2014.6.19
福田くみ子議員の一般質問

福田議員

発言通告に従い順次質問いたします。

 まず、市長の政治姿勢について3点伺います。
 1に、国会会期末を迎え緊迫している「集団的自衛権の容認」について市長の見解を伺います。この問題は、国が決めることだから「動向を見守りたい」と言う立場は許されません。とりわけ、中央即応連隊を抱える陸上自衛隊宇都宮駐屯地には多くの若い宇都宮市民が働いています。中央即応連隊はその任務の性格上真っ先に第一線に送られるでしょう。地域社会の未来を担う若者が戦争で血を流さなくてはならない国への道を許すのか、そして、法治国家としてのあるまじき異常な手続きで、憲法を骨抜きにする暴挙を見過ごすのか、地方自治体の長として考え方を明らかにすべき問題と考えています。
 「海外で戦争する国」への大転換といえる集団的自衛権の行使容認と、安倍内閣の憲法破壊のクーデターと呼ぶべき暴挙について、市長の見解を求めます。

市長

 集団的自衛権につきましては、防衛・安全保障に関わるものであり、国の専権事項と考えております。
 なお、我が国の安全保障に関わる大変重要な問題でありますことから、国政の場において、十分に議論がなされるべきものと考えております。

福田議員

 次に、LRTありきのまちづくりについて、伺います。
  私が、この計画に反対する理由は、第1には、十分な費用対効果が認められない点です。大規模交通プロジェクトにおける過大需要予測が次々問題となり、新交通システムでは小牧市のピーチライナーは15倍もの過大予測であったと言うことです。公共交通需要予測に対する信頼性が揺らぐ中で、着工時期まで決めてから、需要予測の根拠となるアンケートやパーソンとリップ調査にかかるというのでは、説明はつきません。また、本市のめざすネットワーク型コンパクトシティのまちづくりのために、LRTはベストの選択ということですが、住民そっちのけの計画では、むしろまち壊しになってしまいます。
 第2に、施策としての優先順位に充分な市民の理解が得られているとは考えにくいからです。切実な住民要求は多々あります。LRTにここまでお金をかけていいものか、福祉や暮らしを守る施策に影響はないのかとの懸念です。
 第3に、どうしても納得できないのは、3,000世帯もの住宅を抱える清原台団地を直接通さないことです。企業第1、住民は2の次、その表れではないでしょうか。平出近辺の駅の問題も然りです。
 以上3点について市長の見解を求めます。
 また、地域公共交通総合連携計画および軌道運送高度化実施計画は、1日も早く市民と議会に示し十分に検討する時間と機会を設けるべきです。さらには、西側も含めた全体計画、収支見通しはいつ明らかにするのか御答弁を求めます。


市長

 「LRTの需要予測」につきましては、運行計画や施設整備計画の作成をはじめ、事業採算性に関わる大変重要な推計でありますことから、昨年度、清原工業団地等におきまして「企業ヒアリング」を実施し、確実に見込むことができる「最低限の需要見込み」を算定するとともに、今年度におきましては、「従業員アンケート調査」や広域的な交通実態を把握するための「県央広域都市圏 生活行動実態調査」を実施しておりまして、これらの調査を段階的に進めることで、これまでの需要予測の精度を高め、今後の軌道事業の特許取得につなげてまいります。
 次に、「施策の優先順位について」でありますが、本市におきましては、第5次宇都宮市総合計画 基本計画に掲げた「子育て支援の充実や「高齢者の生活の質の向上」LRT整備を始めとする「誰もが移動しやすい総合的な交通体系の確立」、学校施設の耐震化等の「安全で安心な生活環境の創出」など、街づくりの重点施策に取り組んでいるところであり、今後とも、市民福祉の向上や本市の将来にわたる持続的な発展に向けた施策事業を着実に推進してまいります。
 次に、「導入ルートについて」でありますが、LRTのルートの設定当たりましては、「機能的な公共交通ネットワークの構築」、「安定した需要確保」、「街づくりとの連携」の観点から、総合的に勘案し、「桜通り十文字付近から宇都宮テクノポリスセンター地区まで」の約15キロメートルの区間・ルートを設定しているところであります。
 次に、「計画の説明時期について」でありますが、現在、検討しております「導入ルート」や「施設整備計画」、「事業費」、「事業採算性」などにつきましては、9月定例会前までにとりまとめ、その内容につきまして、議会にご説明してまいります。
 また、これらの内容をもとに策定いたします。
 「地域公共交通 総合連携計画」、「軌道運送 高度化実施計画」につきましても、年度内に設置する 法定協議会に諮る前に、議会にお示ししてまいります。
 次に、「JR宇都宮駅の西側を含めた全体計画等」につきましては、現在、JR宇都宮駅東側を優先整備区間として検討を進めておりますことから、この進捗状況等を踏まえまして、今後、検討してまいります。

福田議員

 3に子ども医療費助成制度の対象拡大について伺います。この間の県内の動向は大きく前進しました。残念ながら中学生までを対象としていないのは本市だけという状況です。
 これまでの一般質問や予算や決算の質疑討論などでも、日本共産党としてもまた多くの議員も制度の拡充を取り上げ切実な要望となっていると感じています。
 無料でお医者さんにかかれる制度は、直接いのちを守ることにつながっており、最大で且つ最高のそして最後の、セーフティネットだからではないかと考えています。だから特別な意味を持った制度ではないかと重視するのです。子ども医療費助成の対象を中学
3年まで拡大することについて市長の見解を求めます。


市長

 こども医療費助成制度につきましては、小平議員のご質問にお答えしましたとおり、制度設計に当たりましては、「罹患率の高さ」や「医療費負担の割合の高さ」を考慮し、小学6年生までを対象といたしまして、自己負担金を徴収しない現物給付方式による助成を行っているところであります。
 子ども子育て支援につきましては、多様化するニーズの中から、「社会経済状況の変化」や「国の施策の動向」などを踏まえまして。さまざまな施策の中から総合的に優先性を判断する必要がありますことから、こども医療費助成の対象につきましては。当面は、現行制度を維持してまいりたいと考えております。

福田議員再質問

 集団的自衛権、国の専権事項ということですけれども、宇都宮市には「平和都市宣言」というのがございますが、ご存じだと思うのですけれども、そこに書かれている条文です。ここが大事だなと思ったのですけれども、改めて読みました。「今日の繁栄は先人のたゆまぬ努力によって築かれたものであることを忘れてはなりません」と書かれているのです。もうちょっと下のほうに行きますと「私たちは日本国憲法の精神にのっとり、核兵器の廃絶をめざすとともに戦争や人権侵害などの平和を脅かす様々な課題の解決に取り組みます」と。外交の問題、安全保障の問題は国の専権事項だからとおっしゃるのは、この平和都市宣言の精神からしても、それで切り捨てられるのは、ちょっと私は納得できないのですけれども、そのへんはいかがでしょうか。

市長再答弁

 恒久平和、そして世界の安寧といったことは、誰もが共通する大きな課題であり、そしてそれを実現していく努力、これが大切だと思います。今回の解釈、憲法の解釈でありますけれども、様々な考え方があって、中でも時代の変遷とともに解釈も変えていくべきだろうという考え方、「いやそうではなくて、安定性といったものも考えなくてはならない」と様々な意見があると思います。いろんな角度から議論をすることが大切であり、それをしっかりと阻害されないような、そういう環境を作ることが、私としては大切だと考えております。

福田議員再質問

 さきほどのところで「先人のたゆまぬ努力によって築き上げられたもの」これは、今度一内閣の判断で憲法の解釈が、半世紀以上続いてきた、自衛隊の創設以来続いてきた解釈、一貫して憲法9条のもとでは集団的自衛権の行使は認めないというふうに積み重ねてきた論議の中である一つの解釈ですけれども、それを一内閣の判断だけですんなり変えてしまってもいいのか、そういうことも根本にあるわけです。容認することがいいのか悪いのか以前に、手続きの問題でも、憲法をないがしろに、この平和都市宣言のもうちょっと下のほうに書いてありますけれども読み上げました。「日本国憲法の精神にのっとり」と、この精神を根底から覆してしまうものであると考えております。だからこそ、この平和都市宣言の精神に基づいて、私は一自治体の首長である市長が、こういうことに関しても、きちんとした見解を述べてくださる、これは日本の平和を守っていくためにすごく大切なことではないかと期待をしまして、もう一度ご答弁をお願いいたします。

市長

 解釈にあたりましては、宇都宮市の平和都市宣言あるいは、国の法律、憲法、そういったものに対して、国民の皆さんが、その結果に対して、疑念が生じないような、そういうことはしっかりと対応しなければならないと思います。

福田議員再質問

 次に、LRTありきのまちづくりについてのところで質問をさせていただきます。
 先ほどの「地域公共交通総合連携計画および軌道運送高度化実施計画」これを一日も早く示してほしいという質問をしたのですけれども、年度内に策定をして、法定協議会の前には議会にも示すというご答弁でした。しかし年度が明けるとまたすぐに法定協議会に入っていくというのが、今度のスケジュールでも示されているのですけれども、これでは議会がきちんと検討する時間がないと思うのですけれども、実際に計画を示してから、法定協議会の手続きに入っていくまでの時間はどれくらいとみているのでしょうか。具体的にお答えください。

総合政策部長再答弁

 法定協議会につきましては、できるだけ今年度内に設置したいと考えております。法定協議会の中で、議員のご指摘にありました二つの計画、これを議論していただくわけなのですが、その議論の推移によりますので、どの程度とは申し上げられませんけれども、私どもの今までの他の自治体の経過から申し上げますと、数か月程度かなと思っております。議論ができる時間がないのではとご心配があると受け止めましたけれども、私どもとしましてはまずは8月末ないしは9月上旬に、9月議会開会前に法定協議会に提出する二つの計画、特に「地域公共交通連携計画」の骨子となるようなものが、内容については、8月末から9月の頭にかけましてそのほとんどの中身について、ご説明をする予定でございます。それの中身をもう少し詳しくしたものが、法定計画になってきますので、議会の皆様には法定計画のほとんどの部分については把握ができると認識しております。

福田議員再質問

 この二つの計画の内容を見てみると、「軌道運送高度化実施計画」のほうですけれども、資金の調達方法、収支などをここに記載がされると書いてあるのですけれども、これを見ないと、反対の理由というところで、「十分な費用対効果が認められない」と主張しているのですけれども、その費用対効果の判断というのも、実はこれが明らかになって初めて生きてくるものではないかと思っているのです。というのは、私はいろんな場所で申し上げていますけれども、LRTという乗り物そのものの優位性というのは確かにあると思っているのです。でも全体のまちづくり、公共交通はまちづくりの一つのツールなわけです。重要なツールなのですけれども、あくまで一つのツールです。だからまちづくり全体が見えてこない中では、たくさんあるツールの中で何を選択するのか、ベストの選択であったのかどうか、ということも実際に判断できないと思っているのです。費用対効果という面で認められないと言っているけれども、よくわからないのが実際です。莫大投資する必要が本当にあるのかどうかということを最終的にわかるのは、この計画が出てこなくてはわからないというのが実際なのだと思うのですけれども、そのへんのところでなるべく早く出してほしいと思っています。いかがでしょうか。

総合政策部長再答弁

 「軌道事業高度化計画」のほうは、営業主体のほうが基本的には中心となる計画でございまして、私どもの現時点での市としての見通しでございますけれども、これまでの企業アンケート、あるいは現在着々と進めております従業員アンケート、平成13年、14年当時に行いました基礎調査におきまして、基本的には採算性は取れると見込んでおります。それの精査をしている段階でございますので、また、上下分離方式というものが採用されることによりまして、営業主体、経営主体のほうにおきましては、イニシャルコストが大幅に軽減される、そういったことから、経営的には基本的に、私どもとしては非常に成り立つ見通しが高いと受け止めております。その内容等につきましては、高度化計画の中に盛り込まれることになりますが、できるだけ早期に営業主体の広報と議論を詰めまして、手前、手前でどの程度公表できるか、それは今後詰めていきたいと思っております。

福田議員再質問

 採算性とかそういうことも問題なのだけれども、宇都宮の大きなまちの中で、しょせん一路線なのです。こう言っては申し訳ないけれども、しょせんLRTは一路線です。そこにこれだけの莫大な投資をしてもいいのかどうか、それだけ素晴らしい全体を、ネットワーク型コンパクトシティを形成していくにあたって、それだけのお金をかけても、絶対に必要なものなのかどうかという、総合的な判断ができないという意味でお願いしたわけでございます。優先的な施策との関係では、やはりそのへんが、関連してくるのかなと思っております。福祉とくらしを守る施策を最優先するべきだと申し上げて次の項目に移っていきたいと思います。

福田議員

 次に生活困窮者への支援についての項に入ります。

 1に生活困窮者自立支援法施行への本市の対応についてです。 生活保護に至る前の段階の自立支援の強化を図る目的で、生活困窮者自立支援法が来年4月から施行となります。本市では、それに先立って本年度モデル事業として自立相談支援事業と、学習支援事業に着手します。
 そこで、実効ある事業にしていくためにどのような理念で取り組むのか市長の見解を伺います。
 さて、モデル事業は昨年から全国68自治体でおこなわれており、私は、研修会で野洲市を、また、厚生常任委員会の視察や先日はとちぎボランティアネットのシンポジウムでも豊中市の取り組みを聞く機会がありました。すばらしい取り組みに共通しているのは、第1に職員の情熱、第2にいかに全庁連携の体制をつくるかにあると感じました。
 そこで、本市ではモデル事業で行う自立相談支援事業は外部委託とのことですが、全庁連携の体制構築はどのように考えていますか。また、相談窓口は委託であっても市役所内に設けるべきだと思います。市長の見解を求めます。
 また、具体的に自立につなげるには相談からあとの事業がどうしても必要です。今後早い時期に、就労支援、中間就労、家計相談などの事業に着手する必要があると考えますが、市長の見解を求めます。

保健福祉部長

 まず、「自立相談支援事業と学習支援事業の理念」につきましては、複合的な課題を抱えている生活困窮者を、できる限り幅広く受け止め、自立に向けた支援に取り組んでいくことが重要であると認識しております。
 このため、本市といたしましては、支援を必要としている生活困窮者を、待つことなく広く把握するとともに、就労、心身の不調、家族問題など、個々の抱える様々な状況に適切に対応した継続的な支援に努めてまいりたいと考えております。
 次に、「自立支援事業の全庁連携の体制構築について」でありますが、これまで、生活保護受給者の自立に向け、全庁的な組織である「生活保護行政適正化推進本部」を設置し、情報共有や事業の実施方針の確認を、行ってきたところでありますが、今後は、生活困窮者も対象に含め、必要とするサービスを適切に提供できるよう、関係部署との一層の連携に努めてまいります。
 また、「相談窓口」につきましては、委託により市総合福祉センター内に、新たな窓口を設置してまいりますが、これまでと同様、本庁舎における関係各課の窓口におきましても、相談を実施するとともに、窓口相互の連携に努めてまいります。
 次に、「就労支援、中間就労、家計相談について」でありますが、就労支援や中間的就労につきましては、既に、ハローワークとの一体的事業において実施しており、国からも、一定の評価をいただいているところであり、引き続き、これらの事業に取り組んでまいります。
 また、家計相談につきましては、現在実施している「生活福祉資金貸付事業」と類似していることから、国におきまして、事業の関係性を整理しているところであり、今後とも国の動向を注視してまいります。 

福田議員

 次に、就学援助制度の改善を求めて質問します。就学援助制度は、「義務教育は無償」とする憲法26条や、国際人権規約などに基づく制度で、小中学生のいる家庭に学用品費や入学準備金、給食費や医療費などを補助する制度です。子どもの貧困が深刻化するなかで、全国のH24年度の援助率は15,64%と過去最高となっています。そのような中で本市の援助率は要保護・準要保護あわせて小学校が7,96%、中学校が11,55%で中核市の中でも大変低い水準にあります。所得水準が比較的高い地域であるとはいえ、受けやすい制度への改善が必要と考えます。
 まず1点目に、認定に当たっての民生委員の関与は、なくすべきです。国では、2005年度から「民生委員の助言を求めることができる」としていた条文を削除しました。申請をためらわせる要因となっているのが現状で、中核市の中でも関与を求めているのは1割強に過ぎません。
 2点目に、支給時期について改善が必要です。とりわけ新入生向けには「新入学学用品費」と言う項目がありながら、初回の支給月が7月では、当てにできないと言う声があります。青森市やいわき市では4月に支給、日光市でも入学準備に間に合うように支給できる仕組みを検討中とのことです。
 3点目に、眼鏡、学校指定の体育着、通学に必要な自転車など保護者の負担が大きく、学業に必須なものについて、援助項目に加えてはどうでしょうか。以上3点について市長の見解を伺います。
 この項の最後に、昨年の12月議会でも取り上げましたが、生活保護基準の引き下げによって援助が受けられない子がでないよう対応を求め、市長の見解を伺います。

教育次長

 本市の就学援助につきましては、経済的理由により、学校生活で必要な学用品の購入や、給食費の支払が困難な家庭に対しまして、それらの費用の一部を援助しており、本市の就学援助費の年間平均支給額は、小学生でおよそ6万8千円、中学生で11万5千円であり、中核市平均に比べ、小学生で10% 約6千円、中学生で35% 約3万円上回っている状況にあります。
  まず、「認定に当たっての民生委員の関与について」でありますが、本市におきましては、就学援助の認定に際しまして、児童生徒の生活状況を把握するため、前年所得や家庭状況などに関して、学校長や民生委員から所見をいただき、総合的に審査しているところでありますが、今後、学校や民生委員などへのヒアリングを行いながら、適正な認定のあり方について検討してまいります。
 次に、「支給時期について」でありますが、本市におきましては、世帯全員の所得状況を認定基準のひとつにしておりますことから、直近の状況を「把握するため、前年所得が確定する6月1日以降に、速やかに審査、認定し、支給しているところであります。
 支給時期の前倒しは仮の認定やその後の確定に伴う清算事務量の増加などの課題が考えられますことから、今後、他市の事例などを調査してまいります。
 次に、「援助項目について」でありますが、本市におきましては、国が示している要保護世帯に対する基準に準拠しており、平成23年度には、国の改正に合わせ、速やかにPTA会費やクラブ活動費などを追加したところであります。
 ご質問の「体育着」につきましては、「学用品費」や「新入学学用品費等」に含まれておりますが、「眼鏡」は国の「医療援助費」に含まれておらず、また、「自転車」は児童生徒により必要性が異なり、「通常必要とする通学用品」には該当しないと思われますことから、いずれも、当面は、援助項目への追加は難しいものと考えております。
 次に、「生活保護基準の引き下げへの対応について」でありますが、今年度につきましては、「生活保護基準の見直しによる影響が及ばないよう対応して欲しい」との国などからの要請を受け、平成25年度当初の生活保護基準を採用し、支給に影響が出ないようにしたところであります。
 今後とも国などの動向を踏まえながら、対応について検討してまいります。

福田議員再質問
 
 まず1点目、生活保護の理念なのですけれども、制度運営の目標というところで、生活困窮者の自立と尊厳の確保というのが国の配布してある冊子などにも書かれています。先ほど縷々ご説明があったのですけれども、ここのところを生活困窮者の自立、そして、大事なのは尊厳の確保ではないかなと考えていますけれども、そのへんのお考えはどうでしょうか。

保健福祉部長再答弁

 生活困窮者の尊厳というご質問だったと思うのですが、本市におきましては、生活困窮者のみならず、生活保護受給者にも「自立の支援とともに、尊厳をもって対応させていただきたいと思っております。

福田議員再質問

 ぜひそのへんのところを理念として事業にあたるみなさんがしっかりと心に持ちながら、あたってほしいなと思っております。いろんな先進的な取り組みも見てまいりましたが、宇都宮市それぞれのところで、本当に優秀な職員の方たちが、その場その場で必要な支援というのはこれまでも進めてきているというのは、とてもよく理解しているつもりです。誰もが気軽に相談に行ける、そういう雰囲気とか、そういう体制、そういう形も私は必要だと思うのです。野洲市の場合は、市民生活相談課というのが1階のフロアーにありまして、正規職員が4名、そして専門の嘱託員が3名、計7名、そこに家計相談員として社協の職員が1人、そういう体制でこの制度に臨んでいるのです。やはり行政情報をどう共有していくのかというのは意外と難しくて、宇都宮の場合には適正化推進本部のほうで、今までもやっていますよというお答えだったのですけれども、私がこれまでも同行支援などをして感じるのは、やはり、先ほども申し上げましたけれども、制度の隙間、それから制度の段差、これを埋めて、コーディネートする人がいないというのをすごく感じていて、それを克服するためには、今本当に、適正化推進本部があるから大丈夫ですというお答えだったのですけれども、現実に相談者、生活保護に陥った方にしても、現実にはそこを埋める機能がされていないと考えています。ぜひ他市の先進事例も参考にしながら、それから窓口を、庁舎内に設けるということも前向きに検討していただきたいと思いますけれども最後にご答弁求めます。

保健福祉部長再答弁

 生活困窮者の把握から始めまして、これまでなかったわけではなくて、基本的には庁内関係課との連携をはじめ、各地区の民生委員、児童委員、さらに「とちまる見守りネット」などの方々から情報をいただいておりまして、これまでも適正に対応してきたところですが特に、庁内の関係課につきましては、庁内連絡会といった名称で幅広い窓口を設けております。議員もご案内かと思いますが、例えば滞納整理をやっている保険年金課とか、納税課、あるいは住宅課、高齢福祉課、またライフラインといわれています水道の給水停止を行う上下水道局、さらには、多重債務などの相談窓口を持っております生活安心課、これがすべて窓口となっておりまして、何かの関係でお越しになった時に、即座に、たとえば生活福祉課のほうに案内できるような体制になっておりますので、そういう点では庁内の中には十分に相談できる窓口があります。今回できるのは、生活困窮者の新しい相談窓口として総合福祉センターにできますけれども、基本的には、来られた方が、第一段階であちこち転々することがないように、ワンストップサービスでそういった窓口を設けたいということでございまして、本庁の窓口に来られても、最終的には、一つの窓口で集約して、これからの支援、サービス計画を立てていくと、そういった形で考えておりますので、そういったご心配はたぶんないのかなと思いますが、いずれにしましても、今回、本格的に実施に向けてやってまいりたいと考えております。

福田議員再質問

 いずれにしましても、これから始まる取り組みとして、私は最大限期待をしております。命を守るサービスを届けるのが市役所です。そういう姿勢で引き続き有効な事業へ育てていく、それくらいにつもりで取り組んでいただきたいとお願いをしまして、次に移りたいと思います。
 就学援助のことでございますけれども、宇都宮市生活保護基準の引き下げで影響が出ないように、ということで、平成25年からの基準で運用しているということです。大変うれしいことだと思います。眼鏡については、学校生活だけに必要なものなので、この項目には入れませんというのが、これまでの見解だと思うのです。ただ準要保護の方には、大変大きな負担になっているというのはこれまた片方では現実なのです。そういう意味では、例えば通学用品費、それには通学の時に履く靴とか、そういうものも含まれると聞いていますけれども、そういうことを考えれば、眼鏡を学校生活だけに必要なものではないと認定するのはいかがかなと思いますけれどもいかがでしょうか。

教育次長再答弁

 眼鏡は学用品費あるいは通学用品費と、こういったことで、対応しておりますけれども、これらについては、定額で援助をしております。定額を算定するにあたりましては、国の基準に準拠しておりまして、この具体的な国の基準というのは調査をしたうえで、このぐらいの金額がかかるという調査をした額で基準を決めておりますので、そのぶんでやっておりますので、確かに高額な眼鏡がかかる方もいるし、他にかかる方もいるということで、一応制度運営する上でのよりどころということで、国の基準に準拠してやっておりますのでご理解いただきたいと思います。

福田議員

 次に子ども・子育て支援新制度への本市の対応について伺います。
 子ども子育て支援新制度は、20154月から本格実施されることとなっていますが、具体的内容の決定が遅れ準備が間に合うのか事業者、利用者ともに大きな不安を抱えています。
 さて、新制度においては、都道府県および市町村では、5年を1期とした「子ども・子育て支援事業計画」の策定が義務付けられています。そこでまず1点目に、市長はどのような理念に基づき保育・子育て行政を決定付ける「子ども・子育て支援事業計画」の策定にあたるのか伺います。
 2点目に、保育条件と質の確保の問題です。新制度では同じ保育が必要と認定された子どもでも、保育所と地域型保育では、保育士の資格要件などの配置基準に大きな差が出てきます。また、現在保育士の配置基準は、0歳児は3112歳児は61ですが、宇都宮市では、1歳児については独自に31として保育士の加配をしています。この市の独自加配は、新制度のもとでの保育所および小規模保育でも当然必要であると考えます。
 3点目に、保育の必要性の認定について伺います。就労時間の基準を、範囲をもっとも狭くする64時間以上とする提案は、子育て環境日本一を標榜する宇都宮市でいかがなものか、市長の見解を伺います。
 4点目に、新制度に移行後は希望する保育所や認定こども園にスムーズにはいれるようになるのか、待機児童の解消は、認可保育所の増設を基本とすべきと考えますが、市長の見解を求めます。また、公立保育所は、セーフティネットとしてだけではなく保育の実施責任の中核施設として役割を果たすためにも、これ以上の民営化は撤回すべきではないでしょうか。見解を伺います。
 6点目に、保育料は、公定価格を参考に決められるとのことですが、保護者負担は実際には今よりも軽くなるのか、オプションなど認められているが問題は起こらないのか市長の見解を伺います。
 最後に、子どもの家および留守家庭児童会について伺います。この事業は、地域支援事業の1つと位置付けられることによって、市の裁量的経費となり、国の財政的保障が不安定になります。新制度が始まっても、豊かとはいえない保育環境、困難な人材確保、保護者負担の大きい運営や保育料など現状の課題解決にはならないと考えますが、市長の見解を伺います。また、新制度実施にあたっての課題は何か伺います。
 さらに、懸念されるのは、保育に欠ける子どもの生活の場としての学童保育事業と全児童を対象とした事業との混同です。そこで、新制度のもとでも、明確に区分にした提供体制の確保を図っていくことが大切であると考えますが市長の見解を伺います。

子ども部長

 「子ども・子育て支援事業計画の策定理念について」のご質問にお答えいたします。
 新制度への移行にあたりましては、子どもの健やかな成長のために適切な環境を確保し、子ども・子育て支援を総合的・計画的に実施するため、教育・保育の量の見込みや提供体制の確保の内容、実施時期を定める「市町村子ども・子育て支援事業計画」を策定することとされています。
 本市におきましては、その趣旨を十分に踏まえ、すべての子どもと子育て世帯に良質かつ適切な教育・保育と必要となる子育て支援事業が提供できるよう、「宇都宮市子ども・子育て支援事業計画」を策定しております。
 次に、「保育条件と質の確保について」でありますが、現在、児童の処遇向上のための職員配置や、保育士の処遇改善、定期的な研修会の開催など、保育の質を高めるための本市独自の支援を実施しており、新制度におきましても、保育の質の向上を図るため、今後、切な職員配置等つきまして検討してまいります。
 次に、「保育の必要性の認定について」でありますが、新制度におきましては、保育所の入所にあたり、フルタイム就労を対象といたしました「保育標準時間」とパートタイム就労を対象といたしました「保育短時間」の2つの区分が設けられ、それぞれの働き方、保育の必要量に応じた保育を提供していくことになります。
 そのうち、「保育短時間」につきましては、地域ごとの就労の実情が多様であり、それを反映した市町村の運用にも幅があることを踏まえ、国におきまして、「保育短時間」認定にあたっての就労時間の下限を「1か月あたり48時間以上64時間以下の範囲で各市町村が定める」との基準を示したところであります。
 このため、本市におきましては、現行の入所要件や入所状況、昨年度実施いたしました「ニーズ調査」の結果等による就労実態を踏まえ、1か月あたり64時間とする案を本市「子ども・子育て会議」に提案し、ご意見をいただきながら検討を進めているところであります。
 次に、「認可保育所の増設について」でありますが、現在、「保育所等の整備方針・整備計画」に基づき、保育所の増改築や認定こども園の整備を計画的に行っており、その結果、平成24年度から、3年連続で年度当初の待機児童が解消したところであります。
 新制度におきましては、これまでの保育所や認定こども園に加え、19人以下の小規模保育や事業所内保育などの地域型保育につきましても、市町村の認可事業として位置づけられましたことから、既存の保育施設と地域型保育をバランスよく組み合わせながら、待機児童の解消に取り組んでまいります。
 また、「公立保育所の民営化について」でありますが、本市におきましては、「保育所等の整備方針・整備計画」に基づき効率的・効果的な保育所運営を図るため、民間保育所につきましては、増大する保育需要への対応や、休日保育、長時間延長保育など多様な保育サービスの充実、公立保育所につきましては、家庭における養育力の低下等に伴う保育困難ケースへの対応や、地域における子育て力の向上などをそれぞれの役割として位置づけ、民営化に取り組んできたところであります。
 今後とも、将来の保育需要を見据えながら、民間と公立の役割を踏まえ、適切に対応してまいります。
 次に、「保護者負担について」でありますが、新制度における国の保育料基準額につきましては、現行の利用者負担の水準は利用者の世帯所得などに応じた応能負担を基本として、現行基準額と変わらないものとなっております。
 今後、保育料の設定にあたりましては、本市「子ども・子育て会議」におきましてご意見をいただきながら、12月を目途に検討を進めてまいります。 また、特色ある幼児教育の提供という観点から、これまで幼稚園におきましたは、上乗せ徴収が一般的に実施されてきたところであり、新制度におきましても、この背景を踏まえ、国において、一定の範囲内で認めていくこととしております。

教育長

 「子どもの家等の課題解決に向けた財政的保障」についてのご質問にお答えいたします。
 新制度では、国の財政的支援が国庫補助金から、地域子ども・子育て支援事業を一括した交付金に移行することとなっておりますが、現時点におきましては、交付金の算定基礎等が示されていないことから、引き続き、国の動向を注視しながら財源確保に努めてまいります。
 次に、「新制度に当たっての課題について」でありますが、渡辺通子議員のご質問にお答えいたしましたとおり、事業の実施場所と指導員の確保が課題になるものと考えており、平成27年4月からの新制度開始に向けて適切に対応してまいります。
 次に、「学童保育事業と全児童対策事業を明確に区分した提供体制の確保について」でありますが、本市におきましては、全ての児童に対して、体験や交流の場を週に1回以上提供する「放課後子ども教室」と、留守家庭等の児童に対して、放課後等の安全安心な生活の場を、受益者負担を求めながら毎日提供する「子どもの家等」の2つの事業を「宮っ子ステーション事業」として実施しております。
 今後とも、それぞれの事業の役割等を明確に区分しながら、地域の教育力を効果的・効率的に活用するため、地域人材の活用等については連携を図りながら、両事業を推進してまいります。

福田議員再質問

 保育ですけれども、これは本当に大きな制度改変、今までのものを全部ひっくりかえるような大きな制度改変だと思います。数十年にわたって、幼保一元化というのがいわれてはきていましたけれども、なかなかそれぞれの目的が違うというところで、簡単にはならなかったというのは一つあるのですけれども、この制度、一つは保育の実施責任、宇都宮市に少なくても残ったと思います。それをひとつ実施責任というのを明確に位置付けていくべきだというのが一つです。それについてご答弁をお願いいたします。

子ども部長再答弁

 今回のいろんな法律改正になりましたけれども、市町村の保育の実施責任、それは残っております。我々も当然に、子どもたちが、必要な保育を受けられるように、その責任というものを感じながら仕事をしていきたいと考えております。

福田議員再質問

 そのうえで、今度の改変の中で、今までの保育所に加えて、先ほどご答弁にありましたけれども、地域型の保育所、これがおそらくこれから待機児童の解消、宇都宮市は、4月時点では数字上はないというお話でしたけれども、年度途中には、実際には、数十名、100名近い待機児が出ているわけです。それにどう対応していくかというところでは、こういった待機児童の、現実的には小規模保育を含めた地域型保育が受け皿となっていくのだと思うのですが、その点はどうでしょうか。

子ども部長再答弁

 これまで、保育所、認定こども園、そういった施設の中で、待機児童解消ということで、入所させてまいりましたけれども、今後、小規模保育ということで、19人以下の事業が新たに制度化されたということで、身近なところで、小さい施設の中でサービスを受けるという選択肢が新たに増えてきたところでありますので、今後市民の皆様からすれば、保育所、認定子ども園、さらに小規模保育とか事業所内保育とか、そういった部分が適用されるということで、そういった意味での待機児童解消の役割が受け皿として出てくるのかなと考えております。

福田議員再質問

 そこで、やはり保育の質が問題になってくると思うのです。先ほど、私は、これは、保護者の方に明確にお伝えするべきだと思っているのが、小規模保育所においては、保育士の配置基準、資格要件が、今の保育園と明確に違うわけです。保育士、既定の保育士の数のうち、半分が、資格があればいいということになると思いますけれども、それで間違いないでしょうか。

子ども部長再答弁

 小規模保育の職員の資格の問題ですけれども、小規模保育につきましても、三つの型に分類されておりまして、A型、B型、C型という形になっておりますが、A型については、分園型という形で、これはすべて本市でとなっております。C型については、小規模保育の中でも、家庭保育を延長したようなそういった部分で、これについては、保育士に準ずるというか、そういった経験を持っている人で、認定されればいいという資格になっております。今後たぶん想定される一番多い小規模保育B型という形になると思うのですが、これは保育士の資格要件として、2分の1以上ということになっておりますけれども、今回の職員の配置基準の中では、職員が認可保育所の配置基準プラス1名という、まず数として増やすというのが一つあります。それと只今申し上げましたような資格基準、これがありますけれども、これまで認可外保育所の部分については、概ね3分の1以上という中で、運営がされてまいりました。そういった部分が、今度、いわゆる認可事業として入ってきて、資格が2分の1というふうになってきますので、そういった面で、今までの部分については、質がより向上するという認識を持っております。

福田議員再質問

 今までよりも質が向上するという言い方をすると、ちょっと誤解を招いてしまうのではないかと思います。今まで認可外保育所として宇都宮市の実施責任の外にあった保育所が、今度新たに広く薄くということで、公費が入るわけです。まさに薄くなるのです。そこは、残念ながら。それで、その中で、やはり保育所とは違う資格要件になってしまうということは、それは明確に情報発信をするべきだと思います。そこでちょっと、これを見ていただきたいと思うのですけれど。私はずっと保育所の問題をとり上げてまいりました。これは2013年度の保育所内の死亡事故の調査でございます。去年は過去最高、19名のお子さんが保育所で死亡事故ということで亡くなっています。向かって右側、これは、全体の保育所に預けていただいている児童数、青いほうが認可保育所、222万人ほどいます。赤いところが、認可外で185千人。その隣、左側が件数なのですけれども全部で19名の事故があった内、この赤いところは15名、認可外で起こっているのです。そういう実態、これがやはり保育の専門性あるいは保育の質をはかる唯一の数字で見られるものかとおもっていつも使うのですけれども、こういう保育水準が全体に下がってしまって、事故の増大が心配される。保育士の専門性というのを、国の制度ですけれども、軽視していると、私は言わざるを得ない今度の新しい制度ではないかと思っていますけれども、そのへん、どうでしょうか。

子ども部長再答弁

 先ほどもご答弁申し上げましたように、認可外保育施設の資格要件っていうか、今立ち入り検査の中での要件でございますけれども、職員数の3分の1以上、3分の1ということになっておりますので、そういった部分が、今回地域型保育という形の中で、2分の1以上という部分と、先ほど申し上げました職員数として1プラスになる、そういった部分、さらに、認可事業になりますので、当然公の関与が大きくなっていくという部分で、今、議員がおっしゃいましたような部分で、事故が多いとか、そういった部分につきましても質的には改善される形になっていくのかなと考えております。

福田議員再質問

 そういうふうにおっしゃいますけれども、認可外が認可をされるというしくみになったということそのものは、いいというふうに見えるけれども、実際には、そういう保育園に預ける子ども3、それからきちっと市が保育の実施義務という法律のもとに入所するお子さんと同じ保育をする必要性があると認定されても、同じ認定された子なのに、片方は保育所でちゃんとした今までの基準で、一方では同じように認定されても、保育の水準が違うということは、私は明らかなのだと思うのです。そのへんは、きちんとご説明が必要だと思っております。新制度の本質というのは、保育をどういうふうに充実させるのかという視点から議論が始まっていないのです。残念なことに。本当に経済対策の一環としてスタートして、規制緩和を通じて新しい産業分野の形成を進めていく、それで経済の活性化とか雇用の拡大を目指してきたわけです。だから入り口にも出口にも保育とか幼児教育とかないのです。実は。そういう意味では、入り口が経済対策、出口は消費税の値上げ、こういう対策であるということを、頭に入れながら、やっぱり、子どもの権利保障ということを、守ってきたもの、そこを、きちんと宇都宮市としては守りながら、制度改変への対応にあたっていただきたいと思います。

福田議員

 次に、高齢者をめぐる問題についてのうち、介護保険制度改革への対応について伺います。
 社会保障を大変質させる医療・介護総合法が、自民・公明の賛成で可決を強行、昨日成立した医療。介護総合法は、医療・介護のこれまでの仕組みを根本から突き崩し、国民のあんしんを奪う重大な中身であることが、審議を通してますます明らかになっています。わが党の小池晃議員は、「あらゆる面で、制度の根幹をゆるがす歴史的な大改悪だ」と批判しました。この法律に対する地方議会からの異議申し立て意見書は210件を超えています。
 さて、3月議会での荒川議員のこの法案に関する質問に対し、「地域包括ケアシステムを見据え、介護予防をはじめとするサービスの充実を図るとともに、公平かつ継続した制度運営をめざしたものと受け止めている」とのご答弁でした。国会審議が進む中で、明かになってきた点も踏まえ、市長は同様な受け止めなのか伺います。
 さて、この法律では、要支援12の訪問介護・通所介護を国の責任で行う介護サービスからはずし、市町村が行う地域事業となりますが、介護保険財政からの財源には上限が設定されます。また、介護の専門職が担っている訪問介護・通所介護をNPOや、ボランティアに任せて安上がりにするという内容です。そこで、宇都宮市では、要支援12の訪問介護・通所介護サービスの縮小や打ち切り、サービスの質の低下といった事態は起こらないとみているのか、財源とサービス事業者などの受け皿は確保できる見通しはあるのか見解を伺います。
 また、特養ホームへの要介護12の入所制限についても懸念されていますが、現時点での要介護12の入所者は何人いるのか、その方たちは、退所を迫られることはないのか伺います。同じく要介護1,2の待機者は何人いますか。劣悪な条件の「お泊りディサービス」や簡易宿泊所を漂流する事態が広がる懸念を持っていますが、市長の見解を伺います。
 高齢者のための賃貸住宅あんしん入居制度について伺います。平成19年に制定された住宅セーフティネット法及び法の基本方針では、民間賃貸住宅市場において低所得者、被災者、高齢者、障がい者、子どもを育成する家庭など住宅の確保特に配慮を要するとされる人への入居制限が行われている状況に鑑み、こうした状況の要因を把握し円滑な入居の支援を推進することにより、官民による重層的かつ柔軟な住宅セーフティネットを整備する必要性が示されています。
 神戸市で創設された「こうべ賃貸住宅あんしん入居制度」は、①賃貸借契約上の連帯保証人になる「連帯保証サービス」、②利用者が死亡した場合に残存家財を片付けるサービス、②センサー等により安否確認し異常があれば駆けつけ対応をする「安否確認サービス」の3つの基本サービスを有料で提供することによって、貸主・入居者双方の不安解消に資する制度として、今年4月より具体的サービスを提供する事業者を募集しています。
運営主体となっている「こうべすまいまちづくり公社」は入居者及び貸主からの相談に応じ、制度の説明や広報・周知を行います。入居者は、民間賃貸住宅への入居時に、希望するサービス提供事業者と契約、一定額を負担の上、サービス提供をうけるというものです。
 宇都宮市でも、民間賃貸住宅の空き物件は、7000件を越えています。一方では、高齢化が進む中で、高齢者の入居について、家賃の支払い能力の有無以上に、居室内での孤独死や連帯保証人がいるかと言った不安要素よって、契約を躊躇するケースが多いのではないでしょうか。本市においてもこのような制度は、住宅ストックの活用、高齢者の住宅確保、中心市街地の定住促進にも役立つと考えますが、市長の見解を求めます。

保健福祉部長

 まず、「医療・介護総合法に対する本市の見解について」でありますが、今回の、いわゆる「医療・介護総合法」につきましては、国の「社会保障審議会」における、医療・介護の専門家や、「認知症の人と家族の会」などの利用者の代表、全国市長会長の意見のほか、全国市長会の提言などを踏まえ、今国会で成立したものであります。

 次に、「要支援者に対するサービスについて」でありますが、要支援者につきましては、引き続き、既存の介護事業者から「訪問介護」や「通所介護」のサービスが受けられることに加え、NPOや民間企業、ボランティアなどによる「簡単な買い物」や「庭の手入れ」など、多様なサービスの利用を可能とするものと示されており、「訪問介護」や「通所介護」のサービスの受け皿につきましては、既存の介護事業者により、確保できるものと考えております。
 また、財源につきましては、国におきまして「訪問介護」や「通所介護」が予防給付から移行しても、市町村が、その財源をまかなえるよう検討しており、今後、具体的な地域支援事業の財源や、サービスに係る単価などを盛り込んだ「ガイドライン」を示すとしているところでありますが、引き続き、市町村の負担が増加しないよう、市長会を通じ国に要望してまいります。

 次に、「特別養護老人ホームへの入所について」でありますが、入所検討委員会を経て特別養護老人ホームに入所いただいている方のうち、要介護1・2の方の利用者数につきましては、本年4月の実績で「129人」となっており、入所者全体の約8%となっております。これらの要介護1・2の方に対しましては、国におきまして、継続入所を可能とする経過措置を設けることとされておりますことから、現在、入所中の方につきましては、引き続き、入所いただけるものと考えております。
 また、要介護1・2の待機者につきましては、現行の「介護保険事業計画」策定時に、特別養護老人ホーム等への入所が必要な方として把握されており、その人数は18人となっております。
 なお、「特別養護老人ホームに入所できない方が増加するのではないか」につきましては、国におきまして、要介護1・2の方であっても、認知症などにより、常時、見守りや介護が必要な方などにつきまして、入所を認めることとしておりますことから、現時点では、その懸念はないものと考えております。
 今後、国におきましては、市町村が円滑に制度改正に対応できるよう、介護保険法に基づいた「ガイドライン」を示すこととしておりますことから、引き続き、国の動向を注視してまいります。

建設部長

 「高齢者のための賃貸住宅あんしん入居制度」についてのご質問にお答えいたします。
 少子・高齢化が進行する中、誰もが、安心して快適に暮らすことができる、住生活を実現することは重要であり、国におきましては、急速に進行する高齢化に対応するため「高齢者の居住の安定確保に関する法律」いわゆる「高齢者住まい法」と平成14年に制定するとともに、民間賃貸住宅における家賃滞納など、家主の不安を解消するため、「高齢者住宅財団」による「家賃債務 保障制度」を創設したところであります。
 本市におきましても、本年3月に策定の「住生活基本計画」におきましては、「安定した生活を営む住まいづくり」の実現に向け「家賃債務 保障制度の普及啓発事業」など、高齢者等、住宅確保に配慮を要する世帯の居住の安定に関する施策を掲げているところであります。
 議員ご案内の、「連帯保証」に「残存家財の片付け」と「安否確認」のサービスを加えた神戸市の事例につきましては、年間の利用見込みが数十年程度と少ないことや、民間サービスとの競合などの課題もありますが、居住の安定を確保するための一つの方策と考えられますことから、高齢者などの民間賃貸住宅への円滑な入居に向けて調査・研究してまいります。

福田議員再質問

 介護保険については、現場の実態をしっかり把握して、サービスから排除されるような人がいないように、対応していただきたいと申しあげて次の質問に移りたいと思います。

福田議員

 次に消費生活相談員の正規雇用化について伺います。
 消費生活センターは、消費者に最も身近で専門的な相談窓口であり、交渉等による迅速な消費者被害の回復や、消費者への情報発信、消費者教育の実施等の業務を行い、消費者の権利の実現に重要な役割を果たしています。そこで、主な業務を行っているのが消費生活相談員です。
 近年では消費者被害は、複雑化・巧妙化し、相談員は随時、専門的な知識・情報の習得に努めなければなりません。また、相談者からの聴取・助言や事業者とのあっ旋交渉などにおいては、様々な技能の習得は不可欠であり、実務経験の積み重ねによって習得できるものです。
 消費者庁においても2012年7月の「地方消費者行政の充実・強化のための指針」によれば「任用回数の制限に関しては、知識とともに経験にも裏打ちされた消費生活相談員を失うことになり、自治体にとっても損失であることに留意する必要があります」とあり、また、全国消費生活相談員協会の実態調査によれば、雇い止めがあると言う自治体は21,9%で、ない自治体が圧倒的になっています。
 宇都宮市では、非常勤嘱託員としての雇用で任用回数にも制限を設けていますが、正規雇用化して雇用の安定化を図ることは、市民の利益にかなうことと考えます。また、少なくとも再任用に回数制限を設けないなど、安定的継続的な雇用のための検討を早急に行うべきと考えますが市長の見解を求めます。

市民まちづくり部長

 本市の消費生活相談員は、消費生活や多重債務などに係る相談に、迅速かつ的確に対応するため、独立法人 国民生活センターが認定する「消費生活専門相談員」などの資格を有するものを任用しており、年間約4,500件の消費生活相談への対応はもとより、自治会や老人クラブなどの、「出前講座」の講師、地区市民センター等で実施する「出張相談」などに従事しており、消費者の安全・安心の確保に大変重要な役割を果たしていると考えております。
 議員ご質問の「消費生活相談員の正規雇用化」についてでありますが、本市の執行体制の整備にあたりましては、業務のすみ分けを図りながら、正規職員につきましては、政策立案や事業内容の決定などを担い、特定の専門的な知識・経験や資格を要する業務などにおきましては、非常勤嘱託員を活用しております。
 このことから、消費生活相談員につきましては、専門性と高い知識・技術を必要とし、相談内容の高度化・複雑化などに対応するため、非常勤嘱託員としているところであります。
 また、消費生活相談員を含めた非常勤嘱託員の任用につきましては、櫻井議員のご質問にお答えいたしましたとおり、人材の新陳代謝を行いつつ、専門性を高めることができる手法を検討しながら、より一層市民サービスの向上を図る体制を確保してまいります。

福田議員再質問

 1点だけ伺います。25年度末に雇い止めになった消費生活相談員の嘱託員は何年間勤めた方でしょうか。そして現在何名体制か、それだけ教えていただきたいと思います。市民のこういった専門家は、専門性の高い人たちは、市民の財産だと思いますので、そのへんだけお答えいただきたいと思います。

市民まちづくり部長再答弁

 25年度、任用5年の上限によりまして、任用が終わった嘱託員の方は3名いらっしゃいまして、そのうち県に1名、下野市に1名再就職をされております。勤続年数につきましては、手元に正確な数字はございませんが、5年から8年の間と記憶しております。




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