ目のない支援がどうしても必要です。担当部局を明らかにすることと同時にひきこもり当事者が社会参加できるように息の長い支援を求めますが市長の考えをお聞きします。
緒方保健福祉部長
「ひきこもり支援について」でありますが、ひきこもりにつきましては、当事者が自ら相談機関に出向くことが難しく、家族も家庭内の問題を表に出したくないとの思いから相談することに抵抗を感じることで問題が長期化することや、要因が病気や貧困など複雑・複合化していることから、ひきこもりへの対応につきましては、本人や家族が問題を抱え込まないよう早期に相談へ結びつけるとともに、年代による特性や要因等に応じ、切れ目なく適切に支援を行うことが重要であると認識しております。
このような中、本市におきましては、医療・介護・福祉・まちづくりの各部門の窓口において、本人や家族からの相談を機にひきこもりの問題を把握した場合は、速やかに、必要な専門機関等への支援に結び付けているところであります。
各年代の特性に応じた相談・支援体制といたしまして、青少年期の相談につきましては、ひきこもりやニートなど自立に困難を抱えている青少年や家族を対象に青少年自立支援センター「ふらっぷ」において、個々の状況に応じて相談内容などを詳細に聞き取ったうえで、関係機関の臨床心理士などの専門職と連携することなどにより必要な支援に結びつけるとともに、就学や就労などの意欲がある方に対しましては、まずは「社会参加体験」として封入作業や図書整理などを行う体験活動を実施しているところであります。また、「ふらっぷ」において40歳以上のひきこもりの方やその家族から相談があった場合にも、丁寧にお話をうかがい、状況に応じて、保健福祉分野などと連携して適切な支援につないでいるところであります。
中高年期のひきこもりにおきましては、失業や生活困窮、病気や親の介護等、複数の問題を抱えていることが多く見られますことから、経済的困窮の問題につきましては、就労支援や生活支援などの相談機関が、健康問題につきましては、保健師による保険指導など、各機関等が連携・協力し、それぞれの専門性を発揮しながら適切に対応しているところであります。
今後につきましては、年齢を問わず、ひきこもりを抱えている方を確実に相談へ結びつけ、必要な支援につなげられるよう、まずは、相談窓口や支援機関などの情報が必要な方に届くよう、様々な媒体をとおし広く周知を図るとともに、地域における民生委員等を通じ声かけや見守り活動により潜在化しているケースを把握した場合には、各支援機関によるケース会議におきまして支援内容や役割分担を決定するなど、より一層の連携を図ってまいります。
引き続き、ひきこもりの把握から自立や社会参加にいたるまで、ひきこもりの方とその家族に寄り添いながら、継続的な支援に取り組んでまいります。
6.一条中学校跡地の土地利用について
先日の議員説明会では、「土地利用の方向性として、子どもから高齢者まで誰もが利用しやすい空間の創出を目指し、周辺に不足する都市機能の誘導や地域住民の生活利便性・快適性の向上を始め、世代間の交流、地域社会のつながりの強化などにより、多世代が居住する持続可能な活力ある地域の形成を促進するとともに、本市中心部に近接する立地を生かし、街なかを訪れるきっかけとなるような施設の導入を図るなど、中心市街地活性化の一翼を担う土地利用を図ることとした。」とありました。コンセプトとしては「多世代が集い、つながる、街のオアシス」ということです。事業手法としては「事業用借地権」による貸し付けを基本とするということでした。この跡地利用については総合計画に基づき庁内での検討を重ねて来たということでした。かけがえのない大切な市民の財産です。是非市民の意見を聞く場を設けるべきだと思いますが市長の考えをお聞きします。
私は、この場所に文化のかおる町にふさわしい公設の街角ギャラリーや、魅力ある若者の居場所、平和都市宣言を掲げている本市として宇都宮空襲などを伝える平和記念スペースを是非造ってほしいと考えています。これらの提案について市長の見解を求めます。
鈴木総合政策部長
「一条中学校跡地の土地利用について」のご質問にお答えいたします。
一条中学校跡地につきましては、「公共施設等総合管理計画」基づく公共施設の再編、集約等についての検討の中で、団体倉庫としての暫定的な利用のみと整理したところであり、当分の間、民間活力の活用により、本市のまちづくりに資する効果的な土地利用を行うことし、今般、方針を改定したところであります。
議員ご質問の「市民の意見を聞く場を設けることについて」でありますが、一条中跡地の土地利用に当たりましては、本年11月から、周辺地域や商工関係団体の皆様に対しまして、土地利用方針に関する説明会を開催しているところであります。
今後とも、事業の節目におきまして、地域の皆様などのご意見を伺う機会を設け、市民が日常的に集い、交流し、快適に日々を過ごすことのできる質の高い空間を創出してまいります。
次に、公設の街角ギャラリー、若者の居場所、平和記念スペースの設置について」でありますが、公設の街角ギャラリーと「若者の居場所」につきましては、当該地において、公設による整備の予定はありませんが、今後、土地利用方針のコンセプトに基づく民間事業者からの提案の中で、議員ご案内の機能などが盛り込まれてくる可能性はあるものと考えております。また、「平和記念スペース」につきましては、本市では、「宇都宮市平和都市宣言」に基づき、市民の平和意識の醸成に向けた「宇都宮市平和のつどい」を始め、宇都宮空襲を後世に伝える取組として、小学校に出向いて行う「語り継ぎ事業」や、宇都宮城址公園清明館等における「うつのみやの戦災展」などを実施しており、今後とも、こうした様々な場を通して、市民一人ひとりの平和意識の高揚を図ってまいります。
再質問・再答弁
天谷議員
御答弁ありがとうございました。
最初に再質問をさせていただきますが、姿川上流に調節池をつくるというお話がありました。これは県議会のほうの答弁でもあったんですが、既にその場所とかについてははっきりしているのでしょうか。
若狭建設部長
姿川上流の県が施行する事業でありまして、私どもで聞いている話では、まだその場所とか、そういうものについては決まっていないということで伺っております。
天谷議員
県の県議会での答弁では、豆田川との合流部近くにつくりたいというお話を建設部長さんが答弁されているのを伺いましたので、そうなのかなと思っていますが、今後、とにかくこういう調節池も含めてですね、急いでいただきたい。でないと、来年、また大雨がね、降った時に本当に大変になるかなと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それから、次に、認知症ケア体制の問題なんですが、先ほど初期集中支援チームということで、事例がですね、非常に少ない中で、症例を発表するようなお話がございましたけれども、なかなかね、やっぱり初期にいかにして取り組んでいくかということが大事なのかなって。まだサービスに繋がっていない段階での初期集中支援チームなのかなっていう、私は捉えていましたので、もっとね、せっかくできたチームが活躍する場があるのではないかと思っていましたが、そのあたりはいかがでしょうか。
緒方保健福祉部長
確かになかなか処遇が難しい、例えばサービスを受けたくないというようなケースにつきましては、医者をはじめとする、さまざまな専門家がかかわるということが解決に向けて重要でありますが、地域におきましては、地域包括支援センターがこのような認知症の方の支援につきましては、さまざまな職種と連携をして対応をしております。
先ほど答弁で申し上げました、地域ケア個別会議の中でですね、さまざまな対応を検討しておりまして、その段階でほぼさまざまなケースが解決に向かっているということで、そこでもなかなか対応が難しい場合に、医療・介護連携ステーションである病院等にもですね、参加いただいて、医療的な面からもですね、解決の方策を探るということなどが現在の時点ではこのようなケースの状態になっているのかなというふうに考えてございます。
天谷議員
それから、ひきこもり支援についてはですね、非常に難しい問題だということで、今、部長さんからもお話がありました。
で、私が聞いたのは、じゃあ、どこが担当するのかと、40歳以上64歳までの当事者にはどこがかかわることになるのか。それはみんなでかかわりますよっておっしゃったんですけど、それは、やはりお互い――お互いって、窓口の市役所の皆さんはね、本当に優しく接してくださるとは思うんですけれども、やっぱり担当課がきちんと決まってないということは、非常に問題なのではないかと私は思うんですが、その辺いかがでしょうか。
緒方保健福祉部長
40歳を超えてひきこもりというケースに関しましては、失業等々の複雑な要因でそんな状況になっているということでございます。そうしますと、精神病の原因でそういう状況になっている方、失業でなっている方、それぞれの窓口がまず第一番目に接触を始め、その中で、ひきこもりで対人関係等でですね、何か改善の問題があれば、医療的なものがかかわってくるということで、そのケースケースの原因、要因になっているものに関して、市の各窓口がですね、機関がかかわっていくという体制で当市では今、対応しておりまして、この対応をしながらですね、その結果につきまして分析してですね、何らかの対応が必要であれば、検討していきたいというふうに考えております。
天谷議員
ありがとうございました。
私としては、やはり専門に、ひきこもりについては、確かに何十年もひきこもっている方がいらっしゃるということで、非常に対応についても、年齢で区切るのは難しいかなと思いますので、ぜひね、庁内にそういう対応をできる場所を作っていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。