2013.3.22 
福田くみ子議員の討論


日本共産党を代表して、議案第18H25年度宇都宮市一般会計予算に反対する討論を行います。

予算編成の基本的な考え方について市長は、「本市が長期にわたり、持続的に発展し、5年後の市民の幸せ、100年後の都市の繁栄を実現していくためには、自主的・自立的な行財政運営を進めながら、限りある行政経営資源で、都市の活力を高めるとともに、市民福祉の最大化を図る必要がある」と述べておられます。

その具体化の1つが、住民合意もなく、論議も不十分なLRTの導入であるならば、もっと先にやることがあるのではないでしょうか。住民自治をないがしろにした、LRT推進の予算は、認められません。住民自治とは、「その地方の行政がその地方の住民の意思と責任に基づいて処理されること」です。市長選挙では、すべての政策について佐藤市長に白紙委任されたわけではありません。住民に身近で、やり直しが困難、しかも巨額の税金が投入されるLRT導入には、慎重でなければなりません。ましてや、それ以外の選択肢も示されている中では、多くの市民の理解と納得が得られるよう慎重な検討を行うべきです。予算に反対の理由の第1は、ここにあります。

2に、教育・子育て予算への充当率を大幅に引き上げるべきです。宇都宮市の新年度一般会計予算は、1,804億円、前倒し分を含めた15ヶ月予算は、過去最大の1,857億円となります。学校の耐震化が、これによって大きく進むことは大歓迎です。

 しかし、経済対策の「3本の矢」のひとつである公共事業の前倒しの中には、不要不急のものも多く含まれており、現在の経済状況と宇都宮市の財政状況、市民要求に照らして妥当とは言えません。

今切実に求められているのは、9,9%と低い教育予算充当率を引き上げ、要望の高い保育や子育て分野の予算を、もっと思い切って増やすことです。都市間競争に勝つというならば、そして、「5年後の市民の幸せ、100年後の都市の繁栄」を標榜するならば、将来への投資であるこれらの分野でこそ打って出るべきです。

3に、行過ぎた行革路線の推進による職員定数削減や、外部委託化は放置できません。H14年度からH24年までの10年間で、一般職員が約11%、418人削減されました。これは、官製ワーキングプアを増やすばかりか、正規職員への過度な負担となっています。それは、メンタル不調による長期病休者の急増に顕著に示されています。9年前のH15年には0,51%、19人だったのに対し、H24年度は、2月末現在ですでに58名、1,71%で、率にして約335倍に、増えていることを直視すべきです。

このような中で、H25年度は前年比で一般職員が30名、臨時職員は213名、短時間・短期間の非常勤嘱託員では、緊急雇用創出事業が無くなるとはいえ、664人も削減されることになっています。

国基準に満たない生活保護ケースワーカー、消防職員などの不充分な職員配置は放置されたままです。

教員の非正規雇用の割合は、約20%にのぼり異常です。必要性があって配置された指導助手、学校図書館司書が、年収200万そこそこの低賃金と、5年ぽっきりでで使い捨てでは、人材を埋もれさせてしまうばかりか、官製ワーキングプアを大量に生みだしています。

また、コスト最優先の外部委託化、とりわけ教育・保育の一環である小中学校および保育所の給食調理業務民間委託化、すべての市民の学習を保障する機関である南図書館管理運営業務の指定管理者への委託はやめて、直営にすべきです。

改革とは名ばかりのゆきすぎた人員削減や非正規化、外部委託化は、公務労働者の心と体の健康を蝕み、働き甲斐を奪い、結果として住民福祉の水準を低下させるものと考えます。

第4に、防災予算の不十分さです。3.11東日本大震災から2年、いまだに32万人もの人々が避難生活を強いられています。この間に見直された地域防災計画は、被災者数で27000人から47000人へと大きく変更されました。議会としても、特別委員会を設置し議論を重ね、提言書をまとめました。その中で大災害時には、「地域の防災力の向上」が重要であることが強調され、防災リーダーの育成や自主防災会の充実強化が盛り込まれました。これらが、新年度予算には反映されていません。

また、想定避難者数が1,74倍になったのにこれに見合った、飲料水兼用耐震性貯水槽など飲料水確保の具体的な道筋も見えてきません。

さらに、いざという時救援活動の中核を担うのはなんと言っても消防職員です。消防力整備指針に基づく充足率は77%で、100%に近づける方針すら持たない、何のための基準なのか。命と暮らしを守るための精一杯の予算とは言えません。

第4に、住民の切実な願いがどれだけ予算に反映されているのか。地方自治体のもっとも大切な仕事は、住民福祉の向上にあります。この点で、特養ホームの1000名を超える待機者に対し、新年度の増設計画は、地域密着型も含め119床に過ぎません。

こども医療費無料化の中学3年生までの拡充は、すでに県内に広がり、県都宇都宮が遅れをとっています。市民の健康を守る施策は、積極的なほど、医療費の抑制効果が見込めます。そんな中で高齢者肺炎球菌ワクチン接種費の助成に踏み切ったことは、大いに評価するところです。しかし、予防活動に取り組む地域の保健師の不足や、特定検診やがん検診の受診率アップなど予防医療に本気で取り組む予算とはなっていません。

就学援助費の拡充、生活交通の確保、高齢者の外出支援拡充も本市の財政力を持ってすれば、充分可能です。

5に、不要不急の公共事業はやめるべきです。橋梁の耐震補強や超寿命化は、大切ですが、本当に必要なところから計画的に進めるべきです。不公平感が強く、費用対効果の低い若年夫婦世帯家賃補助、どれだけ雇用や税収が増えるのか、経済効果が不透明な大企業優遇の企業立地補助金は、認められません。

プロスポーツイベントのジャパンカップは、民間活動のの範疇です。丸抱えで1億円もの税金投入はやめて、自転車の街というなら、安全な走行環境の整備に回すべきです。

安倍政権の経済対策、三本の矢には新しい中身は何もありません。無制限の金融緩和、大型公共事業のばらまき、大企業応援の「成長戦略」、そのどれもが過去の自民党政権が行い、破綻が証明済みのものばかりです。働く人の所得が減り続けたことが、デフレ不況の原因であること、労働法制の規制緩和による非正規雇用の拡大が所得低下の大きな原因であること、働く人の所得を増やすことが日本経済の好循環を取り戻すカギであることは、今や立場や経済学の違いを超えて共通の認識になりつつあります。このような認識の下に

福祉・暮らし、そして教育最優先で選ばれる町への予算編成を求め、H25年度予算に反対する討論といたします。議員各位の良識あるご判断をお願いいたします。



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