2019年9月9日
福田くみ子議員の一般質問(再質問・再答弁は準備中です)
1.市長の政治姿勢について
(1) 自治体戦略2040構想の危うさと地方自治のあり方について
本市が採択されたスマートシティモデル事業はこの構想の先取りともいう事業で、国や自治体の行政サービスを包摂、つまり取り込んで私益追求の場をさらに広げ加速していく内容です。
総務省・自治体戦略2040構想研究会による「自治体戦略2040構想」の第一次・第二次報告が描く2040年の日本の姿の1つは、人口減少論と地方消滅論を前提に、AI等の活用で「従来の半分の職員」でも運営できるスマート自治体をつくる、2つ目は自治体をサービスブロバイダーから公・共・私が協力し合う場を設定するプラットホームビルダーに変えるなど「パラダイムの転換」、3つ目は「圏域マネージメントと二層制の柔軟化」つまり現在の市町村や都道府県ではなく、新たな圏域を標準化する、4つ目に東京圏域のプラットホーム化などを示しています。
この構想は「公共サービスの産業化」を基軸としており、具体的には指定管理者制度の導入、PPP、PFI、コンセッション方式の導入などの推進を謳っています。しかしこれらは、自治体行政やサービスの「市場化」を追求することに重点がおかれ、さまざまなリスクを伴っています。例えば、未成熟なAIやICT技術の推進は、基本的人権の基礎要件である個人情報の保護を保障することなく「経済成長」優先で推進されています。コミュニケーションを基本とする公務労働は、AIが最も不得意とする分野です。AIを過大視する政府に振り回されるのは、極めて危険と言えます。アウトソーシングによる新たな官製ワーキングプアの形成と公共サービスの質の低下などの懸念もぬぐえません。ましてや、少子高齢化の中で、介護や医療の今日的課題解決が置き去りにされたまま、こうした事業に莫大な財源が、無批判で投入されていくことに多くの専門家が警鐘を鳴らしています。
京都橘大学の岡田知弘教授は、「何よりも『住民自治』『主権者』としての住民の存在に対する根本的な視点が欠落している」と指摘しています。この報告に対し、全国市長会や市議会議長会など自治体関係者から、猛反発が出ているとのことです。
そこで、自治体戦略2040構想先取りのスマートシティモデル事業への参画はあまりにも拙速ではないかと考えますが、市長の見解を求めます。
佐藤市長
福田議員のご質問に、お答えいたします。
「市長の政治姿勢について」のうち、「自治体戦略2040構想と地方自治のあり方について」でありますが、本市におきましては、昨年3月に策定した「第6次宇都宮市総合計画」におきまして、市民の身近な暮らしの利便性向上や活力あるまちの形成を図るため、交通や環境、教育、福祉など、あらゆる分野にICTの活用を進める「ICTで暮らしもまちも元気プロジェクト」を位置づけ、具現化に向けた取組を推進しているところであります。
こうした中、国土交通省におきまして、都市全体のスマート化を目指し、まちづくりの様々な分野にAIやビッグデータなどを活用する「スマートシティモデル事業」の公募があり、この取組は、本市が進めている「ICTで暮らしているもまちも元気プロジェクト」の方向性に沿うものでありますことから、プロジェクトの加速化に、大変有効なものと捉え、大学、民間事業者と共同で提案を行ったところ、先行モデルプロジェクトに選定され、現在、官民連携による実証実験などの取り組みを進めているところであります。
一方、昨年7月に、総務省の研究会がとりまとめた「自治体戦略2040構想」は、人口減少社会におきましても、地方自治体が持続的に市民サービスを提供できるよう、行政の分野における、AIによる事務処理の自動化や、業務プロセスの標準化による自治体経営のスマート化などの提案が盛り込まれているものであり、本市が進める「スマートシティモデル事業」とは、対象や範囲が異なるものであります。
(2) LRT事業について
1点目に、地域連携ICカード導入にによる割引制度が、示されました。このLRTに関する割引分は、誰が負担するのか、収支予測に与える影響について市長の見解を伺います。
2点目にJR宇都宮駅西側整備の検討の進め方について伺います。第23回の芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会において、既存組織の「LRT駅交差部基盤整備部会」を「(仮称)交通結節点等基盤整備部会」に再編し、基盤整備にかかる技術的な検討を行うこと、まちづくり方針と整合したまちづくり施策の検討をする「(仮称)LRTまちづくり部会」を設置することが提起されました。委員の意見の中でも「LRTを整備するだけではなく、宇都宮中心部をこれからどのように作っていくかに等しいような課題」「短期的な話から、長期的にわたる課題まで、幅広い議論が必要。課題が非常に多い」と指摘しています。また、6月の県議会における一般質問では、自民党会派の元市議会議員のつぶら昭人県議が、西側計画についてBRTについても検討してはどうかとの趣旨の質問をされておりました。
LRTを推進する側のみなさんでも、駅西側ルートについては、本当にLRTで良いのかとの多くの疑問や懸念があり、一枚岩ではなく、まだまだ議論をする必要があると実感したところです。フランスやドイツでのLRT導入の先進事例の最大の教訓の一つが、丁寧な住民合意形成ではなかったでしょうか。
そこで、もっと根本的なところから幅広く検討を行うために地域住民、商店会、公募委員などを含めた検討体制を作り、何をどのようなルートで導入するのか提示し、最終的には住民投票等で、民意を確認すべきと考えますが、市長の見解を求めます。
若狭建設部長
「LRT事業について」のご質問にお答えします。
まず、「地域連携ICカード導入に伴うLRTとバスを乗り継いだ場合など、公共交通を乗継乗車した場合の運賃の割引」につきましては、利用者の運賃負担の軽減を図り、公共交通の利用促進に資するものでありますことから、地域独自サービスの1つとして導入してまいりたいと考えており、今後、乗継割引分の費用負担のあり方を含め、その制度設計につきましては、バス事業者や宇都宮ライトレール株式会社などの交通事業者とともに検討してまいります。
次に、「JR宇都宮駅西側のLRT整備における検討体制と民意の確認について」でありますが、駅西側につきましては、中心市街地の大通りへのLRT導入により、誰もが快適に移動できる交通環境が整備され、回遊性の向上やにぎわいの創出などが期待できますことから、まちづくりと一体的に検討を進めるため、沿線のまちづくりを担う関係者などとまちの将来像を共有しながら議論を行い、検討を進めていくことが重要であると認識しております。
このようなことから、「検討体制」につきましては、LRTに関する専門的な検討を行っている「芳賀・宇都宮基幹公共交通検討委員会」の専門部会として、LRTと一体となった沿線のまちづくりについて検討を行う「LRTまちづくり部会」と、LRTのルートなどについて技術的な検討を行う「交通結節点等基盤整備部会」を設置し、これらが両輪となって部会を構成する学識経験者や交通事業者、地元まちづくり関係団体などから幅広く、十分な議論をいただきながら、検討することとしたところであります。
また、「民意の確認」につきましては、LRT事業は、これまでと同様、市民への丁寧な説明や膝を交えた意見交換を行うとともに、議会と執行部の間で十分に議論をしながら進めてまいります。
(3) 生活交通の確保について
これまで本市は、宇都宮市生活交通確保プランに基づき、市内13地区で地域内交通を導入してきました。日本共産党では、この地域内交通について、地域外への運行や地域外の利用希望、登録料や自治会負担金など枠組みの見直しなどを求め、繰り返し質問してきました。昨年の6月議会では私の質問に対し「公共交通ネットワークの構築の状況を見ながら適宜検証していく。8月に開催予定の地域内交通連絡会議で協議」することを約束、さらに今年6月議会では天谷みえ子議員が、今後の発展方向について伺ったところ、この連絡会議において「まずは、利用促進や定着を図る。当面は、現行の枠組みを維持していく」との結論である旨の答弁でした。
しかし、個別の課題についてはそれぞれの運営組織で検討すべきですが、全市統一的な枠組みについての変更や再編を検討するのは、市が主導して進める課題と考えます。その上で、あらためて地域内交通は、もっと安く、誰もが利用できる便利な生活交通として枠組みを再検討すべきと考えますが市長の見解を求めます。
鈴木総合政策部長
「生活交通の確保について」のご質問にお答えいたします。
本市の地域内交通につきましては、鉄道やバスなどの既存公共交通を補完する日常生活を支える最も身近な移動手段であり、「自分たちの交通をつくり・まもり・育てる」という理念のもと、地域が主体となって、検討組織の立ち上げから、運行開始後の利用促進や運行改善などに取り組み、本市といたしましても、その地域の取組を積極的に支援しながら、構築してきたところであります。
こうしたことから、引き続き、地域の主体的な取組を支援しながら、より良い交通手段となるよう取り組んでまいりますとともに、地区外への運行や利用者の範囲、地域負担など、全市的に統一した運用が望ましい事項につきましては、地域内交通の運営組織の代表者で構成する「地域内交通連絡会議」におきまして、議論してまいります。
2.道路の除草対策について
7月末、普段から通勤で通る国道121号線(通称みずほの通り)の鬼怒川にかかる桑島大橋近辺の車道・歩道の両側の草が茶色に変色しているのを不審に思い、すぐに市の道路保全課に確認を求めたところ、県の宇都宮土木事務所が「試行的」に「抑草剤」を散布したとのことでした。さらに、日本共産党の野村せつ子県議に詳しい経緯について調査を依頼した結果、県が管理する宇都宮市内の県道や国道など14カ所で「試行的」に散布されたこと、使用薬剤は世界的には発がん性などが指摘され、使用中止が広がっているグリホサート液剤を主成分とする除草剤であることが判明しました。
グリホサート剤は、日本では 「普通物」として市販されているものの、国際がん研究機関(IARC)は、2,015年9月「おそらく発がん性がある」(グループ2A)に分類、現在は、WHO内における様々な科学的手法による検証の段階です。
この除草剤は、アメリカをはじめ世界各国で販売されていますが、フランスやオランダ、ロシア、デンマーク、スリランカではすでに使用や輸入が禁止され、ドイツやイタリアなど30か国以上が2~3年後には禁止することを表明しています。
これとは対照的に日本では2016年7月12日、内閣府食品安全委員会が「グリホサートには発がん性、遺伝毒性は認められなかった」との結論をだし、さらに昨年12月、厚労省は残留基準値を大幅に緩和しました。
県土木事務所では、今回の散布は「除草作業による渋滞や作業事故といった課題を解消するため試行的に行ったもの」としていますが、結論によっては、県内全域に使用されかねないこと、県内各市町村の使用にお墨付きを与えることになるなど影響は極めて大きいものと懸念しています。
そこで、市長は市民の健康と環境を守る立場から県に対して今後の除草剤の散布を中止するよう働きかけること、さらには本市管理下の道路では、除草剤の使用はすべきでないと考えますが市長の見解を伺います。
近年気候変動の影響で、雑草の繁茂はその勢いを増しているようにも感じます。しかし、道路の除草は、安全はもちろん環境衛生や景観上からも、回数を増やすなどの措置が必要と考えますが、市長の見解を伺います。
若狭建設部長
「道路の除草対策について」のご質問にお答えいたします。
まず、「県に対して今後の除草剤散布の中止を働きかけることについて」でありますが、栃木県の道路除草における除草剤の使用につきましては、農業取締法に、使用可能として登録のある除草剤を使用しているほか、散布にあたりましては、「農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令」を遵守し、除草剤の飛散防止に努めるとともに、散布場所につきましても、国が作成した「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」に基づき、中央分離帯と縁石の車両通行帯に限定するなど、人や環境に配慮した対応をとっていると伺っております。
このような国が認めた除草剤の取り扱いにつきましては、各施設管理者の判断によるものと考えております。
次に、「本市管理下道路での除草剤の使用について」でありますが、本市の道路除草につきましては、刈払い機等による機械除草や人力による除草を実施しており、業務委託によるものを基本に、職員により適宜行うものを組み合わせた作業体制により、適正な管理が確保されていることから、現在のところは、除草剤の使用を控えた管理を継続していきたいと考えております。
また、「道路除草の回数を増やすこと」につきましては、現在の除草回数は、交通量の多い主要な道路などにおいて、年に2回、その他の道路は、年1回を基本として、適正な時期に雑草の繁茂状況に応じた除草に加え、パトロールなどにより、通行に支障となる箇所等を発見した場合には、職員が適宜除草を実施することで、良好な道路空間を確保しております。今後につきましても、これまでと同様に、適正な道路の維持管理に努めてまいります。
3.福祉行政について
(1)本市独自の児童相談所の設置について
児童福祉法の改正により、中核市での児童相談所が設置できるようになり、日本共産党市議員団として、一般質問や予算要望でも繰り返し設置を求めてきました。あとを絶たない児童虐待事件に、今年6月19日の児童福祉法改正では、弁護士・医師・保健師の配置など児童相談所について体制強化が盛り込まれたものの、中核市や特別区への設置義務は見送られました。また、8月21日の新聞報道によれば、中核市市長会では、児童相談所の設置義務化について反対をする方針を決めたとのことですが、市長の見解を伺います。
中核市の児童相談所の設置については、単独の児童相談所となるため、人材確保、財源、人事異動による専門性の定着・情報の蓄積等様々な課題があるものと認識しています。本市が仮に児童相談所を設置しようとした場合最大の課題は何か、市長の見解を伺います。
合わせて県児童相談所および本市子ども家庭総合拠点の体制強化の保障について見解を伺います。
(2)子どもと子育て家庭に関する生活実態調査の結果と今後の取り組みについて
昨年行った大規模なこの調査から見えてきた課題と今後重点的かつ優先的にとりくむべき施策について見解を伺います。
先に質問された中塚議員も提案しておりました子ども食堂は、経済的貧困と関係性の貧困という2つの貧困の双方に働きかけることができる大変有効な取り組みだと考えます。貧困による食事難、弧食(一人ぼっちの食事)の問題は、親の就労状況や離婚状況など深く関連しているため根本的な解決はすぐにはできません。
子ども食堂の始まりは、東京都大田区の「気まぐれ八百屋だんだん」の店主近藤博子さんが2012年に作ったのが始まりとのこと。とにかく目の前でおなかをすかせた子ども、一人ぼっちでさみしい子どもに温かくおいしい食事を提供すると言うものだったそうです。ここから始まったとされる子ども食堂は、実は理にかなっていたことが、本市の調査でも裏付けられたと考えます。そこで、子ども食堂への本市の支援のあり方について市長の見解を伺います。
(3)「だれでも食堂」について
「だれでも食堂」は、その名のとおり、子どもやその家族だけでなく、年齢や立場を問わずだれでも利用できるコミュニケーションの場として広がりつつあります。八王子食堂ネットワークの「カフェこすもす」では毎月第4日曜日のお昼、大人300円子ども無料で定食を提供しています。
コミュ二ケーションや豊かな食体験ができる「だれでも食堂」は、子どもはもちろん、一人暮らしの若者やお年寄り、世代や年齢の垣根をこえて緩やかに人とつながれる場所となっています。孤立によっておこるさまざまな現代的な諸問題の入り口対策の一つとして、「だれでも食堂」は積極的に取り組む意義があると考えますが市長に見解を伺います。
塙子ども部長
「福祉行政について」のご質問にお答えいたします。
まず、「本市独自の児童相談所の設置について」でありますが、「中核市市長会における児童相談所設置の義務化に反対する方針」につきましては、中核市市長会におきましては、これまで、国に対しまして、各市の地域性等を踏まえ、丁寧な議論をした上で、児童相談所の設置を必要とする市への財政措置や人材の育成・確保に係る支援を充実するよう要請してきたところであります。
しかしながら、国から中核市との協議もなく、唐突に設置の義務化に向かう法案が示されたことに対して、本年3月に中核市市長会として反対の意見を表明し、また、8月に改めて義務化に反対する方針を確認し、国や県への要望や中核市が果たすべき役割を年内に取りまとめることとしたところであります。本市といたしましては、各中核市の多様な特性や現状等を鑑みず、画一的に設置を義務化することに対する中核市市長会の反対の方針に賛同するものであります。
次に、「本市における児童相談所の設置に係る課題」につきましては、本市といたしましては、施設整備・運営に係る財政負担、人材確保、既存の児童相談所との役割分担などの課題があるものと考えており、特に、児童福祉司や児童心理司などの専門職の確保・育成につきましては、中核市単独での解決が困難な大きな課題であると認識しております。
また、子どもの分離保護などの「介入」と家庭環境の改善のための「寄り添い型支援」を同一の機関で実施することにより保護者との関係性の構築に支障が生じるなどの課題があるものと考えております。
次に、「県児童相談所及び本市子ども家庭総合支援拠点の体制強化」についてでありますが、児童虐待への対応につきましては、平成30年度から児童相談所が受け付けた児童虐待通告のうち、県と市町で作成した共通の基準により、重症度が「中度」「軽度」に分類される事案の市町への送致が本格実施となり、児童相談所は分離保護などの緊急性や専門性の高い事案への対応を、市は身近な場所で児童や保護者への継続的な支援を実施するとの役割分担がより一層明確化され、本市と児童相談所が緊密に連携しながら、一体的に取り組んでいるところであります。
さらに、本市におきましては、困難を抱えるすべての子育て家庭に対する支援体制の充実を図るため、今年度よりこれまでの保健師や保育士などの専門職に加え、新たに心理職を配置した「子ども家庭総合支援拠点」を設置したところであります。
今後とも、県と市がそれぞれの役割を着実に果たしていくとともに、現在、県が進めている「社会的養育推進計画」の策定の中でそれぞれの体制強化につきましても協議を行いながら、支援体制の更なる充実に取り組んでまいります。
次に、「子どもと子育て家庭等に関する生活実態調査の結果と今後の取り組みについて」でありますが、まず、「子どもと子育て家庭等に関する生活実態調査から見えた課題」につきましては、昨年、子どもや保護者の生活実態を把握する「子どもと子育て家庭等に関する生活実態調査」を実施し、家庭の経済状況に関わらず、「家庭学習の習慣」が身についていない子どもが全体の4分の1を占めるほか、「朝食を毎日食べる習慣がない」、「相談する人がいない」子どもなどが一定程度存在することが明らかになったところであります。
さらに、これらの状態の子どもと親の意識や行動を分析したところ、親の子どもに対する関わりや親子の地域とのつながりなどが十分でない状態が明らかになったところであります。
こうしたことから、支援が必要な子育て家庭に関する課題を「家庭における学習習慣」、「食事などの生活習慣」、「物や経験、人とのつながり」、「親の子育てに対する意識や行動」、「地域全体での子育て家庭の見守り」の5つのテーマごとに整理したところであります。
このため、「今後重点的かつ優先的に取り組むべき施策」につきましては、改善すべき5つのテーマを踏まえた既存事業の見直しなどを検討する中で、重点的かつ優先的に取り組むべき施策を明らかにし、今年度、策定を進めております「宮っこ子育ち・子育て応援プラン」に体系的に位置づけ、計画的かつ着実に推進してまいりたいと考えております。
次に、「子ども食堂への支援のあり方」につきましては、いわゆる「子ども食堂」は、様々な子育て家庭が利用しているものと認識しており、困難を抱える子育て家庭を把握し、支援を行う場の一つであると考えております。
現在、改善すべき5つのテーマを踏まえ、支援を要する子育て家庭の把握や個々の状況に応じた適切な支援を提供する仕組みづくりを検討しているところであり、その中で、子ども食堂に対する支援についてその必要性も含めて検討してまいります。
次に、「だれでも食堂について」でありますが、議員ご提案の「だれでも食堂」につきましては、地域団体やNPOなどにより運営される活動であり、地域すべての人を対象に、食事や憩いなどが提供される地域の多世代間の交流の場として、また、高齢者や障がい者、子どもの見守りや居場所として取り組まれているものであります。
こうした取組につきましては、様々な運営主体がそれぞれの目的に沿って、地域の居場所などとして創意工夫を発揮しながら自主的に取り組まれておりますことから、地域における支え合いの活動として見守ってまいります。
4.保育行政について
(1)無償化をめぐる問題について
保育の無償化は、目指すべき当然の流れだと認識しています。しかし重要なのは、待機児童の解消であり同時に保育の質の担保であるべきです。安倍自公政権は、これまで待機児童対策として、入所定員の弾力化、保育士資格要件の緩和、給食の外部委託化、認可外保育園を受け皿にするなど、なし崩し的な規制緩和による安上がりの待機児童対策をすすめ、抜本的な問題解決は先送りしてきました。
欧米先進諸国と比較しても大変低い保育基準を引き上げること、同時に保育士の処遇改善、負担軽減を図ることなど、抜本的な保育の質の向上策が無いままでの、無償化ありきは、納得がいくものではありません。ましてや、弱い者いじめの消費増税とセットで行うなど政府のやり方は本末転倒ではないでしょうか。未熟な制度設計による矛盾で振り回される混乱をきたすのは、現場と地方自治体です。
さて、そこで1点目に、この無償化に伴う副食費の実費徴収化によって、市町村が保育所などに払う3歳から5歳の子どもの一人あたりの基本的な運営費が実質的に月額約600円引き下げられると聞いています。保育園の運営に影響しかねない運営費の実質的な引き下げについて市長の見解を伺います。
2点目に副食費が実費徴収となることで、各保育施設の徴収事務の負担増と、滞納となった場合の対応について市長の見解を伺います。
3点目に国の無償化政策によって本市の負担減となる8億円は、副食費の無償化の財源として使ってはいかがか市長の見解を伺います。
(2)豊かな遊びの保障について
今年5月大津市で園外保育中におきた交通時故に大変大きな衝撃を受けました。
乳幼児期の健全な育ちの保障のためには外遊びは欠かせません。大空のもと水や土、草花や虫小動物と触れ合ったり、友達と思う存分に体を動かして遊ぶ体験は、保育の重要な要素です。
そこで、1点目に園外活動の安全対策について、2つ目に保育における豊かな外遊びの保障のための園庭の確保について、市長の見解を伺います。
塙子ども部長
「保育行政について」のご質問にお答えいたします。
まず、「無償化をめぐる問題について」のうち、「保育所の運営費の実質的な引き下げについて」でありますが、保育所などの運営費につきましては、国が定める児童一人当たりの基本分単価と保育士や栄養士等の職員配置などに伴う加算により構成される「公定価格」により、額を算定することとされております。
このような中、今月4日付けで発出された国の通知によりますと、本年10月以降の公定価格につきましては、3歳児から5歳児の副食費について、無償化に伴い、保護者から実費徴収する際の目安額として国が示す4,500円のほか、これまで物価調整分として上乗せされていた約600円が、基本単価から減額されているところでありますが、この約600円の減額分を活用し、栄養士の配置に関する加算などの拡充が図られているところであります。
公定価格につきましては、国の責任において、物価の変動や人事院勧告などを踏まえ、適正に設定されるものであると考えております。
次に、「副食費の徴収事務の負担増及び滞納となった場合の対応について」でありますが、副食費につきましては、無償化に伴い、実費として施設が徴収することとなりましたことから、副食費の料金設定や保護者への説明、滞納が発生した場合の対応も含めた副食費の徴収に関する事務について、施設において実施することとなったところであります。
こうした事務に伴う負担の軽減につきましては、これまでも全国市長会を通じて国に対して要望してきたところでありますが、引き続き、各施設の実態を踏まえ、必要な支援策について要望してまいります。
次に、「無償化に伴い負担軽減となる財源の活用について」でありますが、本市の負担軽減となる財源につきましては、「第6次宇都宮市総合計画」に掲げる目指すべき将来のうつのみや像の実現に向け、各種施策・事業が計画的かつ着実に推進できるよう取り組んでまいります。
次に「豊かな遊びの保障について」でありますが、まず、「園外活動の安全対策」につきましては、各施設におきまして、職員の配置などの安全対策を内容としたマニュアルに基づき、十分な安全確保を行った上で、週1、2回程度の園外活動を実施しているところであります。
このような中、大津市で発生した交通事故を受け、各施設に対し、安全確保のための再確認や必要に応じたルート変更などの徹底を要請するとともに、現在、国からの通知に基づき、道路管理者や栃木県警察などの関係者立会いのもと、各施設の園外活動における危険個所を把握するための「合同点検」に取り組んでいるところであり、国に対し、9月末までに点検結果を報告するとともに、12月末までには、対応案を取りまとめ提出することとなっておりますが、迅速な対応が可能である注意喚起の看板の設置などにつきましては、点検終了後、順次対応してまいります。
次に、「保育における豊かな外遊びの保障のための園庭の確保」についてでありますが、保育を実施するにあたりましては、国の「保育所保育方針」を踏まえ、保育所内での活動のほか、園外での活動を通し子ども達が豊かな体験を得るための活動を発育の状況に応じ実施することが、大変重要であると認識しているところであります。
また、保育所等における園庭に関する基準につきましては国の基準に基づいた本市の条例により園庭を設けることを基本とし、それが難しい場合には、当該施設の附近に園庭に代わるべき場所があることを条件としているところであります。
なお、園庭を保有していない施設につきましては、近隣の公園等を活用するなど、各施設の工夫のもと、園外活動が安全に実施されていることを指導・監査等を通し確認しているところであり、引き続き、保育所等における園外活動が適切かつ安全に実施できるよう指導してまいります。
5.教育行政について
(1)小中学校体育館へのエアコンの設置について
今年も5月下旬から異常な猛暑となり世界中が地球温暖化による異常気象に見舞われ、猛暑によって人の命さえ危険な状況となっています。今後もこのような猛暑は続くものと思われます。
小中学校の体育館へのエアコンの設置について6月議会では、熊本議員への御答弁で「今後整備内容や手法などについて検討し、計画的な設置に努める」とのご答弁がありました。本市におきましては、学校管理下における熱中症対策を万全に講じる中で、一方で体育授業への支障をきたすことも懸念されるところです。また、災害時には避難所として活用されるわけで、国の方針においても、学校施設について避難所として十分に役割を果たすことができるよう防災機能をより一層強化することを課題としたうえで、社会的要請、地球温暖化等の自然要因をふまえ、これに適切に対応するために、教育環境の質的な向上を図ることが必要というエアコンの設置に向けた方向性が示されています。
そこで、学校体育館のエアコン設置についての現段階での検討状況についてあらためて市長の見解を伺います。
(2)小中学校のプールについて
ある小学校の夏休みのプール指導をボランティアで行っている方から、「学校のプールが老朽化して、プールサイドからは草が生えている状況だ。何とかしてほしい」との要望が寄せられました。学校管理課からいただいた資料によりますと、本市の小中学校のプールは一番古いのが西原小学校で、昭和28年に建設され、すでに66年間使用されてきました。小中学校の平均は36,5年で、93校中83校約9割が築30年以上とのことです。一般的にはプールの耐用年数は30年から50年程度とのことです。海のない本市にとって、水泳の授業のために全国にも先駆けてプールの整備が行われたものと考えます。
本市ではプールの耐用年数および、今後の更新等をどのように考えておられますか。市長の答弁を求めます。
菊池教育次長
「教育行政について」のご質問にお答えいたします。
まず、「小中学校体育館へのエアコン設置について」でありますが、本市におきましては、すべての小中学校の普通教室にエアコンを設置しておりますが、一部未設置である小中学校特別教室のうち、中学校への設置を今年度、進めているところであります。体育館へのエアコン設置の検討状況につきましては、引き続き、先進地の状況把握や、空調機器メーカーからのヒアリングなどの調査を進めており、今後も、整備内容や手法などについて検討し、計画的な設置に努めてまいります。
次に、「小中学校のプールについて」でありますが、プールの耐用年数につきましては、明確な定めはありませんが、教職員による日常の安全点検や、業務委託によるプールろ過機の保守点検、プール水槽の塗装や配管更新などの整備を計画的に実施することにより、適切に、維持管理を行っているところであります。
今後のプール更新につきましては、現在策定を進めている「学校施設長寿命化計画」の中で、整備の考え方を整理してまいります。
今後とも、適切な安全点検や維持管理を徹底し、児童生徒が、安全にプールを利用できるよう良好な教育環境の確保に努めてまいります。
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