2016.3.3

荒川議員 代表質問・答弁・再質問再答弁



荒川議員

 皆さんおはようございます。日本共産党の荒川恒男です。代表質問を行います。

 私は市長の施政方針を聞き、あまりの安倍政治礼賛に失望しました。

 安倍内閣の経済政策は、「大企業の儲けを増やせばそれが国民に滴り落ちて経済全体が良くなる」という典型的なトリクルダウン政策ですが、この3年間で大企業の利益は急増しましたが、国民のくらしは良くならず、アベノミクスに経済の好循環は期待できる筈もありません。TPP称賛で日本と宇都宮の未来は果たして明るく描くことができるのでしょうか。

 また、安倍内閣は「消費税増税は社会保障のため」と言いながら、実際には小泉内閣時代を上回る規模で社会保障予算の削減を続けました。この結果「介護疲れ殺人未遂、8日に1回」、「無保険で50万人受診できず」、「下流老人」「子どもの貧困」などという言葉がマスコミに頻繁に登場するなど、国民の間で将来に対する不安が広がっています。

 こうした時だからこそ、市民は本市の豊かな財政力を生かした市民の暮らしを守る大きな構えの新年度予算を期待しました。しかし、その実は、今だ市民合意なきLRTに90億円もの予算をつけるなどLRT大突出・市民のくらし後回しの予算案ではありませんか。

 私の本日の質問は、以上のことを念頭に置きつつ、発言通告に基づき行って参ります。明快な答弁をお願いします。

 
 第1に、介護・医療・健康づくりに関し、3点伺います。

 
 1点目は、介護事業において本市では平成29年度より介護予防、日常生活支援総合事業に移行することになっています。これまでの答弁では、移行してもサービス水準は落とさない旨を言明してきましたが、先行自治体より何を学び、移行への準備状況はどの様になっているのか。

 また、地域包括ケアシステムの構築に向けての新年度の重点課題と体制強化について伺います。

 2点目に、国保都道府県化についてです。

 昨年成立させた医療保険制度改革法によって、平成30年度から財政運営の責任主体を、都道府県に移行します。政府は公費拡充による財政基盤策として、保険者支援制度の拡充や財政安定化基金の創設などにより、「保険料負担の軽減」や伸び幅の抑制が期待できると強調しています。今、高すぎる国保税は、市民が必要な医療を受ける大きな障害になっています。国保税の引き下げは喫緊の課題です。そこで、国保の都道府県化により、市民は国保税負担の軽減を期待していいのか、答弁を求めます。

 3点目に、本市には80名の保健師さん達が市民の健康を守るために奮闘しています。その中でも地区担当の保健師さんに光を当て、質問します。
 平成25年4月19日付の厚労省健康局長による「地域における保健師の保健活動について」が出され、その指針が示されました。

 本市においても、この指針に基づき、地区活動に立脚した保健師の地区担当制の推進に努めてきていると思うが、保健師の活動状況とその環境の変化についてまず伺います。

 次に、各地区における保健師さんたちの活動は、市民の生命と健康・生きる希望につながる活動と言っても過言ではないでしょう。

 そこで、今年度の本市保健師の総数、地区担当保健師配置数、平均担当人口、最大担当人口について伺います。

 次に、先の厚労省健康局長通知には、「地方公共団体における保健師の配置については地方交付税の算定基礎になっていることに留意すること」となっているが、この場合の本市の試算配置数は何人になるのか,伺います。



佐藤市長

 
まず、介護・医療・健康づくりについてのうち、介護予防・日常生活支援総合事業の取り組みについてでありますが、本市におきましては、平成294月からの事業実施に向け、生活支援サービスの内容やサービス提供体制などにつきまして、宇都宮市シルバー人材センターや宇都宮市社会福祉協議会などと意見交換を実施しながら、準備を進めているところであります。

 また、先進自治体におきましては、総合事業の基本的な部分となります訪問介護と通所介護のサービス水準の維持や提供体制の確保を第一に取り組み、さらに、買い物や庭の手入れなどの生活支援サービスにつきましても、将来的な事業化を見据えた取り組みを進めているところであり、本市といたしましても、こうした先進自治体の取り組み事例を参考にするほか、宇都宮市社会福祉審議会やボランティア団体などから意見を伺いながら、引き続き、総合事業の円滑な実施に向け、取り組んでまいります。

 次に、地域包括ケアシステムの構築に向けた新年度の重点課題と体制強化についてでありますが、地域包括ケアシステムの一部である地域療養支援体制の整備につきましては、これまで、宇都宮市地域療養支援体制検討会議におきまして、医療・介護・福祉の関係機関との連携による人材育成や退院支援などの諸課題につきまして、検討を進めてきたところであります。

 新年度に検討を進める重点課題につきましては、在宅でのみとりに向けた市民の理解促進や、自宅や施設におけるリハビリテーションの普及促進を位置づけており、その検討に当たりましては、平成278月に検討会議において看取り検討部会を設置したところであり、また、今月末には、地域リハビリテーション検討部会を設置し、検討体制の強化を図ってまいります。

 さらに、新年度におきまして、保健所総務課内に地域療養支援体制を所管する地域療養支援グループを新たに設置し、地域療養支援体制の整備をより効率的かつ効果的に進めてまいります。

 

本橋保健福祉部長


 国民健康保険の都道府県化による市民の国民健康保険税負担についての御質問にお答えいたします。

 昨年5月に医療保険制度改革関連法が成立したことを受け、現在、国と地方の代表による国保基盤強化協議会等におきまして、平成30年度からの新たな国民健康保険制度やその運用の詳細に関する協議が進められているところであります。

 この協議を踏まえ、今後示される予定の新たな財政運営の仕組みに関する国のガイドラインにおきまして、都道府県が決定する市町村ごとの医療費水準、所得水準に応じた国民健康保険事業費納付金や当該納付金を賄うために必要となる市町村ごとの標準保険料に関する算定方法が示されることとなっておりますことから、本市といたしましては、当該ガイドラインに関する情報収集に努めてまいります。

 次に、地区担当保健師の活動状況とその環境の変化についてありますが、国におきましては、平成254月の地域における保健師の保健活動に関する指針において、地区活動に立脚した活動の強化や地区担当制の推進、地域特性に応じた健康なまちづくりの推進など、地域に根差した活動の推進を打ち出したところであります。

 本市におきましては、平成16年度から地域における保健福祉を推進するため、保健福祉サービス提供の拠点として、地区市民センター等に保健師を配置し、訪問指導、健康相談、健康教育などの各種サービスを展開してきたところであります。

 このような中、少子高齢化や核家族化のさらなる進展など、社会環境の変化に伴い、生活習慣病の予防や認知症対策、児童や高齢者、障がい者の虐待防止対策等の多様化するニーズに対応してきたところであり、さらには、市民が住みなれた地域で健康で質の高い生活を送ることができるよう、地域住民との連携・協働により、市民みずからが主体的に健康づくりに取り組む健康づくり推進活動など、自助および共助のための支援を推進しているところであります。

 次に、平成27年度の保健師の配置状況についてでありますが、保健師の総数は80人であり、本庁各課や保健所などを除く6カ所の地区市民センター等に34人配置され、このうち、係長などを除く地区担当保健師数は27人であります。

 また、保健師1人当たりの平均担当人口は19,327人であり、最大担当人口は36,064人となっております。

 次に、地方公共団体における保健師の配置についてでありますが、地方交付税の算定基礎におきましては、感染症対策や母子保健、健康づくり業務等に携わる職員配置数は示されておりますが、その内訳として、保健師の数は明らかになっていないことから、配置数を試算することはできません。

 今後とも、社会情勢の変化や地域の実情を的確に捉え、適切な保健師の配置に努めてまいります。



荒川議員


 まず、今の地区担当の保健師さんの活動が始まって11年ぐらいになるのかと思うのですが、仕事も複雑になり、そして、さまざまな仕事をするようになってきていると思うのです。保健師さんの活動の環境も大きく変化をしていると思うのですが、この10年間、または始まってからなのですが、地域担当の保健師さんの数はふえていないと理解しているのですが、それでよろしいでしょうか。

本橋保健福祉部長
 

 平成16年度においては、地区担当の保健師数は26名、現在の地区担当は、さきほど御説明しました係長を除いて27名ということです。


荒川議員


 今の答弁にもありますように、地区担当の保健師さんの仕事は大変です。多岐にわたって、重要な仕事もますます多くなってきていると。しかも、先ほど答弁がありましたように、一人で平均1万9000人が住んでいる地域を担当していると。一番多い人では3万6000人を超えると、こういう状況になっているわけです。そういう点では、今のままの配置の体制では、保健師さんのさまざまな仕事の環境の変化なども含めて、とてもこれは頑張っても頑張ってもやり切れない状況が今あると思うのです。

 そういう中で、多様な住民ニーズや新たな健康課題に対して応えていくためにも、始まってから11年も配置数をふやさないなんていうことではなくて、中長期的視点に立った人員配置計画を策定して、必要な人員の確保に努めることが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。



本橋保健福祉部長

 
 議員ご指摘のとおり、保健師の業務については、先ほど御答弁しましたように、多様化するニーズが多々あるわけですが、先ほどの地区担当制を宇都宮市はとっておりまして、その中で訪問指導、健康指導、健康相談、健康教育をやっておりますが、そのほかにも各課に保健師を配置しておりまして、そういった保健師と連携しながらやっているということで、全て地区担当の職員が、先ほどの三万何千人を一人で見ているということではありませんので、全体的な保健師の業務として、そういった職員が連携協力しながら対応しているという状況であります。



荒川議員


 もちろん、80名の保健師さんが市民の健康、命を守るという点では、お互いに連携をし、横断的な連携も含めてやっているのは当然ですよ。しかし、それにしても、地区を担当しているのはその地区の保健師さんが入ってやっているわけです。それが3万6000人もいたり、平均で1万9,000人もいて、本当にこんな大切な仕事ができるのかと思うのは私だけではないと思います。

 この間、特別委員会で松本市を視察しました。ここは、人口24万人で保健師さん総数は55人でしたが、そのうち地区担当配置をしているのは、35地区で35人です。つまり、今、本当に地区担当が大事だと、この社会情勢の中では。そういうきちんとした配置をして頑張っているところもあるのだと。そういう点では、先ほど地方交付税で地区担当についてはわからないのだと。確かにいろいろ調べてもわからないのです、私も。それで聞いたのですけど。

 最後に市長にお聞きしたいと思うのですが、保健福祉の分野で市長の施政方針の実現をどうしても図ろうとするなら、ここのキーポイントは、この地区担当の保健師さんの配置をもっと豊かにして充実を図っていくと。この辺のところが鍵になるのではないかと思いますが、その決意をお聞かせいただきたいと思います。

本橋保健福祉部長


 先ほども御答弁しましたが、社会情勢の変化、地域の実情を的確に捉えまして、適正な保健師の配置に努めてまいりたいと考えております。



荒川議員

第2に、快適な住環境を創出するために、まず、宝木市営住宅建替事業についてです。

 
 私は、昨年3月の質問で、建てかえ事業だからということで空き室が拡大されれば団地住民だけでなく、周辺地域を含むコミュニティの機能喪失を指摘をし、住生活の安定確保を求めました。市営住宅建てかえ事業はそのビジョンやグランドデザインに基づいた住宅をつくることで完了ではないと思います。建てかえ事業を通じて、その地域全体のグランドデザインに寄与すべきと考えます。入居者とその地域に住む人たちの人生の舞台を協働してつくり上げる観点が必要ではないでしょうか。

 ついては、新年度の事業進捗見通しについて、また、ワークショップなども取り入れる地域住民、入居者との夢の生まれる風通しのよい建てかえ事業とならないか、答弁を求めます。

 次に、宝木市営住宅に隣接して県営宝木住宅があります。私どもの昨年3月の調査では、新築で満室の3棟を除く1号棟から9号棟の入居率は34.5%。部屋数30戸でわずか7戸入居の棟もあります。県営住宅がこのままでは地域のまちづくりにアンバランスが生じるおそれは十分です。宝木市営住宅建てかえ事業を通じた地域の快適な住環境創出に県との連携が必要だと思いますが、答弁を求めます。

 2点目に、今議会議案となっている工場立地法の規定に緑地の規制緩和についてです。

 工場立地法は、工場立地が環境の保全を図りつつ、適正に行われるようにする。このために敷地面積9,000㎡以上に、または工場の建築面積3,000㎡以上の特定業種の工場について、緑地面積率を敷地面積の20%以上、環境施設25%以上と定めています。

 本市では、今回の条例で、この緑地面積制限を工業専用・工業地域では5%、環境施設10%以上に条例で変更できる下限基準値までの大緩和を行おうとしています。

 この緑地率緩和に係る緑地面積の影響について、今回の該当する工場の大部分を占める清原・宇都宮両工業団地について試算を行いました。
 清原工業団地では、現状の緑地面積400,840㎡が、緑地面積率5%の条例下限まで緩和すると、理論上減少する面積は282,225㎡にもなります。宇都宮工業団地では、現在の緑地面積255,102㎡が、同じく184,176㎡減少となります。2つの工業団地合計で466,401㎡も緑地が消える可能性が生まれます。緑の環境をブランドとしてきた2つの工業団地の緑地が現状の3割になる事態を市長、想像してください。企業、とりわけ大企業奉仕のこんなに甘い規制緩和は、100万遍の理由を述べても通用しません。

 市民の快適な住環境の創出に逆行し、市長の目ざす環境都市うつのみやに反するものであるとは思いませんか、答弁を求めます。

大島建設部長


 快適な住環境を創出するためにのご質問にお答えいたします。

 まず、宝木市営住宅の建てかえについてでありますが、市内有数の大規模な住宅団地であります宝木市営住宅につきましては、昭和45年の建設以降、地域の活力維持に重要な役割を果たしておりますが、施設等の老朽化が進んでおりますことから、現在、再整備に向け取り組んでいるところであります。

 再整備に際しましては、平成263月に策定した宇都宮市住生活基本計画の基本理念であります、誰もが安心して心豊かに暮らせる快適な住生活を実現するため、バリアフリー等の居住環境の向上はもとより、周辺環境との調和や多様な世代が集うコミュニティづくりなどが重要であるものと考えております。

 議員御質問の新年度の事業進捗の見通しについてでありますが、引き続き、敷地の大部分を占める借地の解消に向け、用地測量や用地交渉に取り組むほか、土地利用や建物の配置などを盛り込んだ基本計画の策定に着手してまいります。

 また、地域住民等との協働による建てかえ事業につきましては、地域の活性化に資する団地再生に向け、誰もが地域で安全に安心して生活することができる環境づくりやコミュニティーづくりなどの視点を重視し、事業の進捗に応じた説明会などを通じ、地域の皆様と連携を図りながら事業を進めてまいります。

 次に、建てかえ事業における県との連携についてでありますが、市営住宅の建てかえ事業の実施に際し、整備に伴う住みかえは、移転負担の軽減や生活環境の維持の観点から、団地内で行うことが基本でありますが、今後、入居者の皆様を対象とした意向調査を行う中で、近隣の県営住宅への住みかえ希望があった場合に、必要に応じ県に働きかけを行ってまいります。



桜井経済部長

 
 工場立地法に規定する緑地率の規制緩和についての御質問にお答えいたします。

 塚田議員の御質問にお答えいたしましたとおり、工場立地法につきましては、昭和48年に制定されたものであり、緑地の確保は、公害等からの空間的な遮断効果を期待して規定されておりましたが、環境規制法体系の整備や公害防止技術の進歩など、工場が周辺環境に与える環境負荷が制定時と比較して著しく低減したことから、現在では、地域の実情に応じて自治体が独自に条例を定めることにより、工場敷地内の緑地の割合等につきまして、緩和できることとされております。

 今回の条例により、工場敷地の有効活用が可能となり、新たな設備投資が促進されるとともに、実際に緑地率を引き下げる際には、工場敷地の外周部に植樹などによる視覚的な緑量の確保を事業者側に求める規定も設けており、経済活動の活性化と地域アメニティー向上の2つの大きな効果が期待できるものと考えております。



荒川議員


 私は、先ほども言ったように、3分の1になってしまってもいいのかと、本当にここのところが大変な緩和ではないかと思っています。
 それとあわせて、県のほうもいろいろな規制緩和をしました。例えば工業団地などの造成における条例に基づく環境影響評価の対象面積の基準も20ヘクタールから50ヘクタールに規制緩和してしまう。工場などの排ガス、排水に関する自主規制の測定の報告も廃止をしてしまう。今後、市民の住環境も含めた、そういうものに対する大変な後退につながるのではないかと私は心配するものです。

 そういうことも含めてですが、緑豊かな2つの工業団地があって、それを売りにしてこれまで工業誘致も行ってきたのではないかと思うのです。そういう点では、2つの緑豊かな工業団地は、宇都宮市の都市の品格を保つことになっているのではないかと、この辺のところはどうなのか、一言だけ答弁をお願いしたいと思います。



桜井経済部長

 
 御答弁でも申し上げたように、今回提案申し上げている条例においては、実際に引き下げる場合には、周辺部にできれば
1.5から2メートルの植樹をしていただいて、外観から緑量が確保できるように各事業所にお願いするということですので、各工業団地についても、さらなる地域のアメニティーが向上するのかなと考えております。



荒川議員


 私は、先ほどから言っているように、3分の1にも減ってしまう。それがどういうことなのかという想像力に欠けるのではないかと思います。植樹だけでは、とてもかえられるものではないと思っていますし、宇都宮市の工業団地のブランド力を保つためにも、この規制緩和の緩和率はもっと考えたほうがいいという意見を申し上げて、第3の質問に入りたいと思います。

第3に入ります。地域の持続的発展のためには、これまでの「企業誘致」のような外来型だけではなく「内発型」や「地域内の経済循環の創出」にもっと力を入れることが求められています。そこで2点伺います。


 1点目は、小規模企業振興基本法と本市の対応についてです。

 小規模基本法は、おおむね「従業員5人以下の小企業」の振興を図ることを位置づけ、地域に根を張って事業をしていること自体を積極的に評価し、国・自治体の支援を義務づけた点で画期的意義をもつものです。これを受けて、小規模事業者支援を盛り込んだ振興条例は、2015年、12月時点で39都道府県、145市区町村で制定され、準備中の所も数多くあるとのことです。最近できた条例では、その柱に実態調査、産業振興会議が位置づけられていることが特徴となっています。大企業や金融機関の役割を明確にし、地域経済への寄与を求める規定を盛り込むことの明記や実態調査で明らかになった「仕事の確保」「事業の持続への支援」「後継者問題」などの小規模事業者の要求をしっかりと受け止めたものもあります。

 そこで、この小規模基本法に対する本市の取り組みはどの様になっていますか、答弁を求めます。

 2点目に、公契約条例の制定を求め質問します。


 「公契約」とは、国や自治体が発注する公共工事や委託事業について民間業者と結ぶ契約のことです。私は、先日、全国で真っ先に条例制定した野田市を、行政視察を行い、さらに進化している洗練された到達点を学んできました。2016年1月現在、「賃金下限設定」を持つ公契約条例が18議会で制定され、直近では同じ中核市である豊橋市で市議会に提案され、全会一致で可決されています。

 この条例の広がりのもと、多くの実施効果が指摘されています。例えば現場労働者への周知と労働者保護の制度が必要であり、現場調査、通報制度の整備が有効である」「賃金に見合う腕のいい労働者が集まるため、工期も短縮でき、仕上がりもいい」「賃金の下限が定められているため、交通費などの余分な出費を避ける傾向が生まれ、地元への発注が広がる」「元請業者の責任で末端の労働者の賃金まで確保するために、重層下請を避ける必要が生まれ、下請けの簡素化が進む」「適正な賃金が支払われて仕事への誇りが生まれ、モチベーションがアップする」「公務・公共サービスに対する労働者の意識が変化し、福利厚生の向上に寄与する公的仕事への責任を自覚するようになる」「ブローカー等悪質な業者を排除し、賃金が確保できるようになる」等々です。これらの中でも、日本の建設産業の構造的弱点である重層下層構造を避ける効果が出てきたことは予想以上のものとも指摘されています。

 また、TPPと地方自治体との関係で注目しなければならないのは、公契約・公共調達の市場開放を求める「政府調達」の分野です。本来の趣旨では、自治体も含まれており、今後一般自治体の調達行為も市場開放の対象とされる可能性は否定できないとされています。

 こういう状況のもとで、行政も業者も労働者も共に損がない公契約条例を制定しようではありませんか。市長の答弁を求めます。

桜井経済部長

 
 地域の持続的発展のためについての御質問にお答えいたします。

 小規模企業振興基本法に対する本市の取り組みについてでありますが、本市におきましては、平成243月に策定いたしましたうつのみや産業振興ビジョンに基づき、中小企業の経営支援や事業継続の総合的支援などに取り組むほか、低利な融資制度や設備投資に関する補助事業などにおきまして、小規模企業を対象にした資金や補助率の優遇などの支援策を設け、小規模企業の振興を図っているところであります。

 このような中、最近の中小企業振興をめぐる法改正や社会情勢、県内の経済情勢などを踏まえ、栃木県におきましては、平成2712月に栃木県中小企業・小規模企業の振興に関する条例を制定し、新年度には県内市町や関係機関によるネットワーク組織を立ち上げ、中小企業の振興に資する支援策を検討することとしております。

 このため、本市といたしましては、うつのみや産業振興ビジョンに基づくこれまでの取り組みに加え、県が設置するネットワーク組織に参画するとともに、そこで検討された支援策につきまして、県などと連携しながら取り組むことにより、さらなる小規模企業の振興に努めてまいります。



高橋理財部長

 
 公契約条例の制定についての御質問にお答えいたします。

 本市の入札契約制度につきましては、透明性・競争性・公正性を確保しつつ、地域経済の振興に寄与できる制度となるよう努めているところであります。

 そのような中、平成26年度に国におきましては、建設業法等の、いわゆる担い手3法を改正し、公共工事に係る品質の確保や、地域事業者の経営の安定化、労働者の処遇改善による中長期的な担い手の育成確保がより一層図られたところであります。また、賃金等の労働条件は、労使が労働基準法など労働関係諸法令を遵守した上で自主的に決定することが原則とされているところであります。

 こうしたことから、本市におきましては、各種契約書約款により、法令遵守の徹底を強く求めるとともに、労働者への賃金や下請け代金へのしわ寄せが懸念される過度な低価格での受注によるダンピングを防止するために、適正な労務費の積算や適切な最低制限価格の設定など、実効性のある対策を講じることにより、事業者の持続的な経営と労働者の安定雇用を図っているところであります。

 また、TPPにおきまして、政府調達分野が本市など地方自治体まで拡大された場合には、公契約への影響があるものと考えておりますが、今後とも、引き続き、社会経済情勢に柔軟に対応できる本市にふさわしい実効性のある施策の実施、運用を図ってまいりますことから、公契約条例の制定は現在考えておりません。



荒川議員


 公契約条例の今の答弁は、本当に残念なものですし、先ほど言いましたように、実際に公契約条例を結んでさまざまないいところが全国で生まれてきていると。ここには真摯に目を向ける必要があるのではないかと思うところです。

第4に、上下水道事業についてです。

 
 本市の水道事業は、この3月1日に通水開始から100周年を迎えました。また、下水道事業は、昨年8月1日下水処理開始から50周年となり、上下水道事業は大きな節目を迎えています。

 本市の上下水道事業をこれまで支えてこられた全ての関係者の皆様に心から敬意を表します。

 さて、上下水道は市民生活の根幹であり、私も宇都宮のおいしい水を愛し、その供給が効率的、安定的に継続できることを願い、これまでも様々な提言を行ってきました。

 そこで、1点目は、人口減少社会と節水器具の普及、大口需要の減少など、水需要が年々減る中で、水需要予測との乖離が再び広がっています。水源構成のバランスのもと、大胆な水需要予測の見直しに踏み込むべきと思うが答弁を求めます。また、アベノミクスの失敗でマイナス金利到来のもと、上下水道債の借り替えなどの可能性について伺います。

 2点目は、下水道基本料金の改定について伺います。

 水道料金の基本料金については、平成19年に口径13㍉から25㍉の小口径利用者のニーズを踏まえ、基本料金の対象水量を20㎥から10㎥に見直しが行われました。しかし、下水道料金は平成8年の見直し以来、基本料金対象水量は20㎥のままとなっています。

 そこで、水道口径13㍉、20㍉、25㍉を合わせた水道使用者の内、0~5㎥及び6~10㎥の使用者の件数はそれぞれ何件となりますか。また、高齢者や単身世帯などに配慮した、基本使用量とかけ離れ、水道基本料金と整合性を欠いた下水道基本料金の改定は待ったなしと思うが答弁を求めます。



津田上下水道事業管理者

 
 上下水道事業についての御質問にお答えいたします。

 まず、水需要予測の見直しについてでありますが、水需要予測は、適正な水道事業運営の根幹となりますことから、これまでも、旧河内町・上河内町との合併時など、社会経済状況の変化に応じて市民の良好な生活基盤を確保するため、長期的な視点により適宜見直しを行ってまいりました。

 本市水道事業におきましては、人口減少社会の到来を見据え、今後、増大する水道施設の老朽化や耐震化、さらには、地球温暖化に伴う渇水、豪雨災害への備えなど、山積する課題に的確に対応し、今後とも、安全・安心な水道水を持続的に供給していくため、現在、将来における水道施設のあるべき姿を示す宇都宮市水道施設再構築基本構想を策定しているところであり、水需要予測につきましても、将来的な人口の動向やライフスタイルの変化を踏まえながら、構想の策定とあわせて見直しを進めております。

 次に、上下水道債の借りかえについてでありますが、上下水道債につきましては、財政融資資金などの国の公的資金や銀行など民間の資金から成り立っております。そのうち、借りかえの大部分を占める国の公的資金につきましては、企業債の繰上償還、借りかえを行う場合、国に対する補償金の支払いが必要となりますことから、平成19年度から平成25年度まで、国の公的資金補償金免除繰上償還制度を活用し、水道事業は繰上償還の実施により約28億円、下水道事業は低利率への借りかえにより約30億円の支払利息の負担軽減を図ってまいりました。

 この償還制度につきましては、平成25年度で終了となりましたが、引き続き、中核市市長会等と連携し、国に対して制度の復活と拡充を要望しているところであります。民間資金につきましては、企業債の低利の借りかえの可能性も含め、銀行など民間金融機関等の情報収集に努めてまいります。

 次に、ゼロから5立方メートル、6から10立方メートルの使用者の件数についてでありますが、平成28年度1月時点での口径13ミリメートルから25ミリメートルにおける使用水量5立方メートル以下の使用件数につきましては、約13,600件、6立方メートルから10立方メートルの使用件数につきましては、約17,600件であります。

 次に、下水道基本料金の改定についてでありますが、水道料金と下水道使用料は、ともに定額の基本料金と使用水量により異なる従量料金から構成されておりますが、水道事業と下水道事業はそれぞれ独立した会計で運営し、水道料金、下水道使用料の算定の基礎となる経費も異なっており、さらに、水道料金は、口径13ミリメートル、20ミリメートルなどの口径別の設定としていることから、上下水道別々の料金体系となっております。

 このような中、水道料金につきましては、平成194月の栃木県鬼怒水道用水からの受水単価の引き下げに伴い、基本料金の対象水量を20立方メートルから10立方メートルに見直しを行ったところであり、下水道使用料につきましては、平成19年時点で国が示した下水道使用料の適正水準である1立方メートル当たりの単価とほぼ同額の150円程度でありましたことから、平成87月の見直し以来、料金を据え置いてきたところであります。

 下水道基本料金につきましては、今後、予想される人口減少社会の到来や施設の更新費用の増大など、下水道事業を取り巻く環境の変化を踏まえ、持続可能な下水道事業の運営につながる料金制度のあり方の中で調査研究してまいります。



荒川議員


 再質問したいと思いますが、1立方メートル150円で単価的には適正だという話は、水道事業とは違うんだと、そういうことであります。
 しかし、先ほど言いましたように、基本水量が20立方メートルで5立方メートルしか使ってない。それから、半分の10立法メートルしか使ってない。そういう人たちで3万1,200件にも上ると。これはどう考えても、この基本水量との関係では、高齢者や、これは単身者の方が多いと思うのですが、こういう人たちに下水道を支えるために犠牲になってくださいと、こういう状況だと思うのですが、これをこのまま放置していいと思っているのですか。



津田上下水道事業管理者

 
 先ほど申し上げたとおり、下水道事業会計、また、水道事業会計につきましては、独立採算性の原則により、かかる費用についてはその料金で賄うという原則の上で事業を運営しているところでして、現在の企業債残高などを見ますと、平成26年度末、水道事業会計では約344億円の起債があります。また、下水道事業会計については662億円、約2倍という状況があります。これらを鑑みまして、現在、下水道においては、ストックマネジメントという手法を導入しまして、将来の更新需要の把握、また、それらの事業費の平準化等のシステムを構築していますので、基本料金については、持続可能な水道事業の運営につながる料金制度の最適化の中で丁寧に調査検討してまいりたいと考えています。



荒川議員


 水道事業にしても、下水道事業にしても、料金の問題も、誰もが納得できるような公正さが必要だと思うのです。そういう点では、水道と同じように、下水道でも20立方メートルで基本料金としていて、10立方メートルも使ってない、少ししか使ってない人については、公正なものにしていく必要があると思うのです。
 あとは、使った人は使ったなりの従量制なのですから、その料金の体系はそういうところで考えていくほうが当然ではないかと。多く使えば多く払うということでいいのではないかと。事業が大変だから、こういうふうな不正常な状況をいつまでも続けますなんていうことは通用しないということだけ述べて、次に移りたいと思います。


質問の最後にLRT事業についてです。

 
 今日はひなまつり、桃の節句、春近い季節となりました。しかし、佐藤市長のLRT事業の進め方を見ると宇都宮市政の春はまだ先のようであります。
 さて、市議会日本共産党は、次世代型路面電車LRTシステムについて全く否定するものではありません。その役割や効果は理解するところであり、うつのみやのまちづくりと合致したビジョンのもと、LRT登場を願う明快な市民合意が住民投票等を通じて確立されるならば、その実現に真っ先に奮闘します。

 しかし、現計画は昨年9月の議会質問で、四つの破綻、四つの懸念を指摘した通り、市民合意なきLRT先にありきの愚策以外のなにものでもありません。

 市長、国に軌道敷設の特許申請をしたこの辺で、ちょっと一息ついたらいかがでしょうか。落ち着いてLRT計画への市民の声、反応を受けとめ、とらえてください。ほんの一部を除いて、日本初の大事業にしては、歓迎・賛同の世論はほとんど聞けず、全く市民的盛り上がりがないではありませんか。その証拠に、昨年12月のLRT推進議員連盟の総会で、本県選出の佐藤勉衆議院議員より、「全体的盛り上がりがない。具体的に市民・県民に語ってほしい」と市長は注文をつけられたのではないですか。

 LRT計画へのこの期に及んでも、市民のあまりにも冷たい反応、全く盛り上がらない現状を市長はどの様に考えますか、まずお伺いします。

 次に、広報うつのみや3月号には、LRT特集が多くのページを使って占拠しています。これまでも含めてLRTは破格の取り扱いです。それだけこの事業が市政の重要事項ということなのでしょう。それならばなぜ市長は「市自治基本条例第15条、市政に係る重要な事項について、直接に住民の意思を確認する必要があると認める時は住民投票を実施し、その結果を尊重しなければならない」を拒否し続けるのでしょうか。市長は、市自治基本条例の違反者となってもよろしいのですか。答弁を求めます。

 次に、国に申請中の軌道運送高度化実施計画について、この問題では日本共産党塩川鉄也衆院議員が2月25日、予算委員会第2分科会で質問を行っており、それも踏まえつつ伺います。

 1点目は、需要予測について、計画案では30年間の収支の推移が示されているが、主な利用客である工業団地の従業員数の増減予測も対象に入っているのか、入っていないのか、おたずねします。

 第2に、軌道施設の整備について、LRTの専用走行区間もあるのに、なぜ、全線併用軌道となるのか。

 第3に、運転最高速度については、「将来的に」自動車交通との並走区間で50㎞、LRTのみが走行する区間において70㎞で走行する軌道法における特認をめざすとあるが、①「将来的に」とはいつ、どういう時のことを想定しているのか。②どのような条件のもとで特認は得られるのか、③これまでの特認の事例について伺います。



佐藤市長


 LRT事業についての御質問にお答えいたします。

 まず、LRT計画への市民の反応、現状についてでありますが、LRT事業につきましては、これまで、オープンハウスや出前講座、沿線地域における説明会など、あらゆる機会を捉え、市民説明に取り組んできたところであり、このような取り組みを通じて、寄せられた疑問や意見に対し、きめ細やかな説明を行いながら、多くの市民の方に御理解をいただいてきたところであります。

 このような中、平成27年度に実施いたしました事業用地に該当する可能性のある土地建物の所有者などを対象とした説明会におきましては、参加者の皆様から、LRTについて「早く実現してほしい」「開通に期待している」などの声が寄せられたところであります。

 また、LRT事業の具体的かつ専門的な検討を開始した平成25年度以降、沿線地域の自治会や市民団体、県内の経済団体などからは、「地域全体として、LRT整備を待望する機運が以前にも増して高まっている」「LRT事業は、地域経済や経済活動にも多大な効果や恩恵をもたらす事業であり、その一日も早い実現を求める」などといった要望をいただいているところであり、最近では、LRTのJR宇都宮駅西側区間の早期実現を求める声も寄せられているところであります。

 さらに、LRTの運営を担う宇都宮ライトレール株式会社の設立に当たりましては、地方創生や広域交通ネットワークの形成に資する事業に参画したいという思いから、地元経済界や交通事業者、金融機関などの皆様に出資をいただき、特に経済界におきましては、宇都宮商工会議所を初め、多くの方々の賛同により支援持株会を設立されるなど、LRT整備に向けた地元の機運は高まっているものと認識しております。

 新年度におきましては、引き続き、幅広く市民の皆様に情報提供を行うとともに、車両や停留場のデザインなどに関する市民参加の取り組みを積極的に進めることにより、LRT事業への市民の機運をより一層高めながら、LRTが将来にわたり市民の皆様から愛され、地域に根づいた公共交通となりますよう取り組んでまいります。

 次に、住民投票の実施についてでありますが、LRTにつきましては、これまでもお答えしてきましたとおり、国や県、周辺市町、有識者や関係機関との協議を経て、適宜丁寧に市民への説明を取り組んできたところであり、さらに、地方公共団体の長及び議会の議員を住民が直接選挙するという二元代表制のもと、これまで、議会と執行部との間で長年にわたり議論を積み重ねながら進めてきたところでありますことから、住民投票を行うことなく、議会と執行部との間で十分に議論をし、進めていくことが適切であると考えております。


大島建設部長

 
 需要予測についての御質問にお答えいたします。

 本年122日に国に申請した軌道運送高度化実施計画におきましては、開業後30年間の収支計画の基礎となる需要予測につきまして、人口の減少に伴い、従業員人口を含め、総じて減ずるものと想定し、国立社会保障・人口問題研究所による将来人口推計を参考に、開業後毎年0.5%の需要の減少を見込むこととしたところであります。

 次に、軌道施設の整備についてでありますが、軌道につきましては、軌道法第2条におきまして、軌道は道路に敷設するものと規定されており、本市における専用走行区間につきましても、道路として認定を行った上で整備することとしており、併用軌道として特許の申請を行っているところであります。

 次に、最高運転速度の特認を目指す時期についてでありますが、開業当初におきましては、軌道運転規則第53条の規定に基づき、毎時40キロメートル以下での運行を行い、軌道運送の実績を積み重ねた後、特認を取得できるよう取り組んでまいります。

 次に、最高運転速度の特認の条件についてでありますが、最高運転速度の特認につきましては、最終的に国におきまして判断されるものでありますが、その条件といたしましては、信号機による車両間の間隔の制御や、軌道や車両性能等を含めた衝突防止対策など、安全な運行の確保に向けた対策を講じることが条件になるものと認識しております。

 次に、最高運転速度の特認の事例についてでありますが、大阪市内と堺市内を運行する阪堺電気軌道の阪堺線及び上町線の一部区間におきまして、毎時50キロメートル以下とする特認を取得している事例として確認しております。



荒川議員


 今、市民は全く盛り上がっていないのではないかということに対しては、先ほどのような市長答弁がありました。今までと同じような答弁でありますが、だから、一休みして、もうちょっと深く市民の中に入って、今、市民が本当に盛り上がり、期待が、賛同の声が、日本初の大事業にふさわしいようなものが盛り上がっているかどうか、これをお考えいただければということを言ったのです。

 それは、さておきまして、まず、専用走行道路も併用軌道としてとしてやっていくと。道路法上の道路として、道路の上に設置するのだということで、これはきのう、今井恭男議員のほうからも話があり、やりとりがあったと思うのです。

 それで、法律的には通用するかどうかわかりませんが、通用するのでしょうが、軌道法との関係ですね。市道認定は、確かに今度の議論に上がっていますが、この場合の市道認定というのは、路線名と起点と終点を一方的に市役所のほうで決めて、市長がここは認定道路だよというふうに宣言をしたようなものですよ。ですから、現実に既存の道路があって、そこに線路を敷くならば、これは確かに併用軌道道路かもしれませんが、『銀河鉄道999』ではありませんので、道路ではなくて、空間を走っていくなんていうことには、LRTはならないでしょう。そういう点では、これは当然、誰もがもちろん考えていましたけれども、ここの専用走行区間というのは、当然これは新設の軌道路線、専用軌道路線になると考えたと思うのです。

 また、それが実態からいっても正しいのではないかと思うのですが、道路法で道路も何もないのに、はい、ここはもう認定しましたから、ここにLRTを通すのですから、それでいいのですと。このやり方というのは、もちろん、場合によったら、法律の抜け穴、抜け道を利用したようなこそくなやり方ではないのかと思うのです。そういう点で、国会の議論の中でも、当然ここは専用軌道、新設軌道だということが前提で議論がやられております。

 そこでお聞きしたいのですが、では、とりあえず市道認定をして、その上にLRTを敷くのだから併用軌道ですと。これはこれでとりあえずいいでしょう。しかし、今度の軌道運送高度化実施計画を国に出して承認を得ることの関係で、今言った専用走行区間については、専用軌道、あるいは新設軌道ともいうわけでありますが、それでやりますよということで、国に、例えば申請した場合に、これも認められると思うのですが、いかがでしょうか。

 

大島建設部長

 
 先ほど答弁したように、国に対しては、併用軌道として申請しております。



荒川議員


 それはわかっていますよ。ですが、私が、聞いているのは、今言ったように、専用走行区間に入った部分は、高架のところの軌道も同じですが、それについては、新設軌道、専用軌道として申請しても、国は、それはだめですよというふうには言わないでしょう、別に市道認定しなくて、そういうことで出したとしても。技術的にはそれは可能なのではないですか。



大島建設部長


 こちらとしては、併用軌道として出してあり、併用軌道として認定をするのは国ですので、その辺は国の判断であります。



荒川副市長


 実は、手続き的には、軌道運送高度化実施計画を出しますと、特許の取得ができたものとしてみなされるということなのですが、特許を取得しただけでは、実際の工事を始めるということが認められているわけではありません。ですので、まずは、私ども、特許の取得を目指しているところであります。この特許の取得をした後に、軌道法の手続でいいますと、工事施行認可というのを改めて出させていただきまして、その工事施行認可をいただけますと、この工事が始められるということであります。段階を追ってこれから手続を進めていくということであります。

議員御指摘の道路の認定の関係ですが、そういった意味では、今議会で道路として認定していただき、その道路上を軌道が走行することについてもお認めいただき、それを踏まえて国のほうで特許の認可が出せるかどうかということの審査をしていただきます。それで特許が取れた後に、先ほど申しました工事施行認可、こういった段取りを追って手続が進むというご理解をいただけたらと思います。



荒川議員


 先のことはいいのですよ。私が言ってるのは、例えばほかの自治体なども含めて、こういうときに専用軌道、新設軌道として、宇都宮市のこのような状況のときに、そういう形で申請をすること自体は可能なのでしょうかと聞いているのです。今の宇都宮市の進め方、国に出した計画は、それはそれでいいのですよ。しかし、今言ったように、新設軌道として出すことも、きのうもいろいろ論議ありましたが、技術上は問題ないのではないですか。そういう方法もあるのでしょう。


荒川副市長

 
 私どもとしては、手続として、道路の認定をしていただいた上で、道路法に基づく道路の上を軌道が専用すると、こういった形状に将来的になるものとして、軌道運送高度化実施計画のほうを提出していただいたところであります。

 議員御指摘のほかの出し方もあるのではないかということについては、今の段階では検討していませんので、それができるのかどうかということについてはお答えを差し控えさせていただきます。



荒川議員


 道路法にもLRTにも専門家の荒川副市長がわからないというか、言えないというのも、これも残念な話です。こういう形で市道認定すれば、その上でもう併用軌道でできるのだなんていうところは置き土産として宇都宮市はいただいたのかもしれませんが。

 これは市の3月の広報誌です。ここでは専用軌道となっています。それを今言ったような形で市はやると言っているのですが、これが新設軌道、そして、専用軌道という形ではどうなのかという点では、国会の中でも論議されております。そういう中で、専用軌道になった場合には、例えば交差点なんかの問題では大きな違いが出てくると、こういうふうにされているわけです。

 文字どおりここの部分は、道路が並行して走るなんていうような状況はないでしょう。ここのところは、実際に。今までの都市計画の素案でも、ここの場所は軌道を走るだけですよ、示しているのは。軌道が通る、そういうことしか示していません。

 さらには、これは市長にほうにも届いていると思うのですが、下平出の平石中央小学校付近の図です。市のほうの説明に基づいて地元の関係者の皆さんが作ったわけですが、この道路は取りつけ道路の関係で側道は2メートルぐらいのものがあるかもしれません。しかし、途中で道路がなくなってしまうのですから、交差点前は。そういう説明をしているそうですよ。こちらなんかも、この辺はないと。専用の軌道なのですよ、実際は。実態は専用の軌道、そして、高架になっていく部分も専用の軌道なのに、それを今言ったような抜け道で併用軌道にすると。こんなやり方は、なかなか市民でも納得できないと思うのです。

 その中で、例えば、詳しいでしょうから、荒川副市長にお尋ねしますが、例の辰街道の交差点ですが、併用軌道としては、きのうの答弁では、信号機に従ってやればいいのだと。隅切りだけやるだけでいいのだということでありますが、この新設軌道になった場合には、立体交差をしなければならないと。こういう技術的な国の基準とのとの関係では、これでよろしいのでしょうか。

荒川副市長


 新設というのが、法律的にどういう意味かというのがちょっとわからないので、できませんけど、私どもが考えているところは、LRTについては、軌道法に基づく軌道として、道路の上を専用して走るものということです。ですので、昨日御説明させていただいたのと同じように、道路と道路の交差部ですので、そこは信号制御によって交差をするという形状で現在特許を申請させていただいているところであります。



荒川議員


 いずれにしても、宇都宮市のLRTは、まともな考え方は、ベルモールの先までは、鬼怒通りを車と並行する併用軌道でくると。そこから、下平出なども通って、作新学院の北まで高架で行くと。ここは当然新しい軌道を作って、そして、LRTの走る専用軌道なのだと。こういうことになれば、荒川副市長が、法律がこの辺がわからないというのでは、何も言えませんけど、私なんか、法律なんか全くわかりませんからね。ですけども、素人が見ても、ここのところはそういうことなのではないかと。新しくLRTが走るための軌道をつくって、渡るところも含めて高架にしていく、専用の軌道をつくるのだというのがまともな見方ではないですか。
 
 だから、そういう点で、これをやらないと。軌道法での抜け道を利用して、併用軌道でやると。結局これはどちらを適用するかで何が違うのか。平出の辰街道のところでは交通事故や何かを含めた大変な心配がされています。新設軌道でやれば、平面交差ができないわけですから、新設の軌道でいけば、そこは立体でいけるのだ。そうすれば、住民の命も暮らしも守れるのに、それを後ろに置いて、抜け道の併用軌道なんていうことを言って、そして、(質問時間終了のブザー)安全対策もおろそかにしてやっていくと、こういうことではないかと、このことを指摘して、私の質問を終わります。




議会ホームへ