2017年3月22日
荒川つねお議員の討論
私は、ただいま議題となっています議員案第3号、芳賀・宇都宮LRT整備の推進に関する決議について、反対の討論を行います。
まず、議会決議とは何か、改めて調べてみました。
決議とは、「議会が行う事実上の意思形成行為で、政治的効果をねらい、或いは、議会の意思を対外的に表明するために行われる議会の議決のこと。意見書とちがって、「法的根拠はない」とありました。
そこのあるように、議会の意思の表明でありますから、全会一致が原則・慣例となっている議会が圧倒的だそうであります。
そこで、議会事務局に調査をお願いしたところ、過去20年間、平成8年から平成27年9月までの間に、本市議会では、特別委員会設置の決議を除く議会決議では、「陸上自衛隊宇都宮駐屯地への地対艦ミサイル連隊配備計画の見直しに関する決議」など21件ありました。その内、「地方分離一括法の早期成立を求める決議」だけは、日本共産党が反対でしたが後は全て全会一致となっています。
宇都宮市議会においても、議会意思の表明たる議決については、党派・会派間の政策的違いを尊重しつつ、調整・歩み寄りへの努力と譲り合いの基で、全会一致を原則とする慣例に則ってきました。
ところが、今回の決議案は、議会の中でも意見の大きく分かれているLRT問題について賛成会派のみで、決議を強行しようとするものであり、これでは、党利党略の決議との批判は避けられないと思いますが、全議員の皆さん、いかがでしょうか。こうした議会決議の強行は、宇都宮市議会のこれまでの党派及び会派を越えて築いてきた伝統と慣例に照らし、このような議会決議のあり方は、これが最初で最後にしたいと思うが、いかがでしょうか。
次に、今回の決議案提出の背景にあるのは、議長に提出された16団体による芳賀・宇都宮LRT整備の推進に関する要望書にあると思われます。
このLRT推進と見られる16団体の要望書提出に対して、一市民の方から、議長に対して、慎重な取り扱いを願う要望書が提出されました。この市民の方の意見によれば、16団体の要望書の内容は、ほとんどが書き出しから最後まで、また、一部分の挿入部分を除いて、ほぼ同一内容であり、提出日も同日の記載となっていること。また、要望書提出の経緯を確認したところ、商工会議所内にある「栃木県LRT研究会」が原案をつくり、2月中に各団体を訪問、団体長に経緯を説明した上で、24日に要望書を回収したとの指摘があります。それぞれの団体の民主的意見集約による要望書となっているのか懸念されていることは十分に理解できるものであります。
ただ私は、議長への各団体の要望書が、どんな形態であれ、その提出に異議をさしはさむつもりは全くありませんが、このような画一的で、団体としての顔なき声に突き動かされて、賛成会派による多数決を用いた強引な決議採決については、一議会人として誠に残念至極であります。
そして、私は、この決議に賛成しようとしている議員の皆さんに問いたい。この決議は本当に必要なものなのかです。
今議会には、LRT整備に反対の立場から陳情が4本提出され、議論されました。その中身の一端を見てみますと、LRT推進会派の委員の発言は、陳情者の言うところの市長選挙結果をもって、同事業を半年間延期したとの指摘は全く当たらない。運輸審議会等のスケジュールの遅れ、提出書類内容の確定の遅れ等であり、市長選挙前からの想定の範囲内のスケジュールであるということで一致しています。その立場ならば、あわてて提出された推進団体の要望を受けた、あわてた決議の強行など必要なかったのではありませんか。
民意なきLRT先にありきの大暴走に次ぐ大暴走の果てに市長選挙結果での市民の民意に大衝撃を受けて、急ブレーキをかけざるを得なかった状況になっているとみるのであれば、話はわかるのですがいかがでしょうか。
討論の最後に、決議案そのものについてです。時間の都合で「市民合意」にかかわる部分について反対の意見を述べます。
決議案は、「国内初となる全線新設によるLRT整備という歴史的事業がこれまでの綿密な調査や事業検討、懇切丁寧な町民・市民との合意形成の取り組みにより結実し~」とあります。まさに、この部分は事実誤認も甚だしいと私は思います。市長選挙におけるLRTの是非に対する市民有権者の審判は、NHKや下野新聞の出口調査に明確に示されています。LRT整備事業については、市民不同意が民意です。また、この出口調査の結果は、議会の議決との隔たりを明らかにしました。市長選挙は、LRT事業をめぐる市民合意尊重と確認を新しい段階に引き上げたことを、こぞって認識すべきです。口をそろえて懇切丁寧な市民との合意形成の取り組みにより結実と言うのであれば、LRT推進派にとっても、いよいよこれからが正念場ではないのか、市民不同意のままのLRT整備強行ではなく、市民合意をしっかり確認した上での、事業進行を選択することこそ、憲政の常道であることを改めて強調するものであります。
さて、私はこの3月16日、県内5政党・2市民団体の代表団の1人として、国土交通省及び総務省に対して、「宇都宮市LRT整備計画についての慎重な審査と指導を求める陳情」を行ってきました。
国土交通省の改正地域公共交通活性化再生法に基づく地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針では、地方公共団体が先頭に立って住民合意を図ることが大前提となっています。
この基本方針に従って、巨額の国費を投入しようとしている整備計画は、市民合意が未到達の現状が明らかになった中で、これまでの事業認可の再検討及び今後予定されている工事施行認可に当たっては、宇都宮市に対して、住民投票実施結果など、住民合意を得たとする客観的担保を明らかにするよう指導すべきと求めてきたところです。
全議員の皆さん、いま、圧倒的市民が求めているのは、多数決によるLRT促進の決議なのでしょうか。それとも、懇切・丁寧な市民合意の取り組みとその確認によるLRT事業の可・否の選択を市民に問う道なのでしょうか。
私どもは迷うことなく、後者を選択し皆さんのご賛同をお願いし、討論を終ります。