2015.9.30
荒川つねお議員の討論

 私は、日本共産党宇都宮市議員団を代表して、議案第87号、平成27年度一般会計補正予算と議案第100号、平成26年度一般会計決算及び13件の特別会計決算について、認定を不可とすると討論を行います。

 まず、議案第87号について、歳出第40款土木費において、LRT事業の運営を担う「官民連携による新会社」への出資に伴うLRT整備費を計上することに、断固反対するものであります。

 市長は、LRT開業後の運営主体をめぐり、一貫して民間運営主体を追求してきましたが、破格の好条件を示したのにもかかわらず、応募事業者は現れず、上下分離方式の上部は破綻しました。本来ならば、この時点でこれまでのLRT推進の到達点を分析・検証し、議会、そして市民に対して説明責任をしっかりと果たすことは当然でありました。とりわけ、LRT事業推進への市民合意の土台も整えぬまま大暴走の結果なのですから。

 しかし、佐藤市長は、民間がだめなら私が社長になってでもと、マスコミに書かれるほどに、市民の血税をさらに投入する行政主導の第3セクターへと急にカジを切りました。運営の根幹としてきたものを大転換するにもかかわらず、市民へも、議会へも説明はなく、合意形成への努力も放置した、この拙劣で強引な手法は、もはや、市政の民主的運営とは縁もゆかりもありません。

 これでは、佐藤市長の提案のもと、議会も全会一致で定めた宇都宮市自治基本条例が泣いているではありませせんか。

 LRT計画は、全体事業費が600億とも700億ともいわれ、関連開発事業費を加えれば、1,000億円ともいわれる本市の巨大事業です。もう、この時点で、拙速・拙劣なLRT事業推進を清算する時ではありませんか。

 これだけの巨大公共事業を進めるにあたって、市民合意も市民賛同も不存在との指摘に対し、何ら、反論も客観的証明も示せない。その様なことが許されていいはずはないのです。

 議会においても、現LRT計画の推進に賛同できないとの立場に立つ議員は1/3にのぼります。多数決で1/3を切り捨てて、強引に進めていい事業ではないと思いますがいかがでしょうか。

 議会としても、議会基本条例に基づいて、可能な合意形成をめざして、さらなる議論、討論を尽くす努力が残っているのではないでしょうか。

 そして、LRT事業の是非は、何よりも現在と未来の市民の利益のために、判断すべきものですから、市民置き去りにすることをせず、二元代表制を補完するものとして住民投票での市民参画を保証することにこそ大義あるのではないでしょうか。

 よって、このLRT事業費は削除することを市長に求めるものであります。

 次に、議案第100号、決算の認定を不可とする理由を簡潔に述べます。

 第1に、見逃せないのは、身近な市民サービスを抑制し、公共事業、ハコモノづくりに税金を流しこむ決算であることです。

 予算編成時に、一般家庭の普通預金にあたる財政調整基金から30億円取り崩しました。決算では、45億円が執行残という黒字になりました。ところが、財政調整基金には3億円しか戻さず、なんと30億円は公共施設等整備基金へためこみ、やがて、LRT建設事業等に大幅に取り崩される計画となっています。これは、市長が身の丈の事業と強調するLRT事業費に税金を流し込む仕掛けです。市民のくらし、福祉を後回しにして、身の丈などあったものではありません。

 また、市街地再開発事業費では、30階建て超高層マンションの大手地区再開発に49億円もの血税が投入されることになっており、26年度は14,700万円が補助金として支出されました。このような超高層マンション建設は、民間活力に任せるべきです。これから人口減少時代のまちづくりに超高層マンション林立の活性化は時代遅れです。市中心市街地全体が環境に配慮された再生と真の活性化のまちづくりにこそ税金は振り向けられるべきと考えます。

 第2に、自治体の仕事は何よりも住民の暮らしを守り、福祉の増進をはかることです。そのためには優れたマンパワーの確保が絶対条件です。その点はどうか。近年、予想を超える災害が次々と起きている中で、市民のいのちと財産を守る中核を担うのが消防職員ですが、国の指針の76.6%しか配置されていません。学校教職員では、19.6%が非正規労働者です。例えば月給172,000億円の指導助手などでは、契約は1年更新で5年までとされているため、将来の保障もなく、人材育成も困難です。同じことは保育分野にも言えます。保健事業と市民の健康づくり推進のためには、保健師も国の配置基準に基づいて増員を図るべきです。また、市民が生活困窮のため、生きてゆくための最後の砦である生活保護行政の最前線を担うケースワーカーは、国の指針に対して12名も少なく、担当ケース数が94もあったのでは、個々の生活援助も不十分になることは明らかです。

 中核市第4位の財政力を活かした本市の身の丈にふさわしい新年度マンパワー強化の予算措置を求めます。

 第3に、安倍自・政権の進める社会保障解体路線のもと、市民生活は、医療・介護等様々な分野で深刻な危機にさらされています。

 例えば、国民健康保険税は、平成26年度税率改定により、値上げが行われました。市民は高すぎる国保税を払いたくとも払えない状況の広がりのもと、窓口10割負担の資格証や短期保険証世帯が、国の言うがままに、大量に作り出されました。これらの制裁措置を収納率向上に役立つと錯覚をして、国民皆保険制度を自ら掘り崩す診療抑制が、市民の生命と健康を脅かし、国保事業の悪循環を増幅させています。この様な背景のもとでの26年度、国保会計決算では、税率引き下げ、国の支援金の増などで、当初予算化したその他の一般会計繰入金を引き下げてしまいましたが、そうではなく、低所得世帯の国保税実質負担率を下げることに回すべきではなかったのか。

 以上、市民生活を守り抜くために、憲法25条を市政の真正面に掲げて、最善の力を出し切ったとは言えない決算であります。

 第4に、費用対効果の点から改める事業もあります。その代表的なものは、若年世帯家賃補助制度です。26年度は6,970万円かけましたが、補助期間終了後、住み続けた世帯は約18%しかいないのでは、中心市街地外の若年世帯と公平性を欠くことは明らかです。また、都市ブランド推進費におけるブランド推進協議会への市民の目を覆い隠す密室交付金としての税金丸投げは到底認められるものではありません。

 以上、議案第100号平成26年度決算について認定不可の結論に至ったことを申しあげ、討論を終ります。

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