2012年3月7日
荒川つねお議員の代表質問
荒川議員
日本共産党を代表して質問します。明快な答弁を求めます。
第1に、市長の政治姿勢について、まず市民のくらし・営業と消費税増税・税と社会保障の一体改革についてです。
民主党野田内閣は、まるでブレーキが壊れた増税マシンです。閣議決定した「一体改革」大綱は、消費税率を2014年に8%、さらに15年には10%まで引き上げること盛り込み、将来的には年金改革、財政再建を口実に、10%以上の引き上げにも道を開いています。
また一方では、年金支給額の減額やお年寄りの医療費窓口負担の引き上げなど、社会保障の削減が盛り込まれています。消費税率を10%にすることで13兆円、社会保障切り捨てと合わせると20兆円もの負担増を国民に押し付けるものです。これには、多くの国民が暮らしにゆとりがない中で、「これ以上の負担増は限界だ」と、消費税増税への不安と怒りが広がりつつあります。特に、消費税を価格に転嫁できない中小商工業者への影響は深刻です。
市内のある鉄工所のおやじさんは、「仕事がら、売り上げが1千万円を超えることがある。前倒しで今迄の倍の消費税をはらうことになる。わずかの儲けの前に税金を払うことは大変だ」と語っています。市内商店街での聞き取り調査でも、7割以上の人が消費税増税分を価格に転嫁できないと答えています。
そこで、市政を預かるものとして、市長は消費税増税があれば、市民の暮らしと営業にどのような影響をもたらすと、とらえていますか、答弁を求めます。
さて、日本共産党は、政府の方針では、社会保障の安定財源も財政健全化も共倒れになると、「消費税増税に頼らずに社会保障拡充、財政危機打開の道はある」との提言を発表しました。
提言では、第1段階では壊された社会保障の再生、第2段階では先進水準への拡充によって将来不安を一掃するとともに、大企業の内部留保260兆円を「人間らしく働ける労働ルール」等、日本経済に還流させ、国民の所得を増やすと提起。国民総生産の6割を占める個人消費を活性化し、内需主導による健全な成長軌道に乗せるというものです。社会保障充実の財源はムダの一掃・富裕層大企業への応分の負担でまかなえるとし、試算を示しています。いま、この提言が各界・各層で現実的提案だと共感が広がっています。
そこで、消費税に頼らぬ社会保障拡充・財政再建について、市長の見解をお聞かせください。
市長
人口減少時代の到来や、高齢化の急速な進行など、日本を取り巻く社会環境が大きな転換期を迎えている中で、国の財政再建とともに、持続可能で安心な社会保障制度を構築していくためには、安定的な財源の確保が必要不可欠であり、消費財の租税は避けて通れない課題であると考えているところであります。
しかしながら、その財源の確保にあたりましては、まず、国におきまして、徹底した行政改革に取り組んだうえで、将来のビジョンや社会保障に必要な額をはじめ、国政全般にわたる情報を幅広く、国民に開示し、理解を得るとともに、国民の暮らしはもとより、企業から小売店まで、あらゆる経済活動に重大な影響を与えぬよう、景気の動向などに十分配慮しながら、財源を確保し、社会保障の再構築や財政再建を図っていく必要があるものと考えております。
荒川議員
2点目に、市長の施政方針に関し伺います。
東日本大震災と福島第一原発事故からあと四日で一年。万感胸に迫るものがあります。
この二つの災害は、日本の社会・政治・経済・国民生活の在り方を根本から問い直させた歴史的災害となりました。
それは、市政運営でも、その方向性を「市民のいのち・くらし・福祉の向上」と災害に強いまちづくりにする市政です。そのためには、過大な財政負担をかける、大型公共事業を大胆に見直し、地域の実情に合った、本当に市民が必要とする事業に、公共投資を振り向ける転換が本市政にも求められると考えます。
そこで、@公共施設の新設から既存施設の維持・補修・改修への公共投資構造の抜本的改善A再開発、区画整理、地域高規格道路や都市計画道路建設の中止・見直しB市民の日常生活の利便性などへの積極的公共投資などがどのように施政方針に現れていますか。答弁を求めます。
市長
「平成24年度施政方針」におきましては、震災などにより顕在化しました新たな課第を踏まえ、「災害に強い都市の再構築」を図る施策などに、優先的に取り組むとともに、「市民生活の安定化」や「地域経済の発展」に向け、今、構ずべき、真に必要な施策を見極め、取り組むことが重要であるとの認識から、これらに資する事業につきまして、ソフト・ハードの両面から、積極的に推進することとしたところであります。
荒川議員
次に、大型公共事業計画について、具体的に伺います。まず、再開発についてです。
行政の助け舟で、整備する必然性もない公共施設の導入や、高層マンション主体の二荒山前の、二つの再開発は、税金を約83億円注ぎ込み、再開発とは、いかにデベロッパー・ゼネコン・銀行のためのものかを、市民に知らしめました。さらに、都心部には、マンション建設中心の再開発計画が目白押しです。高層高級マンション購入者のために、巨額の税金投入など必要ありません。ロイヤルホテル跡もマンションが建設されましたが、民間活力です。
そこで、市長に伺います。
こうした再開発への公の援助は、事業計画の成立・コンサルなどの支援まで、マンション建設は、民間活力にまかせるべきと考えますが、答弁を求めます。
次に、馬場通り西地区再開発による、165戸の高層マンション入居者ですが、これにより宇都宮市民は何世帯、何人増加したのですか。約20%・30戸は住民登録なしとも聞いています。投資目的かセカンドハウスということなのか、費用対効果から実態について伺います。
市長
市街地再開発事業につきましては、「都市機能の更新」や「防災面の強化」を目的とし、建築物とあわせて、都市基盤施設であります道路や広場などを整備する公共性の高い事業でありますことから、今後とも官民一体となって推進してまいります。
また、「馬場通り西地区」におきまして、新しく宇都宮市民となった方の世帯数や人数、住宅の購入目的につきましては、把握できておりませんが、165戸完売したと聞いており、「シティタワー宇都宮」が所在する「馬場通り一丁目」の統計データから推測いたしますと、約260人が入居しているものと考えられます。
このようなことから都市居住の促進が図られるとともに、創出された「バンバ市民広場」の活用による交流人口の増加と相まって、中心市街地の活性化に貢献しているものと認識しております。
荒川議員
次に、LRT計画についてです。
施政方針では、「引き続き、将来の公共交通ネットワークや、LRTなどの新交通システムに関する市民理解を促進する」と現局面をサラリと述べています。
ところが市長は、市役所外では、大変勇ましいことを言っているようです。「LRTは最有力、赤字・黒字だけでなく福祉の一部」「(LRT)は時間をかけずに進めてゆく、早くしなければ大企業が海外へ行ってしまう」「オープンハウスで公共交通へのステップワンは終った」「今年は市民に説明する年にしたい。市民理解が得られれば、大きく舵を切る」等などです。時を同じくして、福田富一知事も「震災後反対が少なくなった。可能性を追求したい」と、エールを送っています。こうした動きを受けて、JR
そこで市長に伺います。
市内のどこで市民に聞いても、LRT待望の声など少数です。市長と市民の、このギャップは一体何なのですか。市長がこれまで言ってきた「まず、市民説明で将来ビジョンを市民と共有する」はたてまえで、「LRT先にありき」が本音と、とらえていいのでしょうか。
次に、オープンハウス開催で、ステップワンは終ったと言いますが、人口51万人の内、わずか4千数百人の来場者をもって、市民理解が深まったり、共有できた、完了したと言えるものなのか。
それでは余りにもオープンハウス開催はアリバイ的ではないのですか。答弁を求めます。
市長
「市民説明における将来ビジョンの共有」につきましては、現在、市民理解の促進に向けまして、段階的な市民説明を実施しているところであり、昨年度から進めて参りました「宇都宮が目指すまちづくりと公共交通ネットワーク」に関する説明におきましては、平成23年8月から21会場、延べ69日間にわたり開催したオープンハウスにおきまして、「環境問題に対応したまちづくりを進めるべき」、「高齢化社会に向け、公共交通は必要不可欠」など幅広い年齢層の方々から多くのご意見を頂いたところであり、本市の目指すまちづくりの将来ビジョンや公共交通ネットワークの必要性につきまして、市民の関心を高めることができたものと考えております。
また、公共交通ネットワークの構築につきまして、より具体的な説明を求めるご意見も多くいただいたところであります。
このようなことから、今後は、渡辺議員のご質問にもお答えしましたとおり、これまでにいただいたご意見やご質問にもお答えできるよう、次のステップとなる「公共交通ネットワークと東西基幹公共交通」に関する具体的な説明を行うことにより、引き続き、市民理解の促進に努めてまいります。
荒川議員
次にJR
市議会日本共産党は、100年先まで持続可能な構想として、緑の少ない都心軸の都市公園として、駅東口にミヤ・セントラルパークを提唱しています。ゲートシティとやらは、駅西口がコンクリートの林なら、東口は全く別の顔があってもいい筈です。
さて、平成21年11月よりの、駅東口地区整備推進懇談会は、市当局の誘導のもとで、中核機能として、既に全国各都市に立派なものが多数存在する、コンベンション施設を導入することを結論付けました。時代遅れの20世紀型の駅前開発にしがみつき、2回も破綻したコンセプトの、化粧直しのハコモノづくりから、抜け出すことができませんでした。
そこで市長に伺います。6回の会議録を読みました。市当局の整備方針に対し、「よし、これでゆける」と確信に満ちている委員はいないと見受けられますがどうですか。
次に、市長の懇談会委員の選任が公平・適切であったのかです。残された唯一の大型開発の方向性を問うにしては、メンバーが片寄りすぎており、市民公募も2名では、そもそも始めから多様な市民の声は閉ざされた、雲の上の論議だったと思いますがどうですか、答弁を求めます。
市長
委員の選任につきましては、本市が定める「審議会・委員制度の改善に関する指針」に基づき、駅東口地区のまちづくりなどにつきまして、ご意見をいただくため、公募市民や地域の代表、学識経験者など各界各層から、幅広く委員を選任したところであります。
この懇談会での検討におきましては、導入すべき機能など、まちづくりの基本的な事項につきまして、これまで2年にわたり、様々な観点から十分にご議論いただいてきており、委員の総意により、取りまとめた提言書が平成23年度末に提出される予定となっております。
今後は、この提言書を踏まえ、実現性の高い本市としての整備方針の策定に取り組んでまいります。
荒川議員
第2に、第5期介護保険事業計画についてです。
改定介護保険法がこの4月から施行されるに伴い、本市においても2012年度より3年間の、介護保険事業計画が策定されています。
介護保険制度は、12年を経ようとしていますが、改定のたびに改悪され、今や高い保険料・利用料負担、深刻な施設不足、実態を反映しない介護認定や利用限度額、介護労働者の低い処遇と人手不足など、多くの問題が噴出しています。
そうした中で、市長は保険者として、「介護保険を安心して老後を暮らせるものに」との市民の願いに沿った計画へと、どのように反映させたのか、以下、主な課題について伺います。
1点目は介護保険料です。
第4期計画では、保険料基準額が年額44,700円でしたが、改定保険料は48,700円、4,000円の値上げとなっています。そこで、保険料設定の考え方について、また、低所得者への軽減対策について伺います。
保健福祉部長
今回の介護保険料設定に際しましては、介護報酬の改定などによる介護給付費の増加に伴い、保険料の基準額の大幅な増加が見込まれたところであります。
このような中、本市といたしましては、介護保険料の上昇の抑制を図るため、本市介護給付基金のできるかぎりの活用と、県からの交付金を充当するとともに、応能負担の視点での見直しを行なったところであります。
これにより、基準額を抑えるとともに、所得の多い方に、より負担をいただき、所得の少ない方の保険料の上昇抑制を図ったところであります。 また、第5期計画から、新たに可能となった第3段階の細分化につきましても、低所得者の負担軽減の観点から、実施することとしたところであります。
荒川議員
2点目は、待機者が深刻な特別養護老人ホームの整備計画について、待機者を解消できる積極的目標となっているのか伺います。
保健福祉部長
第5期計画における特別養護老人ホームの整備につきましては、入所申込状況調査をもとに、今後の高齢者人口の動向などを考慮し、待機者が解消できるよう、計画期間の3年間に必要となる施設整備量を計画に位置づけたところであります。
荒川議員
3点目は、介護労働者の処遇改善について介護職員の給与を月額1万5千円アップさせるとして設けられた、「介護職員処遇改善交付金」は今年度で終了します。今回の報酬改定により、処遇改善が前進できるのですか。
保健福祉部長
国におきまして、今回の介護報酬改定にあたり、介護労働者の処遇改善を目的とした「介護職員処遇改善加算」を新たに創設したところであります。 本市といたしましては、事業者に積極的に活用していただけるよう、県と連携を図りながら、制度の周知に取り組んでまいります。
荒川議員
4点目は、決定された介護報酬改定の問題点についてです。
介護報酬は、介護事業者に支払う「公定価格」であるとともに、介護サービスを具体的に決めるものです。2012年度は医療診療報酬改定と同じ年度に当たる、6年に一度の節目となりました。厚労省は、同時改定を社会保障・税の一体改革の実行・具体化の第一歩と位置づけ、医療・介護の本格的な削減・抑制方針を打ち出しています。
その改定された介護報酬をみると、施設介護に極めて冷たい仕打ちです。特養ホームでは、要介護度の高い人を受け入れる施設ほど報酬を高くし、ますます「中軽度者」の入所を困難にしました。また、相部屋入所への報酬を減額しました。老人保健施設では、在宅に移った人の割合や、ベッド回転率の高い施設の報酬を高くして、経営面から、入所者追い出しをはからせます。施設不足には責任を持たずに、強引に「在宅介護化」を推進します。
その受け皿はどうか。病院や施設の高齢者を、在宅介護に移す対策の切り札として、24時間対応の、巡回型訪問サービスが新設されましたが、既に必要な医療・介護が保障されるのか疑問の声が上がっています。本市では事業計画に入れてもいません。
その上、掃除・洗濯などの訪問介護サービスの基本時間を60分から45分に短縮し、在宅生活の支えさえ削り取ろうとしています。
こうして、実質マイナスの改定を行い、給付削減のための在宅化では、地域で安心して暮らす老後も、程遠いものになってしまいます。
市長は、こうした今回の介護報酬改定のもとで、市民を介護難民・在宅ケア難民にしないために、どうのぞむのですか。答弁を求めます。
保健福祉部長
今回の介護報酬改定も、本来の介護保険制度の基本理念に沿ったものであり、高齢者が要介護状態になっても、できるかぎり住み慣れた地域で、尊厳を持ちながら、高齢者自身が望む在宅での生活の継続を目指したものであります。
このようなことから、本市といたしましては、今回の報酬改定を踏まえ策定した介護保険事業計画に則り、在宅・施設サービスともに、必要な方に必要なサービスが提供できるよう、努めてまいります。
荒川議員
環境行政に入ります。まず、放射能汚染対策についてです。
放射能汚染と内部被爆に対する、市民の不安は根強いものがあります。元の状態まで戻すべき責任は国と東電にあります。本市が幸いなことに他市よりも放射線量測定値が低い結果の上に、市長は安住していることはないか、以下具体的に伺います。
まず、除染対策ですが、県内の重点調査区域の8市町で構成の、栃木県除染関係市町連絡協議会との連携についてどう対応しますか。
環境部長
「栃木県除染関係市町連絡協議会との連携について」でありますが、当協議会は、「放射性物質汚染対処特別措置法」に定められた「汚染状況重点調査地域」8市町と県が連携して効果的な除染等を実施するために設置されたものであります。
本市は重点調査地域に街頭しないものの、必要に応じて情報収集に努めてまいります。
荒川議員
また、本市の除染基準が、毎時1マイクロシーベルトは高すぎます。国の汚染状況重点調査地域を、指定する際の値として示した毎時0.23マイクロシーベルトに改めるべきと思うがどうですか。
環境部長
除染の目安とする数値といたしましては、平成23年8月の文部科学省・厚生労働省通知に基づき、「毎時1マイクロシーベルト以上の場合」としております。
荒川議員
次に、本市のホットスポット対策がまったく見えていません。各測定結果の一元的集約も行われていません。本市ではホットスポットは存在しないとでも言うのでしょうか。伺います。
環境部長
遠藤議員のご質問にもお答えいたしましたとおり、市民のより身近な場所で測定の実施に向けて、現在、検討しているところであります。
荒川議員
次に、保育園や学校等での測定体制について栃木市では地表から5p、鹿沼市では1pを新たに加えたとのことです。本市もこれは実行すべきものと考えますがどうですか。
環境部長
本市におきましては、児童・生徒の生活空間に配慮するという国の通知を踏まえ、「放射性物質 除染ガイドライン」を策定し、小学校以下では、地上50センチメートル、中学校では1メートルで測定を行なっているところであります。
荒川議員
次に、食の放射能対策について、4月からの新基準適用に当り、学校給食への検査体制の強化は、どのように行われるのか。また、鹿沼市が行っている、市民が農産物等を持ち込み、放射性物質の検査を依頼できる、測定室の設置を本市でも行ってほしいがどうですか。
環境部長
本市におきましては、衛生環境試験所に整備した測定器による給食食材の検査や、検査機関への調理済給食検査の委託を行うなど、検査体制の充実を図ってまいりました。
こうした中、食品中の放射性セシウムの新たな基準が、本年4月から適用される予定でありますが、測定器の性能も含め、現在の検査体制で十分に対応できるものと考えております。
次に、「市民が農産物等を持ち込み、放射性物質の検査を依頼できる測定室の設置について」でありますが、現在、栃木県消費生活センターにおきまして、市民の方々が持ち込んだ農産物等の放射性物質簡易検査を実施しており、これまで本市で受付した検査件数は5件となっております。 今後もこの検査を活用することで、対応できるものと考えております。
荒川議員
次に、エコシティ宇都宮問題についてです。
エコシティの破綻の成り行きは、ご承知の如く、補助金の返還をめぐる県との静かなバトルの様を呈しています。そもそも、何とも曖昧な国の補助金に飛びつき、国・県・市と経由した補助金を巡って、その「三者が責任逃れ」と指摘されています。
エコシティに消えた2億6千万円、事業者が不払いなら、補助金返済額約2億円も、血税ということです。こんな事業を推進した国・県・市が、誰も結果責任を負わず、税金で済ませばいいなどということは、市民は許さないでしょう。事業者は勿論、補助金の性格・流れからしても、国・県・市が、それぞれの責任を明確にすべきと考えるが答弁を求めます。その点を省いての、市民の血税での安易な県への返済・国の返還請求など、認めるわけにはゆきません。
エコシティのこの間の事業実態・実績・経緯を見ても、いかにずさんな事業者だったか、そして、国・県・市三者の事業計画等の審査も、ずさん以外の何ものでもなかったことは明らかです。計画段階で事業化に関った前市長の福田富一知事も反省を口にしていますが、エコシティによる事業化に当たって、なぜ甘い態度に流れてしまったのか、自分の胸に手を当てて、自己分析をしていただきたいものであります。
この問題は、市議会でも繰り返し取り上げられてきました。執行部の答えは、昨日の答弁もそうでした。それぞれの場面で「適切な対応を行い、市の責任を果たしてきたものと考えております」の繰り返しです。そこで、ここに至っては、結果に責任を負わぬ、そのような態度・答弁は改めるべきと思うがどうか。さらに、事前協議から事業計画承認に至った検討経過、背景について、退職職員まで草の根分けて徹底的に調査・分析を行い、市民に結果と教訓を明らかにすべきと考えるがどうか。また、事業者に対し、補助金返還請求以外にも、何らかの法的手段を模索すべきと考えるがどうか。3点に答弁を求めます。
環境部長
本事業は、国の「バイオマスの環づくり交付金実施要綱」に基づき、株式会社エコシティ宇都宮から提出された事業実施計画につきまして、市が必要な指導、調整を行なったうえで、県・国の役割に応じた審査などを経て補助金が交付決定されたものであります。
また、本市におきましては、補助事業の適正な実施を促進するため、国の実施要綱に基づき、エコシティ宇都宮に対しまして、事業実施に係る技術的な助言や指導を行うなど、国・県と連携を図りながら適正に対応しており、市の役割は果たしてきたものと考えております。
本市といたしましては、エコシティ宇都宮に対しまして、返還を求めていくことが当面の対応であると考えております。
荒川議員
次に市監査報告について質問します。 定例議会ごとに、4名の監査委員連名による報告が提出されています。
税金の使い道、その処理が適正に行われているのか、市民のその判断と信頼の拠り所は監査報告にあるとも言えます。この間、市民からの指摘もあり、監査のあり様について調査の機会がありました。すると病気などにより監査業務を欠席した監査委員の場合でも、他の監査委員と肩を並べ、署名押印された報告書となっています。これでは市の重要な監査がしっかりと、8つの眼で行なわれたかどうかの確認は、委員の出欠状況をいちいち確認しなければ、市民にはわからないことになります。
そこで伺いますが、この様な監査報告の背景には、監査の形骸化があるのではないですか。監査の信頼性を著しく揺るがすものではないのか。市長及び代表監査委員の答弁を求めます。
代表監査委員
「監査の形骸化があるのではないか」についてでありますが、本市におきましては、監査の結果報告書につきまして、監査委員が、事務局に予備的な調査を行わせ、その報告を受け、また、必要に応じての現地調査や、所管部局に対しての質疑などを行った上で、各委員のそれぞれの知見や見識に基づく意見を述べ、監査委員として集約し、その合議に至った結果を議会や市町に提出しております。
荒川議員
今回は議会選出の監査委員の、やむを得ぬ病気欠席により、この件がわかりました。そこでこれまでにも、こうしたケースがあったのではないかと思いますが、その有無について伺います。
また、他の監査委員と同様の監査が不可能だった委員の場合は、監査報告書の署名に加えることはすべきでないと思いますが、答弁を求めます。
代表監査委員
全く同じようなケースではありませんが、欠席した委員がおり、その間に実施した監査に関し、必要な情報の提供を行い、監査の結果報告書につきましては、記名押印して提出したことがあります。
次に、「監査報告書の署名に加えるべきではない」についてでありますが、地方自治法に基づき設置された監査委員は、1人1人が独立して職務を執行する独任制の執行機関でありますが、監査の結果報告書につきましては、監査委員の合議によるものとされております。
このため、各委員は、それぞれの見識に基づく意見の集約をしておりますことから、委員全員の連名で提出すべきであると考えております。
荒川議員
次に市南部地域の諸課題について3点伺います。
1点目は、陽南プールの再整備についてです。
本市は50万都市でありながら、市営の温水プールもない都市でした。辛うじて河内町との合併により、温水プールを持つ都市の仲間入りをすることができました。
プールは水泳競技だけでなく、子どもたちにも愉快な時間を提供しています。ところが数少ない市営プールのひとつである、水上公園プールも老朽化による廃止が今議会議案として上程されています。
かつては子どもたちのにぎやかな歓声が聞こえていた陽南プールも老朽化とともに昨今は大変淋しくなっています。そこで、市の南部にもう一つくらい、市営温水プールがあってもいいと思いませんか。
これからのプールは、子どもたち中心だけではありません。高齢者にとっても、時にはリハビリも含めた、愉快な居場所となるのではないでしょうか。限られた社会資源を高齢化社会に対応して作り変えること、これが陽南プールの、今後の歩む道と思いますが答弁を求めます。
教育次長
「陽南プール」につきましては、昭和44年に整備した後、40年以上経過しており、本市スポーツ施設の中でも、老朽化の進んでいる施設の1つであります。
また、昭和60年代以降、周辺市町も含め、地方公共団体や民間企業が、屋内プールやレジャー機能を備えた屋外プールの整備を進めてきた中で、当施設は、レジャー機能を備えておらず、夏のみの開場しかできないなど、市民ニーズに対応できていないことから、利用者が著しく減少しております。
このようなことから、当施設については、現在、見直しを進めております。
「スポーツ施設整備計画」において、水上公園プール廃止後の状況を踏まえながら、「廃止に向けて検討していく」としたところであります。
議員ご提案の、温水プールの整備につきましては、県の総合スポーツゾーン構想における施設整備のあり方を見据えるとともに、本市における中・長期的な課題として、調査・研究してまいります。
荒川議員
2点目に、旧かすが園・若葉園の活用についてです。
東武江曽島駅やバス路線など、交通至便な所にあった2つの園が、市発達支援センターに移転したため、跡地と建物はすでに5年もそのままになっています。聞くところによると、一部が目的外使用され、宮まつりの資材物置にしていたとの話もあります。建物は使用しなければダメになります。
そこでなかなか進まぬ、この活用方策ですが、福祉分野の利用など、一定の条件を定めて福祉団体・NPO・地域団体などによって、提案競技を募集したらどうでしょうか。提案競技はゼネコンやデベロッパーのための専売特許ではないはずです。
切実な要求に根ざした、市民の知恵と力に依拠した取り組みを展開する価値があると考えますが見解を求めます。
保健福祉部長
旧かすが園・若葉園につきましては、平成19年4月に、子ども発達センターが開設されたことに伴い、障がい児のための通園施設としての機能を廃止したものであります。
建物につきましては、両施設とも、建築後40年以上を経過し、老朽化が進んでおりますことから、新年度において取り壊しを予定しているところであります。
跡地の活用方策につきましては、障がい福祉分野としての活用を含め、本市として、最も有効な活用方策の検討を進めており、その具体化に当たりましては、議員ご提案の「提案競技」などの手法につきましても、併せて検討しているところであります。
荒川議員
3点目は江曽島ロータリー周辺の歩行者・自転車通行者の安全確保についてです。
江曽島ロータリーから東西に砂田街道に至る市道の整備やアピタ出店などにより、ロータリーそのものの通行車両は、近年極めて多くなりました。そのため、高齢者・女性・学生などが横断に立往生する場面が、ロータリー出入口で目立っています。ついては、近辺に横断歩道のない南側と東側の歩行者等の安全確保対策について伺います。またこのロータリーは現状のままでいいのか?
今後のあり様について検討がなされるのか伺います。
市長
江曽島ロータリー周辺につきましては、商業店舗のほか、県営住宅や戸建住宅が密集した地区であり、陽南小学校や緑が丘小学校が近接し、陽南中学校の通学路にも指定されている路線となっております。
まず、「ロータリー東側の交差点」につきましては、近隣住民からご要望をいただき、交通管理者と協議を進めてきた結果、今月末までに、横断歩道が設置される見込みであります。
また、「南側の交差点における安全対策」につきましては、地元住民や交通管理者と協議してまいります。
次に、「ロータリーのあり方」につきましては、現在の交通状況や地域特性を見極めるとともに、地元自治会などのご意見を伺いながら研究してまいります。
今後とも、誰もが安全・安心に利用のできる道路整備に努めてまいります。
荒川議員
質問の最後に教育行政について伺います。
1点目は、この4月からの中学校武道必修化、とりわけ柔道について、私は昨日の工藤議員同様、大変危惧しています。幸い、新年度は市内では柔道を選択した学校はないとのこと、一安心しています。
文科省の外郭団体である日本スポーツ振興センター発行の「学校管理下の死亡・障害事例と事故防止の留意点」によると、過去28年間で、柔道では114人が死亡し、275人が重い障害を負う事故が続いてきました。最近10年間の中学校部活動における死亡確率も、柔道が飛び抜けて高くなっています。
有段者の指導者が「根性をつける」と何度も投げ飛ばす、上級生が初心者の後輩に危険な投げ技をかける、こうした事例は枚挙にいとまがありません。柔道における重大事故を防ぐには、安全配慮をしっかりと心がけた指導者の育成、指導や練習という名ももとにまかり通っている体罰やしごき、いじめ根絶が欠かせません。
しかし、文科省は、学習指導要領の中で、頭部損傷に至る危険性が最も高い、大外刈りなどの投げ技を中学1年2年の学習内容の例にまであげています。ここには、これまでの事故を医科学的に解明して、再発防止策を立て、指導者研修を行うべき、文科省の武道必修化の前提が欠けています。
ついては、教育長は、武道必修化による柔道の危険性をどう認識しているのか、また、きちんとした文科省の再発防止策が確立できるまで、新年度にとどめることなく、慎重な対応に徹するべきと思いますが答弁を求めます。
教育長
柔道の履修にあたりましては、受け身の指導の徹底などにより、安全を十分確保して指導する必要があるものと認識しております。
本市におきましては、工藤議員のご質問にお答えしましたとおり、新年度、すべての学校が剣道を選択し、履修する予定でありますが、今後、学校が柔道を選択しようとする場合には、指導者の確保や指導内容の精選など、事故防止対策を十分講じた上で、対応してまいりたいと考えております。
荒川議員
次に放射線副読本についてです。
文科省は原子力発電安全神話に基づく、小中学校副読本が、誤った記述も多く、回収などの措置を取らざるを得ませんでした。ところが度し難いと言うべきか、この4月からの小中高校での、放射線教育用の文科省作成の副読本が、これまた問題で、大きな批判が各地で生まれています。
この副読本も文科省が「原子力文化振興財団」に委託して作成させたものです。この財団は「プルトニウムが含まれた水を飲んでも安全」とするキャラクター、「プルト君」を産み出して批判を浴びた財団、いわゆる原子力村の典型です。ですから、その内容は推して知るべしです。この副読本には特に3点の大きな問題点があります。
1つは、原発事故の深刻さや原子力発電についての記述が不十分であることです。
原発に、ひとたび重大事故が発生すると、自然界に存在する放射線量とは比較にならない大量の放射線が放出されることは教えず、放射能は元々自然界に存在し、医療や産業でも利用しているものと、放射能との共存ばかりを強調する内容となっています。小学生向け副読本の表紙は「スイセンから放射能」「空気からも放射線?」というものです。
2点目は、放射線についての説明が不正確であることです。
例えば、中学生向けでは、「放射線は体を通り抜けるため、体にとどまることはなく―」との記述に至っては、あたかも外部被曝は何の心配もないかのような印象を与えるものになっていることなどです。
3点目は、子どもたちが健康を守るために、自ら注意をはらい、対処する大切さについての記述が欠落していることです。
副読本は、子どもたちが正確に学べる教材でなければなりません。子どもたちも原発事故を受けて、正確なことを知りたいと思っているのではないでしょうか。
そこで伺います。
小中学校はもとより、図書館なども含めて、放射線に関するこんな副読本は配布せず、授業でも使用すべきでないと思いますがどうですか。
また国に対して「放射線にかかわる副読本」の内容の改定を求めるべきと思いますがどうですか。以上答弁を求め、私の代表質問を終ります。
教育長
昨年3月の福島第一原子力発電所の事故以降、放射線に対する不安や関心が高まっていることを受けて文部科学省では、児童生徒に放射線等について理解を深めさせ、自ら考え、判断する力を育むことが大切であるという考え方のもと、学校教育における指導の一助として、小学校、中学校、高等学校用の放射線副読本を作成し、各学校に配布いたしました。
この新しい副読本につきましては、事故により放射性物質が飛来してくる可能性や一度に多量の影響が出ることを指摘し、非常時における放射性物質に対する防護や避難の考え方など、放射線から身を守る方法について述べられております。
また、放射線等の基礎的な性質を従来の副読本と比較してより分かりやすく説明していることに加えて、新たに、放射線量と健康との関係や外部被ばくと内部被ばくなど、放射線による人体への影響について取り扱われ、受ける放射線量をできるだけ少なくすることの大切さなどが記述されております。
このようなことから、児童生徒が放射線等の基礎的な性質を学ぶ上で役立つと思われますので、授業の参考にしてまいりたいと考えております。
荒川議員
施政方針との関係で、LRTについて再質問したいと思います。今年度で、今行なっている公共交通ネットワークについてのオープンハウスというのは次の段階に入っていくのだということでありますが、本当に、先ほど言いましたように、市民の理解が深まっているのか、これはまだまだこれからではないのかと思うのです。そういう中で、今日はここに、「清原地域ビジョン策定に関するアンケート調査結果」、これは平成23年9月に清原ビジョン策定委員会が取りまとめたものであります。市長はLRT問題では清原に行くと、最も元気になると聞いておりますけれども、この結果の中で、「交通分野を実現するために何が必要だと思いますか」と、この中で、新交通システムの整備は1405人、直通バスの増便が1621人。市長、清原でも新交通システムよりも直通バスの増便をあげた人のほうが多いのですよ。これはまだ、市民への公共交通そのものの説明が不足していることの何よりの証明だと思うのですが、いかがでしょうか。
総合政策部長
この市民説明、段階的に進めていると先ほど説明したとおりでございまして、まずステップ1につきましては、本市のまちづくりの将来像、それから公共交通についてということでございますので、今の意見などもまた、バスあるいは手法などということではございますので、そういう公共交通、これからの超高齢者社会、大変必要になってくるというのは多くいただいておりますし、ステップ2はそれをどのように構築していくのか、そういう区分けをしているところでございます。
荒川議員
いずれにしても、宇都宮の一大プロジェクトなわけですよね。そういう点ではこれの前提となるということで始めたこの公共交通システムのそのものについて、市民に理解をしてもらうと、やはりここのところでの説明をどれだけ厚く、そして広範に行って、市民に基本的理解をきちんとしてもらうこと、これが次に進んでいくためにも、やはり大前提で最も重要な部分だと思うのです。これを、もうステップ1は終ったなどと言うのは、先ほどの結果なども含めてもそうでありますが、これはちょっと進め方としてはおかしいと思うのですが、もう一回答弁をお願いしたいと思います。大事にしないのですか?そういうところは。
総合政策部長
そういうステップを踏んだ説明をしているということで繰り返しご答弁しておりますが、そういう公共交通のニーズ、大変高いということでございますし、またそのオープンハウス、69日間、職員が直接肌で感じて意見を聞いてまいりましたが、それをどういうふうに構築するのでしょうかと、あるいはその方法はどうなのでしょうかという声を多数受けております。そういうことから、それを一体どういうふうに今後作っていきましょうかということについての説明に入る時期が新年度でございますが、予定しているところでございます。
荒川議員
次に介護保険に入ります。先ほどの答弁で9段階11区分の方式を新年度とって、応能負担をとると、それから、第3段階の低所得者対策についても、2区分にしたと、これは、評価いたします。しかし、最も保険料の軽減を適用しなければならないのは、第1段階、第2段階だと思うのです。そこでお聞きしますが、この段階についても、第5期の総合計画では、保険料率の変更は可能になったと思うのですがどうですか。
保健福祉部長
第1段階、第2段階の保険料率設定につきましても、従来から自治体の裁量によって設定することが可能になってございます。
荒川議員
第1段階、第2段階の介護保険料というのは、基準保険料の0.5となっていると思うのです。年に24300円、2000円値上げに今年もなりました。この第1段階、第2段階、第1段階はとにかく生活保護者と老齢福祉年金で、1か月1万か2万しかもらっていない人の段階です。第2段階は、所得と年金の収入が80万以下、もちろん非課税世帯でありますけれどもそういうことになっております。そうしますと、この0.5という本当に過酷な保険料を納めている段階なのでありますけれども、この保険料を半分に減らす、つまり0.25に、可能な保険料率をもし適用すれば、いくらのお金が必要なのか、計算してみました。約16000人の被保険者とそれに半額のお金を掛けて、それに3年間の計画ですから3年を掛けます。そうすると、大体6億円、これくらいになると思うのですけれども、金額間違いないでしょうか。
保健福祉部長
仮りに第1段階と第2段階につきまして、税率を0.5から0.25に引き下げますと、議員が試算された金額とほぼ近い金額、概ね7億円ぐらいになるのかなというふうに思っております。
荒川議員
そこで先ほど答弁にありました介護給付基金ですけれども、今回も取り崩したということですが、第5期ではいくら取り崩して、残額はいくらになっているのですか。
保健福祉部長
今年度末で、約23億円の残額があるのかなというふうに見込んでおりまして、1か月分程度期間中については保有したいという考えがございます。こういったことから、7億円を取り崩す計画でございます。
荒川議員
7億円を取り崩して20億円を残していると、これが今の話では1か月分に該当するものだということだと思うのですが、20億円もの基金を本当に残す必要があるのかと。それで確かに国民健康保険などは、予期しない鳥インフルエンザなどが猛威を振るったり、何かした場合には、これは給付費が大きく超過することはあり得るかも知れません。しかし、介護保険では、要介護認定者が大挙して他市から流入してくるなどということは考えられないわけでありますから、20億円1か月分も残しておくなどということは、何を想定してこういうことをやられるのですか。
保健福祉部長
私ども基金の活用につきましては、1か月分保有しております。それは、不測の事態に応じた支出に備えてということでございますが、これは単年度だけで考えわけではございませんで、3年間の間で必要な経費が生じた場合に対応できるように、残しているところでございます。
荒川議員
3年にしても、いまだかつてもないですし、不測の事態が一体何なのかということですよ。例えば、不測の事態が起きたときには、県の財政安定化基金、ここからの支援がありますよね。それから「不測の事態」と今言いますけれども、新年度の介護保険の予算でも、1億8千万の基金の積み立ても予算化をしているわけです。そういうことになれば、それなりのもう二重のストッパーがあって、さらに20億円も残すなどということは、これは本当に必要ないのじゃないですか。何を想定して20億円残さなくちゃいけないのですか。そういう中で。
保健福祉部長
介護保険料につきましては、支出の項目の大半は給付費でございます。給付につきましては、今後の高齢者の伸びとか、その時の認定の状況とか、そういうものによって左右されるわけでございます。今後3年間、高齢者の伸び率については、一定程度それほど大きな予測違いは発生しないと思っておりまして、この認定者の動向が一番左右するのかなと思っております。それと、これから施設整備を進めておりますけれども、その施設整備のサービス利用者、これの増加部分が、我々が見込んだよりも多くの方々が利用した場合については、これは充当せざるを得ない、その要因といたしましては、施設サービスの充実、あるいは在宅サービスの充実に伴う利用者の増、これが一番大きな変動要因かなと受け止めております。
荒川議員
今の説明ですけれども、特養老人ホームも、4期から比べると大変少ない施設しか計画していない、文字通り国の在宅化の方向で、それに右へ倣えをして、施設整備も大変少ないものになっています。その整備目標に予算を組んでいて、それがもしかしたらもっと増えるのかもしれない、そんなものは想定のうちの金額であって、20億円をそれは3年間で6億5千万ずつ使う、そんなことになるものではないと、このように思うわけです。じゃなければ予算をもう一回組み直してください。そんな給付が多くなっちゃうから心配なんだと言うなら、それは予算がおかしいのだから。
それはそれでいいです。
そういう中で、もう一つお聞きしたいのですが、その1か月分を、これは65歳以上の高齢者の被保険者のお金を溜め込んでいるだけの話なのですけれども、それを1か月残さなければならないというのは、これは絶対にそうしなくてはならないのですか。
保健福祉部長
保険者としての安定的な制度運営をしていく責務だと思っております。
荒川議員
今のように、安定的な制度だとか言っているのは、国が準備基金を1か月分残しなさいと、残さなくては駄目ですよと、こういうふうに言っているのですか。
保健福祉部長
保険者に義務付けられているものではございません。絶対的な義務として、義務付けられているものではございません。保険者が会計を運営していく上での責務と思っております。
荒川議員
実は国のほうでは、第5期の保険料をどれくらいにするかという試算の中で、この給付基金については、これは半額取り崩す、こういうことを前提に介護保険料の計算の試算をしているのです。これはご存知ですか。
保健福祉部長
国における算定の試算の根拠が1か月分相当なのか、2か月分相当なのか、そのへんについては承知しておりませんが、私どもとしては、保有している基金につきまして、最大限活用して、保険料の抑制に努める、そのような国のほうの意思が働いていると受け止めております。
荒川議員
国のほうでは、準備基金はできる限り取り崩して、それで保険料の軽減に回しなさいと、これが方針です。明確な。それで県の安定化基金さえ、今年は取り崩せということをやらせたわけですから。こういう中で、今迄そういうふうに「大変だ、大変だ」と言いながら、この3年間で、3年前に15億だった基金が27億まで、この4期だって増えてきたのでしょう。そういうことからしても、20億をここで残しておくなどということは、そんなことを言うのは、被保険者が納めた、貯めこんだお金をなんとしても抱えちゃって離さない、そして、1段階、2段階の人たちが、どんなに過酷な保険料で大変な状況でも、それについては見てみぬふりと、こういう姿勢になるわけです。そこで市長に最後に保険者としてお聞きをしたいのですが、1か月5万、6万で必死に生活しているという、こういう人たちのために、今の状況で、取り崩す気になれば取り崩せるのです。市長は、施政方針の中で、「50万市民、一人ひとりの幸せと夢や希望の実現に向けて持てる力を余すことなく発揮する」とこう結んでいるわけでありますが、せめて、1段階、2段階の人たちの保険料についても軽減を決断してもらいたいと思いますが、答弁をお願いしたいと思います。
保健福祉部長
私どもといたしましては、今回の保険料の設定にあたりまして、できる限り低所得者への配慮もした上で基金の取り崩し、それから所得のある方へのより負担の増加によって全体的な保険料の抑制に努めたところでございます。
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