2013年3月22日
荒川つねお議員の討論
私は、日本共産党を代表して、只今議題となっている陳情24号・25号・28号から34号までのLRTに関する陳情の不採択に反対の討論を行います。
昨日、議員協議会において、LRT整備に向けた基本方針が市長より示されました。その策定経過によれば、庁内検討委員会が昨年12月より行われ、関係機関との協議・調整を行ってきた結果、交通事業者などとの検討・協議に入ることを確認できたとのことです。東西基幹交通はLRTとし、JR
こうした市長の一貫したLRT先にありきの整備推進に対して、多くの市民がLRT問題を通じて、うつのみやの将来とまちづくりに危惧を抱き、施政の在り方に様々な声をあげることは当然です。
今回のかつてない多くの市民から提起された陳情願意は相当です。陳情者の言う通り、LRT整備を宣言するのであれば、その時点で同時に、その全ての整備費用、概算額を関連事業も含めて市民に明らかにするのは当然です。平成4年、10月から11月にかけて行った20年も前のパーソントリップ調査結果だけにすがりつくような、唖然とする需要予測に対し、批判と不信は当然です。LRTを選んだBRTとの費用対効果による比較検討の説明も不明確。市民賛同・合意の上での事業推進の正当性を示す客観的根拠の不在等々、こうした陳情者の疑問と指摘に対して、まず真っ先に丁寧な説明責任を果たすことこそ、LRT整備賛成の市民も含めて望んでいることであります。
ですから、一方で基本方針なるものを示して、着々とLRT整備を進めながら、「さらなる市民の理解促進に努める」などと合理化して済むようなたぐいの説明責任を市民が問題提起しているのではないことを、市長は肝に銘じるべきであります。
次に、今回の陳情者の根底、背景にあるのは一体何なのかという点です。
私は、それは宇都宮市政における住民自治の花開く市政運営を求める要望、願いにあると思います。
今、少子高齢化、情報化の進展など、本市をはじめ、各自治体を取り巻く環境変化のスピードが速く、住民ニーズや価値観も多様化しています。そうした中で、地方分権に伴う自治体の自己決定権の拡充が進む中にあって、より明確に住民の意思を踏まえて、政策決定や市政運営を行っていくことが一層求められています。
そのためには、佐藤市長自ら提案し、私達議員も賛同して共に作り上げた宇都宮市自治基本条例を鏡として、常に市政運営を映し出して確認すべきです。
宇都宮市自治基本条例は、その基本理念において、第3条で、「本市の自治は、市民、自らの責任及び判断に基き市政に参画し、市政運営が自主的になされるものでなければならない」としています。
そして、市民の権利及び責務を規定した第4条では、「市民は市政に参画すべき権利を有する」となっています。
そして、第3章、市政運営の基本原則の第6条において、真先に市民意思の尊重を掲げています。
また、効率性及び有効性の確保、経営資源を効率的かつ有効に活用し最少の経費で最大の効果を上げるようにすること。さらに、透明性の確保として、市民に対し、積極的に市政に関する情報を提供することにより、説明する責務を果たすことが規定されています。
最早、明白であります。この第6条の3つの角度のどれをとっても、佐藤市長のLRT整備・推進の取り組み方は落第点ではありませんか。これでは、地方分権時代にふさわしい、市民の市政参加を促進し、より安定性の高い政策の決定や実施はできません。
100年先の宇都宮を見据えた住民自治に基くまちづくりにおいて、LRT整備事業については、市民の中で賛否両論渦巻いているのですから、これこそは市民自らの選択に委ねるくらいの度量と余裕で、市長はのぞむべきであります。
本市の自治基本条例は、そうした時の住民自治の保障として第16条で住民投票も定めています。
東西基幹交通の整備にあたっては、LRT整備に賛成・反対の態度・意見の違いを超えて、住民自治と自治基本条例という原点に立ち戻ることこそ、陳情者の願意に通じるものと考えます。
市議会日本共産党は、今議会に提出されたLRTに関する陳情について、その一言一句だけにとらわれず、以上の観点から採択を可とするものです。
最後に、本市の東西基幹公共交通をLRTにすることでは、スーパーゼネコン・大企業の意を受けたシンクタンクである日本交通計画協会が本市の計画に長年にわたって深く関わり、御用学者を配し、LRT万能論、LRTバラ色論を振りまいてきました。しかし、今や、新しい都市づくりの装置として、膨大な血税をつぎ込まねばならないLRTが専売特許の時代は過ぎ去りつつあります。
ここで問題です。「LRTありきの整備推進」プラスするところの「市民合意なき推進」、その答えは何か?答えは「ゼネコン・民間開発業者(デベロッパー)奉仕の利権付き特大公共事業」であります。
今最も大切なことは、「市民の利益こそ第一に」、この立場に立った本市のまちづくりのビジョンとその中での東西基幹交通の構築です。我々議会と議員が果たすべき責任と役割は重大であります。
市民からの陳情を契機に、総合的公共交通ネットワークと東西基幹交通問題で、さらに万機公論に徹し、未来の宇都宮市政に悔いを残さぬ答えを出そうではありませんか、
このことを訴えて討論を終ります。