2018年3月23日
福田くみ子議員の討論
私は日本共産党市議員団を代表して、議案第20号一般会計、21号国民健康保険、22号介護保険、24号後期高齢者医療の各予算案4件と、41号介護医療院の基準、42号地域包括ケアシステム関連、43号介護保険料引き上げ、44号国保広域化、48号LRT整備基金条例の5件の原案に反対する討論を行います。
まず、議案第20号一般会計、21号国民健康保険、22号介護保険、24号後期高齢者医療の各予算案4件と48号LRT整備基金について、予算の面から反対の理由を述べます。
まず、歳入から見てみます。一般会計における自主財源比率は、前年比0.2%減の59.7%となり、H21年には68.8%を占めていた自主財源比率は、この10年で9.1%も下がり、下落傾向に歯止めはかかっていません。国税である所得税から地方税の住民税へと税源移譲がなされてきたにもかかわらず、自主財源比率が低下の一途をたどっていることは、危機的な状況と言わざるを得ません。さらに、歳入の根幹をなす市民税のうち個人市民税は、0.9%減と見込まざるを得ない点でも、市民のふところは決して温かくなってはいない、アベノミクスの恩恵は庶民には届いていないことを示しています。
そのような中で、佐藤市長は、新年度予算について過去最大の予算規模であると胸をはっておられますが、国県からの補助金や負担金が全体の規模を押し上げているだけであり、その主なものは、未だ市民合意が確認されていないLRT事業関連であることをまず指摘したいと思います。
次に歳出について具体的に指摘します。
第1に、市長が身の丈の事業と言ってはばからないLRT事業関連費用203億9441万余は認められません。ここには議案48号のLRT整備基金として積み立てられる県からの60億円が含まれています。未だ市民合意の確認なしの事業であること、市民の目をごまかす上下分離方式、根拠の正確さを欠く需要予測、地権者への丁寧さを欠く説明、職員のパワハラ報道に見られるように、市民に歓迎されない事業の強引な進め方は、市民にも職員にもさまざまな矛盾を引き起こしています。
第2に、宇都宮駅東口整備費として事業者選定や交流広場の基本設計の委託費に20,98万円余が計上されています。2000名規模のコンベンション施設を中心としたありきたりの駅前開発は、すでに破綻しており見直すべきです。
第3に、くらしに身近な予算が軒並み削られている点です。安心安全対策費2500万円減、支所及び出張所費1億2000万円減、男女共同参画費110万円減、国際化推進費50万円減、青少年健全育成費50万円減、ごみ減量化推進費550万円減、資源化推進費100万円減など、肥大化するLRT予算に圧迫され、身近な暮らしの予算はやせ細っています。
第4に、国民健康保健の保険者は県になりますが、賦課徴収は市が行います。新年度から解消された3歳までの子ども医療費無料化のペナルティ分2800万円は、被保険者の保険税軽減に回し、高すぎる保険税を引き下げるべきです。多子世帯の重い負担となっている均等割りの免除等の対策はすぐにでもできます。また、議案第44号の国民健康保険広域化によって構造的問題は、解決しません。むしろ地域特性に応じた自治体の自主性が損なわれ、一般会計からの政策的な繰り入れが抑制されることが懸念されます。構造的問題を解決し文字通り国民皆保険として生かすためには、福田富一知事も言われているように1兆円以上の国の支出が必要です。
第5に、マンパワーの不足です。行政改革の名のもとにすすめられてきた職員定数の削減は、限度を超えており非常勤も含めた予算定数は前年比111名分が削減されます。とりわけ、消防職員、保健師、消費生活相談員、図書館司書、生活保護ケースワーカーなどの専門職員の配置は、不十分です。
第1、第2で指摘した2つの大きなムダ遣いをやて、高齢者の運転免許返納制度とバスカード「いきいき70」の拡充、地域内交通の地元負担の軽減や制度改善、児童相談所の設置に向けた取り組み、子どもの貧困対策の拡充など待ったなしの課題に回すべきです。
最大の無駄使いLRTの工事施工認可が下り、莫大な予算の投入が始まります。一方で身近な福祉やくらしの予算を削られる現状に、重大な懸念を持っています。人口減少と超高齢化社会を迎えるにあたって、今必要とされている課題を先送りし、土木建設事業に桁違いの予算を投入している場合ではないことを声を大にして訴えます。
次に、地域包括ケアシステムに関連した議案である41,42,43号について、反対の理由を述べます。
まず、地域包括ケアシステムの本質について述べます。安倍政権は、社会保障予算を削減の標的にし、社会保障の「自然増」の削減を毎年続けてきました。社会保障費は、昨年8月の概算要求段階では、6300億円と見込んでいた「自然増」を薬価や生活保護費などで1300億円削減し、5,000億円以下に絞り込みました。安倍政権下でのこの6年で、「自然増」削減の合計額は1兆5900億円にのぼります。
このように、社会保障費削減を目的に、「我が事・丸ごと地域共生社会」などという、耳障りに良い合言葉のもとに進められているのが地域包括ケアシステムです。それは、効率化、生産性の向上、自助、互助、地域住民の助け合いを最優先に求め、公的責任を後退させ、福祉・介護費用の抑制を狙ったものであり、本市の社会福祉のあり方を大きく変質させるものであることをまず、指摘いたします。
議案41号は、介護療養病床を廃止し、介護医療院の基準を定める条例です。介護医療院とは医療を提供する介護施設であり、財源は保険料に跳ね返る介護保険です。医療難民と介護難民を増やす重大な内容です。
議案42号地域包括ケアシステム関連の条例は、「共生社会」などという美名のもとで、高齢者と障がい者が同一の事業所のサービスをうけられるようにするための規制緩和がその主な中身です。高齢者の介護と、障がい者のサービスとは、その理念も専門性も全く別のものであり、サービスの質の低下が懸念されます。
議案43号は、介護保険料の平均月750円の引き上げ、利用料の一部3割自己負担が盛り込まれています。収入のない第1号区分被保険者でさえ軽減されても年間1400円引き上げられます。格差が広がるばかりの経済状況の中での介護保険料の引き上げは認められません。
以上9件の原案に反対する理由を述べました。議員の皆様の良識あるご判断を期待いたしまして、討論といたします。