2019年12月23日
宇都宮市長
佐藤 栄一 様
2020年度
市政運営にあたっての
重点要望書
日本共産党宇都宮市議員団
団 長 福田久美子
幹事長 天谷美恵子
政調会長 原ちづる
はじめに
今年度は、新しい議会となり、市民の皆さんからもあらためて大きな期待をお寄せいただいていることを肌で感じてまいりました。
とりわけ、10月に本市を襲った台風19号による被害はこれまでに経験したことのない強烈な爪痕を残し、政治へ求められる願いは切実です。消費税10%への値上げへの影響もさることながら、たたみかけるように襲った災害は、あらためて、「地方自治体の本旨」が試される場となっていることを重く受け止めています。
さて、安倍政権は、「桜を見る会」疑惑にフタをするように臨時議会を閉じてしまいました。景気を破壊する10%増税を強行しながら、13兆もの経済対策は、まさにバラマキでしかありません。景気対策というなら、消費税5%への減税こそ最良の景気対策ではないでしょうか。
日本列島が災害に苦しんでいる時に庶民には大増税と社会保障の抑制、一方で軍事費は過去最大を更新、大企業優遇のさかさま政治から、命と暮らしを守る防波堤としての地方自治体の役割をしっかりと果たす時ではないでしょうか。
日本共産党宇都宮市議員団は、日頃から、多くの市民の皆さんからアンケートやご要望をお寄せいただいてまいりました。この度、2020年度の市政運営にあたっての要望をとりまとめましたので、提出いたします。
よろしくお取り計らい下さいますよう、お願いいたします。
重点要望事項
1 災害から市民のいのちを守る対策を最優先にした予算とすること。
台風19号は本市にも甚大な被害をもたらした。気候変動による自然災害は、これまでの想定をはるかに超え、急速に変化している。LRT事業は一時凍結し、思い切った災害対策を進めること。
(1)中心市街地を流れる田川、洪水をくり返している姿川については、特に専門家の力を借りて抜本的な河川改修を急ぐこと。
(2)被災者が生活をしっかり再建できるよう、実態に即した市独自の支援制度を作ること。
(3)土砂災害警戒区域の見直し、及び、あらたな指定を急ぐこと。
(4)洪水ハザードマップの見直しを行うこと。
(5)今回の経験を活かし、災害避難計画の見直しを行うこと。特に情報収集のあり方、住民にわかりやすく、安全第一の避難情報の発信の仕方、自治公民館や県の公共施設等、地域住民にとって最も身近で安全確保できる公共施設を一次避難所として活用できるよう連携をすること。
(6)地球温暖化対策に、これまで以上に積極的に取り組むこと。
(7)避難所となっている小中学校の体育館へのエアコン設置とトイレの洋式化を早急にすすめること。
(8)地域の自主防災組織に防災士の資格取得をすすめること。
(9)消費増税と災害被災等で疲弊している中小・小規模事業者に対する支援を強化すること。
2 住宅リフォーム助成制度の補助額を20万円まで増額すること。とりわけ台風19号等の被災者向けに補助率100%として、上限額を引き上げること。また店舗リフォームにも活用を広げるなど、横断的な活用がはかれるよう制度設計の拡充及び見直しをすること。
3 こども食堂の開設・運営への支援を行うこと。経済的貧困と関係性の貧困状態にある子どもの掘り起しを行い支援につなげること。
4 スクールソーシャルワーカーおよび、スクールカウンセラーの思い切った増員を行うこと。
5 外国人子女への日本語指導の専任教員を大幅に増やすこと。国際交流協会に委託しているボランティアの処遇改善を図ること。
6 学校職員の変形労働時間制に反対を表明すること。
7 子どもの家・放課後児童クラブの運営は市が直営とすること。少なくとも学童保育としての質の維持・強化のため、株式会社への委託は行わないこと。
8 県中央児童相談所設置の検討を進めること。市の方針である、児童虐待問題を子ども家庭相談支援拠点の整備で対応するならば、児童相談所に匹敵する手厚い体制とすること。
9 高すぎる国民健康保険税の子どもの均等割りをゼロにすること。
10 厚労省が、公的病院の再編・統合の対象として公表した2病院について、今後も安定的に存続させるためあらゆる手を尽くすこと。
分野別要望事項
Ⅰ.医療・介護・福祉の充実で安心して暮らせる宇都宮へ
(1)国民健康保険に関して
①高すぎる国保税を協会健保なみに引き下げること。そのため国庫負担の増額・県の特別支援を求めるとともに市の一般会計その他の繰り入れの増額を行うこと。
②国保税申請減免・一部負担金減免制度の実態に則した運用をはかること。もともと払いきれない程、負担が重い国保税であることから、「恒常的低所得者」に対する適用を徹底すること。
③資格証明書発行のペナルティをやめること。
④均等割の減免。子育て支援・子どもの貧困対策の意味でも、子どもの均等割についてはゼロにすること。(重9)
(2)低所得者の後期高齢者医療保険料の大幅値上げをやめる手だてをとること。
(3)介護保険に関して
①介護保険がこれ以上の利用者負担とならないよう、真の目的が果たせる制度となるよう国に強く求めること。介護保険料は、当初の保険料が倍加しており、市民から悲鳴が上がっている。第1・2・3段階など低所得者への市独自の減免措置を行うこと。
②介護認定については、介護者からの実情調査・医師の意見書を重視した適正なものにすること。
③総合事業を実施する上で、介護認定を優先し、必要な介護サービスを保障すること。
④認定調査員の数を増員すること。
⑤ア.認知症高齢者の実態把握をきちんと行い、総合的対策の水準を上げること。
イ.H30年より発足した認知症初期集中支援チームについては、「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護サービスの提供」に向けた早期診断・早期対応のための体制としての役割をきちんと果たしてもらうこと。このチームについては市民にも周知を徹底し活用を広げること。
(4)地域包括ケアシステムをすすめるにあたり、地区・地域に活動を押しつけるのではなく、市の責任による人的体制の強化・育成を重視しすすめること。
(5)地域包括支援センターを地域拠点と位置づけ、専門職の体制強化を図り、市民にわかりやすい組織体制とすること。
(6)健診内容及び保健事業を抜本的に強化充実をし、取り組み成果を市民に具体的に明らかにすること。
(7)マンパワーの要である保健師の抜本的増員と地域担当保健師の増員配置を行うこと。
(8)憲法25条に基づいた生活保護行政に徹する仕事をすること。とりわけ、生活保護法に基づく申請権の尊重、生活急迫者への適切な対応、保護費支給内容や一時扶助など丁寧な説明・助言に努めること。
(9)酷暑から生命を守るため生活保護者・低所得者のエアコン購入に対する実態に応じた具体的支援策を講じること。
(10) ケースワーカー1人当り受け持ち世帯数を国標準以下にする人員 体制を確保すること。経験年数の少ないケースワーカー・相談員等に対する研修を強化すること。保護受給者に寄り添う適切な支援・助言を心がけること。
(11) 熱中症対策を強力にすすめること。普及啓発にあたっては、対策・啓発グッズの配布など視覚に訴えるものを配布するなどしてはどうか。
(12) 本市独自の終活支援策の確立をはかること。
(13) 自治会などが主催となるふれあいいきいきサロンなどの取り組みに対する財政も含めた支援強化をはかること。また、回数や参加人数も考慮した財政支援を行うこと。
(14) 「共生型サービス」は、安上がりな人員体制で複合的なニーズに対応しようというもので、問題が多い。国に抜本的見直しを求めること。また、障がい者の人権侵害につながりかねない「共生型サービス」は、支援の質と内容に市として責任をもつこと。
(15) ストーマ保有者の日常生活用具給付事業の申請手続き等、障がい者の各種手続きについて、なるべく近くの地区市民センター等でできるよう障がい者に配慮したものとすること。
(16) ひきこもり者に対する支援については、窓口を一本化し強化すること。
(17) 補聴器については、現行の補助制度は現物支給であり、利用者も少ないことから補助金による支給に変え、周知徹底をはかること。
(18) 地域医療構想への対応
①上からの再編統合に安易に従わず、住民にとって必要な病床確保のために十分な論議をつくすこと。
②医師数の確保についても考慮すること。
Ⅱ.子育ても魅力ある宇都宮へ
(1)県中央児童相談所設置の検討を進めること。市の方針である、児童虐待問題を子ども家庭相談支援拠点の整備で対応するならば、児童相談所に匹敵する手厚い体制とすること。(重8)
(2)子ども医療費の無償化は高校生まで対象を広げること。
(3)学校給食の無償化が広がっている。給食は教育の一環と位置づけ、本市でも無償化に向けた検討を行うこと。とりわけ多子世帯の給食費の減免は急務であり、早急な対応を求める。
(4)学校給食では、国内産小麦粉100%のパンを使うこと。
(5)適応指導教室への給食を早急に実施すること。
(6)子ども食堂の開設・運営への支援を行うこと。経済的貧困と関係性の貧困状態にある子どもの掘り起しを行い支援につなげること。(重3)
(7)学校職員の変形労働時間制の導入に反対すること。(重6)
(8)学校に関わる職員は、正規職員の比率を引き上げること。
(9)小中学校指導助手の処遇を引き上げること。
(10)学校図書館司書は正規雇用とすること。
(11)すべての小中学校に英語・音楽・美術の専門資格をもつ教員の配置をすすめること。
(12)インクルーシブ教育の体制強化をすすめること。特別支援学級・かがやきルームの先生は、専門資格を持つ正規教員として雇用すること。
(13)スクールソーシャルワーカーおよび、スクールカウンセラーの思い切った増員を行うこと。(重4)
(14)子どもの家・放課後児童クラブの運営については、市が直営とすること。少なくとも学童保育としての質の維持・向上のため、株式会社への委託は行わないこと。(重7)
(15)外国人子女への日本語指導の専任教員を大幅に増やすこと。国際交流協会に委託しているボランティアの処遇改善を図ること。(重5)
(16)就学援助の所得基準を引き上げるとともに、保護者負担が大きい体育着・メガネの購入を対象にすること。
(17)貧困家庭への学習支援の場は児童生徒が身近な場所で受けられるよう、各中学校区ごとに計画的に配置すること。
(18) 潜在的な保育需要をふまえた年間を通しての待機児童対策をすす めること。また、保育の質の確保を第一に認可保育所の増設を基本にすること。
(19) 公立保育所は、保育の質や公平性を保つうえでも重要な役割を果たしている。これ以上の民営化はしないこと。
(20) 市北西部へ図書館建設を検討すること。
(21) 市図書館への指定管理はやめ直営とすること。また公的図書館としての機能充実と、市民意見を充分に反映させるため図書館協議会を設置すること。
(22) 小中学校体育館のエアコン設置とトイレの様式化を早急にすすめること。(重1-(7))自衛隊の防音補助工事における小中学校体育館へのエアコン設置にも補助を求めること。
(23)障害児通所支援事業者の指定や立入検査等の権限が本市に移譲された。サービスの質の維持・向上を図ること。
Ⅲ.商・工・農業を守り、地域経済の土台を築く
(1)住宅リフォーム助成制度の補助額を20万円まで増額すること。とりわけ台風19号等の被災者向けに補助率100%として、上限額を引き上げること。また店舗リフォームにも活用を広げるなど、横断的な活用がはかれるよう制度設計の拡充及び見直しをすること。(重2)
(2)小規模工事等契約希望登録制度による発注件数増に、全庁あげてとりくむこと。さらなる登録業者の増加のために周知徹底と手続き簡素化、業者支援に努めること。
(3)公契約条例の制定を急ぐこと。また、本市の公契約における理念及び公共工事の品質確保、事業者の持続的な経営と労働者の安定的な雇用の確保等を全庁統一的なルールと定める観点からも条約制定を強く求める。
(4)消費税増税と台風19号の被害で疲弊している中小企業・小規模事業者に対する支援を強化すること。(重1-(9))
(5)地域経済を支える中小企業・小規模事業者の振興をはかるため、中小企業振興条例を制定すること。
(6)農産物の地産地消を促進する直売所の開設・運営の支援を積極的にす
すめること。
(7)学校給食への地元産農産物の利活用をさらにすすめること。
(8)耕作放棄地を活用したソーラーシェアリングをモデル的にすすめるこ
と。
(9)環境にも体にも優しい安全・安心な有機栽培・無農薬栽培への支援制
度をつくること。
(10)ネオニコチノイド系農薬の危険性を周知すること。
Ⅳ.市民の交通権を保障する公共交通網の確立を
(1)LRT駅東ルートの工事は、全地権者の同意が得られないなど事業見通しが立たないうちは予算執行と工事は停止すること。
(2)JR宇都宮駅西側延伸計画及びJR駅横断計画は、一旦白紙に戻すこと。広く市民意見を反映できる検討組織をもうけ、BRT等の比較検討を市民に公開の上すすめること。その上で住民投票を行い、すすめること。
(3)東武西川田駅のエレベーター設置は確実にすすめること。東武江曽島駅・JR鶴田駅についても、市の責任で早急に道筋をつけること。
(4)基幹路線はニーズに合わせてBRTの導入・バスロケーションシステム・接近表示器の導入を全市的に計画的に進めること。
(5)大型バスから小型バスへの積極的な転換をはかり、まちなかをきめ細かに走らせる循環バス網を確立すること。
(6)市街化区域においても必要に応じてデマンド型交通を導入すること。
(7)地域内交通は、住民・来訪者誰もが利用できる生活交通へと運行・運営形態を抜本的に見直すこと。
(8)高齢者外出支援は他市・先進事例にならい、シルバーパスやワンコインおでかけ定期券制度の導入をはかること。
(9) 高すぎるバス運賃の引き下げ策を検討し、実施すること。
(10) 観光地として力を入れている大谷公園停留所に屋根付きのバス待合所設置で本市のおもてなし精神を発揮すること。
(11) 清原地域やテクノポリス・清原工業団地に至近の岡本駅からの交通網を整備・充実をはかること。
Ⅴ.大型公共事業・土木・建設事業計画の見直しをはかること
(1)駅東口整備について、防災公園としての機能を強化すること。マンホールトイレ・テントやかまど等の設置が可能な仕様とすること。予想される帰宅困難者及び近隣住民を含む人々が一時的に避難できる規模とすること。
(2)JR宇都宮駅西口開発は、駅利用者に便利でコンパクト、ユニバーサルデザインによる整備とすること。
(3)大谷スマートインターは住民合意が得られるまで凍結すること。
(4)富士見ヶ丘団地の様な開発年度の古い、高齢者も多く住む住宅団地の再生計画にとりくむこと。
(5)高規格道路・高架建設計画を圧縮し、防災・雨水・河川改修・歩道・自転車道・道路補修などの生活密着型財源を確保すること。
(6)中心市街地における緑被率を思い切って高めること。空家空地の活用で緑の公園整備をすること。
Ⅵ.安心・安全な住みよい宇都宮を
(1)憲法9条を今後も守るよう国に求めること。
(2)国の財政を大きく圧迫する軍事費の増強はやめるよう国に求めること。
(3)原発依存のエネルギー政策の転換を強く国に求めること。
(4)市営住宅家賃の減免制度の周知徹底をはかり、申請困難な入居者への申請支援等行うこと。対象者が申請漏れのないよう努めること。
(5)空アパート等を活用した借上げ市営住宅を整備すること。
(6)空家対策については、空き家バンクの活用をはじめ市の施策について市民に周知徹底すること。
(7)自転車走行のための安全な環境づくりを進めること。自転車走行車線については、自転車走行の安全な環境整備を引き続き進めること。
(8)中学校や高校周辺の安全な自転車走行のための環境整備は最優先で進めること。
(9)オリオン通りの自転車での走行禁止を徹底させること。「押しチャリ」週間を設けるなど、インパクトのある啓発に取り組むこと。
(10)水道事業の民営化は絶対に行わないこと。災害多発時代となり、命に係わる重要なインフラは今後も行政がしっかり担っていくこと。
(11)人口減少等、水需要の実態に合わせ、湯西川ダム取水権の縮小をすること。また、危機管理上からも水源構成のバランスをはかること。
(12)高すぎる上・下水道料金を引き下げること。下水道料金の料金体系を水道料金同様とし、少量利用者へ配慮すること。
(13)地球温暖化に伴う気候変動等による災害が急増しており、市民の命と財産を守る最先端に立つ消防職員の増加は必須となっている。充足率100%に引き上げの検討をすること。
(14)市自主防災会での訓練はより実効性のある小学校区ごとに実施すること。要援護者の避難訓練も行うなど第19号台風災害の教訓を生かしたものにすること。そのための支援及び予算を強化すること。
(15)被災者救援、河川改修、調節池造設などの課題が山積みしている中、ジャパンカップサイクルロードレースの運営を民間活力にまかせるよう検討すること。補助金の減額についても検討すること。
(16)市議会における海外視察は中止とすること。
(17)自衛隊ヘリ等騒音に対する苦情が市内全域に広がっている。訓練空域を逸脱することのないよう監視することと、訓練回数の縮小を求めること。
(18)オスプレイによる宇都宮上空での訓練飛行は絶対に認めないこと。
(19)市が管理する道路、公園等の除草には薬剤使用はしないこと。また、市内にあるすべての公共施設においても、市民の命と健康を守る観点から、薬剤の使用は認めないこと。
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