2014.3.24
福田くみ子議員
私は、日本共産党を代表して議案第19号および20号に反対する立場から討論を行います。
まず、議案第19号に反対す理由を述べます。
地方自治の目的は住民福祉の向上にあることは言うまでもありません。地方自治の本旨とは、地域住民の意思によって行われる住民自治と、国から独立した地域社会自らの団体によって行う団体自治と言われています。地方自治体の役目は、国が悪政を行えば国の悪政から住民を守ることもしなければなりません。そのような観点から、本市の新年度予算を見たとき残念ながら合格点はつけられないとの結論に達しました。
具体的にその理由を述べてまいります。
第1に、本市の新年度予算は、今年4月からの消費税増税を前提として@すべての使用料・手数料を引き上げる提案となっています。A消費税法第60条第6項では、自治体が一般会計に係る業務として行う事業については、「課税標準にたいする消費税額と控除することができる消費税類とを同額とみなす」ことによって、結果的に、納税額が発生しない仕組みとしています。Bつまり、一般会計にかかる公共料金の消費税をかけなくても良いのです。C中核市41市の中でも11市が消費税にかかる値上げを見送っています。この点では、一般会計から繰り入れを行うすべての特別会計と企業会計についても認めるわけにはいかないのが我が党の立場であることを申し上げておきたいと思います。
消費税8%への増税と社会保障の負担増で、10兆円もの所得が国民のふところから奪われることになります。円安による原材料費の高騰で中小企業は痛めつけられ、生活必需品の値上げが家計を襲っています。一部の大企業のべースアップを大々的に報じていますが、労働者の所定内給与は20カ月以上連続で減少、年金も減り続けています。70歳から74歳の医療費自己負担の1割から2割への引き上げ、生活保護の第2弾の削減も待ち構えています。
現時点での消費税増税は、くらしに大打撃を与え、経済を壊し、財政も共倒れで破綻することが目に見えています。
そのような中での市の使用料や手数料の一斉値上げは、なんでも国の言いなりで住民の福祉とくらしを守る地方自治体としての役目を投げ捨てる、くらし破壊予算であることを指摘します。
第2番目に不要不急の無駄遣いを指摘します。その最たるものは、民意を得ないまま強引に進めるLRT建設関連予算です。計上されている10億2500万円余の中身は、交通実態調査、環境影響調査、地域公共交通総合連携計画等の策定、そして測量・設計業務委託、さらには市民理解促進のためのオープンハウス・シンポジュウムの開催、パンフレットの作成などの経費です。測量や設計業務委託費の予算7億6,114万円は、紛れも無く建設費です。これらの予算は、公表されているLRT建設の総額383億円には含まれていません。事業費を小さく見せようとするこのような出し方は、市民を愚弄するものにほかなりません。
そのほかにも、みずほの通りやスマートインターチェンジなど不要不急で必要以上に立派な道路建設、事業者に丸投げの都市ブランド戦略、民間事業の範疇であるマンション建設中心の再開発事業やジャパンカップロードレース事業、費用対効果が疑問の若年夫婦・子育て世帯への家賃補助、持ち家取得への補助は、不要不急の無駄な事業であると指摘します。
第3に市民の切実な願いは、盛り込まれているか。市長は、福祉の最大化と言いますが、私に言わせれば守るべきところを守らない福祉切り捨て・暮らし破壊予算です。
国保への一般会計からの繰り入れは、あと7億円と悲鳴の上がっている保険税の値上げはせずにすみます。
子育てや教育は、最も重要な将来への投資です。サービスの質の低下につながりかねない公立保育園や図書館の民営化、小中学校・保育園の給食の民間委託はやめ、子どもの家の運営は直営にすべきです。婚姻歴のあるなしで差別を受けているひとり親世帯の保育料の減免は、対象世帯は60世帯、わずか270万円で実現できます。生活保護基準の引き下げは、全国的な比較でも低い水準の本市の就学援助率をさらに引き下げるものです。子ども医療費の中学生までの現物給付は、多くの子育て世代の願いであり、もはや近隣市町の常識です。明日にも巨大地震が襲ってくるかもしれない時代、小中学校、保育園の耐震化は、最優先で100%まで進めるべきです。
生活保護のケースワーカーを国基準並みに配置するには、あと10名以上必要です。教職員も更新5年までの非正規雇用では、専門性も経験も積むことができません。指導助手・学校図書館司書は、段階的にでも正規化すべきです。
地球温暖化対策、ごみを減らす取り組みにも本気度は感じられません。これらの施策は、50万都市宇都宮の財政力をもってすれば、可能です。
以上、具体的に事業名を挙げながら反対の理由を述べてまいりました。今回の討論で、私がもっとも声を大にしていいたいのは、市長も議員も選挙によって選ばれたからと言ってすべてを白紙委任されたわけではないと言うことです。市民協働のまちづくりは、常に市民の声に真摯に耳を傾けるところから始まります。民意なきLRT予算の執行は、市民との信頼関係を大きく損なうものであることを指摘いたしまして、議案第19号の反対の理由とします。
次に議案第20号国保特別会計予算について反対の理由を述べます。
まず第1に、消費税増税のこの時期に平均で6.2%もの国保税の増税は、暮らし破壊・いのち軽視の極みであり認められません。保険税据え置きのためには、第一義的には、国庫負担率を1984年時点までもどすこと、やむをえない措置としては、市の一般会計から不足分約7億円を繰り入れることです。何より命を守ることを最優先とする市政にすべきです。
第2に、新年度予算は、収納率、現年度分で87%過年度分も含むと73,1%と見込んだ予算編成となっており、ほかの市税と比べ極端に低い収納率を前提として組まれています。このような予算の組み方は、払いきれないほど高い税率を招き、さらに滞納が増えるという悪循環を生みだす大元となっています。保険者である市には、この悪循環を断ち切る知恵と決断が必要です。そこが決定的に不足しています。
第3に、本市は国保の社会保障としての役割をきちんと認識し、国の責任を正面から訴え、国庫負担金の増額を強く求めるべきです。
そもそも国保は、国民皆保険制度を下支える社会保障です。国民の約4割が加入し、構成も農業者や個人事業主ばかりではなく、失業者・無業者、高齢者、本来は社会保険や協会健保の非正規雇用の人も、国保が引き受けます。低所得者層が多いのは、「構造的な問題」ではなく、国保の必然的な姿なのです。国保財政の行き詰まりを、相互扶助ばかりを強調し安易な「国保税引き上げ」と「滞納対策」に力点をおいた目先の対策では、国保財政はますます矛盾を深め、国民皆保険制度そのものが瓦解してしまうでしょう。だからこそ、国の責任を明確にすべきなのです。