2014.1.27

LRT(次世代型路面電車)導入の賛否を問う住民投票条例制定請求を審議する臨時議会
執行部質疑


市議会日本共産党の荒川恒男です。

 発言通告に基づき、議案第1号について質疑を行います。

 1点目は、宇都宮市自治基本条例と市長意見の位置づけ、関連についてです。

 市長意見については、不明確な点、問題点は様々でありますが、最も見過ごすことができない点は、一言も市自治基本条例に触れることなく沈黙していることです。

 佐藤市長は、自ら提案し、議会も全員一致で制定した、本市の市政と自治の憲法と言うべき自治基本条例を無視し、遵守の立場を怠っているのはなぜか、まず伺います。

 2点目は、市長意見による二元代表制のとらえ方について伺います。

 市長は、LRT推進について、二元代表制のもと、これまで執行部と議会との間で、長年にわたり、議論を重ねながら進められてきたと述べています。

 しかし、本当に、執行部と対等・平等・独立・政策立案・形成過程からの議論を重ねてきたでしょうか。例えば直近のことでは、LRT JR宇都宮駅東側の優先的整備、芳賀町への延伸、市長のLRT18年にも開業発言、どれもこれも、私達議員には寝耳に水の方針をぶち上げ、大分遅れて、議会には事後報告、口では、二元代表制などと言っていますが、実際の姿は議会軽視ではないのか、伺います。

 3点目は、市長意見によるLRT事業費の考え方について伺います。

この期に及んでも、事業費について、383億円と市民に小さく見せようとしていると思うが、いかがでしょうか。既に、車両費の126千万円の増額は明らかになっていますが、推定できる全ての事業費規模、関連する都市開発整備事業費、消費税大増税と建設資材高騰と分等、LRTに関わる事業費は、何百億円までふくらむのか。市民にその実像を明らかにしなければ、市長意見は不十分と考えるがいかがか。

 4点目に、「住民投票は適切でない、必要でない」というのが、市長意見です。一方、埼玉県北本市では、市が30年前から新駅建設を構想、積極推進の石津市長は、市民に建設の是非を問いたいと自ら住民投票条例案を議会に提出、議会可決で昨年12月に実施されました。その結果、市民は多額費用負担を受け入れない意思を示しました。石津市長は、1票でも多いほうに従うと、新駅設置計画を白紙に戻しました。そこで、事業計画等の単純比較ではなく、佐藤市長意見と北本石津市長の、住民投票にみる政治姿勢の相違は何なのか、うかがいます。

 第5に、市長意見による市長選挙の結果のとらえ方についてですが、とちぎテレビ・栃木放送合同出口調査をもとに、福田くみ子議員がまとめました数字では、佐藤市長の得票数100,858票の内、賛成、どちらかと言えば賛成は67,575人、これは41万有権者の16.47%にしか過ぎません。反対の人も33,283人が佐藤市長に投票しています。これが今の民意の具体的な表れだと思いますけれども、この出口調査の結果を市長は認めるのかどうか。この点について伺います。

 

佐藤市長答弁

 まず自治基本条例と意見についてでありますが、宇都宮市自治基本条例におきましては、「市は市政に係る、特に重要な事項について、直接に住民の意思を確認する必要があると認める時は住民投票を実施する」と規定しております。本件につきましては、意見書にありますとおり、これまでの市民の皆様への丁寧な説明や、議会と十分に議論を積み重ねてきた経緯、さらには平成24年の市長選挙におきまして、「LRTを中心とした公共交通ネットワークの構築」について訴え、その結果、多くの市民の皆様から市政運営に対する負託をいただきましたことを踏まえますと、私といたしましては、LRT事業につきましては、住民投票を行うことなく、議会と執行部との間で十分に議論をし、進めていくことが適切であると考えております。

 次に二元代表制のとらえ方についてでありますが、私は議会とともに市政における車の両輪としてお互いに独立・対等の立場で、緊張関係を保ちながら、公正な市政運営を行っていく二元代表制による市政運営が重要であるとの考えのもと、市議会の皆様とともに公正な市政運営を行ってきたところであります。本件につきましても、意見書にありますとおり、議会と執行部との間で、長年にわたり議論を重ねながら進めてきたものであります。今後とも市民理解の促進に努めるとともに、市議会のご意見も十分に伺いながら、LRTの導入に全力で取り組んでまいります。

 次にLRT事業費の考え方についてでありますが、LRT事業費につきましては、これまでの検討におきまして、桜通り十文字付近からテクノポリスセンター地区までの東西15km区間の概算の事業費といたしまして約383億円と試算をしているところでありますが、今年度におきましては、現在進めております各種調査におきまして、芳賀町への延伸区間を含め、導入ルート、需要予測、運行計画、施設計画等の事業計画の見直しを行っているところであり、今後、これらの結果を踏まえまして、事業費の精査を行うとともに、できる限り、国庫補助金など、特定財源の確保に努めてまいります。

 次に、「政治姿勢の相違について」でありますが、「住民投票が適切か」の判断につきましては、それぞれの自治体における事業の内容や背景など、取り巻く状況により、異なるものであると考えております。

 次に、「市長選結果のとらえ方について」でありますが、平成2411月に執行されました市長選挙におきまして、「地域内交通・バス路線・LRTによる公共交通が網羅されたまちづくり」につきまして、多くの皆様に訴え、市民の皆様から、市政運営に対する負託を頂けたものと重く受け止めており、LRTを中心とした公共交通ネットワークの実現は、私に負託された責務として、全力で取り組んでまいります。 

 

荒川議員再質疑

 今の市長の答弁によりますと、宇都宮市の自治基本条例、これについて無視しているのかそれとも、遵守を怠っているのか、このことについてもまともに触れない、こういうことであります。先ほど言いましたように、埼玉県の北本市の石津市長は、私は、素晴らしい勇気ある決断をしたのではないか。最もこの問題で重要だと思っているのは、市長の英断により為された住民投票を通じて、北本市民が投票結果に一喜一憂するだけではなくて、自分の意思が尊重され、権利を実感でき、さらに責務を負うことを認識できた。まさにこれが宇都宮市の自治基本条例で掲げている内容そのものではないかと思うのです。このところについて市長はこの宇都宮自治基本条例を作った立場にあって、どのようにとらえているのですか。

 

市長 

 自治基本条例については議会のご理解をいただきながら制定をいたしました。これからも市としては、大変重要な条例であると考えておりますし、これをしっかりと尊重することに変わりはございません。

 

荒川議員再質疑

 自治基本条例については尊重して行っていくということでありますが、更に質疑をしたいと思うのですけれども、言うまでもないことでありますが、宇都宮市の自治基本条例は3条で、市民自らの責任及び判断に基いて市政に参画をする。そういう市民自治を基本理念として定めています。第4条では市民の権利として、「市民は市政に参画する権利を有する」、こういうことをうたっております。第6条では、市政運営の基本原則として、市民意思の尊重をうたっています。

 市長はこれまで、いろいろな市民に対して「説明をした・説明をした」と言っておりますけれども、これにもたくさんのお金を使ってきました。それでは、そういう説明をして、その結果として、これは費用対効果の面にも関係すると思うのですが、そういうお金を使って、市民は、このLRTの問題に対して、その是非について、どういう態度を示したという検証は行ったのですか。市民意思の把握は行ったのですか。しているのか、していないのか、お聞きをしたいと思います。

 

市長

 どの様に図ってきたのかということでありますけれども、先ほど申し上げた市長選挙、そしてその後のアンケート調査、また各説明会でのご意見をいただきまして、市以外の機関が、行ったアンケート調査、そういったものを取り込んでおります。

 

荒川議員再質疑

 もう一度お聞きしますが、ここまで、LRTについては十数年間、宇都宮市の最も大事な一つの施策として進めてきているのだと思いますけれども、そういう中で、民意の把握で、今進めているLRTについての是非についての市民の民意の把握は行ったのですか。そういう調査をやったのですか。

 

市長

 先ほど申し上げたとおり、選挙でも公約に掲げ、最大の争点としてご判断をいただいたものと考えております。

 

荒川議員再質疑

 先ほど言いましたように、市長選挙は、市長に投票して「賛成」と言った、負託をされたという数字は16.47%の市民です。そういう点では、ここまでいろいろなお金をかけて、様々な説明や何かをしてきたのですから、その効果をきちんと市民に示すのが、これは市長の政治責任です。そういう中で、実際には、具体的には先ほど言った、出口調査に基づく唯一客観的な数字は16.47%。それ以外の市民意思の把握はしておりません。こういうことになると、市民意思を尊重した市政執行は成り立たないのではないか、市民意思の把握なしに。なぜLRTの是非を問い、そういう中で市政執行を行うということにならないのですか。またそれと同時に、市政の主権者たる市民に、LRTの是非についての選択の権利は、住民投票なくして、どのように市民に保障しようとしているのですか。この2点について伺います。

 

市長

 まず1点目の再質疑でございますが、選挙で負託をいただいたということ、これを尊重してまいりたいと考えております。また、これからも、市民の皆様方に説明を繰り返していくことは当たり前でありますが、合わせて、市民の負託を受けていらっしゃる議会の皆様方にも十分説明をしながら、議会と協議をしながら進めてまいりたいと考えております。

 2つ目については、市民の皆様方には、これからも説明を丁寧に繰り返しながら、変更点についても、その都度・その都度説明をしてまいりたいと考えております。

 

荒川議員再質疑

 これまでの質疑に対する市長の答弁はいずれも、宇都宮市の自治基本条例に全部背を向けているのです。ですからこういう中で、市長選の結果だけを言っても、これは自治基本条例を守っているとは言えないと思うのです。例えば二元代表制で議論を重ねてやっているからと言って、逆に100歩譲って、それを認めたとしても、しかし自治基本条例では、そういう中で二元代表制、議会の補完機能として、住民投票を第15条で位置づけているのです。つまり、市長の言っていることは、この第15条についても無視をする。こういうことになるのではないですか。なぜ、二元代表制の議会を補完する、自ら決めた住民投票という第15条を、これを無視をするのですか。お答え願いたいと思うのです。

 

市長

 議会制民主主義、二元代表制を補完するものとしてということでありますけれども、それは当然のことだと思いますが、先ほど私は、私の意見として、申し上げたとおり、このLRTを中心とする公共交通の構築については、私は先ほどのお話の通り、私は選挙あるいはその後の説明会あるいは、議会との協議、そういったものを踏まえますと、この案件については、必要ないと考えております。

 

荒川議員再質疑

 大変残念な市長の答弁でありますが、自治基本条例がやはり今度のこの住民からの直接請求の住民投票との関係では、これをキーワードとして、この問題はきちんととらえていくと、このことが必要ですし、自治基本条例をきちんと守って、その立場で市政も議会も行っていく、こういうことを宇都宮市の自治基本条例はうたっているのではないかと思うのです。そういう点では市民の意思の把握をしないで、市民の意思を尊重した市政と、そういうことではないのだよというのが、宇都宮市の自治基本条例ではないのかと、そして、主権者たる市民に、LRTの是非についての選択の権利を、これを委ねないで、市民自治は絶対にないと思うが、本当にこのへんのところがわからないのですか。もう一回お尋ねします。

 

市長

 今後とも市民が参加する機会あるいは、意見が尊重される機会、そういったものを十分に大切にしながら、もちろん、議会とおはかりしながら、進めてまいりたいと思いますし、この住民投票については、先ほど申し上げたとおり、私の考えとしては、必要ないものと考えております。

 

荒川議員

 市長の考えは、住民投票は必要ないというのは意見書でわかっています。ですからそのことの関係では、市長自ら決めた自治基本条例との関係で、本当に宇都宮市長の言っている三つのことが、この自治基本条例に照らして適正なのですかと、本当にそれが正しいのですか、ここのところを私は今日の質疑の中ではどうしても市長に再考をお願いしたいと思っているところであります。いずれにしても市民の民意の把握なしに市政の執行はありませんので、ぜひともここまできたらばもうLRTの是非については賛成か反対か、ここのところの市民の民意はきちんと問うことを、お願いをしまして質疑を終わります。



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