2011127日 福田くみ子議員の一般質問と答弁

福田議員

 発言通告に従い順次質問してまいりますので、市長及び所管部長の明快かつ前向きなご答弁を期待いたします。
 まずはじめに、市長の政治姿勢の項では、2012年度予算編成について伺います。311東日本大震災と福島第1原発事故は、深い悲しみと不安のうちに、日本社会の“風景”を一変させています。今多くの国民が社会や政治のあり方に疑問をもち、価値観と人生観を変えつつあります。
 私は、あまりにも多くの命を奪い、人々の暮らしを根こそぎ壊した311に直面して、国民・住民のいのちと暮らしを守ることこそ、政治と行政の根本的課題であり最大の使命であることを痛切に突き付けられた思いです。
 今回の大震災と原発危機という未曽有の国難ともいうべき事態のもとで、佐藤市長は、市民に最も身近な地方自治体のトップとして、地方政治・行政に何が問われどういう立場で臨むべきだと考えますか。また、2012年度予算編成にあたりどのような点に具体化しようと考えていますか?市長の見解を求めます。
 また、厳しい財政状況が進行する中で、具体的施策について5点、その方向性を伺います。

市長

 このたびの大震災では、日頃の市民生活や都市活動における「安全・安心」や、家族、地域の「絆」の大切さにつきまして、再認識したところであります。
 私は、地方自治体の長として、リーダーシップを余すことなく発揮し、市民の皆様と一丸となってこの難局を乗り越え、不安感や閉塞感を払拭し、宇都宮から元気を発信できるよう、市政運営にあたっていこうと決意したところであります。
 このような中、予算編成にあたりましては、大震災からの復興はもとより、このたびの震災により改めて顕在化いたしました「安全・安心なまちづくり」、さらには、「子育て支援」や「中心市街地の活性化」「産業の振興」など、喫緊の行政課題に的確に対応し、魅力と活力にあふれるまちとして、持続的に発展していくための予算となるよう、全力で取り組んでまいります。

福田議員

 1、原発に対する見解と再生可能エネルギーへの転換について、これまでの延長線上ではない積極的取り組みについて 

市長

 本市におきましては、以前から「住宅用太陽光発電システム設置費補助」の実施など、再生可能エネルギーの積極的な普及促進に取り組んでおり、今後、その重要性がより一層高まってくるものと考えております。
 また、原子力発電を含め、エネルギー政策につきましては、国策でありますことから、今後の国における議論の方向性を見極めるとともに、本市といたしましては、新たな再生可能エネルギーの技術開発の進展などを見据えながら、その利活用につきまして、検討してまいります。 

福田議員

 2、災害への備え、防災のまちづくりを行政の土台に据えることについて 

市長

 このたびの震災を踏まえ、「災害に強いまちづくり」は、重要でありますことから、「地域防災力の強化」や「情報伝達手段の充実」、学校や橋梁など、「公共施設等の耐震化」などの取り組みを進めてまいります。

福田議員

 3、戦後最多水準となっている生活保護問題への対応について

市長

 本市の生活保護受給者は本年111日現在、8,064人、5,871世帯で、全国と同様に過去最多を記録しており、今後も厳しい経済動向を踏まえますと、増加傾向は継続するものと推測しております。
 このようなことから、新年度予算につきましては、厳正な認定に基づき、生活保護受給対象者を的確には把握すること、生活費、医療費、住宅費などの保護費を適正に執行すること、さらに生活保護受給者の自立支援の強化・充実に努めること、これらを踏まえまして予算編成に取り組んでいるところであります。

福田議員

 4、大手ゼネコンばかりが儲かるマンションや商業ビル建設中心の大手地区・バンバ地区再開発への巨額の補助金、箱モノ中心のJR宇都宮駅東口開発ついて

市長

 大手地区やバンバ地区をはじめとする市街地再開発事業につきましては、都市機能の更新を目的とし、都心居住の推進や中心市街地の活性化を図る上で、大変有効な手法の一つでありますことから、今後とも推進してまいります。

 次に、「JR宇都宮駅東口地区整備事業」につきましては、中心市街地の活性化やネットワーク型コンパクトシティにおける都心拠点の形成につながり、本市が将来にわたり発展を続けるための重要な事業でありますことから、今後とも早期事業化に向け、取り組んでまいります。

福田議員

 5、住宅リフォーム助成制度の効果的な活用について。以上5点について新年度予算編成にあたっての市長の見解を伺います。

建設部長

 本市におきましては、誰もが安心して豊かに暮らせる、居住環境の実現に向け、住宅に長く住んでもらうための取り組みが重要と考えております。
 住宅リフォーム助成制度につきましては、熊本議員のご質問にお答えいたしましたとおり、安全・安心で環境にやさしい良質な住宅ストックを形成していくことが、最も重要でありますことから、住宅改修補助制度の創設に向けて取り組んでまいります。 

福田議員再質問

 まず、新年度予算編成についてのうちの住宅リフォーム助成制度についての効果的な活用についてということで質問させていただきます。
 市民のためにいいというふうに考えられることは、みんなで力を合わせて少しでも前進をさせたい、そういう思いがあるわけです。共産党としてはこれまで9回ほど議会で取り上げてきたのですけれども、多分、来年度の予算でこれが実現をされるというふうに受け取ったのですけれども、実際に導入の時期について確認をしたいと思いますが、まずお願いいたします。

建設部長再答弁

 現在、取り組みにつきましての内部の制度設計について具体的に進めているところでございます。また、この手のご存知の通り制度につきましても、他補助制度もございますので、その補助制度と整合をさせながら進めていきたいというふうに考えてございます。

福田議員再質問

 質問に答えていただきたいのです。時期についてどうですかという質問なのですけれども、もう一度お願いいたします。

建設部長再答弁

 現在取り組みを進めていくということで、ご答弁しているとおりでございますので、今後は、取り組みについて具体的な方法につきましても今後つめていきたいというふうに考えてございます。

福田議員再質問

 まだ時期が明確に決まってはいませんとか、そういうふうに答えていただければ、それはそれで済むのです。そういうことでよろしいですか。

建設部長再答弁

 失礼いたしました。時期につきましては今後つめていきたいというふうに考えてございます。

福田議員再質問

 はい、ありがとうございます。先ほども全体の質問の中でも私、話をしたのですけれども、一般住宅の耐震化の問題、それから、今修繕が必要な、今度の震災において破損した住宅なども、まだまだ残ってございます。そういう意味から、一日も早くこの制度を導入されることが、効果的な運用に繋がっていくことというふうに思っております。それと合わせまして、熊本議員もおっしゃっていましたけれども、太陽光発電の導入、エネルギー政策の転換というところでも大きな効果を発揮していきます。ひいては、何度もこれは申し上げてきたところですけれども、これには触れていただかなかったのですけれども、地域経済の活性化に何よりも効果的だと、大きなハウスメーカーに仕事を持っていかれるのではなくて、地元の業者さんに直接仕事が起きるということでの経済効果というのも、私は望めると思っております。ですから、一日も早い導入をお願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

建設部長再答弁

 取り組みにつきまして、積極的に進めていきたいというふうに考えてございます。

福田議員再質問

 それではぜひお願いいたします。

福田議員

 次に災害からいのちと暮らしを守る取り組みについて伺います。
まず、現在すすめられている地域防災計画の修正について伺います。災害対策本部での修正作業と並行して、市議会の災害対策調査特別委員会でも調査研究をすすめ、この程中間報告として防災計画見直しに向けた提言を行ったところです。計画修正の完成は2012年の秋になるとのことですが、東海・東南海・南海沖地震など、巨大地震が高い割合で起きるとの予測がされる中では、前倒しでできることは、できる限り前倒しですすめ、新年度予算にも盛り込むべきと考えます。市長の見解を求めます。

行政経営部長

 本市では、震災対応を踏まえ、「庁内の情報伝達体制強化」や「放射線対策」など、早急に対応すべき課題につきましては、防災関係機関からのご意見、「市議会災害対策調査特別委員会」の中間報告などを踏まえ、MCA無線の増設や、「放射線等対策分科会」を設置し、「除染ガイドライン」を策定するなど、積極的に取り組んでいるところであります。

福田議員

 また、地域防災計画は、被害想定調査を前提として策定され、被害想定結果によって計画の対策事項やその数量等が決められます。しかし、巨大地震が高い確率で予測される現在、求められる防災計画は、被害想定と関連させた被害の軽減目標、対策の優先順位、スケジュールや必要予算などを明確にした戦略的な実行計画とすべきと考えます。防災対策の目的は明確であり、それに必要な対策と施策を重点的・計画的に推進する戦略的な実行計画への修正を求め、市長の見解を求めます。

行政経営部長

 地域防災計画の具体的な対応を定めた個別マニュアルにつきましても、この度の震災対応の課題を踏まえ、より実効性の高いものとなるよう、整備・見直しを進めてまいります。

福田議員

 防災計画についての3点目に、計画を決定する宇都宮市防災会議についてです。宇都宮市防災会議のメンバーは、条例により国、県、民間の防災関係機関から構成されることとなっています。こんどの震災において教訓とされることの一つに、地域のコミュニティの大切さが強調されています。また、女性の視点での備えの不足、避難所運営の際に発揮された女性パワー、災害の混乱時に起こりがちである女性の権利侵害の数々など、女性の立場からの意見を計画に反映させることも必要です。これらを踏まえ、防災会議のメンバーに女性と地域の代表を一定数加えるように条例改正をすべきではないかと考えますが市長の見解を求めます。

行政経営部長

 市の防災会議の組織につきましては、災害対策基本法により、県防災会議の例に準じて、市の条例で定めることとされており、本市におきましては、条例により、防災会議委員を、国、県、民間の防災関係機関などから充てることと定めております。
 しかしながら、防災対策を講じるに当たりましては、女性や地域の皆様、障がい者、高齢者の方々など、幅広い視点から、様々な声を取り入れることが重要であると認識しておりますことから、政策広報や出前講座、地域の防災組織などを通じて頂いたご意見を計画に反映させてまいります。

福田議員

 防災計画の4点目に、防災指導員の養成について伺います。内閣府では、自主防災組織の活性化を図るため、地域防災活動をきめ細かに指導できる防災指導員の養成を提唱、静岡県の取り組みを紹介しています。防災指導員は、市町村が選任し、災害図上訓練を中心とした実践的な訓練、避難所の運営などの実施方法を研修し、各種台帳の作成、防災マップの作成、避難生活計画の作成、避難所運営訓練などを行います。静岡県では、東海地震等の大規模災害発生時に備え、H14年度から「ふじのくに防災マイスター」と称した地域防災指導員の養成を開始、沼津市や静岡市の先進市では、小中学校区に1名の指導員が配置されています。宇都宮市においても、地域防災力を育て強化するために防災指導員の養成は大変効果的と考えますが、市長の見解を求めます。

行政経営部長

 地域防災の充実・強化を図るためには、防災士や議員ご指摘の「防災指導員」の活用などが考えられますが、まずは、自主防災会をはじめとする地域組織が一体となり、効率的な防災活動を実施できる体制構築が重要でありますことから、地区の防災訓練などを通じ、地域の支援を充実してまいります。

福田議員

 この項の2つ目に、公共施設および、一般住宅の耐震化について伺います。防災計画を戦略的な実践計画とする一つの柱は、被害の軽減の数値目標をどれくらいにするのかが重要です。そのための具体策の1つは、耐震化と考えます。学校、保育園、幼稚園、地区市民センターなどの公共施設の耐震化は、早急に100%まですすめること、同時に木造一般住宅の耐震化を大きくすすめることは、必須条件です。それらの対策について市長の見解を求めます。

都市整備部長

 「公共施設の耐震化」につきましては、平成19年に、「宇都宮市建築物耐震改修促進計画」を策定し、計画的に耐震化を進めてきたところであります。
 このうち、学校施設の耐震化につきましては、熊本議員、金沢議員のご質問にもお答えいたしましたとおり、平成27年度までの完了を目標に実施しているところであり、国の平成23年度第3次補正予算を積極的に活用し、平成24年度以降に本市が計画した耐震化工事の前倒しを図るなど、事業の早期完了に努めてまいります。また、その他の施設につきましても、引き続き、計画的に耐震化を進めてまいります。
 次に「一般住宅の耐震化について」でありますが、これまで、耐震化の必要性についての普及活動や耐震診断及び耐震改修に対する補助制度などにより、住宅の耐震化を促進してきたところであります。
 東日本大震災以降、市民の耐震に対する関心が高まっていることから、今後とも、更に、耐震化の必要性についての普及啓発に努めるほか、補助制度の周知徹底により、住宅の耐震化を促進してまいります。

福田議員

 この項の3点目に清原中央小学校の復旧工事方針について伺います。清原中央小は、震災により、一番東側校舎である特別教室棟が基礎部分に沈下があり建物が北側に傾いている状況で、この部分については、改築との方針が出されたところです。
 私は、この復旧方針についてはやむをえないものと考えますが、大きな疑問が残っています。この小学校は、3期に分けて建設されており、損傷の大きかった東校舎は、新耐震基準で建設され、強度も問題のないはずの建物でした。これは、震度6強の地震に耐えうるということではなかったのでしょうか。市の調査によれば、学校敷地の地盤は安定しており地滑りや崩壊の可能性は極めて低いとのことでした。つまりこの東校舎の部分だけが、ほかの2棟とは違う特別な力がかかったとは考えにくく、建物の構造的な問題だったということになります。ならばなおのことこの耐震基準の信ぴょう性が疑われることになるのではないでしょうか。市長の見解を求めます。

市長

 清原中央小学校の東校舎が、ほかの2棟よりも被害が大きかった原因につきましては、東校舎が、1階に多目的ホールを配置しているため、建物が南北に長く、柱の配置が特殊な構造となっていることから、今回の地震の振動が、より大きな振幅をもたらしたものと考えております。
 なお新耐震基準では、人名を守るため、震度6強から7程度の大地震発生時に、建物の一部に損傷があっても、柱などの主要な構造物が大きく壊れることなく、建物の倒壊や、フロアの崩落を防ぐことを目的とした設計になっており、東校舎が被害を受けながらも、倒壊に至らなかったことは、新耐震基準により、建築されたことによるものと考えております。

福田議員

 次に、放射能から子どもを守るために質問いたします。震災・原発事故から間もなく9か月が過ぎようとしています。いまだ、原子炉内部格納庫の中がどのような状態になっているのか確認しようもなく、メルトダウンした核燃料が、地下に流れ出す懸念も残されています。原発の復旧が長期化することは、必至の状況です。放射能との闘いは、今後20年、30年と続くことを覚悟しなければなりません。ついては、放射能対策にかかる費用の全額を国と東電に求めることについて、市長の見解を伺います。

行政経営部長

 今回の福島第1原発事故により生じた損害につきましては、「原子力損害賠償制度」に基づき、東京電力が、その全ての責任を負うことになっております。
 本年8月には、文部科学省に設置されました「原子力損害賠償紛争審査会」から、「原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」が示されたところでありますが、まず、民間事業者等への賠償について示されたものであり、地方公共団体等への賠償に関するその対象や範囲などの詳細については、示されませんでした。
 このようなことから、今後、賠償の詳細な内容などが示されることを受け、適切に対応してまいります。

福田議員

 宇都宮市では、こうした状況の中、災害対策本部の中に放射能等対策分科会を設け、地区市民センター、公園、小・中学校、保育所などでの空間放射線量を測定、公表してきました。さらに今後は、市域を1qメッシュに区分し市域全体の放射線量マップを作製・公表するとの方針が、示されたところです。また、小中学校、保育所、幼稚園などでも定点以外にも放射線量が高いと思われるところの測定をするというように、測定体制の見直しがされました。そこでまず、これらの結果、基準如何に拘わらず、除染を行ったところはあったのでしょうか。答弁を求めます。

環境部長

 本市におきましては、本年10月に子どもたちの日常的な生活の場となる小中学校、保育所等におきまして、除染対策が必要となった場合に、効果的・効率的な除染を実施するために、必要な事項につきまして、「放射性物質除染ガイドライン」として定めたところでありますが、現時点で、このガイドラインに基づき除染を行った小中学校などの市有施設はありません。

福田議員

 さて、除染の基準については、文部科学省の基準は、年間1mSvを超える場所について国が責任をもって除染するとの見解ですが、これについては、多くの疑問の声があり、自治体独自のさらに厳しい基準を設け、多くの自治体が除染に乗り出しています。例えば、毎時0,19μSv以上としているのは、和光市、川崎市、朝霞市など、毎時0.23μSv以上としているのは、川口市、日立市、横浜市、武蔵野市、県内では、那須町が0.5μSv、高根沢町が0.31μSv、那須塩原市市では0.30μSv、等多数に上ります。
 児玉龍彦東大教授は、参院の参考人陳述で、「今回の事故は、広島原爆の29,6個分、ウラン換算で20個分が漏出。原爆による放射線の残存量が1年で1000分の1程度に低下するのに対し、原発は10分の1程度にしかならない」と発言これを前提に対策を講じるよう警告しました。また、ECRR欧州放射能リスク委員会事務局長のクリス・バズビー博士は、福島の放射能汚染のレベルを「チェルノブイリの強制避難ゾーンと同等で、欧州議会の法律では、住むこと自体が違法」と断言しています。また、「現在福島で計測されている放射線の値は、ガンマ線核種のみで、アルファ線核種は測られてはいない」とも指摘。また、文科省基準は、内部被曝は考慮されておらず、不正確だとも指摘しています。
 これらの指摘を考慮するならば、国の甘い基準どおりでは、子どもの健康は守れないと危惧するところです。そこで、現在本市の基準としている毎時1μSvの根拠はどのようなものか見解を求めます。また、さらに厳しい独自基準で除染をすすめる必要性があると考えますが市長の見解を伺います。 

環境部長

 本年9月の市災害対策本部会議におきまして、放射性物質の除染などの対応の目安とする数値といたしましては、本年8月に文部科学省及び、厚生労働省から通知のあった学校の校庭や保育所等の園庭における除染の基準に基づき、「毎時1マイクロシーベルト以上の場合」としたところであります。「さらに厳しい独自基準で除染をすすめることについて」でありますが、今後とも、国、県、関係機関などの動向を把握しながら適切に対応してまいります。

福田議員再質問

 放射能対策について伺います。宇都宮市が除染の基準としている文科省の基準ですが、それは校庭に2時間、教室に4.5時間いるということのうえで割り出して、1マイクロシーベルト以上、そこの線だったら1時間当たり1マイクロシーベルトということなのだと思うのですけれども、極めて限定的な予測の元に割り出された数値だと思うのです。他の市町と比べても大変高い値というふうに感じますけれども、このへんをぜひ私は基準を引き下げて、せめて0.23マイクロシーベルト以上のところは除染をするというふうにしていただきたいというふうに思っているのですけれどもいかがですか。

環境部長再答弁

 宇都宮市で現在除染の基準として定めております毎時1マイクロシーベルト以上の場合ということは、ご答弁でも申し上げましたとおり、文部科学省、厚生労働省からの通知に基づくものでございます。今後、国とか県また関係機関等の動向を把握しながら、厳しい独自基準については対応してまいりたいというふうに考えてございます。

福田議員

 次に、内部被曝と食の安全・安心について質問いたします。放射線には、外から影響を与える「外部被曝」と体内に入って影響を与える「内部被曝」があります。外からの放射線の場合は、距離が遠くなれば影響は小さくなりますが、体内に入ったら全身のどこかに沈着し、至近距離から長期間放射線を出し続けます。

 内部被曝の影響について、カナダのペトカウ博士は、1972年に「長時間、低線量放射線を照射する方が、高線量放射線を瞬間放射するよりたやすく細胞膜を破壊する」ことを証明しました。「だるさ、免疫力の低下、インフルエンザ、肺炎などの感染症、肺気腫、心疾患、甲状腺疾患、糖尿病などのほか、発育する胎児への脳障害は特に深刻」としていしています。

 内部被曝は放射性物質が鼻・口・皮膚から入ることによって起きますが、食物を通じてはいるのが1番多いため、食の安全が重要になってきます。

 宇都宮市では、子どもたちの給食の安全・安心確保のために給食食材の放射能測定を行ってはいますが、1か月から2カ月に一校当たり1食材を抽出して測定するのみで、極めてアリバイ的に実施しているにすぎません。多くの子どもの健康を心配する市民の皆さんの声を受け、市では、来年2月ごろまでには、ヨウ化ナトリウムシンチレーションスペクトロメーターを購入し、さらに測定を拡充の予定です。しかし、「市場に出されているものは安心」「基準以下だから安心」とはなっていない現実の中で、給食の安心・安全はこれらの測定体制で担保されるとお考えでしょうか?小・中学校、保育所の給食の放射能測定は、全食材検査を視野に体制を整えるべきだと考えますが市長の見解を求めます。

教育長

 まず、「給食食材の放射能測定について」でありますが、本市におきましては、子どもたちや保護者の給食への安心感や信頼を高めるため、本年10月から、小中学校や保育所等を対象に、給食食材の放射性物質検査を実施しており、その検査結果については、市ホームページなどを通して児童生徒や保護者への積極的な周知に努めているところであります。
 現在の検査は、一部食材の抽出検査でありますことから、熊本議員のご質問にもお答えいたしましたとおり、今後は、保護者等の安心感をさらに高めるため、内部被ばくの積算量を推定できる調理済給食の1食分検査を導入できるよう取り組んでまいりたいと考えております。

福田議員

 この項の最後に、自らの命を守る教育を本気で行うこととの観点から、文科省が新たに発表した小・中学生向けの放射能副読本について「ウソはついていないが、必要なことが書かれていない」との指摘があります。東京大学の小出裕章氏は「これまでの原発副読本は、『原発はこんなにいいものだ。放射線の障害なんて決して引き起こしません』という教育をしてきたのだと思いますが、それを現実に覆す事故が起きた。そこに口をつぐんだまま放射線というものの基礎的な話だけに後退している」と、批判しています。国民の税金を使ったこのような副読本について市長はどのような感想をお持ちですか。答弁を求めます。

教育長

 「放射能副読本について」でありますが、福島第一原子力発電所の事故後、放射線に対する不安や関心が高まっていることから、文部科学省では、児童生徒に正しい知識を身に付けさせるために、新たな副読本を作成したところであります。
 従来の副読本は、原子力・エネルギー教育を進めるという視点で作成されておりましたが、新たな副読本では、放射線の性質についてより分かりやすく記載され、人体への影響や身を守る方法などが紹介されており、児童生徒が放射線等について理解を深める上で参考になると思われますので、授業に役立ててまいりたいと考えております。

福田議員

 保育行政について、規制緩和と保育所をめぐる問題について質問いたします。
保育所は、児童福祉法により国の責任で、保育に欠ける児童を保護者に代わって保育を提供するため設置されている児童福祉施設です。また、その運営は主に保育所運営費や民間給与改善費など国や自治体からの負担金や補助金で賄われ、国と自治体が運営にも責任を持つ認可制度です。
 私は、規制緩和の中で認可されたある保育園のH21年、22年の指導監査是正報告書を、情報公開を求め調査したところ、認可保育所として長年の実績がありながら、経理面、職員処遇、児童処遇など基本的な事項も含めあらゆる面で驚くほど多くの問題が指摘されておりました。監査による指導にもかかわらず、次の年も繰り返していることは、指導監督責任者としての市の責任が問われるものと考えます。具体的には、運営費の私的な流用、勤務実態のない職員への高額な給与の支払い、保育士の保育所以外の業務への使いまわし、保育士の超過勤務手当が支給されていない、市単補助金の保育士等人材確保費      がきちんと支払われていない、果ては、政治家後援会費まで運営費から支出されているなど、驚くほどのずさんな経理状況です。運営費の不適切な運用は、職員処遇の低下につながり、当然保育の質の低下を招きます。
 長年の実績があるにもかかわらず、何故このような経営の基本的なところがなかなか改善されなかったのか、市の指導監督責任が問われると考えますが市長の見解を求めます。

子ども部長

 まず、「規制緩和と保育所をめぐる問題について」でありますが、民間の認可保育所に対する指導監査につきましては、保育所の運営状況や職員、入所児童の処遇面を確認するため、毎年、実地での指導監査を行っており、指導監査の結果につきましては、文書により、通知しているところであります。
 その中で、指摘事項がある場合には、改善の報告を求めており、改善が認められない場合には、必要に応じて臨時の指導監査を実施するとともに、保健所や労働基準監督署など関係機関と連携し、是正改善を図っております。
 ご質問の「市の指導監督責任」につきましては、認可庁として児童福祉関係法令等に基づき、適切に指導、監督を行っているところであり、速やかな改善がみられないものにつきましても、保育の質の維持・向上が図られるよう、持続的に指導を行っているところであります。

福田議員

 またこの保育所は、社会福祉法人ではないため、監査は施設監査のみで法人監査は行われません。社会福祉法人以外にも保育所参入が認められたことにより、市町村の関与が弱まることによって起きている事態と考えられますが、市長の見解を求めます。さらには、規制緩和の中でこのような保育所が増えればこうした事態がひろがることが懸念されます。次世代を担う子どもに最良の保育環境を願う立場から、市長の見解を求めます。

子ども部長

 「多様な事業主体の保育所参入による市の関与の弱まりや規制緩和による保育の質の低下への懸念」につきましては、児童福祉施設最低基準等により運営主体の種別にかかわらず、すべての認可保育所に対しまして、同一の指導を行っておりますことから、一定水準の保育の質が確保できるものと考えております。


福田議員再質問

 先ほどのご答弁の中で、監査は同一に行われているというような、くだりがあったように思うのですけれども、ちょっと正確ではないですけれども、社会福祉法人とその他の形態の保育園では監査は同一ではないというふうに私は認識していますが、いかがでしょうか。

子ども部長再答弁

 法人の種別に応じまして、社会福祉法人としての法人指導監査、それと保育所としての運営上の監査ということでの認識であろうかというふうに考えております。

福田議員再質問

 同一ではないというふうにとらえてよろしいですね。私、インターネットでとりましたら、社会福祉法人の監査というのは、極めて細かいのですね。大変なのですね。提出資料というのが大変細かく分かれておりまして、法人監査というのは大変細かくて、監査をされるほうも、本当に気を使うというふうに私は認識しております。そういう中で、この保育園については、法人格、社会福祉法人ではないので、こういった指導監査がされていないというふうに認識しております。この是正報告書というのを2年分とりました。その中でいくと、決算資料の不備、現金出納帳の未整備、これが何回も指摘されているのです。一時保育料金の受領関係書類がないとか、職員処遇については、給与表や労働条件通知書の未整備、職員の正確な給与が不明だというふうに指摘しています。一時保育や料金の受領に関する書類がないという指摘の中では、なんと事業内容及び経理状況が不透明であることは致命的な問題だというふうに市も指摘しているのです。致命的ですよ。そのほかにも、園長個人宅の改造に一千万以上運営費を流用しています。驚きました。また政治家個人の懇談会、後援会などの会費に支出しています。施設会計から支出している。また保育士の配置の不足、園内外の遊具の点検、こういうのがされていない、賃金台帳の未整備、通勤手当の不支給、他事業との混在、保育士が他の事業に恒常的に従事している。勤務実態のない職員に本俸として45万円もの給与が支払われている、こういった指摘があって、次の時には改善している部分も勿論あります。指摘によって。これを見ていくと、社長が独裁的な経営の中で起きている事態ではないかというふうに私は考えるのですけれども、いかがでしょうか。

子ども部長再答弁

 保育所の運営上必要となる施設の運営でありますとか、施設の会計、それから職員処遇、入所児の処遇等については、先ほど答弁でも申し上げましたとおり、毎年度実施の実地の指導監査を実施しておりまして、運営主体の種別に関らず、市の直接的な関与によって指導を行っているということで、改善がされていないような部分につきましては、繰り返しの指導を行いながら、適正な処理をしているところでございます。

福田議員再質問

 私もいろんな保育園、つながりがあって、お話も聞いてまいりました。この保育園については、ここ12年、(設置されて)というところではございません。長年の経験がある保育園が、こういうところで、毎年毎年同じようなことを繰り返して指摘を受けている。これは設置そのものがどうだったのか、認可そのものがどうだったのか、ということが問われるのではないのでしょうか。いかがですか。

子ども部長再答弁

 認可そのものにつきましては、基準をクリアしているか、していないかということでの判断をしたところでございまして、それについては適正だったというふうに感じております。

福田議員

 適切だったところが、こんなふうなことが、ずっと続いているということに関して、これ以上の、行政指導だからできないということであれば、一回認可さえとってしまえば、それはもう保育園がどういうふうに運営されても仕方がないということなのですか。

子ども部長再答弁

 保育所に対する行政処分につきましては、段階に応じまして、行政指導、助言、それから改善勧告、改善命令、事業停止といったものがございます。行政指導、助言の段階で是正改善が見られる場合には、継続的な指導を行っていくというようなことでございますので、今、そういった段階にあるというふうに思っております。

福田議員

 そういった段階にあるというふうにおっしゃいますけれども、ここが、先ほども言いましたように、まだ開園して12年とか、そうところであればこれから改善の余地があるのかなと、指導しながら見守っていきましょうということでもあるのですけれども、それが、これ言っていいのかどうか分かりませんけれども、二桁の間やっているような保育園ですよ。それがこういうことが繰り返されることについての原因がなんだったのかということをきちんと分析をしていく必要があると思います。私はその点については、やはり社会福祉法人ではない、法人監査が行われてこなかったというところ、規制緩和の中で起きている問題だと私は捉えざるを得ないのです。いかがでしょうか。

子ども部長再答弁

 法人の指導監査につきましては、2年に1回、実施をしているところでありまして、社会福祉法であるとか定款の遵守の状況、それから理事会の運営、こういった部分についての指導がなされるというふうに理解をしております。そのほかに運営上の部分につきましては、先ほど来ご説明しておりますとおり、指導監査等で行っているところでございまして、ここにおきます、その是正等については継続的な指導で、今のところ推移をしているというような状況でございます。 

福田議員

 ご答弁いただきたいのは、どうしてこのようなことが毎年繰り返されてきて、10年も続いている保育園が、「今指導しているところです」というところのレベルにしか行かないのか、これは宇都宮市の保育園の質の低下が懸念される問題だというふうに思うのですけれども、そのへんはいかがですか。

子ども部長

 法人の代表者、それから保育園の園長、そういった部分での人に入れ替わりというか、そういった部分もいろいろそれぞれの法人に応じてはあろうかと思います。そんな中で毎年、指導監査を法で決められて行っているところでありまして、その時点、その時点で必要な指導については、その都度、その改善を行うように指導をしているところでございます。

福田議員

 そのへんについては、今私がとったのは、21年、22年の指導監査報告書なのですけれども、それはもう済んだことで、もう改善はされたというふうに考えてよろしいのですか。

子ども部長再答弁

 毎年の指導監査の中身については、改善をされている点もございますし、すぐに改善になっていないというところもありまして、先ほどの答弁の中でもさせていただきましたとおり、すぐに改善をされていないようなもの、もしくはその勧告書に従って、改善の是正の内容を、報告をしてこないような中身については、改めて臨時に指導監査に入るとか、もしくはその関係機関と一緒になって指導するといったことで対処しているところであります。

福田議員再質問

 ぜひ厳正に対処していただきたいと思いますし、それと同時に、宇都宮市の保育園の、本当に質の問題です。これは。これからますますもっと、これが規制緩和されていくような中で、こういうことが広がるということは、私はとても心配していますのでぜひ厳正な対処をお願いしたいと思います。

福田議員

 さて次に、今、民主党政権が進めている子ども・子育て新システムについて伺います。政府は、20106月に少子化社会対策会議で確認された「子ども・子育て新システム基本制度案要綱」を踏まえて、2011729日「子ども・子育て新システムに関する中間とりまとめ」を決定しました。当初政府は、「すべての子どもに切れ目のないサービスを保障するために、現行の支援対策を再編し、幼保一体化をふくめ、制度・財源・給付について1元化をする新たな制度」と説明していましたが、「中間とりまとめ」をみる限り程遠いものと言わざるを得ません。また、「中間とりまとめ」では、制度の全体像が示されないばかりか、「今後検討」とされる多くの論点、課題が残されたままになっていることも問題です。
 新システムは、一言でいえば、国と自治体が責任を負う現行制度つまり公的保育制度を解体するものです。そしてそこには、保育の市場化・産業化がついてきます。具体的には、第1に、児童福祉法24条に基づく市町村の保育実施義務がなくなり市町村は保育に欠けるかどうかだけを認定するだけになります。
 第2に、補助金支給の仕組みが保護者に対する個人給付となり保育所の安定的な経営が困難になります。第3に、保育料などの費用負担について一部応益負担が導入される見込みです。第4に、国と自治体が園運営に責任を持つ認可制度から、事業者指定制度に変わります。現行の補助金制度は、補助金を保育以外に使ってはいけないといった規制がありますが、保育以外の経費に充てることができるようになります。人件費などを削り株主配当などの企業経営に充てることができるようになります。まさに保育で儲ける仕組みにほかなりません。
 宇都宮市議会では、昨年12月議会で「子どもの健やかな育ちを保障し、安心して子どもを産み育て、働き続けられる」制度を拡充する立場から、反対の意見書を国に提出しました。全国の自治体が提出した反対の主旨の意見書は、2011104日現在で163に上ります。このような子ども・子育て新システムについて、市長はどのような見解をお持ちでしょうか、答弁を求めます。

子ども部長

 子ども・子育て新システムにつきましては、すべての子どもと子育て家庭への良質な成育環境を保障し、子どもを大切にする社会、出産・子育て・就労の希望がかなう社会を実現するものであり、その基本的な考え方は一定評価しているところであります。
 しかしながら、市町村の役割や利用者負担のあり方、さらには、必要な財源の確保など、整理されるべき課題が数多くありますことから、具体的な制度設計にあたりましては、実施主体である自治体や関係団体の意見を十分尊重しながら検討され、社会全体で子どもと子育て家庭を支える社会を実現していく必要があると考えております。

福田議員

 次に高齢者をめぐる問題について伺います。まず、買い物難民対策についてです。郊外型の大型店の増加、高齢化や人口減少などの影響で、身近な場所から買い物をするための店が撤退する地域が増えています。一方、高齢化で車の運転ができない、公共交通の撤退などで遠くの街中まで出かけけるのが困難になっている人が増えています。そこで、各地で広がっているのが、移動販売や、宅配のサービスです。
 高知県のハッピーライナーという移動販売車は、県から車輛代の3分の2の補助を受け事業を継続しています。事業者は、県及び民生委員・児童委員協議会と協定を結び、顧客に異変があっ時には民生委員に通報する役割を担っています。先日、清原地域のある団地でお年寄りから「買い物に行くのが大変。近くにスーパーがほしい。」とお話を伺っていると、ちょうどお惣菜を売る移動販売車がやってきました。その団地には、週に2回ほど回ってくるそうで、数人の人がすぐに集まって、小分けされた数々のお惣菜を買い求めていました。販売をしていた50代のご夫婦は、お客さんが喜んでくれる顔が直接見られることにやりがいを感じて、3年前から脱サラをしてこの商売を始めたそうです。その方のお話によると以前毎回必ず買ってくれるお年寄りが、その日は初めて姿を見せずに心配をしていたところ、間もなく自宅で一人で亡くなっていたのを発見されたそうです。そんな経験から「私たちに見守り活動やらせてほしい」と話してくださいました。
 移動販売や宅配事業は、雨の日や体調の悪い日でも届けてもらえる、重い荷物を持って帰れない人にやさしい、高齢者の安否確認を合わせて行うことができるなどの機能が期待されます。移動販売や宅配事業などに安否確認を委託する買い物難民対策について市長の見解を求めます。

保健福祉部長

 「買い物難民対策について」でありますが、今後、高齢化の進展に伴い、ひとり暮らし高齢者も増加していくことが想定されますことから、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らしていくために、見守り活動はますます重要になってくるものと認識しているところであります。
 このような中、本市では、「ひとり暮らし高齢者等安心ネットワーク事業」におきまして、民生委員や地域包括支援センターと連携を図りながら、見守りが必要となる方々の適切な把握に努めております。
 見守りの必要な方に対しましては、地域包括支援センターを中心に、見守り活動会議などにおいて、見守り方法の検討を行い、介護サービスを通した見守りや、地域の協力による見守り、さらには、地域での見守りを拒否する方に対しましては、地域包括支援センターが見守るなど、対象となる方、全てに対しまして、その状況に応じたきめ細やかな見守りを行っているところであります。
 議員ご提案の、移動販売や宅配事業などの買い物難民対策において、高齢者の安否確認を行うことは一定の効果があると考えているところでありますが、本市といたしましては、今後とも「ひとり暮らし高齢者等安心ネットワーク事業」の対象となる方のより一層の把握に努めるとともに、地域包括支援センターや民生委員など、地域の皆様と連携を図りながら、高齢者を地域全体で支えていけるよう、見守り活動の充実強化に努めてまいります。

福田議員

 この項の2点目に、肺炎球菌ワクチン接種費用の助成について伺います。肺炎は、日本人の死因の第4位で、肺炎による死亡者の9割を高齢者が占めています。また、肺炎の最も多い原因菌は肺炎球菌です。ワクチンの接種によって肺炎球菌感染症の80%を予防でき、1回の接種で5年以上免疫が持続するといわれています。費用は、6,000円から10,000円程度で受けることができますが、県内自治体では、大田原市や那須町日光市など14自治体が、助成を行っています。助成額は、2000円から多くは3500円、市貝町では全額助成をしています。
 国では、予防接種法の抜本改正に着手しているとのことですが、急速な高齢化社会の中、積極的な予防医療は医療費抑制の王道であり、一日も早い、助成制度の開始が求められていると考えます。市長の見解を求めます。

保健福祉部長

 肺炎は、悪性新生物、心疾患、脳血管疾患の3大疾患に次いで死亡原因となる疾患で、本市では、平成21年中に約400人の高齢者の方が亡くなられております。
 肺炎球菌は、高齢者の肺炎の原因となる病原菌の約3割を占めると言われており、免疫力が低下している高齢者にとって、肺炎球菌ワクチン接種は、個人の発病防止や、重症化防止に効果があることから、現在、国の厚生科学審議会予防接種部会で、有効性や副反応、予防効果の持続期間等を評価・分析し、予防接種法への位置づけや公費負担のあり方について検討がなされているところであります。
 このようなことから、本市といたしましては、国の動向を見極めてまいります。

福田議員

 次に、環境行政について2点伺います。まず、環境影響評価条例の制定について伺います。現行の環境アセス制度に係る諸問題のうち、最も大きな課題は、「誰が環境影響を予測し、評価しているか」つまり誰がアセスの主体であるかという問題だといわれています。つまり、現行の制度は、事業者自らが、実施することとなっており、事実上の自作自演だからです。手続き上、いわばアリバイ的に行われているといっても過言ではありません。過去の事例を見ても「影響は軽微である」と報告され、計画の中止はもとより、1部変更ですらまれにしかありません。
 これは、国の実施要綱アセスだけではなく川崎市をはじめとする東京都、神奈川県、北海道など自治体の条例アセス、名古屋、神戸などの要綱アセスでも同様です。
20102月に出された、国の中央環境審議会の「今後の環境影響評価制度の在り方について」の答申によれば、現在の制度では事業の実施段階で環境影響評価がおこなわれているが、事業の早期段階での環境配慮を可能にする「戦略的環境アセスメント」の導入について制度化すべきと述べています。前段で指摘した、制度の中心的問題点である「誰が環境影響を予測し、評価しているか」という点についての直接的な言及はないものの、戦略的環境アセスメントの導入は、環境への配慮を意思決定に統合する点、第3者による検討の機会を設ける点など一定の前進は期待できるものといえます。
 地方分権の流れの中、環境分野においても、都道府県の公害防止事務の多くが中核市に移管されています。本市においても条例制定によって、国に先駆けて「戦略的環境アセスメント制度」を導入し、法対象とならない小規模の事業や、事業種について対象を定めるなど、より積極的な対応が必要と考えますが、市長の見解を求めます。

環境部長

 国におきましては、平成22年の中央環境審議会の答申を受け、本年4月に「環境影響評価」を改正し、この中で、法に定める大規模事業の立案段階を評価対象とする「戦略的環境アセスメント制度」を新たに盛り込んだところであります。
 また、県におきましては、平成11年に制定した「栃木県環境影響評価条例」により、法の対象とならない事業や、小規模な事業などを環境影響評価の対象とするとともに、公聴会や審査会の開催による第三者の意見聴取につきましても規定しております。
 「本市独自の環境影響評価条例の制定」についてでありますが、本市におきましては、これらの法律や県条例に基づく環境影響評価の実施により、自然環境や生活環境などの保全が図られるものと考えております。

福田議員

 この項の2点目に、セルクリーンセンターの環境アセスメントについて伺います。
 現行の環境アセス制度について「事業者自らがおこなう」というところに最大の問題点があるという指摘は、多くの法律の専門家の共通の問題意識です。セルクリーンセンターについて、「安全」の根拠としている「環境影響調査」は、申請者本人が理事長を務める財団法人栃木県環境技術協会に委託実施したものであり、客観性、公平性の観点から、住民の納得を得られるものではありません。
 さて、宇都宮市の環境基本条例には、「事業活動にあたり、従来のように法令の規制基準を守るだけに留まらず、自ら環境を守る為の方針や目標を定め、積極的に取り組んでいくことの重要性を定めている」と説明されています。セルクリーンセンターの建設予定地は、工業団地内とは言え住宅密集地や大規模なショッピングモール、教育施設など多くの市民が集う場が近隣に広がっている地域です。多くの専門家が指摘する環境アセスの欠陥を補強すること、つまり利害関係のない第3者による環境アセスのやり直しを行うことこそ、環境基本条例の理念ではないでしょうか。今こそ環境基本条例に魂を入れる時ではないでしょうか。市長の見解を求めます。

環境部長

 国におきましては、産業廃棄物処理施設の設置にあたり、「生活環境影響調査」を事業者の責任において自ら実施し、事業者自ら実施できない場合には、事業者が委託した者が実施することとしております。
 今回の計画につきましては、事業者が委託した調査機関が、国が示した「生活環境影響調査指針」に基づき、調査を実施し、本市におきましては、指針通りに調査が行われたことを確認いたしました。
 また、「廃棄物処理及び清掃に関する法律」に基づき、調査結果につきましても、大気や騒音振動などの専門委員から意見を聴取し、その内容が適正であることを確認しており、調査の手法、内容ともに適切であったものと考えております。
 今度とも、法令等に基づき、厳正に審査してまいります。

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