2018年9月11日




荒川つねお議員の一般質問




荒川議員


 日本共産党の荒川つねおです。発言通告に基づき質問します。明快な答弁を求めます。 

 第1に、市長の政治姿勢について、3点伺います。

 1点目は、酷暑から市民の生命を守る対策について質問します。

 今年の記録的な猛暑は、気象庁でも「災害」と位置付けるほど、各地で熱中症による救急搬送が続出、亡くなる人も相次いでいます。「災害」級の猛暑はこれからも、来年も続くことが確実視されており、市民を守るため、従来のやり方にとどまらない、仕組みと万全の対策を講じることが求められています。

 そこで、エアコンが猛暑から命と健康を守る命綱、最低限の生活必需品であることは、政府も認めざるを得なくなっています。ついては生活保護利用者・低所得世帯のエアコン設置の有無や生活状態をきちんと把握していますか、まずおたずねします。

 また、国に対して生活保護利用者への冷房器具購入費支給対象者の拡大、夏期手当創設は不可欠なものとして求めるべきではないでしょうか。合わせて、生活保護利用者・低所得世帯に対して、エアコン設置への補助や支援・冷房代助成を自治体としても積極的に検討すべきです。

 そこで、例えば少なくとも月2000円以下で無利子・数十回分割返済の熱中症対策エアコン設置緊急貸付制度を提案し、答弁を求めます。

 2点目に、まちづくりと大型開発についてです。

 人口減少時代に、コンパクトシティとかインバウンドをキーワードに、本市においても立地適正化計画による都心開発が次々と進められています。その代表的なものが、巨額の税金を投入しての再開発事業による超高層マンション建設です。そこで、そのマンション住民が、地域住民と交流し、力を合わせてまちの活性化を生みだすまちづくりに寄与されているのかどうか、検証されているのでしょうか。

 ついては、二荒山前のシティタワー165    戸の内、住民登録世帯と人数、市外の団体・個人による所有戸数、自治会加入世帯数について伺います。また、大手地区再開発によるマンションについては、自治会加入への業者や入居予定者に対しいかなる働きかけを行い、地域住民と一体となったまちづくりを進めようとしているのか伺います。

 次に、JR宇都宮駅東口整備事業に関連して質問します。

 日本共産党宇都宮市議員団は、優先交渉権者の決定による提案概要についても、20世紀型の駅前開発にしがみつき、2回も破綻したコンセプトの化粧直しのハコモノづくりから抜け出せないものと考えます。市民を忘れた他都市のありきたりの開発の後追いを血税にまかせてムリに進めるよりも、人口減少時代を展望し、私たちの提案してきたミヤ・セントラルパークの方が、宇都宮の新しい顔を創出し、ひいては都市ブランドを高め、現在と未来の宇都宮市民の利益になると確信しているところです。

 前置きは以上として、優先交渉権者との事業契約を間近に控え、見過ごせぬ問題について伺います。

 それは、南街区の計画で、民間施設として分譲マンションに係る市有地売却が予定されていることです。

 市民の貴重な財産が、公共とは縁もゆかりもない147戸のマンション用に処分されることは許されません。そもそもマンション建設等というコンセプトはなかったのではありませんか。南街区のマンション計画と土地売却はリセットすることを求め、答弁を求めます。

 次に、このような土地利用や土地売却は、日本国有鉄道清算事業団との土地売買契約書第13条指定用途「公共用等」の用に供させるために明確に反すると思いますが答弁を求めます。

 3点目に、市民の安全とオスプレイ飛来について質問します。

 米軍横田基地に、10月より米軍特殊作戦機、敵基地への特殊部隊輸送を任務とする日本の防衛とは無関係のCV22オスプレイ5機が配備されることが、8月22日判明しました。このCV22オスプレイは、6月下旬から同基地を拠点として飛行訓練を常態化させ、栃木県内と宇都宮市上空に低空で轟音をたてて飛来し、市民が7月24日、8月13日~15日、20日以降も目撃しました。この間の北関東防衛局による基地周辺自治体への情報提供を総合すると、①横田基地から東富士演習場周辺の天候状況などによって、宇都宮上空も訓練空域にされる可能性がある。②横田基地から三沢基地へのCV22オスプレイの飛行ルートが宇都宮を含む栃木県上空を通ることが考えられます。このように頻繁に宇都宮上空を通過する訓練を傍若無人に実施しているオスプレイが正式配備となれば、オスプレイの中でも事故率が高く、墜落の危険性は増すばかりです。

 市民の安全をめぐって、宇都宮の空に異変が起きつつあります。オスプレイの本市上空飛行に対して、市長、そして議会がどのような態度でのぞむのかは、市民の命、安全にかかわる一丁目一番地と思うが、市長の認識と見解を求めます。

 次に、県市長会などと連携し米軍横田基地へのCV22オスプレイの配備反対を表明すべきと思うがどうか。

 国に対しては、訓練中止の米軍への申し入れ、宇都宮にかかわる訓練空域・飛行ルートを明らかにするよう求めること、北関東防衛局に対しすみやかな飛行情報の提供を求め、市のホームページに掲載するなど、広く市民に情報提供を行うことについて答弁を求めます。

 次に、関係者による信頼できる情報ですが、本市の自衛隊基地も佐賀空港同様、自衛隊オスプレイの配備に向けての説明会の動きもあったとのことである。

 市長は本市の自衛隊基地とオスプレイをめぐる動静について承知しているのか、お伺いします。


石岡保健福祉部長


 「酷暑から市民の生命を守る対策について」のご質問にお答えします。

 まず、「生活保護世帯のエアコン設置や生活状況の把握」につきましては、7月上旬より、全世帯を対象とした自宅訪問調査時において、生活状況などを確認するとともに、熱中症対策について、環境省が作成したリーフレットを配布し、こまめな水分補給や日中の外出を控えること、さらに、体調が優れないときは、医療機関の受診を勧めるなど、助言を行っているところであります。

 次に、「国に対する冷房器具購入費支給対象者の拡大等の要望」につきましては、冷房器具購入費用の支給が、本年7月1日より開始されたところでありますが、国の通知において支給対象者は、「高齢者や障がい者、小児及び難病患者のほか、健康状態や住環境等を総合的に勘案の上、保護の実施期間が必要と認めた者」とされておりますことから、生活保護世帯の状況を把握し、必要に応じ、国に支給対象者について問い合わせを行うほか、国や県、市の生活保護担当者で構成する「生活保護担当指導職員ブロック会議」などにおいて、支給対象者の範囲や夏期手当について意見交換を行ってまいります。

 次に、「エアコン購入費緊急貸付制度の創設」につきましては、宇都宮市社会福祉協議会が運用する生活福祉資金において、冷房器具の購入が対象となっておりますことから、この貸付制度を有効に利用してまいりますが、利用者の意見を踏まえ、制度の内容について宇都宮市社会福祉協議会と意見交換を行ってまいります。


佐藤市長

 
 荒川議員のご質問にお答えいたします。

 まず、「市長の政治姿勢について」のうち、「まちづくりと大型開発について」でありますが、本市におきましては、人口減少、少子・超高齢社会にありましても持続的に発展し続けることのできる「ネットワーク型コンパクトシティ」の実現を目指し、都市拠点である中心市街地において多様な都市機能の集積や、居住の促進に向けた取組を進めており、市街地再開発事業は、「都心居住の促進」や「まちの賑わい創出」につながる大変有効な手法と考えております。

 特に、この事業により創出されたバンバ市民広場におきましては、地元自治会や、子ども会によるお祭りなどの地域行事をはじめ、FIBA 3×3 ワールド・ツアー宇都宮マスターズなど、幅広いイベントが開催され、多くの方々が来場し、まちなかの交流の場として、中心市街地の活性化や、本市の魅力ある「都市拠点」の形成に大きく寄与しているところであります。

 議員ご質問の「シティタワー宇都宮」の「住民登録世帯数と人数」につきましては、129世帯、261人であり、「市外の団体・個人による所有戸数」は法人2戸、個人27戸、合計29戸であると把握しております。

 なお、「自治会加入世帯数」につきましては、個々のマンション等の加入世帯数は把握しておりません。

 次に、「大手地区の自治会加入に向けた働きかけ」につきましては、事業の立ち上げ当初から、再開発組合や、地元自治会、本市などの連携により、マンションの居住者全員が自治会に加入できる新たな仕組みとして、マンション管理組合が、自治会に加入する取り決めを交わしたところであり、竣工後、マンションの居住者が、自治会活動や、子ども会活動などに参画し、地域との交流を深めることでコミュニティに醸成が図られ、まちづくりの活性化にも寄与するものと期待しているところであります。

 


鈴木総合政策部長

 
「まちづくりと大型開発について」のうち、「宇都宮駅東口地区における南街区のマンション計画と土地売却について」のご質問にお答えいたします。

 宇都宮駅東口地区整備におきましては、交流と賑わいの創出や、高次な都市機能の集積が必要でありますことから、民間の有するノウハウなどを最大限に活用するため、本年1月に「宇都宮駅東口 地区整備方針」を策定し、この中で、南街区につきましては、本市のまちづくりに資する提案に応じて、市有地の一部売却を可能とすることを定めたところであり、3月に、事業者募集を実施したところであります。

 こうした中、優先交渉権者から提案のありました分譲マンションの整備につきましては、都心居住の促進につながるものであり、恒常的な賑わいの創出を図るものでありますことから、地区整備の基本方針に合致することはもとより、中心市街地の活性化など、本市のまちづくりに資するものであります。

 今後とも、提案内容に基づき、地区整備の早期実現に向け、優先交渉権者とともに、着実に事業を推進してまいります。

 次に、「日本国有鉄道清算事業団との土地売買契約について」でありますが、議員ご指摘の土地売買契約書に定めてありました購入した土地を公共用とする用途指定につきましては、平成15年10月に宇都宮市土地開発公社から当時の日本国有鉄道清算事業団に対して、解除を申請し、同月、この解除について承諾を頂いております。


酒井行政経営部長

 
「市民の安全とオスプレイ飛来について」のご質問にお答えいたします。

 まず、「米軍オスプレイに対する認識と見解」につきましては、米軍機も含め、航空機の飛行におきましては、その安全性の確保は極めて重要であると認識しており、日本国内における米軍オスプレイの活動につきましては、国の安全保障や日米地位協定に基づく事項であり、市民をはじめ、国民の安全の確保も含め、国の責任において対応しているものと考えております。

 次に、「米軍オスプレイの横田基地への配備」と「訓練中止などの国への申し入れ」についてでありますが、オスプレイをはじめとする米軍機の配備や訓練などにつきましては、国の安全保障や日米地位協定に基づく事項であり、国において適切に対応すべきものであると考えております。

 また、「飛行情報の市民への提供」につきましては、オスプレイの横田基地配備の報道を受け、防衛省北関東防衛局に事前の情報提供等について確認したところ、防衛省において、米軍の活動に関する情報は把握していないとの回答を受けたところでありますが、今後も、引き続き、防衛省からの情報収集に努めてまいります。

 次に、「本市の自衛隊基地とオスプレイをめぐる動静」についてでありますが、防衛省北関東防衛局に本市の自衛隊駐屯地へのオスプレイ配備にかかる説明会の動きについて確認したところ、防衛省においても、その動きを承知していないとの回答を受けたところであります。本市の自衛隊駐屯地に関する事案につきましては、市民の安全・安心に関わる事項でありますことから、今後も、引き続き、防衛省や自衛隊駐屯地との連携を密にし、情報の共有を図ってまいります。

 


荒川議員

 
それでは、再質問いたします。

まちづくりと大型開発の問題で駅東口の開発の件であります。

 私は、駅東口というのは、本当に貴重な最後の宇都宮市のまとまった財産だという点でも、その有効活用が大事だというふうに思っています。

 それで、市長はですね、平成26年の9月だったと思うのですが、宇都宮商工会議所との駅東口の大型施設などをめぐる問題で要望を受けたときにですね、この駅東口開発について、市としてかけがえのない最後の財産と位置づけ、その場しのぎではなく、市の繁栄の中心になるようにしたいと、こういうことを述べています。

 それで、先ほど言いましたように、宇都宮市の貴重な財産である駅東口の、その大変な税金をかけて、市民の税金で取得した土地ですから。最後の一坪まで、やっぱりこれは市民の公共のですね、用に使うべきだと思っているのです。

 だから、市長のここで言っていることとは、私、全く一致をするのですけれども、マンションをそこにつくるなんていうことはですね、文字通りその場しのぎの計画ではないのですか。答弁をお願いします。




鈴木総合政策部長


先ほどご答弁させていただきました通りですね、今回の事業の進め方につきましては、やはり官民のパートナーシップでやっていこうということで、特に、南側街区におきましては、やはりそういう中で民間事業者の参入を促進していきたいということもありまして、当然提案の内容によってですね、その一部売却も可ということで、官民パートナーでやっていこうということで今回はそういった形にしたところでございます。




荒川議員


マンションはですね、これは民間の活力に任せればいいのですよ。

もっと自転車置き場は、駐輪場は用意されるようですけれど。場合によっては、駐輪場なども含めて、文字通り公共用に、最後の残りの一坪まで市民全体の公共に属するようなところにですね、使うべきではないのか、私はこういうふうに思います。

マンションなんて、市長も言っているような、安易なその場しのぎの計画に乗ることなどはないように、この辺の見直しは強く求めたいと思います。

次の再質問でありますけれども、オスプレイの問題です。

答弁は、いつもありきたりの答弁でありますけれども、私が今回言っているのは、先ほども言ったように、文字通り宇都宮市民の安全と、宇都宮市の上空の飛行というのはですね、大変な状況は今までとは一変しているのだ。やっぱりそういう危機感はですね、一緒に共有したいというふうに思っているのです。

そういう中でね、一つだけ、市長にお聞きしたいと思うのですが、沖縄ではもう既にオスプレイがもうどんどん飛んでいますよね。ところがですね、たった1カ所だけ、飛ばないところがあるそうです。一体どこだと思いますか。




酒井行政経営部長


 申し訳ございませんが、ただいまのご質問については承知しておりません。




荒川議員


あのね、飛んでいないのは、米軍基地の中の米軍住宅の上だそうであります。そこ以外は好きなように飛ぶんだけど、そこだけは飛ばない。

なぜかと言えば、アメリカでは、住宅の上はオスプレイは飛べないことになっているのです。治外法権の基地の中は、だから、飛ばないのですよ、守って。それが独立国家日本の、宇都宮市の上空は、アメリカではやらないことを好き勝手にやっていると。こんなことはですね、安保条約だ、それから、地位協定だ、そんなことで、はい、そうですかなんていうふうには、市民はですね、これは納得できないのではないでしょうか。 

そういう点では、当然、国民の安全を守るのは国の仕事。しかし、市民の安全を守るのは市長の仕事、市の仕事ですよ。これは自治体としてのね。そういう点では、国に対して、はっきりと市民の安全を守る立場から、このオスプレイの問題については、やっぱりきちんと物を言うと、これは決して間違っていないと思うのですけど、いかがでしょうか。




酒井行政経営部長


 先ほど御答弁申し上げましたが、オスプレイを初めとする航空機の安全の確保というのは極めて重要だというふうに認識してございますが、米軍オスプレイの活動につきましては、我々市民を含めて、国民の安全確保について、国の責任において対応していくものというふうに考えてございます。




荒川議員


 国に大いに期待するのは結構ですけれども、それと同時に、あの沖縄の、この間亡くなられた翁長知事はですね、やはり米軍のああいうやり方や防衛省のですね、国の辺野古の埋め立て問題なんかについても、きちんと県民の立場から物を言っているわけですよ。

 だから、そういうことを言うことはですね、これは当然のことなんだと、地方自治体として。遠慮することはないのだと。そういうふうに思いますので、その辺はもっと勇気を出してもらいたいと思います。

 第2に、保健・福祉・子どもをめぐる施策について3点伺います。 

 1点目に、介護保険料軽減と減免制度の導入についてです。

 このほど、2016年度に、介護保険料の滞納による差押え処分を受けた65歳以上の人が過去最多1万6161人にもなったことが厚労省の調査でわかりました。

 65歳以上の人の介護保険料は、年金から強制的に天引きされる「特別徴収」が約9割です。一方、無年金の人や年金が18万円以下の人などが「普通徴収」となります。滞納者に対する処分は、差押えのほか、給付の差し止め、利用料償還払い、給付の減額などに及びます。

 本市においても、調査によれば、普通徴収23870人のうち、平成29年度4003人が滞納者となっています。差押えは1件、給付制限は、3割負担の給付額の減額が13件とのことであります。

 高齢者の3人に2人は住民税非課税であり、見直すたびに上る介護保険料の負担が生活を圧迫、低所得者を中心に高すぎて払いきれなくなる人たちの広がりを示しているのではないでしょうか。

 そこで、本市における低所得者への減免対応ですが、国の制度である境界層該当者の軽減制度適用の実態についてまず、伺います。

 また、自治体独自の減免制度では、低収入者減免の制度が少なくない自治体で行われています。私が今回調査したのは、青森市・堺市・神戸市などですが、青森市の場合保険料第1段階の人は生保利用者等を除き第1段階の1/2の額を減額となり、また第2段階~7段階の減免対象規準表では、例えば世帯人員2人で減免対象基準額141万7240円、預貯金基準額同額の場合、第1段階の額に減免等となっています。また、神戸市や堺市ではそれぞれ、独自の減免対象収入基準での減免や15段階16段階と本市より多段階を導入し所得間の負担を和らげています。

 財政力豊かな宇都宮市こそ、高齢者・生活にお困りの市民の高い介護保険料による生活圧迫に手を差しのべる時ではないでしょうか。

 宇都宮市独自の低所得者減免制度をつくるべきと考えるが、市長の答弁を求めます。

 2点目に、認知症対策の抜本的強化を求めて質問します。

 私は、認知症の本人や家族が住み慣れた地域で、安心して暮らし続けたいとの願いを代弁し、これまで何回も質問を行ってきました。人間の尊厳を大切にする市政か否かを量るモノサシの一つが認知症施策の本気度にあると思っています。

 今日は、その立場から市の第8次高齢者保健福祉計画第7期介護保険事業計画に沿って質問します。

 まず、本市の認知症高齢者推計数です。同計画によると、要介護認定者における日常生活自立度Ⅱ以上を認知症高齢者としています。2015年65歳人口に対する比率は8.4%10222人でしたが、2025年には9.8%14000人となると推定して、認知症対策は始まっています。私は、日頃の地域活動の中で、この推計値はリアルでないとの問題意識を持つものです。介護認定を受けていない認知症高齢者もかなり存在します。また、何らかの認知症を有するが日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している、自立度Ⅰの高齢者は本市で4288名もいますが、推定数には含まれていない点です。また、全国の認知症高齢者の推定数比率よりも本市は3%も低い比率としています。これでは、認知症対策を消極性に導くのではと思うが答弁を求めます。

 次に、認知症高齢者の介護サービス量の計画についてです。

 認知症対応型通所介護利用者は2018年度148人、2025年でもわずか40人増の188人の計画でしかありません。共同生活介護は2018年401人が2025年でも539人でしかない。しかも新たな整備計画は54床。通所介護は新たな整備数は0であります。さらに、住み慣れた日常生活圏域ごとの整備現状は、地域包括支援センターを置く25圏域の内、15圏域で認知症対応通所介護事業所は0となっています。こんなことで、右肩上がりの認知症高齢者の増加に真正面から向き合っていると言えるのか、市長に伺います。

 次に、認知症初期集中支援チームについてです。本市計画では、その対応する認知症高齢者数は、2018年度30名、2020年でもわずか36名にすぎない活動量となっています。

 これでは、認知症高齢者の人数と実態から「焼け石に水」にもならないではないのか。認知症の早期発見・早期治療を望み、このチームに支援を期待している市民に対して、今後の希望ある活動の展望について答弁を求めます。

 3点目に、児童虐待増加と市児童相談所設置について質問します。

 8月31日付下野新聞は、「児童虐待最多13万3778件」「全国の児相17年度対応」と報じました。また、県内の児童虐待受理件数及び対応件数は、ともに2000件を越え過去最高となっています。8月24日に行った日本共産党市議員団等による栃木中央児童相談所の視察では、宇都宮市内の児童虐待をめぐる事態が深刻なことが、改めて確認されました。

 この表は、平成29年度栃木県市町虐待相談件数を表したものです。青が市町、赤が児童相談所分です。宇都宮市分を見て下さい。他市・町との違いが一目瞭然です。宇都宮市受付分は141件と小山市並ですが中央児童相談所受付分は宇都宮市分の2.5倍399件にものぼっています。

 増加する児童虐待に対応し、子どもたちの命が失われることがないように、国・自治体・関係機関が一体となって対策に取り組むことになってはいますが、中核市宇都宮でありながら、この実態は県中央児童相談所におんぶにだっこと言っても過言ではありません。視察した福田久美子議員は県中央児童相談所が市内の子どもたちのかけがえのない命を守る仕事で大きな荷重を担い、一時保護所の運営も含めて最早、限界点と述べています。このまま、見て見ぬふりをしては、保護や相談を受けた児童の擁護の内容に影響が出かねません。

 宇都宮市議会は、総合計画調査特別委報告等に見られるように、超党派で、中核市宇都宮に一刻も早い児童相談所設置の必要を提言してきました。児童相談所設置には、専門性の高い優れた人材の登用と育成が求められます。右から左へと簡単に設置できるものではなく準備期間が必要です。

 市民は、子どもたちの生命を守るために今こそ市長の児童相談所設置の決断を求めています。答弁を求めます。



石岡保健福祉部長


 「保険・福祉・子どもをめぐる施策について」のご質問にお答えいたします。

 まず、「国の制度である境界層該当者の軽減制度適用について」でありますが、国の境界層措置は、生活保護の対象となる方に対して、介護保険の利用者が負担する居住費や食費などを軽減することにより、生活保護受給者にならないようにするための制度であり、平成29年度に適用した方は、15人であります。

 次に、「介護保険料の減免制度の創設について」でありますが、本市では、介護保険料の基準を設定するにあたり、国の標準モデルの所得段階区分9段階を本市独自に11段階とし、高所得者に、より負担を求める仕組みとなっており、さらに、第1段階や第2段階の低所得者には、軽減策を講じることで保険料を抑制しておりますことから、新たな独自の減免制度の創設は、必要とは考えておりません。

 次に、「本市の認知症高齢者数推計について」でありますが、国が、自立を損なう症状や行動が見られない日常生活自立度Ⅰを除いておりますことから、この国の考え方に基づいて、本市の認知症高齢者数を適切に算出しております。

 また、本市の認知症対策につきましては、認知症サロンでの相談支援や認知症ケアパスの普及、認知症サポーターの養成など様々な事業を積極的に展開しているところであります。

 次に、「認知症高齢者の介護サービス量の計画について」でありますが、サービス量の推計につきましては、国の「地域包括ケア見える化システム」により算出された推計値をもとに、給付実績の伸びから算出し、これに対応した施設整備数としており、適切に算出しております。

 次に、「認知症初期集中支援チームについて」でありますが、認知症の疑いのある方は、多くの場合、かかりつけ医や地域包括支援センター等を介し、医療や介護などのサービスに結びついているところでありますが、サービスに結びついてない認知症の疑いのある方に対しましては、地域包括支援センターにおける多職種による「地域ケア個別会議」におきまして、まず、医療や介護などのサービスにつなげる支援を検討し、つなげられない困難事例の場合には、認知症初期集中支援チームが編成され、対応を行う仕組みとなっており、必要な場合に編成されますことから、その活動量は適正であると考えております。

 この認知症初期集中支援チームおきましては、認知症サポート医や社会福祉士などの専門職で構成し、その専門職による医療をはじめとする様々な視点から認知症の早期発見・早期対応をはかることにより、認知症の疑いのある方を円滑にサービスにつなげてまいります。

 今後とも、認知症の方やその家族が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう認知症対策を積極的に推進してまいります。


塙子ども部長


 「本市における児童相談所設置について」のご質問にお答えいたします。

 全国の児童相談所が新規に受け付けた児童虐待通告件数が年々増加している中、平成28年の改正児童福祉法におきまして、県と市の役割と責務がより一層明確になったところであります。

 この見直しにより、児童相談所が受け付けたもののうち、一時保護などの専門的な対応が必要なケースを除く、市が対応すべき事案につきましては、本年度より児童相談所から市へ送致されることとなったところであります。

 このため、本市におきましては、より一層、子育て家庭に寄り添いながら相談・支援に適切に対応するため、子ども家庭支援室の職員を4名増員するなど、人員体制の強化を図ったところであります。

 このような中、国から示された家庭養育の原則に基づく「新しい社会的養育ビジョン」や「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」により県は、里親委託率の拡大や児童相談所における児童福祉司の増員などの機能強化が求められるとともに、市町に対しましては、さらなる相談・支援体制の充実に向け、「子ども家庭総合支援拠点」を設置することなどの取組の方向性が示されたところであります。

 今後、県におきましては、これらの取組の方向性を具現化する「社会的養育に関する推進計画」を来年度中に策定する予定となっているため、議員ご質問の児童相談所の設置につきましては、県が策定する推進計画の内容を見極める必要があるとともに、すべての子どもたちの利益が守られ、安心して健やかに成長できる体制や人材・財源の確保などについても県と十分に協議する必要がありますことから、引き続き、調査・研究してまいります。


荒川議員


答弁ありがとうございました。

 介護保険料の減免の問題、認知症対策の問題、私の言っていることとは大分認識がですね、食い違っているようでありますが、私は、市民の立場からしてですね、例えば認知症対策についても、あれでしょう。もらった資料によれば、要介護認定者における日常生活でですね、ランクⅡの認知症から一番重いМというまでで1万1,169人が、2万人近くいる介護認定者の中で認知症になっているわけですよね。さらに、先ほど私が言ったように、4,288人がこの認知症として、国も市も数えていない中に入っていると。そういうことになると、もう介護認定者の大部分がですね、やっぱり何らかの認知症の状態にあると、こういうことなわけです。

 ですから、こういうことを真正面から見たときに、今の認知症対策でうまくいっている。認知症の初期集中支援チームについてもですね、今の計画で十分だなんていうことが、この現状からどんな顔して言えるのだ。こんなふうに思うのです。

 本当にこんな対策で認知症の皆さんに対する、市民の皆さんに対する援助はですね、可能だと本当に思うのですか、もう一回これは確認をしておきたいと思います。




石岡保健福祉部長


認知症対策につきましては、新しいにっこり安心プランにおいても、積極的に推進することとしておりまして、具体的に、まず、認知症サポーターの養成、こういったものを今、積極的に進めているところであります。そのほかに、先ほど答弁の中でもお話ししました、認知症ガイドブック、これはケアパスですが、これの配布、活用、こういったものも推進しております。または認知症サロン、これの運営支援も行っております。

そういった中で、認知症対策ですね、特に積極的に推進しているところでございますが、そのほかに、認知症の各個人の皆さんへの支援ということで、先ほどお話ししました、認知症の疑いのある方を支援につなげるということで、地域個別ケア会議ですね、これをまず、各地域包括支援センターで推進しておりまして、その中で困難事例、こういったものについては、先ほどご説明申し上げました、認知症の初期集中支援チーム、これを立ち上げて、ドクターも入りました中で、そういった困難事例の方々についても、サービスにつなげていく。これについては約6か月間の短い期間の中でつなげていくということで計画もしております。

このようなことで、現在、認知症対策については積極的に推進しておりますので、よろしくお願いいたします。




荒川議員


 いずれにしても、この問題は、私の常任委員会の所管でありますので、そこでさらに話は詰めていきたいというふうに思います。

 第3の
国連「家族農業の10年」と本市の農政についてです。

 農林水産省は、8月の初め、2017年度の日本の食料自給率が過去2番目に低い、主要国では例のない38%(カロリーベース)となったと発表しました。

 21世紀の世界の食糧事情は、政府自身が「中・長期的にはひっ迫」と予測しています。国民の食料の6割以上が外国頼みというのは国の存在や国民の生存条件を根本から脅かす事態であり、政府の姿勢や農政のあり方を根本から問わずにはいられません。

 このような中で、国連は、2014年を「国際家族農業年」に設定したのに続き、昨年春の総会で2019年から28年を「家族農業の10年」と決定しました。従来、国連を含めた国際機関の多くは、人類の食糧問題の解決には農産物貿易の拡大、大規模化による効率化、大手資本との連携などが近道だとして、各国農業の多様性や家族農業の重要性を事実上否定してきました。しかし、その路線が21世紀に入り、飢餓や貧困を解決するどころか、むしろ悪化させてきた現実を踏まえて、今回の「家族農業」重視に大転換したとされています。

 私は、こうした世界の流れをしっかり見据え、安倍暴走農政をきっぱり転換し、日本と宇都宮の多面的に発展できる農業の可能性をもっと生かすべきと考えます。

 本市では「第2次宇都宮食糧・農業・農村基本計画」の見直しが始まっています。

 本市農業の現状のうち、総農家戸数は依然として減少が続いており、専業農家・自給農家は、ほぼ横ばいで推移、全体の大半を占める兼業農家の減少が顕著、高齢化による離農等による耕作放棄地は増加傾向にあります。

 日本と宇都宮の農業の特質であるこの家族農業にもっと光をあて、支援し農業のもつ多面的機能の維持・向上を図る先駆的施策を展開することこそ、真の農業王国うつのみやではないでしょうか。答弁を求めます。



大竹経済部長

 
 「国連「家族農業の10年」と本市の農政について」のご質問にお答えいたします。

 本市におきましては、世界の食料需要の増加と日本の食料自給率の低迷を踏まえ、「宇都宮市食糧・農業・農村基本計画」におきまして、「農業王国うつのみや」をスローガンに掲げ、生産力や地域力の向上などを柱とする本市の農業振興施策に総合的に取り組んでいるところであります。

 このような中、議員ご案内の「家族農業」につきましては、市内の農業者の9割以上が家族経営体でありますことから、本市の農業を支え、農村を守る重要な存在であると認識しております。

 こうしたことから、これまでも、本市といたしましては、家族農業の経営環境の改善に向け、家族内で役割分担や休日・報酬を定める家族経営協定の締結を促進しておりますほか、家族経営体をはじめとする多様な担い手を確保・育成するため、後継者となる親元就農者等への支援や、「経営規模の拡大」・「野菜などの収益性の高い作物への転換」に対する助成など、意欲的に取り組む農業者を支援するとともに、農業・農村が持つ多面的機能を維持・向上させる活動を行う組織に対しましても支援してきたところであります。

 このような総合的な取組により、米価が低迷する中にありましても野菜の生産額が10年間で1.5倍になるなど、本市の農業生産全体の指標となります農業産出額は、平成17年の208億円から平成28年には219億円まで増加したところであり、本市農業の競争力の強化が着実に進んでいるものと考えております。

 今後、本市農業が力強く発展していくためには、農業・農村が持つ多面的機能をさらに発揮させることはもちろんのこと、家族経営体をはじめとする農業者の所得が向上し、農業者が夢や希望を持って営農を続けることができる、いわゆる「稼げる農業」の確立は、不可欠であります。

 このようなことから、家族経営体を主な構成員とする集落営農の組織化や、農地利用の集積による経営の効率化、収益性の高い作物の生産拡大などを着実に推進し、魅力ある産業としての農業を構築するとともに、本市農業の大部分を占める家族農業の維持・向上も図りながら、「農業王国うつのみや」の更なる発展に全力で取り組んでまいります。


 

荒川議員


 
答弁ありがとうございました。次に移ります。

「宝木市営住宅周辺の道路問題」について
お伺いします。

 宝木市営住宅団地は、昭和40年代半ばから民有地を借地し整備された大規模団地であり、建設当時は、農地や林が広がっていた地域であったが、その後、団地周辺に住宅や店舗などが建設され、当時とでは交通状況も変化しています。

 団地内には多くの道路があるが、その中でも特に、新里街道から団地に通じる市道641号線から864号線の区間の東西の道路は、道幅も広く、沿道にはバスの折り返し場所や診療所・薬局・店舗があり、地域の方が利用するメインの道路であります。現在は建築基準法第42条第1項第3号の建築道路に指定はされていますが、交通量も多く地域の主要な道路であるから、建築基準法第42条第1項第1号の市道にすべきと考えます。

また、団地の北東にある、(旧)西が丘保育園に面する南北の道路は、この道路を利用する民有地もありますが、建築基準法第42条第1項第3号の建築道路に指定されているだけである。

そして、市道641号線から団地の西端に向かい市道639号線につながる区間の道路は、主に団地居住者が利用しているが、道路幅員も広いことから市道にすべきと考えます。

 今後、宝木団地を再整備していくのであるから、早急にこれらの道路問題を整理する必要があると考えるが、今後どのようにするのか、伺います。




塚田都市整備部長

 
 「道路行政について」のご質問にお答えいたします。

 宝木市営住宅団地につきましては、昭和45年から昭和48年までに、民有地を賃借し、計画的に整備したところであります。

 議員ご質問の「道路」につきましては、民有地であったことから、分筆や市道の認定は行わず、建築敷地内の各建物に通じる通路として整備したものであり、これまで、建築基準法上の道路として取り扱いをしてきたものであります。

 現在は、「宝木市営住宅団地再生基本計画」に基づき、借地を解消し、既存の建物や通路を利用した再整備を行うため、平成25年度から用地取得を進めているところであります。

 こうした取組みの中で、団地の中央を東西に通る市道641号線から市道864号線の区間の道路につきましては、入居者だけでなく、多くの地域住民にも日常的に利用されてきたところであり、周辺の道路ネットワークを構成する機能を有しておりますことから、建築基準法第42条第1項第1号に該当する市道認定に向け、現在協議を行っているところであり、今後、団地再整備とあわせて整理してまいります。

 また、旧西が岡保育園に面する南北の道路につきましては、建築基準法に基づく道路としての位置づけを維持しつつ、再整備に活用するとともに、団地の西側にある市道641号線から市道639号線につながる区間の道路につきましては、当面、団地内通路として利用してまいります。




荒川議員

 答弁ありがとうございました。いずれにしても、公図と現況が一日も早く一致するような整備をお願いしたいと、このように思います。

第5の教育行政について4点、伺います。

 まず、1点目に酷暑から児童・生徒を守る対策についてです。文部科学省が定めた「学校環境衛生基準」では、教室等の温度は「28℃以下であることが望ましい」としていますが、現在、夏期における本市の小中学校のエアコンの設定温度は28℃となっています。児童・生徒等に心理的負担をかけないよう、学習に望ましい快適な温度に設定する必要がありますので、状況に応じて、エアコンの温度設定について柔軟に対応すべきと思うがどうか。

 次に、御幸ヶ原小で導入している「黒球式熱中症指数計」について、部活動なども視野に市の緊急対策として全校導入を図るべきと考えるがどうか。

 この項の最後に、夏休み中等の子どもの家等における猛暑対策ですが、本市の一部クラブで外にもゆけず、プールにもゆけず過密状態に置かれています。緊急避難策が必要ではないでしょうか。その場所として図書室や一部教室の開放などを含め柔軟な対応を求め、答弁を求めます。

 2点目に、学校健診についてです。

 大阪府保険医協会と同歯科保険医協会は、学校健診を受け、「要受診」となった子どもたちの検診後の受診行動や学校での様子、家庭状況等の調査について発表しました。

 調査は、子どもたちの医療アクセスの実態把握を主な目的として、2017年大阪府内の公立・私立の小中高1802校を対象に取り組まれました。

 その結果、眼科健診未受診率は62.9%、耳鼻科健診42.8%、歯科健診63.8%、内科健診・その他の健診では51.6%に上っています。

 歯科健診では、設問に回答のあった259校のうちで、口腔崩壊(むし歯が10本以上ある・歯の根しか残っていないような未処置歯が何本もある)など咀嚼が困難な状態にあるとみられる児童・生徒がいたと回答した学校が46.7%、121校で464人の口腔崩壊の子どもたちがいるとの報告がありました。

 眼科健診では、視力低下を放置しているため黒板の文章が見えず、授業に集中できない、経済的な理由からメガネが買えないという生徒がいた等の学校からの報告が上っています。

 今回の調査では、未受診の子どもたちの学習環境、学校生活上の安全に影響を及ぼしていることが明らかになったとのことです。

 未受診や口腔崩壊などをなくし、子どもたちの健康を守る必要な施策を講じるためにも、また、小中高生の学校健診の実態把握次第では、高校生までの医療費無料化の対象年齢の拡大の必然性が浮きぼりになるやに思います。そこで本市においても、小中高校生全体の学校健診の実態把握を行うべきと考えますが答弁を求めます。

 次に、政府は「働き方改革」の学校版として、学校のICT化を2020年度から小中学校の義務教育から本格的に、性急に進めようとしています。

 学校のICT化で、国もメーカーも「先進自治体」も「楽しくわかりやすく学べる」「効率的となり、教員のゆとりも生まれる」などいいことずくめのメリットばかり強調しています。しかし、大変革というのはメリットだけでなくリスクやデメリットも伴うのは常です。特に、子どもの眼については「子どもの眼の大きさや機能は発展途上であり環境が大切」等と日本眼科医会をはじめ、いくつもの重要な指摘や警告・予防の必要性が指摘されています。

 そこで、教育長に、学校ICT化のメリットは横に置き、デメリット・リスクについては、どの様な認識でしょうか。また、学校のICT化で子どもの心身の健康を守ることができるのか、本来の学力の育成につながるのか、細心の点検や配慮が必要と思うが、その対処法について答弁を求めます。 

 この項の最後に、少なくない保護者や教員から不安と疑問の声が上がっている道徳の教科化・英語の小学校での教科化についてです。

 これまでの道徳と教科化となった道徳の最も顕著な違いは評定・評価のあるなしです。教科化によって、国の定めた基準で作られた教科書を使い、国の定めた観点で子どもたちを評価の対象としています。既に、道徳の内容は、現行指導要領のもとで、憲法や基本的人権の尊重・民主主義の精神に立脚した市民道徳を自由な雰囲気の中で培えるような教育には程遠く、多様な価値観が育つのには逆効果の、こと細かく定められた通りの価値観を身に付けることが押しつけられることになってはいないか、答弁を求めます。

 次に、2020年より、小学校高学年での英語が教科になることについて、年70時間に倍増する授業時数の影響とその確保対策について、また、小学校からの英語ギライを生み出さないためにも、どの子も面白いと思えるような熟練した指導が必要であり、ALTとともに専科教員の配置が不可欠だが、どのように対処してゆくのか答弁を求めます。



水越教育長

 
 「教育行政について」のご質問にお答えいたします。

 まず、「小中高校生全体の学校健診の実態把握について」でありますが、本市の小中学校におきましては、健康診断により、疾病及び異常が見つかった場合には、医療機関で受診するよう家庭に通知し、受診した児童生徒から、受診証明を受け取ることとなっており、未受診者に対しましては、繰り返し家庭に連絡し、受診をするよう指導しております。

 その結果、本市における健診後の受診状況につきましては、市教育委員会として小中学校全体の状況を把握している歯科におきましては、未受診率が18%、全体の状況を把握していないため一部の学校に聞き取りました眼科及び耳鼻科におきましては、約35%となっております。

 議員ご指摘の未受診者の実態把握についてでありますが、本市におきましては、これまでどおり、各学校が、実態を把握することとし、それに基づき適切に指導してまいります。

 また、高等学校の実態把握につきましては、県の管轄でありますことから、本市教育委員会としてお答えすることはできません。

 次に、「学校のICT化の対処法について」でありますが、ICTの活用につきましては、過度に使用すると目の健康への影響が心配されるということが一般的な受け止め方と認識しております。

 しかしながら、1人1台のタブレットが整備された学校を対象に行った国の調査によりますと、学校におけるICTの活用時間程度であれば、健康面への影響は生じることはないとの結果が出ており、本市のパソコンの配置状況や活用状況から見ますと、問題はないものと考えております。

 今後とも、学力向上のためICTを活用するにあたっては、目の健康に影響が出ないよう、教室内の明るさの調整等を行うとともに長時間使用する際には適宜休憩をとるなどの配慮に努めてまいります。

 次に、「道徳の教科化について」でありますが、道徳の授業は、社会の中でよりよく生きるために必要とされる生命の尊さや思いやり、友情・信頼、公正・公平などの道徳的価値について児童生徒が教科書をもとに、自分で考え、友達と話し合うことを通して、その大切さに気付いたり、自らの考えを磨いたりして道徳性を養うものであります。

 また、道徳の評価は、児童生徒の道徳性そのものを評価するものではなく、児童生徒の学習への取組状況や成長の様子を見取り、それを児童生徒に返すことにより、一人一人が自らの成長を実感し、今後の生き方につなげていくことを目的として行われております。

 学校における道徳は、このような授業や評価により道徳的価値の理解を深めるなど道徳性を養うものであり、一方的な価値観を押し付けるものではないと受け止めております。

 今後とも、道徳を通して、児童生徒の豊かな心を養い、未来を担う宮っ子を育んでまいります。

 次に、「小学校英語の教科化について」でありますが、新学習指導要領におきましては、年間70時間の英語の授業が実施され、35時間の授業が増加することとなりますが、本市におきましては、これまで国の標準時数を上回る時数の授業を独自に実施してきたところであり、これらの時間を充てることにより、新たに時数を増やすことなく、既に70時間の授業時間を確保することができております。

 また、小学校英語の教科化に向け教員研修を、平成27年度から計画的に実施し、英語指導力の向上に努めてまいりましたが、英語の授業を効果的に行うためには、ネイティブスピーカーや専門性を有する教員による指導が有効でありますことから、指導体制を強化するため本年度、ALTを市独自に46人に増員するとともに、専科教員につきましても、6名が県から配置されたところであります。

 国におきましては、来年度英語専科教員1,000人の増員を予算要求しているところであり、引き続き、県に対し配置を要望してまいります。

 
菊池教育次長


 「酷暑から児童生徒を守る対策について」ご質問にお答えいたします。

 まず、「エアコンの温度設定を柔軟に対応することについて」でありますが、本市におきましては、普通教室等へのエアコン導入時に、「学校施設空調運用マニュアル」を策定し、夏期におけるエアコンの設定温度を28度に定めたところであります。

 このような中、今年度、文部科学省が定めた「学校環境衛生基準」の中で、夏期における教室等の室温は、これまでの「30度以下」から「28度以下」であることが望ましいと基準が改正されましたことから、本市におきましても、設定温度ではなく室温が28度以下となるよう本マニュアルを改訂し、柔軟な運用を図ってまいります。

 次に、「黒球式熱中症指数計を全校導入することについて」でありますが、本市では、熱中症予防対策として、暑さ指数WBGTに基づき、運動等の実施を判断するよう繰り返し指導するとともに、熱中症計の活用を促進してまいりました。

 熱中症計には、暑さ指数WBGTが表示される以外に、日射や輻射熱を測定できる黒球式熱中症指数計や熱中症予防運動指針を超えるとアラームで知らせる熱中症計など様々な種類がありますが、機種の選択については学校の判断としており、今月中には、全校が熱中症計を導入できる予定であります。

 今後とも、熱中症計を有効に活用しながら、熱中症予防対策に取り組んでまいります。

 次に、「子どもの家等における猛暑対策について」でありますが、本市では、児童の良好な生活環境を維持するため、すべての子どもの家等に空調設備を配備しており、各子どもの家等は、状況に応じた適切な運用に努めているところであります。

 特に、夏期休業期間におきましては、利用児童が一時的に増加するとともに、今年は例年にない猛暑となり、適切な環境が保たれない状況がみられましたことから、空調設備が配備されている教室などを一時的に利用できるように、学校に協力を依頼したところであります。

 今後とも、利用児童の良好な生活環境を維持するため、子どもの家等の実態に合わせて、適切に対応してまいります。




荒川議員


 教育行政答弁、ありがとうございました。

 本来であれば、もう少し教育長とも論戦を行いたいところでありますが、残念ながら時間の関係で、今日は、次に移りたいと思います。

質問の最後に、
LRT事業をめぐって、今議会議案となっていますLRT整備事業用地取得、主に、下平出町の車両基地に関する用地取得について質問します。

 1点目です。議案は、清原工業団地デュポン株式会社所有の土地取得とM&Aコーポレーション所有の土地取得合わせて4億5000万余とし、それぞれの取得面積を示しています。しかし異なる場所の事業用地でありながら、個別の取得金額は、議案にはおろか議案関係資料もありません。私たちが知りえたのは先行するマスコミ報道でした。市民の血税の行方にかかわる議案です。市長、この議会や市民への不親切・不透明さは一体何ですか。何か不都合な真実でもあるのですか。答弁を求めます。

 2点目に、M&Aよりの土地取得金額は、坪当り13万2000円余となると思うが、この価格が適正であるという根拠について、近傍の地価公示価格や土地取引価格、土地代以外の金額の有無等も示されながら答弁を求めます。

 3点目に、この取得用地は、車両基地予定地の中で、第一種農地から唯一農地転用された土地です。調べれば調べるほどいわくつきの土地だと実感しています。

 例えば、この土地の一部は、平成7年8月、農振農用地にもかかわらず、転用許可を得ずに、居宅・プレハブ小屋・駐車場建設が明らかとなり、平成8年10月には県知事からの勧告書などの指導にもかかわらず、20年間も是正されず放置されてきました。それがLRT計画に歩調を合わせるが如く、平成27年、突然是正され28年にかけて農振農用地の除外・転用が駆け足で進みました。平成28年6月の郷間議員の質問に対する農業委員会委員長の答弁が、合法性を装いつつも時系列的に見ると疑問満載ですべてを物語っていますが、宇都宮の第一級の農用地が転用目的であるレクレーション施設やドライブインの影も形も現れないまま、20年間の不法状態を免罪して、農振農用地の除外が許される。この方法が可能なら、厳しいと言われる農振農用地の除外がいとも簡単に行えることになってしまうと思うがどうか、答弁を求めます。

 最後に、この議案については、議会としても公正で適正な土地取得とするために、車両基地取得分については、徹底調査と審議を行った上でその是非を決定すべきであります。 

 市長には、車両基地用地取得の議案部分は必要な情報を明らかにし、議会の徹底調査を保障するため、一時保留、或いは一時取り下げを求め、答弁を求めます。




飯塚建設部長

 
 「LRT事業をめぐって」についてのご質問にお答えいたします。

 まず、「財産取得の議案について」でありますが、用地取得の議案につきましては、今回の議案と同様に、議決に必要な事項として、取得の目的や価格、土地の所在地、面積、相手方などを記載しているものであり、土地価格などの詳細につきましては、議案の審査に必要な事項として、常任委員会においてご説明するなど、これまで適切にご審議していただいているものと考えております。

 次に、「土地取得価格について」でありますが、価格の算定に当たりましては、近隣の類似地域で行われた複数の土地取引の価格及び、近傍の公示価格を基に、不動産鑑定士2者により算定しました鑑定評価額を参考にして算出しており、適正な価格であると認識しております。 

 また、現地におきましてはネットフェンス等の工作物が存しますことから、土地代金とは別に物件移転等損失に関しまして補償を行っているところであります。

 次に「農振農用地区域からの除外について」でありますが、当該用地につきましては、ドライブイン及びレクリェーション施設の整備計画があり、土地改良事業におきまして当該用地の一部が既に非農用地に設定されておりましたことから、平成27年12月に農振農用地区域から除外したところであります。

 残りの用地につきましても、「農業振興地域の整備に関する法律」に基づく除外に必要な要件を満たしており、農業委員会への意見聴取や農業振興対策審議会への諮問を経て県と協議を行い、同意を得たことから、平成28年3月に農振農用地区域から除外したところであります。

 また、除外された農地につきましては、第1種農地にあたりますが、農地法の許可基準を満たしておりますので、農業委員会が農地転用の許可をしたものであります。

 今後とも、農振農用地区域からの除外に当たりましては、法に基づき適正に行ってまいります。

 次に、「LRT整備用地の取得に関する議案について」でありますが、用地の取得につきましては、適正な価格を提示し、地権者の方からも合意をいただいたことにより土地売買仮契約に至ったものであります。また、手続等につきましては、適正に行ってきたものと考えております。

 

 

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