2019年10月1日




福田くみ子議員の討論






 日本共産党を代表して陳情第10号の不採択に反対する討論を行います。


 この陳情は(仮称)大谷スマートインターチェンジの計画中止と建設場所の決定根拠を明確にすることを求めております。

 採択すべきと考える理由の第1は、この計画が地元の住民のみなさんの合意が得られていない点です。繰り返し提出される計画中止を求める陳情と、1000筆を超える反対署名は、理解を得られていない何よりもの証です。

 第2に現計画の通行量1日5000台という試算の信頼性の問題です。市はこの試算根拠を国が定めた将来交通需要推計手法にもとづく試算と答弁されていますが、根拠書類も推計手法も公開されておりません。H27年度、国土交通省の交通量調査のIC出入り台数によれば鹿沼インターチェンジが一日当たり5725台、宇都宮インターチェンジは2405台です。また、陳情にもあるように「関東地域における将来人口、自動車走行台キロ、保有台数」は、2020年よりも20年後の2040年には、1割程度減少するとしています。誰が見ても大谷に近いからと言って、5000台はありえないと考えます。

 第3に大谷スマートインターチェンジ計画と大谷街道の整備計画及びLRT計画との整合性が認められない点です。仮に5000台の車が出入りした時、大谷街道はさらなる渋滞が予想されます。大谷街道の拡幅計画は自転車道のみですが、市は主要な交差点の右折車線やバス停車帯の設置などで解決できるとしています。車道の車線増はありません。

 また、LRTの大谷パーキングまでの延伸についても、「まだ決定していない」ことを理由に考慮に入れていないとのことです。もっともらしい理由ではありますが、巨額の税金を投入する基本的インフラの整備であるにも拘らず、中途半端で杜撰な計画との批判は免れません。

 第4に大谷パーキング出口論にその優位性があると考えるからです。コストの面では、現計画が53億円なのに対し大谷パーキングルートならば41億円と12億円も削減できます。地域のみなさんが最も懸念している生活環境と交通安全面への影響でも、大谷パーキングからのルートはベターと言えます。所要時間の短縮についてもその距離は、僅か1.8キロメートル弱、車では3分もかかりません。12億円の削減効果と、生活環境と交通安全環境の悪化が回避できることを差し引けば、大谷パーキング出口ルートの優位性は明らかではないでしょうか。

 さて、宇都宮市自治基本条例がH20年に制定されました。ここでは、宇都宮市のまちづくりの基本的なルールが示されています。市民が自らの責任や判断に基づき市政に参画する「住民自治」、市政運営が自主的かつ自立的になされるものであるとする「団体自治」、さらには市民が自治を行う上での課題やニーズを把握し、解決してより良い自治を推進することという「公共的活動の推進」が謳われ、市民はまちづくりの主役であることを明記しています。まさに宇都宮市の憲法と言える条例です。

 第4条2項では市民は市政に参画する権利を有する。第3章の市政運営の基本原則では、市民意思の尊重が第1番目に掲げられ、計画的な市政運営、効率性有効性の確保、透明性の確保などが謳われております。

 佐藤市長のもとで、この条例にのっとった市政運営が真摯に行われてきたのか大変疑問に感じています。例えば、LRT建設事業の進め方です。住民の直接請求、議員提案によって3度もの住民投票が提案されたものの、踏みにじられてきたことは大変残念です。市民合意の確認についてLRTがこの宇都宮に最もふさわしい基幹交通なのか市民のみなさんへの直接的な問いかけを避け続け、一方で執行機関の決定のみを「丁寧に説明をし理解を求める」ことにすり替える欺瞞は、決して通用するものではありません。

 そして、議会の意思のみを市民の意思とする、時代遅れで住民自治を矮小化した考え方で押し切ってきました。LRT建設が着工されてもなお、夢のLRTフラッグがづらりと並んだオリオン通りでのシール投票では、いまだに反対が60%を超えています。そして、用地取得も難航が予測されます。こうした市民の声に耳を傾けない市政運営の在りようが、この大谷スマートインターチェンジ建設でも同様に行われていることを指摘します。

 今年4月の市議選挙の投票率は、40%と過去最低を更新してしまったことに、市政に関わるものとして、大変大きな懸念を持っています。市民のみなさんの市政参画の意欲の低下は、これからのまちづくりに重大なリスクと言えます。LRTやスマートインターチェンジ建設事業などに象徴される「市民の声に耳を傾けない」市政運営に、その責任の一端はあると指摘したいと思います。

 宝の持ち腐れになっている宇都宮市自治基本条例にのっとった市政運営を求め、陳情第10号の不採択に反対する討論を終わります。





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