201198日 荒川つねお議員の一般質問・答弁 再質問・再答弁

荒川議員

 発言通告に基づき質問します。明快な答弁を求めます。
 第1に市長の政治姿勢について,東日本大震災・東電福島第一原発事故と市民の暮らしへの対応についてです。
大震災の甚大な被害は,日本と本市の行政のあり方を根本から問い直すことを求めています。本市の住宅被災者救援もそうです。災害対策本部の92日付によると,住家被害の内,全半壊が235戸,一部損壊15,858戸となっています。その中で,見舞金1万円の一部損壊の修復ですが,市議会日本共産党のアンケート調査では,背に腹は代えられず,修理した人も含めてその費用捻出に多くの市民が困っています。そこで伺いますが,市内の住家の被害の修復状況をどの様に把握し,被災市民は何に困っていますか。答弁を求めます。

建設部長
 「住家の修復状況の把握と,被災市民が困っていることについて」でありますが,震災から半年を迎え,被災住宅の修復も進んできておりますが,未だブルーシートのかけられた屋根も見受けられる状況にあります。
 また,被災者からの住宅修復にかかる問合せにおいて,『瓦など建築資材の手配はできるものの,専門職人が手配できない』,『余震の収束を待っている』『建替えか修繕か悩んでいる』などの理由から,工事に着手できず,戸惑っているとの意見をいただいております。

荒川議員
 次に,一部損壊に住宅復興資金の借り入れへの利子補給もありますが,高齢者等借りるのは負担が大きすぎて利用できない人も沢山います。被災市民の一刻も早い安心・安全なくらしの確立のために,直接支援の制度は作れないのか,他市に学ぶ施策はないのか伺います。

建設部長
 「直接支援の制度,他市に学ぶ施策について」でありますが,本市では,住宅被災者に対する支援策として「罹災住宅補修等利子補給事業」を他市に先駆けて,実施しており,高齢者の方などが利用しやすいように,対象者を所有者に限定せず,二親等の親族まで拡大したところであります。現在,問合せ188件に対し,利用者は18件,そのうち12件が一部損壊であります。また,民間での借入れなどが難しい高齢者などにつきましては,社会福祉協議会において,生活福祉資金の貸付を行っております。今後とも,住宅修復が促進されるよう,これらの制度の一層の周知徹底に努めてまいります。

荒川議員
 次に,地域防災計画に基づく主な対応・課題等まとめた文書が報告されているが,実施内容に対する評価が甘ければ,今後の対策も甘くなるのは必然です。防災計画は市民とともに作る立場に立ち,こうした文書も市民に公開しつつ,厳密な分析と評価による対応策等をつくるべきと思うが答弁を求めます。

市長
 「東日本大震災,東電福島第一原発事故と市民の暮らしへの対応について」でありますが,「防災計画の見直し」につきましては,本市では,地域防災計画の見直しに向け,災害対策本部におきまして,東日本大震災の対応を総括するとともに,その中で抽出した課題を踏まえ,関係部局からなる庁内検討会で,対応策を検証・検討しているところであります。
 更に,この度の震災を踏まえ,より多くの市民の皆様からご意見を頂けるよう,広報紙9月号における政策広報や,出前講座を実施し,市民の声を集約するとともに,「国・県・市の防災関係機関」や「公共交通機関」「ライフライン事業者」などで構成する「宇都宮市防災会議」に諮りながら,計画を見直してまいります。

荒川議員
 また防災に強いまちは医療や介護・福祉・子育て支援の強い基盤があってこそ,災害時にも力を発揮します。今回の震災を通じた,この点での市長の見解を伺います。

市長
 災害に対しましては,日ごろからの医療・福祉など関係機関の連携が何よりも重要でありますことから,本市に起きましては,高齢者や障がい者などが安心して生活できるよう,医師会や救急医療機関,特別養護老人ホームと災害に関する協定を結ぶなどして,体制を整えているところであります。

荒川議員
 次に放射能汚染から子どもと市民の健康を守る対策です。
 福島原発事故によって大量かつ広範囲に死の灰が放出され,市民の放射能への不安と心配が広がっています。放射能は目に見えません。見えない放射能を見える様にし,取り除くのが行政,政治の役割のはず。しかし,国の対策は何から何まで後手後手で,全く不十分です。いつまでもそんな国に付き合っていたのでは市民・子どもたちの健康は守れません。
 放射線防護の大原則は,放射線被曝の健康への影響を考えるとき,これ以下なら安全という「しきい値」はなく,少なければ少ないほど良いという所にあります。この原則に立ち,@放射能汚染の実態を正確かつ全面的に把握する調査を系統的に実施する。その上で住民のための汚染マップを作成する。A子どもが近づく場所,側溝などホットスポットになりやすい場所を集中的に調査するB放射線量の高い所,子どもに関する施設や場所があれば緊急除染を進めるC食品放射能測定機器を最低一台は確保し,学校給食食材の検査ができる様にする。以上,基礎自治体としての役割を果たすべきと思うがどうか。

市長
 「放射能調査の系統的な実施とマップの作成について」でありますが,これまで,市域を5ブロックに分けて,14箇所の定点ポイントと一部の公園施設等において定期的に測定することで,市域の状況を把握し,その結果を逐次,公表しているところであり,マップの作成につきましては,今後,調査・研究してまいります。
 次に,「子どもが近づく場所やホットスポットになりやすい場所の調査について」でありますが,全小中学校や保育園等に簡易測定器を配備し,測定することとしたところであり,その他の箇所につきましては,今後,測定の状況に応じて検討してまいります。
 次に「緊急除染について」でありますが,対策の目安である毎時1マイクロシーベルトを超えた場合につきましては,除染などの対策を講じてまいります。
 次に,「学校給食食材の検査について」でありますが,渡辺道仁議員のご質問にお答えしましたとおり,給食食材のサンプリング調査の実施方法などにつきまして,現在,検討を進めているところであります。

荒川議員
 次に,今回の原発事故の放射能汚染から市民・子どもを守る上で,最大の問題は何だったのか。
 それは,315日の10時過ぎに放射能雲がこの宇都宮にもやって来て,セシウム・ヨウ素などが降り注いでいたのに,市民に何も知らせる事ができず,無防備の状態にさせてしまったことです。これは,今回は市長のせいではありません。政府と東電は,スピーディーなどで,放射能雲の流れなど十分な情報を持ちながら,何もせず,国民にも自治体にも知らせなかった犯罪的行為にあります。宇都宮市民を代表して,政府と東電へ厳重な抗議と全ての情報の公開を求めるべきではないのか。そして,防災計画の見直しに当っては,この失敗を繰り返さぬ放射能を防御・避難等の対策をきちんと入れるつもりがあるのか,答弁を求めます。

市長
 「放射線被害への対応について」でありますが,原子力発電所の事故はあってはならないことであり,これまでも,全国市長会等を通じて国や東京電力に対して,万全の対策を取るよう,幾度も申し入れを行ってきているところであります。
 また,放射線等の対策に関しまして,関係部局が連携し,迅速かつ適切な対応を図ることができるよう,災害対策本部内に「放射線等対策分科会」を設置したところであり,今後,分科会におきまして,本市における放射線等の対策を十分に検証したうえで,国・県の計画との整合性を図りながら,地域防災計画を見直してまいります。

荒川議員 再質問
 次に,色々あるのですが,子どもたち,また,市民を放射能から守るというこの問題で,再質問をしたいと思います。
 放射能は,測定数値が今はちょっと低くなっていますけれども,これは宇都宮市がいち早く測定をしなかったからです。セシウムなんかがどんどん流れてしまっているから,低くなっているのです。そういう中で,まだこの原発事故で,どれだけの放射能が拡散したのかどうかなんてことは,まだこれはきちんと公表もされておりません。そういう点では低い数値が比較的出ているからいいということではなくて,先ほど答弁にもありましたけれども,系統的に,本当にこれは取り組んでいく必要があると思います。そういう点では原発事故もまだ収束もしておりませんので,きちんと測定をして,汚染マップにきちんとしておくということが,これからのこととの関係でも大変大事になっていると思うのです。そういう中で,放射能汚染マップをつくるのを検討するという話もありましたけれども,今の15箇所などということでは,放射能汚染マップにはなりません,宇都宮市の。そういう点では,放射能汚染マップを作ることや展望することも含めて,もっと測定地点を増やすこと,それと合わせて,測定器も全部購入が完了すれば,予備の分などもできますので,自分のところの測定で貸してほしいという市民に対しては,その測定器を貸すということも,これから本当に宇都宮市の放射能汚染の全容をつかむ上では大事になってくると思うのですが,その点ではどうでしょうか。

環境部長 再答弁
 まず,マップ作成に関してですが,現在,定点ポイント14箇所,の測定を続けております。それから,公園につきましても,逐次測定を進めているところでございます。今後,小中学校または保育園等に,簡易測定器ではありますが,配備をして,測定箇所がどんどん増えていくと,そういう状況になってまいります。264台購入いたしまして,250台ぐらいが配備されるかと思うのですが,そういったことでは測定ポイントが,今後300近くになるという状況になってくるわけでございますが,それらを参考にいたしまして,宇都宮市の概要が把握できるのではないのかなと考えてございます。それから市民に対しての貸し出しということでございますが,これにつきましては調査してまいりたいと考えてございます。

荒川議員再質問
 最後のところ聞こえなかったのですが,もう一度お願いできますか。

環境部長再答弁
 機器の市民への貸し出しにつきましては,それの妥当性につきましても,調査してまいりたいと考えてございます。

荒川議員再質問
 もうちょっとよく分からないのですが,いずれにしてもそれは要望しておきたいと思います。また後で何かの機会にその点についてはやって行きたいと思います。

荒川議員
 市長の政治姿勢の2点目,周辺住民と共存共栄できる宇都宮工業団地づくりに市長の主導的役割を求め質問します。
 先達の努力によって,同団地は優良な内陸型のものづくり産業の集積団地として宇都宮の発展に寄与し,周辺住民とも良好な関係を築いて来たが,ここに来て赤信号が灯っています。これまでの立地企業の撤退の跡に,特に佐藤市長の時代になって異業種である産廃企業の進出が著しいからです。問題のセルクリーンセンターに続き,環境汚染トラブルを各所で起こしているダイセキも鉄工所跡に進出します。これでは周辺住民との関係はもとより,名だたる食品製造企業の操業環境も破壊しようとしています。市長は同団地を造成した市街地開発組合副組合長でもあります。そこで市長は,同工業団地総合管理協会に対し,団地創成時の原点に戻させ,土地利用の自己規制の実行を求めるべきではないのか。

市長
「宇都宮工業団地総合管理協会に対し,土地利用の自己規制の実行をもとめるべき」につきましては,宇都宮工業団地総合管理協会におきまして,平成205月に,良好な周辺企業との関係及び生産環境を維持することを目的として,企業が新たに立地する場合や,事業内容を変更する場合の手続きを定めた「土地利用協定」を自主的に策定したところであり,同協会内の「土地利用協定運営委員会」が中心となって,適切な運用が図られているものと考えております。

荒川議員
 また,セルクリーンセンター進出に関する団地企業との合意のあり方も再確認すべきと思うが答弁を求めます。

市長
「団地企業との合意について」でありますが,平成18年に,管理協会と事業者との間で,法令遵守や公害の未然防止,生活環境の保全などを条件として,事業内容についての合意書が交わされております。

荒川議員
 次に,同団地のセルクリーンセンター建設許可の市長の暴挙に,住民の怒りは量と質の両面で大きな広がりを見せています。私は,今議会に上程された請願趣旨を全面的に支持します。新しい議会と議員は,この問題にもう一度真摯に向き合い,将来に禍根を残さぬ審議と態度を決定する時が来たと思います。同時に,市長にもまだ自らの決定を撤回する道は十分に残されており,政治の大道に立った勇気ある決断をしてほしいと願います。市民の生命と健康を守り,幸福追求する権利の保障を第一の仕事とする責務を持つのが市長です。市長の人生訓,義を見てせざるは勇なきなりは,本当に建設認可でいいのですか。改めておたずねします。これまでの様に黙って下を向いて部長に答弁任せきりの政治姿勢を正し,自らの所信を自らの答弁を通して堂々と市民に語りかけるべきではないのか。政治家としての矜持を私は同じ政治家として捨て去ってほしくないと思うが合わせて答弁を求めます。

環境部長
 「セルクリーンセンターの建設許可について」でありますが,産業廃棄物施設の設置許可は,地方自治法に基づく法定受託事務であり,国の通知におきましても,施設の設置に関する計画が,「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で定める要件に適合する場合には,必ず,許可しなければならないものであり,許可権者に対して,裁量権が与えられているものではないと明確に示されております。
 宇都宮工業団地の産業廃棄物処理施設建設計画につきましては,平成177月に事業者から事業計画が提出され,本市といたしましたは,国の「廃棄物処理法」や「宇都宮市廃棄物処理に関する指導要綱」に基づき,厳正かつ慎重に審査を行い,計画が法令等で定める要件に適合していると判断し,許可いたしました。
 次に「市長自ら市民へ語りかけることについて」でありますが,これまで,市長へのメールをはじめ,地域住民から寄せられた様々な意見や質問などに対し,その都度,丁寧にお答えするとともに,地域とのまちづくり懇談会に起きましても,直接,お答えしているところであります。

荒川議員 再質問
 セルクリーンセンターの問題でお聞きをしたいと思います。市長がこの問題で答弁を始めたので,オッとおもったのですが,やっぱりセルクリーンセンターの問題は,答弁をしてもらえなかった。誠に私も政治家としても残念でございます。そういう中ですが,具体的な論議については,常任委員会の請願審査に任せたいと思うのですが,一点だけお聞きをしたいと思います。答弁ではいずれにしても,法律に基づいて粛々とやったのだということでありますけれども,法律に基づいて粛々とやったのなら,市長はいりません。弁護士さんがいればそれでいいのです。そういう点では,今度のこのセルクリーンセンターの認可をめぐって,それでは,市長に裁量権は,先ほどの部長の話では「ない」というようなことを言っておりましたけれども,本当に裁量権はないのか,私は先ほども言いましたように,本当に住民の皆さんの言っていることが,道理があって,そのとおりだと思えば,そういう中で憲法や何かのところからでも,私は,市長の裁量権はもちろんあってもいいのだと思います。法律は色々ありますけれども,法律の中で,反したり,それから法律に反さず,そのとおりだというのも,重なることもあると思うのです。それはちょっと置いておきまして,お聞きしたいのは,その裁量権の問題でありますが,住民の皆さんと宇都宮市も入った3者協議の中で,都市計画課の職員の方がそこで発言をして,「建築基準のみを見れば裁量権があるとも言えるところだが,本市の場合,同じ市長が,廃棄物処理法による許可を取り扱うことになるために,二つの法を踏まえて判断をするものである」とこのように言っているのですが,都市計画の決定との関係では,市長の裁量権はあるというふうに言っていますが,あるのでしょう?これは。

都市整備部長 再答弁
 ご質問の,建築基準法に基づく許可処分につきましては,特定行政長,(市長でございますが),こちらのほうに裁量権があるということでございます。

荒川議員 再質問
 そういうような中で,今度は,都市計画審議会の中の議事録で,やはり,市の幹事の方の発言で,「廃棄物処理法と建築基準法の第51条の但書の許可というものは,それぞれ独立しているものだ」と「その中で整合性を図りながら」などと言っているのですけれども,同時並行で審査することも可能なのだと,こう言っています。つまり,建築基準法の審査は,独立してやるのですから,建築基準法との関係では,裁量権はあるということをここでも認めていると思うのです。そういう点では同時並行的に審査することも可能だということでありますから,当然都市計画審議会で論議をして,あういう結果になりましたけれども,本当に賛否が分かれるところで,それに基づいて報告を受けて,市長は,「これはそういう論議の経過を見ても,やっぱり市民の皆さんの心配や地域の皆さんの心配は,これは当っているな」とこういうふうに思った時には,これは当然市長の裁量で,これに「ノー」と,建築基準法については,「ノー」と言う。廃棄物処理法では,これは市が認めちゃった,こういうことはあっても,これは矛盾をしますけれども,この両方は両方として,この結論はきちんとしたものとして捉えるべきだと思うのですが,どうでしょうか。

都市整備部長 再答弁
 許可処分に当っての手続きでございますが,今ご質問にございました,宇都宮市の都市計画審議会,こちらにつきましては,法定手続きということではございません。最終的には,県の都市計画審議会の議を経るというふうに法律上はなってございます。ただし,市の方で都市計画審議会に付議をしたということは,市の都市計画に関して,これは任意でございますが,その調査審議をするというための機関でございますので,こちらのほうにも付議をしてご意見を伺ったということでございます。以上でございます。

荒川議員再答弁
 いずれにしても,市長がこの決定を撤回をする,そういう裁量権は残されていると,このように私は思いますので,市長の決断を再度求めまして質問を終ります。

荒川議員
 市民を医療難民にしないために,に入ります。
 市議会日本共産党では,国保110番という相談窓口を開いていますが,今日の国民健康保険をめぐるきびしい実態が浮かび上がっています。60代後半の女性は,昨年は収入が80万円で17千円の保険料で済んだ。今年は142万円の収入で97千円に跳ね上がった。この保険料を納めると病院のお金を削らないと生活できない」と訴えています。「保険証があっても患者になれない」事態です。また,60代の自営業の男性は,この間仕事が殆どなくなり,病院に行けず,持病が悪化,なけなしの5千円をつかんで,これで短期証の交付を相談に来たが,窓口の対応は,そんな金額では話になりませんと取り合ってくれなかったと訴えています。こうした,高い国保税が払えず,お金の切れ目が生命の切れ目になりかねない資格証を発行されている世帯は3372世帯,短期保険証世帯は3439世帯に及んでいます。
 今年は国民皆保険制度50周年の節目の年ですが,すでに世界に誇るべきこの制度は崩壊しているとの声も聞かれます。全国民医連の調査によると,2011年中に経済的事由による手遅れ死亡が71事例報告されています。
 こうした事態を防ぐ手立てのひとつとして,また,国保110番に訴えてきた2人のような方に,医療を受ける道を開けるものとしてあるのが,国保法44条に基づく医療費一部負担金減免・減額制度です。ところが,この制度適用は天災などに狭められて,一部の自治体を除いて,本市を含め長らく皆無に近い状況でした。しかし昨年度,その取扱いについて,国の局長通知により,適用拡大が求められてきました。ところが本市においては,窓口も含めて旧態依然とした市民対応から脱皮できず,市民の生命と健康を危機にさらしているのではありませんか。そこで,この5年間で,東日本大震災による適用を除いて何件の適用があったのか伺います。

保健福祉部長
 「5年間の一部負担金の減免の適用件数について」でありますが,被保険者が医療機関で支払うべき一部負担金の減免の適用にあたりましては,収入や預貯金の調査を実施し,決定しているところであります。
 毎年10件程度の事前相談がありますが,調査の結果,生活保護の適用や入院時に支払う一部負担金を所得に応じて一定額の負担までとする限度額適用認定証の交付などで対応できており,減免の申請には至らず,過去5年間の減免の適用件数は0件となっております。

荒川議員
 また,災害等に限らず,失業や所得の激減,病気などによる特別の事情がある場合,国保税の申請減免制度があります。この適用内容は本年度も含めてどの様な実態となっているのか,合わせて伺います。

保健福祉部長
「国民健康保険の申請減免の実態について」でありますが,失業や所得の減少など特別な事情により,減免の適用となった件数は,平成19年度は41件,平成20年度は63件,平成21年度は340件,平成22年度は56件,平成23年度は8月末現在で76件であります。
 また,国民健康保険法の改正に伴い,平成22年度からは,倒産や解雇など,非自発的失業者に対するいわゆるリストラ軽減措置が創設され,平成22年度は1,850件,平成23年度は8月末現在で839件を適用しております。

荒川議員
 次に,国保税の引き下げについてです。
 本市の国保税滞納世帯20,457世帯の内,78.8%は所得200万円以下の世帯です。先ほどの女性の様に生活保護基準の収入で,約10万円の国保税は,払いたくても払いきれないのは当然ではないでしょうか。
 そこで,本市では昨年度,やむをえない一般会計からの繰り入れ基準をつくり,94000万円を予算化しましたが,決算では3億円余に止まっています。その内,無所得者などへの支援分として8億円の予算を見込みましたが,12900万円の決算です。そこで,この差額分は,高すぎる国保税にあえいでいる無所得者,低所得者への国保税負担軽減にあてる方法もあると思いますが答弁を求めます。

保健福祉部長
「国民健康保険税の引き下げについて」でありますが,本年7月,本市国民健康保険の重要事項を審議する国民健康保険運営協議会に,税率の見直しや一般会計からの繰入などによる,国民健康保険財政の健全化策について,諮問したところでありますことから,同協議会のご意見を十分伺いながら,適切に対応してまいります。

荒川議員
 この項の終りに,医療難民になることを防ぐ手立てがもう一つあります。それは無料低額診療所を増やすことです。これは自己負担が困難なために病院に行けない,行かない市民,こうした問題に対応する制度として,社会福祉法に定める「生活困難者のために,無料または低額な料金で診療を行う事業であり,患者の相談・申請に応じて医療費が免除され,その診療を行う病院は税負担の軽減が受けられるものです。本市では済生会病院がこの事業を実施しており,年間89820人(H22年度実績)が医療を受けています。今日の格差と貧困が広がっている中で,済生会だけに負担を負わせることなく,こうした医療機関を広げていく必要があると考えますが,事業実施の届出があり,国の基準を満たすなら受理をする用意がありますか。答弁を求めます。

保健福祉部長
 「無料低額診療所について」でありますが,無料低額診療事業につきましては,社会福祉法に定める第二種社会福祉事業のひとつとして,実施医療機関が,生計困難者に対して医療費を無料または低額な料金で診療を行うものであり,低所得者等に対する必要な医療を確保する上で一定の役割を果たしているものと認識しております。
 本市といたしましては,今後,市内の社会福祉法人や医療法人から無料低額診療事業実施の届出があり,その事業内容が,医療ソーシャルワーカーの配置や生計困難者に対する健康相談の実施など,国が定める基準を満たしている場合には,受理していく考えであります。

荒川議員
 次に,安心老後の介護保険にするために,についてです。
 この6月に成立した改正介護保険法のもと,第6次宇都宮市高齢者保健福祉計画・第5期介護保険事業計画の策定が着手されています。
 そこで,介護保険者である市長に主な点について見解をお聞きします。
 一つは,要支援と認定された高齢者への介護のあり方です。
 今回の法改定で新設された「介護予防・日常生活支援総合事業」を導入した市町村は,要支援者へのサービスを従来どおりの介護保険給付とするか,市町村まかせの総合事業とするかを決められる様になります。介護保険で実施される訪問介護やディサービスなどは,その質を担保するために人員や施設,運営などは全国一律の基準がありますが,地域支援事業である総合事業では,それは適用されません。ですから,サービスの担い手はボランティアなども「多様なマンパワー」を活用するとされており,専門職以外にまかせて費用を抑えることを意図したものとなっています。 これでは,要支援の高齢者が,日常生活を維持し,必要なサービスをしっかりと受けて,要介護になることを防ぐことが困難になることは明らかです。高齢者の安心老後を脅かす総合事業は本市においては導入すべきではない。市長はそのことを明確な方針として,第5期事業計画策定にのぞむべきと思うが答弁を求めます。

保健福祉部長
 「介護予防・日常生活支援総合事業について」でありますが,この事業は,高齢者が要介護状態等になることの予防や,地域での日常生活の支援のための施策などを市町村が,総合的かつ一体的に行えるよう,創設された制度であり,年内には,対象となるサービス内容が国から提示される予定であります。
 本市における導入につきましては,それらの内容を踏まえた上で,事業費の見込みや利用者の負担のあり方,既存のサービスとの整合性などの観点から検討してまいります。

荒川議員
 また,介護を担う労働者から不安と危惧の声が上がっているのが,介護福祉士と研修を受けた介護職員による医療行為の解禁です。現在は医療行為として医師・看護師などにしか認められない,痰吸引などを介護職員が行えるようになります。今迄,特養入居者に対し,看護師不足を補うために当面やむをえない措置として通知による運用で,限定して認められてきたものが,在宅サービスのヘルパーや他の施設にも拡大し,法制化するものです。これは,専門教育を受けた有資格者のみが行える医療行為を専門性が異なる介護職に補わせることであり,高齢者の生命の安全を脅かすことに他ならないと思うわけです。保険者である市長の見解を求めます。 

保健福祉部長
「介護福祉士などによるたんの吸引等について」でありますが,今回の法整備につきましては,国が定めたカリキュラムに基づき,50時間の講義や実地研修を受講した介護福祉士などが,医師の指示などの一定条件のもとに,たんの吸引等を実施できるようになるもので,たんの吸引等の医療的ケアを必要とする方に,適切なサービスを円滑に提供できるようになるものと認識しております。

荒川議員
 次に,待機者ゼロへの特養ホーム整備についてです。
 昨年11月,国の介護基盤緊急整備特別事業にかかわる本市の対応についての中で,「特養ホーム待機者は第4期計画において解消すると見込んでいるものの,計画期間後も待機者が同じ伸び率で増加すると,平成24年度から新たに年間36人増加する見込み」との報告がありました。そこで,第5期計画の策定にあたり,現に減らない待機者の中で,この見込みは甘いのではないのか。待機者ゼロに向けて,積極的整備目標を立てるべきと思うが,現時点での市長の待機者ゼロへの分析と見解を伺います。

保健福祉部長
 「第5期介護保険事業計画における特別養護老人ホーム整備について」でありますが,第5期計画の策定にあたりましあては,本年5月に県が実施した入所申込状況調査や今後の高齢者人口の動向などにより,新たに推計を行い,待機者が解消できる施設整備量を計画に位置づけてまいります。

荒川議員
 次に,介護給付基金が22年度決算額で31億円余に膨れ上がっています。今回こそは大胆に取り崩し,保険料・利用料の負担軽減を実行すべきではありませんか。また,県の財政安定化基金を取り崩す規定が設けられました。国・県にも保険料軽減へ大胆な取り崩しを求めるべきです。市長の基金活用の決意のほどを伺います。

保健福祉部長
 「介護給付基金の活用について」でありますが,基金の現在高は約31億円でありますが,今年度中に約4億円を取り崩すことが必要になると見込んでおり,今期末の残は約27億円になる見込みであります。
 この約27億円の活用を含め,介護保険事業の安定した財政運営のあり方や第5期の保険料などにつきましては,現在,社会福祉審議会においてご審議いただいておりますことから,そのご意見を十分に伺いながら検討してまいります。
 なお,介護サービスの利用料につきましては,従来どおりと考えております。
 次に,「財政安定か基金の取り崩しについて」でありますが,財政安定化基金につきましては,介護保険事業の安定した財政運営のため,国,都道府県,市町村が拠出し,設置しておりますが,今回の制度改正の中で平成24年度に限り,市町村の保険料増加の抑制に充てることを目的に基金の一部を取り崩すことができるとされたところであります。
 現在,県においてこの基金の取り崩しの検討を進めているところでありますが,できる限り保険料の軽減につながるような取り崩しを県に要望してまいりたいと考えております。

荒川議員
 質問の第4です。やさしさはぐくむ市政は,市民の願いや苦難と真正面から向き合う中でこそ生まれます。そこで,本日は4つの施策を試金石として質問します。
 まず,記録的猛暑の中で,市長は熱中症から,特に高齢者等をしっかりと守っているのでしょうか。市消防本部によると,今年の熱中症による救急搬送者数は8月末で165人に達し,その内,高齢者が76名にのぼっています。この間,市議会日本共産党は,市長に対し,2回にわたって緊急提案を行い,きめ細かな訪問と総力をあげた高齢者へのケア体制確立,熱中症グッズ等を届けながらの効果的予防喚起,エアコン設置への支援等を求めてきました。では,具体的取組みはどうだったのか。ある地域社協では,訪問活動に際し,水ペットボトルを配布したとのことです。一方,他地域のある民生委員さんは,「地域包括支援センターから訪問の際は水分をとる様声をかけてと言われたが,通りいっぺんの対応だった」とも語っています。現場での高齢者との接点では,対策が市から地域組織に丸投げされ,対応レベルは不徹底・不統一で,温度差が見受けられると思うがどうか。国の補助金メニューもあると聞くが,活用したのですか。いくら対策費をかけ,現場の取組みを支援したのですか。答弁を求めます。

保健福祉部長
 「高齢者の熱中症対策」につきましては,昨年,今年の記録的な猛暑が続く中,大変重要であると認識しており,本市では,無理にがまんせず,適度にエアコンを使用する,暑い時間帯の外出を控えるなど,高齢者が熱中症を正しく理解し,予防に努めていただけるよう,市内の全ての介護保険サービス事業者や,老人クラブ連合会などの関係機関にパンフレットの設置や活用による普及啓発を依頼したところであります。
 また,市から高齢者へ直接郵送する通知書等にも啓発用リーフレットを同封するなど様々な手法により,意識啓発に取り組んできたところであります。
 さらに,熱中症のリスクが高いと考えられますひとり暮らしの高齢者に対しましては,市からの指示により,地域包括支援センターの職員が,直接,訪問をして,猛暑となる前の6月から注意を促すとともに,夏季期間中においては,健康状態を確認しながら熱中症予防のためのアドバイスをするなど,支援を行ってきたところであります。
 次に,「対策の経費と国の補助金について」でありますが,本市におきましては,昨年の猛暑の状況を踏まえ,国の補助金制度が示される以前の5月に購入したパンフレットの費用や地域包括支援センターの訪問に係る経費といたしまして,現在までのところ,約60万円を支出しております。このうち,地域包括支援センターの訪問に係る経費につきましては,補助制度を活用できるものと考えております。
 今後とも,高齢者の皆様が安心して暮らせるよう熱中症対策に取り組んでまいります。

荒川議員
 また,国はこのほど,生活保護受給者が冷房設備を購入するために貸付金を利用した場合は,収入認定除外とし,貸付返還金は収入から控除する取扱いとされました。この取扱いにより,年金等の保護費以外の収入のある人には貸付金により冷房機器の購入が可能となりました。しかし,この取扱いでは保護費以外の収入のない人は貸付が受けられないことから,高齢者など健康管理上,冷房機器を最も必要とされる人たちに今回の制度改正の効果が及ばない状況となっています。そこで今回の制度改正の不合理の解消を国に強く求めること。東京都で行ったように,それまで市独自の緊急支援策を市長に求め,答弁をお願いします。

保健福祉部長
 「国の制度改正の不合理の解消を国に強く求めること」についてでありますが,冷房機器につきましては,これまでも生活保護受給世帯が,生活保護費の範囲内で計画的に費用を捻出し保有することが認められているところであります。
 このような中,熱中症対策等の保護費以外の収入がある世帯につきましては,貸付金を利用した冷房機器の購入がしやすくなるよう改正されたところでありますが,収入のない世帯につきましては,対象外となっております。
 このようなことから,国への要望につきましては,県内の町の生活保護事務を担っている県や,他市とも協議をしながら検討してまいります。 次に「市独自の緊急支援策について」でありますが,本市では,本年の熱中症対策として,暑さが本格化する7月には,全ての生活保護受給世帯を対象に健康状態の把握を含めた安否確認とともに,予防リーフレットの配布と注意喚起を実施し,さらに8月には全ての高齢者世帯を対象に改めて安否確認等を行ったところであります。
 今後,熱中症による健康被害を未然に防止するため,保護世帯の状況に応じたきめ細やかな対応について検討してまいります。

荒川議員
 2点目は高齢者外出支援についてです。
 まず,バスカード窓口一本化についてです。この点では,昨年にこの場から,また先の厚生常任委員会では,その進捗状況を伺いました。本日の高橋議員へのできるだけ早くの答弁も聞きました。市長は,優秀な市職員を擁しながら,こんな簡単な課題解決にモタモタし,こんな暑い中を,高齢者を2ヶ所も窓口はしごをさせているのですか。本日こそ,バスカード手続き一本化の期限を明らかにする事を求めます。答弁ください。

市長
 「バスカードの窓口の一本化」につきましては,高齢者外出支援事業は,高齢者の外出を促すことなどを目的に,バス事業者の販売するバス乗車券を購入する際,費用の一部を市が助成する事業として実施しているところであります。
 議員ご質問の「窓口一本化」につきましては,高橋議員のご質問にお答えしましたとおり,手続きの簡素化を図ることは利用者の負担軽減の観点から重要であると認識しておりますことから,関係機関とも協議を行いながら,できるだけ早急に,簡素化が図れますよう努めてまいります。

荒川議員 再質問
 まず最初に,「やさしさはぐくむまちづくり」は,市民の困難に真正面から,きちんと向き合ってやることだという立場で
4点ほど質問したわけでありますが,バスカードについては,早急にやるという話の後は,なんとも「やさしさはぐくむまち」をつくるには,宇都宮はスローテンポだなということを今の答弁で感じているところであります。
 まず第一に,バスカードですけれども,もうこれはすでに去年の12月(6月)からこの問題は言っているわけです。高橋議員への答弁では,「バス会社の窓口を増やしたから」などという答弁もありましたけれども,バス会社の窓口を増やしても,はしごをすることは何の変わりもありません。そういう点では先ほども言いましたように,優秀な職員の皆さんばかりなのです。私もない知恵で考えてみたのですが,要はバス会社から,バスカードを1000円バス会社負担ですから,4000円でまとめて買ってきて,又は売り掛けで持ってきて,そして申請に来たときに渡せば,それで済む話じゃないかと思っているのです。なぜこういうことができないのでしょうか。まずこれをお聞きしたいと思います。

保健福祉部長 再答弁
 民間企業が発売しております品物を行政が買って,それをまた再売却すると,そういった手法が本当に好ましいのか,色々検討しておりまして,いずれにいたしましても,早急に利用者の方々が,2ヵ所歩かないで済むようなそういう工夫をしてまいりたいと思っております。

荒川議員 再質問
 ある人は,そのバスカードを買うのに480円使っちゃった,そんな話も出ています。そういう点ではこれは「検討」・「検討」なんていう時間は必要ありません。ぜひ,やっていただきたいと思います。

荒川議員
 次に,市民,特に高齢者は病院や買い物等への外出支援に生活交通網の早期整備を強く願っています。市長は生活交通は福祉だと言うようになりましたが,その通りです。交通不便地域だけでなく,市街地にも生活交通が必要です。そこでまず,試験運行中のみずほの・城山地区などの運行・利用状況はどうなっていますか。また,高齢者の外出支援への要望に見合う市内各地域での同時多発的整備へもっと人も財源も振り向けることができないのか,答弁を求めます。

市長
 「地域内交通について」でありますが,本市では,現在,生活利便施設が分散し,高齢者などの日常生活の移動手段の確保が喫緊の課題となっている郊外部の14地区におきまして,その導入に取り組んでいるところであります。
 このような中,現在,城山地区と瑞穂野地区におきまして,試験運行実施しており,このうち,昨年12月に運行を開始しました「古賀志孝子号」につきましては,当初,付100人程度であった利用者が,8月には約310人に増加し,3月に運行を開始しました「みずほの愛のり号」につきましては,つき200人前後であった利用者が,8月には約640人に増加するなど,それぞれの地区におきまして,高齢者を中心に,多くの方に利用されているところであります。
 また,その他の地区におきましても,それぞれの進捗状況に合わせて,「勉強会の開催」や「運行組織の立ち上げ」,「運行計画の作成」など,早期導入に向け,地域と一体となって取り組んでいるところであり,必要な事業費につきましては,今後とも確保してまいりたいと考えております。

荒川議員
 3点目に,市の霊園,墓地である東の杜公園に建設計画のある共同墓地(納骨堂)の前倒し建設を求めて質問します。
 6月議会において,墓地条例の一部改正があり,「短期納骨堂について,使用期間満了後も使用者が焼骨等を引き取らない場合,市長がその焼骨等を一定の場所に移し,又は処分する事ができる」こととなりました。
 こうした中で, 80代の女性から,「内縁の夫の遺骨を短期納骨堂に預けて5年が経過し,規則で引き取りを求められている。市営墓地の購入を勧められたが,たとえ買えても,私が死ねば守る人がいない。お寺さんに預かってもらうお金がない。いずれ一緒に入れる市の共同墓地はないのですか」との相談が持ち上がりました。私は,この方に限らず,様々な事情で焼骨を抱えている人,行き場がなく,引き取り手もなく,市でお預かりしているものも沢山あるのではないでしょうか。墓地条例の改正は他の要件もあり,全会一致で可決され,私も厚生常任委員会の質疑で,共同墓地の早期建設を要望して賛成の態度をとりました。しかし,私は今反省しています。今は亡き市民だった方の焼骨が納骨堂から出されて,その片隅に積まれてしまう。これはしのび難いものがあります。既に共同墓地建設場所は確保されています。やはり共同墓地の整備と一体でなければ配慮を欠く議案ではなかったのでしょうか。
 条例提案者の市長の仕事は,市民をゆりかごから墓場まで責任を持つことです。共同墓地の一刻も早い建設を願い答弁を求めます。

市民生活部長
 墓地を求める市民の方々から,「お墓を造って引き継ぐものがいない」,「子どもたちの迷惑はかけられない」など,お墓を建てたあとの不安について,相談寄せられておりますことから,本市におきましては,現在,こうした相談者や一時的に遺骨をお預かりする「短期納骨堂」の使用期限が満了した使用者などに対応するため,墓石等の必要がなく,安価に使用でき,10年以上の長期に渡って,使用者による維持管理が不要な,「長期納骨堂」の利用をご案内しているところであります。
 議員ご質問のひとつの墓地に多数の遺骨を埋蔵し,市が永代管理する,「共同墓地」いわゆる「合葬式墓地」につきましても,一定の需要があると予測されますことから,今後の墓地需要の動向を踏まえながら,東の杜公園における,「合葬式墓地」の整備について,検討してまいります。

荒川議員再質問
 それから共同墓地の関係でありますが,これについては,この前の常任委員会の時に,東の杜公園の図の中に,丸くなっているここのところが予定地ですよという答弁を受けたのでありますが,もう予定地はそこで決まっているのでしょう。お聞きしたいと思います。

市民生活部長 再答弁
 東の杜公園につきましては,「ここの墓地」,「ここの場所」という,今議員がおっしゃいましたようなところではなくて,今,芝生・墓地等を造成しておりますので,その延長の中で,墓地需要等動向を見ながら,検討をしていくということでございます。

荒川議員 再質問
 沢山待っている人もいると思うのです。そうしますと,本当に今のような話では,草葉の陰から安心できません。大体いつまでに造成が終わって,概ねどれくらいのお金でできるのですか,これは?たいしたお金かからないと思うのですけれども。立派な石でも立てちゃえばそうですけれども,そこまで「やさしい」かどうか分かりませんが,どうなのですか,その点は?

市民生活部長 再答弁
 墓地に関しましては,これから需要等の関係もございますので,そういった部分を十分検討しながら,それから規模とか費用につきましても,他市の色々の事例もございますので,そういったものも含めて,検討しながら,どんなものがよろしいかは,今後検討してまいりたいと思います。

荒川議員再質問
一刻も早くお願いをしたいと思います。

荒川議員
 この項の最後に,平成20年度2,627万円余をかけて新設された文化会館西側駐車場脇の通路の有蓋(屋根付)通路についてです。この通路は視覚障がい者誘導用ブロック(点字ブロック)が整備されています。ところが,この有蓋新設のための支柱が通路に立てられ,点字ブロックから支柱までの間は僅か7cm10cmしかない所が生じ,視覚障がい者の通行にきわめて危険な状況を生み出しています。
 これは,国土交通省の示している視覚障がい者誘導用ブロック設置指針,道路の移動円滑化整備ガイドライン,本市の公共的施設整備マニュアルに照らしても明らかに逸脱しているのではありませんか。答弁を求めます。
 本市は,やさしさはぐくむ福祉のまちづくり条例のもと,民間事業所にも条例に見合った整備を求めています。肝心の公共施設において,何故,こういうことが行われてしまったのか,市長及び教育長の市民への納得ゆく説明と,視覚障がい者の皆さんの安全な通行を確保するために,今後いつまでに,どのような対処をするのか答弁を求めます。

教育長
 文化会館有蓋通路につきましては,地下の埋設物などの障害物により,柱を建てる位置に制限がありましたことから,現在の位置に整備したところであります。
 このような中,本年7月に市民の方から「有蓋通路の支柱が誘導用ブロックの近くにあり,危険である」とのご指摘を受け,調査したところ,設置してある注意喚起用床材の1箇所について,基準を満たしていないことが判明し,改修することといたしました。
 改修にあたりましては,障がいのある方に,より安全にお使いいただくため,8月には障がい者団体より紹介を受け,視覚障害のある方と,車椅子利用の方から,現地において直接お伺いし,現在,誘導用ブロック移設等の準備を進めているところであり,年度内に工事を完了してまいります。

荒川議員 再質問
 文化会館の有蓋通路の問題でありますが,これは先ほど言いましたように,誘導用のブロックは,基本的には30cmは境界や障害物から開けなさいと,これが国土交通省の設置基準でも,それから本市の「やさしさはぐくむまちづくり条例」の中でも決まっていることです。そういう点で,民間なども,やさしさはぐくむまちづくりのためには,一生懸命がんばっているわけです。こういう中で,まさか「柱の立てる所がなかったから立てたのだ」などということで,これは済む話ではないのではない。きちんとそうした設置基準に基づいて,まずはそれをきちんと確保する,どんなことがあっても,視力障がい者が歩いてたら,柱にぶつかっちゃうようなこんな状況を作るなどということは許されないのではありませんか。反省が足りないと思うのですが,どうですか。

建設部長再答弁
 確かに,議員ご指摘のとおり,基準を満たしていないということで,当時の作った公共施設マニュアルにも,30cmということで記してございますので,それがないということでございますので,早急に対応したいというふうに考えてございます。

荒川議員 再質問
 いずれにしても,これは早急に点字ブロックの移動をするということなので,年度中などと言わずに,一刻も早く,これも「やさしさはぐくむまちづくり」のバロメーターとしてお願いをしたいと思います。

荒川議員
 質問の最後,教育行政は原子力発電への安全神話教育からの決別を,についてです。
 東電福島第一原発事故が起きて,日本中を席巻していた原子力エネルギー・発電への安全神話は完全に崩壊しました。
 いま,多くの国民が原発事故の中に他の事故には見られない異質の危険を見出しています。即ち,ひとたび重大な原発事故が起き,放射性物質が放出されてしまうと,最早それを完全に抑える手段はありません。被害は空間的にも時間的にも社会的にもどこまでも広がるかわからない。国民の命と安全を守ろうとすれば他に類のない危険な事故をもたらす原発という技術を,国民は最早許容しないでしょう。
 ところが,この期に及んでも「原発の安全基準を高めて事故を起こさないようにすれば良い」と安全な原発が作れるかのように言って推進にしがみつく勢力もあります。しかし,そもそも現在の人類の持つ科学と技術において,事故のない原発などというものは作れません。いま,開発されているどんな原子炉も核燃料を燃やすと「使用済核燃料」という死の灰がどんどん溜まります。それを安全に処理する技術は,これも人類は持っていません。この死の灰が持つ放射能の危険は10万年もたたないとなくならず,10万年にわたって安全に管理する方法,これもあるはずがありません。世界有数の地震・津波国日本において,安全な土地に立地している原発はひとつもありません。福島原発事故は多大な犠牲の上に人類の叡智,科学,技術の結集をもって,原子力に頼らないエネルギー政策への転換の道を示したと思います。
 こうした中で,これまでの原子力エネルギー・原子力発電への安全神話に基づく教育にも明確に決別することが求められています。「原子力は地球を守る」「地球にやさしい原子力」「小さくともちからもち」「原子力はすごいぞ」このキャッチフレーズは文部科学省・経済産業省資源エネルギー庁の委託を受けた日本原子力文化振興財団による,小・中・高生を対象にした原子力ポスターコンクールの受賞作品のものだそうです。ここに,これまでのエネルギー・環境教育の本質が表れているのではないでしょうか。
 さて,こうした中で,本市の小学校・中学校で現在使用されている理科・公民・地理・社会・技術など広く教科書で,原子力及び原発が取り上げられていますが,3.11以降,その教育内容と位置づけはどのように配慮及び変えたのか,まずお伺いします。

教育長
 「原子力及び原発に関する教育内容と位置付け」につきましては,現在,原子力及び原発について,主に中学校の社会科,理科のエネルギーに関する学習の中で取扱い,わが国がエネルギー問題を抱えていることや,火力,水力,原子力等による発電の長所と短所などを指導しております。また,すでに新学習指導要領が先行実施されている中学校理科において,今年度末から,放射線の性質と利用についての学習が始まりますので,その中で放射線の危険性についても指導してまいります。

荒川議員
 次に,文部科学省が作成した副読本,小学生向けには「わくわく原子力ランド」,中学生向けには「原子力ワールド」が教師用解説編と合わせて各学校に配布されています。新学習指導要領対応とも銘打っています。現物はこれであります。「大きな地震や津波にも耐えられるように設計されている」「原子炉は放射性物質を閉じこめる五重のカベで守られている」などの表現もあります。教師用副読本では,ここが指導のポイントとさらに詳しく強調されています。
 そこで,各学校,教師に配布されているこの副読本は事実とも反した記載もあり,直ちに回収すべきものと考えるが答弁を求めます。

教育長
「副読本の回収」につきましては,平成21年度末に,文部科学省がエネルギーに関する学習の参考資料として教師及び児童生徒対象に各学校に1冊ずつ配布した副読本の一部において,今回の原発事故を受けて見直しが必要な記載がありますことから,その箇所について使用を控えるよう学校に周知徹底してまいります。

荒川議員
  また,文部科学省は,教育支援事業等交付金を使って,原発安全神話教育に狂奔しています。そのメニューには原子力,放射線に関する教職員セミナーも行われているが,本市からこれまで教職員が出席していることがあるのか,答弁を求めます。

教育長
「原子力,放射線に関する教職員セミナーの出席」につきましては,本市の小・中学校から出席した教職員は,平成20年度は4名,平成21年度は2名,昨年度はおりませんでした。


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