2019年3月22日
福田くみ子議員の討論
日本共産党の福田久美子です。発言通告にしたがい議案第19号2019年度市一般会計予算、第20号市国民健康保険予算について反対の理由を端的に述べてまいります。
まず、第19号一般会計予算案についてです。
第1に消費税10%への増税頼みの国言いなりで消費税増税を市民に押し付ける予算は認められません。地方自治体の役目は、一般質問で荒川議員が明らかにしたように、「住民福祉の増進」こそが、地方自治体の使命と考えます。
市民の暮らしの現状はどうか。本市来年度予算大綱によれば、経済情勢について「内需を中心とした景気回復が期待される状況にある」としています。厚労省の毎月勤労統計調査での不正が明らかになり、客観的に景気をはじく景気動向指数は今年1月に景気後退局面入りの可能性を示唆する「下方への局面変化」となりました。朝日新聞の1月20日の世論調査では、実に72%の人が「安倍政権で景気がよくなったと実感していない」と答えています。安倍政権のもとで、日本経済の6割を占める家計消費は落ち込んだままです。2人以上世帯の実質家計消費支出は21万円も減りました。労働者全体の実質賃金も18万円減っています。それでも、政府見解である3月の月例経済報告では「緩やかな景気回復が続いている」と強調し、アベノミクスを自画自賛し、消費税10%増税にしがみつこうとしています。アベノミクスで大儲けをしたのは、大企業と富裕層だけです。しかし、消費と所得という暮らしと経済の土台が悪化していては、「好循環」どころか、消費不況から抜け出すことができないでいるのが現実です。政府の都合の良い数字だけを見て、「景気回復が期待される」との本市の経済情勢判断は、国言いなりで、市民の暮らしの実態を見ないと言わざるを得ません。今切実に求められているのは、暮らしを支える政治、福祉とくらし、そして教育にこそ最優先でお金をかける政治です。
第2の理由は市民意見の確認をせず進めているLRT整備推進費99億5511万円余の計上は、認められません。公共交通の充実は、待ったなしです。自動運転のバスが走る時代に、レールの上しか走れない路面電車に東側ルートだけで458億円、駅を跨ぐのに100億円、西側計画はルートさえ示せていません。まちづくりに必要不可欠な装置とのことですが、納得できる説明はありません。LRTを軸とした基幹交通に接続するバス網などの具体化は見えてこず、地域内交通の課題解決も先送り、バスロケーションシステム、バス接近表示機や停留所への屋根・ベンチの設置など利便性の向上は遅々として進みません。これら生活交通対策費と公共交通利用促進費合わせても4億7000万余で、LRTありきで、身近な生活交通の充実は後回しとなっています。
第3に宇都宮駅東口開発の新年度予算では、7億3362万円余となっています。この事業は市民本位の事業に見直すべきです。超高齢化社会、少子化、人口減少時代など、社会の危機感をあおるキーワードのもとでコンパクトシティ―の形成と称した大規模な町の作り直しのために、莫大な税金が注ぎ込まれ始めています。バブル時代と同じ大型公共事業への過剰な投資と言わざるを得ません。宇都宮駅東口の開発は、その最たるものです。これまでも指摘してきたようにゼネコン・デベロッパー奉仕の時代遅れのハコモノづくりと指摘します。加えて、南街区の駅前一等地を超破格値の坪50万円で売却とは、市民の貴重な財産をないがしろにするものです。市民の貴重な財産は、お金儲けのための事業に売り渡すのではなく市民のために生かす道こそ、行政のやるべき仕事ではないでしょうか。
第4に住民の願い置き去りの予算であることを指摘します。1点目に毎日のように報道されるいたましい児童虐待対策は、市が責任をもって一時保護所を含む児童相談所の設置に踏み切るべきです。心理職員2名の配置での子ども総合支援拠点では、到底不十分です。2点目に給食費の無償化、子ども医療費助成制度の高校生までの拡充など、県内でも本市は遅れをとっています。3点目に何時起こってもおかしくない豪雨災害や竜巻被害など地球温暖化による大災害や大規模地震などへの、災害対策は喫緊の課題です。今年の夏も猛暑が予想されます。避難所となっている小中学校の体育館へのエアコンの設置は、急いで進めなくてはなりません。これにも、本市は後ろ向きです。
本市の財政力指数は速報値によれば中核市36市中第3位です。この強い財政力は、市民の暮らしを支えるために、最優先で使うべきです。市民が望んでもいない不要不急の大型公共事業であるLRTや駅東口開発は、市民本位の事業に見直し、子育て支援や、高齢者福祉、教育の充実に回すべきと、強く訴え議案第19号一般会計予算に反対する討論と致します。
次に議案第20号国民健康保険予算に反対の理由を述べてまいります。
第1に、今の国保税は子どもが多い世帯ほど負担が重くなり、少子化対策に逆行する点です。一般質問でも取り上げましたが、人頭税とも言われている1人ひとりにかかる均等割りについて、子育て支援の一環として、何らかの軽減措置を講じる自治体も出てきている中、本市は後ろ向きです。
第2に、国保税の負担が異常に重い中、10割自己負担となる資格証明書の発行と滞納世帯への差し押さえは、原則としてやめるべきです。
第3に、安倍政権は自治体に対して「法定外繰り入れの解消」の号令をかける中、本市が国保税のこれ以上の値上げにストップをかけるには、市長が国保法第1条の国民健康保険制度は社会保障制度であるという立場と、地方自治法第1条の住民福祉の増進をはかるという立場にしっかりと立つことが不可欠です。県が示した「標準保険料率」は、法定外繰り入れを行わないことを前提に算出しており、万が一国の圧力に屈すれば、19年度の試算で示されたように、年収400万円の4人世帯で7万9600円の値上げとなってしまいます。共産党市議員団は、繰り返し質問してきましたが、市長が国の言いなりでは、また国保法と地方自治法にゆるぎなく立脚していないと、国保税の値上げは止められません。
以上、国保予算に反対する理由を述べました。国民皆保険制度の中核となる国民健康保険制度は、いつかは誰もが入るいのちを守る重要な医療制度です。全国知事会でも国に対し要望しているように、構造問題の解決のために1兆円の公費投入で、高すぎる国保税を「協会けんぽ」並みに引き下げることを求めて、第20号国民健康保険予算案に反対する討論と致します。
国際幸福デーの3月20日、世界幸福度ランキングが発表されました。2015年は46位、昨年54位からさらに順位を下げ今年は58位という低さです。いじめやパワハラ・セクハラ・男女格差、児童虐待や自殺など殺伐とした世相を反映しているのでしょうか。安心な社会へ、誰もが人間として幸福を実感できる社会へと政治の根本的な転換が求められていると思います。議員各位の良識あるご判断とご賛同を期待いたしまして、討論を終わります。