2015.3.23
福田くみ子議員の討論

 私は、日本共産党を代表して討論をおこないます。まず、議案18号一般会計、19号国保、20号介護保険の2015年度予算案3本に反対する理由を端的に述べます。

 さて、経済情勢ですが安倍首相の経済政策、いわゆるアベノミクスで、庶民のくらしはよくなったでしょうか。恩恵を受けたのは、大企業や一部の富裕層ばかりで庶民には、苦しみを強いるものであり、格差をますます広げるだけではなかったか。

また、消費増税の一方で、実質年金や生活保護費の段階的引き下げ、介護保険料の引き上げ、前期高齢者の医療費負担増など社会保障の切縮めのオンパレードです。

このような中、本市の予算は、市民の暮らしをしっかり支える予算となっているのか、最小限の予算で最大の効果を得る予算となっているか、そして無駄使いはないか真剣に検討をいたしました。その結果は、残念ながら認められないとの結論に達しました。

第1に、まず歳入ですが、法人税減税によって、法人市民税の伸びが低く抑えられている点です。法人市民税は、116億円余前年比で、わずか3,600万円増となっています。この内容は、外需関連企業の伸びが見込まれる一方で、法人税の引き下げによる影響で、税割り額が11億円もの減となり、全体の伸びが3,600万円余に止まるとの見込みです。大企業には研究開発減税など、大規模な優遇税制が適用される中、中小企業は、消費税増税で厳しさは増すばかりという中で、法人税の減税はとんでもありません。

2に、市民合意もなく、福祉やくらしを犠牲にするLRT事業費11億五千二百万円余の計上は認められません。駅東区域の建設費は、当初の260億円から440億以上1,7倍にも膨れ上がり、計画がずさんであることは明白です。1日も早く白紙にもどし、市民のための公共交通はどうあるべきか、宇都宮にふさわしい公共交通はどのような組み合わせがよいのか、市民参加で検討しなおすべきです。

 第3に、暮らしと営業をしっかり支える予算といえない点です。主な施策をあげます。

まずもって指摘したいのは、子ども医療費は、中3までに対象を広げるべきです。6000万円で、実現可能です。

公立保育園の民営化はもちろん、保育事業への企業参入を促進し、名目待機児童数だけを減らす子ども子育て新制度は、保育の質の担保が不十分で、子どもの権利と安全が脅かされかねません。昨年の認可外保育所の死亡事件から汲み取るべき教訓は「保育は基準のしっかりした認可保育所でこそ保障すべき」と言うことです。

国保は一般会計からの繰り入れを思い切って増やし、高すぎて払いきれない国保税を引き下げるべきです。あと7億円で、世帯あたり1万円引き下げが可能です。

介護保険と高齢者福祉の充実の願いは切実です。待機者ゼロにするための特養ホームの増設、認知症対策強化、地域包括支援センターの市・直営化及び体制強化など、待ったなしです。介護保険料の引き上げは、低所得者にとっては、死活問題です。

消費増税と円安で経営の厳しい中小企業、個人事業主を支援する施策は決定的に不足しています。国主導のプレミアム付商品券の発行に踏み切ったことは、評価しますが、中小企業、個人事業主への支援策は、大企業の優遇税制などとは比較にならないお粗末なものです。

4に、職員の定数削減と非正規への置き換えは、公共サービスの質の低下を招きます。とりわけ消防職員、生活保護のケースワーカーが国基準を大きく下回る充足率の中では、認められません。

5に議員の姉妹都市友好親善訪問経費の計上は、認められません。きっぱりやめようではありませんか。

地方自治体の役割は、住民福祉の増進にこそあります。広がる格差と貧困の中で、福祉やくらしの充実を願う切実な声は大きくなっています。中核市の中で4番目の財政力を持ってすれば、こうした施策は身の丈の施策です。足りないのは、市民の声を聞く心です。

以上、18,19,20号の各予算案に反対する主な理由といたします。

次に、議案56号、57号については、ともに「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の一部改正により、教育委員会委員長と教育長を一本化した「新」教育長が設置されることに伴った条例改正でありますので、まとめて反対の理由を述べます。

 56号は、「新」教育長の勤務時間、勤務条件、職務に専念する義務の特例など、57号では、給与等について定めるものです。

 そもそもこの条例改正の根拠となっている「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の一部改正は、昨年4月から6月約2カ月にわたって国会で審議されてきましたが、6月13日の参議院本会議で、自民、公明、生活などの賛成で成立、今年4月からの施行となったものです。この法律は、住民代表による教育委員会が首長から独立して教育行政をすすめる制度を覆し、国・文部科学省、首長による教育への政治介入に道を開くものであり、戦争する国つくりを後押しする教育体制となる危険性はらんだ大改悪です。

 具体的には、第1に、この法律による「新」教育長は、首長が直接任命し、教育委員会による教育長への指揮監督権がなくなります。こうなると、教育長の権限は強大化し、首長の意を受けて教育委員会を支配する役職に変質し、首長と教育長が一体となって、自治体の教育行政を取り仕切ることになってしまいます。

 第2に、自治体の教育政策のおおもと、方針となる「大綱」を定める権限を首長に与え、教育委員会はその大綱を尊重し、これに則して教育行政を行わなければならない仕組みとなっています。愛国心教育の推進、教科書採択、学力テストの結果公表など教育委員会の権限となる事項についても、教育委員会の同意なしに書き込むこともできることになります。首長が教育内容にまで口を出し、思い通りにする手段に「大綱」が使われる危険な側面があります。

3に、この法律によって設置される総合教育会議は、首長が主宰して教育委員会と協議する場といわれていますが、首長による一方的な介入の場となりうるものです。

 教育への政治介入を何故このように危惧するのか。それは戦前の教育が戦争への国民総動員のための手段として利用されてきた歴史を見れば当然のことです。教育の目的は、人間性の完成にあり、2度と戦前の道に後戻りすることは許されません。

 以上、第56号57号の新教育長を設置するための労働条件などを定める条例に、反対の理由といたします。

 議員各位の良識あるご判断を期待いたしまして討論を終わります。



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