2018年12月20日



荒川つねお議員の討論




 荒川つねおです。私は日本共産党を代表して、陳情第80号、宇都宮ライトレール社の増資に係る「補正予算の否決」に関する陳情と第81号、宇都宮市のLRT施設工事の中止を求める陳情について、不採択に反対の討論を行います。
 
 本市のLRT建設事業は、本年5月に着工しましたが、その進捗は、順調とは言えない状況に陥っているのではないでしょうか。相次ぐ事業PRも空いた口がふさがりません。この間、国民・市民の納めた、いわば血の出るような税金が、LRT宣伝・広告用に湯水の様に使われてきました。富山市のライトレールの表面的見物・視察に自治会役員等を半ば動員することも行われてきましたが、その挙句の果てに、今度はLRT車両印刷入りの格安年賀状の販売まで登場してきました。
 
 「LRTよりも市民の暮らし・福祉・教育の充実を」との声が、圧倒的市民の願いです。
 
 市長は、LRT事業が、大企業・ゼネコン・デベロッパーなどの利益のためではなく、市民のためにだと言うのであれば、こんな血税の使い方はきっぱりやめて、市民の福祉の向上に一円でも多く財源を手当てすべきではありませんか。
 さて、今議会にもLRTに反対する2団体から陳情が提出されました。
 そこには、LRT事業が着工されたからと言って、「LRT建設はもうやむをえない」などというあきらめは、みじんも感じられません。それは、これらの団体に結集する人たちが、自説にこだわり、頑固一徹だからでしょうか。私は、そうは思いません。私たち、日本共産党市議員団では、この間、広く市民アンケートに取りくみました。
 市民は、LRTについて、「LRTはいらない・関係ない・必ず赤字になる・税金のムダ遣い・福祉や暮らしの対策が後回しにされる・LRTに乗っても目的地まで行ける訳じゃない」など市民合意を得ることなく強行するやり方に、市民の中に怒りと疑問と不安の声が満ちています。
 こうしたLRT建設に未だお墨付きを与えていない市民世論が後押しし、共にあるからこそ、陳情団体のねばり強い取り組みが支えられてきているものと私は思います。
 今回の2つの陳情は、それぞれの立場から現時点に立った本市のLRT計画の焦点と諸問題に対する適切で道理ある指摘が行われているものと考えます。この陳情に対する議員一人一人の態度とその説明責任が試されることを覚悟すべきと考えます。
 議員にあっては、来春の市議会議員選挙が近づいていますが市民のLRT事業に対する生の声をしっかり受け止め、自らのLRT問題への所信を堂々と明らかにして審判を受けるべきではないでしょうか。
 
 私はこの陳情審査するにあたって、JR宇都宮駅西側のぺデストリアデッキから、駅前大通りを見て、この写真を撮ってきました。
 52万都市、わが宇都宮市の駅前メイン大通りがなんと狭いことか、改めて思い知らされました。その点では、ここに異論をはさむ議員はおられないと思います。
 この狭い大通りにLRTで2車線分以上が占拠されてしまいます。さらに、先に発表されたLRTの宇都宮駅交差区間の駅横断は、北ルート駅東口停留所地上案が最適と選定されました。これによれば、上河原交差点付近から高架となり田川を越え駅西口高架停留所となる可能性が大であります。
 LRT計画に、車との共存を掲げ、具体的なモビリティマネジメントの対応もない中では、高架橋がこの場所に出現したならば、陳情者の言うように、宇都宮の狭いながらも大動脈の駅前通りの機能はさらに著しく減退、マヒしかねないものになることは、想像に難くありません。
 また、市長の言うところの階層性のある公共交通の確立のもとで、地域のデマンドタクシーから幹線バスに乗り継ぎ、駅前大通りでLRTに乗り換えなければ駅までたどり着けない。これくらい高齢者に優しくない公共交通はありません。
 この様なLRTの西側延伸計画を既定路線かの如くなし崩し的に推進することは認められません。
 JR宇都宮駅東西通路を西口デッキから東口LRT停留所予定地まで歩けばわずか3分、高齢者でも3分30秒で行ける所を北ルートで7分40秒もかけてぐるっと回ってJR駅を横断するのに100億円もの事業費を投入していいのか。その是非も含めて、西側延伸計画は市民の民意を確認、合意を図るために市民投票をもってその決着を日本共産党市議員団は提起します。
 また、現在、各地区でネットワーク型コンパクトシティいわゆるNCCの説明会が行われています。そこでは、NCCとLRTは切っても切れない関係であるかのような説明がなされています。しかし、LRT沿線上のわずかの地域拠点を除いて、何の因果関係もありません。LRT先にありきを媒体として、NCCのかけ声のもとで、主に都心部へのゼネコン・デベロッパーへの際限ない奉仕に向けて、大型公共事業の集中を呼び込むことを最大のねらいとしたものであることをこの際指摘するものです。
 
この討論の最後に、陳情者は、路線バスのまち宇都宮を強調しています。
 日本共産党宇都宮市議員団は、路線バスのまち宇都宮はさらなる発展・進化が求められていると考えます。
 市民が行きたい時に行きたい所に、誰もが移動できることを保障する公共交通の確立はバス会社だけに頼り、任せていて出来るものではありません。宇都宮市はバス会社に、補助金を出すだけにとどまらず、協力協同してバス交通に参画し、公共交通網の整備の主導権・イニシアを確立することが求められる時代に入っていると考えますがいかがでしょうか。

 陳情者の指摘するように、本市においてはムダ・ムリなLRT計画は撤回し、費やすはずだった巨額の税金の一部を充てれば、基幹バスにはBRTも導入し、幹線バスまでバスロケーションシステムを完備し、定時性・速達性も確立できます。小型バスを導入し、街中をきめこまかに循環できます。地域内交通は、住民と来訪者誰もが利用できるような生活交通へと抜本的に運行、運営の改善もできます。
 そして、何よりも高すぎるバス運賃の軽減をはかることができます。他市のように、高齢者へのホンモノの外出支援のワンコインバスも導入に道を開くことも可能となるでしょう。
 議員の皆さん、LRTの呪縛を解き放てば、市民のための市民本位の公共交通網の確立においても、相当のことが可能となります。
 今や無人自動車の実用化が現実となり、空飛ぶ自動車の実用化まで語られる時代となっています。軌道の上しか走れない、軌道のあるところにしか行けないLRTの新たな建設は時代遅れとなり、交通未来都市宇都宮のシンボルなどにはなり得ません。
 私は、以上の立場から、この2つの陳情は採択すべきと考えます。
 議員各位のご賛同をお願いし討論を終わります。







トップページへ