2013.6.28

荒川つねお議員の
「年金
2.5%の削減中止を求める陳情の不採択に反対の討論」「LRT建設の是非を問う住民投票の実施に関する陳情の不採択に反対の討論」

 私は、市議会日本共産党を代表して、只今議題となっている陳情第37号、年金2.5%の削減中止を求める陳情、同じく第40号、LRT建設の是非を問う住民投票の実施に関する陳情の不採択に反対の討論を行います。

 まず、陳情37号についてです。

 今年の10月から3年間で、年金を2.5%切り下げる法律が昨年11月、国会解散のどさくさの中で成立しました。

 高齢者の42%、女性は65%が年収100万円未満です。医療・介護保険料や税金が上がり続け、消費税も上げられようとしている時、さらに年金が減らされれば、生活できない高齢者がいっそう増えることになります。例えば、年金10万円、75歳以上の場合、2015年には毎月の年金目減り額は8000円にもなると試算されています。しかも、これだけでは年金削減は止まりません。2.5%切り下げの翌年からは「デフレ下でのマクロ経済スライド」と言う制度により、毎年0.9%以上、短くとも10年先までには下げ続けることが計画されています。

 ここに、全日本年金者組合女性部による女性高齢者の生活実態調査に寄せられた声があります。「旅行や欲しいものなどをあきらめて潤いのない生活をしている」「もう少し先で大変になる前に尊厳死を選びたい」「貯金を取り崩して何とかやっているが、近々それが出来なくなる状況。この先が心配」「もし、夫が先に亡くなったら、収入が減り生きてゆけない」「夫がやっと老健施設に入れたが、利用料が夫の年金では足りない」「子どもに迷惑をかけたくない。子どもは自分の生活で精一杯だから」年金削減は、高齢者のくらしをますます窮屈に追い込む、暮らしを壊す暴挙以外の何ものでもありません。

 しかも、これは、高齢者だけの問題ではありません。若者こそ被害者、これからの年金受給者にはもっと大きな被害が襲います。支給額が年々減らされている上に、マクロの発動、支給開始年齢の引き上げ、しかも非正規労働者が増え、年金の計算基礎になる賃金も下がるばかり。これで、若者もお先真っ暗です。

 いま、国政ではアベノミクスのもとで、株価は乱高下、金利は上昇。早くもアベノミクスの破綻がハッキリしてきました。「働く者の首切り自由」「残業代ゼロ」を国民に押し付け、若者を使い捨てにする「ブラック企業」を日本中にはびこらせる「成長戦略」その上、家計に増税、企業はダブル減税。アベノミクスで潤うのは大企業と大金持ちだけの構図もはっきり見えて来ました。こうしたもとで、真っ先にしわ寄せが来るのが年金暮らしの高齢者です。

 さて、本市議会では、昨年3月議会において、同趣旨の陳情を採択し、国に意見書を送りました。今回は、法律が通ったのだから、高齢者は年金切り下げをがまんしろと言うのですか。市議会日本共産党はの私達は、そんなことはとても言えません。「年金2.5%もの切り下げは異議あり、中止せよ」の声を陳情者、高齢者とともに国に向かって上げるものです。心ある議員の皆さんのご賛同、宜しくお願いします。

 次に、LRT建設の是非を問う住民投票の実施に関する陳情について、不採択に反対の理由を述べます。

 第1点は、今回の市民の皆さん方の陳情趣旨には大義があるからです。

 現在、佐藤市長が強行しているLRT導入、とりわけその手法について、まともに検証する議員であるならば、また、周囲の市民の声に良く耳を傾けている議員であるならば、LRT賛成・慎重・反対の立場こそ違い、このまま、LRTありきで強引に突き進むことを良しとする確信など誰も持ち合わせていないと考えるがいかがでしょうか。

 2点目は、今回の陳情は「LRT先にありき」に対する市政の主人公である市民の勇気ある告発であることです。

 その背景にあるのは、現在推進しているLRT導入について、等身大のリアルな市民への説明責任が欠如していることです。この間、LRT万能論、バラ色宣伝が数億円の市税を費やして行われてきましたが、そのどこにも宇都宮の都市建設との関わりは希薄です、

 市の東西に一直線に一本、LRTを通しただけで、宇都宮のまちづくりがどうなると言うのか。市街地が膨張し、市中心部にも限界集落が次々と出現し、交通不便地域も生まれているもとで、コンパクトシティづくりにどんな青写真があると言うのか。現計画では、およそ、LRTに縁のない圧倒的多くの市民に、LRT推進のどの様なメリットを提供するつもりなのか。駅東地区を先行整備すると言うが、少なくとも260億円以上もかけるLRTでなくてはなぜだめなのか。優良な農地をつぶして住宅開発業者に奉仕する沿線開発に手をつけるのか、つけないのか。北関東有数の3000戸もある清原台団地をなぜ通すコースとしないのか。LRT導入による渋滞の見通し、バス利用者の乗り換え負担、市中心部への車の乗り入れ規制はどうなるのか。市長は約100億の市負担は、市財政規模から見れば身の丈だと豪語しているが、くらしや福祉、医療、教育などの施策は、その身の丈に合う施策展開をやろうとはしていないのではないのか。等々、こうした市民の疑問に丁寧に、明確に答えることこそ先にありきであります。

 また市民は、LRT路線沿いだけが、再開発やモール化等で都市の見栄えが良くなる導入効果に目を奪われるほど、単純でも愚かでもありません。まして、それが道州制の州都につながるなどとの、はかない夢物語にひたってもいません。宇都宮全体のまちづくりに最低でも383億円、関連工事を含めれば、何百億円になるかもわからない現在のLRT導入の費用対効果を明確に示すことを求めていると思うわけです。

 3点目に、市長が現LRT導入の取り組みを加速し、このまま押し通すことは許されません。その前に、市民の陳情を待つまでもなく、住民投票で市民の民意を問うべきです。

 その点では、荒川副市長が佐藤市長に招かれ、国交省からの着任は少し早すぎました。市民のために働くのが副市長です。LRT導入推進の強行のために働く前に、現在のLRT計画に対する市民の民意をしっかりくみとる所から仕事を始めてもらいたい。

 佐藤市長は、市政を担う上での最高のルールである宇都宮市自治基本条例を提案し、議会も全会一致で制定しました。住民自治の花開く市政、議会制民主主義に則って、市民意思の尊重は何よりも瞳のように大切なことであり、LRTに賛成・反対の立場を超えて厳守しなければなりません。ですから、たとえ、今回、この陳情が不採択となっても、市民のまっとうな声をふさぐことはできません。今度は、さらに大きな住民投票を求める市民の声が次々と湧き起こることでしょう。

 以上の点から、この陳情第40号は採択すべきは「今、今でしょう」と議員各位に訴えて私の討論を終ります。


議会ホームへ