2019年9月10日
原ちづる議員の一般質問(再質問再答弁は準備中です)
日本共産党の原ちづるです。初質問にあたり市民の皆さんからの要望や小さな声もしっかりと取り上げて、市長と市政にお届けしたいと思います。明快な答弁をおねがいいたします。
1.平和行政について
(1)平和親善大使広島派遣事業について
栃木県内でこの派遣事業を行っているのは11市町ありますが宇都宮市は市内全中学校から各1名ずつ、他市は少なくとも各校2名以上、多いところは6名も派遣しています。これをみても、人口・財政規模からみても宇都宮市の派遣人数は少ないのではないでしょうか。宇都宮市は派遣事業を2000年にスタートさせ、来年はちょうど20年目の節目になります。ぜひ各校複数名に増やしより多くの生徒に人生の貴重な体験の機会をつくることを考えるべきです。更に私は、半数は長崎への派遣を検討すべきと考えますがいかがででしょうか。これまでに広島に参加した子供たちの感想に私も心をうたれました。何にも代えがたい経験をしてきているのがわかります。県都宇都宮市が更なる一歩を踏み出し、子供たちが広島・長崎2つの被爆地の実相を学び市民への伝達者になることによって平和都市宣言のまち・うつのみやの次代を担う人材が確実に育っていくのではないでしょうか。20周年を機にもう一つの被災地長崎へも平和親善大使を派遣することについての市長の答弁をもとめます。
(2)平和月間の取り組みについて
語り部事業は今も継続されているのかお伺いします。年間どのくらいの件数が行われているのでしょうか。私の長男は中2ですが今のところまだ体験していないと聞きました。中学に在籍している間に一度はどの子も聞ける環境を整えるべきではないでしょうか。語り部の方が少なくなりつつある今、後に続く語り部育成も含めて力を入れていただきたいと思いますが、見解をお聞かせください。
続いてパネル展についてです。見る人誰もに強いインパクトをあたえる原爆のパネル。市民の方からは、いつも行くショッピングモールや道の駅、各市民センターでやっていたらいいのにというご意見も頂きました。特に子供たちに伝えていくためには、学校単位での展示も有効と思われます。必要とするパネルを本市で購入し、様々なところに貸し出すことができれば可能な取り組みと考えますがいかがでしょうか。
また図書館での平和月間の取り組みについてですが、中央図書館と南図書館にお伺いしました。宇都宮市の空襲に焦点を当てたり、栃木ゆかりの人物をキーワードに新しい切り口から戦争を考えたり、それぞれの視点からの展示や図書の紹介があり、素晴らしいと感じました。これを各市民センター図書室まで広げて欲しいと思います。以上3点について答弁をおねがいします。
(3)平和都市宣言の広報塔の国体アピールへのすりかえについて
本市には平和都市宣言宇都宮の広報塔が4か所ありました。その内2か所が栃木国体の広報塔に変わりました。平和月間中に平和都市宣言PRから国体PRに変えられてしまったのは、市長いったいどういう事でしょうか。あまりにも安易すぎる対応とのそしりは免れません。そこでこの様な事態が、どのような意思決定のもとで行われたのか、平和都市宣言うつのみやの広報塔の新たな設置を含め、今後どの様な対応を行うのか、答弁をお願いします。
佐藤市長
原議員のご質問に、順次お答えいたします。
「平和行政について」のうち、「平和親善大使広島派遣事業について」でありますが、本市におきましては、若い世代に広島の原爆被害の実態と戦争の悲惨さを認識し、平和の大切さを理解してもらうため、市立の全中学校から推薦された代表25名を平和親善大使として派遣し、平和記念式典へ出席するとともに広島平和記念資料館で核兵器の恐ろしさについて学び、派遣後は、それぞれの学校の文化祭等で生徒が実際に体験し感じたことについて発表しております。
このような取組を通して、平和の尊さを他の生徒に伝える役割を大使には担っていただいていることから、今後も、各校1名の代表を大使として派遣していきたいと考えております。
また、「長崎への派遣」につきましては、式典会場や宿泊施設の受入人数の関係などから現在の親善大使と同様の体験をすることが難しいため、広島へ派遣することが効果的な手法であると考えております。
笹原市民まちづくり部長
「平和行政について」のうち、まず、「平和月間の取り組みについて」のご質問にお答えします。
本市におきましては、市民の平和意識の醸成に向け、「宇都宮市平和のつどい」を開催するとともに、原爆被害者の体験や宇都宮空襲を後世に伝える「平和語り部・語り継ぎ事業」などの啓発に取り組んでいるところであります。
このうち、「平和語り部事業」につきましては、被爆体験者が講師として中学校へ出向き、原爆被害の実態と戦争の悲惨さなどを伝えているところであり、平成30年度は2校の中学校で実施いたしました。
現在、語り部の高齢化などにより講師をしていただける方が少なく、中学生が在籍中に被爆者本人の講演を聴く機会を設けることは難しい状況でありますが、すでに、被爆体験者の講演の様子を映像として記録に残しており、それらの映像資料のほか、手記などを活用することにより、被爆者の体験談や思いを次世代に継承していけるように、今後とも取り組んでまいります。
なお、本市で所有している原爆のパネルにつきましては、平和月間中に本庁舎市民ホールでのパネル展示を実施しているほか、中学校における平和教育での活用や希望する団体等への貸し出しを行っているところであります。
また、各図書館では、毎年平和月間に合わせ、平和資料コーナーの設置や、平和資料の一覧表の配布に取り組んでいるところです。
「各地区市民センター内にある図書室への取り組みの拡大」につきましては、スペースの確保や資料の収集などの課題もありますことから、今後検討してまいります。
次に、「平和都市宣言の広報塔の団体アピールへの変更について」でありますが、本市におきましては、平成8年に「宇都宮市平和都市宣言」を行い、市民の平和意識の醸成に向けた啓発に取り組んでおり、市内にある既存の広報塔につきましても、活用してきたところです。
このうち、「鹿沼インター通り」と「平成通り」にある2カ所の広報塔につきましては、昭和55年の「栃の葉国体」を周知するために設置されたものであり、令和4年に本県で開催される「国民体育大会」と「全国障害者スポーツ大会」に向けて、市民の認知度の向上と開催機運の醸成を図ることが重要となっておりますことから、行政をはじめ、関係機関・団体等で構成する「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会 宇都宮市実行委員会」が「広報基本計画」等を策定し、本年7月の国における栃木国体開催の正式決定に合わせ、リニューアルしたところであります。
大会終了後は、変更前の状態に戻すことを予定しておりますが、市民の平和意識の醸成に向けた周知・啓発は継続的な取組が必要でありますことから、新たに、オリオンスクエア大型映像装置を活用した周知を開始したところであります。
今後も、引き続き、あらゆる機会をとらえ市民一人ひとりの平和意識の高揚を図り、平和事業の推進に努めてまいります。
2.福祉行政について
(1)生活保護行政について
生活保護は、働いているかどうかにかかわりなく、生活に困ったときに国民の誰もが憲法25条や生活保護法に基づいて、権利として生活の保障を請求できる制度です。私は議員となりました直後から、市民の皆さんからの暮らしにかかわる切羽詰まった相談が次々と寄せられ、市民の生きるための最後の砦と言うべき本市の生活保護のありようを垣間見る思いです。最後のセーフティーネットとして、市民は必死の思いで相談や申請に緊張して臨んでいます。ところがその相談室は一言でいえばテレビドラマに見る警察の取調室です。佐藤市長、この相談室に憲法と生活保護法の理念や市民への思いやりはありますか。せめて机上に花1輪か壁掛けを高齢者や病気の方に少しでも負担の軽くなる椅子に改善できませんか。答弁をお願い致します。
次に申請権について伺います。連日、生活福祉課の窓口には多くの市民が相談にきています。申請権について厚労省は、「保護の相談にあたっては相談者の申請権を侵害しないことはもとより、疑われるような行為も厳に慎むこと」としており、保護申請の意思が確認された人に対しては速やかに申請書を交付すること、保護に該当しないことが明らかな場合でも申請の意思が表明された際には申請書を交付することとしています。そこで本市において、申請時に必要な書類と、申請受理後に生保適用を判断するための必要な書類を混同して対応し、結果として申請権の侵害が起きていないのか、答弁をお願いします。
(2)熱中症対策について
命にかかわる暑さの下で、全国で熱中症のため亡くなった方の大半がエアコンのない世帯だったとのことです。そこで、日本共産党宇都宮市議員団の緊急対策申し入れの中で、生活保護世帯のエアコン設置状況の把握を求めましたが、その結果について伺います。
次に私の知人は、社協が窓口の生活福祉資金福祉費のその他の日常生活上一時的に必要な経費によりエアコンを購入することができ、この夏事なきを得ました。返済期間は3年、1ヶ月2500円の返済はキツイが、命には代えられないと語っていました。そこで伺います。この貸付金制度について、低所得者に広く周知することが必要と考えますが、答弁をお願いします。
そして全国の自治体の中で広がりつつあるエアコン設置補助についてです。半額支援でも、1千万の予算で約300の生活保護世帯、低所得世帯の猛暑日支援となります。所得の格差による命の格差は、あってはならないと思います。答弁を求めます。
(3)補聴器購入支援について
国立研究機関の調査では65歳以上の半数が難聴であるという推計があります。難聴の方からは「人の言っていることがわからないために誤解を生じる。」「会合や講演会などはつい控えてしまう。」「電話が苦痛。」といった声があがっています。難聴の問題は、今日、いっそう深刻な高齢者の社会参加のバリアとなっています。また難聴は高齢者のひきこもりの要因の一つであり、認知症のリスク要因であるとの重要な指摘もされています。
この問題解決のアイテムが補聴器ですが、ここにも大きな壁が立ちはだかります。補聴器は3万円位から30万円以上のものもあり、平均でも15万円程と価格が高いことです。難聴の高齢者からは、「高額であきらめた。」「購入後の調整にもお金がかかり、使うのをやめた。」という声が沢山聞こえ、現在難聴者の14.4%しか補聴器をつけていないといわれています。
本市では「住み慣れた地域で、健康で生きがいを持ち安心して自立した生活を送ることができる、笑顔あふれる長寿社会の実現」を掲げており、補聴器の交付もすでに行われています。しかし所得税額によって自己負担金が生じるケースや、機種が限定されているなどの点が足を引っ張っており、利用者は平成28年度12件、29年度16件、30年度19件と大変少ないのが現状です。
また、補聴器を使いこなすにはリハビリ期間が3か月ほど必要と言われており、適切なアドバイスを受けながら調整を繰り返すことも重要です。
この点で今の補聴器交付の制度は見直しが必要と考えます。補聴器の機種の拡大等、高齢者の難聴支援策の充実について、答弁をもとめます。
緒方保健福祉部長
「福祉行政について」のご質問にお答えいたします。
まず、「生活保護行政について」でありますが、「相談室の改善」につきましては、生活保護の相談におきまして、相談者のプライバシー保護の観点から、窓口のローカウンターにパーテーションを設けるとともに、相談内容が複雑かつ多岐にわたる場合には、個別に仕切られた6部屋ある相談室で面接を行うことに加え、相談者に寄り添った丁寧な対応に努めているところであります。
引き続き、生活保護の相談者が安心して相談出来るよう、相談環境の整備を進めるとともに、職員の相談対応力の向上に努めてまいります。
次に、「生活保護申請時における申請権」につきましては、生活保護の事務におきまして、厚生労働省が定める、「保護の実施要領」に基づき、生活保護の相談があった場合には、現在の生活状況などについて伺うとともに、生活保護制度の仕組みについて十分な説明を行い、その上で申請意思を示された方につきましては、保護申請書を交付し、提出をいただいているところであります。
議員ご指摘の、保護の決定を判断するための必要な書類の提出につきましては、申請時において、必ずしも提出を求めておらず、必要な書類が揃い次第、速やかな提出を依頼しているところであります。
また、申請者の事情や状況から必要となる資料の提出が困難と認められる場合には、法令等に基づく調査により確認を行っておりますことから、本市におきましては、申請権の侵害をするような対応は行っておりません。
今後とも、生活に困窮された方に対し、生活保護を迅速、かつ適切に実施してまいります。
次に、「熱中症対策について」でありますが、「生活保護世帯のエアコン設置状況」につきましては、8月末現在、居宅で生活保護を受けている5,805世帯のうち5,311世帯でエアコンが設置されております。
エアコン未設置の生活保護世帯につきましては、熱中症対策を適切にとっていただくため、7月の訪問調査時に、熱中症対策に関するリーフレットを配布し、注意喚起を行うとともに、体調が優れないときは、医療機関を受診するよう助言しております。
次に、「生活福祉資金貸付制度の低所得者への周知」につきましては、この貸付制度は宇都宮市社会福祉協議会が運用する制度であり、熱中症への対応として、器具の購入などに活用できるものでありますことから、周知について、市社会福祉協議会と適切に実施してまいります。
次に、「エアコン設置補助」につきましては、生活保護受給者の場合には、一時扶助費により支給しておりますが、生活保護の開始時期などによりエアコン購入費の支給対象とならない生活保護世帯があることや、そうした世帯の一部から支給の要望がありますことから、国や県、市の生活保護担当者で構成する「生活保護担当指導職員ブロック会議」等におきまして、支給対象者の範囲等について引き続き、意見交換を行ってまいります。
また、低所得者のエアコン設置補助につきましては、市社会福祉協議会の貸付制度を案内してまいります。
次に、「補聴器購入支援について」でありますが、本市の「老人福祉補聴器交付事業」は、聴力の低下により、日常生活に支障をきたしている高齢者の生活の改善を図るため、「聴力障がい」に該当しない方で、専門医により必要性が診断された65歳以上の高齢者を対象とし、補聴器現物を交付するものであります。
補聴器の交付に当たりましては、国の指定を受けた機器を「認定補聴器専門店」において申請者に対し、適切な助言をしながら、本人の状態に応じた調整をした上で交付するとともに、その後の危機の不具合などにも一定対応していることろであり、日常生活において、必要な高齢者にご利用いただいております。
3.便利で使いやすい公共交通政策について
(1)雀宮地区内のバス路線について
私はこの間、針ヶ谷や兵庫塚などを中心に、地域のみなさんと本当にたくさん話をすることができました。地域の皆さんからまず出てくるのは、バスやデマンドタクシーを含めた「生活の足」についての話題でした。雀宮地区内のバス路線の拡充を望む声が大きくなっています。そこで1点目。雀宮駅を発着するさつき団地線は大体1時間に1本づつとなっていますが電車の発着時間なども考慮しつつ、本数を増やすこと、駅から駅までを短い時間で結ぶことができないでしょうか。また数年前にヨークタウンができたことにより車や人の流れが変わり、兵庫塚街道にバスを通してほしいという訴えも多くあがってきています。兵庫塚街道、ヨークタウン経由の新路線を検討することを求め答弁を求めます。
(2)デマンド交通の充実について
デマンドタクシーも雀宮地区では加入自治会が少なく、個人的に利用希望があっても乗れない今の制度の下では生活交通としての機能をはたせていません。実際市民からは、「免許証を返納してもデマンドタクシーがあるから問題ない」という声は全く聴かれず、逆に使いづらさを指摘されることばかりでした。自治会単位での加入には負担があり、更に個人(世帯)での登録料金、乗る時の利用料と三重の負担があり、「1度は試しに乗ってみたけどそれっきり。」という話をいくつもききました。まずは自治会単位での参加という部分を撤廃し、登録した人は誰でも利用できるという制度に転換してみてはいかがでしょうか。この部分を改善するだけで、格段に自由度が増し、「使える」公共交通に一歩近づきます。答弁をお願いします。
(3)東武江曽島駅エレベーター設置について
今や市民生活にとって、駅のバリアフリー化やユニバーサルデザインによるやさしさはぐくむ街づくりの推進は、握って離せません。それに加えネットワーク型コンパクトシティの地域中心拠点となっている、東武江曽島駅のエレベーター設置は、待ったなしの地域住民の願いであると、私は受け止めています。江曽島駅がこのまま推移し、ますます乗降客が減り、さびれた駅前になってしまうのか、それとも本市の新たなまちづくり方針に基づく積極的支援が行われ、駅利用客が増え商店も増え、駅前を中心ににぎわいが生まれる江曽島駅になるのかが問われていると思います。そこで、今後、佐藤市長の地元東武江曽島駅のエレベーター設置について、本市は予算も含め具体的にどのような支援を行うつもりですか、答弁をもとめます。
鈴木総合政策部長
「便利で使いやすい公共交通政策について」のご質問にお答えいたします。
まず、「雀宮地区内のバス路線について」でありますが、雀宮地区は、地区を南北に走る国道4号線のバス路線が充実しているところでありますが、JR雀宮駅と東武西川田駅間を結ぶ「さつき団地線」の駅への速達性の向上や、「兵庫塚海道」沿線の路線バス空白地域の解消などの課題があると認識しております。
そのため、平成29年10月に雀宮地区で開催いたしました「ネットワーク型コンパクトシティの形成に係る地区説明会」におきまして、「さつき団地線」の通勤・通学時間帯における駅への速達性を高める新たな運行ルートや、針ヶ谷町のヨークタウンから「兵庫塚街道」を経由してJR雀宮駅と東武西川田駅を結ぶバス路線の新設などを含め、雀宮地区全体の将来の公共交通イメージにつきましてお示ししたところであります。
その後、バス事業者の経営環境の変化などもあり、検討にやや遅れが生じているところでありますが、引き続き、このイメージの具体化に向け、バス事業者と検討を進めてまいります。
次に、「デマンド交通の充実について」でありますが、地域内交通につきましては、それぞれの地域におきまして、買い物や通院など、日常生活を支える最も身近な移動手段を確保するため、地域が主体的に取り組んでいただいているところであり、その導入にあたりましては、地域全体で「自分たちの交通を支える」という理念のもと、日常生活における結びつきが強い単位自治会ごとに、地域内交通の必要性や導入に伴う自治会の負担などにつきましてご理解いただいた上で、参加していただいている状況であります。
このような中、雀宮地区の参加自治会につきましては、運行を開始した平成25年の6自治会から、本年9月には14自治会に拡大するとともに、利用者数も、平成26年度の約1,900人から平成30年度には約3,700人にまで増加するなど、地域に最も身近な移動手段として、着実に広がりを見せているところであります。
議員ご提案の「自治会単位での参加という部分の撤廃」につきましては、持続可能な運営に必要な地域の主体的な取組が困難となるなどの課題がありますことから、現行の枠組みを維持してまいりたいと考えており、引き続き、雀宮地区における導入自治会の拡大に向けて、地域と行政が一体となって取り組んでまいります。
次に、「東武江曽島駅エレベーター設置について」でありますが、本市が目指す、鉄道やLRT、バス、地域内交通が効果的・効率的に連携した、階層性のある公共交通ネットワークの構築に向けましては、ネットワーク全体の充実とあわせて、駅のバリアフリー化など、交通結節機能の強化を図ることが重要であると考えております。
こうしたことから、本市におきましては、これまで、鉄道事業者が行うJR宇都宮駅や東武宇都宮駅へのエレベーターや多機能トイレの設置などに対しまして、国・県とともに支援を行ってきたところであり、また、ご質問の江曽島駅につきましては、県と連携しながら、駅のバリアフリー化について、鉄道事業者に対し、継続的に要望しているところであります。
今後とも、鉄道事業者に対し、県と連携して、江曽島駅のバリアフリー化を働きかけてまいります。
4.教育行政について
(1)給食の無償化と調理環境について
1点目に小中学校の給食についてですが、予算要望でわが会派が「学校給食は、教育の一環としてきちんと位置付け、実質無料化を目指すこと。格差社会の中で子どもの貧困が社会問題となっており、多子世帯への給食費の減免は急務であり、早急な対応を求める。」としたことに対し「食材費は保護者負担」「多子世帯減免は国の動向や他自治体の取り組みを注視」という答弁がありました。私も小・中3人の子どもがいますが、ママ友との間ではしばしば給食費のことが話題になります。毎月学校に支払うお金の中でも約三分の二が給食費となっています。なぜ教育の一環ととらえているのに、給食費は含まれないのというママたちの疑問があります。学校給食無償化について考え方をおうかがいします。
次に調理室についてです。私の調査によるとこの業務を請け負っている会社の、調理員の入れ替えがかなり激しいと聞いていますが現状をどうとらえていますか。劣悪な労働環境(エアコンがなく夏は40度以上の中での作業となること・慢性的に人員が少なく綱渡り状態であること・アレルギー対応などが増え、緊張状態での作業となること)等が理由ではないかという訴えが現場の方からありました。実際には大型扇風機等は強力な風が異物混入を引き起こしかねないと、使うことができないのが現場の状況だと訴えられました。そこで調理員の健康面、衛生面、ひいては安全な給食にも影響するエアコン設置についての対応は急ぐべきと考えます。そこで、調理室の現状のとらえ方、エアコンの設置について答弁をもとめます。
(2)中学校の制服について
LGBTに配慮した観点からも市内中学校の制服が切り替わってきていますが、まだまだ実用(例えば女子がスラックスを選ぶなど)は少ない現状であるときいています。申し出があれば積極的に対応するようにと、市から各学校に対して通達されているようですが、対応が十分とは言い難いのではないでしょうか。実際長男が中学校に入学するときの保護者説明会等では説明はされませんでした。現在LGBTに該当する子どもは13人に一人とも言われています。既に学校を卒業した数人の当事者に話を聞く機会がありましたが、外見で男女を分ける制服がとても苦痛だったと声を揃えていました。制服が原因で学校に行けなくなる子どもが一人でも少なくなるよう、市も積極的にかかわる必要があるのではないでしょうか。具体的なお考えをお持ちでしょうか、お尋ねします。
(3)更衣室について
宇都宮市の中学校で制服からジャージなどに着替えるための更衣室を設けているのは1校のみと聞きました。他の学校は教室が足りないなどの理由で更衣室がない又はなくなる方向であるのに、最新の学校にあえて更衣室を作ったのは必要なものとの認識があるからではないでしょうか。1時間目の体育で汗びっしょりになった体操服を1日中着続けるのは、衛生面や健康面からみても問題があると考えます。工夫をして更衣室を用意し、活用すべきと考えますが、市としてはこれを主導すべきではないでしょうか。子どもたちは、毎朝半そで・短パンの上に制服を着るという手段を用いて、更衣室がない状況を乗り切っているようですが、本市の方針をお聞きします。
(4)トイレの洋式化と多目的トイレの整備について
現在小中学校の校舎などのトイレを洋式化する工事が進んでいます。この工事は平成11年から始まって今年で約20年になりますが、2019年でやっと50%程度という進み具合です。完了までには更に多くの年月を費やす進捗状況です。「学校のトイレは使いづらい」とずっと我慢をする子供もいると聞いています。LRTよりもこういったところにしっかりと予算を付けてもっと早期に洋式化を完了させることはできないのでしょうか。答弁を求めます。また多目的トイレですが、どうしても必要な子ども(車いす利用等)が入学となるタイミングで設置していると聞いていますが、本来各学校にあるべき設備ではないでしょうか。多目的トイレは一般化しており、普段から子供たちに開放することがLGBTなどへの配慮につながると考えます。ついては、多目的トイレの標準整備に力を入れていくべきと思いますが答弁を求めます。
小堀教育長
「教育行政について」のうち、「給食の無償化と調理環境について」のご質問にお答えいたします。
まず、学校給食無償化についてでありますが、学校給食法に学校の設置者が負担すべきと規定されている給食の実施に必要な施設、設備の整備費や、人件費に加え、本市におきましては、光熱水費につきましても市の負担とし、子どもたちが食べる食材に係る費用のみを保護者の負担としているところであります。
このような中、本市の学校給食の実施にあたりましては、地元の食材や旬のものを取り入れ、栄養バランスの取れた質の高い給食が提供できておりますことから、現時点では、引き続き、食材費につきまして、保護者の方にご負担をいただきたいと考えております。
次に、調理室へのエアコン設置についてでありますが、給食室内の衛生管理や調理員の健康管理の観点から暑さ対策は重要であると考えております。
こうしたことから、本市におきましては、各学校の給食室内の休憩室にエアコンを設置し、調理員が涼をとれる場を確保しており、調理室におきましては、異物混入等に注意しながら、網戸を使用して外気を取り入れるほか、今年度、新たに設置しました大型扇風機につきましても、食品に直接風が当たらないよう、設置場所や風向きなどに配慮した上で使用するなど、暑さ対策を実施しているところであり、議員ご提案の調理室へのエアコン設置につきましては、調査研究してまいります。
次に、「中学校の制服について」でありますが、すべての児童生徒が自分らしさを発揮し、自信と意欲をもって学校生活を送れるようにするためには、LGBTなど、さまざまな状況に応じて、当事者である児童生徒や保護者の意向に寄り添った支援を行うとともに、差別や偏見を生まないよう周囲への理解を促進することが重要であると認識しております。
本市におきましては、平成27年度の文部科学省通知に基づき、児童生徒や保護者からの申し出に応じて、自らが認める性別の制服や衣服等の着用を認めるなど、適切な支援を行うよう全校に指導しているところであり、現在、制服の見直しを進めている中学校におきましては、新しいデザインをLGBTなどの視点から検討するとともに、生徒が選んだ制服によって偏見を持たれたりすることのないよう、保護者、生徒への周知の在り方についても検討を重ねているところであります。
また、LGBTの指導に係る教職員の研修を行い、人権教育を通して、生徒が多様な性の在り方について理解を深めることができるよう指導しているところであります。
今後とも、各学校が制服を見直す際には、LGBT等への適切な配慮がなされるよう指導の徹底を図るとともに、周囲への理解を促進することにより、すべての制度が安心して生活できる学校づくりに努めてまいります。
菊池教育次長
「教育行政について」のうち、「更衣室について」のご質問にお答えいたします。
生徒が学校内において着替える際には、人権上の配慮などから更衣室が必要であり、現在、本市におきましては、すべての中学校体育館内、また、7校の校舎内に更衣室を設置しております。
今後は、現在策定を進めている「学校施設の長寿命化計画」の中で、更衣室の整備について、検討することとしております。
次に、「トイレの洋式化と多目的トイレの整備について」でありますが、小中学校のトイレにつきましては、児童生徒が、より快適な学校生活を送ることができるよう平成24年度までに、全小中学校の校舎のすべてのトイレに1基の洋式便器を設置したほか、校舎の大規模な改修などの際に、トイレの洋式化に取り組んできたところであります。
平成28年度からは、校舎トイレの整備内容の見直しを行い、洋式化と臭気対策に特化し、整備ペースを上げて積極的に工事を行っているところであり、今年度におきましても、平成30年度の実施校数と同じ校数である18校の校舎トイレ改修工事を予定しており、今年度末の学校トイレ洋式化率は、約55パーセントとなる見込みであります。
今後とも、出来る限り早期の完了を目指し、国の補助制度を最大限活用しながら、学校トイレの洋式化に取り組んでまいります。
次に、「多目的トイレの整備」についてでありますが、学校施設におきましては、校舎の大規模な改修や新築の際の標準的な整備として、1箇所以上の多目的トイレを整備するとともに、身体に障がいのある児童生徒の入学時など、配慮すべき事情がある場合には、状況に応じて、個別の整備を行ってきており、現在、54校に設置しているところであります。
今後とも、児童生徒が、安心して学校生活を送ることができるよう、学校施設の大規模な改修や個別の状況に応じた対応などの際に、多目的トイレを整備することで、良好な教育環境の確保に努めてまいります。
5.子どもの家等事業の今後のあり方について
2021年度から新しい運営主体に切り替わることで現在様々な項目について検討がされていますが、それにかかわるいくつかについて伺います。
1点目に保護者負担金についてですが、現在各子どもの家ごとに設定され月額5500円~10000円と開きがあります。年間で見ると1年生で69000円~140000円と2倍以上の金額差があります。平均すると月約7800円、年94000円です。全市で統一することとなるとかなりの値上げになる子どもの家もあり保護者からは不安の声が上がっています。既に第7回子どもの家留守家庭事業に係るあり方検討委員会で公私負担割合、保護者負担金の案及び試算が示されていますが現時点でのその検討内容について伺います。
2点目に指導員の雇用についてですが、指導員からは働き続けられる賃金や退職金、資格や経験年数の反映など、雇用の安定化や処遇などに関する心配の声が聞かれます。また、時間をかけて築いた子どもたちとの信頼関係が人事異動によって損なわれるのではないかという声もベテランの指導員の方から多くあがり、実際に辞める意思を示している方もいると聞いています。指導員の雇用の安定と処遇改善、人事異動のあり方について、現時点での検討内容を伺います。
3点目に指導員の適正配置についてです。現在も子供の数に対して指導員の数は不足傾向と聞いていますが、指導員確保が優先され「学童保育所運営の『従うべき基準』の事実上の撤廃」の受け入れなどにはしることがあっては保育の質の低下は避けられず、子どもたちの安心・安全な放課後に、黄色信号が灯ります。昨年市長にこのお話をさせていただいた時には「宇都宮市では現在のレベルを守っていく」という答えをいただきました。そこでうかがいます。指導員の適正な配置人数について本市の放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例、第10条、1・2とのかかわりで本市はどのように対応するのかお聞かせください。
菊池教育次長
「子どもの家等事業の今後のあり方について」でありますが、まず、「保護者負担金」につきましては、現在、保護者負担金はサービス内容などに応じて、各子どもの家等が決定しているため、差が生じているところでありますが、法人への移行後におきましては、市内のすべての子どもの家等のサービス内容や保護者負担金を統一することとしております。
現在、その金額設定につきまして、公私負担割合の考え方も含め、多くの方々にご理解いただける適正な受益者負担となるよう、利用者や懇談会など関係者のご意見を伺いながら検討しているところであります。
次に、「指導員の雇用」についてでありますが、本市といたしましては、移行後におきまして、「指導員が安定した雇用のもと、やりがいをもちながら働ける処遇を確保すること」や、「信頼関係を築いた指導員による保育の継続を確保すること」は、大変重要であると認識しております。
このため、「指導員の雇用の安定」や「処遇改善」、「人事異動のあり方」につきましては、法人の権限において決定するものでありますが、本市といたしましては、指導員がやりがいを持ちながら働ける処遇や児童・保護者と指導員との信頼関係を確保することができるよう、それらを委託の要件に盛り込むことなどを検討することとしております。
次に、「指導員の適正配置」についてでありますが、現在、指導員の配置につきましては、厚生労働省令に「従うべき基準」として、1クラスに2人以上配置することとされているものであり、本市におきましては、同省令に従い、条例を制定し、配置基準を定めているところであります。
そのような中、関係法令の改正により、令和2年4月から同省令の配置基準が「参酌すべき基準」になるとされたところでありますが、放課後児童の健全育成を図るためには、保育の質を確保することが重要であると考えておりますことから、適切に対応してまいります。