2012.12.17
福田くみ子議員の一般質問・答弁・再質問・再答弁
福田議員質問
質問に入ります前に、佐藤市長におかれましては、3度目の市長選挙を勝ち抜かれましたこと、心より敬意を表します。また、地方自治は民主主義の学校ともいわれる通り、住民参加が基本です。そのためには、住民に最も身近な行政機関として透明性の確保と、住民の声に真摯に耳を傾けることが肝要であると考えます。市長におかれましては、その点を充分にふまえたかじ取りをされますことを深く期待致しまして、質問に入りたいと思います。
さて、質問の第1番目に「市長3期目の政治課題について」3点伺います。
1点目に、LRTについて伺います。こんどの選挙では、LRTの是非が最大の争点といわれてきました。しかし、関心は低く投票率は、36,03%と戦後最低を記録しました。栃木テレビと栃木放送の合同出口調査によると、佐藤市長に投票した10万人余りの中でも、LRT賛成は30.3%約3万人余り、有権者比では7,45%、どちらかといえば賛成が36.7%約3万7千人で有権者比では約9.02%、合わせても16.47%、7万人にも届きません。全有権者規模で見ればLRTに期待するどころか関心も低いというのが選挙を通しても見えてきたといえます。決して選挙結果は、LRT信任ではないと思いますが、見解を求めます。所信表明で述べられた、「LRT導入の円滑な推進」とは具体的にはどのようなことを指しているのでしょうか、答弁を求めます。
市長答弁
「LRTの信任」につきましては、今回執行されました市長選挙におきまして、私が掲げました「地域内交通・バス路線・LRTによる公共交通が網羅されたまちづくり」につきまして、多くの方に訴えることができ、その結果、市民の皆様から、市政運営に対する負託をいただけたものと受け止めているところであります。
次に、「LRT導入の円滑な推進について」でありますが、LRT導入に向けましては、事業化に必要な計画の策定や都市計画決定、事業認可などに順次、取り組んでいく必要がありますことから、まずは、庁内における推進体制の強化を図るとともに、交通事業者や国、県などの関係機関との協議を精力的に進めながら、事業化に向けて、スピード感を持って取り組んでまいります。
福田議員再質問
まずLRTの導入、LRTの考え方なのですけれども、今のご答弁だと、やはり市長の市政運営全般への負託というふうに受け止められておられるというご答弁だったと思うのですけれども、ひとつひとつの事業全て市長に白紙委任したわけではなく、やはり住民自治の原則ということを忘れないでいただきたいと思うのです。とりわけ莫大な財政支出を伴う事業や市民生活に大きな影響を及ぼす事業、長いスパンで取り組むべきものなどについては、市民の理解と納得が私は欠かせないと思うのです。今度の選挙の中でも、白票などの無効票も前回の倍以上に上っているのです。選択肢がないという意思表示とも受け止められると思うのです。そういう意味では、やはり改めてLRTの事業に対する市民の、どれくらい願っているのか、信任を得る機会というのは、私は必ずどこかで必要だと私は思いますが、どういうふうにお考えでしょうか。
岡本総合政策部長再答弁
LRTだけを議論するものではなくて、私ども宇都宮市としては総合的な公共交通のネットワークを作るということで、その基軸となるものが南北の鉄道であり、なおかつまた東西を結ぶ今回の東西基幹公共交通、さらには、それに付随する形でバス交通、それから、地域内交通というようなことで、子どもから高齢者まで、誰でもいつでもどこへでも行けるような公共交通のネットワークを総合的に構築して行こうというようなことが目的でございまして、その中のひとつとして、東西基幹公共交通を整備する、その手法としてLRTを導入するということでございます。このLRTについては、高い輸送力でありますとか、定時性、さらには中心市街地の活性化、こういったものと、さらに、将来的に広域的に結びついていくような、そんな交通システムとして導入ができるのかなということでLRTということを選択したものでございます。
福田議員再質問
下野新聞の寄稿で見つけたのですけれども、足利工業大学の和田幸信先生という方の寄稿なのですけれども、LRTの価値を発揮させるには、沿線への都市集積を高めることが必要だと述べていらっしゃるのです。私も尤もだと思うのです。でも、今の計画だと、やはり田んぼの中とか、畑の中を走る部分がすごく多いわけなのです。そこで気になるのはやはり、新たな開発につながるのではないか、逆に、またそこに集積させなければLRTの価値が発揮できないとするとどうなのだという思いがするのですけれども、そのへんはどう考えていらっしゃるのですか。
岡本総合政策部長再答弁
確かに、沿線そのものの市街化区域それから市街化調整区域まで延びていくような沿線になってくるかと思います。その中で現在、都市マスタープランというものが存在をし、そういった規制の中で、どんなふうに沿線のまちづくりができていくのか、これから検討していくような形になりますけれども、そのへんは十分に今のまちづくりの視点、これからのネットワーク型コンパクトシティというものと、全体的を網羅しながら総合的に検討して、どんなまちづくりを進めていくというところを改めて市民の皆様にご説明申し上げるような機会もこれから出てくるかと思いますので、そのように取り組んでまいりたいと思います。
福田議員再質問
よく分からないのですけれども、私が心配しているのは、新たな開発につながるのではないかと、これはやはり、今の人口減少時代に向かっていくということと、ネットワーク型コンパクトシティのそもそもの意義というか、効率的なまちづくりというところに最大の意義があるのではないかと思うのです。そういう意味では、新たな基幹交通を作ったことで、そこに新たな開発が進んでしまうというのは、私はそぐわないと思いますし、同時に、私はまちづくり全体があってはじめてどこに基幹交通が必要なのか、どんなものが必要なのか、この基幹交通でどのぐらいの人が利用するのかということが後からついてくるものだと思うのです。どうもやはりLRTありきで進めてきた、これからも進んでいってしまうということに大変な危惧を感じています。いかがでしょうか。
岡本総合政策部長再答弁
LRTの整備ということが目的でやっているということではなくて、やはりまちづくり全体を見据えながら、それに必要なネットワークというのはどういうものが必要なのか、そんなことで検討を進めているところでございまして、議員のご質問そのものが、
私どもにはちょっと理解できないところもございます。
福田議員再質問
両輪で進めていくものと思いますが、私の感覚としては、やはり新たな開発がそこにできてしまうというのは、明白なのではないかなと思いますし、ぜひ、何を持ってLRTに信任というふうに判断して進められるのか、最後に市長にお聞きしたいと思います。
岡本総合政策部長再答弁
先ほども申し上げましたとおり、LRTそのもので信任というふうに、LRTだけの問題で信任ということではなくて、市長そのものは、これまでの市政運営等において、様々な功績を残され、それを市民の皆様がこれからのまちづくり、3期目のまちづくりに期待をして負託をされたものだというふうに感じておりまして、LRTそのものの信任ということではないとは思ってございます。そういう意味では、ただ今の議員の、LRTそのものの信任という、そういう質問そのものが、ちょっと私には理解がしかねるというところでございます。
福田議員質問
この項の2点目に、高齢者の肺炎球菌ワクチン接種費用の助成について伺います。9月議会においても荒川議員の質問に「検討する」とのことでした。しかし、風邪やインフルエンザの流行時期を前に補正予算化されることを期待いたしましたが、残念ながら計上されておりませんでした。全会一致での陳情採択をどのように受け止めておられるのか、このまま国の動きを待つのか、市長の見解を伺います。
私の父は、3年前、肺炎で約1年近くも闘病の末亡くなりました。体力の衰えたお年寄りはひとたび肺炎に感染すると、命にかかわることはもちろん、なかなか回復できないのです。だからこそ医療費の抑制の観点からも、予防効果の高い肺炎球菌ワクチンは大きな効果があるものと考えますが、医療費の抑制額はどれくらいと見積もれるのか、伺います。また、1日も早い肺炎球菌ワクチン接種費助成を求め、市長の見解を伺います。
市長答弁
高齢者の肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌を原因とする肺炎の約8割に効果があるとされており、個人の発病防止に効果が見込まれておりますことから、本市といたしましては、国に対し、定期接種化などについて働きかけを行ってきたところであります。
このような中、本年6月議会におきまして、国の予防接種制度の改正を待たずに、市による公費助成を求める陳情が全会一致で採択されましたことは、大変重く受け止めているところでありますが、本市といたしましては、その他の任意予防接種や高齢者の係る保健施策等を総合的に検討する中で、この接種費用の助成について検討してまいります。
また、本市の医療費の抑制額につきましては、国の肺炎関連の患者調査結果を本市の「国民健康保険疾病分類統計」に当てはめ、接種対象年齢70歳以上、接種率20パーセントで試算いたしますと、医療費の抑制額は、年間約5千3百万円となり、このワクチンが5年間有効であると言われておりますことから、総額約2億6千5百万円となります。
福田議員再質問
いずれにしても(LRTは)多くの市民が望んでいるとは言えないという実態の中で、進めるということそのものに、私は疑問を感じていますし、その一方で、議会が全会一致で採択をした肺炎球菌ワクチンの助成などについては先送り、様子見ということであるということになってくるとなると、やはり住民自治の原則に反することになってしまうのではないかと、大変憂慮しているところです。民意が明らかなもの、しかもわずか5千3百万円の事業、しかも先ほどのご答弁ですと、5年間有効ということを考えると2億6千万円の医療費の抑制効果があると、こういうふうに効果もはっきりしているものについて先送りをするというのはいかがなものかと思いますけれども、そのへんはいかがでしょうか。
手塚保健福祉部長再答弁
高齢者肺炎球菌ワクチンの取り扱いについてのご質問だと思いますが、このワクチンについては、答弁でも申し上げましたように、一定の効果については私どもも認めておりますし、6月の議会で、全会一致で陳情が採択されたこと、これは非常に重く受け止めているところでございます。このワクチンにつきましては、高齢者の健康づくりの一翼を担う施策というふうに受け止めております。私ども、高齢者の健康づくりを担う施策につきましては、日々の健康づくりに対するもの、また、定期健康診査にかかわるもの、また、いざという時に安心して医療機関にかかれること、いろいろその健康づくりにかかる施策がありまして、それらの全体の施策の中で、このワクチンについて、最終的に予算化すべきかどうか検討してまいりたいとそういう状況でございます。
福田議員再質問
何十億、何百億とかかる事業に対して、市民の信任がきちんと得られたという確証がないまま進めることと、逆に、こういった効果も抑制額も明確に分かっているものについて先送りをされると、これが大変象徴しているのではないかと思っているのです。要するに、その事業費とか採算について、これまでもいろんなところで、市長も答弁されてきましたけれども、黒字・赤字が問題じゃないとおっしゃっていますけれども、結局こういうところに、みんなの願いである医療とかそういうところのものは、なかなか動き出さない、一方で、こういう何百億というお金がかかるところについては本当に使ってもらえるかどうかも不明確なまま進めるということに、大変私は危惧を覚えております。ぜひ、住民自治ということ、もう一度そこに立ち戻ってしっかり考えていただきたいと思います。
福田議員質問
3点目に、地域経済の活性化と安定雇用の拡大が、大きな課題となっています。しかし、全国各地で大企業の一方的な撤退で、多くの労働者の雇用が一気に失われ地域経済に大きな打撃を与えるということが頻繁に起こっています。私は、これまでも一般質問や、予算・決算の審査の折にも指摘してまいりましたが、企業誘致のための企業立地補助金について、安定雇用の確保、最低操業期間の確約、万が一撤退の際の補助金の返還などきっちりと条件を付けるべきだと主張してまいりましたが、市長の見解を伺います。
私も公党の1員として対決軸を示して闘うことができなかったことを市民の皆さんにお詫びしなくてはいけない立場です。
市長答弁
企業立地の推進につきましては、本市歳入の確保はもとより、「地域イノベーション」や、「新産業・新事業の創出」「関連企業の技術向上」や「雇用の確保」を図る上でも、大変重要なことと考えており、用地取得などに対する支援策としての企業立地補助金をPRし、自動車、航空宇宙などの製造業や物流関連産業などの誘致促進に努めてまいりました。
そのような状況下におきまして、長引く景気低迷や歴史的は円高、電気料金の値上げなどの影響を受け、海外への生産移転や国内拠点の集約化が進み、本市ではまだ事例はありませんが、兵庫県や三重県などのように、誘致した企業が、短期間で撤退するケースもあり、補助金の規定を見直す自治体も見受けられるところであります。
本市におきましても、補助金の支給要件や返還につきまして、検討を進めているところでありますが、一方で、「条件の厳格化や変換規定の明文化は誘致戦略の足かせになる」との意見もありますことから、他都市の状況や経済動向を見極めながら、慎重に対応してまいります。
福田議員質問
次に保育をめぐる問題について伺います。まず、子ども・子育て関連法についてです。
子ども・子育て関連法では、民自公の民意踏みつけの「増税談合」によって、消費税増税を中心とする「社会保障と税の一体改革」の一環として、8月10日に成立しました。この間、国と自治体に対する責任を投げ捨て、保育を営利化・産業化させるこの法案に対し、父母、保育関係者、自治体、国民各層から大きな反対の声と運動が巻き起こっていました。宇都宮市議会でも意見書を提出したのは記憶にも新しいところです。そこで指摘されたさまざまな問題は、民主・自民・公明が行った法案の修正によっても根本的な解決はされていません。公的保育の責任の後退は明らかです。そこで、これら法律が施行されると市町村の役割はどのように変わるのか、また、利用者や、事業者にとって問題点は何か、次の4点について見解を伺います。
1点目は、児童福祉法第24条の市町村の保育実施義務について、第1項では、「保育所において保育しなければならない」としたものの、第2項では、保育所以外の保育施設、つまり「認定こども園や家庭的保育事業等」においては、「必要な保育を確保するための措置を講じなければならない」となります。これによって、市の責任と役割は現行制度と具体的にどのように変わるのか見解を伺います。
高橋子ども部長答弁
本年8月、すべての子どもが健やかに成長することができる社会の実現に向け、幼保連携型認定子ども園や保育所、幼稚園、小規模保育事業などの多様な施設や子育て支援事業への給付制度の導入を主な内容として子ども・子育て関連3法が成立したところであります。
この新たな制度における「市町村の責務」につきましては、これまでの保育の実施義務に加え、サービスの利用調整、入所のあっせんなどが、法に位置づけられましたことから、市町村の責任がこれまで以上に増大し、その約割は、一層重要になるものと考えております。
福田議員質問
2点目は、保育料の負担について伺います。子ども・子育て支援法では、潜在的な保育需要を掘り起こすとされ、これまで市町村で対応していなかった、地域型保育給付の各事業も、市町村として対応することが求められます。これまで、保育料については国基準の保育料設定に対し市が独自に軽減をしてきましたが、保育料軽減の対象とすべき児童が増えることによって、保育料引き上げにつながることはないのか、市長の見解を伺います。
高橋子ども部長答弁
「保育料の負担」につきましては、現行制度の利用者負担の水準、利用者の負担能力を勘案した応能負担を基本とし、制度施行までに、制度全体にかかる財源のあり方と併せて国において検討することが予定されております。
そのため、今後、本市における保育料の設定にあたりましては、全ての子どもに質の確保された学校教育・保育を保障する国の考え方を踏まえながら、具体的な制度設計の中で、保育料の軽減のあり方について検討してまいります。
福田議員質問
3点目は認可保育所以外の保育施設では直接契約制度になることで入所者の差別・選別、保育料滞納を理由とした退所などの問題が懸念されますが見解を伺います。
高橋子ども部長答弁
「直接契約制度による差別・選別等」につきましては、新制度導入後におきましても、現行制度と同様に、「児童福祉施設最低基準」上の制限など、「正当な理由」がある場合を除き、各施設には入所希望に対する応諾義務が課せられているところであります。
また、法令には、市の関与による滞納防止策や施設設置者の不当な行為による給付対象施設としての取り消し等の規定などが設けられておりますことから、直接契約であっても、入所者の差別や滞納を理由とした退所などの不利益は生じないものと考えております。
福田議員質問
4点目に保育の必要量区分の問題です。子ども・子育て支援法では、入所申し込みに先立って「保育必要量の認定」が必要となります。保育時間は、その子にとって健全な生活時間が保障され、その園・クラスの一員としての生活・活動が保障される時間でなければなりません。また、保育必要量の長短が給付費の額に直結することになれば、保育園・施設経営が圧迫されることになりかねません。この点について市長の見解を求めます。
高橋子ども部長答弁
「保育必要量の認定」につきましては、市町村がすべての児童に対し、保護者の就労の状況や疾病などの客観的基準に基づき、長時間・短時間の区分を認定することとなります。
このため、認定こども園等におきましては、長時間利用児と短時間利用児を一緒に保育することが想定されますが、発達に必要な教育や保育は、共通する時間に行うことにより、確保できるものと考えております。
また、「保育必要量の給付費」につきましては、各利用者が保育を必要とする量により、給付費が異なることが想定され、施設経営への影響が懸念されますが、今後、国で設置される「子ども・子育て会議」におきまして、利用者・事業者双方の視点から十分な議論がなされるべきものと考えております。
福田議員質問
この項の2番目に、潜在的待機児童と保育の質の確保について伺います。宇都宮市では、今年度4月、名目待機児童はゼロになりました。この10年間で入所児童数は2,162人増加し、今年度4月時点では7,341人が公立及び民間の認可保育所、あるいは認定こども園に入所しています。一方でこれらの定員総数は6,805人ですから、定員を超えて入所している536人は、本来待機児童数とされてしかるべき数です。厚労省は、小泉内閣時代に掲げた待機児童ゼロ作戦のもと、定員を超える入所を認めるいわゆる「入所の弾力化」という規制緩和を進めました。厚労省は、4月時点で定員の115%まで、さらに9月までは120%、それ以降は施設要件が満たされていることと翌年4月には115%以下になることという最低限の条件のもと受け入れを認め、さらに、2010年度には、この規制を撤廃し、施設の最低基準を遵守さえすれば4月から青天井での受け入れを認めています。その結果、もともとヨーロッパなどの先進国と比べて低水準であるにも拘らず、定員を超えた乳幼児が詰め込まれ日本の保育環境は悪化の一途です。規制緩和が行われたこの10年間で全国の保育所での死亡事故は、急増しました。宇都宮市ではこの最低限の条件までも踏みにじって入所状況につきましては、24年度4月時点では、実に75園中55園が入所定員を超えて受け入れています。また、300人を超える認可外保育所に通う子どもたちも、待機児童にはカウントされません。どのように対応をされるのかうかがいます。
まさにうわべだけの「待機児童ゼロ」です。市長はこのような状況についてどのような見解をお持ちか伺います。
高橋子ども部長答弁
本市における保育の実施にあたりましては、年々、保育ニーズが増加している中、待機児童の解消が喫緊の課題であると認識しております。
このため、既存施設の有効活用策といたしまして、保育所における施設面積や保育士配置など「児童福祉施設最低基準」を遵守し、保育の質を確保しながら、定員を超えて児童の受け入れを行っているところであります。
また、待機児童の解消に最も有効な施設整備にあたりましては、今井政範議員のご質問にお答えしましたとおり、認可外保育施設を利用されているご家庭など、潜在的な保育ニーズへの対応を含めた保育サービスの利用意向調査の結果を踏まえ、計画的に進めているところであります。
今後とも、保育を希望するご家庭が、安心して保育所に入所できるよう保育ニーズを的確に把握しながら、供給体制の整備に取り組んでまいります。
福田議員質問
次に、公立保育園の給食調理業務委託について伺います。第4次行政改革大綱に基づくアウトソーシングの推進とのことですが、なりふりかまわぬ経済効率一辺倒の行革推進は、宇都宮市の保育行政の未来に大変な危機的状況をもたらしています。乳幼児にとって、食は保育の中の根幹といってもよいほど重要な位置を占めるものです。まさにこの時期の食は子どもの発達を大きく左右するばかりではなく、味覚の発達の観点からも、その後の食生活を決定づけ、健康な生涯を送るための大切な時期と言えます。
保育所における給食室での給食づくりは、まさに保育の一環であり、小中学校以上に重要な位置付が必要です。とりわけ離乳食では、日々の子どもの発達、体調、アレルギーの対応など調理師には専門的な知識と豊かな経験が求められます。同時にリアルタイムでの保育士との綿密な連携も必要で、業務委託契約という雇用関係の中では、不充分なことは明らかです。子どもの健やかで、全面的な発達を保障する立場からは、調理業務の外部委託などという発想は到底認められません。保育所の調理業務外部委託方針の撤回について市長の見解を求めます。
高橋子ども部長答弁
本市におきましては、「行政改革大綱」に基づき、外部委託等の積極的な推進を図っており、公立保育園における給食調理業務の外部委託につきましても、「行政改革推進プラン」に位置付けているところであります。
保育所における給食につきましては、安全・安心を確保することはもとより、発育や発達の基礎となり、日々、食事を楽しみ、調理の姿や食材にふれることにより、心身の成長に寄与するなど、重要な役割を持つものと認識しております。
こうしたことから、外部委託におきましても、これまでどおり、保育所内において、調理を継続するよう進めてまいりますとともに、児童の発育段階や健康状態に応じた離乳食の提供やアレルギーへの配慮などを含め、安全・衛生面、栄養面等における専門性や質を維持できるよう、必要な体制や十分な連携の確保を図り、引き続き、安全・安心で質の高い給食を提供してまいります。
福田議員再質問
今のご答弁ですと、「子ども・子育て関連三法」について、宇都宮市は何ら問題がないというご答弁だったのかなという気がします。詳細について決められていない、提示されていないところが多い中では、これ以上あまり、細かいところを聞いても、空論になってしまうのであまり聞きませんけれども、ただ申し上げておきたいのは、児童福祉法24条第1項に、「保育所において保育しなければならない」という条項は、本当に強い運動の中で残されたと、これは、私は良かったなと思っているのですけれども、第2項においての「必要な保育を確保するための措置を講じなければならない」と大変微妙な言い方をしているわけです。そのへんが今とどう変わるのかということをきちんとつかむ必要があると思うのです。今よりも重くなるというご答弁だったのですけれど、それはないと思うのです。どちらにしても、保育を確保するための措置というのは、施設整備を促進していくとか、足りなければ作るように誘導していくとか、そういうことなのだと思うのですけれども、でも、変わらないのだったら、何でこのような表現にしたかということまで考えて先手を打っていく必要があるなと思います。認定子ども園とか、それから認可保育園以外のところでは、保育の基準というのも、最低基準ということではなくて、参酌水準ということも書いてあるのです。ですから、市町村の裁量によって基準を変えることもできるというふうになって行くのだと思うのです。そういう意味では、宇都宮市はそんなことはないと思いますけれども、そのへんのところでの基準を確保していく、今の最低基準を確保していくという意思というか、それがどれくらいおありかと、そのへんのところをお聞きしたいのです。
高橋こども部長再答弁
児童福祉施設の最低基準につきましてでありますけれども、今回、議会の方に最低基準に関する条例案を上げております。従うべき基準という形で、面積であるとか、保育士の配置基準など、なっていますが、そういった中で、やはり考え方としては、子どもの健全な発達が守られる基準、そういったものを、今後とも確保していきたいと考えております。
福田議員再答弁
保育の必要量の認定のところで、1点だけ確認をしたいのですけれども、必要量が認定されると、その時間を超過して保育を利用する場合には、全額自己負担になるというふうに私は読めるのですけれども、そのへんのところはどういう説明だったのか教えていただけますか。
高橋子ども部長再答弁
このへんにつきましては、まだ具体的にどういうふうに認定していくのか、基準は示されておりませんで、長時間および短時間という中で、短時間につきましても、日々でみるのか、月でみるのか、そのへんについても、今後国民会議の中で十分に検討されるものと考えております。
福田議員再質問
先ほど、本項の中でご説明をした、赤ちゃんの急死ですね、認可保育所での死亡事故の推移なのですけれども、このグラフちょっと見ていただきたいのですけれども、「赤ちゃんの急死を考える会」というのがありまして、そこが、調べた数なのです。1961年から2000年までの40年で15件です。2001年から2010年までの10年間で34件と、すごい増えているのです。こういうデータを見ると、宇都宮市の近隣でこういうことがあったかどうかというのは、そこまでは全部は調べていないのですけれども、全体的に保育環境が定員を超える子どもたちを入れる中で、そういう問題が起きているということを、しっかり認識するべきではないかなと思います。こういう規制緩和が進む中で、このような実態というのをどのようにお考えになるのか、そこだけお聞きしたいと思います。
高橋子ども部長再答弁
今現在、待機児童の問題が課題となっておりますけれども、保護者の方の希望、ニーズ、それに応えていくのは我々の責務でもありますし、併せて、入ったお子さんの安全あるいは育ち、そういったものを確保していくことと併せて我々の責務であると認識しております。今お話がありましたように、保育園において、そういった重大なる事故が起きてはならないというふうには認識しております。そういった中で、今後ともより安全で質の高い保育が実施できるような体制を整備してまいりたいと考えております。
福田議員再質問
大切なのは、名目上の待機児童をゼロにするということではないと思うのです。かけがえのない子ども権利の保障、子どもの発達の権利の保障、そして働く親の権利を保障すること、これがひいては社会全体の利益になるわけです。この点をしっかり踏まえて対応していただきたいということを申し上げます。
福田議員質問
次に「子どものいのちを守るために」の項に入ります。
はじめに、「いじめ防止プログラム」の活用について伺います。いじめ問題への取り組みは、家庭や地域への啓発、いじめゼロ運動、チェックリストによる早期発見、組織対応の徹底、スクールカウンセラーとの連携による心のケアなど啓発・早期発見・相談・心のケアなどいじめが起きてからの対応が主でした。こうした、対策に加え今後はいじめを生まない根本的な対策が求められています。
いじめは人権侵害です。教育評論家の尾木直樹氏は、「いじめの本質は強弱の問題ではなく、人権侵害の『人間虐待』なのです。被害者の傷は深く、加害者の人間性までも破壊していくあなどれない行為なのです」とその著書の中でも述べています。
「いじめ防止プログラム」とは、子どもたちに暴力によらない問題解決の方法を身につけさせ、人権侵害の起こりにくい学校や地域社会を作るために、いじめとはどのようなものか、被害者がどれだけ傷つくのか、ワークショップなどを通して人権や暴力についてじっくり学んだうえで、子どもたちが主体となっていじめを未然に防ぐために活動する一連のプログラムです。
様々な自治体が独自で作ったプログラムもあるようですが、ここでは、いじめを生まない学校づくりで実績のある、NPO法人湘南DVサポートセンター理事長の瀧田信之さんが開発したプログラムを紹介します。このプログラムは、2007年に藤沢市立村岡中で初めて行ったところ、「学校の雰囲気が変わった。いじめの傍観者がいなくなった」と近隣に評判が広がり、現在では藤沢市内8校がプログラムを実施、他にも横浜市、川崎市、東京や三重県でも実施、実績を重ねています。いじめの当事者が何を感じているのか、4時間のワークショップを重ねて生徒同士が意見を出し合うのに加えて、いじめ防止を訴えるリーダー役「スクール・バディ」を育成するのが特徴で、生徒同士が支えあうシステムによって、いじめを許さない雰囲気が学校全体に広がると言います。
「人間として許されない」人権侵害行為が、学校という人格の完成を目指す教育の場で繰り返し発生するという状況は、学校の基本的役割や教育の目的に照らしても、学校を崩壊させ、教育の前提を突き崩す元凶であると言わざるを得ません。いじめの克服、いじめのない学校づくりこそ、今日における学校づくりと教育実践の最大の課題であるといえます。
そこで、いじめを生まない学校づくりに取り組むために「いじめ防止プログラム」の全市的な活用について市長及び教育長の見解を求めます。
水越教育長答弁
いじめを防止するためには、児童生徒が「いじめは自分たちの問題である」との意識を高め、行動できるようにすることが大切でありますことから、本市におきましては、平成20年度より、「いじめゼロ運動」を推進し、全小・中学校において、児童会・生徒会を中心としたいじめ根絶集会を実施してまいりました。
その中で、生徒会の提案により、中学生が地域学校園内の小学校を訪問し、自分たちが創作した劇やDVDをもとに、「いじめ」について共に考える取り組みなども一部で見られるようになっております。
このような取り組みは、児童生徒にいじめ根絶の意識を高め、いじめを発見したら注意し合うなど、いじめを児童生徒自身が抑止する上で効果があり、本市のいじめ減少につながっているものと考えております。
議員ご提案の「いじめ防止プログラム」は、児童生徒がワークショップを通していじめの解決方法を学んだり、自らいじめ防止活動を行うなど、児童生徒が主体となった取り組みであり、これは、本市の考え方と共通するものであると受け止めておりますが、このプログラムの実施に当たりましては、専門の指導者の育成や多くの指導時間と活動時間の確保などの問題がありますことから、今後、導入自治体の取り組みの情報を収集し、その成果を見守りながら研究してまいります。
福田議員再質問
ありがとうございました。私もいろいろ「いじめゼロ運動」なども、どんな状況で進んでいるのかなど、資料を見てみたのですけれども、理念はとてもよく似ているなと思いました。ただこのプログラムの特徴というのは、生徒の支えあいのシステムというのをつくっていくところにあるのかな、そしていわゆるスクールバディというのですけれども、バディというのは、仲間というのですけれども、仲間同士で支えあい解決に持っていく、そこのところと、もともと、「生まない」要するに、相手を大切にする、自分も大切にするという中で、暴力によらない解決の道というのをいろんなプログラムの中で、系統的に取り組んでいくというところが大きな鍵なのかなと思います。やはりそういう一定の時間も人材も投入しながら取り組んでいくだけの価値があるプログラムではないかなと考えています。そういう特徴があるわけです。同時に、2011年から文科省の委託で「いじめ防止プログラム指導者養成講座」というのも開催されているようなのです。事業の中で活用できる環境というのは一定整ったのかなと、それを持ってきてやるというのは整ったのかなと考えていますので、ぜひ前向きに検討していただきたいと思いますっけれどもいかがでしょうか。
水越教育長再答弁
たしかにこのいじめ防止プログラムの考え方、ある意味、ピュアサポートというような考え方だと思うのですけれども、非常に私どもが取り組んでおります児童会あるいは生徒会を中心として、子どもたち同士が自分の問題として受け止めながら、ある意味、お互い支えあったり、防止しあったりと、いうような考え方に通ずるところでございます。さらにそのプログラムとして、非常に体系的に作られていると思いますので、ぜひ参考にさせていただきながら、本市の取り組みを生かさせていただきたいと考えております。
福田議員
ぜひよろしくお願いいたします。
福田議員質問
この項の2番目に「子どもの権利条例」の制定について伺います。この件については、これまでも2001年12月と2007年12月の一般質問で取り上げてまいりました。2007年には「人権施策推進指針や次世代育成支援計画を策定しこれらに基づき子どもの人権を尊重する意識の啓発」を推進するとのご答弁でした。2010年3月に策定された「宮っこ 子育ち・子育て応援プラン」では、子どもを一個の人間として尊重するという基本理念が色濃く貫かれるものと期待しておりましたが、残念ながら「子どもの人権」という観点は非常に弱く、「施策の推進にあたっては子どもの権利を尊重するとともに」言う1文が申し訳程度に入っているだけ、末端の事業では、「子どもの権利について普及啓発に努めます。」というまことに取ってつけたような位置づけとなっています。
私は、いじめや児童虐待、DV等の暴力の問題の解決は勿論のこと、保育や教育といった子育て環境を良くする問題でも、まず大人が子どもを一個の人格として尊重するという認識を持つことと環境を作ることが、自分も他人も大切にするという基本的な人間関係を育てる基盤だと考えています。
「国連子どもの権利条約」を批准して18年、いじめが全国的に問題になっているいま、有効な形で子どもの権利についての啓発を進め、一つ一つの施策に先進国らしい実らせ方をするためにも、より身近な自治体で「子どもの権利条例」を制定すべきではないかと考えますが、市長の見解を伺います。
子ども部長答弁
すべての子どもが一人の個人として尊重され、個性を認められながら、誇りと自信を持ち、健やか成長することは、市民全ての願いであります。
こうしたことから、本市に起きましては、すべての人に人権について、市民が相互に理解し、尊重し合うことを普遍的文化として構築することを目的とした「宇都宮市人権施策推進指針」の中で、子どもの人権尊重や権利につきましても、重要課題のひとつとして捉え、「児童虐待防止の推進」や、「子どもの育ちを支援する施策の充実」などを明確化しているところであります。
また、「宮っこ 子育ち・子育て応援プラン」におきましては、本指針の理念を踏まえ、取り組むべき施策のひとつとして、「子どもの権利を守る環境づくりの推進」を掲げ、「「いじめゼロ運動の推進」などに取り組んでいるところであります。
さらには、「ジュニア未来議会」や「人づくりフォーラム」など、子どもが社会参画できる取り組みをとおして、社会の一員として主体的に行動し、自分の意見を表明できるような機会の創出にも努めているところであります。
今後とも、「人権施策推進し新」に基づき、様々な取り組みを推進しながら、市民総ぐるみで、心豊かでたくましい宮っ子を育んでまいります。
福田議員再質問
権利条例の件で伺いたいのですけれども、これまでも何度か質問をしてきて、いろんな子どもに関するいろんな施策を進めてきたのですけれども、今のたとえばいじめの問題にしても、児童虐待の問題にしても、それから実際子どもを育てる上では保育所の整備にしても私は同じだと思うのです。子どもの人権をきちんと尊重していくという風潮とか、大人の基本的になる考え方が、どうしても私はそこが、必要だと思いますけれども、その人権尊重というのは基本だというところでは、同じ考えだと捉えてよろしいでしょうか。
高橋子ども部長再答弁
今議員がおっしゃりましたように、子どもを一人の人格として認めながら、というのは、それは当然のことと思っております。本市におきます子どもの育ちに対する施策、基本の根底、ベースにあるのは、子どもの権利という部分、先ほど次世代育成計画の中で一行だけというお話がありましたけれども、やはりそこに集約されていると私は思っております。そういった意味で、これからもいろんな施策を展開していく中で、子どもの権利、子どもが一人の人間として尊ばれるとそういった、認識をそこにおきながら、施策を推進していきたいと考えております。
福田議員再質問
ありがとうございます。そのへんのところは一致するということで、確認したいと思います。ただ、風潮の中で、権利を主張すると子どもはわがままになるとか、こういう誤った認識というのはまだまだ一般の家庭でも、特に虐待が起こるようなところ、それから、ネグレクトなどでも、実際に暴力振るわなくても、というような風潮というのは、私はまだまだぬぐいきれないというのが、現状ではないかと思うのです。だから起こるのです。とりわけ、いじめの問題でも自己責任というのが強調されたりすると、いじめの問題でも、いじめられる側にも、それなりの理由とか問題があるのだよというのが、まだまだぬぐいきれないでいると感じるところがいろんなところであります。
権利を正しく理解するということは、自分も相手も大切にするという心を根付かせることなのだと思います。そういう意味では一歩前に出した施策が私は必要だと思うのですけれども、今の現実の風潮とそれから一歩前に出した施策という点でどんなお考えでしょうか。
高橋子ども部長再答弁
確かに議員が今おっしゃいましたように、権利を「権利・権利」と言うことによって、子どもが助長されるというか増長するというか、そんな意見もございます。ただ、子どもの権利という時に、議員ご承知のように、子どもの権利条約の中でも、「生きる権利」とか、「育つ権利」とか、「参加する権利」とか、「守られる権利」という四つの権利という形で言われております。ですからそういった部分を、我々は施策の中でそれを実現していくために、取り組んでいかなければならないと思いますし、その中に、今議員のおっしゃいました社会の中でそういった部分が一般的になるような社会をめざして、いろんな啓発活動とか、そういった部分に力を入れていくということで、私どもが子育て・子育ちに対する施策を推進していく中で、そういった部分を、着実に進めていくということで対応してまいたいと考えております。
福田議員再質問
そういう意味では、やはり、その部分を特出ししてみんなで議論してもらう、意識付けをしていくということがぜひ必要ではないかと思いまして、今回の質問をさせていただいたわけです。
福田議員
次に、「孤立死をなくすために」の項に入ります。第1番目に介護保険サービスの給付制限について伺います。
私の調査によれば、11月1日現在、介護保険サービスの給付制限を受けている人は、いったん費用の全額を支払って後日市に9割を請求する償還払いの人が11名、給付額が9割から7割に減額されている人は40名に上っています。
また、要介護認定を受けている人のうち、1年以上保険料を滞納している人は205人で、いわゆる給付制限の対象者、予備軍です。これらの人を所得階層別にみると、生活保護世帯などの第1段階が75人、市民税非課税世帯で所得が80万円以下の第2段階が51人で、205名中126名が、極めて低所得の階層です。また、このうち要介護3以上の介護度の重い人は94人、45.9%にのぼります。1年以上の滞納者の半数近くが、介護度が重く、サービスに頼らなければ暮らしていけない状況にあります。昨今の孤立死や介護疲れによる無理心中などが後を絶たないなかでは、放置できない状況にあると考えますが、このような現状に対する市長の見解を伺います。
保健福祉部長答弁
介護保険制度は、社会全体で介護が必要な方を支える仕組みであり、財源の50パーセントは40歳以上の方々の保険料で賄われているなど、公平公正な制度運営が求められております。
こうしたことから、災害など特別な事情もなく、1年以上、保険料を滞納している方が、介護保険のサービスを利用する場合には、法の規定に基づき、その滞納期間に応じて、通常は1割の自己負担が3割となるなどの措置が講じられることとなります。
本市におきましては、このような状態にならないよう、きめ細かな給付指導や個々の状況に応じた納付相談に取り組んでいるところであります。
また、利用者の自己負担を3割とする措置を適用する場合におきましても、ケアマネーシャーが本人や家族の意向を十分に伺いながら、個々の負担能力に配慮しつつ、できる限り生活への影響が少ないサービス計画を作成し、サービスをご利用いただいているところであります。
今後とも、適正な制度運営に取り組みながら、すべての利用者に、介護サービスを安心してご利用いただけるよう努めてまいります。
福田議員再質問
思い起こすと介護保険の導入の時に担当課長さんが、「介護保険は、これはもう福祉じゃない」と言われていたのを思い出すのです。まさに昔は「措置」だったわけです。そういう意味で、その人の負担能力に応じて負担をしてもらってサービス提供するというのが、そもそも介護サービスですが、サービスのメニューはたくさんできて、いろんな人が受けられるようになったという点では、一つ評価点はあるのですけれども、確かにこういう低所得者への配慮というのは、様々行われているとは思いますけれども、それでも一番底辺のところで、必要な人が給付制限を受けなければならないという制度という点では、まさにいかがなものかと思います。
そもそも、給付制限を受けるようになるというのは、保険料を滞納しているわけですけれども、滞納している人のうち、私が調べたところによると、205名の中で、先ほども言いましたけれども、低所得者層の滞納の割合が圧倒的に多いわけですけれども、滞納している、そもそも1年以上滞納している人のうち、滞納者の所得の傾向というのは、やはり同じように低所得者層が多いというふうに考えるのですけれども、そのへんのところいかがでしょうか。
手塚保健福祉部長再答弁
滞納者の層の傾向といたしましては、1段階、2段階、3段階と低所得層の方が比率的に高まっているのが現状でございます。
福田議員再質問
所得階層の1段階というのは、生活保護世帯なので、介護扶助というのがされるわけなので、問題は、第2段階の人たちなのかなと危惧しているところです。やはり、本当に生活保護ぎりぎりのところで、わずかな年金のところで、特別徴収というところで払いきれなくなるという現状があると思うのですけれども、そういう人たちから見ると、本当に給付制限がかかれば死活問題だと思うのですけれども、人数は少なくても、何らかの施策が必要かと思うのですけれどもいかがでしょうか。
手塚保健福祉部長再答弁
階層・段階で申し上げますと、第1段階は生活保護の対象になりますので、第2段階のほうが現時点では14000人強、特例の第3段階で5000人強、第3段階が6000人弱となっておりまして、市県民税の非課税世帯等における層がこのようにたくさんいらっしゃいます。その方々の1年以上滞納している方々が、0.35%、とか、0.19%という形で非常に数は少ないのですが、その他の方々は何らかの努力をされて納めていただいているところです。やむを得ず納められない方々に対しましては、私どもの窓口、それから、徴収嘱託員が戸別訪問を行いながら家庭の事情についてお伺いをし、利用したいサービスがある場合については、ケアマネージャーにつないで、その時々の負担能力に応じて必要なサービスとの組み合わせを家族とかご本人と相談をしながら策定をしておりまして、何とかその日常生活については支えている、そういうのが現状でございます。そういった取り組みはやはり、市の方のできる取り組みは制度的な設計は、これは限界がありますので運用の段階で寄り添うような相談、対応ができればなと思っておりますので、これまで同様、こういった緻密な対応について努めてまいりたいと思っております。
福田議員再質問
ぜひ、実際に給付制限が行われるというところに行かないような取り組みと、それからもう一つ保険料についても、もっと所得の低い人はもっと低くするとか、第9段階の一番高額の人ですか、もう少し傾斜をつけていくとかというのも、一つは、手だと思いますけれども、そのへんのところはいかがでしょうか。
手塚保健福祉部長再答弁
今年度から第5期の介護保険事業計画がスタートしたわけでございますけれども、今回の改正の一つが、今議員がおっしゃったようなポイントでございまして、高所得者層の階層を一つ余計に設けまして、ある意味でその上昇を抑える、高所得の方については、所得に応じて納めていただく、また、低所得者層におきましても、市町村のほうで特例3段階等について、設けるような裁量措置がありましたので、今回も市としては低所得者層に配慮して、階層を増やしたところでございます。
福田議員再質問
9段階に、大変細かく分けて、その中でも特例を設けたということは、ひとつ前進だとは思いますけれども、今後とも、一番境目の人たちが、こういう状況に陥ることがないような配慮と、それから、もしもそうなってしまった時に、一律、給付制限をかけると言うことではなくて、様々な配慮のもと、その人が最低限の生活ができる支援というのをぜひお願いしたいと思います。
福田議員質問
この項の第2番目に「いのちをつなぐネットワーク」について伺います。地域の結びつきが弱まり、高齢者世帯や一人世帯が増える中、周囲との交流がなく社会や周囲から孤立した状況で、だれにもみとられずに亡くなる孤立死は増加の一途です。私は、様々な生活相談にのる中で、自分からの発信力の弱い人や情報弱者にとっては、制度間の段差や縦割り行政による隙間が大きなハードルとなって、総合的に見ればどう見ても公的な支援がなければ自立した生活ができないと思われる人でも、なかなかそこにたどり着けないと感じていました。
2010年度から開始された北九州市のこの取り組みは、地域における既存の見守りの仕組みを結びつけ、網の目を細かくすることによって、高齢者をはじめ、支援を必要としている人が社会的に孤立することがないよう地域全体で見守り、必要なサービスへとつなげていくものです。その要となっているのが市レベルでは、「いのちをつなぐネットワーク推進課」と、7つの区役所に配置された16人の「いのちをつなぐネットワーク担当係長」です。
担当係長の役割は、地域に出向いて情報を把握し、公的サービスにつなげること、見守りが必要な人に対しては、地域での「いのちネット見守りチーム」の立ち上げなどを支援していきます。その他にも、地域福祉のネットワーク体制の充実強化、地域包括支援センターを含む生活支援課、福祉事務所など区役所の連携を強化し区全体で支える仕組みとなっています。
いのちをつなぐネットワークは、新たなネットワークを作っていくものではなく、「いのちをつなぐ」という視点で、既存のシステムをどう機能させていくか、「いのちをつなぐ」をキーワードにした地域福祉のネットワークの再構築です。宇都宮市においても大変参考になる取り組みだと考えますが、市長の見解を伺います。
手塚保健福祉部長答弁
北九州市の「いのちをつなぐネットワーク事業」は、「いのちをつなぐ」をキーワードに、地域で見守りが必要な方の情報を収集し、その人に合った福祉サービスにつなげ、地域で見守っていく仕組みであり、住民と行政、さらには事業者等が協力した孤立死対策の一つであると承知しております。
本市におきましても、「見つける、つなげる、見守る」の視点から孤立死対策に取り組んでおり、「ひとり暮らし高齢者等安心ネットワーク事業」における定期的な調査や、栃木県が開始した「とちまる見守りネット」における事業者等からの連絡により、支援や見守りが必要な方を把握し、支援が必要な方に対しましては、個々のケースに応じて関係課が連携して、適切な介護・福祉サービスにつなげており、また、見守りが必要な方に対しましては、地域包括支援センターがコーディネート役となり、民生委員や自治会など地域の皆様と連携・協力しながら、その方にあった見守り活動を実施しているところであります。
この孤立死対策につきましては、少子高齢化が一層進展し、高齢者世帯がさらに増加していく中、高齢者や障がい者、生活困窮者等すべての市民が孤立することのないよう、現在、行政や福祉団体、地域が実施している見守り事業の体系的な整理を行っているところであります。
今後とも、地域の方々との連携・協力し、すべての市民が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう努めてまいります。
福田議員再質問
この問題は多分、金曜日に今井議員も同じような視点で、ネットワークとコーディネーターという質問をされていましたが、同じような視点だったなと思いながら質問させていただきました。そのご答弁の中で、包括支援センターがコーディネートの役割になるのだというお話もありました。やはり現状ではそうかなと思っています。ただ、包括支援センターへのいろんな相談が、たくさんあって、包括支援センターが、現状ではかなり、いっぱい・いっぱいになっている。市は手当てをして法律よりも1名分余計に置いてはいるのですけれども、それでもいっぱいになっている。こういう現状というのもあるのだと思うのです。その包括支援センターに寄せられる相談内容そのものも、大変多岐にわたっていて、医療・介護というのが中心とかではなくて、貧困問題とか、そういうものもかなり多いのではないかと思いますけれどもいかがでしょうか。相談内容について、わかれば・・・。
手塚保健福祉部長再答弁
包括支援センターに寄せられているご質問の構成比については承知しておりませんけれども、全般にわたる相談を受けていて、本当に、地域における多様な受け皿になっているというのは事実でございます。
福田議員再質問
包括支援センターがアップアップしている中で、いろんな地域福祉をつないでコーディネートしていくという役割は、私は、福祉と役所を熟知している人でないと、なかなか難しいと思っています。そういう意味で、この北九州の取り組みというのは大変参考になると思いますけれどもいかがでしょうか。
手塚保健福祉部長再答弁
地域における福祉課題を円滑に解決していくためには、行政のことも、それから地域のことも、それから福祉のことにも承知している者があたるのがふさわしいと思っております。北九州市の場合は、市の職員が直接担当していると伺っております内容でございますが、市のほうも包括支援センターはやはり、それぞれの専門性、保健師さん、社会福祉士さん、それから、介護支援専門員という、専門的知識をお持ちになって、市のほうもその介護支援センターとは、毎日のように職員が参って、市のほうにも来ておりますし、定期的に専門職ごとの会合も開いておりまして、そこに市の職員も詰めておりますので、いろんな意見交換は緊密にやっております。ですから、行政と介護支援センターは、また、委託という関係でございますので、市の、ある意味で代わりに介護支援センターにやっていただいているところであります。緊密に連携を図りながら、地域の福祉課題に円滑に応えているのは、宇都宮市のタイプのやり方もあるのかなと思っております。
福田議員質問
次に、宇都宮市民体育大会における事故補償について伺います。宇都宮市民体育大会は、宇都宮市、宇都宮市教育委員会、宇都宮市体育協会が主催し、第50回目を迎えた今年は9月末から11月はじめにかけて市内各会場で、14種目を各地域対抗で競うものです。参加資格は原則的にはその地区に居住し住民登録をしている者で、各種目登録人数の2割までは、地区外居住の市民も認めるとなっています。参加要綱によると、「13、その他(4)参加選手は全員、傷害保険に加入して参加すること。」とあります。しかし、今回の大会初日、試合中にアキレス腱の断絶という大けがをした方が、保険に加入していなかったことが判明し、問題になっています。当該地区体協の会長は、「主催者の市が、参加手続きの中で保険加入もするもの」との認識だったようです。
そこで、@市体育大会参加者の保険加入についての周知・確認は誰が責任を持つのか、
A今回の場合の補償は、どこが行うのかB今後の対応について市長の見解を伺います。
手塚教育次長答弁
宇都宮市民体育大会につきましては、市民の健康で明るく豊かな生活に寄与することを目的に、市と教育委員会、宇都宮市体育協会による共催で実施しております。
まず、「保険加入の周知・確認について」でありますが、宇都宮市民体育大会に参加する際には、万一のケガなどに備え、参加チームまたは選手個人が自ら傷害保険に加入するよう、大会の実施要項に明記しております。
さらには、参加する全地区の代表者が出席する会議におきましても、重ねて、保険加入について説明しておりますことから、代表者が責任を持ってチームまたは選手に周知し、保険の加入について確認しているものと認識しております。
次に、「補償について」でありますが、今回の事故につきましては、宇都宮市体育協会が、当該地区体育協会に対し、対応について指導してきたところであり、「今後の対応」につきましては、大会をより安全に運営するため、本市と宇都宮市体育協会がより一層、連携を図り、選手に対するケガ防止の注意喚起や、保険加入の周知の徹底を図ってまいります。