2017年6月20日
福田くみ子議員の一般質問
福田議員
日本共産党の福田久美子です。
発言通告に従いまして、順次質問してまいりますので、明快なご答弁をどうぞよろしくお願いいたします。
まず初めに、指定管理者制度について伺います。本市では、「宇都宮市公の施設に係る指定管理者の指定の手続きに関する条例」のもと、H18年度から順次導入され、今年4月現在で116の公の施設に指定管理者制度が導入されています。
そもそも「公の施設」とは地方自治法244条で「住民の福祉を増進する目的をもって住民の利用に供するための施設」と規定されています。住民のライフサイクル全体を通して福祉の増進を図っていく地域の重要な公的資源、活動の拠点であり、自治体の仕事の根幹をなすものです。
しかし、この指定管理者制度は、言うまでもなく公務の市場化であり、営利企業への市場開放です。全国では、小泉内閣以来の構造改革路線のもとで、自治体組織のスリム化、民営化の推進、人員・経費削減、業務の質や専門性・人材育成を軽視した制度運用の実態があり、指定取り消しも相次いでいます。
そこで1点目に、指定管理者制度導入から10年を経て、本市における制度運用における課題と、今後の取り組みについて市長の見解を求めます。
2点目に地方自治体として、「住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するための施設」である「公の施設」が文字通り公共性を守り住民サービスの水準確保・向上を目指せるよう、住民目線からチェックできるシステムの構築が求められています。管理が適正になされているかをチェックできるシステムとして、利用者や住民からなる運営委員会の設置が必要と考えますが市長の見解を伺います。
中里行政経営部長
福田議員のご質問にお答えいたします。
「指定管理者制度について」のうち、「本市における制度運用の課題と今後の取組について」でありますが、本市におきましては、平成18年度の制度導入以降、民間活力を生かした「利用者サービスの向上」と「経費の縮減」を図るため、農林公園ろまんちっく村や南図書館、老人福祉センターなど、幅広い施設に制度を導入してまいりました。これらの導入施設におきましては、民意の創意工夫により、開館日・開館時間の拡大をはじめとして、講座の充実や利用促進に向けたイベントなど、多様なサービスが提供されておりますとともに、毎年度の管理運営評価とその結果の公表などにより、安定的かつ効率的な施設運営が図られてきたところであります。
その一方で、全国的な傾向と同様、新たな分野への制度導入や、公募施設の拡大、参入事業者の確保などにつきまして、検討が必要であると考えておりますことから、先進自治体の情報収集や、事業者へのヒアリングなどを実施しているところであり、今後とも、制度運用の継続的な改善に取り組んでまいります。
次に、「利用者等による運営委員会の設置」についてでありますが、本市におきましては、住民の平等利用や、適正なサービス水準を確保するため、「モニタリングマニュアル」に基づき、事業者による「各種報告書の作成」や市職員による「施設の立入検査」などを継続的に実施していることに加え、「意見箱の設置」や「利用者アンケートの実施」により、利用者の声を施設運営に反映しているところであり、平成27年度のアンケートにおきましては、はぼ全ての施設で、8割以上の利用者が「満足」、「ほぼ満足」と回答するなど、高い利用者満足度を得られております。
このようなことから、「運営委員会」を必置とすることは考えておりませんが、引き続き、多角的なモニタリングにより、利用者のニーズを的確に把握・反映しながら、さらなるサービス向上に努めてまいります。
福田議員
ありがとうございました。
制度運用における今後の取組の課題は、事業のさらなる拡大に向けて、事業者の確保等だというお話がありました。これまでの議論の中でも、たしか第三者評価を取り入れてはどうかという議論があって、たしか市でも試行的にされたと思いますが、それがなぜ試行だけにとどまってしまったのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
行政経営部長
議員ご指摘のとおり、平成25年度に2つの施設において、第三者評価を試行したところであります。その結果については、いずれも指摘等基づきまして、適正な管理運営が行われているということでありました。この施行を受けまして、私どもとしては、法定手続きに関するチェックシートなどを作りまして、それを本市のモニタリングの充実強化に生かしたということです。これについては、本市の現在やっているモニタリングの制度が十分機能しているということですので、その第三者評価については継続的に実施することは現時点では考えていませんが、本市のモニタリングをさらに充実強化させていきたいと考えています。
福田議員
それでは、さらにお聞きしたいのですが、この指定管理者の事業者に一番求められているのは、どれだけサービスがよくなったということ、同時に、市は経費削減、両方なのだと思うのです、おそらく。
それで、そのバランスが大変重要であって、経費削減という方向に偏りすぎてしまうと、もうけ主義に走ってしまう。公の施設であることをも忘れ去られてしまう。そういう危険性があるのが、私は、指定管理者制度の一番の問題点、課題だと思っているのです。
これ、住民利用の公平性が確保されていないという状況を、私は、複数あちこちで耳にしているのですが、これまでの中で、アンケート、それから、モニタリング制度が機能しているとおっしゃってますが、アンケートや意見箱に寄せられた中身について、改善勧告を出された経緯はありますか。
行政経営部長
市民の方から意見箱を通じていろいろなご意見をいただいています。それについては、その時々で事業者と施設の所管課と検討しながら、適切な対応をとっておりますので、基本的に議員がおっしゃられたような指摘は今のところない状況であります。
福田議員
意見箱に寄せられたアンケートは、無記名か記名かわかりませんが、随時利用者の皆さんに公表されるようなシステムになっているのでしょうか。
行政経営部長
市民の皆様に公表している内容としては、市で実施している管理運営評価をホームページ等で公表していますが、具体的なそれぞれのケース等においては、それぞれの施設のほうでも、情報公開を施設に対して求めておりますので、その時々の状況に応じて利用者の方から施設にお問い合わせがあれば、それについて順次対応していると考えております。
福田議員
身近な施設の場合、わざわざ住民の方がこの部分について情報公開してださいというよりも、使い勝手については随時、例えばアンケートだったら、このようなご意見が寄せられました。こういうふうに改善しましたというような、日常的にオープンな運営はふさわしいと思うのですが、いかがでしょうか。
行政経営部長
市民の方が楽しく利用できるというのが一番大切なことだと考えておりますので、施設によりましては、先ほど御答弁では申し上げませんでしたが、利用者と定期的な連絡会を開いたり、あとは、利用者と地域住民の方とボランティアの方などが一緒になってイベントを企画して、お互いにその中で意見交換をし合うということもやっていますので、そのようなことで、多様なニーズに対応していければなと考えております。
福田議員
そういうような取り組みをされている事業者も、施設もあるというお話でしたが、事業者がどう判断するかということにかなりかかわってくるわけです。
事業者の判断によっては、調査報告書に、これは必要ないだろうと判断されればなくなってしまう可能性もあるわけです。そうすると、なかなか住民目線での意見が表に出てこなかったり、改善されたかどうかもわからなかったりと。問題が共有されて、双方向でやりとりができる。常にそういう仕組みとして必要なのだと思うのです。これが公の施設の運用なのではないかなと思うのです。
私は、ろまんちっく村の利用者のアンケートに関して、実はどのような苦情が出ているかお尋ねしましたところ、情報公開してくださいということだったので、今度の質問には間に合いませんでした。随時そういうことであれば、双方向の取組、改善が常々できるというシステム、それには、利用者も含めた運営委員会の設置が大変有効だと思うし、重要だと思っています。
それで、利用者を入れた運営委員会の設置に関して、課題は何なのでしょうか。
行政経営部長
先ほどからご答弁申し上げているような現在のシステムにおいて、十分住民の声、住民のご意見は、私ども、または管理事業者も十分把握していると考えていますので、現行の制度を基本的には継続してまいりたいと考えております。
福田議員
ちょっと個別の問題になりますが、私は、ろまんちっく村の件で、ある方が椅子に座ってけがをされたと、椅子が壊れてけがをされたというお話をお聞きしております。
その件について、ちょっと調査をしましたところ、その椅子がどのようになっていたのか、後でお聞きしましたら、ろまんちっく村に行きましたら、既に直されていたと。どこが壊れていたのかきっちりと調査もしないまま直されていたということなのです。そういう問題もたくさん起きて、これだけではありませんが、そういう声があるのです。
それから、もう一つは、ロッカーについて、自分のロッカーだということで平等な利用がされていないといった苦情もたくさんあると、私は複数から聞いております。大変軽微な問題かもしれませんが、利用者目線に立ったときに、気持ちよくみんなが平等に使えるというのが公の施設なわけです。それが担保されないシステムというのは、私は、必ず見直しが必要だと思うし、必要ないとおっしゃいましたが、実際にそういう声がある以上、それは改善するために利用者を含めた運営委員会の設置というものが一番有効だと意見を申し上げて、次の質問の項目に移りたいと思います。
次に学校教育をめぐる問題について伺います。
この項の第1に学校教育を支える教育相談体制の充実強化について伺います。
虐待や貧困、格差の広がり、ひとり親家庭、発達障害の増加など、子どもを取り巻く環境の変化は著しく、いじめや自殺、不登校、学級崩壊等、学校での問題行動となって顕在化するケースは多いと思われます。複雑・多様化する子どもが抱える問題は、より専門的な立場からのサポートが必要不可欠となっており、その充実・強化は教職員の負担軽減にもつながるものと考えます。
本市では、現在、教育センターの各種相談には日曜相談も含めると、臨床心理士3名、教育相談員8名、就学相談員6名、また、スクールカウンセラーは、小中学校全体で、計31名が週1日、年間36回という勤務条件で配置されており、中学校には週1回、小学校にはおおよそ2カ月に1回程度の派遣、さらに平成27年度からは、2名のスクールソーシャルワーカーが配置されています。
今年2月、日本共産党市議員団は、名古屋市を視察。名古屋市では、すべての小中学校に1名の常勤のスクールカウンセラー配置をすすめ、教員と一緒に日常的に児童生徒の中に入り、複数の異なる専門性を持った目で子どもを見守り、相談指導にあたっており、教育現場に大きな安心感をもたらしているとのことです。また、市内を11ブロックに分け各ブロックごとに、子ども応援委員会という、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクールポリスなど7人1組の専門家チームを配置、ブロック内の学校からの要請によって、より複雑で困難なケースへの対応にあたっています。子どもは一人一人がかけがえのない存在として、すべての子どもの全面発達を掲げた「なごや子ども条例」の理念が生きた思い切った施策です。
本市の相談体制も子どもを取り巻く環境の変化とともに飛躍的な充実・強化が求められていると考えますが市長並びに教育長の見解を伺います。
この項の第2に非常勤の教員の待遇改善について伺います。教員の負担軽減は、国の施策として、大胆な少人数学級に踏み切ることが何よりも抜本的な解決と考えていますが一向に進展しません。その様ななか、やむにやまれず、全国の自治体では独自に教員の加配等の措置を行っています。本市でも、今年度5月現在で210名の指導助手や学力向上非常勤講師が、さらに学校図書館司書93名、学校栄養士業務嘱託員48名計351名が小中学校に配置されています。351名の勤務時間は、月曜から金曜で1日6時間とされほぼ正規職員に近い勤務時間と、いったん教室等に入れば、学校の教職員として児童生徒の指導にあたることになります。
しかし、指導助手など非正規の職員の雇用契約は、期間は1年、契約更新は4回までとされ最長でも5年間しか働けません。報酬月額は、172,000円、年収2,064,000円です。このような不安定で、低賃金の雇用環境は直ちに改善が必要ではないでしょうか?市長並びに教育長の見解を伺います。
第3に食育について伺います。文科省のH27年度学校保健統計調査によると、肥満度が20%以上の肥満傾向児の割合が、栃木県が8歳と12歳で全国1位、例年でも幼稚園から高校まですべての年代で平均値を上回っているとの結果が報道されました。私たちの口に入る農産物の8割が加工・調理されたものになっていると言われていますが、安価な食品ほど脂肪分とカロリーが高く「貧困が肥満を招く」結果となったと、朝日新聞は報じています。
子ども食堂の広がりは、社会が子育てをしないと子どもが育たないという状況なのではないでしょうか。何を食べるか、どう食べるかがこんなに求められている時代はありません。学校給食の果たす役割が、今ほど大切になっているときはありません。改めて、教育の一環としての給食の位置づけと、給食を通しての食育の取り組みについて、市長並びに教育長の見解を伺います。
第4に就学援助制度について伺います。
まず1点目に、小学生準要保護児童の新入学学用品費の前倒し支給には、先の山崎議員の質問にお答えになっているので、年度内には整うものと受けとめますがよろしいでしょうか。2点目に民生委員の調査について伺います。私は予てから、就学援助受給申請にあたっての、民生委員の訪問調査は、必要ないのではないかとの意見を述べてきました。28年度の包括外部監査報告書でも、その点について「就学援助費の交付は、主として所得調査に基づき行われるため、事務処理要綱に規定されているとおり、学校長や民生委員の世帯状況調査はあくまで参考である。毎年3,000人以上の準要保護者がいることに鑑みれば、教育委員会の所得調査の結果を受けて、民生委員の訪問が必要な世帯を限定する方が有効かつ効率的だと考える。」の意見が記されておりました。私の全く同感です。この点についての市長並びに教育長の見解を伺います。
水越教育長
「学校教育をめぐる問題」のご質問にお答えいたします。
まず、「学校教育を支える教育相談体制の充実・強化について」でありますが、いじめや不登校など、複雑・多様化する様々な問題を解決していくためには、専門家による支援を進めるとともに、医療や福祉などの関係機関と連携しながら、組織的に対応していくことが重要であると認識しております。
本市における教育相談体制についてでありますが、教育センターでは、平成28年度に相談員を2名増員し、14名の相談体制にするとともに、今年度からは、学校における支援体制のあり方について指導・助言を行う「学校生活適応支援アドバイザー」2名を新たに配置し、本市独自の教育相談体制の強化を図ったところであります。
また、全中学校25校に地域学校園スクールカウンセラーを配置するとともに、大規模地域学校園内の小学校には、市単独で6名のスクールカウンセラーを配置し、小・中学校での児童生徒・保護者への相談や教職員への助言を行っております。
各学校におきましては、教育相談体制の推進役の教職員をスクールカウンセラーマネージャーと位置づけ、スクールカウンセラーなどの活動をコーディネートして組織的な対応を図るとともに、ちいき学校園内における学校間の連携を充実させながら、児童生徒の情報共有を行い、小中9年間の一貫した相談体制を確保しているところであります。さらに、貧困や虐待等、複雑な家庭環境を背景とした不登校や非行などの相談内容につきましては、学校や家庭と福祉などの関係機関を繋ぐスクールソーシャルワーカーを活用しながら問題解決を図るなど、学校の支援体制を強化しているところであります。
今後とも、小中一貫教育・地域学校園を生かした本市独自の教育相談体制を基本として国の動向を踏まえながら、学校教育を支える教育相談体制の更なる充実・強化に努めてまいります。
次に「食育について」でありますが、本市におきましては、次代を担う子どもたちの豊かな人間性と生きる力を育成するため、学校給食を重要な柱と位置づけ、食育の推進に取り組んでいるところであります。
「給食を通しての食育の取り組み」につきましては、全ての小中学校に配置した学校栄養士が作成する栄養バランスなどの工夫を凝らした給食の献立を活用し、児童生徒自らが、日常生活において、栄養バランスや適切な量などを考えながら食事がとれるよう学校栄養士と担任等が連携を図りながら、きめ細かな指導を行っております。
その結果、全児童生徒を対象とした食に関するアンケートにおきましては、特に、中学3年生におきまして、「好き嫌いをしないで食べている」と答える生徒の割合が、80%、「調理の食材や食品を適切に選んでいる」と答える生徒の割合が84%となるなど、この10年の間に10ポイント以上上昇し、これまでの取組の成果が表れてきているものと考えております。
今後とも、学校給食を通して望ましい食習慣を確実に身に付けられるよう、家庭との連携も図りながら食育を推進し、生涯を通じて健康に生活できるたくましい宮っこを育成してまいります。
水沼教育次長
「非常勤の教員の待遇改善について」のご質問にお答えいたします。
非常勤嘱託員の任用期間につきましては、1年以内とし、その継続期間は満3年を超えることができないと定めているところでありますが、議員ご質問の指導助手等につきましては、教員免許等専門的な資格を有していることなどを考慮し、最長5年までの継続を可能としております。また、報酬につきましては、非常勤嘱託員のそれぞれの職務や職責を踏まえ、正規職員や他の自治体との均衡などを総合的に勘案して定めており、適正な処遇に努めているところであります。
このような中、非常勤嘱託員の任用の取り扱いにつきましては、平成29年5月に地方公務員法等の一部を改正する法律が公布され、総務省より地方公共団体に対する通知等が出される見込みでありますことから、その内容を踏まえながら、必要に応じて適切に対応してまいります。
次に、「就学援助制度について」でありますが、まず、「新小学校1年生に対する新入学学用品費の前倒し支給」につきましては、就学前の申請となり、これまでの学校を通じた手続きができなくなることから、新たな制度周知や効率的な審査、認定を行っていく必要があります。このようなことから、現在、教育委員会が窓口となり手続きを行うことなどを検討しているところであり、小学校入学を控え、支援を必要としている家庭に対しまして、新入学学用品費の前倒し支給を早期実現できるよう取り組んでまいります。
次に、「民生委員の訪問調査について」でありますが、本市におきましては、就学援助の認定にあたりまして、民生委員・児童委員が申請世帯を訪問し、家庭状況の調査を行っているところでありますが、昨年度実施されました包括外部監査における意見を踏まえるとともに、新小学校1年生に対する新入学学用品費の前倒し支給の実施にあたりましても、より効率的な審査、認定を行っていく必要があると考えており、現在、その見直しに向け検討しているところであります。
福田議員
ご答弁ありがとうございました。
就学援助制度については、ほぼ見直しが大分進んでいくということで、実現に向けてさらにスピードアップ頑張っていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いいたします。
次に、食育について1点質問なのですが、以前に給食費の滞納の問題がありました。その中で、連帯保証人(後に、保証人訂正)という制度が導入された経緯があるのですが、これは今でも生きていますか。
教育長
連帯保証人の制度は今でも生きております。
福田議員
これも包括外部監査報告書の中に書かれておりました。給食の滞納がなぜ起こるのか、なぜなのかと。給食費を滞納する方の中には、就学援助制度を受けていない家庭が見受けられて、その人たちがなぜ就学援助制度を受けられないでいるのか、ここを原因調査しないとわからないですと、そこをしっかりしてくださいという意見が書かれていたと思うのですが、その件についていかがでしょうか。
教育次長
現在、状況については細かく分析はしておりませんが、それぞれの児童生徒の家庭状況、経済状況に合った対応が必要と思っております。ですから、まずは、各学校において子どもたちの状況をつぶさに把握するよう努めていきたいと思います。
福田議員
ぜひよろしくお願いいたします。
相談体制の強化について少し伺います。
スクールカウンセラーその他の相談の実績を調べてみました。平成28年度スクールカウンセラーの活動状況の中で、児童生徒に対する相談が40%、保護者が約60%だと。そのほか、主な相談内容を見てみると、不登校が36.7%と圧倒的に多いのです。入り口が不登校だと思うのです。あと、相談の回数を見てみると、大体四千七、八百件でこの3年間推移しております、スクールカウンセラーの活動状況です。
あと、相談回数が四千七、八百件なのに、その他の活動というのがあるのです。これはどういうことかなと思ったのですが、教員への相談結果の伝達7,137件、事例検討会への参加、授業等への参加等2,053回、回数だけでははかれませんが、中身がどうかという点もあるのですが、教員との連携は絶対必要なのです。やらなくてはいけないです。しかし、この件数の分布を見てみると、スクールカウンセラーのスクールカウンセラーたる相談というところになかなか力が注がれていない。先生の相談を受けて、先生をカウンセリングするような形でしか、実際にはカウンセラーの方が力を発揮できていないのではないかという印象を持つのですが、いかがですか。
教育長
まず、教育相談の全体の仕組みから申し上げますと、本来教育相談は、各学校において担任が受けて相談に応じるというのがまず、第1番目だと思います。それで、担任だけでは専門的アドバイスができない場合には、教育センターを紹介いたしまして、教育センターで臨床心理士、教育相談員の相談を受けるという形で、保護者の多くは、教育センターで相談を受けている形をとっております。
それに加えまして、中学校に配置しているスクールカウンセラーは、教員、保護者、児童生徒に対する相談を受けているわけで、相互に補完をしながら、全体で教育相談を受けておりますので、必ずしもスクールカウンセラーだけが相談を受けているという形ではありません、全体を見ますと、かなり教育センターにおける保護者の相談件数というのは多くなっているはずですので、全体のバランスとしては、総合的に捉えますと、取れているのかと捉えております。
福田議員
私もその辺はつかんでいるのですが、教育センターでの延べ相談回数というのも、9,000回から1万回近く受けていらっしゃると。1回では解決できない問題、複雑・多様な絡んだ問題が持ち込まれるわけですから、時間も労力もかかると思っています。
先ほど言ったのは、スクールカウンセラーの先生の活動実態が直接児童や保護者と接してカウンセリングを行うというよりは、連携だったり、あと、先生の後ろでアドバイスをするという業務に特化されてしまって、実際に子どもの様子を見たりなど、そういう時間は本当とれないのではないかなと、この体制では。というふうに思うのですが、いかがですか。
教育長
学校においては、先ほど答弁の中で申し上げたように、スクールカウンセリングマネジャーがおりまして、いわゆるスクールカウンセラーがどういう相談に応じたらいいかということを連絡調整を行っております。したがいまして、全体のバランスを見て調整した結果が、教員の相談が多くなっているということになっているのだろうと思っておりますので、決して教員の相談を受けていないとか、保護者の相談や児童生徒の相談を受けていないということではなくて、全体のニーズを受けて、それを調整した結果がそういう数字になっていると受け止めております。
福田議員
私が先ほど申し上げたのは、活動の割合、時間の割合からいくと、回数からしか見えませんが、直接相談を受けたりというということが少なくて、時間を取れなくて、連携や会議が多くの時間を占めているという状況があるのではないかなと考えているということなのです。
経験とか、スキルというのはすごくこの場合大事になってきます。先ほども言いましたように、中学校でも週1回、小学校では2ヶ月に1回です。スクールカウンセラーの先生、本当にもう首を長くして待つような状況があるのかなと考えています。スクールカウンセラーが本来の活動スタイルで力を発揮できるように、私は、週に2回にするとか増やしていく必要があると思います。
逆にそれをつなぐ人をまた増やしました。スクールカウンセラーではないけど、アドバイザーの方を増やしました。いろいろ埋めていくために努力されているのはわかるのです。でも、そういうことにかかわる細切れの体制になってくると、余計に連絡調整が難しくなってくるのではないかなと思いますけど、いかがですか、教育長。
教育長
先ほども申し上げたように、スクールカウンセリングマネジャーというのが全体を捉えて、細切れと言いますか、いろいろな対応をしておりますが、いろいろな対応をうまくコーディネートするのがこのスクールカウンセリングマネジャーの役割ですので、その辺はバランスをとってやってくれているものと受けとめております。
福田議員
なかなかね、一気に名古屋のように常勤で毎日スクールカウンセラーと教員が学校にいるような状況は、私は夢のような状況だなと思ってきたのですが、カウンセラーや臨床心理士といった心理学の分野というのは、今、発達障がいが増加している中で大変急速に研究も進んでいます。心の発達をより専門的な分野からサポートしていくというのは、これから学校教育で不可欠だと思っているのです。
ちなみに、名古屋市の予算は年間8億3,300万円だそうですので、ぜひ、検討課題としてこれから加えていただけたらなと私は思いますので、その意見を申しまして、次の課題に入っていきたいと思います。
次に生活困窮者への支援についての項に入ります。
この項の第1に相談業務の集約化と庁内および関係機関との連携について伺います。
今年2月に、滋賀県野洲市の市民生活相談課の業務について視察をさせていただきました。野洲市では、市民生活相談、消費生活相談、法律相談、税務相談、行政相談、高齢者の支えあい拠点・終活仕組みづくり事業、野洲ワーク、そして生活困窮者自立支援制度にもとづく自立相談支援事業等の相談機能を市民生活相談課に集約化し、必要なサービスにつなげ、問題解決に至るまで徹底した支援を行っています。市役所が直接相談を受けるメリットは、どんな相談にも対応ができるネットワークが作れる点と、税金滞納等の個人情報を持っている点です。
そこで、2点伺います。1、相談機能を集約して情報共有することは、生活困窮者支援に有効と考えるがどうか。2、自立相談支援事業の窓口は市庁舎内とすべきと考えるがどうか。市長の見解を伺います。
この項の第2に一時生活支援事業について伺います。先日、言葉の暴力や経済的DVを受け続けてきた女性が、夫との離婚を決意し支援を求めてきました。市の女性相談所は緊急性は認められないとの判断から、相談のみでした。お金もない、泊るところもない状況の中、生活保護の窓口では住所は日光市にある状態で離婚もまだ成立していないことから、保護は却下となりました。やむなく、住居と決めていたアパートの大家さんのご厚意で、辛うじて、その日は屋根の下で過ごすことができました。生活困窮に陥る原因や経過は様々ですが、こうした制度と制度の隙間を埋めるためにも、また、先の質問でもあったように、生活保護の手前のセーフティネットとしても有効と考えます。市長の見解を伺います。
酒井保健福祉部長
「生活困窮者への支援について」のご質問にお答えいたします。
まず、「相談業務の集約化と庁内及び関係機関との連携について」のうち、「相談機能の集約と情報共有すること」についてでありますが、本市におきましては、人口規模や地域特性を考慮し、市民生活や税務、福祉など、それぞれの部署で専門的な相談業務を行っており、社会的に孤立するなど、自ら支援を求めることが難しい生活困窮者を早期に把握し、必要な支援を行うため、「生活困窮世帯の情報に係る庁内連絡会議」を設置し、適宜、情報の共有化を図っているところであります。
次に、「自立相談支援事業窓口の市庁舎内への設置」についてでありますが、本市におきましては、自立相談支援事業を地域に根差した活動や相談支援を行っております市社会福祉協議会に委託し、総合福祉センター内に窓口を設置しておりますが、支援にあたりましては、ハローワーク、地域包括支援センター、民生委員・児童委員等と連携し、個々の状況に応じたプランの作成、関係機関への同行訪問など、相談者に寄り添った支援を行っており、必要な対応ができているものと考えております。
次に、「一時生活支援事業について」でありますが、この事業は、「生活困窮者自立支援法」に基づき、自治体が地域の実情に応じて取り組む任意事業として位置づけられており、住居のない生活困窮者であって、世帯の所得や資産が一定水準以下の者に一定期間、宿泊場所や衣食の提供を行うものであります。
本市におきましては、NPO法人等が運営する、「無料低額宿泊所」や、DVにより生命の危機が迫った被害者等を保護する「DVシェルター」など、市内にある様々な支援機関と連携しながら宿泊場所や衣食を提供するとともに、保護を要する方には生活保護を適用するなど、適切に支援を行っているところであります。
今後とも、庁内各課や関係機関との連携を強化し、引き続き生活困窮者の自立支援に取り組んでまいります。
福田議員
ありがとうございました。宇都宮市でも、個人情報は共有化しているという認識でよろしいでしょうか。
保健福祉部長
個人情報は非常に個人にとって重要なもので、もちろんその支援が必要な方の了承を得た上で共有を図っているところであります。
福田議員
適宜情報共有しながら、有効に活用しているという御答弁だったと思うのですが、これは、たとえば生活困窮者の相談窓口の社協ですね、社協のほうとも共有が可能ですか。
保健福祉部長
先ほど申し上げました連絡会議においては、庁内はもとより、庁外とも連携を図っていまして、今、ご質問いただきました社会福祉協議会についてもその中に入っています。
福田議員
野洲市の場合には、相談の入り口で全ての情報を共有させていただいていいですかという個人の了承、個人情報の取り扱いに関する同意書というものをとった上で相談が開始されるのです。
もう一つすごく特徴的なのは、税金の滞納というのが生活困窮の入り口だと、最初の発露であるというふうに捉えているものですから、債権管理条例というのをつくりまして、私はよく意味がわからないのですが、ようこそ滞納いただきました、滞納したら、相談に乗りますよ。市役者は全力でサポートしていきます。税金を払ってくれるように、自立していただけるように支援をしますという全力の態度が見られるのです。その辺がちょっと違うかなと思いますが、相談の入り口で情報を共有というのはあり得るのかどうか、お願いいたします。
保健福祉部長
私どもでは、滞納整理を行う際にご自宅を訪問して、その際にご自宅の状況、家の中の様子、滞納者の方の服装などをチェックしまして、これはちょっとおかしいなと思った場合には、生活保護のほうにつなぐということで、ご相談を待つことなく、出向いて行った際にこういうことを発見し、支援につなげているという状況であります。
福田議員
だから、入り口で、例えば宇都宮市の場合には、国民健康保険税を滞納して払えないという状況があった時に、窓口に行くと、もちろん窓口では丁寧に対応されているとは思いますが、市民の側からすると、必ず窓口に行けば分納の約束をさせられるし、怒られてしまう。だから、もう行きたくないよと。そうなってしまうと、もう負の連鎖になってしまうわけです。
ですから、そうではないと。市は滞納しているほど、あなたはお困りですね。一緒になって自立のためにお手伝いしますよという姿勢がにじみ出ているわけです。そこがちょっと違うのかなというふうに見ています。
自治体として本来の仕事のあり方だと私は考えていますし、実際に野洲市の市長はこのようなことを言っています。自立支援を優先することは理想論過ぎると。全体の奉仕者である公務員が個人のためにそこまでやっていいのかなどとの指摘もあります。しかし、目の前の一人を救えなければ、問題は解決しないと市長は力を込めますと。そういうことを言ってらっしゃるのです。目の前の人が滞納状況から抜け出すよう、市が支援していくという立場に、ぜひ立っていくために何が足りないのか、これからも議論を進めていきたいと思っています。
次に保育をめぐる問題の項に入ります。
この項の1点目に保育士の処遇改善について伺います。
昨年12月、政府は経験が7年以上の中堅保育士等の 給与を4万円引き上げる案を示し、2017年度予算に盛り込まれました。このほかにも、要件を満たした3年以上の経験者に5千円、全職員に2%の処遇改善等が盛りこまれています。このことがマスコミ等でも大きく報道され国民や関係者の中でも保育士処遇の大幅な改善を期待する声が広がりました。
この政府の保育士等処遇改善策をどの様に受け止めているか市長の見解を伺います。
全国保育団体連絡会では、処遇改善策が打ち出されたことは評価するとしながらも、実際に4万円アップする職員はごく1部であることや、不平等な処遇改善が保育に影響しかねないと指摘しています。
そこで、今回の政府の「技能・経験に応じた保育士等の処遇改善」策によって、どこまで問題解決が図られるとお考えか市長の見解を伺います。
2点目に待機児童についてです。本市では今年4月の待機児童数は、ゼロになったとの報告がありました。これは国が示した待機児童の定義の改正点である育児休業中のものも含めるという点を踏まえた数とのことです。しかし、一方で、入所申し込みをしながらも、特定の保育園のみを希望しており、その園に入れないために入所を見送っている者333名は、待機児童には含まれません。しかしその方たちは、間違いなく入所希望であって、その状況や願いがどこにあるのか把握する必要があります。まさに、隠れ待機児童、潜在的待機児童と言えると思います。特定の保育園を希望しているのはどのような理由によるのか、また、これらの児童数は今後の保育所等整備の目標数に含まれるのか、ご答弁を求めます。
3点目に保育の質の確保と安全対策について伺います。2014年の認可外保育所といずの信じられないような虐待事件から丸3年が経ちました。被告に対する刑事裁判は、結審し懲役10年の刑に服しているとのことです。しかし、この時の行政の責任についての裁判はこれからであり、内部でも議会でも、対応が適切であったかどうかについては、残念ながら一切明らかにされないままであることに対し、不満を持ち続けています。なぜならそこの検証なしに、有効な対策は、ありえないと考えているからです。この様な悪質で異常ともいえる保育事業がなぜ見逃されてきたのか、特別な理由があったのかと危惧されてなりません。
その様ななかではありますが、本市におきましては、事前通告のない指導監査と今年度からは日常的にも、指導支援員による事前通告なしの巡回指導を始めました。そこで、この2つの取り組みによってどのような成果が得られたか、また、どの様な課題が見えたか見解を伺います。
この項の4点目に、企業主導型保育事業について伺います。2016年3月子ども子育て支援法が一部改正され市町村が施設整備や入所に関与しない企業主導型保育事業が創設されました。子ども子育て支援制度の実施主体は市町村であるにもかかわらず、この企業主導型保育事業は国が行うとされており、市町村の立場が曖昧です。
そこで、本市内の企業主導型保育事業について、安全・安心な保育に責任を負う立場から市はどのように関与するのか伺います。
塙子ども部長
「保育をめぐる問題」のご質問にお答えいたします。
まず、「保育士の処遇改善について」でありますが、保育士の給与をはじめとした処遇改善につきましては、平成27年4月に施行された「子ども・子育て支援法」において、国の責任のもと、適切に実施する旨が示されているところであります。
議員ご質問の、国における処遇改善の取組につきましては、教育・保育の提供に携わる人材の確保や資質の向上、質の高い教育・保育の安定的な供給を目的に、平成25年から毎年、全職員を対象に実施されてきたところであり、平成28年までの4年間で、月額2万6千円の給与改善がなされたところであります。
さらに、今年度におきましては、全職員を対象とした処遇改善として、月額6千円が増額されるほか、新たに「副主任保育士」や「専門リーダー」などが創設され、特に、一定の技能・経験を有する保育士には、その職責や職務に応じた処遇改善が行われることとなり、職員一人一人が自己のキャリア形成を意識することができるなど、組織的なキャリアアップの仕組みが構築されたところであります。
本市といたしましては、これらの取組について一定評価をしているところであり、今後につきましても、国による適切な処遇改善が行われるよう、国の動向を注視しながら、必要に応じて、全国市長会などを通し要望などを行ってまいります。
次に、「待機児童について」でありますが、保育所等の入所事務につきましては、入所希望者が定員を上回る場合、児童福祉法に基づき、入所基準を定めた上で、保育の必要性の高い世帯の児童から入所できるよう利用調整を行うこととなっており、入所に至らなかった保護者に対しましては、通勤経路等を考慮のうえ、利用可能な施設を通知や電話等により、「あっせん」を行っているところであります。それでもなお、特定園のみを希望されるため、入所につながらない児童につきましては、国の通知に基づき、待機児童に含めないこととなっております。
議員ご質問の「特定園を希望している理由」につきましては、「自宅近く」や「保育方針に共感できる」などが主なものとなっているところでございます。
また、本市の「子ども・子育て支援事業計画」の策定にあたりましては、アンケート調査を行い、保育を必要とする世帯の全てのニーズを含めて、目標数を定めたところであり、議員ご質問の「特定園を希望する者」も含め、平成29年度末までに必要となる供給量を約1800人と見込んだところであります。
次に、「保育の質の確保と安全対策について」でありますが、本市におきましては、国が平成28年3月に定めた事故防止のためのガイドラインを踏まえ、同年5月に、本市独自の事前通告のない特別指導監査の判断基準を定め、必要に応じて実施するとともに、本年5月から、本市が所管する全ての教育・保育施設等に対して、少なくとも年1回以上、事前通告なく訪問する、巡回指導支援を実施しているところであります。
これまでの巡回指導支援におきまして、食事や午睡の環境などに軽微な課題があった施設に対し、改善に向けて助言を行ったところであり、指導監査と巡回指導支援を連携させることで、教育・保育施設等に対し、保育の状況に関して、より一層、きめ細かな確認・助言・指導が可能となったところであります。
なお、巡回指導支援を開始してから一月程度であり、現時点では、特に、課題は見出されておりませんが、引き続き、保育の質のさらなる向上に向けて、より効果的な取組になるよう努めてまいります。
次に「企業主導型保育事業について」でありますが、企業主導型保育事業は、子ども・子育て支援法に基づき、多様な就労形態に対応する保育サービスの拡大を行い、待機児童の解消を図るとともに、仕事と子育てとの両立に資することを目的として、平成28年度から、新たに創設された事業であります。
この事業におきましては、国が、公益財団法人児童育成協会を通して、事業者が従業員の福利厚生のために設置した保育施設に対して、許可施設と同程度の助成を行い、同協会が、助成の前提となる認可施設と同程度の基準の遵守状況や、助成金の使途について、指導・監査を行うこととされております。
これに加えまして、本市の役割といたしまして、企業主導型保育事業は、市への届出の対象となる認可外保育施設に該当いたしますことから、他の施設と同様に、立ち入り調査や巡回指導を実施し、保育の状況について、確認・助言・指導を行ってまいります。
今後とも、企業主導型保育事業などの認可外保育施設も含め、法令等に基づき、適切に指導監査を行い、安全・安心な保育環境の確保に努めてまいります。
福田議員
幾つか再質問させていただきます。保育士の処遇改善ですが、実態をつかむということが何よりも重要かなと思います。民間の施設ですと、とりわけ施設に配分されたお金がいくわけですが、保育士の数が基準よりも多いところが私は一般的だと思うのですが、そうなってくると、少しのお金をみんなで分けなくてはいけないとか、今度のキャリアアップの制度でちょっとハードルになっているのではないかと思うのが、60時間の保育研修を受けてキャリアアップをしていただく人が保育園にいなくてはいけないというのがあったと思うのですが、その辺のフォローが私は必要だと思いますが、その辺はいかがですか。
子ども部長
平成29年度から新たに、先ほど答弁させていただきましたように、キャリアアップのシステムが制度上構築されることになったところですが、具体的な内容等については、まだ示されておりませんので、今後、具体的な内容が示されましたらば、その制度の内容について十分説明できるような機会の研修の場も通じて、さらには、何かご質問があれば、適切に指導助言ということを考えています。
福田議員
保育士の処遇については、全企業に努めている女性たちの平均給与との格差が以前ですと11万円ぐらいあったと言われていますが、これまでの取り組みの中で約3万円ぐらい追いついてきたのかなというご答弁かというふうに受け止めたのですが、それに今回のものが加えられて、また、さらに幾らか上がっていくと。それにしても、まだまだ格差は大きいと思いますので、その辺の実態をつかみながら、ぜひ本市でできる支援をしっかりとしていっていただきたいと思います。
あと、待機児童についてですが、特定園希望の理由が自宅の近くであるから、あと、保育方針に共感すると。私は、親であれば、勤め続けることを考えればその負担を考えれば、自宅近くで保育園に入れたいという思いはものすごく強いと改めて思いますし、同時に、保育方針、指針がありますが、保育の仕方というのは園によって多種多様になっているのも現実です。これも格差かと思います。
ですから、国の範囲というのが、待機児童の定義がどんどん狭められて、数だけを追い求めるような施策というのは、私はいかがかと思いますが、この間の取り組みの中で潜在的な保育需要も掘り起こしていかなければ、間に合わないというのはわかり切ったことでありまして、宇都宮で言えば、特定保育園を希望されている皆さんの声にしっかりと耳を傾けていただいて、皆さんが安心して保育園に預けて、一人一人が輝ける、活躍できる状況をつくっていただきたいと思います。
あと、安全・安心な保育の件ですが、トイズの事件からこのようなシステムを導入してきたわけですが、一般論から捉えた対策だと考えています。なぜかというと、事前通告もなく立ち入るということは、そのときでもできたわけですが、あえてそれをやらなかったというところがすごくお聞きしたいところですが、それは司法の場にお任せするにしても、いずれにしても、命を重んずるという心が、現場にも役所のほうにも不足していたということはあるのではないかと思っています。
この事件について1点だけ、事実関係はいずれにしても、裁判で明らかになるのですが、この後につくられた検証委員会、こういった事件が起こった場合に安全対策の一つとして、どうして起こったのかという検証委員会をつくられましたね。これはさかのぼってこの事件について検証することはあるのかないのかだけ、お願いいたします。
子ども部長
検証については、今、裁判の場で今後、係争がされるわけですが、その結果を踏まえまして、必要に応じて検証する必要があるものと理解しています。
福田議員
結果を踏まえてと言うよりは、時間がどんどん流れて、事実関係がどうだったのか曖昧になってしまうことが私は大変心配しているところです。反省の上に立ってこそ、きちっとした対策がとれるということだけ申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
副議長
教育長より、答弁に誤りがあったため、訂正の発言の許可を求められておりますので、発言を許可いたします。
教育長
先ほど学校教育をめぐる問題についてのうち、食育の再質問におきまして、給食費の滞納対策として、連帯保証人制度は生きているのかのご質問に対しまして、生きている旨お答えいたしましたけれども、平成20年4月から、連帯保証人から保証人に変更となっておりますので、訂正をさせていただきます。
福田議員
はい、了解いたしました。
次に、清原地域への農産物直売所の設置について伺います。
テクノポリスや清原台をはじめとする住宅団地の開発が進み、市内でも人口増の著しい地域です。週末ともなると、東は芳賀町のロマンの湯、北は高根沢JAの直売所、南は真岡JA直売所など大規模な直売所に、宇都宮市民が殺到しています。
本市の農業は、大小・兼業農家などにより、恵まれた自然環境の中で多種多様な農産物が作付されてきました。とりわけ清原地域は、畑作が盛んでトマト、梨、キュウリ、玉ねぎ、ニラ、キャベツ、白菜、まさに多種多様です。
農家の皆さんは、自助努力で小規模な直売所や、畑の道路わきに無人の直売所を設け販売しています。
清原地域への大規模な直売所の設置は、地域経済の活性化と、地産地消の推進にも大変有効であると考えますが市長の見解を伺います。
佐藤市長
「清原地域への農産物直売所の設置について」のご質問にお答えいたします。
農産物直売所につきましては、近年、全国各地に開設されており、本市におきましては、大規模な「ろまんちっく村 あおぞら館」や、「JAや複数の農業者が主体的に経営する26施設」をはじめ、「農家が軒先で販売する小規模な施設」、「民間事業者が開設をしている直売所や直売コーナー」など、様々な形態により、数多くの施設が運営されております。
農産物直売所は、消費者の視点から、「作り手の顔が見え、安全・安心な地場農産物を直接買い求める場」として、また、農業者の視点から、「消費者を身近に感じられることで営農意欲が向上し、農業所得の増加につながる場」として双方に有益な施設と捉えております。
これらの農産物直売所に対しましては、イメージアップにつながる簡易な改修や物品の購入に対する助成などの支援策のほか、地場農産物を取り扱う飲食店や宿泊施設なども含めて地産地消推進店として認定し、広くPRするなど、様々な施策を講じているところであります。
議員ご質問の清原地域につきましては、かねてから、地域が主体となって国の交付金を活用した農産物直売機能などを備えた地域拠点施設の整備に向け検討が進められてきたところであり、昨年7月には、その実現に向けて「清原地域
振興協議会産業特別委員会」が設置されたところであります。
こうした、地域資源を生かした清原地域の熱意ある取組は、他の地域を牽引するものであり、私が目指す「農業王国うつのみや」の実現に資するものでありますことから、これまでも、地域に対しまして助言などを行ってきたところでありますが、今後、地域拠点施設の機能・規模に関して地域自ら、委託調査を実施する必要がありますことから、その経費の一部を助成する制度を創設したところであります。
今後とも、清原地域の主体的な取組につきまして、関係機関と連携を図りながら、着実に事業化されますよう支援してまいります。
福田議員
ありがとうございます。清原地域全体で、宇都宮全域から見ても人口増がされている地域ということで、大変若い世帯がたくさん住んでいらっしゃいます。その人たちが目の色を変えて土曜日の午前中になると、近隣の大きな直売所に向かうのです。午後になるとなくなってしまうからだそうです。ぜひ、一日も早い実現に向けてご支援のほどお願いをして、次に移りたいと思います。
最後に、LRTと市民のくらしについて、伺います。今回の一般質問で取り上げた施策、とりわけ教育や保育といった事業は、莫大な財源を必要としますが、充実を望む市民は、圧倒的であると思います。
また、アベノミクスによる経済効果は、富裕層や大企業など限定的なものであり、6月15日に発表した内閣府の景気動向を検証する有識者による研究会では、この1年間で労働者の実質賃金は0,6%下落し「空回り景気」と評されるありさまです。超高齢化社会をあおり社会保障の縮減を押し付ける政策が進められ、くらしの不安は増しています。超高齢化という名で脅しをかけながら、政治が本気で出生率を上げる政策に取り組んでいるのか疑問です。婚活の支援も否定はしませんが、抜本的な解決にはなりません。暮らしの安心こそが、若者が結婚をし、家庭を作り、子どもをもうけたいと考え、幸せな未来を思い描けるのだと思います。
LRTの建設は、市長は身の丈の施策といいますが、本市の暮らしの安心を作るための教育や福祉は身の丈に届いていると思いますか、市長の見解を伺います。
佐藤市長
「LRTと市民のくらしについて」のご質問にお答えいたします。
私は、市民一人ひとりが夢や希望を持ち、潤いのある豊かな生活を安心して送ることができる「まち」を実現するため、これまで、全校での「小中一貫教育の推進」、「こども医療費や重度心身障がい者医療費の助成制度の充実」、「高齢者外出支援事業の実施」など、教育や福祉、子育ての分野における取り組みの強化をはじめ、あらゆる行政分野におきまして、重点化・優先化を図りながら、市政運営に取り組んできたところであります。
こうした取り組みの結果、平成28年度の民間調査におきまして、人口50万人以上の都市の中で「住みよさ度」が4年連続で全国1位となったほか、「共働き
子育てしやすい街ランキング」で3位となるなど、市内外から高い評価をいただいているところであります。
今後とも、「健康づくりや福祉の充実」、「安全・安心な生活環境づくり」といった今を生きる市民の皆様が、住み慣れた地域でいつまでも幸せに生活できるよう、取組の充実・強化を図っていくとともに、将来の宇都宮を担う子どもたちを育むため、「子育て、教育の取組の充実」や、安全で円滑な移動を確保し、人や企業、コミュニティの交流や活動を支える、LRTの整備をはじめとした「総合的な公共交通ネットワークの構築」など、未来を見据えた戦略的なまちづくりに取り組んでまいります。
福田議員
ありがとうございました。ちょっと新聞記事なのですが、2014年度の本県の一人当たりのGDP、県民所得が320万4,000円、東京都、愛知県、静岡県に次いで全国4位、栃木県の経済を引っ張っているのはまさに宇都宮市だと思います。私は、幸せ度という点で皆さんが本当に感じられるまちづくりを切にお願いいたしまして、今回の質問を全て終わります。ありがとうございました。