2014.3.24
荒川つねお議員 「議員定数 現行47人から45人に削減する議員案」に反対の討論
私は、市議会日本共産党を代表して、ただ今議題となっている議員案第1号、宇都宮市議会議員定数条例の一部改正、即ち現行定数47人を45人に削減することについて、反対の討論を行います。
議員定数の見直しについては、この間、議会制度検討会議において、議論・検討されてきました。その過程において、各会派の意見が分かれるもとで会長案の提示がありました。
その提示にあたっては、4点の「考慮した事項」が述べられていました。
1点目は、地方分権の進展に伴い、地方議会と議員の役割は重要度を増してきているなか、市民の期待に応える議会活動を行うには、自治体規模に見合う報酬や定数を確保することが必要であること。
2点目は、本市の財政状況は、依然として厳しい状況ではあるが、平成24年度決算における他の中核市との財政指標の比較では、経済収支比率を除くと、いずれも上位に位置していること。
3点目に、本市の平成25年度一般会計に占める議会費の割合は、0.57%であり、中核市では中位に位置していること。
4点目に、議会費の削減については、これまでも政務活動費の削減や本会議出席費用弁償の廃止などに取り組んできていること等、以上4点をあげ、「議員定数については、現在の定数とする」と提案していました。
そして、その考え方として、
第1に、中核市における本市を含めた人口50万人以上の6市の平均が46.8人であることを勘案すると、現在の47人は妥当であること。
第2に、近年の本市議会の議員定数の推移を見ると、平成19年3月の市町合併による人口が50万人を超え、当時の法定上限数が56人となるところを50人とし(合併前45人)、その後も、他市の状況等を勘案し、平成23年4月の改選時からは47人に減員するなど、これまでも一定の削減努力をしてきていることを挙げています。
私は、この会長案について、その考慮した事項や考え方は、概ね妥当なものと考えます。
しかし、議会制度検討会議では、その後、定数削減を主張する会派との妥協が図られ、今回の定数削減となりました。
市議会日本共産党は、このような数合わせの妥協にくみすることはできません。
その上に立って、今回の議員定数削減の提案について、3点にしぼり反対の理由を述べます。
まず第1点は、議員定数のさらなる削減は、市民要求の実現とくらしを守るための、市民と市政を結ぶパイプ役としての議会の重要な役割と機能の弱体化につながるということです。
第2点として、議員定数削減を「議会も身を切る必要」など、執行部の行政改革的発想からの、まことしやかな声もありますが、これは、二元代表制の一翼を担う議会人としては、自己否定につながるものであり、これまでのたび重なる議会研修からもすでにこの発想は破産済みであります。
いま、議会のもう一つの重要な役割である市政のチェック、監視機能をもっと強めることこそ求められており、定数削減で監視機能を弱めることを市民は望んでいません。
議会には、東日本大震災や原発事故を受けて、また、人口減少時代の中で、日本の経済・財政危機のもと、51万市民の幸せと安心・安全の行政運営をしっかりチェックする責任が問われます。まして、LRT JR宇都宮駅東側建設推進については、最も有効なBRTを退けて、代表質問でも指摘したように、わずか4,480人の需要のために数百億円もの血税を注ぎ込む、地方自治法第2条14項、「地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」とは真逆の壮大なムダづかいが強行されようとしている本市においてはなおさらのことです。
まして、定数削減によって議員の力量が向上するわけではない事を考えても、今回の定数削減は、市民の利益に反することになると私は胸を張って市民の皆さんにも訴えるものであります。
第3点は、本市は河内町、上河内町との合併により、合併前は81人だった議員定数が、現在は47人(欠員3人)となりました。旧河内町在住の議員はわずか2人、旧上河内町在住の議員は1人のみとなっています。
地域住民からは、議員が減り、地域の問題や要望を市に届ける力が弱まったのでは?その分、地域の各役員の負担も増えている。との声もあります。旧2町に限らず、地域の諸課題・諸要求を丁寧に市政に届ける仕組みを保障する上でも、定数削減は、地域の願いに逆行するものとなってしまうのではないでしょうか。
以上の点から、いま、宇都宮市議会が取り組むべきことは、憲法に保障された地方自治の理念に基づき、本市の自治基本条例、本議会でも制定した議会基本条例のもと、市民の要請と期待に応える議会改革に、議員一丸となってさらに一層の努力を傾注し、二元代表制に基づく役割をいかんなく発揮できる議会を実現することにあると思いますが、議員の皆さんいかがでしょうか。
よって、議員定数削減は、結果として議会の役割と機能を弱め、市民の利益に反することになるということを訴えて討論を終ります。