2015.3.23
荒川つねお議員の討論
日本共産党を代表して、議員案第1号、宇都宮市医療費助成に関する条例の一部改正について、議員案第2号、宇都宮市の次世代型路面電車(LRT)導入計画について住民の意思を問う住民投票条例制定について、原案に賛成する討論を行います。
まず、議員案第1号についてです。
これは、子育て環境や福祉の充実を図るため、子ども医療費の助成対象者の対象となる子どもの範囲を、小学校または特別支援学校の小学部に就学後6学年」を中学等の第3学年修了前まで拡大しようとするものであり、現物給付(窓口無料)を延長するものです。
市議会日本共産党は、この提案には諸手を挙げて賛成です。
今や、県内自治体を見ても、子ども医療費無料化が小学生までで留まっているのは、県都宇都宮市だけであります。既に、高校生まで無料化する自治体も出ています。
地方自治体の責務は、住民の福祉の増進を図ることを第一としています。
子どもたちがのびのびと育ち、安心して子育てができるまち、また、年を重ねても老後の安心が保障されるまち、こうした自治体にこそ人は集まってきます。高さを競うコンクリートジャングル等の町のあり様が、都市の価値を決めたり高めるものではありません。
「LRTに税金を使いすぎるため、早くも、子ども医療費の無料化がその犠牲にされているのですか」との市民の心配の声も上がっています。
さて、この条例改正によって、新年度に新たに必要な財源は、栃木県の子ども医療費助成制度の制度変更に伴う補助金を勘案すれば、約6,000万円であります。新年度一般会計約2,000億円の予算の中で、手当することは十分可能です。
自民、自民クラブ、公明、市民連合等の会派の皆さんの反対理由である、「執行部の平成28年度中の実施約束」を待つまでもないと思うがいかがでしょうか。
さて、この子ども医療費の中学生までの無料化制度は、全ての会派が求めてきている一致した課題でありました。それだけに、全会派が共同して条例改正を求めたならば、その成否もまた変わったかもしれません。統一会派単独での今回の条例改正提案の手法はきわめて残念であります。
但し、市議会日本共産党は、提案されたものがどの様な形であれ、市民のためになるのかどうかを「試金石」に、この議員案第1号について真っ先に賛同するものであります。
次に、議員案第2号についてです。
市議会日本共産党は昨年1月、「民意なきLRT導入を阻止する会」が行ったLRT導入の賛否を問う住民投票条例制定の直接請求運動に真正面から取り組みました。1,200名の署名収集人の皆さんの元で、僅か1か月間と決められ、署名要件も制約の中で、3万512筆の署名が結集されました。この3万人を超える署名は、市政の主権者たる市民がLRT導入という宇都宮の前途にかかわる大事業に対して、市民参画と意思表明の機会を求めた熱く切実な声ではなかったでしょうか。
本市議会は、あれだけ多くの民意に直面しながら、住民投票条例否決に至ったことへの納得のいく十分な市民への説明責任は果たされませんでした。
そのことは、LRT導入という本市の中核巨大公共事業で避けて通れぬ、市民の民意把握と合意形成の重要なプロセスを先送りしたものであり、51万市民の中では事業推進の認知の是非の決着は未定のままです。
そして今議会、議員案が提出されました。その理由については、私の昨年9月議会一般質問において指摘した点とほぼ同一視点もあり、賛同に値すると考えます。
議員案審議の総務常任委員会を傍聴しました。住民投票に背を向ける議員の皆様方の理由と言い訳は、市長ともども賞味期限切れであることを自覚すべきではありませんか。
新年度には、いよいよ駅東区間のLRT建設着工に向けて具体的段階が強行されようとしています。皆さんはこの期に及んでも民意と事業への市民合意形成の有無の客観的検証をすることを、一体何を恐れているのでしょうか。
憲法にしっかりとうたわれている「地方自治」は「民主主義の学校」と言われています。その具体化が市自治基本条例です。
私達は、市政のあらゆることを住民投票で決めることなどを求めているのではありません。二元代表制が政治・市政の基本であることは変わりませんし、否定するものではありません。ただ、低投票率で選ばれがちな首長や議会が、住民の負託があると信じて進んだ方向が、多くの住民の意思と乖離することはありうることではないでしょうか。
住民投票は、それを補完する重要な住民の意思表示の方法であることは、ここにいる議員の皆さん、どなたも否定はされないでしょう。ましてや、LRT事業の市民の合意形成の有無について、住民の代表である議員による議会での議決結果だけで事足りるなどという暴論に頼る議員もおられないと思うがいかがでしょうか。
本気で宇都宮市民とその将来のためにLRT導入が必要だと思われているのであれば、何を恐れることがありましょうや。市民に対し、堂々と事業への後押しを求め、市民とのビジョン共有の証明を、住民投票を通じて示してはいただけないでしょうか。
最後に、自ら決めた自治基本条例に基づいたLRT導入をめぐる住民投票は、市長にとっても議会にとっても、市民の市政参画と市民協働のまちづくりを大きく前進させるまたとないチャンスであると私は考えます。先の市政史上初の住民投票直接請求の運動は、その可能性を示しました。
しかし今、その市自治基本条例・基本理念がうたわれた第3条、「本市の自治は市民自らの責任及び判断に基づき市政に参画し、市政運営が自主的になされるものでなくてはならない」同じく、市民の権利がうたわれた第4条、「市民は個人として尊重され、市民としての幸せを求めてゆく権利を有する」2項、「市民は市政に参画する権利を有する」となっていますが、これらの精神がいま眠りこまされようとしているのではないかと憂慮しています。
それは、LRT推進を社論とする一部マスコミ報道と、LRTありきで暴走する市長、市執行部の二人三脚が目に余るものとなっていることです。そうした中で、いま住民投票を求めて署名した人も含めて、多くの市民の中では市政参画や意思表明に対するあきらめや無力感が醸成されています。
このことぐらい、宇都宮市政の未来にとって禍根を残すことはありません。
私は、そうした市民の皆さんにLRT導入ストップあきらめるのはまだ早い。市民の大切な市政参画、意思表明権を堅持しましょう。こんな民意にそむくLRT事業に未来はないと呼びかけるものです。
以上、宇都宮市政の進歩と発展のために、市議会と議員各位に対しまして、住民投票を決断する機は熟してきていると心から訴えて討論を終ります。