2017年3月22日


福田くみ子議員の討論


 日本共産党の福田くみ子です。日本共産党を代表して、議案第16号一般会計、第17号国民健康保険特別会計、第18号介護保険特別会計の2017年予算に反対する討論を行います。

 限られた財源を住民福祉の増進のために最大限効果的に、使うことが求められています。また、同時に税の集め方はどうか、使い方の優先順位はどうあるべきか、配分のバランスはどうあるべきか議員の立場から、慎重に検証した結果、新年度の3予算は、認められないとの結論となりました。

まず市民生活の実情ですが、大企業が史上最高の利益を上げる一方で、労働者の実質賃金は4年連続マイナス、非正規社員は増えたが正社員は3年間で23万人減りました。経済の6割を占める家計消費はマイナスが続き、アベノミクス不況に陥っています。

厚生労働省の毎月労働統計によれば、パートを含めた全労働者の平均賃金は、安倍政権発足直前の2012年11月と昨年12月の速報値の比較では、名目でも0,2万円しか増えておらず、物価上昇を差し引いた実質賃金では月1万5千円、年間では18万円も減ったことになります。また、総務省の家計調査によれば、2人世帯の実質家計消費支出は、15年9月から昨年12月までの16か月間連続して「前年度比マイナス」を続けています。アベノミクスの恩恵は1部の大企業や富裕層に限られ、多くの市民は将来不安と苦しい家計の中にあると言えます。生活保護、就学援助の需給増が続いていること、結婚しない若者の多くがワーキングプアの中にいることは、格差の拡大が広がっていることの証です。

予算に反対する理由の第一は、LRT整備事業への支出です。新年度予算においては、LRT整備事業費は、予算明細書やその他の資料にも明記されている約76億円だけではなく、事業に伴う上下水道管の移設工事費など約3億7700万円が、一般会計から上下水道会計に負担金として支出されるとのことです。これは、どの資料にもLRT事業のためという記載はありません。LRTの夢は大きく語り、数字は小さく見せようという意図が強く感じられます。この事業は、LRTありきで進められ安全対策も不十分な上、未だ市民合意は得られていません。利用者の大部分が通勤通学者に限定される一路線に多額の税金が投入されること、しかも上下分離方式で事業全体の事業費や財務状況の透明性に欠けること、さらには減価償却費が計上されない仕組みの中では、事業の継続性の担保も見えないことは重大です。

さて、理由の第2は地方創生や1億総活躍の名のもとでも実際には大企業優遇で、地に足の着いた地域経済の活性化策が置き去りにされている点です。

新年度予算の歳入を見てみると、法人市民税は税率の引き下げで前年比3%、3億2300万円余の減となっています。法人市民税は2015年予算との比較では、116億から107億へ9億円もの減収になっています。

安倍内閣では、15年16年と連続で法人税の税率を引き下げ、14年の復興特別法人税の廃止とあわせて、4兆円もの企業減税を実施してきました。この結果、大企業の法人実効税率は29,97%まで低下し、さらに、受取配当益金不算入制度や研究開発減税、連結納税制度などの大企業優遇の仕組みがあるため実際の大企業法人税負担率は12%程度になり、中小企業よりも低いのが実態です。研究開発減税は制度上は中小企業も対象になりますが、実際に恩恵を受けるのはもっぱら大企業です。17年度は消費税の税率引き上げが見送られたため、新年度の法人税減税は実施されませんが受取配当益金不算入制度や研究開発減税、連結納税制度などの大企業優遇の仕組みは温存されます。

こうした国の大企業に対する至れり尽くせりの制度に加えて、新年度宇都宮市は、これまでの企業立地・定着促進拡大再投資に対する支援に加え、企業の本社機能移転に対する支援として、3年間の事業所税、法人市民税、固定資産税の減税と新規雇用者1人当たり20万円の助成をするとし、あわせて1億5326万円余を計上しています。とても認められるものではありません。本社機能移転企業への新規雇用者1人当たり20万円の補助金は、地元中小企業や個人事業主向けにこそ必要です。地産地消の農産物は、直売所の整備で地域経済の活性化にも大きく寄与しますが未だ未着手です。地域経済の活性化のためには、99%を占める地元の中小・個人事業主や地域商店街に対する支援にこそもっと力を入れるべきです。

 第3に河内・上河内がそれぞれ自治センターから地区市民センターになり、上河内では保健センターが消え保険と福祉の窓口は河内地区センターに統合され、職員体制は34名から10名に減ることとなります。少子高齢化と人口減少社会に対応するためには、行革路線でマンパワーを減らす効率化ではなく、住民の願いを的確に把握し反映させるためには住民自治を発展させることが重要です。地域自治センターとしての機能を全市に広げるべきです。

 第4に、つめこみ保育を応援する待機児童対策は、認められません。新年度行うとしている1歳児の定員の120%以上を受け入れる施設に対する助成制度はつめこみ保育を応援するということではないですか。1歳児は、もっとも手がかかり事故等も多い年齢です。保育の質を落としてでも目標達成しようというあまりに乱暴な施策です。保育の質は、子どもの命に係わる重要な観点であり、安上がりの待機児対策は認められません。

第5にマンパワーの問題です。今議会の荒川議員の質問で、2017年度までの10年でフルタイム再任用職員を含む常勤は510人約13,5%も減となることが明らかになりました。一方で短時間再任用や非常勤嘱託員などは同じく10年前との比較で220人約12%増となるとのことです。市保育所では、約半数が非正規職員とのことです。行き過ぎた合理化は、結果的に住民サービスの低下につながります。

また、市民の命や健康、くらしや財産を守る専門職である保健師、ケースワーカー、消防職員、消費生活相談員などの配置は、新年度も不十分な状況が続くことは見過ごせません。

 最後に、市民が歓迎していないLRT整備を白紙に戻し、半額程度で整備可能なBRTに切り替えることで約40億円、大企業優遇の見直しで1,5億円、マンション建設が主の大手町再開発20億円、ジャパンカップの見直し1億円などで約62億円の歳出を抑制できます。これを認可保育所の整備、国保税・介護保険料の引き下げ、マンパワーの充実、地域自治制度の拡充、中小企業個人事業主への支援など、市民生活の切実な願いに回すことが可能と考えます。

 以上、17年度予算について主な事業をあげ反対の理由を述べてまいりましたが、議員各位のご賛同を期待いたしまして私の討論を終わります。

 

 

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