2018年6月28日




荒川つねお議員の討論



 私は、日本共産党宇都宮市議員団を代表して、ただ今議題となっている、宇都宮市のLRTに反対し、公共交通を考える会より提出の「LRTの工事施工に関する『認可の取り下げ』の議決を求める」陳情第66号、並びに、宇都宮市のLRT問題連絡会より提出の「宇都宮市のLRT施設工事の中止を求める」陳情第68号について、不採択に反対の討論を行います。

 本市のLRT建設計画は、5月28日、JR宇都宮駅東口で起工式が行われました。陳情団体であるLRT問題連絡会のメンバーの皆さん等約40名が、会場の前で抗議のサイレントアッピールが行われました。起工式は、大テントと紅白幕で覆われて、市民からは式の様子が見えず、「これじゃ密室起工式じゃないのか」との声が上がったとのことであります。

 また、今議会には、仮称鬼怒川架橋工事の請負契約の締結について等LRT関連議案も上程され、鬼怒通りの中央分離帯の撤去工事も一部開始されるに至っています。

 今回のこの陳情審査にあたり、既に、決定・着工したのだから、陳情不採択は当然としたり、或いはやむなしの態度に立つことは、議員の皆さんの大勢ではないでしょうか。

 しかし、日本共産党宇都宮市議員団は、それには絶対にくみすることはありません。

 なぜならば、陳情の趣旨、特に第68号に見られる様に、例え市長がLRT建設計画を強行し、工事を着工してもそれでも圧倒的市民は市長にまだ、LRT建設に対するお墨付きを与えていないからであります。

 私は、本年3月議会の代表質問において、本市の日本初の全線新設軌道によるLRT建設強行は余りにも無理筋が多すぎるとして、特に4点を指摘し、このハードルクリアなくしてとても全国的教訓にはなりえないと指摘しました。

 それは、第1点として、市自治基本条例に背を向け、事業の前提に市民合意が存在しない。

 第2点として、平石中央小問題の原因は、この地域の軌道はまぎれもない新設専用軌道なのに、併用軌道と言い張る脱法的手法で辰街道との立体交差を拒否していること。

 第3点、東西一体で1000憶をもこえる軌道事業なのに、減価償却費を計上しない赤字隠し。

 第4点、駅東ルートは宇大周辺や北関東一の住宅団地である清原台を無視する等市民の生活の中を走るルートではなく、500億円もかけて、利用する市民は、1日わずか6400人の需要予測に見られる費用対効果も落第点。等の指摘であります。

 また、私は、「本市のLRT建設計画」から引くところの「市民合意なし計画」はイコール「大企業・ゼネコン・デベロッパー奉仕の公共事業」と指摘してきました。

 本市のLRT建設強行の中で、いま、はっきり見えてきているのは、いったい何かであります。

 それは、国と宇都宮市の合作により、大企業・ゼネコン・デベロッパー奉仕の新たな大型公共事業興しの試金石・突破口としてすさまじい執念で取り組まれてきたものであるということです。

 また、それ故に、国交省ひもつきの日本交通計画協会等のシンクタンクや事業に対する市民合意の大切さには目もくれない御用学者たちの蠢動を許し、求めてきたのが、本市のLRT計画の重要な一側面ともなっています。

 まさに、LRT建設に疑問・反対する圧倒的な市民とLRT建設を進める側のきわめて明瞭な構図が天下に露わになっていると思いますが、いかがでしょうか。

 市長は、「LRTはネットワーク型コンパクトシティを支える総合的な公共交通ネットワークの要として、必要不可欠な装置である」とくり返し強調しています。

 しかし、「LRT先にありき」を宿命とした本市のLRT計画は、県都宇都宮のまちづくりとの整合性は持ち合わせず、ネットワーク型コンパクトシティとLRTとの関係はあるのか?圧倒的市民にその答えは届いていません。私も理解に苦しんでします。ネットワーク型コンパクトシティの叫び声のもとで、宇都宮市は、LRT先にありきを媒体に新たな開発をよびこみコンパクトどころかさらなるスプロール化のまちづくりを促進するものになろうとしているのではないでしょうか。

 市長は、「市民理解を促進するため」として、市民のくらしや福祉にはのどから手が出るほど欲しい税金をふんだんに使い、あらゆる手段を使って、必死に広報・広告・説明にあたっています。

 しかし、市民の中でLRT熱烈歓迎の声はいったいどこに上っているのでしょうか。

 大歓迎の声を上げているのは、永く継続して公共事業を確保するための真岡線や鹿沼駅まで延伸を叫ぶ団体や事業者の一部などが主であります。

 私は、以上の指摘が違うというのであれば今からでも遅くはありません。市長は憲政の常道に則り、市民投票で、LRT建設合意過半数の客観的担保を内外に明らかにすべきであります。

 日本共産党宇都宮市議員団は、市民こそ主人公、市民の利益を第1に、市民の声を大切にする政治姿勢を貫き、圧倒的市民の声を代弁する陳情68号の陳情者の側に立ち、LRT工事着工したといえども、JR宇都宮駅西側計画を展望しつつ、市民の皆さんの声と要求に今後とも真摯に向き合ってゆく道を歩むものであります。

 また、陳情66号については、その主張の一部や表現を含めて、異を唱えたい部分もありますが、バスを中心とした公共交通ネットワークの構築について、私たちは、それにBRTを付け加えるべきと考えますが大筋賛成です。

 今議会で、福田くみ子議員も主張しました。少し、付け足しますが、「整備された大動脈基幹道路でありながら狭い大通りの車道を掘り起こして、LRTのために線路を敷き、電線地中化と言われている時代に、新たに電柱と電線が出現する。東京駅では電気バスが走り、間もなく、無人バスの時代も見えてくる近未来に、LRTは次世代型どころか、軌道の上しか走れない、軌道のある所にしか行けないむしろ時代遅れではないでしょうか。

 人口減少時代到来の中で、公共交通にはせる市民の願いは、LRTにかける巨大な税金の一部を回し、市民の切実な要求である高いバス代を引き下げ利用しやすくすることです。陳情者の提案する、時代の変化に柔軟に対応でき、市民の生活の中まできめこまかに走るバスを主体とした、いつでも行きたい時に行きたい所に行くことのできる公共交通網が確立される宇都宮にすることは、市民の願いに一致すると考えます。

 以上、陳情第66号並びに第68号を採択すべきとする意見を申し上げ私の討論といたします。

 議員の皆さんのご賛同を宜しくお願いします。





議会ホームへ