2018年12月11日
福田くみ子議員の一般質問(再質問・再答弁は準備中です)
福田議員
日本共産党の福田くみ子です。
まず市長の政治姿勢についての第1に、LRTと優先すべき行政課題について伺います。
隠ぺい、改ざん、嘘、ねつ造、このような言葉が次々と飛び交う異常な国会運営が続き、数の力で憲法さえも踏みにじる事態は、戦後最悪の民主主義の危機と危惧するところです。本市においては、宇都宮市の憲法ともいえる自治基本条例において、市民の市政運営に参画する権利、市民意志の尊重、公正の確保などを謳っています。人口減少時代を迎え、ますます市民の政治参画が求められる中で、LRT建設の是非を問う住民投票を行わなかったことは、重大な禍根を残す結果と今でも考えています。市民団体が行っている街頭でのシール投票では、未だに反対意見が6割から7割という結果を見ればしかりです。LRT年賀はがきの発行に至っては、苦し紛れと言わざるを得ません。そこで、1点目に駅西側計画について、市民および議会に対して具体的にどのように合意確認をするのか、是非について、全体計画を示したうえで住民投票を行うべきと考えますが、市長の見解を求めます。
2点目にLRT以外の公共交通の優先すべき課題として、地域内交通の改善をし、広く誰もが使える公共交通にすること、高齢者の外出支援を拡充して免許自主返納を後押しすることは重要と考えますが、市長の見解を求めます。
この項の第2に小中学校の体育館にエアコン設置について伺います。猛暑が続いた今年の夏7月31日、共産党市議員団は、佐藤市長に対し熱中症対策として5項目について緊急の申し入れを行いました。その中の1つが、避難所ともなっている小中学校の体育館へのエアコンの設置です。また、11月22日には、参議院総務委員会に置いて、日本共産党の山下芳生参院議員の「避難所に指定されている小中学校の体育館へのエアコン設置について」の質問に対し、総務省の担当局長は、「緊急防災・減災事業債があり、今年度は5000億円を計上。ぜひ、この制度の活用を」と答弁しています。この事業債は償還にあたり7割が地方交付税措置されるとのことです。2017年度から2020年度までの緊急制度でもあるので、早急に本市としても対応してはどうか、市長の見解を求めます。
第3に、国民保険税の負担軽減について伺います。国民健康保険制度の構造的問題とは端的に言えば、国保税が協会けんぽや組合健保に比べて異常に高すぎることではないでしょうか。今や国保は高齢者とワーキングプァが加入者の多くを占める「社会的弱者の医療制度」となっています。ところが保険料の負担は被用者保険よりも高い、これが政府も認めざるを得ない「構造的問題」です。しかも滞納すれば、保険証の取り上げや差し押さえなどのペナルティが課せられる、弱者を医療から排除し、困窮に拍車をかける本末転倒が起きています。全国知事会では、国保税を協会けんぽ並みに引き下げるために「1兆円の公費負担増」を政府に要望しました。高すぎる国保税を引き下げ構造的な問題を解決するためには、公費を投入するしかありません。国保税が、協会けんぽなどの被用者保険と比べて、著しく高くなる要因となっているのは、国保にしかない世帯員数に応じてかかる「均等割り」と世帯に定額でかかる「平等割」という保険料算定にあります。子どもの数が多いほど国保税が高くなる「均等割り」は、まるで人頭税、子育て支援に逆行しているとの声が上がり、全国知事会からも見直しの要求が出されています。均等割り、平等割をなくせば他の被用者保険と同じくらいの負担となるのです。
地方税法第717条は、被保険者に被災・病気・事業の休廃止などの「特別な事情」がある場合は、市町村の判断で国保税を減免できることを規定しています。この規定を活用し、子だくさんを「特別の事情」と認定することで、子どものいる世帯の負担軽減をしてはどうか、市長の見解を求めます。
飯塚建設部長
「市長の政治姿勢について」のうち、「LRTと優先すべき行政課題について」でありますが、「駅西側計画についての市民及び議会に対する合意確認の手法及び住民投票の実施」につきましては、LRTは、本市が掲げる「ネットワーク型コンパクトシティ」の形成を支える総合的な公共交通ネットワークの要として、必要不可欠な都市の装置でありますことから、現在、JR宇都宮駅東側の整備に取り組むととともに、駅西側の事業化に向けた検討を進めているところであります。
JR宇都宮駅東側のLRT整備につきましては、関係機関との協議や議会と執行部との間で、十分に議論を行いながら進めてきたところであり、市民の皆様に対しましては、正確かつ最新の情報を提供するとともに、直接意見交換を行い、ご質問やご意見に丁寧にお答えしていく、双方向での取り組みにより、多くの市民の皆様にご理解いただいていると受け止めております。
今後、駅西側のLRT整備に当たりましても、駅東側の進め方と同様に、市民の皆様に対し、事業の進捗に応じて、適宜、検討状況をお示しし、丁寧で分かりやすい説明を心がけながら意見交換などを行うとともに、議会と執行部との間での議論を積み重ねながら進めてまいります。
鈴木総合政策部長
「LRTと優先すべき行政課題について」のうち、「地域内交通と高齢者の外出支援について」のご質問にお答えいたします。
まず、「地域内交通を広く誰もが使える公共交通にすること」につきましては、本市の地域内交通は、買い物や通院など、日常生活に最も身近な移動手段として地域全体で支えるという理念のもと、地域に経費の一部を負担していただき、郊外部全13地区におきまして、地域が主体的に運行しているところであります。
このような中、姿川地区や清原南部地区など、地域内交通を導入して間もない地区においては、新たな需要の掘り起こしをするとともに、一部自治会で先行導入している地区においては、未導入自治会の導入促進を図るなど、それぞれの地域におきまして、地域内交通の定着に向けた取組を進めているところであります。
また、この地域内交通は、これまで、郊外部における各地域の運営組織やバス、タクシーなどの交通事業者、行政が一体となって、既存の公共交通との役割分担を踏まえた上で、利用者の範囲や運行区域などについて検討を重ねながら構築してきたものであります。
そのため、地域内交通の利用対象者の拡大に向けましては、地域運営組織のほか、バス事業者やタクシー事業者と慎重に協議・調整をしていく必要があるものと考えておりますことから、当面は、地域のつながりや生活圏を考慮した現行の枠組みを維持しながら、さらなる利便性の向上や利用促進に地域とともに取り組んでまいります。
次に、「高齢者の外出支援を拡充し、免許自主返納を後押しすること」につきましては、本市では、高齢者をはじめ、車の運転に不安を覚える方が運転免許証の自主返納をしやすくするためには、まずは、公共交通を利用して誰もが安全・安心に外出しやすい環境を整備することが重要であると考えております。
そのため、本市では、高い輸送力や定時性を備えたLRTの整備に着手したほか、バス路線の新設、拡充などサービス水準の高い公共交通ネットワークの構築に取り組んでいるところであります。
さらには、70歳以上の高齢者にバスカード等を交付する「高齢者外出支援事業」を実施しているほか、利用者負担の軽減を図るため現在、上限運賃制度や乗継割引などの導入について公共交通事業者と検討を行っているところであります。
今後とも、これらの取組を通して高齢者をはじめ、誰もが安全・安心に外出できる環境づくりに取り組んでまいります。
酒井行政経営部長
「小中学校体育館のエアコン設置について」のご質問にお答えいたします。
村田議員のご質問にお答えいたしました通り、小中学校の体育館へのエアコン設置につきましては、屋根や壁面の断熱化や、天井が高い大空間を効率よく冷やす必要があるなど、施設の構造上、現時点での設置には多くの課題がありますことから、引き続き、他都市における体育館へのエアコン設置状況や、設置手法について、国の財政支援策の活用も含め、調査・研究してまいります。
なお、エアコンが設置されていない避難所における暑さ対策につきましては、既存の大型扇風機の活用や協定に基づく民間事業者からの冷房機器の調達により対応してまいります。
石岡保健福祉部長
「高すぎる国民健康保険税の負担軽減について」のご質問にお答えいたします。
国民健康保険税につきましては、その世帯の負担能力に応じた「所得割」と世帯の加入人数による「均等割」、世帯ごとの「平等割」により応能・応益のバランスをとったうえで課税するとととされており、国民健康保険税が被保険者の過重な負担とならないよう軽減制度や減免制度が設けられているとことであります。
議員ご提案の「子どものいる世帯の負担軽減について」でありますが、国民健康保険税の減免制度につきましては、地方税法の規定に基づき「災害などの特別な事情がある場合に限り」行うものであり、「多子世帯」といった一定の枠を減免対象とし、市独自に減免することは難しいものと考えております。
「子育て世帯の負担軽減を図るための子どもにかかる均等割保険税の軽減制度の導入」につきましては、全国知事会や全国市長会が、国へ要望しておりますことから、その動向を注視してまいります。
福田議員
次に保育行政についての項に入ります。第一に保育行政のあり方と公立保育園の役割について伺います。 2019年10月から実施が予定されている保育の無償化について様々論議がされています。子ども子育て支援制度の実施以降も、待機児童や保育士不足は解消されたわけではなく規制緩和だけが先行し保育の質の担保は置き去りにされている状況です。すべての子どもたちが安心して育つことのできる社会の実現のためには、国の責任で安定的な財源を確保し、地方自治体と連携した認可保育所の整備をすることはもとより、実態に合わない配置基準の改善による保育士等の増員と、処遇改善による「保育の質」の確保、保育の無償化も含めた総合的な対策をすすめることが求められています。無償化ありきですすむことに多くの専門家や現場のみなさんが疑問の声を上げています。無償化の詳細は、まだ確定していませんが、自治体は大きく影響を受けることになるでしょう。とりわけ公立保育園の無償化についての負担は自治体に押し付けようとしています。
さて、宇都宮市はこれまで公立保育園の民営化を進めてきました。多様な保育及び幼児教育が実施され、基準もまちまちという状況の中、行政が直接保育を提供する公立保育園の果たす役割は重要です。そこであらためて、今後の本市における公立保育園の果たす役割について市長の見解を伺います。
第2にトイズ事件の検証について質問します。2014年7月26日、信頼して託したわが子があのような姿で戻ってくるなど、誰が想像したでしょうか?
事件の後、宇都宮市ではすべての保育施設への事前通告なしの巡回支援指導することとなりました。この点では、一定の評価をする立場です。この事件の裁判で原告側代理人の弁護士は認可外の保育施設であるトイズに対する市の指導・監督について、他の認可外施設への指導と比べて特別扱いをしていたとの指摘がされています。この指摘は事件後に市が作った再発防止対策とは違った次元の問題であり、事件のもう一方の本質がここにあるとしたら今の再発防止策では対応ができません。
あらためて、第3者を入れての検証が必要と考えますが、市長の見解を求めます。
塙子ども部長
「保育行政について」のご質問にお答えいたします。
まず、「保育行政のあり方と公立保育園の役割について」でありますが、本市におきましては、児童福祉法に基づき、全ての子どもが健やかに成長できるよう、公立・民間問わず、国の指針などによる同一基準に基づき、適切に保育行政を推進しているところであります。
こうした中、増加する保育ニーズや多様化する保育ニーズに効果的・効率的に対応するために策定した「宇都宮市子ども・子育て支援事業計画」におきまして、公立保育所の役割につきましては、入所している子どもの保育はもとより特別な養育を必要とする家庭への「セーフティネット機能」や、少子化に伴う保育需要の減少などに対応した「調整的機能」、また、全ての在家庭親子に対し、支援を行う「地域の子育て拠点施設としての機能」などを担うこととしているところであります。
また、民間保育所におきましては、保育需要の増加への対応に向けた保育所等の新設・増改築による供給体制の確保や休日保育、長時間延長保育など、多様な保育サービスの充実・強化に向けた取組を担うこととし、これまで、公立・民間が一体となって、多様化する保育ニーズなどに適切に対応し、保育所を利用したい家庭が利用したい時に、安心して預けることができる環境整備に取り組んでいるところであります。
このような中、本市におきましては、来年度、この計画を改訂することを予定しているところであり、少子化が本格化する中、増加する特別な養育を必要とする家庭への支援や保育需要の減少への対応などが、今後の課題と捉えているところであります。
こうしたことから、今後、ニーズ調査における需要動向や、これらの課題に的確に対応し、引き続き、質の高い多様な保育サービスを効果的・効率的に推進するため、本市の「子ども・子育て会議」における委員の皆様のご意見をいただきながら、公立及び民間保育園の役割について、新たな計画を策定する中で、検討してまいります。
次に、「トイズの事件について」ありますが、トイズへの本市の対応につきましては、法令等に基づき、立ち入り調査等により施設状況等を把握し、指導監督を行うなど、適切に対応したものであり、現在、民事裁判の中で、本市の対応の正当性につきまして、主張しているところであります。
福田議員
次に児童虐待への相談支援体制の強化について伺います。
今議会において同様のテーマで桜井議員と小平議員に答弁されておりますので、その上に立って質問いたします。児童虐待への体制強化について「子ども家庭総合支援拠点」の早期整備に向け検討されているとのことでした。そこで、1点目に市長が目標とする児童虐待相談・支援の在り方についてのどのように考えるか、合わせて子ども総合支援拠点の整備の先には児童相談所の設置もありうるのか、市長の見解を求めます。
兵庫県明石市では中核市への移行に伴って児童相談所の設置を決めH31年からの開設を目指しています。中核市としては全国で3番目の設置です。明石市の資料によれば基礎自治体の児童相談所だからできることとして、漏れなく、最適な支援を、迅速に行う体制の確立を掲げています。人口30万人弱の都市ですが、児童相談所の体制は、児童福祉士18人、児童心理司8人、保健師4人、弁護士2人など国基準を大きく上回る68人体制となるそうです。子どもを核としたまちづくりに確信を持って取り組む姿が伺えます。H29年度には「子ども家庭総合支援拠点」を設置し、児相開設に向けた専門職員研修等も進めてきました。また、全28小学校区に子ども食堂開設をめざし支援を行っています。児童相談所の利点は、専門性が高いことと、一貫した相談支援が可能で迅速に対応できる点です。そこで2点目にやはり、児童相談所の設置が最も適切と考えますが見解を求めます。
塙子ども部長
「児童虐待への相談・支援体制の強化について」のご質問にお答えいたします。
まず、「児童虐待相談・支援の在り方について」でありますが、すべての子どもたちの権利が守られ、安心して健やかに成長できる社会を実現するためには、国・県・市が、それぞれの役割と責務を果たしながら児童虐待の発生予防から自立支援まで一体的に取り組むことが大変重要であると認識しております。
このような中、児童虐待への対応に当たりましては、平成28年の改正児童福祉法に基づき、児童相談所は分離保護などの緊急性や専門性の高い事案への対応を、市は身近な場所で児童や保護者への継続的な支援を実施する、との役割分担が明確化され、今年度から県と市が協議の上作成した基準である「リスクアセスメントツール」をそれぞれが活用することにより、より一層連携の強化が図られ、円滑で効果的な対応が可能となったところであります。
また、本市におきましては、この改正児童福祉法などにより、市民に身近な場所でこれまで以上に児童虐待の未然防止やきめ細かな相談支援などを行うことが求められておりますことから、「子ども家庭総合支援拠点」の早期整備に向け、検討を進めているところであります。
次に、「児童相談所の設置」につきましては、今後、県におきまして、「新しい社会的養育ビジョン」に基づき「社会的養育推進計画」を来年度中に策定する予定であり、計画に盛り込まれる児童相談所の機能強化の方向性を踏まえた連携のあり方や人材の確保などについて、見極める必要がありますことから、県と十分に協議を行いながら、引き続き、調査・研究してまいります。
福田議員
次に農業問題について伺います。
1点目に、地産地消の推進について伺います。 日本の食料自給率は先進国の中でも最低水準の38%とされており、危機的状況が続いています。このような中、国では、「食料・農業・農村基本計画」中で、自給率向上に向けて重点的に取り組む事項の1つとして“地産地消の全国展開”を掲げています。本市では農家のみなさんのご努力と恵まれた自然条件のもと、米をはじめとする新鮮な農産物が生産されています。こうした市内で生産された農産物をもっと市民のみなさんが直接手に取り、消費してもらう機会を増やすことが本市の農業の振興につながるとともに、日本の食料自給率の向上につながるものと考えますが、現在、市内には直売所が少なく、市民のみなさんが、市街の直売所に買い物に出かけてしまうのを目の当たりにしています。
現在、市では、「食料・農業・農村計画」の見直しを進めていますが、自給率向上のためにも、直売所の充実などより一層取り組んでいくべきと考えますが、市長の見解を求めます。
2点目に市街化調整区域における地域拠点外の耕作放棄地について、このままではさらに荒廃が進むと懸念する声が上がっています。このような耕作放棄地の利活用について、市長の見解を伺います。
3点目に、農地で営農と太陽光発電を両立して行うソーラーシェアリングについてです。福島県の飯館電力では原発事故を受けて、福島県農民連産直農業協同組合など、農業従事者が主体となって、ソーラーシェアリングなど再エネ事業が取り組まれています。また、千葉県の高齢化で荒廃農地の増加が課題となっている地区で、太陽光パネルを設置した下部の農地で、大豆や麦、ブルーベリーやイチジクを栽培するなどの取り組みが広がっています。本市でも、耕作放棄地等を活用した「ソーラーシェアリング」に取り組むことについて、市長の見解を伺います。
大竹経済部長
「農業について」のご質問にお答えいたします。
まず、「地産地消の推進について」でありますが、地域内で生産した農産物を地域内で消費する「地産地消」は、食料自給率の向上に寄与することに加え、農村の活力向上や市民の健康的で豊かな生活を支える上で、重要な取り組みであると考えております。
これまで、本市におきましては、宇都宮産農産物の消費拡大のきっかけづくりといたしまして、1歳6ヵ月健診の際に、宇都宮産米をプレゼントする「はじめてごはん事業」や宇都宮産農産物を取り扱う直売所や飲食店などを「うつのみや地産地消推進店」として認定し、推進店を活用した消費者の購買意欲を高めるためのキャンペーンなどを実施してきたところであります。
このような中、現在、本市の「食料・農業・農村基本計画」の見直しを進めているところであり、地産地消の強化に向けた取組といたしまして、身近で手に入れやすいスーパー等の量販店における地場産コーナーや直売所の充実・強化などを検討しているところであります。
引き続き、JAなどの関係機関との連携を図りながら、安全・安心で高品質な農産物づくりと宇都宮産農産物の購入促進などに取り組み、本市農業の生産力の向上と宇都宮産農産物の消費拡大による更なる地産地消の推進に取り組んでまいります。
次に、「耕作放棄地の利活用について」でありますが、本市におきましては、これまでも耕作放棄地の発生防止に取り組むとともに、耕作放棄地の所有者への利用意向調査を踏まえ、所有者自身による耕作の再開や意欲ある担い手への農地集積を促進してきたところであります。
また、補助事業の活用による農地としての再生利用にも取り組んできたところであり、平成29年度におきましては、企業の新規参入による大谷夏いちごのほ場整備を支援することなどにより、約14ヘクタールの耕作放棄地の利活用が図られたところであります。
さらに、平成30年度につきましては、地権者と耕作者が主体となって、ほ場整備事業を実施し、約10ヘクタールが解消される見込みとなっており、今後とも、ほ場の状況に応じてさまざまな支援策を有効に活用し、耕作放棄地の利活用に取り組んでまいります。
次に、「ソーラーシェアリングについて」でありますが、国におきまして、平成25年3月に農地の一時転用の取り扱い基準が示され、営農を継続しながら農地の上部空間に太陽光発電設備を設置することが可能となり、本市におきましても、昨年から農業法人が民間事業者と連携し、耕作放棄地を解消しながら、ソーラーシェアリングに取り組んでいるところであります。
今後、このような取り組みにつきまして、電力買取価格を踏まえた事業の継続性や周辺農地への影響、さらには、営農状況なども十分に確認しながら、耕作放棄地等を活用したソーラーシェアリングの有効性について検証してまいります。
福田議員
循環型地域経済についての項に入ります。
日銀は今年9月の当面の経済政策運営についての中で、我が国の景気は、「緩やかに拡大している」と述べ今後も「緩やかな拡大を続けるとみられる」としています。しかし中小企業がおかれている実感は程遠いものがあります。ある商工会議所が行った小規模企業事業所実態調査アンケートでは「5年前より儲けが減っている」が53%、規模別では4人以下の事業者では61,6%、従業員0のところでは74,6%で規模が小さいほど厳しい実態が明らかになっています。足腰の強い地域経済の土台は、外需依存するのではなく地域内での仕事やモノ・資金の循環をはかり、内発的発展を促すことにあり、その担い手は、地域の中小業者、商工業者、自治体、金融機関等です。地域に根を下ろす中小企業、個人事業主の元気なくして、地域の持続可能な発展はなしと考えます。その具体的施策として注目されている一つが住宅リフォーム助成制度です。
そこで第1に住宅リフォーム助成制度の横断的活用と拡充について伺います。本市の住宅リフォーム助成制度は、H24年度の創設以来、毎年約300件程度の利用があり、一件当たりの限度額10万円でそう補助額は約3000万円対し、総工事費は約8億円となっており、事業の目的としている住宅の機能向上やだけでなく、地域経済の活性化にも大きく寄与する事業となっています。これまで、対象を拡充するなど行政効果を上げる努力をされてきたことに、高く評価をしているところです。しかし、利用状況は横ばいでありさらなる周知徹底や制度の拡充が課題となっているともお聞きしました。
住環境の向上という観点からだけではなく、地域経済の活性化や中小企業・個人事業主や個人商店の仕事興しの側面からも、制度設計を見直すことでさらに大きな行政効果が期待できるものと確信します。住宅リフォーム助成制度の横断的活用と拡充について市長の見解を伺います。
この項の2点目に小規模分散型の再生可能エネルギーについて質問いたします。9月6日に発生した北海道胆振東部地震では道内全域停電ブラックアウトという事態になり、大型電源の集中立地のリスクが明らかになりました。地球温暖化対策としては無論のことあらためて、小規模分散型の再生可能エネルギーの必要性が注目されています。再エネの利活用は、「域外への富の流出を止め、域内での富の循環に変える」点でも注目されています。ドイツでは、再生可能エネルギー発電の担い手として「シュタットベルケ」という事業体の活動が知られています。自治体出資法人のいわゆる「公社」ですがあらゆる地域公共サービスも担っています。日本でもこれに学びつつ我が国特有の特徴も取り込みながら、地域における新しい事業として電力小売り事業等を設立し、そこから得られる収益を地域が抱える様々な課題の解決に利用していこうと「日本シュタットベルケネットワーク」が2017年9月に設立されました。
福岡県の「みやまスマートエネルギー」はその先駆けで、みやま市が55%を出資し15年3月に日本初の低圧電力売買事業会社を設立。10ヘクタールの私有地に5千キロワットの太陽光発電に加え、市内約1万4千世帯の9%の1200世帯に設置された太陽光パネルから協力を得られた世帯から余剰電力を買い取り、公共施設や家庭向けにも小売りしています。さらに同社は、電力販売とセットで提供する「生活総合支援サービス」(みやまんサービス)として高齢者の見守りサービス、買い物サービス「みやまん横丁」、電力の見える化、みやまの地域情報の提供などを行っています。みやまスマートエネルギーはさらにエネルギー供給に取り組む全国の自治体と連携し、2019年問題を見据えた新電力の設立に至っているとのことです。そこで、本市においても、このような小規模分散型の再生可能エネルギーの利活用を促進するための事業について市長の見解を伺います。
佐藤市長
「循環型地域経済について」のご質問にお答えいたします。
まず、「住宅リフォーム助成制度の横断的活用と拡充について」でありますが、本市の「住宅改修補助制度」につきましては、市民の皆様が住み慣れた住宅の性能・機能を向上させるリフォーム工事を促進することにより、安全・安心と長く快適に住みつづけていただくことを目的に、平成24年度に創設したものであります。
この制度は、住宅のバリアフリー化や省エネルギー化を促進させるだけではなく、市内のリフォーム業者による施工を条件とすることで、市内の経済活性化にも寄与する制度であります。
議員ご提案の「制度の横断的活用について」でありますが、本制度は、現行におきましても、畳替えや建具の交換など、室内に関する改修工事費について、補助対象工事に含めることが可能であり、市民の多様なリフォームのニーズに横断的に対応しているところであります。
また、「制度の拡充」につきましても、平成26年度に、今後居住の予定がある空家まで対象を広げたほか、本年度からは、さらなる少子高齢化対策として、多子世帯に対応した間取りの変更などを新たに対象工事に追加したところであります。
今後とも、より多くの市民にご利用いただき、地域経済が活性化されますよう市民やリフォーム事業者等に対し、さらなる周知に努めるとともに、制度の横断的活用や充実を図り、市民の誰もが安心して、快適に暮らすことができる居住環境づくりに取り組んでまいります。
最後に、ユニセフ「子どもの権利とスポーツの原則」について伺います。指導者の暴力や過度のトレーニングから子どもを守ろうというもので、ユニセフと日本ユニセフ協会が、子どものスポーツに関する指針を初めて出したもので全部で10項目あります。スポーツ活動に「子どもの意見を尊重する」などの権利を保障することや「バランスのとれた成長に配慮する」「子どもの健康を守る」といった提起をしています。
スポーツが子どもの権利や夢の実現を助け、経済発展にもつながる側面と、もう一方で暴力や虐待といったリスクを伴う現実を日本ばかりでなく世界中が認識してきたということです。
本市では教育委員会に置いて、今年3月スポーツ庁が作成した「運動部の在り方に関する総合的なガイドライン」を受け、生徒のバランス良い生活への配慮や教員の負担軽減の視点から「宇都宮市部活動方針」を策定したとお聞きしました。
しかし、現状では児童生徒がスポーツ活動をする場は、中学校の部活動だけありません。子どもたちが、スポーツをするすべての場所及び機会において、ユニセフ「子どもの権利とスポーツの原則」が広く認識されるよう本市として周知啓発に努めることを求め市長の見解を伺います。
水越教育長
ユニセフ「子どもの権利とスポーツの原則」についてのご質問にお答えいたします。
ユニセフによる「子どもの権利とスポーツの原則」につきましては、世界各地でスポーツの場における暴力的な指導や過度なトレーニングが見られるなどの問題を踏まえ、子どもがスポーツを通じて幸福で豊かな生活を営んでいくことを目的に策定された行動指針であり、心身ともに成長過程にある子どもたちの権利を尊重し、あらゆる暴力などから保護することが示されております。
本市といたしましても、子ども達がスポーツを通じて社会性を身につけ、安全に楽しくスポーツに親しむことができる環境の充実を図ることは重要であると認識しており、国からも、先月下旬、本原則の周知に係る通知がありましたことから、学校や体育施設、市スポーツ少年団本部や市体育協会などにお知らせするとともに、市ホームページ等へ掲載するなど、広く市民の皆様に周知したところであります。
本市では、中学校の部活動におきまして、「宇都宮市部活動方針」に基づき、生徒の心身の健康管理や事故防止、体罰等の根絶に向けた取組などを通して、適切な指導に努めるほか、スポーツ少年団など、小学生のスポーツ活動におきましても、指導者への「講習会」を開催するなど、「指導者による暴力などの防止」をはじめ、必要な知識の習得が図れるよう取り組んでいるところであり、今後とも、これまでの取組に加え、あらゆる機会を通じて本原則の趣旨が広く認識されるよう周知に努めてまいります。
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