2014.9.30
福田くみ子議員の討論

日本共産党を代表して討論を行います。

まず、「子ども子育て支援法」に関する7本の議案について一括して反対の理由を述べます。

宇都宮市内の認可外保育施設で今年7月、当時9か月の乳児が宿泊保育中に死亡する事故が起きました。この保育施設は、認可外で市への届出が義務づけられてはいるものの「直接契約」であり、行政の関与は非常に限定的で、いまだ市は詳細な状況把握もできていません。いわば、自己責任の世界なのです。

新制度は福祉の提供に行政が責任を持っていた「措置制度」をやめて、「直接契約制度」の導入を軸に、公的な責任を後退させ、保育の市場化を一気に進めるものです。

ただ、保育施設の認可基準や職員配置の基準など地域格差が懸念される反面、自治体の裁量でより良いものにできる可能性もあります。今回のような事故を2度と起こさないためにも、議会での判断が厳しく問われていると思いますが議員の皆さん、いかがでしょうか。

今回、市が提案した条例案は、国が示した低い基準言いなりです。これまで日本の保育基準は、多くの先進国に比べ大変低い水準のまま何十年も据え置かれてきました。そこに自治体が独自に上乗せしてきたというのが現実で、今回の提案は、その部分も切り捨てられたままの提案となっており、到底認められません。

さて、7本の議案の中から、まず保育にかかわる条例について、いくつか主な問題点を指摘します。

議案92号では、幼保連携型認定こども園の学級の編成、職員、設備及び運営に関する基準が定められます。幼児の発達状況からも年齢差による少人数クラス編成が必要です。小学校でさえ30人学級が叫ばれる中、それより幼い子どもたちが35人というのは多すぎます。また職員の配置基準も、少なくとも、市が独自に上乗せしてきた保育所の基準を適用すべきです。とりわけ、1歳児について61の基準は保育や教育どころか、安全確保さえ難しいのが現実です。31とすべきです。園舎の基準は、例外なく2階建て以下に限定すべきです。給食についてもすべての子どもへ自園調理で提供すべきです。議案93号の児童福祉施設の設備や運営の基準についても同様です。

議案95号では、家庭的保育事業等の設備、運営に関する基準が提案されています。ここで最も大きな問題点は、同じ保育が必要と認定された子どもが対象であるにもかかわらず、小規模保育事業B型では有資格者の割合は2分の1、家庭的保育事業では、数日間の研修のみで認められる「家庭的保育者」で行うことができ、保育条件に大きな格差が生じる点です。保育士資格者が3分の1でよいとされている現在の認可外保育所での死亡事故の発生率は、すべてが有資格者とされている認可保育所の実に45倍です。すべての保育事業において、国家資格を有する保育士による保育を義務づけ、保育所と同等の職員配置とすべきです。

議案97号では保育給付の支給認定基準が定められます。宇都宮市では保育を必要とする子どもの認定について、1か月の労働時間を国が示した最低の水準である64時間以上と提案しており、最大の48時間以上と定めた場合との比較では、400人もの子どもが、保育給付から除外されることになります。1か月48時間以上と改めるべきです。

さて、第101号は、放課後児童健全育成事業の設備、運営に関する基準を定めています。支援単位児童数を40人以下とするなどきちんと基準が定められる点では、前進と受け止めていますが、5年の経過措置は、あまりに長すぎます。「教育にかける税金の割合は、宇都宮は低すぎる」これが私の持論です。一刻も早く改善が必要です。経過措置の短縮を求めて反対致します。

以上が、子ども子育て新制度にかかわる7本の条例に反対の理由です。多くの自治体が、あまりに低い国基準に上乗せして、保育環境の充実に努めている現実を見れば、本市の提案は一度白紙に戻し、自信を持って「子育て日本1」といえる条例に作り替えようではありませんか。議員の皆様のご賛同をお願い致します。

次に議案第119号、決算の認定について反対の理由を簡潔に述べます。

1にLRTについて、昨年度は事業の賛否を問う住民投票を求める直接請求が行われ、3万を超える署名が提出されました。少子高齢化社会の進展の中で、市民参加のまちづくりを大きく進展させる最大のチャンスを、市長も議会も自ら手放してしまいました。市民協同は口先ばかりで、市民の声に耳を傾けず暴走するLRT関連の事業費は認められません。

理由の2点目は、子ども医療費の中学生までの拡充、就学援助制度や青少年の居場所づくりの拡充、小中学校指導助手や学校司書の処遇改善・正規雇用化、つめこみ保育の解消など子どもの貧困が社会問題となる中、教育・子育て関連の喫緊の課題が先送りされた点です。とりわけ、就学援助制度では、申請を却下されたのが94件もあり、所得基準の見直しが必要です。  

3点目は、行き過ぎた行革推進による職員定数削減や外部委託がすすみ、住民サービスの質の確保できない事態です。本市の市民千人当たりの職員数は5.74人で、中核市40市中少ないほうから11位となっています。ちなみに一番多い下関市は、8.34人で、実に1.46倍です。結果として、昨年度の長期病休者92名中メンタル不調による不調者は54名と高い割合を占めた点を指摘します。市職員の健康は、住民福祉増進のかなめです。

4点目は、防災対策の充実が望まれる中、国の消防力整備指針に基づく充足率は79,8%と低い状況は、大問題です。

5点目は、住民の切実な願いが置き去りなされた点です。医療・介護など命の問題は切実です。経済不況と格差拡大の中で、高すぎる国保税の引き下げ、1127人もの特養ホーム待機者、遅れている認知症対策など介護サービス拡充と負担軽減などは後回しとなっています。

限られた財源の中、人口減少時代を展望して、何を優先的にやるのかの視点に立てば、LRTやJR宇都宮駅東口開発、大手地区等の再開発事業、ジャパンカップなどの見直しは必至です。これまでも大型公共事業には湯水のように桁違いの税金が注ぎ込まれてきました。議員の皆さんも胸に手を当てて思い出せば、無駄と思われる大型公共事業の数かずが、浮かぶのではないでしょうか。

本市の財政力指数は中核市の中でも第4位。この強い財政力を生かし、18764500万円余の財源を、市民の暮らしと福祉、営業を支えるために、有効に活用されたとは言えないとの結論に達しました。

以上を持ちまして、子育て支援制度関連7議案と決算の認定についての討論を終わります。議員各位の皆様の良識あるご判断をよろしくお願い致します。



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