2017年3月3日

荒川つねお議員の代表質問



荒川議員


日本共産党宇都宮市議員団を代表して質問を行います。明快な答弁を求めます。

 今、国会で審議されている2017年度国家予算案の特徴のひとつは「アベノミクス」の破綻と大軍拡のつけ回し、大企業応援を続けることのしわよせで、社会保障をはじめとした国民生活向けの予算が圧迫されていることです。

 安倍内閣は、2015年の「骨太の方針」で、社会保障予算の「自然増」を毎年5千億円程度に抑える方針を決め、毎年のように、制度の改悪によって給付の削減や負担増が押しつけられてきました。2017年度も、この方針に基づいて、昨年度の概算要求時点では6400億円と見積もられていた「自然増」の1400億円の削減が行われました。その中には、後期高齢者医療の低所得者への保険料軽減措置を縮小して保険料負担を増やすことや、高齢者の医療費や介護利用料の自己負担限度額の引き上げなど高齢者向け予算が狙い撃ちされています。

 2017年度予算案での社会保障の削減は、この1400億円だけではありません。2016年の消費者物価が0.1%下落したことを踏まえて、2017年度の年金や児童扶養手当、被爆者手当などの支給額は、0.1%の引き下げ改定となることとされています。「70~74歳の医療費窓口負担二割化」は73歳まで拡大されます。

 安倍政権は、消費税による増収額14兆円のうち、2.8兆円を「社会保障の充実」に充てるとしてきました。しかし、消費税の10%への増税の延期により、その多くを先送りしてしまいました。なお、政府は、2017年度までに実施する「社会保障の充実」の総額を1兆8千億円以上だとしていますが、消費税増税分を充てるのは1兆3500億円だけで、それ以外は社会保障予算を削減して振り替えるというものとなっています。 

 こうしたもとで、本市の新年度予算案が国の社会保障改悪の防波堤となって、地方自治の本旨である市民福祉の向上に適切に対応できているのかが問われていると思います。

 そこで、質問の第一に、新年度予算案において、市民のいのち・暮らしを守るバロメーターというべきマンパワーの強化について伺います。

 まず、保健師・看護師が市など保健福祉部門のマンパワーの増員はどの様に図れたのか。また、以前、この場より指摘した地区担当保健師の過重負担は改善されるのか、伺います。

 次に、生活困窮者の最後の砦である生活保護の最前線であるケースワーカーの増員と1人当たりの受け持ちケース数(スーパーバイザー等は除く)は何人となるのか。

 次に、公立保育園保育士確保と子育て世代包括支援センターの状況と体制強化について伺います。

 次に、国基準と大きく乖離している消防職員の増員は図られたのか、伺います。

 この項の最後に、正規職員・再任用職員・非常勤嘱託員・臨時職員の2007年と、10年後の2017年の職員数の増減について伺います。




行政経営部長


「新年度予算案とマンパワーの強化について」のご質問にお答えいたします。

まず、「保健師など保健福祉部門の増員」につきましては、新年度、新たに2人の保健師を増員する予定であります。

次に、「地区担当保健師の負担の改善」につきましては、保健師1人当たりの平均担当人口は、平成28年3月議会でお答えいたしましたとおり、19,327人でありましたが、新年度は、19,343人となり、ほぼ同程度となる見込みであります。

 また、最大担当人口は、36,064人でありましたが、担当地区の見直しにより新年度は32,223人となり、改善が見込まれるところであります。

 今後とも、社会情勢の変化や地域の実情を的確に捉え、適切に人員を配置するとともに、全庁横断的に保健師が連携して保健福祉サービスの提供に取り組んでまいります。

 次に、「ケースワーカーの増員と1人当たりの受け持ちケース数について」でありますが、新年度は、ケースワーカーを1人増員し、70人体制となる予定であります。

 また、1人当たりの受け持ちケース数は、95世帯となる見込みであります。

 次に、「公立保育園を希望する児童に対応した保育士の確保及び子育て世代包括支援センターの状況と体制強化について」でありますが、まず、「公立保育園を希望する児童に対応した保育士の確保」につきましては、現在、待機児童の解消に向け、施設整備等による「供給体制の確保」とともに、「保育士の確保」にも取り組んでいるところであり、公立保育園におきましても、面積基準を十分踏まえながら、入所を希望する児童が入所できるよう必要な保育士を確保してまいります。

 次に、「子育て世代包括支援センターについて」でありますが、平成28年4月に市内5カ所に設置いたしました子育て世代包括支援センターにおきましては、保健師や保育士の専門職により子どもの発達・発育をはじめ、家庭環境や育児不安などの総合的な相談支援を行っているところであります。

 今後とも、子育ての不安や孤立感の解消につながるよう、関係機関との連携を図りながら適切な相談支援に努めてまいります。

 次に、「消防職員の増員について」でありますが、新年度につきましても、引き続き、事務事業の見直しなど、内部努力を行いながら、重要施策の推進に向けた職員配置の重点化や適性化等に、現在の職員数を基本として、取り組んでまいります。

 次に、「2007年と2017年の職員数の増減について」でありますが、まず、フルタイム再任用職員を含む常勤の職員数につきましては、10年前の平成19年度の3,792人に対し、平成29年度は現時点で、約510人間の3,280人程度になる見通しであり、短時間再任用職員につきましては、平成19年度の44人に対し、平成29年度は、約120人増の160人程度となる見通しであります。

 また、非常勤嘱託員につきましては、平成19年度の1,394人に対し、平成29年度は、約190人増の1,580人程度となる見込みであり、臨時職員につきましては、平成19年度の208人に対し、平成29年度は、約90人減の120程度となる見込みであります。

 今後とも、行政課題の変化に的確に対応し、良質な行政サービスを迅速に提供できる職員数の確保に努めてまいります。


荒川議員

 答弁ありがとうございました。何点かお聞きしたいと思うのです。

 まず、消防職員の増員の問題を今、お聞きしました。宇都宮市、今現在、国基準との関係で何人少ないのか、まずお聞きしたい。あわせて、現在の基準をもとにやっていくということですが、実際には現場では休みの交代なども含めたりして大変な御苦労していると伺っていますが、消防署としては、今度の予算編成にあたって、増員について予算要求をしたのかどうか、お聞かせ願いたいと思います。


小池消防長

 
まず、現在の数ですが、454名。これは国の基準ではなくて、国の整備指針、一応目標であります。そこで出しているものと合わせますと、全国平均77.4%に対し77.8%となっております。整備指針で計算した数字をただいま手元にありませんので、申し訳ありません。

 それと、人員増を要求したのかという再質問ですが、職員の適正化計画で体制の変更については求めておりません。また、職員増についても、現在のところは求めておりません。


荒川議員

 
市民の生命、財産を守って一生懸命、もう日夜大奮闘の人が、今言ったように、国の整備指針との関係でも少ない中で頑張っているのですから、自信持って人員をふやしてもらうように予算要望したらいいのではないでしょうか。これは意見であります。

 あと、先ほど保健師の問題では2名増員というお話もありました。

 それで、この前の質問との関係で調べてみましたら、平成24年は77名で、地区担当の保健師は32名でした。平成28年度は80名で、地区担当は27名でありました。いずれにしても、平成24年から平成28年の間でわずか3名しか増えない。今回2名増えたのは喜ばしいことでありますが、これでは、先ほどの地区担当保健師さんの最大の受け持ち人口などを見ても明らかなように、まだまだ不十分なのではないかと思います。これも思い切った増員が必要ではないかと意見を述べておきたいと思います。

 もう一つ、最後にお聞きしたいのは、生活保護のケースワーカーですが、これも大体一人当たり80人と言われていて、もう既に70名体制に1人ふやして増員したけれど、一人当たり95世帯、もう既に15人もオーバーして、これから恐らく生活保護についてはますますふえるのではないかと思うのですが、この辺はどのような考えなのでしょうか。


本橋保健福祉部長


 議員おっしゃる通り、現在のケースワーカーの配置数については、15名不足している状況にあります。ただ、これまでケースワーカーについては、急激な保護者、保護世帯がありまして、ふやしてきましたが、現時点では高止まりで急激な世帯数の増が見られませんので、できるだけ法にのっとった適正なケースワーカーの確保には努めてまいりたいと思いますが、現時点ではこの体制で対応してまいりたいと考えています。


荒川議員


 今、答弁もありましたように、いずれにしても、もっと市民の命、暮らしを守るところで人が必要だというのは、今の状況ではっきりしたと思うのです。

 しかし、人の配置は一定程度するけれども、国の基準などにもまだ遠く及ばない。この背景は、LRTに今年も76億円もお金をかけて、こういうところにはほんの最低限度の増員でお茶を濁していると。今の佐藤市長の政治姿勢がマンパワーの不足にも大きくあらわれているのではないか。LRTの予算を平成28年度補正予算で大減額をしました。減額しないでほかに使えるところもあって、予定していたよりも区画整理が進捗したり、河川工事が進捗したりしました。こういう点でも、LRTと市民の暮らし、福祉に大きなギャップがるのではないかという意見を述べて、次に入りたいと思います。

 LRTの問題は後であれですので。

 第2に、認知症施策の推進について
です。

 認知症対策は、今や国民的課題ではないでしょうか。2012年の認知症者数は462万人であり、2025年には65歳以上人口の約2割になるといわれています。

 地域包括支援センターなどで、医療機関や介護サービス及び地域の支援機関の間の連携を図るための支援や、認知症当事者を支援する相談業務を行うのが「認知症地域支援推進員」です。また、認知症は、初期症状のうちにプロが関わることが大事だとされており、医療や介護の専門職が適切な治療やケアにつなげて自立生活をサポートする「認知症初期支援集中チーム」配置が2018年度までに、全ての市町村に求められています。当事者が、専門家や地域の人と集う「認知カフェ」も重視されています。

 このような中で、私の調査によりますと、2016年3月末現在本市の65歳以上の人口127,820人(24.5%)のうち、要支援・要介護認定者は、14.9%18,986人、施設入所の要介護者2,872人以外の在宅の要支援・要介護認定者は16,114人となります。その内、認知症I~Mまでの人は11,216人となっています。当然、認定されててもサービス未利用者、要支援・要介護認定を受けていない高齢者の中にも、ケアの必要な認知症該当者が確実に存在することは間違いありません。

 そこで、伺います。本市のにっこり安心プランに基づいて、認知症対策に関連する基本目標3の取り組みの到達点とその評価について伺います。

 次に、人口52万人の都市である本市で、65歳以上人口が年々増加する中で、認知症初期支援集中支援チームは1つで大丈夫なのかについて、されに「認知症地域支援推進員」の配置の現状と今後の配置体制の方向性について伺います。

 次に、認知症になっても安心して暮らせる街にするために、兵庫県川西市に見られるような認知症地域資源ネットワーク構築への本格的事業に取り組むべきと思うが答弁を求めます。

 この項の最後に、社会と家族理解を深めることにもつながる小・中学生に対する認知症サポーター養成も意義あることと思うが答弁を求めます。 


保健福祉部長

 
「認知症対策の充実について」のご質問にお答えいたします。

 まず、「にっこり安心プランにおける認知症対策の取組状況と評価について」でありますが、本市におきましては、認知症の本人やその家族が、住みなれた地域で、安心して暮らし続けることができるよう、平成27年度から平成29年度を期間とする「第7次 宇都宮市 高齢者保健福祉計画,第6期 宇都宮市 介護保険事業計画」いわゆる「にっこり安心プラン」におきまして、認知症対策に重点的に取り組むこととし、計画の「基本目標3」におきまして、「認知症高齢者等対策の充実」を位置づけ、認知症サポーターの養成などによる、「認知症の正しい理解に向けた周知啓発の推進」、医療・介護従事者等の連携強化のための研修事業などによる、「医療・介護・福祉が連携したケア体制の充実」認知症サロン事業などによる、「認知症高齢者やその家族が暮らしやすい地域づくりの推進」の3つの施策を展開しているところであり、計画の進捗状況を評価していただく場となる「宇都宮市 社会福祉協議会」におきましても、「概ね順調な進捗となっている」との評価をいただいたところであります。

 次に、「認知症初期集中支援チームの設置数について」でありますが、「認知症 初期集中支援チーム」は、国の認知症に関する総合戦略であります「新・オレンジプラン」におきまして、認知症の診断を行うことができる「医師」や、「精神保健福祉士」などの専門職が連携し、在宅で生活している、認知症が疑われる方、または、認知症の方で、医療や介護サービスを受けていない方などに対しまして、早期診断・早期対応のための体制整備として、平成30年度までに、全ての市町村において、設置を目指していくとされております。

 このため、本市におきましては、認知症の専門医療機関である「認知症疾患医療センター」と連携し、「市医師会」や「認知症の人と家族の会」などの、関係機関や団体からも意見を伺いながら、検討を進めているところでありますが、この「支援チーム」の設置にあたりましては、常設などの固定化した仕組みではなく、地域における相談窓口となる「地域包括支援センター」と「医療機関」が、支援対象者の状況に応じた、柔軟な組み合わせを可能とする仕組みが望ましい、との意見をいただいているところであり、引き続き、「認知症疾患医療センター」をはじめとする関係機関や団体と緊密に連携しながら、平成30年度の設置に向け、チーム数も含め、具体的な検討を進めてまいります。

 次に、「認知症地域支援推進員の配置状況と今後の方向性について」でありますが、本市おきましては、平成26年度より、高齢福祉課内に「認知症 地域支援推進員」を1名配置し、医療・介護サービス等の連携支援や、地域での支援体制の構築などの役割を担い、その活動状況につきましては、市医師会などの関係機関や団体から、高く、評価いただいているところであり、引き続き、1名を配置してまいります。

 次に、「認知症地域資源ネットワーク構築について」でありますが、本市におきましては、川西市の取組と同様に、「認知症の人と家族の会」や、「市医師会」などの関係機関・団体と協働し、医療・介護の連携に向けた「研修会」の開催や認知症の本人や家族が必要とする医療・介護サービスなどをとりまとめた「認知症ガイドブックの作成・配布」のほか、地域での支援体制の充実・強化を図るため、「認知症サロン事業」や「ひとり暮らし高齢者等安心ネットワークシステム事業」の実施、更に、毎年9月には、全市的な啓発事業となる「認知症月間事業」を展開するなど、先駆的な取組を進めてきたところであり、引き続き、認知症の本人や家族が暮らしやすい地域づくりに取り組んでまいります。
 次に、「小中学生に対する認知症サポーター養成講座について」でありますが、本市におきましては、児童生徒・学生が、認知症への理解を深められるよう、各教育機関での「認知症サポーター養成講座」を開催しているところであり、これまで、延べ1,600人の小中学生に受講いただいており、今後とも、認知症に対する正しい理解が促進されますよう、小・中学校や、地域・企業など、多様な場での「認知症サポーター」の養成に努めてまいります。


荒川議員


 今、答弁を聞きまして、認知症対策を、本当に国民的な課題、行政としても本気になって取り組むべき課題であり、多岐にわたる取り組みが行われていることはわかりました。

 私は、一つ、今の答弁で思うのは、川西市の視察なども行って学んできたのですが、宇都宮市全体で今、このようなことをやっているよと。あとはそれぞれ認知症と分かった人を地域包括支援センターなどとの関係でケアしているということだと思うのです。川西市は、介護保険の認定を受けた人については、認知症かどうかはもうデータとして出ているので、小学校区ごとに認知症の方がどれくらいいるか、要介護認定の人がどれくらいいるか、65歳以上の人たちがどれくらいいるか把握して、その中で認知症対策も含めて、公の市段階でやるものと地域でやるものと取り組んでいるわけです。

 ですから、そういう点では、まだ宇都宮市では、小学校区でも、地域包括支援センターでもいいのですが、おおむね中学区単位でもいいのですが、もう少し地域が見えるような把握と活動が必要だと思っているのです。この辺のところはもう一歩進める必要があると思うのですが、どうでしょうか。


本橋保健福祉部長


 議員ご指摘のとおり、地域包括支援センターが、今現在、中学校単位で25ありますが、それぞれの地域ごとに認知症の方を把握できる体制は非常に必要だと認識していますが、今後、地域包括ケアシステムの中で、高齢者、認知症の患者さんを含め、どういう単位がいいのか、どのぐらいのブロック分けするのかなど、区域のあり方も含めて、引き続き検討してまいりたいと考えております。


荒川議員


 私は、認知症対策、地域包括ケアもそうかもしれませんが、認知症対策で本気度をあらわすのは、地域を単位でスピードを持ってやっていくことだと思うのです。そういうことでお願いしたいのです。

 それと、もう一つ、この間の新聞に、栃木県として、認知症相談医84人をオレンジドクターとして認定したという記事が載っていました。これも大変いいことだと思うのですが、このうち、宇都宮市では何人のお医者さんが認定されたのか。そして、今後、このオレンジドクター制度をどのように宇都宮市で生かしていくのか。何人というのはわからなければ、後でもいいのですが、こういうものが2月1日から始まっているわけで、これをどう宇都宮市で今やろうとしているのかだけ、お聞かせ願いたいと思います。


本橋保健福祉部長


 先ほど御答弁しましたように、これから認知症初期集中支援チームをつくって、お医者さんに協力をいただいて、できるだけ認知症の疑いのある方を早期発見・早期治療につなげていきますので、当然ながら、そういった方の確保も重要であると認識しています。

 数については、現時点で手持ちに持ち合わせていないので、人数は把握しておりません。


荒川議員


 認知症相談医が地域のどこのお医者さんなのか、そして、認知症相談医と、上下の上でありませんけど、サポート医がいて、そして、認知症初期集中支援チームも含めたところにつながっていくのだと思うのです。そういう点では、いち早く認知症相談医などについても、地域できちんと市民にもわかるようにしながら、さらに、相談医を増やすように全力を挙げてもらいたいと思います。

 いずれにしても、認知症の問題では、先ほど概ね順調などという評価がありましたが、私は、認知症の概ね順調なのはサポーターの数ぐらいで、あとは、やはりまだまだいろいろな意味で必要な点がたくさんあるのではないかと。例えば認知症対応型の共同生活介護も、この計画では3年間で54床で終わっていますが、とてもこれでは済まないと。新しい計画ではもっと抜本的な数字を上げていく必要があるのではないか。ぜひ、認知症対策での本気度を具体的な数字と体制で示してもらうように要望して、次に入りたいと思います。

 第3に、LRT整備計画の諸問題についてです。

 まず、市民合意尊重についてです。

 本市が今、国交省の全面支援を受けて進めようとしている全線新設のLRT整備計画ほど、この事業がいったい誰のための事業なのか。市行政にも、議会にも、市民にも鋭く迫っているものはないと思います。私は、このLRT事業から市民の賛同・合意形成を除けば、あとに残るのは、大企業・ゼネコン・デベロッパーのための事業であるとこれまで指摘してきました。いかに、市民のためですと強調しても、市長選挙結果に示された市民不同意の民意は真正面から受け止めて対処すべきです。LRT事業、市民不同意のまま強行か、市民合意を確認し得た上での事業進行か、まさに、市長にとって憲政の王道が問われていると思うが答弁を求めます。

 また、今回の市長選挙結果は、市民の民意と議会の議決との隔たりを明らかにしました。市長も議会も、この隔たりをそのままにして前に進むことは許されない事態ではないでしょうか。LRT事業をめぐる市民合意尊重と確認の新しい段階に到達していることをこぞって認識すべきです。その上に立って、市長はLRT事業着工手続き前のしかるべき時に、その是非を問う住民投票を決断することだと思いますが答弁を求めます。 

 次に、市長選後の一連の広報活動についてです。

 1点目は、全戸新聞折り込みちらしの一面、市広報紙2月・3月号表紙写真は、LRT計画ルートのどこの地点を想定したものでしょうか。

 2点目にちらし2面のQ&A問答についてです。市長選挙時の相手陣営のちらしを行政が引合いに出すと言うのも前代未聞の珍事ですがそれはさて置き、まず、総事業費1000億のことに関して、東側区間だけの事業費にすり替えて、否定する。市の市民説明に耐えられる問答ではありません。また、「市民負担は増えません。増税や新たな負担はありません」はどうか。LRT税とか交通未来都市税などという増税の話は最初からどこにもありません。新たな負担については、すぐ、横に、「年当りの費用最大で13億円、20年で186億の市債発行」は市民の背負う新たな借金じゃないですか。「赤字になりません」も「大通りにバスは走ります」の問答も正確性を欠いています。渋滞問答もあります。上の写真はどこの地点ですか。下のイラストはどこの地点の交差点イメージですか。合わせて伺います。

 3点目に、このちらしは、交通未来都市うつのみや広報戦略プロジェクトチームの作成と聞くが、このチームの体制とシンクタンクはどこか。そして、ちらし広報にかけた総費用及び新聞広告代についてそれぞれ伺います。

 次に、市長選後の市民団体・政党らによる市長への公開質問状提出に当たり、市長代理で対応した吉田副市長は、事もあろうに出所不明の質問状を突きつけ、公開質問状回答日には、その質問回答を出さなければ、公開質問回答書を渡さないと言い張り、新聞報道にある通り大紛糾しました。公務員、公僕としての立場をわきまえぬその行為について市長はどの様な措置をしたのか。吉田副市長に反省はあるのか答弁を求めます。

 また、同団体らとの意見交換会において、吉田副市長はLRT乗り換えによるバス路線効率化を盛んに強調していますが、全くの一般論となっており、現時点に至っては具体性を欠き市民に見えない説明は改めるべきと思うがどうか。

 この項の最後に、宇都宮市街地開発組合の基金についてです。

 同組合は、1960年、県・市の分賦金のもと発足し、清原工業団地の開発でバブルの恩恵も受け、破格の基金を貯めこみました。
 その基金は、清原団地のため引いてはLRT事業に投入すべきとの声があります。しかし、清原工業団地のためには、野球場、体育館、グリーンスタジアム等の整備に十分使われて来ています。基金は市民の全体の財産であり、その活用にも市民合意が求められる性格のものであります。LRTありきではなく市民全体の福祉と利益のために活用すべきと思うが答弁を求めます。 


市長


 「LRT整備計画について」のご質問にお答えいたします。

 まず、「市民合意の尊重について」でありますが、LRTにつきましては、総合的な公共交通ネットワークの構築により、誰もが快適に移動でき、人や企業の活動を活性化させる「交通未来都市うつのみや」の実現に必要不可欠な都市の装置でありますことから、その整備に向けまして、積極的に取り組んでいるところであります。

 市民理解の促進につきましては、今回の市長選挙を通じまして、本市のまちづくりやLRT事業に関して正確な情報により正しく理解していただくことの重要性をあらためて実感したところであり、昨年12月以降、出前講座やオープンハウスなどの双方向での取組に加えて、本市が目指す交通未来都市のまちづくりや、LRT事業に関する正確な情報につきまして、さまざまな媒体を活用した繰り返しの情報発信に取り組んでいるところであります。さらに、新年度におきましては、「協働広報室」を新たに設置し、市民の皆様が、LRTを含めた公共交通を利用して生活するというライフスタイルへスムーズに移行できますよう、市民や企業などと連携・協働した広報活動の取組を推進し、「交通未来都市うつのみや」の実現に取り組んでまいります。

 次に、「住民投票について」でありますが、これまでもお答えしてきましたとおり、国や県、周辺市町、有識者や関係機関との協議を経て、適宜丁寧に市民への説明に取り組んできたところであり、さらに、地方公共団体の長及び議会の議員を住民が直接、選挙するという二元代表制のもと、これまで、議会と執行部との間で長年にわたり議論を積み重ねながら進めてきたところでありますことから、住民投票を行うことなく、議会と執行部との間で十分に議論をし、進めにいくことが適切であると考えております。

 次に、「市街地開発組合基金について」でありますが、組合につきましては、宇都宮市域の工業生産力を増強するため設置したものであり、組合の財政調整基金は、本市の工業団地の分譲で得た利益を積み立てたものであります。

 この基金の活用につきましては、組合議会の事業検討会におきまして、LRTを含む新交通システム導入の支援など、工業団地の付加価値向上に資する事業に活用するとの報告がなされております。

 こうしたことから、本市といたしましては、組合の設置目的や基金の積み立ての経緯、組合議会での検討結果を踏まえますと工業団地の機能強化に資するとともに、市民全体の福祉と利益につながるLRT事業への活用が最も相応しいものと考えております。

 今後とも、市議会のご意見を伺いながら、組合の解散や基金の活用などにつきまして、栃木県及び市街地開発組合と協議を進めてまいります。


建設部長

 
「市長選後の広報活動について」のご質問にお答えいたします。

 「新聞折り込みチラシや市広報紙の表紙写真」つきましては、「ネットワーク型コンパクトシティ」における都市拠点や地域拠点、産業拠点の街並みにつきましてLRT導入後の将来的なイメージをお示ししたものであります。

 次に、「新聞折り込みチラシ2面のQ&A問答」につきましては、市民の皆様から寄せられた主な疑問や懸念に対しまして、これまで、ご説明してきた内容につきまして、分かりやすく、お示ししたものであります。

 このうち、「整備費」につきましては、国の認定を受けました、LRTの優先整備期間であるJR宇都宮駅東側の費用を、グラフにより、お示ししたものであり、「市民の負担」につきましては、LRTの整備は、本市の財政で、十分、対応できる事業であり、市民の皆様に、増税や新たな負担は、生じない事、また、「運営」につきましては、運賃収入などで、黒字となることをイラストなどにより、お示ししたものであります。

 「大通りのバス運行」につきましては、「宇都宮 都市交通戦略」におきまして、LRT導入後も、JR宇都宮駅西側の一部の路線バスは、引き続き、大通りを運行することとしており、その考え方をお示ししたものであります。

 「渋滞の写真と交差点のイラスト」につきましては、宇都宮東部地域における通勤時の柳田大橋の渋滞状況の写真と、LRT導入後の交差点周辺イメージのイラストを、お示ししたものであります。

 次に、「交通未来都市うつのみや広報戦略プロジェクトチームの体制」につきましては、「交通未来都市うつのみや」の実現に向けまして、市民の皆様に、情報を分かりやすくお伝えし、多くの方々と共有を図るとともに、市民の皆様から、意見や提案をいただきながら取り組んでいく必要がありますことから、総合政策部、建設部、都市整備部の関係課を中心に、組織したものであり、また、「委託業者」につきましては、トータルデザイン業務を委託している「株式会社GK設計」であります。

 次に、「新聞折り込みチラシの費用及び新聞広告代について」でありますが、新聞折り込みチラシ及び新聞広告代につきましては、これまでの実績等により、それぞれ約200万円、約130万円であります。

 次に、「公開質問状に関する対応について」でありますが、公開質問状を提出いただいた各政党及び市民団体の方々と本市の公共交通のあり方や、方向性などにつきまして、理解や議論を深めていくためには、一方通行の質疑ではなく、お互いの考え方を確認したうえで、双方向での議論を重ねていくことが重要であると考えましたことから、公開質問状を受領した際に、こちらからも、質問状を提出し回答をお願いしたところであります。

 次に、「意見交換会におけるバス路線効率化の説明について」でありますが、

 本市におきましては、公共交通ネットワークのグランドデザインである「宇都宮都市交通戦略」に基づき、鉄道やLRT,路線バス、地域内交通が効率的に連携した、階層性のある公共交通ネットワークの構築に取り組んでいるところであります。

 特に、JR宇都宮駅東側の公共交通ネットワークにつきましては、平成27年11月に策定した、「芳賀・宇都宮東部地域 公共交通網形成計画」に基づき、バスネットワークの再編に向け、交通事業者との協議を重ねており。その再編にあたっての考え方につきまして、ご説明をさせていただいたところであります。




荒川議員


 それでは、何点か再質問したいと思います。

 まず、市民合意、そして、私は、新しい市長選挙の結果を受けたLRTに対する民意ははっきりしたのですから、それで、今、大変なPRもやっているわけですから、その上に立って、市長は、もしかすると、住民投票でもやるつもりでこのようにいろいろな広報をやっているのかなと思ったのですが、どうもそうではないようですので、残念なことであります。

 いずれにしても、市長選挙の結果を受けるならば、当然伝えたいことは市民に伝えて、その上で市民の判断にゆだねる、これが市政の王道ではないかと。この王道の道を歩まないとなると、先ほど言いましたように、誰のためのLRTなのか。こういう点では後者になってしまうのではないかと思うわけです。

 そういう残念なことについて申し述べながら、時間の関係もありますので、具体的な質問に入りたいと思います。

 まず最初に、LRTのチラシの関係ですが、もう一度お聞きしますが、LRTのこの場面は、広報も、1月とこれは同じなのですが、2月号、3月号のチラシは、きちんと桜通り十文字から清原までのルートで書いているのです。ここのどこなのですか、これは。どこを示しているのですか。それとも架空のものなのか、お聞きしたいと思います。


田辺建設部長


 御答弁しましたとおり、このルートは、宇都宮のネットワーク型コンパクトシティを支えるLRTでして、その拠点を結んでおります。そして、都市拠点、地域拠点、産業拠点それぞれの将来のイメージを示しているものであります。

 拠点ですから、現時点のどこというよりも、拠点が今後形成される。また、その形成に向けて、全ての施策をそれに集中していくと。そういう中で誘導も図れるという将来のイメージとして示したものであります。


荒川議員


 時間がもったいないのですが、今のLRTの路線に、将来でも公園のすぐ近くや住宅の間を通るとか、このような場所はルート上のどこにあるのですか。将来であろうとなんだろうと、このように走れるところは、このルート上のどこにあるのですか。


田辺建設部長


 ただいまご説明したとおり、将来のイメージですので、こういう形を目指していくと。それは都市拠点や地域拠点や産業拠点であると。そういう中で将来の形成の方向性というか、イメージを示したもので、現時点でこれが設計図としてあるというものではありません。


荒川議員


 そもそもこのチラシを出す発端は、選挙結果を受けて、正確な情報を市民にお知らせをするといって、これを全戸配布、保存版としてつくったのでしょう。

 しかし、今の話でいうと、結局、毎号市の広報紙も含めて飾っているこの写真は、将来の夢のイメージですと。今、現実に民意に背いても着工するのだと市長が言っている、具体的なこの時点でのチラシは全くない。今の質問の答弁ではそういうことになるのだと思います。私は、これは裏面も含めて、市民に本当のことを、正確な情報を知らせることとは全く無理があるというチラシになっているのではないかと思うのです。

 先ほど言いましたように、1,000億円は、昨日もちょっと話がありましたが、桜通り十文字からあそこまで、私もここで言っていました、1,000億円ぐらいかかるのではないか。LRT関連事業費を加えれば1,000億円にはなると言っていましたが、誰からもそれは間違っていると抗議は受けたことはありませんでした。

 それで、しかし、その1,000億円のことで選挙のチラシは言っているのに、それを何で東側区間だけにすりかえるのですか。これはすりかえた問答以外の何物でもないでしょう。どうなのですか。すりかえでしょう。


手塚総合政策部長


 今、議員のお手元にチラシがあると思うのですが、全体で1,000億円以上かかるのかというQに対しまして、アンサーでは、東側の整備費は458億円と、東側と明確にお断りしております。ですから、全体という言葉を用いないでLRTは458億円という表現を使うと、議員のご指摘のようになろうかと思いますが、私どもとしては、東側と明確にお伝えしています。


荒川議員


 昨日も論議がありましたので、余り無駄な論議はしたくないのですが、いずれにしても、チラシとの関係では、1,000億円ということで、これが正確ではないと言ってQ&Aをしておきながら、全体の1,000億円の話が、駅東だけで1,000億円はかかりませんなどという打ち出しはあるはずがないのです。


手塚総合政策部長


 私どもとしましては、市民の皆様に提供させていただく数字については、一定の積算をした上で正確に出して行きたいと思っております。ですから、これまで積算した458億円については、東側でかかります。西側についてはこれから積算して、平成28年度末には概算事業費としてお示ししますと、スケジュールも提供させていただいています。平成28年度末までちょっとお待ちいただければと思っています。




荒川議員


 これは意見だけにしますが、当初の383億円との関係では、東側に260億円ですから、西側は110億円だったのです。これはもう平成15,6年の話でしょう。だから、これに対する答えであるならば、全体では駅東のほうは4百数十億円です。プラス何年度現在では110億円ですから、合計で約六百何十億円になると。

 そして、それには、これまでの中で桜通り十文字周辺のトランジットセンターや東武宇都宮周辺、JR宇都宮駅の西口については、その費用には入っておりません。こういう説明をしたわけでしょう。それならば、そういう形できちんと1,000億円との関係での答えを載せるのが当然の当たり前の答えの出し方だと。それが違っている。これは答弁は結構であります。私の意見です。

 次のこともありますので……。


櫻井副議長


 荒川議員、ちょっと訂正があるみたいなので。


手塚総合政策部長


 先ほど再質問の答弁で、平成28年度とお伝えしてしまいました。平成29年度末であります。訂正させていただきます。


荒川議員


 ですから、私は、今言ったように、トランジットセンターなどの関連事業を加えれば1,000億円ぐらいになることは明らかではないかと思います。

 それから、正確な情報を市民に知らせるということで、このチラシも出しているということです。

 それなので、私は提案します。このような夢のような、できるかどうかもわからないようなものを、50万市民に届けるものの表紙に飾るなどはやめてもらいたいと思う。

 これは馬場通り付近の、LRTが走ると、どのようになるのかというイメージ図がちゃんとあります。それから、将来のまちを支えるLRTでも、これは小さいでしょうけども、後ろに清原工業団地や東側の鬼怒通りや馬場通りをLRTが通るとこういうふうになりますというイメージ図があります。イメージ図と書いてあります、ここには。ということで、市民の皆さんに正確な情報で伝えています。

 できるかどうかわからないような代物をもっともらしく、宇都宮市民の情報を知る広報誌の表紙に連続して飾ったりして、それでイメージだけを膨らませていく、数字は小さく見せる。このような宣伝の仕方はあり得ないと思います。最後にその件についてどうでしょう。


手塚総合政策部長


 私どもとしましては、市民の皆さんが理解をしやすいように、さまざまな材料を用意いたしまして、これからも提供していきたいと思っています。


荒川議員


 ですから、市民に正確な情報を知らせるイメージでしたら、これが最もリアルで正確なものです、こういうものが。そういうことで、ぜひ検討してもらいたいと思います。

 第4に、介護予防・日常生活支援総合事業についてです。

 この事業について、国は全国一律の基準である予防給付から地域支援事業への移行で、市町村が地域の実情に応じた取り組みができると説明しています。また、サービス提供主体にNPOや住民ボランティアが加わることは多様なニーズに対するサービスの充実と費用の効率化を同時に実現することが可能となると説明しています。本当にサービスの充実と費用の効率化が同時に実現され、在宅生活の安心の確保や要介護認定に至らない高齢者の増加を達成できるのでしょうか。

 私は、今でも総合事業への安易な誘導は、介護予防を必要とする人を、質・量ともに必要なサービスから遠ざけ、介護予防重視の理念に反する結果とならないか懸念があります。それだけに、本市における適確な制度運用を求めるものです。

 そこで、まず第1に、総合事業の対象者は要介護認定とチェックリストによる判断の大きく2つの流れで選定されます。このサービス利用者の選定について、今回改めて質問します。

 国の「介護予防、日常生活支援総合事業の適切かつ有効な実施を図るための指針」の対象者の項には、以下の記載があります。

 「なお、利用相談に際しては、被保険者よりの相談の目的や希望するサービスを聞き取るほか、サービス事業、要介護認定等の申請、一般介護予防事業についての説明を行う。特にサービス事業に係る説明に際しては、サービス事業によるサービスのみを利用する場合は、基本チェックリストを用いた簡易な形で迅速なサービス利用が可能であること、事業対象者となった後やサービス事業によるサービスを利用し始めた後も、必要な時は要介護認定等の申請が可能であることの説明が必要である」とあります。窓口相談の際に、「主訴の的確な把握」「要介護認定申請の希望を尊重」による対応とサービスの振り分けが、事業のほとんどを担う地域包括支援センターに徹底されているのか、説明が的確にされているのか、伺います。

 次に、地域包括支援センターの体制強化と支援体制についてです。

 新年度予算では、高齢者人口に応じたセンター職員の配置が4センターに5名増員にとどまりました。新事業移行で仕事量の更なる増加で運営の限界に達しているとの声が多く寄せられています。市内の概ね中学校区ごとに介護・福祉の総合的な相談支援を丸ごと委託して、これであとは任せるでは無責任ではないのか。また、制度の大改編の時だからこそ基幹型包括支援センターの設置による支援体制の抜本的強化が必要と思わないのか、合わせて答弁を求めます。 


保健福祉部長


 「介護予防・日常生活支援総合事業について」のご質問にお答えいたします。

 まず、「地域包括支援センターにおける総合事業の運用の徹底について」でありますが、これまで、地域包括支援センターに対しまして、センター長会議、センター職員向け説明会・研修会を複数回開催し、本市における総合事業の目的、それぞれのサービスの内容、具体的な事務手続きなどについて、丁寧に説明してきたところであり、特に、「相談からサービス利用までの流れ」につきましては、介護保険サービスの利用も含めた流れが掲載されたパンフレット等を活用して、市民に対しまして十分説明するよう徹底を図ったところであり、引き続き、地域包括支援センターと連携し、利用者の希望に沿った対応ができますよう取り組んでまいります。

 次に、「地域包括支援センターの体制について」でありますが、新年度からの「介護予防・日常支援総合事業」の実施にあたりましては、これまで以上に、地域におきまして、自立した日常生活に向けた支援や介護予防の施策を総合的に推進する必要がありますことから、これまでの4人体制を基本とし、さらには、高齢者人口に対応できるようセンターが担当する区域の高齢者人口がおおむね6,000人以上となる場合には、おおむね2,000人ごとに、センター職員を1人追加配置することとし、充実強化を図ることとしたところであります。

 今後とも、平成37年の地域包括ケアシステムの構築に向けまして、センターの役割は、ますます重要となりますことから、その役割に応じた活動が円滑にできますよう適切な体制の確保に努めてまいります。

 次に、「基幹型地域包括支援センター設置について」でありますが、いわゆる「基幹型地域包括支援センター」は、センター間の総合調整や支援が難しい高齢者に対する技術的支援といった後方支援などの役割を担うものとされており、本市におきましては、現在、各種会議・研修会の開催による先進的な取組事例の共有化、事例検討などを行うほか、支援困難な事例に対しましては、高齢福祉課の保健師、社会福祉士などの専門職が相談に応じ、対応するなどセンターが円滑に活動できるよう支援を行っているところであり、「基幹型地域包括支援センター」の設置につきましては、地域包括ケアシステムの構築を進める中で、引き続き、検討してまいります。


荒川議員


 1点だけ再質問したいと思います。

 私、先ほど言いましたように、本当に介護保険・日常生活支援総合事業で今までの相当なサービスが、これから認定を受ける人にも受けられるのだろうかと。ここのところできちんとした窓口の対応が大事だと思っています。これまでの私に質問に、基本チェックリストなどについても、希望者だけに受けさせるという答弁もありました。それで、私、今、改めて心配しているのは、ちょっと見えないと思うのですが、ここに2つのサービスの流れがあります。これは、私たち議会や社会福祉協議会などでも説明を受けたものです。こちらは地域包括支援センターに説明したものなのです。こちらでは、本市における介護保険・日常生活総合事業の利用までの流れは、地域包括支援センターか、または市の窓口でもって相談を受けます。そこでいろいろ意見を聞く、チェックがありますが、それで要介護認定申請などを希望する人はそこに言います。基本チェックリストだという人は、地域包括支援センターで基本チェックリストをしますと。あとは、サービスの流れになっているわけです。私は、これがまともな流れだと思うのです。

 ところが、地域包括支援センターに配っている表がここにあるのですが、これは利用相談が来た場合、受け付け、連絡シート、これは先ほどのものなのです。シートがあって、それで、全てが地域包括支援センターに行って、地域包括支援センターからの流れはチェックリストなのです。もう既に。チェックリストで受けた中で、あ、これは要介護認定が必要だと言う人は、要介護認定申請のほうにいきますよという図になっているのです。あとは、市役所から認定申請したのがそのまま、市役所から、要介護認定の申請に行くということなのです。

 先ほど言いましたように、窓口できちんと聞いて、希望に沿ってやるとなると、この地域包括支援センターの流れは、この図は間違うのではないですが。全部チェックをやった後、要介護認定などが必要な人をまわすようになっていると思うのですが、これは我々に説明しているのと地域包括支援センターに説明しているのが違うのか。今までの答弁と実際やることは違うのか、こういう心配があるのですが、これにだけ答えてください。


本橋保健福祉部長


 ただいま荒川議員がお示しになったその地域包括支援センターへの説明の資料については、私どもは承知しておりませんので、この後、関係課に聞いて後日ご説明したいと思います。


荒川議員


 ぜひ、これは後で確認をしてもらいたいと思うのです。きちんとしたサービスを受けられる流れを地域包括支援センターまで貫いてほしいと思います。要望です  

 質問の最後に、国民健康保険の広域化について質問します。

 日本共産党宇都宮市議員団は、これまで高すぎる国保税の引き下げ、資格証・短期保険証の発行抑制や前橋市が典型の無慈悲で行き過ぎた差押えの禁止、丁寧な納付相談と申請減免、国保法44条による窓口医療一部負担金の減額・免除などの適切な運用を求めてきたところです。

 ところで、2018年より、この市町村国民健康保険が都道府県化されます。

 日本共産党宇都宮市議員団は、本市の医療需要や住民の生活問題を分析・把握し、住民とともに地域で医療保障をつくることをめざすことがこれによって形骸化させてはならないと考えています。

 そこで、今回の制度改変で、市町村国保はどの様に変わるのですか。また、県が保険者になることで本市の国保財政は強化されるのでしょうか。

 次に、北海道や埼玉県では、既に標準保険税額(1人当たり保険税額)のシミュレーション結果が示され、現行の国保税に比べて上げ幅の大きい市町村が続出しています。気になる栃木県と市町村国保はどの様なことになりますか。答弁を求めます。 


保健福祉部長

 
 「国民健康保険の広域化について」のご質問にお答えいたします。

 国民健康保険制度につきましては、平成30年度から、都道府県が財政運営の責任主体となるとともに、都道府県と市町村が、共同保険者として国民健康保険事業を運営することとなっております。

 この国民健康保険制度の改正は、低所得者や非正規労働者が多いといった国民健康保険制度が抱える構造的問題の解決に向け、3,000億円を超える国の財政支援の拡充や、財政運営の責任主体を都道府県が担うことで制度の安定化を図ることが目的とされております。

 こうした中、市町村国民健康保険につきましては、財政支援の拡充により財政基盤が強化されるとともに、都道府県と市町村の役割分担といたしまして、都道府県が安定的な財政運営や効率的な事業の確保等のため、都道府県内の統一的な国民健康保険の運営方針を策定し、市町村事務の効率化、広域化等を推進する一方で、市町村におきましては、引き続き資格管理、保険給付等、地域住民に身近な業務が実施され、市町村の窓口ではこれまで通りのサービスが提供されてまいります。

 また、被保険者の資格管理が都道府県単位になることに伴い、都道府県内どの市町村へ転居しましても、都道府県の国民健康保険被保険者としての資格が継続されることにより、高額療養費の多数回該当の通算がされるなど、利便性の向上等も図られてまいります。

 次に、「本市の国民健康保険財政の強化について」でありますが、都道府県が保険者となり、財政運営を主体的に担うことにより、給付費に必要な費用は全額都道府県が市町村へ交付することとなり、また、予期しない給付増による財源不足に備えて都道府県に財政安定化基金が創設されるなど、より制度の安定化が図られてまいります。次に、「栃木県と本市 国民健康保険のシミュレーションについて」でありますが、新制度への移行に向けた準備といたしまして、都道府県が医療給付等の見込みを立てて市町村ごとに決定する国民健康保険 事業納付金の算定に向け、国や都道府県が市町村の国民健康保険情報を把握するため、平成28年10月に、市町村と都道府県との間で必要なデータをやりとりできるよう、全国的にシステムのデータ連携テストが行われたところであります。

 この結果につきましては、国から、平成28年12月に、全国的に実施したシミュレーション結果は精度が低く、市町村の保険料の推計の参考とならない「算定途中の扱い」と説明されたところであり、栃木県内におきましても結果は開示されなかったところであります。

 現在、国におきましては、同結果を踏まえ、平成29年秋からの本格的な国民健康保険事業費納付金の算定作業に向け、公費投入のあり方や、激変緩和措置など、算定に必要な諸条件の整理を行っているところであります。

 本市といたしましては、引き続き、その動向を注視しながら、新制度への移行に向け準備を進めてまいります。


荒川議員


 1点だけ簡潔にお聞きいたします。

北海道や埼玉県のシミュレーションは大変高いと。なぜかと聞きましたら、これは自治体の低所得者分などの一般会計からの繰り入れが入っていないからだということでありました。一般会計からのこれまでどおりの、本市においても繰り入れは、国民健康保険は自治事務でありますので、国では禁止をされていない。必要があれば、引き続き繰り入れていくということでよろしいのでしょうか。


本橋保健福祉部長


 算定に当たって繰り入れを入れる入れないということについては、私どもは承知しておりませんので、今後、検討してまいりたいと思います。


荒川議員


 これで質問を終わります。



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