2017年9月12日
荒川つねお議員の一般質問
荒川議員
発言通告に基づき、市民の皆さんの喜怒哀楽をしっかり受けとめ、共感し、その目線から質問します。明快な答弁を求めます。
本市のLRT建設計画は、国への施行認可申請という重大な局面を迎えています。
その上に立って、LRT建設計画と市民合意に関してから質問を始めます。
今議会市長答弁や市広報紙でもLRTは「未来」への投資とか盛んに未来・未来と強調されています。「未来」の大安売りの観がします。確かに市民にとってLRTの未来には希望が必要でしょう。しかし、需要予測で明らかなように、圧倒的市民が乗らない、乗る必要のないLRTが駅東口からテクノポリスまで一目散に走ったからといって、52万市民の多くがLRTの未来に何を夢見、何の希望を持てと言うのでしょうか。市民合意なきLRT建設を進める市長にまず答弁を求めます。
また、LRTノーの民意が明らかとなった市長選結果を受けて、異常ともいえる広報・宣伝活動を展開されて来ていますが、この効果は確認されましたか。具体的・客観的根拠に基づいて答弁を求めます。
次に、市民合意の有無には様々な側面があります。LRT計画ルート上の地権者への説明と測量はどこまで行われましたか。学童の安全対策を求められている平石中央小周辺の住民の皆さんとの合意、全網付軌道による集落分断は地域の了解が得られたのですか。
次に、国会審議の中で、一日のLRT乗客のうち、宇都宮市民は80%と市から聞いているとの政府委員の答弁がありました。需要予測は片道1日8000人ですから6400人の市民利用者のために、約500億円を使うということは、最大の費用で最小の効果の事業となるが、どの様に市民に説明し合意が得られているのか答弁を求めます。
市長
まず、「LRT建設計画と市民合意に関して」のうち「未来への希望について」でありますが、本市におきましては、人口減少、少子・超高齢社会において、持続的に発展できるよう、南北方向の鉄道と東西方向のLRTを基軸とした総合的な公共交通ネットワークを構築することにより、子どもや高齢者、障がい者など、誰もが安全で快適・自由に移動ができ、また、人や企業、コミュニティなどの活動や交流が活発化し、本市に笑顔やにぎわいが満ちあふれ、市民の皆様が「しあわせ」「たのしい」「ゆたか」と実感できる「交通未来都市うつのみや」の実現を目指しているところであります。このような将来像を市民の皆様と共有しながらLRTの整備に取り組んでまいります。
次に、「広報活動の効果」についてでありますが、これまで、LRT事業につきましては、様々な手法により市民理解の促進に努めてきたところであり、特に、昨年12月以降、情報発信を強化してきた中で、本年3月以降に開催したオープンハウスにおきましては、1日当たりの来場者が以前と比べ大幅に増加したところであり、また、「バスや地域内交通からの乗り換え方法」や「ルートや料金」、「開業時期」など、実際のLRT利用を想定した質問が数多く寄せられるなど、LRT事業の推進につきまして、多くの市民の皆様方にご理解をいただいているとともに着実に期待感が広がっていると認識しております。
建設部長
「LRT計画ルート上の地権者や周辺住民からの合意について」のご質問にお答えいたします。
用地取得につきましては、事業実施の認可後に行なうこととなっておりますことから、地権者の方々にはこれまで事業内容や用地取得、補償に関する考え方などにつきまして説明会等で段階的に説明するとともに、最新の情報などを記載した「チラシ」の戸別訪問による配布などを通じて個々の事業に配慮した説明を行ってきたところであります。
このような中、地権者の方々からは、「早く事業を進めてほしい」、などといった事業の早期実現を求める方が多くいらっしゃる一方で、用地取得に伴う生活環境の変化に対する不安を抱く方も一部いらっしゃいますことから、事業に対する理解をより一層図るため、地権者の個々の視点に立った、わかりやすい、丁寧な説明を行い、事業が円滑に進みますよう取り組んでまいります。
また、「平石中央小学校周辺の皆様との合意」につきましては、これまで沿線のそれぞれの自治体の皆様に対しまして、地域の皆様がより安全・安心で便利に利用できる生活道路や歩道、軌道の横断箇所につきまして意見交換会等を行いながら、ご理解をいただけるよう進めてきたところでありますが、全ての不安の解消には至っていない状況でありますことから、今後とも、意見交換を重ねながら、ご理解いただけますよう取り組んでまいります。
次に、「費用と効果の説明と合意について」でありますが、本市におきましては、「ネットワーク型コンパクトシティ」の形成に向けまして、鉄道やLRT、路線バス、地域内交通などが連携した階層性のある公共交通ネットワークの構築に取り組んでいるところであり、それぞれの公共交通が効率的に連携することにより、ネットワーク全体での利便性が向上するとともに、多様な移動手段が確保されるなど、多くの効果が期待されるところであります。
こうした効果などにつきまして、オープンハウスをはじめとした様々な手法により多くの方々にご説明しご理解いただいているところであり、今後ともより一層理解が進みますよう丁寧な説明や意見交換を行いながら事業を推進してまいります。
荒川議員
それでは、再質問いたします。
いずれにしても、国会の審議などを見てみましても、宇都宮市のLRTの最大の弱点は市民にきちんとLRTについての諾否をとっていないと、とる気もないと、ここのところが問題であります。
国のほうから、住民合意についてはもっときちんとやるようなところで助言はすると、このような答弁もありましたが、そのような助言は国からありましたか。
飯塚建設部長
今回の工事施行認可の申請などに至る過程において、国の方々とも情報をお出ししたり、協議調整を行ったところにおいても、市民合意の形成に向けては、引き続き取りくんでいくようにご指摘、御指示をいただいているところですので、本市全体といたしまして、市民理解の促進に今後も努めてまいりたいと考えております。
荒川議員
私どもも、国のほうにも申し入れを行ったのですが、理解促進とか何とかではなくて、客観的な市民合意の担保を宇都宮市に出してもらいなさいと、国には求めてきたのですが、そこまでの話は恐らく国もしてきてはないと思うのですが、いずれにしても、ここのところが問題なわけです。
それで、時間もないので1つだけお聞きしたいと思うのですが、先ほどの市長の答弁との関係で、これは下野新聞の5月19日付ですが、LRT巡回、先ほど言った来場5割増、関心が高まっていると。肯定7割、反対意見も出たと。先ほどの話を裏づける中身と思うのです。
そこでお聞きしたいのですが、肯定7割と言っているのですが、これはここに来た人に、最後に、どうですか、LRT、御理解いただいて賛成ですか、反対ですかというアンケートか何かをとって確認をしたのですか、この数字は。
飯塚建設部長
オープンハウスなどに来ていただいた方にいろいろなお話を聞いていく中で、事業に対するお考えを聞き取りにより把握したところであります。
ですので、LRT事業については賛成だとお聞きした上で、統計としてとったものであります。
荒川議員
そういう点では、本当に客観性には劣るということだと思うのです。
それで、一方で、きのうも宇賀神議員からも話がありましたが、シール投票をLRT問題連絡会ではやっていまして、5月の始めから毎月やっているのですが、これは何回やっても、反対という人が70%近く出ているのです。これもこういうふうにやれば客観的な根拠の一つにはなるのです。
だから、そういう点においても、LRTの合意との問題では、賛成という客観的な担保は何一つ持ってないということが言えるし、客観的な担保も求めようとしない、知ろうともしないということではないかと思うのです。
こういう中で、今後の施行認可になるわけですが、LRT問題連絡会では、LRTルート沿線の地権者の皆さんに対する意向調査などもやりました。まさかこのようなこともきちんと全体の対象にやるなどということは宇都宮市はやってないと思うのです。
こういう中でも、先ほどの答弁とはちょっと違って、LRTについては大変な心配をしている人、LRTそのものに反対をしている、こういう沿線の人たちもたくさんいたと。これもアンケート結果として出ています。時間がないので、詳しくは必要なら後でお示ししますけども。
それから、平石中央小学校地区周辺の住民の皆さんも、今の安全対策では絶対にだめだと。何で国の鉄道省令に基づくような軌道でありますから、遮断機がないなどということではなくて、道路との立体交差をしなくてはならないという、鉄道省令第39条に基づいたものでやってくれないのだと。こういうことを言っているわけですから。こういうことの関係でも、ただ、こちらの結論だけを押しつけるだけでは住民合意は得られない。で、現実に得られていないと、こういう状況にあるのではないかと思うのです。
ですから、こういうような状況にあって、施行認可を出すなどというのは時期尚早と。もっと丁寧な説明なども含めて行って、そして、最後には市民の皆さんの民意をきちんと確認して、そして、最後の施行認可をしていくと。これぐらいの冷静な行動が必要なのではないかと思いますが、その気がないのだったら、答弁は結構であります。どうでしょうか。
飯塚建設部長
工事施行認可を申請するに当たりまして、市民の理解をとっていくということは大命題だと思っております。
平石関係の地権者、また、周辺の皆様に対しましても、丁寧な事業の説明、いろいろな安全対策について御説明申し上げまして、引き続き、御理解いただけるように努めながら、事業の推進に向けて頑張ってまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
荒川議員
市民合意を得るというのは、市民に寄り添って市民の声を良く聞くと、これが大前提です。こちらの考えを押しつけても、LRTはもう絶対やるのだから、それを理解してなんてものは、先ほどのシール投票にもあらわれているように、そのようなことでは市民の理解は深まらないと、こういうことだけ付け加えておきたいと思います。
第2に、LRT建設計画と市民の暮らしに関して質問します。LRT建設にかける税金は駅東ルートで、消費税を含めると現時点で約500億円です。これは1km当たり約33億3000万円、たった1mに333万の建設費です。こうしたLRT偏重市政は、地方自治の本来の仕事である住民福祉の向上・充実を後景に押しやっています。いま、本市市政に最も必要としている保健師等のマンパワーの抜本的増員、地域包括ケアシステム体制の強化・充実等の市民の願いを押し潰してはいないのか、答弁を求めます。
次に、市長は、子どもから高齢者まで誰もが活発に外出や交流ができる交通環境の創出が不可欠としてLRT導入をバラ色に描いています。しかし、現LRT導入計画区間で、LRTがそのような交通環境の創出に寄与できる筈がありません。LRTの停留所まで多くの高齢者はたどりつけません。
今、とりわけ高齢者の皆さんが、市の外出応援で望んでいるのは、外出を躊躇させる高いバス代を何とかしてほしいということです。
その施策はあります。私もこの場から、議会特別委員会も市長に提言しています。全国多くの市で高齢者の皆さんに喜ばれているお出かけ定期券は、年間わずかな負担でどこから街中に出かけても片道バス代100円です。シルバーパス制度も行われています。また、鶴田駅、江曽島駅、西川田駅周辺の高齢者障がい者の皆さんは、エレベーターを設置してもらい、安い運賃の鉄道を利用したいと望んでいます。また、自動車免許を返納した高齢者への無料バス生涯定期券発行などの応援です。宇都宮の高齢者の皆さんが必要としているのは、こうした外出応援ではないでしょうか。
市長、LRTが走るのを待たねばならない理由は全くありません。LRTには巨額の貯めこんだ基金まで取り崩しながら、一方では年間たった一回の5000円バスカードで、いつまで高齢者の外出支援をがまんさせているのですか、答弁を求めます。
保健福祉部長
「LRT建設計画と市民のくらしに関して」のご質問にお答えいたします。
本市におきましては、今後とも持続的に発展していくため、「ネットワーク型コンパクトシティ」の形成に向けて、健康づくりや福祉、子育て・教育の充実をはじめ、地域経済の活性化や安全・安心な生活環境づくりなどに取り組んでいるところであります。
保健福祉分野におきましては、身近な場所での健康づくりや介護予防の推進、障がい者の地域生活支援体制の構築などに、取り組んできたところであり、議員ご質問の保健師等の増員や地域包括ケアシステムの強化・充実につきましても、今年度、新たに保健師を2名増員するとともに、「地域包括ケア推進室」を設置し、取組の強化を図ったところであり、今後とも、市民が住み慣れた地域で安心して生活ができるよう、取り組んでまいります。
次に、「高齢者の外出応援について」でありますが、本市におきましては、外出が消極的になる高齢者を対象に、外出するためのきっかけを提供し、社会参加の促進や健康づくりに繋げていくことなどを目的として「高齢者外出支援事業」を実施しているところであります。
この事業につきましては、これまで、助成対象年齢を引き下げるとともに、地域内交通への適用対象の拡大など、公共交通機関の整備に併せた事業の拡充を図ってきたところであり、今年度は、6月に試験運行を開始した清原南部地域の地域内交通について、事業への追加を検討しているところであります。
本市といたしましては、高齢者の外出を一層促進していくためには、公共交通の充実など、誰もが移動しやすい環境づくりに取りくんでいくことが重要であると考えておりますことから、将来の公共交通ネットワークを具体化する中で、公共交通空白地域の解消や定時性・速達性の向上などになお一層、取り組んでまいります。
さらには、バス路線とLRTや地域内交通等との乗り継ぎなど、連携の強化や公共交通の利用者負担についても検討しながら、引き続き、誰もが移動しやすい、公共交通ネットワークの構築に努めてまいります。
荒川議員
それでは、再質問を行いたいと思います。
まず、一番訴えたいことからお聞きしたいと思うのですが、とりわけこの間、高齢者の皆さんの運転で重大事故などが起きて、私もこの間、70歳の高齢者研修を受けなくてはならなくて行ってきたのですが、75歳になるともっと大変になるようであります。要するに、そういうことも含めて、もうそろそろこの辺で運転免許証を思い切って返納しようかというときに、今や、もう県内でも19市町村でそれに対する支援策がさまざまな形でやられています。
鹿沼市ではリーバスという市のバスが走っているので、それについては生涯無料乗車券です。せめてこの大宇都宮が、そして、先ほど言ったようにLRTには大変なお金をかけるのには糸目をつけないで、こういう今、切実な問題にはやる気は全く今ないのですか。
伊沢市民まちづくり部長
高齢者の運転免許証自主返納の促進におきましても、公共交通の整備など、誰もが移動しやすい環境づくりをすることは、自主返納につながるきっかけづくりにつながり、大変重要と考えております。したがいまして、公共交通の整備と自主返納につながる具体的な支援事業の検討を早期に進めてまいります。
荒川議員
一刻も早く、鹿沼市に負けないような、ひとつ制度をつくってもらいたいと思います。きょうにも免許証を返納をしたいと思っている人がいるのですから、そういう立場で計画は早くやってください。お願いしたいと思います。
次の再質問ですが、先ほどの話では、福祉のほうにはことし2名増員したという話がありました。2名で胸張れるのでしょうか、2名で。せめてこれだけの宇都宮市がやるのですから、松本市ぐらいの地域保健師は、人口との関係で匹敵するぐらいのところまでは宇都宮市いってくださいよ。宇都宮市は市立の高校も、もちろん市立の大学も、市立の病院もないのですから、こういう中で財政力指数だって高いのです。
ですから、今、頑張ってやっているところもありますが、市民のくらしや福祉の問題で、宇都宮市の財政力があればもっとやることができるのではないですか。これは意見にしておきます。すぐにはふえるなどという答弁にはならないでしょうから。肝に銘じておいていただきたいと思っているのです。
それで、もう一つは、外出応援なのです。外出応援の中での、先ほど言ったように、おでかけ定期券の問題ですが、LRTができて、ICカードを使ったり何をしても、地域のバスを使って300円、そして、バスに乗って300円、そして、LRTに乗って最低でも200円、800円かかってしまうのは、どれだけ安くしても、それは100円にならないでしょう。
今、必要なのは、お出かけのきっかけづくりは、私は大評価します。もう十分に成功しています。だから、もういつまでも、10年もたつのに、お出かけのきっかけづくりですよなんてことで胸を張っていたのではだめなのです。さらなる高齢者の外出支援に、ほかでやっていることなのだから、まちの中に出かけていくのであれば、100円でやるぐらいのものはやろうよと。何もLRTを待つ必要はないと思うのです。どうでしょうか、市長、決意のほどは。
酒井保健福祉部長
今、議員からお褒めいただきました地域内交通なども含めた外出のきっかけづくりについては、従来、バス乗車券だけを対象としていた際には、タクシーにも助成を広げてほしいみたいな声がなかなか聞こえてきたところですが、地域内交通が充実してまいりまして、そういう声もだんだん少なくなってまいりました。
また、地域内交通ができて、幅広く外出の支援ができるようになったということで、現在、地域内交通の未導入の地区にも広めております。こういった広まった時点では、まだ申請の率も残念ながら、なかなか少ないところにありますので、できれば皆さんに申請していただいて、外出のきっかけとなるような仕組みとして、今後も続けてまいりたいと考えております。
また、LRT、あるいはICカードの導入が今後予定されていますが、そういったものを踏まえながら、本市にふさわしい事業を模索してまいりたいと考えております。
荒川議員
75歳、70歳でもいいのですが、以上の高齢者には、地域内交通も100円、そして、乗り継いでいくバスも100円となれば、集まらないなんてことはないです。どんどん登録者はふえます。それは施策がだめだからなのです。と思います。
地域内交通などについても、確かに全域に広がりつつありますが、改良の余地はまだまだあると、私は問題意識を持っているところであります。
第3に、LRT建設計画と市民負担についてです。
市民がホントウに知りたいのは、LRT建設によって市民負担はどれだけあるのかです。市の広報誌などの説明では、年当たりの費用は最大で13億円(20年間)、増税や新たな負担はありませんと言っています。上下分離方式による上部の宇都宮ライトレール株式会社は1年目から黒字と宣伝されています。
しかし、そこにはからくりがあります。上下分離しても合わせてLRT事業です。市民負担の説明では、減価償却費分を含めて行うのは当然です。減価償却費は、車両の買い替えや鉄道施設の維持費などを毎年、積み立て将来に備えるためのものであります。ところが本市のLRT事業は、この減価償却費を見込まない方式をとり、道路や橋と同じ公共事業として対応すると言っています。しかし、どの方法でもLRTを導入する限り新たな市民負担があることは認めるべきと思うがどうか。他の鉄道・軌道事業で、減価償却費の計上していない事業体がありますか。また、本市の少なくとも458億円(税抜)かけるLRT事業について、仮に減価償却費を試算すると、毎年どれくらいの金額(概算)になりますか、合わせて答弁を求めます。
建設部長
「LRT建設計画と市民負担について」のご質問にお答えいたします。
まず、「新たな市民負担について」でありますが、LRT事業におきましては、将来にわたり、効率的・安定的な運営を確保できますよう、「公設型上下分離方式」を採用し、軌道や停留場等の施設、車両などの整備や維持更新につきましては、本市と芳賀町が担うこととしており、その維持更新費用につきましては、適宜、議会をはじめ、市民の皆様にお示ししてまいります。
次に、「他の鉄道・軌道事業における減価償却費の扱いについて」でありますが、行政が減価償却費を計上していない事例といたしまして、鉄道事業では、東北新幹線の延伸とともに並行在来線を第3セクター化した青森県の「青い森鉄道」、また、「軌道事業では、環状線化事業において「富山地方鉄道」が運行し、富山市が施設の保有を行った事例などがあげられるところであります。
次に、「減価償却費の試算について」でありますが、各種施設の維持更新に要する費用につきましては、適宜、市民の皆様にお示ししていくとともに、維持更新の仕組みの「見える化」を図るなど、「公設型上下分離方式」の意義とあわせて、より分かりやすい説明に努めてまいります。
荒川議員
それでは、再質問いたします。
一般会計のほうで維持修繕費などについてはやっていくのだと。四百八十何億円ものお金をどのようにこれから手当てをしていこうとするのか、全く今の話はわかりませんが、いずれにしても、今の話でも明らかなように、LRTを導入しないのではなくて、導入をすれば、もちろん毎年13億円ずつ返していく以外に、維持修繕のためのお金は、導入すれば当然必要になってくる。これは最終的には市民が負担をするということになっていくのだと。つまり、LRTを導入すれば、それは当初の13億円だけではなくて、維持修繕を含めるお金も出るというのは、今の答弁ではっきりしたと思うのです。LRT負担はそれだけではないということははっきりしたのではないかと思います。
それで、優秀な市の職員の皆さんであれば、LRTの場合に減価償却費は一体どのくらいかかるのだろうか。だというふうにしたならば、どれくらいかかるのだろうか。このようなことはとっくの昔に計算をしているのではないか。ところが、それについては今も言いませんでした。
そこで、時間が押しているものですから、ざっくばらんにお聞きをしたいと思いますが、宇都宮市の経理に明るい専門家の皆さんにお聞きをいたしました。
法人税法上の法定耐用年数、定額法で計算すると、年間16億円の減価償却費が算出される。だから、これを計上すれば、14億円ないし10億円の赤字だと。何でこのような状況になるのか。これは収入に対して投資額が過大すぎるからなのだと。営業係数というのがあるそうでありますが、これで、宇都宮市でいうと償却前が0.78だと、それが償却後だと2.47倍になると。すなわち1.0で損益ゼロなのだけれども、宇都宮市の場合には、マイナス2.47倍になっているのだと、こういうことをお聞きいたしました。
それは確かにわかるのです。短い区間でたくさんの人が乗れば、利益も上がりますけれども、だらだらと長い15キロメートルのところに、乗る人が少なければ、当然コストは大変大きなものになると、これははっきりしていると思うのです。
ですから、そういう中で結局、年間のLRTの上部から入ってくる9,000万円では当然足りなくなると。ですから、償却資産400億円を40年で償還すれば、年間10億円をプールしなければならないのだということを言っているのですが、減価償却ということで考えれば、数字には若干の異論はあるかもしれませんが、こういう考えでいいわけですよね、LRT導入をしていけば。
飯塚建設部長
維持更新については、レール、橋梁など、それぞれに一般的な耐用年数があります。橋梁ですと50年はもつということになっています。ですから、そういった長期的な維持管理をどうするか。そういうことをいかに効率的にやっていくかということを今、検討している最中でありますので、そういう点では、議員のおっしゃるのと同じ内容ですが、維持更新に対しての市民の負担ができるだけ少なくなるようには検定してまいりたいと考えておりますし、その仕組みについても、明らかになりましたらば、市民の皆様に議会とともにお知らせしていきたいと考えております。
荒川議員
いずれにしても、どういう会計をやるにしても、そういうものが必要なのだと。これについてははっきりしたと思うのです。
それで、結局それはどういうことなのかというと、先ほど言ったように、大変投資額は多くて、LRTは、減価償却費を入れれば大赤字だと。それを負担するのは、宇都宮市民と芳賀町民が、これから維持していく限りは、どういう方法にしても負担していくのだと。こういう覚悟が、宇都宮市民や芳賀町民にこの問題でも必要だと思います。
そういう点では、負担はありませんではなくて、こういう負担はあるのですが、これは甘んじて市民の皆さん全体で支えてくださいというようなお願いをするべきだと思うのですが、端的にどうでしょうか。
飯塚建設部長
答弁でも一部ふれましたが、公共施設の整備、維持更新、管理については、市民の皆様のご協力を、ある程度の負担をいただきながらやっていくということについては、変わりないところであります。
内容については、また、上下分離方式の仕組みとともに、議会と市民の皆様にわかりやすくお伝えしてまいりたいと考えております。
荒川議員
ついでですので、もう一言述べて、次に移りたいと思います。
宇都宮市では、長寿命化計画ということで、もう今、既に宇都宮市にある膨大なインフラをどうやってこれから一般会計からのお金を入れて維持していくかというのに、大変頭を抱えていると思うのです。
そういう中で、宇都宮市では維持計画をつくりまして、当初だったならば、1兆円くらいかかるお金を詰めに詰めて8,000億円くらいまで長寿命化でインフラの修繕などのお金を何とか抑えに抑え込んでやろうとしている。
今、宇都宮市の財政はこういう状況です。こういう状況で、一般会計から減価償却費に見合うようなお金を今後出していくなんていうことは、とても無理な話ではないかと、このように指摘をしておきたいと思います。
第4に、LRT建設計画に反対する市民団体への「偽計業務妨害」よばわりについてです。
2017年7月20日、LRTの中止を求める会の代表と市LRT担当者との事務折衝が行われた際、LRT問題連絡会が実施した「JR宇都宮駅東側地権者・沿線住民アンケート調査」について、市LRT担当者から「偽計業務妨害として調査を行っている」との重大発言がありました。
辞書によると偽計業務妨害とは、「虚偽の風説を流し、 人を欺罔、誘惑し錯誤・不知を利用する違法な手段で業務を妨害すること」とあります。
権限・情報・財源など全てを掌握して仕事をしている宇都宮市が、行政の一事業計画に異論を唱える一市民団体に対して法的手段を検討していると発した行政姿勢は、正当な市民活動を犯罪視し、恫喝し、行政の意に反する市民の排除以外の何ものでもない。
この前時代的、強権的態度は戦後地方自治や民主政治とは全く相容れないものではないのか、答弁を求めます。
建設部長
「LRT建設計画に反対する市民団体への発言について」のご質問にお答えいたします。
「偽計業務妨害との発言」につきましては、本市といたしまして、市民団体が実施したアンケートなどの活動に対しての制限を意図したものではありません。
この市民団体が実施した「JR宇都宮駅東側地権者・沿線住民アンケート」につきましては、「地上げ屋が横行する」、また、「行政が最終的には脅しをかける」などの市民に不安を生じさせるような事実でない記載内容が含まれており、アンケートの対象となった地域の市民からは、その手法や記載内容などに関して、懸念や不安の声が市に寄せられたところであります。
これらを踏まえまして、本市といたしましては、各政党や市民団体の窓口である方との面談時におきまして、アンケートの記載内容に関して、例えば「偽計業務妨害」など法的な問題の可能性も含め調査検討せざるを得ないとの事情を、お伝えしたものであります。
荒川議員
では、再質問いたします。
そういうことで、調査をして偽計業務妨害に当たるという調査になったのですか、調査結果はどうなりましたか、簡単で結構です。
飯塚建設部長
調査検討はしている最中でありますが、このような市民活動が継続して行われ、市民が不安に陥ることとか、気持ち的に、精神的に疲れてしまうなど、そういうことが継続すれば、偽計業務妨害的なことになると判断しているところであります。
荒川議員
私もアンケートは見ましたが、アンケートでは、それを読んで何かわからないことがあったならば、場合によっては、市のほうにも意見を聞いてくださいと。ここまで懐の大きな立場でアンケートは書いて行なっております。
そういう点では、行政がこのようなことで偽計業務妨害だなんていう大げさなことを言って、住民を脅かすなんていうのは、これはとんでもない話だと。もう一回ここのところは民主政治の大もとを勉強し直してもらいたい、このように思うのです。
いずれにしても、巨象にアリが食いついたぐらいの話でしょう。それを大げさに言っているような話です、これは。これは私の意見ですので、そういうことを申し上げまして、時間がないので、次へ移ります。
第5に、LRT建設計画とネットワーク型コンパクトシティ・西側延伸論とのかかわりについて質問します。
本市では、ネットワーク型コンパクトシティとして各種の都市機能を集積した地域拠点を14カ所に設定し、さらに産業拠点を8カ所、観光拠点を1カ所設定しています。このように、各種拠点を広範に設定することは、「コンパクトシティ」の基本的な構想である、分散型都市構造ではない集中型都市構造に反するのではとの声がある、またJR宇都宮駅東側15kmが優先整備、西側もわずか3kn、この一直線ルートのLRT導入計画がNCC構想とはまったく結びつくものではないと思うが見解を求めます。
次に、西側延伸論とのかかわりですが、その典型が栃木県LRT研究会の本年3月「LRTの導入・整備に関する研究報告書」にあると思います。「将来的には既存の鉄軌道、西方面は、JR、東武鉄道の鹿沼駅、東方面は真岡鉄道と結ぶ構想ですが、人口減少時代に私には信じられぬ構想です。ただはっきり言えるのは、大企業・ゼネコン・デベロッパ等の利益を代弁する、超長期的にLRT事業を続けようという公共工事拡大構想であると考えるが、市長の見解を求めます。
次に、下野新聞8月29日付は、「護国神社以西に延伸、宇都宮市長、複数案検討、年度内にも計画案」との報道がありました。これは、市民や国への申請では桜通り十文字付近から駅東テクノポリスまでという、いわば土俵の丸を決めておきながら、まだ、そこでの相撲も取りきらぬうちに市長が勝手に土俵を後へ後へ広げているこのありさまは市政専横ではないのか。まずは、JR駅から桜通り十文字までを含めた総事業費をはじめ全容を明らかにし市民の合意を得ることが市長のなすべきことと思うがどうか。
また、先に「駅西側におけるLRT導入後の将来の公共交通ネットワークイメージが示されたが、駅前大通りをLRTと並走するバス路線はどこ行きの路線か具体的に答弁下さい。
総合政策部長
「LRT建設計画とネットワーク型コンパクトシティ・JR宇都宮駅西側延伸論とのかかわりについて」のご質問にお答えいたします。
まず、「LRTとネットワーク型コンパクトシティについて」でありますが、本市におきましては、これまでの地域の成り立ちや基盤整備の状況を踏まえ、それぞれの地域の維持・発展をめざし、本市独自の多核連携型による都市空間を形成する「ネットワーク型コンパクトシティ」を都市の将来像として掲げており、平成27年に策定いたしました「ネットワーク型コンパクトシティ形成ビジョン」におきまして、拠点間を結ぶ公共交通ネットワークの基軸となる基幹公共交通として、南北方向の鉄道と併せて、東西方向のLRTを位置づけているところであります。
次に、「栃木県LRT研究会の研究報告書について」でありますが、栃木県商工会議所連合会や栃木県経済同友会などの経済団体で組織する「栃木県LRT研究会」の報告書におきましては、LRT事業の宇都宮都市圏全体への経済波及効果等を勘案し、中長期的な取組といたしまして、鹿沼方面、真岡方面への延伸についての提案がなされたものであり、この提案は、LRT事業やLRTを活用したまちづくりへの期待の表れであると捉えております。
次に、「駅西側への延伸と市民合意について」でありますが、JR宇都宮駅西側におけるLRTの整備につきましては、「大谷街道」などの都市計画道路の整備状況や「仮称 大谷スマートインターチェンジ」の事業化など、交通環境の変化を見据えるとともに、平成26年度に実施いたしました「県央広域都市圏生活行動実態調査」の結果を踏まえ、移動需要や自動車交通との連携、環境振興などの観点から、「桜通り十文字付近」からの更なる延伸を含めて検討を行っているところであり、今年度末を目途に、駅西側におけるLRTの事業概要や概算事業費などの取りまとめを行い、市議会や市民の皆様にお示ししてまいります。
次に、「大通りを運行するバス路線」についてでありますが、現在、大通りにおきましては、約150系統のバス路線が運行しており、1日あたり2,100本を超えるバスが集中する一方で、大通りと平行する「県庁前通り」や「いちょう通り」におきましては、バスの運行が十分ではない状況にあります。
このような状況を踏まえまして、LRT導入後のバス路線につきましては、「県庁前通り」や「いちょう通り」沿線などの公共交通空白・不便地域の解消や、中心市街地の多様な移動需要への対応などの考え方のもと、「将来の公共交通ネットワークのイメージ」につきまして、バス事業者と協議しながら取りまとめたところであり、今後、大通りを運行するバスの系統や運行本数等につきまして、検討を進めてまいります。
荒川議員
それでは、時間がちょっと押してきているので、1つは、西側延伸の、先ほど言いました護国神社以西に延伸と、この下野新聞の記事で、市長へのインタビューの中でこのように書かれたということですが、市長は市民に分かりやすい説明、分かりやすい説明と言っています。
そういう点では、これも何で護国神社だけではなくて、全国にも有名な作新学院の前からと言わないのですか。作新学院から作新学院大学を通ってテクノポリスまで、これぐらい市民に分かりやすい説明はないと思うのです。護国神社なんていうのは知らない人ももちろん残念ながらまだいますので、分かりやすくと言ったら、そういう説明が必要だと思うのです。これからもまだ市長はこういうお話をすることもあるかと思うので、その時には作新学院からというふうにわかりやすく言ってもらえませんか、どうですか。
佐藤市長
今、議員からのご指摘をいただきまして、初めて気がつきました。
そういう新たな材料、わかりやすいということにつながるような説明は、これからも工夫して進めてまいりたいと思います。
荒川議員
市民に分かりやすく説明するのは、どんなことでもいいですから、大いにひとつやってください。これは有権者も分かりやすいと思いますから。
それから、もう1点は、先ほどの公共交通ネットワークイメージということでこれを(駅西側公共交通ネットワークイメージ図を示して)出されました。それで、今の話の関係で、具体的にトランジットモールがあると書いてあるのですが、大谷街道から来たバスは、桜通りのトランジットセンターで乗りかえになるのでしょうか、駅へはです。
それから、桜通りを北から来たバスはもうそこから乗り換えになるのでしょうか。鹿沼街道から来て、または栃木街道から来たものも、乗りかえになるということなのでしょうか。
それから、江曽島や雀宮から来た、東京街道から来たのは、東武宇都宮駅前で乗りかえになるという計画でいいのか、ちょっとそれだけ確認をしたいと思うのです。
本橋総合政策部長
今、議員がおっしゃったいろいろなパターンがありまして、バスの再編に当たりまして、現在、バス事業者と協議いたしまして、トランジットセンターのあり方も含めて、路線1本1本を今後、詰めていかなければならない。今みたいな御提案、そういうもので各地区の説明会等もしていくということで、いろいろな御意見を伺った後、バス事業者と具体的な案をまとめてまいりたいと思っています。
荒川議員
では、今、私が言ったようなところは、それぞれのトランジットセンターで乗りかえをしなければ、駅には行けないのですよ。こういうことで提案しているということでよろしいわけですね。
本橋総合政策部長
全てトランジットセンターで乗りかえるというものばかりでなく、いろいろな路線がありますので、路線1本1本、大通りをそのまま行くのか、あるいは乗りかえるのか、そういったことも含めて、今後、検討してまいりたいと考えております。
荒川議員
これがあったのでそういうことを聞いたのですが、もう少し説明を聞いてから、またお聞きしたいと思います。
第6に国民健康保険の今後についてです。
全国各地で国民健康保険が高くて払いきれないと問題になっています。現在、市町村ごとの運営になっている国民健康保険を2018年度から都道府県化するために、準備が進められています。
市町村国保は、協会けんぽなど5つの医療保険の中で加入者が2番目に多い医療保険です。「協会けんぽ」と比べても、所得に対する負担率は高く、9.9%になっています。
そのため、国保税が高すぎて払えず、正規の保険証を取り上げられて資格証明書や短期保険証になり、治療を受けられないままの「手遅れ死」が社会問題になっています。
国保は社会保障制度です。国保法第1条には「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障および国民保健の向上に寄与することを目的とする」とあります。
来年度からの国保の都道府県化の実施にあたり、国保加入者は払える国保税への引き下げこそ願いであり、その行方を見守っています。
その様な中でこの8月30日、栃木県では、初めての国保事業費納付金の試算結果が示されました。ついては、宇都宮市に関する試算結果は「被保険者の払える保険料を」との要望に応えるものになるものでしょうか。見解を求めます。
また、本市国保は、平成22年以降の新たな基準による一般会計からの繰り入れを行ってきました。今回の試算結果にはどの様に反映されていますか。また来年度からの繰り入れをどの様に考えているのでしょうか、合わせて答弁を求めます。
2点目に、国民健康保険法第44条の適用についてです。
国保加入者は世帯主が失業など「特別の事情」のある時、同44条で医療費の一部負担金を減額・免除する規定があります。厚労省は2010年に入院の場合の減免基準も通知しています。また、厚労省保健局長名で、2016年3月31日通知が出されています。市民・被保険者が困難な時に、本市で国保44条の適用がない原因は何か、また、年金生活者などの「恒常的低所得者」については、「著しく収入が減少」していないとして減免対象から除外しています。
しかし、2016年12月、全国生活と健康を守る会と厚労省国保課との交渉の中で、「恒常的低所得者」は国保減免対象者となるとの回答がありました。この点での本市の取り扱いはどのようになっていますか、合わせて答弁を求めます。
保健福祉部長
「国民健康保険の今後について」のご質問にお答えいたします。
国民健康保険の平成30年度からの制度改革につきましては、制度が抱える財政上の構造的な問題を解決するため、国が3,400億円の財政支援の拡充を行い、財政基盤を強化するとともに、都道府県が財政運営の責任主体となるなど、安定的な財政運営や、効率的な事業運営を推進することとされており、この制度改革の一環として、市町村は、都道府県が算出する「事業費納付金」に応じた保険税率を設定することになります。
こうした中、本年7月には、納付金の試算にあたり必要となる国の財政支援の内容が示され、これを受けて、栃木県が、仮に平成29年度に納付金を納めるとした場合の試算を行ったところであります。
議員ご質問の「県の試算結果と本市の保険税について」でありますが、今回の試算結果につきましては、納付金算定方法の精度を検証するためのものでありますことから、各市町村における保険税率そのものの判断に使用するものではないと受け止めております。
平成30年度の保険税率につきましては、10月頃に、各市町において具体的な保険税率を検討できるよう、平成30年度の納付金等の目安が県から示されることとなっておりますことから、今後、その内容を十分精査するとともに、国民健康保険運営協議会のご意見等を伺いながら、保険税率等を設定してまいりたいと考えております。
次に、「一般会計の繰り入れについて」でありますが、今回の試算結果におきましては、先に申しあげましたとおり、算定方法の精度を検証するものであり、市町村が独自で行う、法定外一般会計繰入金を反映するものではありません。
また、「来年度からの繰入」につきましては、保険税率の協議と併せ、検討してまいりたいと考えております。
次に、「国民健康保険の一部負担金の減免」についてでありますが、国民健康保険法第44条に基づく一部負担金の減免につきましては、災害により資産に重大な損害を受けた時や、事業の休止や廃止により、収入が著しく減少したときなど、被保険者の特別な理由により、医療費の支払いが困難な世帯に、医療機関等での一部負担金を、1か月単位で3か月までを原則として、軽減する制度であり、全ての国民健康保険加入世帯に配布する「国保だより」や、市ホームページにより制度の周知を図っているところであります。
議員ご質問の「減免の適用」についてでありますが、本市におきましては、窓口での相談を通して、被保険者の生活状況に応じ、医療機関での一部負担金の支払いが、最長1年軽減される「限度額適用認定証」の交付を案内するとともに、生活全般において、困窮している場合には、必要に応じて生活保護担当部署と連携し対応しているところであります。
また、「恒常的低所得者に対する本市の取り扱い」についてでありますが、議員ご指摘の「厚生労働省の回答した内容」につきましては、承知していないところであり、国からも、そうした内容の通知は発出されておりません。
今後とも、新制度への移行に向けて、着実に準備を進めてまいりますとともに、被保険者が安心かつ安定して医療を受け続けることができるよう、国民健康保険事業の適正な運営に努めてまいります。
荒川議員
国民健康保険の問題は、市民のくらしにとって極めて重要な問題でありますが、時間の問題もありますので、あとは、またほかの機会にしていきたいと思っております。
ただ、1点だけ要望でありますが、全国生活と健康を守る会と厚生労働省の、先ほどの話はまだ確認していないということなのですが、市民のためになることなのですから、確認してください。これについては、よろしくお願いしたいと思います。
第7、本市の生活保護行政を問うに入ります。
医療や介護・年金など社会保障の改悪により、市民負担が増大しています。さらに、失業や非正規の拡大などで年収300万円未満の「働く貧困層」が増え貧困は深刻化するばかりです。こうして、生活に困った時、条件に応じてだれでもが利用できるのが生活保護です。生活保護は憲法25条の生存権を保障するもので、「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」「国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」とあります。本来、生活保護を受けることは、憲法で保障された国民一人ひとりの権利であり、それを正しく運用するのは国の責任、本市の行政責任です。
そこで、1点目に、本年1月、神奈川県小田原市で60人以上の生活保護担当職員らが「保護なめんなよ」など、受給者を威圧する文言がプリントされたジャンパーをつくり、相談業務や保護家庭訪問時に着用していた事件が発覚しましたが、市長は本市の生活保護行政の責任者として、この問題の本質はどこにあり、何を教訓としたのか伺います。
2点目です。世界有数の経済力を誇る日本で、いま、世界有数の貧困と格差が進行しています。貧困率は16.1%、すなわち、国民の6人に1人が貧困状況に陥っていると言われています。また、日本の生活保護の捕捉率、つまり、保護基準に該当する人に対して保護が適用されている割合は20%以下で推移しており、イギリス・ドイツ・フランス等の先進諸国の70~90%に比べて大幅に低い状況となっています。
そこで、市民を護る最後のセーフティネットとして、本市の生活保護行政において、申請保護の原則に立った正確な対応がなされているのか、また、生存権を保障する生活保護は迅速に保護を行う必要があり、法定期限が設定されている。平成28年度、生活保護申請者への対応で14日以内の要否決定通知ができたのは何件、何%にあたりますか。また、30日を超えたのは何件となりますか。
第3点目です。本市の生活保護の実施体制について伺います。職員の質の担保ですが、社会福祉法では「福祉事務所」には社会福祉主事を置くとしています。そして、社会福祉主事とは年齢20歳以上、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があるもの」と定めています。本市の場合、任用資格のない人は全体で何名の内何名おり、何%を占めているのですか。社会福祉士を取得している人は何名配置されていますか。
また、生活保護ケースワーカー・査察指導員の経験年数について、一年未満・三年未満の現況について示してください。また、法律によって標準数が本市の場合は80世帯で1人となっているが現況について、また査察指導員はケースワーカー何人に1人となっているのか伺います。
保健福祉部長
「生活保護行政について」のご質問にお答えいたします。
生活保護業務は憲法第25条に規定する理念に基づき実施する法定受託事務であり、運用に係る基準等は国により定められているものであります。
まず、「本市における生活保護行政」についてでありますが、本市におきましては、生活保護法の趣旨に則り、受給者の生活状況の把握に努め、世帯に応じた、きめ細かな支援を実施するなど、適正に制度を運用しているところであります。
まお、小田原市の事案につきましては、小田原市が検討会を設置し、改善を図っているとの公表がなされているところでありますが、本市といたしましては、相談者や受給者の立場に十分配慮した対応を今後とも行ってまいります。
次に「生活保護申請に係る決定通知の件数及び割合」についてでありますが、平成28年度の申請件数は747件あり、そのうち、14日以内に決定通知を送付した件数は657件で、全体の88パーセントを占めており、30日を超えたものはありません。
次に「ケースワーカー及び査察指導員の資格」についてでありますが、平成29年4月現在、社会福祉士の資格を有する職員は1名であり、また、社会福祉主事の資格を有する職員は、80名のうち74名おり、資格を有していない職員は6名で、7.5パーセントであります。
なお、資格を有していない職員につきましては、査察指導員の指導のもと、業務に従事しており、年度内の資格取得に向け、研修を受講しているところであります。
次に、「ケースワーカーと査察指導員の経験年数」についてでありますが、1年未満の人数は22名で、全体の27.5パーセント、1年以上3年未満の人数は35名で、全体の43.8パーセントであります。
また、平成29年度4月現在、ケースワーカー1名あたりの担当世帯数につきましては、95世帯であり、査察指導員につきましては、ケースワーカー7名に1名であります。
なお、社会福祉法に規定されているケースワーカー1名あたりの標準世帯数は80世帯であり、本市における担当世帯数は標準数を上回っている状況でありますが、専門的に面接業務や就労支援業務等を行う非常勤嘱託員を配置し、組織的に業務の効率化を図ることにより、ケースワーカーの負担軽減に努めているところであります。今後とも、関係法令を遵守し、生活保護制度を厳正かつ適正に運用してまいります。
荒川議員
ありがとうございました。今の宇都宮市の生活保護行政の状況などについて、小田原市などの教訓などとの関係も含めてお聞きをしました。今の答弁を、しっかりと精査をして、またの機会にお尋ねをしたいと思います。
質問の最後に、市民の安全とオリエントシールドについて質問します。
オリエントシールドとは、私も初めて聞く言葉です。これは、国内において陸上自衛隊及び米陸軍の部隊がそれぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する場合における連携要領を実行動により訓練し、戦術技量及び相互運用性の向上を図ることだそうであります。
本年5月26日付、陸幕広報室より、平成29年度の実施内容が発表されています。
期間は9月上旬より下旬、場所は東富士演習場、王城寺原演習場等、訓練実施部隊は、陸上自衛隊第1師団内部隊、米陸軍第1-25旅団戦闘団等となっています。
そこで、指摘したいのは、このオリエントシールドに当たって、陸上自衛隊北宇都宮駐屯地が、日米合同委員会合意事項として承認され、共同使用されることになっています。
ついては、市当局はこの訓練についていつ知ったのか。住宅密集地の中に1700mの滑走路を有する同駐屯地が、どの様に使用され市民の安全の担保は大丈夫なのか。 市民への周知ははかられたのか。答弁を求めます。
また、日米合同委員会とは、1960年に締結された日米地位協定をどう運用するかを協議する実務者会議で、協議を経た合意事項はそのほとんどが施設・区域の提供、返還に関する事項とされています。アメリカ言いなりの問題だらけの日米地位協定・日米合同委員会と私は認識しています。今回の北宇都宮駐屯地利用の背景・ねらい等についての把握と、市民の平和と安全を守る立場からの対処について答弁を求めます。
行政経営部長
「市民の安全とオリエントシールドについて」のご質問にお答えいたします。
「オリエントシールド」につきましては、日米が共同して行う実動訓練の一つであり、議員ご質問の「訓練を知った時期」につきましては、8月25日に、北関東防衛局から、訓練の全体概要と当該訓練で北宇都宮駐屯地を使用することについて、情報の提供を受けたところであります。
また、北宇都宮駐屯地の使用目的につきましては、北関東防衛局に改めて問い合わせた結果、北宇都宮駐屯地では、ヘリコプターの給油のために、昼間、一時的に使用することを把握したところであります。
なお、「市民の安全の担保や周知」につきましては、訓練の主体である国において、対応すべきものと考えております。
次に、「北宇都宮駐屯地使用の背景等の把握と対処」につきましては、国の防衛や安全保障に関わる事項であり、その背景やねらい等について把握しておりませんが、訓練等による駐屯地の使用について、引き続き、国等からの情報収集に努めてまいります。
荒川議員
では、再質問を行います。
いずれにしても、先ほど言いましたように、私も知ったのは、そんなに前ではなくて、この発言通告を出す何日か前なので、恐らく今の話では、市と同じような時期ではなかったかと思うのです。
5月にもう既に陸上幕僚監部の広報からは発表していて、しかも、北宇都宮駐屯地の場合には、本当に住宅密集地のど真ん中にあると。こういう基地にもかかわらず、もっとこれは、決まった時に宇都宮市には周知をし、そして、住民にも周知をできるような余裕を与えるべきではないかと、これについてはもっときちんと国に言うべきだと思いますが、どうですか。
中里行政経営部長
自衛隊との連携については、本市においても、非常に大切なものと考えておりますので、通常から、例えばヘリコプターの運行など、そういった安全についても、常日頃から自衛隊のほうに申し入れ等もしておりますので、今後とも、引き続き、連携等を十分に図っていきたいと考えております。
荒川議員
私もこの駐屯地の周辺の住民の一人であります。そういう点では、毎月夜間訓練の予定表などについては、回覧で回してくれということで、回覧で回っています。
だから、そこまで、逆に言うと、自衛隊と協力した、今言ったような関係にありながら、何でこのような、北宇都宮駐屯地におそらくアメリカ軍と共同でなんて、アメリカ軍が使うなんていうのは初めてだと思うのです、私の記憶では。
こういう重大な中身の訓練がなぜ知らされないのですか。ここはもっとはっきりと国に、うまくやっているのであれば、その辺のことが得られなかったこと自体が問題だと思うのですが、どうですか。
中里行政経営部長
その辺については、訓練の内容、訓練等も含めまして、国において適宜判断して対応すべきものだと考えております。
荒川議員
では、国は勝手に市民にも知らせないで、北宇都宮駐屯地でやっているわけです。だけれども、8月26日に決まったのだから、北宇都宮駐屯地、市民の安全とのかかわりの問題なのだから、連絡をきちんとくださいとはっきり言ったらいいのではないのですかと言っているのです。どうなのでしょうか。
中里行政経営部長
今後とも、引き続き、国、自衛隊等のほうとも連携を密にしながら、対応してまいりたいと考えております。
荒川議員
ひとつ市民とのかかわりで、よろしくお願いしたいと思います。
私は、これはインターネットなどで調べてみればわかると思うのですが、日米合同委員会は大変なところです。アメリカ軍のほうは、太平洋軍のナンバー2の人がこの委員会で出てきていて、日本は、実務者レベルが出てきているのです。結局アメリカ軍がこの日米地位協定、あそこが欲しいなと言えば、大体、はい、わかりましたと言ってしまうのが日米地位協定なのです。
こういうことで、初めて北宇都宮駐屯地がアメリカ軍の使用などが始まったと。これは、場合によっては、今、オスプレイが大変あちこちで事故を起こして問題になっていますけれども、これが横田基地に配備をされることになっています。それから、群馬県の榛東村にも来るなどということも言われています。木更津の自衛隊の駐屯地は修繕基地ということになっています。
そういう点では、そういうことの関連も含めて、大変この問題は重大な問題として、受けとめることを、意見を申し上げまして、終わりたいと思います。
以上で私の全質問を終わります。