2010.9.7
【福田くみ子議員】
発言通告に従って順次質問してまいります。市長並びに教育長、所管部長の前向きなご答弁を期待いたします。まず、市長の政治姿勢の1番目に住民自治と地域自治制度についてです。
いま、民主党政権のもとで「地域主権改革」が叫ばれています。国と地方自治体の行政がどのように変えられようとしているのか、それに対して、私たちがどのような方向を目ざすべきなのか。地方自治・住民自治を豊かに花開かせることを願えば、これは市長にとっても、議員にとっても重大な関心事です。
この「地域主権改革」とやらの底流にあるのは、新自由主義の構造改革政治への無批判な追随にあるとの指摘があります。その概念も意味不明です。そして、この先行モデルが大阪の橋下府政であり、名古屋の河村市政です。橋下府知事は政府の地域主権戦略会議の議員であり、総務省の顧問です。大阪湾岸開発のために府の福祉・教育予算を削り、市場化テストで税務窓口をスイスの多国籍企業に、府立図書館は東京に親会社がある企業に引き渡す等、究極の構図改革に手を染めています。河村名古屋市長も区役所は民営化すべきとし、住民自治よりも首長の経営力を強調し、市長に歯向かう議会は定数も報酬も削減だと言い、橋下府知事同様、二元代表制の見直しを主張しています。ともに住民を代表する首長と議会の緊張関係のもとで、自治体を運営するというのではなく、首長こそが自治体の代表者であり、権限を集中すべきという考え方です。
そこで、この「地域主権改革」と2元代表制の見直しを主張する橋下府知事、河村市長の考え方や行動に対して、佐藤市長の見解を伺います。
【市長】
「住民自治と地域自治制度について」でありますが、国が今年6月に閣議決定しました「地域主権戦略大綱」におきましては、二元代表制を前提としつつ、議会と執行部の関係を含めた、地方公共団体の基本構造につきまして、どのような組織形態があり得るのかを地方分権の、より一層の推進に向けた課題の一つとして位置づけ、現在、具体的な検討を進めているところであります。
この二元代表制に対する考え方は、首長によって様々でありますが、私は、議会と執行部は緊張関係を保ちながら、車の両輪として互いの信頼のもと、市政を進めていくものであると考えております。
【福田くみ子議員】
本市の地域自治制度についてです。
地域自治とは住民の主体的参加を通じて、地域問題の解決や地域像実現に向けて住民の合意形成を行い、活動の蓄積によって自治の潜在力を高め、地域のあり方を自己決定していくことにあります。ですから、このような方向を確立するためには、法や条例に基づく委譲によって、地域住民組織の結集体であるコミュニティ組織が、小学校または中学校区などにおいて、まちづくりの分野から地区計画権、財政権、執行権を伴って担う体制を確立する地域自治システムの構築が必要とされています。そこで2004年には、地方自治法の改正が行われ、「地域自治区」制度を活用した地域自治システムの制度設計を可能にしました。民主的に地域住民の合意を形成し、権限をもってまちづくりに取り組む仕組みの方向性を定め、まちづくり行政のあり方が明確にされました。
この法に基づく「地域自治区」制度を活用した地方自治・住民自治の実現への挑戦と試みが上越市、新潟市、豊田市、宮崎市などをはじめ全国の自治体に次々と広がりを見せています。本市においては、合併旧町の河内・上河内地区で条例に基づく「地域自治制度」が地区行政を先導する制度として導入されてきました。
そこで伺います。法に基づく「地域自治区制度」のめざすものが本市における「地域自治会議」で事足りるのか、到達点・課題を含め、どのようにとらえていますか。また、旧宇都宮各地域における地域自治制度へのビジョンの欠如があると思うが、法に基づく「地域自治区」制度の確立への展望と具体的目標はどのようになっているのか、答弁を求めます。
【市長】
「『地域自治区』制度と地域自治会議について」でありますが、本市の「地域自治会議」につきましては、市町村の合併に伴い、上河内地域と河内地域に導入いたしました「地域自治制度」の枠組みの一つとして、条例に基づき設置されている付属機関であります。この「地域自治会議」は、行政計画などの諮問への答申とともに、地域のまちづくりに関する提案などを行っており、地方自治法に基づく「地域自治区」制度の「地域協議会」が行う区域内の役割を担っており、地域の特性を生かした住民全体のまちづくりに向け、その役割は十分に果たされているものと考えております。
次に、「『地域自治区』制度と地域自治会議について」でありますが、本市の「地域自治会議」につきましては、市町村の合併に伴い、上河内地域と河内地域に導入いたしました「地域自治制度」の枠組みの一つとして、条例に基づき設置されている付属機関であります。
この「地域自治会議」は、行政計画などの諮問への答申とともに、地域のまちづくりに関する提案などを行っており、地方自治法に基づく「地域自治区」制度の「地域協議会」が行う区域内の役割を担っており、地域の特性を生かした住民全体のまちづくりに向け、その役割は十分に果たされているものと考えております。
次に、「『地域自治区』制度の確立への展望について」でありますが、平成16年度の地方自治法改正により、住民自治の強化や、行政と住民が連携・協働して地域の力を発揮することを目的とした「地域自治区」制度が創設されたところであります。
このような中、本市では、これまで長年にわたり、自治体内分権と住民自治を推進する「地区行政」に取り組んできたところであり、旧河内町、河内町との合併に際しましては、本市独自の制度に、引き続き取り組んでいくことが、将来の自治の拡大につながるものとの考えから、新市の一体性の確保に向けまして、「地区行政」をより発展させた制度として「地域自治制度」を導入したところであります。
今後とも市民満足度の高い行政サービスの提供と地域の特性を生かした住民全体のまちづくりに取り組みながら2つの制度の整合性を図り、全市的に均衡のとれた魅力あふれ、持続的に発展できるまちを目指してまいります。
【福田くみ子議員】
地域経済の元気は中小企業の元気からについて2点伺います。
地域経済の活性化とは、「一人ひとりの生活の質が高まるように地域内再投資力をつくること。住民がそこに住み続けられるかどうか、一人ひとりの住民が元気に暮らせるかどうか、このことが『活性化』の大きな指標。公共事業のような一回きりの投資や、誘致企業のように地域で生み出された所得を本社のある大都市に移転してしまい、地域内で資金が蓄積、循環しないならば、その地域の持続的発展はない」と、京都大学大学院の岡田知弘教授は、著書の中でこう述べています。
さてそこで、地域経済の活性化のために1つ目は、中小企業振興条例の制定について伺います。借金をしながら大型プロジェクトをやり、企業誘致のために多額の補助金を一部の企業だけにつぎこんでいくといった地方自治体の在り方が問われています。今こそ、地方自治体が中心となって、地域産業の個性に合った独自の産業政策が求められています。 そこで、大いに注目されるのが、地方自治体の中小企業振興基本条例や地域経済振興基本条例です。
先進的な事例としては、2007年の千葉県の「中小企業の振興に関する条例」帯広市の「中小企業振興基本条例」などがあります。旧法に基づいた融資や補助金を出す根拠条例とは全く違う理念条例です。千葉県では、条例に基づく具体的施策として「千葉中小企業元気戦略」の策定見直しを継続的に行っています。条例が制定されたことで、知事が交代しても施策の継続が保障されたことは、大きな違いといえます。
残念ながら、これまで宇都宮市は、中心市街地の活性化にも成功していません。中小企業応援の様々な施策もあまり積極的に取り組むことにはならないのは残念です。円高による経済危機は、いよいよ地域経済を疲弊させています。中小企業政策を重点的に進めるために、ここは先進事例に習い、中小企業振興条例を検討してはいかがでしょうか。地元に根を下ろした中小企業の活性化は、地域経済の活性化のためには、もっとも重要と考えますが市長の見解を伺います。
【市長】
「地域経済の元気は中小企業の元気から」のうち、「中小企業振興条例の制定について」でありますが、本市における中小企業は、事業所の約99%を占め、地域における雇用の大きな受け皿となるなど、地域経済におきまして欠かせない存在であると認識しております。このため、様々な角度から中小企業の支援に継続的に取り組んでいるところでありますが、社会経済状況の激変や、少子高齢化による国内マーケットの縮小など、中小企業を取り巻く経営環境も大きく変化しており、こうした状況に対応した新たな支援なども必要であると考えております。
議員ご提案の「中小企業振興条例の制定」につきましては、中小業の重要性について、市全体の共通認識を図る上で有効であると考えておりますが、中小企業に対する取り組みを、計画的・体系的にまとめ、具体的に推進していくことが、中小企業の振興におきましてより実効性があるものと考えております。
今後は、中小業の重要性について、意識啓発に努めるとともに、産業界からの意見をいただきながら、中小企業に対する効果的な振興策につきまして検討してまいります。
【福田くみ子議員 再質問】
中小業振興条例についてです。市長からご答弁いただきました。これは、地域経済の活性化というのはいったいどういうものなのだというところから、今度の質問はスタートさせていただいたのですけれども、地域経済の活性化とうものを、どんなイメージでとらえていらっしゃるか、市長のイメージをうかがいたいのですけれどもよろしくお願いいたします。
【経済部長】
地域経済の活性化についてのイメージということでございますけれども、まずはその生産活動が、活発に行われているということが一つあると思いますけれども、その中身でございますが、例えばその新しい取り組み、新しいベンチャーとか企業が、どんどん湧き上がってくるとか、それから地域の資源を活用した色々な生産物が、加工品とかが、どんどん次から次へと生まれているとか、次から次へと新しいことに取り組まれていって、結果的にその生産量、販売額等がどんどん伸びていると、そういった状況を地域経済の活性化と、その様に受け止めております。
【福田くみ子議員 再質問】
ありがとうございます。そういう生産活動がどんどん湧き上がってくる中で、それぞれそこに住んでいる住民の生活の質が良くなっていく、上がっていくことそのものが、やっぱり地域の活性化ということにつながってくるのだと思うのです。今の状況はなかなかそういうことになっていないと思うのですけれども、その辺の認識はいかがでしょうか。
【経済部長】
現在宇都宮市内におきまして、様々な新しい取り組み事業について、中小業の皆さん、それから市内企業が取り組んでいるところでございまして、身近なところでそれが十分その生活の中に入り込んできているかというところまでは、なかなかつかみきれていないところでありますが、今の経済の中で、市民の皆さんが豊かな生活を送っていくためには、自分の価値観に合ったようなディフェンスの固い(?)付加価値のあるもの、そういったものを手に入れたいという希望があるようですので、そういったものが、市内の企業さんが提供していただければどんどん買う又は、作っていくという、そういう好循環が生まれるのかなと思っております。
【福田くみ子議員 再質問】
今おっしゃったような中内容、確かに高めていくということはそういうことなのだと思うのですけれども、それ以前の問題として先ほどからも他の議員さんからも質問が出ておりました。雇用がこれだけ疲弊化していて、雇用そのものがない、仕事がない、中小企業に仕事がないという状況なわけです。そういう状況の中で、今まで本市がやってきた経済の活性化のための政策というのはやはり、公共投資、公共事業をやったりとか、大型プロジェクトをやったりとか、企業誘致に一部の企業に大きなお金を出したりと、それから今、全国でももちろん国の施策としてもやっていますエコカーの補助金、そういったものに、まるで大企業に直接投入するような形での補助がやられているけれども、なかなかそれが回っていかずに、地域の経済は疲弊したまま、中小企業や業者は相変わらず倒産が多い、そういうことなんだと思うのです。そこを転換しなければなかなか回りださないのではないか、それにはやはり、産業政策、その地域独特の産業政策というものをきちんと体系的に持っていく必要がある、そのための中小企業振興条例だと考えているのです。その辺のところで、「検討していきます。実際に具体的にやっていくことのほうが大切だ」というふうにおっしゃいましたけれども、やはり継続的に実際宇都宮でやられている、企業を展開されている方、中小企業の方、業者の方々の意見を吸い上げながら、具体化していくという、そういう体系作りをするのは、私は自治体だと思うのです。そういう意味での条例化だと考えているのです。その辺のところで条例化が必要という私の認識ですけれどもいかがでしょうか。
【経済部長】
議員がおっしゃるように、中小企業に対する施策について、体系的にまとめるという意味での中小企業条例があって、さらに実際にはその裏づけとなる施策事業、心についてのところが伴って意味があるのかなと思っております。当面宇都宮としましては、その裏づけのある事業、体系化に取り組んでいって、中小業の振興に取り組みたいと思っております。以上でございます。
【福田くみ子議員】
この項の2つ目に、住宅リフォーム助成制度について伺います。この間、日本共産党は荒川議員も私も、様々な角度からこの制度の導入を求めて取り上げてきました。
住宅の増改築やリフォーム工事に直接助成する制度は、例えば、工事費用の20%で上限20万円を助成したとすれば、経済効果は、5倍の100万円。1億円の予算を付ければ5億円の仕事が生まれます。地元業者に仕事の回らない再開発事業より、はるかに地域内再投資効果はストレートです。地元の工務店、建具店などの建築関係ばかりか、経済波及効果ははかり知れません。これまで全国各地の自治体で、中小企業活性化の大きな効果をもたらす事業として実績もあげています。秋田県では今年3月からこの事業を開始、7月に発表した利用状況では、当初予算の7,000戸分12億6,000万円を上回る利用状況のために、新たに約9億円の補正予算を可決したそうです。秋田県によると、県内経済への波及効果は「240億円と推計される」としています。あらためてこの事業の導入を求めて市長の見解を伺います。
【市長】
「住宅リフォーム助成制度の導入について」でありますが、住宅リフォームの推進は、良質な住宅ストックが形成されるとともに、良好な居住環境の創出や地域経済の活性化などにも繋がるものと認識しております。
このため、本市では、市民を対象とした「住宅相談会」などで、その普及促進に努めているところであります。
議員ご提案の「住宅リフォーム助成制度の導入」につきましては、市民ニーズや既存住宅ストックの状況などにつきまして、調査・研究してまいります。
【福田くみ子議員再質問】
地域の振興策、中小業の仕事興しというところに具体的につながっていかなければ意味がないわけです。それでその一つの提案として「住宅リフォーム助成制度」というのをずっと提案しているわけなのです。先ほど秋田県の例をあげました。ここでは爆発的にこれが広がって、とにかく建設業の裾野というのはものすごく広いわけです。そういう意味での仕事というのが、興ってきているというわけなのです。残念ながら栃木県内ではまだ導入されている市はないのですけれども、秋田県では、県と県内の市町村の多くが二重の施策で爆発的に有利な事業としてリフォームする人が増えているということなんだと思うのです。それで経済部長にお聞きしたいのですけれども、今までの私の調査によれば、前に質問したときのご答弁で、「住宅版エコポイント制度やバリアフリー、省エネ改修、木造住宅の耐震改修補助、高齢者住宅改造補助金など、うまく組み合わせて皆さんに使っていただくように進めていく」というふうにお答えいただいているのですけれども、残念ながらほとんどといっていいくらいに進んでいないと私は感じるのですけれども、これは経済効果として、大きく進んだとお考えでしょうか。
【建設部長】
前回の答弁の中で、色々な施策を申し上げたところでございますけれども、今お話のありましたように、木造住宅の耐震改修、あるいは高齢者住宅の改修補助などの答弁をさせていただきましたけれども、現在でも家庭用の太陽光発電システムの設置補助などにつきましては非常に人気が上がっています。いくつか申請がございますので、かなり施策については、図れると考えているところでございます。また、市民ニーズについても調査するというご答弁をさせていただきましたけれども、非常に多い要望がバリアフリー、高齢者の方のバリアフリーのニーズが非常に多いという形でとらえておりますけれども、そのバリアフリーにつきましても、高齢者住宅改造補助の対応になりますので、施策についてはかなり浸透していると考えているところでございます。
【福田くみ子議員再質問】
経済効果がどれくらいあるかというのは、たぶんいろんな計算式があって数値的に出すのは難しいと思うのですけれども、やはりその辺の検証がなく、ご答弁をしているように感じるのです。果たしてそれが、本当に経済効果があるの?経済効果があると認めておきながら、「やります」と言いながら、今のままで何とか周知だけで進めていきますというご答弁だったように思うのですけれども、実際に、やはりきちんと検証をした上で、地域内再投資が、経済が回っていくような仕組みの一つとして前向きに検討していただけたらと思います。
【福田くみ子議員】
産業廃棄物中間処理施設をめぐる問題について伺います。平出工業団地内に計画されている産業廃棄物中間処理施設セルクリーンセンターは、この程、専門委員会が終了し、次の段階に大きく進められることになりました。
事業者側は、改定された指導要綱に準じて環境保全協定を締結する意向のようですが、地元住民の皆さんの心配はそれで解決するものではありません。人口密集地域のすぐ近くにこのような施設が建設されることそのものに反対をする立場は変わらないのではないでしょうか。
さて、今回の問題で、市は必ず、「法に基づいて」と枕詞のように言ってきました。また、認可にあたっては、国からの委任事務なので裁量権はないとも言ってきました。
しかし、日本の廃棄物行政は、欧米など先進国と比べ大変遅れています。また、排出者責任が明確ではない穴だらけのリサイクル法や産廃行政、根本的なごみ発生抑制の施策が欠如した、大規模施設建設中心のごみ処理行政は、財界などの圧力によるところが大きい、企業側の利益重視に偏った法律です。これらの法律は、そのために全国各地で住民が公害に苦しんだり、取り返しのつかない環境汚染など、住民が不利益を受けている現実があるのです。
「公序良俗」という言葉があります。「公の秩序と善良の風俗」という意味です。さらに、広辞苑の解説によれば、「国家・社会の公共の秩序と普遍的道徳を意味し、公序良俗に反する法律行為は無効とされ、犯罪の違法性は、実質的には公序良俗に反することによる」とあります。人間の良心への大きな信頼が貫かれた日本的な論理です。
そこで市長は、この問題について法的にクリアすれば、市民に絶対に不利益はないと言いきれますか?また憲法における基本的人権は、守られるとお考えですか?難しい問題に直面した時、住民を守るという社会正義の立場を貫くのが市長としての責任ある処し方ではないでしょうか。「公序良俗」に反することにならない市長の勇気ある行動を求めて見解を伺います。
【環境部長】
「市長の政治姿勢について」のうち、「産業廃棄物中間処理施設をめぐって」のご質問にお答えいたします。
地方自治法におきましては、地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならないと明確に規定されております。
産業廃棄物処理施設の設置許可は、地方自治法に基づく法定受託事務であり、国の通知におきましても、施設の設置に関する計画が、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で定める要件に適合する場合には、必ず許可しなければならないものであり、許可権者に対して、裁量権が与えられているものではないと示されております。
本市といたしましては、平出工業団地の産業廃棄物中間処理施設建設計画につきましては、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」や「宇都宮市廃棄物処理に関する指導要綱」に基づき、厳正に審査を行い、施設の構造や維持管理に関する計画が、法令等で定める要件に適合していると判断したところであります。
今度とも、関係法令に基づき、適正に審査してまいります。
【福田くみ子議員 再質問】
産業廃棄物中間処理場の問題です。相変わらず、「法に準じて」「法律の通り」というご答弁がかえってきました。市長の中には先ほど言いました「公序良俗」こういう視点、かけらもないのでしょうか。そのことを最後にお聞きしたいと思います。
【環境部長】
「公序良俗」につきましては民法第90条におきまして「公の秩序または善良の風俗に関する事項を目的とする法律行為は無効である」と規定されております。ここで言う法律行為に対しましては、いわゆる軽薄行為とか、そういったものをさすものでありまして、法に基づく許可をすることは、この民法第90条に該当するものではないと考えてございます。以上でございます。
【福田くみ子議員】
子どもをめぐる問題の第一に、保育行政について伺います。宇都宮市は、今年3月に策定した新たな「保育所等の整備方針・整備計画」に沿って、2012年までに、新設保育園3園の整備と、建て替え等による定員増などで、合わせて510名の受け入れ拡大することとし、この程、事業者の公募を開始、具体化に乗り出しました。日本共産党では、高まる保育需要の中、待機児童対策は保育定数を越えた詰め込み保育ではなく、認可保育園の新設で対応するよう、繰り返し求めてきたもので、今回の保育園の新設計画については大いに歓迎しているところです。
しかしながら、政権交代を果たした民主党政権は、総選挙のマニフェストでも「チルドレンファースト」などと子育て支援をうたい、期待を持たせてきましたが、この間行ってきた事は、多くの父母や保育関係者の期待を裏切る「規制緩和」と「制度改悪」の継承と拡大の道です。
保育所最低基準の廃止・地方条例化して、現在でも低すぎる基準を自治体任せにする、また、今年4月から保育所定員超過の上限を廃止して、詰め込みをさらに促進する、また今年度中には、保育所給食の外部からの搬入も解禁して、給食センターからの持ち込みも可能にするなど、保育環境の引き下げにつながる規制緩和を進めています。
さらに今年4月28日、閣僚で構成する「子ども・子育て新システム検討会議」が決定した「子ども・子育て新システムの基本的方向」の内容は、これまでの公的保育制度を根底から覆すきわめて重大なものです。
その主な内容は、第1には直接契約・直接補助制度の導入、「イコールフッティングによる多様な事業者の参入促進」など営利企業の参入に有利な制度にして、介護保険型の仕組みに全面的に変えるものです。児童福祉法第24条の自治体による保育の実施責任は大きく変質させられ国・自治体の責任の大幅後退、利用者の自己責任による保育所入所が原則となります。
第2には,保育水準の確保や国庫負担金制度など、本来国の責任で行うべきところをすべて自治体に丸投げして国の責任を放棄する仕組みにするものです。また、「包括的・一元的制度の構築」「基礎自治体による自由な給付設計」「補助金の包括的な交付」などとして、あらゆる子育て支援施策をすべて1つの制度にまとめ国の補助金も一本化して一括交付金として交付。さらには、現物給付と現金給付の配分もメニュ―の選択、設計も自治体の裁量に任せるという驚くべき内容です。
第3には、その一元的な制度の下で幼稚園と保育所を一本化することです。民主党政権は,これらの政策を「政治主導」の名で一気に強行しようとするものであり、民主党政権のきわめて危険な姿を示しています。国の責任放棄で子育て支援に大混乱と迷走を持ち込むこれらの政策…第1に直接契約・直接補助制度について、第2に保育水準の確保について、第3に幼保一元化についてそれぞれ市長の見解を伺います。
【子ども部長】
「子どもをめぐる問題について」のうち、「保育行政について」のご質問にお答えいたします。
まず、「『子ども・子育て新システム』に対する見解について」でありますが、「すべての子どもへの良質な生育環境を保障し、子どもを大切にする社会」の実現や、すべての子ども・子育て家庭に必要なサービスを提供する「方針」などを内容とした「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」が6月に公表されたところであり、その基本的方向につきましては、一定、評価できるものと考えております。しかしながら、現段階では、議員ご質問の「直接契約」や「保育の実施基準」、「幼保一元化」などの具体的な制度設計が国から示されておらず、不透明な点や十分に検討がなされるべき課題などが多いものと認識しております。
現在、「子ども・子育て新システム」につきましては、国において、平成25年度の施行を目指し、検討が進められているところでありますが、実効性のあるものとするため、事業実施主体である地方や関係団体の意見が反映されるよう国と地方との協議の場において、十分な検討が行われることが必要であると考えております。
【福田くみ子議員】
保育行政の2点目に、非正規職員の増大と詰め込み保育について伺います。保育需要の増加に対し行革路線のもと、保育士の非正規化と定員を大きく超えた詰め込み入所とがすすめられてきました。私の調査によれば、2009年4月時点、宇都宮市の公立保育園にかかわるすべての職員のうち、正規雇用の保育士は168人31.3%対し、週5日勤務の非常勤嘱託員の保育士は126人23.3%、登録している短時間やパート保育士は110人、20.4%で、全体の59,8%が非正規雇用です。
昨年11月に「赤ちゃんの急死を考える会」が発表した調査結果によれば認可保育所での死亡事故が2001年度以降急増しています。2000年度までの40年間で15件だった認可保育所での死亡事故が2001年度以降の8年間に22件と大幅に増えているというのです。98年から始まった定員の弾力化、短時間保育士の活用、2000年からの企業参入の容認など相次ぐ規制緩和に加え、2004年からは公立保育園の運営費の一般財源化によって職員の非正規化や民営化が急速に進んだ時期と重なるデータです。
小泉政権の低コストの「待機児ゼロ作戦」は、子どもたちと父母、保育士を犠牲にするものだったといえます。そこで本市における保育士の非正規雇用の増大と、入所定員を大きく超えた詰め込みについて市長の見解を伺います。
【子ども部長】
「非正規職員の増大と定員の弾力的運用について」でありますが、年々増加する入所児童への対応や喫緊の課題である待機児童解消、さらには、多様化する保育ニーズに柔軟に対応するため、「児童福祉施設最低基準」を遵守し、保育の質を確保しながら、保育所定員の弾力化や一定数の非常勤保育士を効果的に活用しながら、多種多様な保育ニーズに迅速かつ的確に対応し、子ども達が心身ともに健やかに育ち、保護者が安心して頂けることができる保育所運営に努めてまいります。
【福田くみ子議員】
子どもの虐待防止について2点伺います。
1点目は、宇都宮市児童虐待防止ネットワーク会議について伺います。さて、横須賀市では、2006年4月に全国で初めて中核市として児童相談所を開設、母子保健の区域ごとに設置したネットワーク会議と母子保健事業は、虐待の早期発見と支援に大きな役割を果たしています。児童福祉法の「要保護児童対策地域協議会」として位置づけられる「横須賀市子ども家庭地域対策ネットワーク会議」は、全体会議・実務担当者連絡会議・サポートチーム会議の3層構造となっており、地域・関係機関の連携、情報の共有化がきめ細かく図れる仕組みとなっています。2009年度の実績は、全体会議は年1回ですが、実務担当者連絡会議は年に30回、サポートチーム会議は実に168回開催され、児童相談所、地域の健康福祉センター、学校、保育園など30以上の関係機関1,334人が出席しています。この年の横須賀市の児童相談所とそれ以外の窓口が受けた虐待の通告は、合計で379件です。ちなみに宇都宮では、虐待通告は、市子ども家庭課には98件、県中央児童相談所には166件合計で264件、横須賀市の約7割に上ります、横須賀市の「サポートチーム会議」に当たる宇都宮市の「個別ケース会議」は、年間15回開かれたにすぎません。もちろん回数だけで推し量れるものではありませんが、法的に設置が義務付けられたものの、うまく機能していないのではないでしょうか。そこで質問の1点目に、宇都宮市児童虐待防止ネットワーク会議の機能強化が必要と考えますが市長の見解を伺います。
【子ども部長】
「児童虐待防止について」のうち「宇都宮市児童虐待防止等ネットワーク会議の機能強化について」でありますが、本市における「児童虐待防止等ネットワーク会議」は、関係機関の責任者レベルで構成し、児童虐待に関する総合的な対策の確立を目的とした「総合的対策調整会議」と、実務者レベルで構成し、緊急または処遇が困難なケースに関する具体的な援助方針を決定し、さらには、宇都宮市域におけるすべての虐待ケースについての援助方針の共有化と内容確認を図るための振興管理をする「個別ケース会議」の2層構造になっております。
また、ケースに関連する学校や医療機関・地域保健機関などとの協議を随時実施し、「地区の児童逆愛防止ネットワーク」とも連携を図っているなど、「宇都宮市児童虐待防止等ネットワーク会議」は有効に機能しているものと認識しております。
【福田くみ子議員 再質問】
今の状況というのは年々悲惨な事件が繰り返し行われているというところですけれども、先ほどのご答弁の中で、人的確保とか、とにかく課題がたくさんありますというお話がありました。もちろんそれはわかっております。ただやはりこういうものを設置するという方向性がなければ、人的確保も逆に難しくなってしまうのではないかという気がします。そういう意味で、将来的にこういう制度の中できちんと設置をしていく、一貫性を持った対応をスムーズにできるというところでは、全然違うなというところでは、私も横須賀の例などを見て本当に思っておりますので、そういう将来的な見通しの中で設置をするということを検討されたらいかがかと思うのですけれども、もう一度ご答弁をお願いいたします。
【子ども部長】
先ほどの答弁の中でも申し上げましたとおり、最近の児童虐待に対する、まずは早期発見早期対応ということで、児童相談所との連携、又は役割分担の中で、まずやっていこうということが第一番目でございます。なお、中長期的には児童相談所というものが、スピーディーに解決するのに大切なことでありますけれども、先ほど申し上げましたように、色々な課題もございますので、今後合わせて検討していくということでございます。
【福田くみ子議員 再質問】
ぜひ強力に検討を進めていただきたいと思います。
【福田くみ子議員】
2点目に児童相談所の設置について伺います。横須賀市では、先に述べたように、中核市で全国初めて2006年に児童相談所を設置しています。「以前は県の児相の対応や動きを待つことで対応に躊躇し、タイムリーなかかわりを逸してしまうことがあった」が、今では,「緊急の場合はすぐに関係機関で連絡を取り合い、サポートチーム会議を開催して話し合う体制がとられている」とのことです。何よりも、相談や通告から、一時保護まで、独自の判断と権限でスピーディな対応ができることは大きな違いといえます。様々な子どもを取り巻く情勢をみれば、中核市として1日も早く児童相談所を設置することが必要ではないでしょうか。市長の見解を伺います。
【子ども部長】
「児童相談所の設置について」でありますが、本市におきましては、家庭児童相談室において、児童虐待等の様々な相談に応じるとともに、児童相談所、学校、警察等の関係機関と連携しながら、個々のケースに応じて迅速・的確に対応しており、当面、現在の市と県の役割分担の中で、より一層の連携強化を図りながら対応してまいりたいと考えております。
なお、児童相談所の設置につきましては、児童虐待の相談から児童の保護まで、継続的で一貫性のある対応が可能になるなどのメリットがある一方で、虐待、障がい、非行などに関する専門的相談業務や一時保護等を行うことによる人的体制や施設の整備、また、児童養護施設や里親の確保など、整理すべき課題が多くありますことから、引き続き検討してまいります。
【福田くみ子議員】
学校教育をめぐる問題では、教員の多忙化について伺います。
さて、学校現場では、問題を抱える子どもへの対応、保護者への対応、下校への安全対策など、日々先送りできない大切な仕事が山積みです。そこに教育改革の名の下に現場を無視した新たな取り組みが次々と導入され、「学校が疲れ切っている」との声が寄せられています。そこで教育長にまず伺います。学校のそのような状況をどのように把握していますか?
その例の1つが小中一貫教育です。「小中学校の連携を密にして、中1ギャップを解消する」のが狙いのこの制度は、今年度から市内6地域学校園でモデル的に導入、2012年からは全市での実施を目指しています。
新学習指導要領のゆとり教育からの転換で授業時数が増えるうえに、小中一貫教育による市独自の時数増加も重なり、授業時数が急増、多忙化に拍車をかけています。学校によって、夏季休業中の授業時数が違うので、一概には言えませんが、年間35週とした場合、一週間当たりの平均授業時数を2008年度と2012年度で比較してみました。すると、1・2年生が週に2,5時限、それ以上の学年では週に1,5時限増えることになります。2012年には、1年生でさえ週25.5時間、週5日間すべて5時間授業、2週間に1日は6時間授業となる計算です。放課後は下校指導もあり、学校に戻ると4時30分。様々な雑務に追われ、教員はいったいいつ授業準備をするのでしょうか。小中一貫教育では、乗り入れ授業やその調整・準備に多大な労力と時間が裂かれ、おのずと子どもと向き合う時間が削られます。また、乗り入れ授業の補充には、今年度は6名の非常勤指導助手が当たりますが、どんなに優秀な指導助手でも、担任の穴を100%埋めることはできません。小中学校の連携を密にすることは大切ですが、日常の学校生活の中で、子どもと教師がじっくり向き合える状況があってこそではないでしょうか。そこで、小中一貫教育の全市導入について急ぐべきではないと考えますが、教育長の見解を求めます。
【教育長】
「小中一貫教育の導入時期について」でありますが、今年度から、6モデル地域学園において必要となる環境整備を行った上で、小中一貫教育を先行的に実施しているところであり、現在、学校現場の状況を詳細に捉えながら、現行の1週間あたりの授業時数を増加させることなく、教職員の打合せなどの時間確保も可能とする年間授業日数の在り方や、教職員の効果的な配置などにつきまして検討を進めているところであります。
今後とも、モデル地域学校園における取組を十分に検証し、平成24年度から小中一貫教育を全市で実施してまいります。
【福田くみ子議員再質問】
教師の多忙化についてです。実は、私の前の議員さんもご質問になりました。小中一貫教育、色々な問題点も多いと私も認識しております。そんな中で現場の先生から聞かれるのは、「補充すること、いろんな施策をやることではなくて、簡素化することだ」と、「何もしないでほしい」というような意見も出ているくらいに、やはり現場はいろんな施策、次から次へと出てくる施策で混乱をさせられている。確かに、指導助手の配置などは本当に喜んでいます。待遇の面などは私も指摘してきましたけれども、付けていただいたことそのものは、現場は喜んでいます。ただ次から次へと出てくるそういった施策に振り回されているという現実をやはりきちんとご覧になっていただきたいと思うのです。その中で、実はたぶんこの中で議員さん達もいただいていると思うのです。「声が寄せられました」と先ほど申し上げましたけれども、手紙をいただきました。その中で、こんなことが書いてあります。「教育改革という美名の下に次々出される学校の実態無視、そして全国一律の施策の多さに学校が疲れきっているのです。(中略)プラス面もありますが、だからといっていいというものではありません」そういうことが書かれています。そして最後に書かれているのは「私たちは子どもとじっくり向き合える教育、子どもの心の居場所を作れる教育をしていきたいのです」。すごく実は私はこの言葉に心を動かされて、全くそのとおりだと思います。こういう手紙が寄せられているのですけれども、教育長のところにも、この手紙は来ているのではないかと思うのですけれども、いかがですか。
【教育長】
私のところには直接は来ておりません。
【福田くみ子議員 再質問】
私が考えていた中身とこれがとても一致をしたので、今回質問させていただい次第です。ぜひ教育施策の部分では、現場の声をもっともっと聞くシステムなり、そういうものをしていただいて、現場が一番やりやすいというような導入の仕方を図っていっていただきたいと思っております。
【福田くみ子議員】
教員評価制度も大きな負担となっています。点数や書類で人事管理を行うことは、離れたところで管理するには便利かもしれません。しかし、信頼関係こそがすべての出発点ともいえる学校では、こうした管理の方法はなじまないと考えます。「年に2回の管理職との面接は、コミュニケーションを図るにはよい機会となっているが、データベース化することに手間がかかる」との声をよく聞きます。改善が必要と考えますが教育長の見解を求めます。
【教育長】
「教員評価制度」につきましては、法律の定めにより、県の計画に基づいて実施しているものであります。
本制度の運用にあたりましては、教員の意欲や能力などを客観的、継続的に把握・評価するだけでなく、人材育成や能力開発につなげていくことが重要でありますことから、今後とも、管理職の意見を聞くなどしながら、本制度の効果的かつ効率的な運用に努めてまいります。
【福田くみ子議員】
今年から始まった「宇都宮授業の達人」表彰制度は、目的である教員の意欲や授業の向上といったプラス面よりも、教員同士の人間関係をぎくしゃくさせ、心理的ストレスを増やすなどマイナス面のほうが大きい制度ではないでしょうか?校長会など現場サイドの意見を聞いて再考してはいかがでしょうか?教育長の見解を求めます。
【教育長】
「うつのみや授業の達人表彰制度について」でありますが、本制度は、特定の分野における授業実践に優れ、他の模範となる教員を顕彰するとともに、受賞者の活用により、本市教員全体の授業力向上を図ろうとするものであります。
なお、制度創設に当たりましては、事前に校長会の代表と十分に意見交換を行ってまいりました。
今後とも、高い指導力を持った教員の育成に努めてまいります。
【福田くみ子議員】
管理のしやすさや、外へのアピールのために数量での結果を求めるあまり、子どもが置き去りにされてはいないでしょうか?「全国初」「全国1」をめざすことは結構なことですが、教育の目的ではありません。学校が、そして先生が疲れきっていては、子どもたちが生きいき過ごせません。学校が生き生きできるよう、様々ある施策を見直し、整理簡素化すべきではないでしょうか?また、現場教員の意見を吸い上げ、現場がやりやすい方法を構築する必要があるのではないでしょうか?この点についても教育長の見解を伺います。
【教育長】
「施策を見直し、整理簡素化すべきについて」でありますが、学校経営改善に関する検討委員会において、小中学校長の意見を生かしながら、児童生徒学習情報システムの導入などパソコン活用による校務の情報化や、学校宛調査・報告の削減など、学校事務全般における負担を軽減し、施策の整理簡素化に努めているところであります。
また、「現場教員の意見をすいあげるべき」につきましては、平成20年度より、教職員との意見交換会「ふれあいティータイムトーク」を実施するなど現場の声を直接聞く機会を設けております。
今後とも、教職員の意見を聞く場を積極的に設け、学校がいきいき活動できる環境を作ってまいります。
【福田くみ子議員】
保健福祉行政についてのうち、聴覚障がい者と難聴者への火災警報器の設置助成について伺います。昨年6月、一般住宅への火災警報器の設置が義務化され、宇都宮市では設置率が72.8%と順調に進められているようです。
聴覚障がい者には、振動や大音量、光などで知らせる特殊な警報機が必要ですが、設置費用も含めると5万円から6万円かかります。宇都宮市では、障がい者には日常用具の給付として助成が行われており、今年度から助成額も32,600円に引き上げられました。しかし、対象となるのは障がい者の単身者か、障がい者のみの世帯に限られており、家族と同居の世帯は給付の対象になっていません。利用者は09年度が17件、今年度に入り1件だけ。宇都宮市では、障害者手帳を持っている聴覚障がい者の数は1,753人,そのほかお年寄りなどの難聴者はどれほどいるのでしょうか。就寝中の逃げ遅れに効果的だからといいますが、聴覚障がい者の多くは就寝中補聴器を外しており、音による警報に気づかず、逃げ遅れることが懸念されます。
市全体の設置率が72.8%とのことではありますが、聴覚障がい者を含む世帯には、聴覚障がい者用の警報機がなければ、聴覚障がい者本人には役に立ちません。東京国分寺や杉並,草加市など多くの自治体が「聴覚障がい者の属する世帯」にまで助成の対象を広げ設置を促してきました。ここは行政の支援が必要です。聴覚障がい者と高齢者などの難聴者への火災警報器の設置補助について市長の見解を求めます。
【保健福祉部長】
まず、「聴覚障がい者、難聴者への火災警報器について」でありますが、本市における火災警報器を含む日常生活用具給付事業につきましては、障がい者や高齢者が日常生活を安全・便利に送ることができるようにするとともに、経済的負担を軽減することを目的に、障がい者や一人暮らしの高齢者などに対し、世帯の所得水準に応じた自己負担をいただきながら実施しているところであります。
そのうち、特に、聴覚障がい者につきましては、当事者団体である宇都宮市障害者福祉会連合会との意見交換を踏まえ、音や光に加え、振動で火災の発生を知らせる火災警報器の給付を今年度より、開始したところであります。
議員ご質問の聴覚障がい者や高齢者の難聴者が家族と同居している世帯への給付対象につきましては、世帯による所得制限があることや、他の日常生活用具給付品の取扱いとの均衡もありますことから、他都市の状況なども踏まえながら、研究してまいります。
【福田くみ子議員】
お年寄りの孤立化をめぐって3点質問いたします。全国的に「消えた100歳」が問題になるなかで、地域社会の現実や高齢福祉の地域格差が浮き彫りになり、愕然とさせられました。幸いにも宇都宮では、顔の見える地域社会と福祉が息づいていたものと、胸をなでおろしました。しかし、だからといって安心ではありません。さらなる高齢者の孤立化を防ぐ取り組みの充実が必要と考えます。現在、本市では高齢者見守りネットワーク事業と災害時要援護者支援事業などが進められていますが、これらの取り組みで、すべてのお年寄りにネットワークが張られたとお考えですか。そこでまず、現段階での問題点と課題について伺います。
【保健福祉部長】
「高齢者の孤立化対策について」でありますが、まず、「高齢者見守りネットワーク事業」と「災害時要援護者支援事業」などの取り組みについてでありますが、これらの事業は、ひとり暮らしの高齢者などが住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、民生委員や自治会を始めとした地域の方々や地域包括支援センターの協力をいただきながら、地域ぐるみで高齢者などの生活を支えるものとして取り組んでいるところであります。
このような中、対象となる方の中には、「自分はまだ大丈夫」といった理由や、個人情報が外部に漏れることへの心配からまだ登録をされていない方もおられますことから、引き続き、事業の周知に取り組むとともに、さらなる登録の勧奨に努めてまいります。
【福田くみ子議員】
2点目に、空き家・空き店舗を利用したお年寄りのたまり場づくりについてです。共産党がおこなっている市民アンケートに「元気なお年寄りが、自由に集まって、お茶を飲んだり、おしゃべりをしたりするたまり場がほしい」との意見が複数寄せられています。外出の機会が少ないお年寄りが自由に集まって楽しく過ごすたまり場は、相互の生きがいづくりにも、地域コミュニティの活性化にも、効果が期待されます。地域には今、空き家や空き店舗がたくさんあります。それを市が借り上げ、自由なたまり場として活用してもらってはいかがでしょうか。市長の見解を伺います。
【保健福祉部長】
「高齢者の交流のための居場所づくり」につきましては、高齢化の進行やひとり暮らし高齢者が増加する中、高齢者が住み慣れた地域で、健康で生きがいを持って暮らすためには、さまざまな方々と交流をすることが、大変、重要であると認識しております。
このため、本市では、市内5ヵ所の老人福祉センターや、茂原健康交流センターを設置しているほか、市内に362ある老人クラブにおきましても、地域の集会所などを利用し、生きがいづくりの活動を行っているところであります。
これらのセンターや老人クラブは、議員ご質問の、交流のための場所として十分に活動できますことから、まずは、これらの事業のより一層の周知に努めてまいります。
【福田くみ子議員】
2点目は、生きがいデイサービス事業について伺います。宇都宮市では、現在、介護の必要のない元気なお年寄りに対し、生きがいデイサービス事業を行っています。孤立化を防ぐには、有効な事業だと認識しています。当初、一気に利用者が増えたため、引きこもりがちなお年寄りに限定されたり、利用は週2回までとなるなどの制限が設けられました。潜在的な利用希望はもっと多いはずです。80歳以上は、本人の状況に関係なく、だれでも利用できるように対象拡大してはいかがでしょうか。また、利用回数についても、拡大してはいかがでしょうか、市長の見解を求めます。
【保健福祉部長】
「生きがい対応型デイサービス事業の拡充について」でありますが、本事業は、週に1度も外出しない、いわゆる、閉じこもりがちな65歳以上の方を対象に、外出を促し、施設においてご自分の趣味を生かしながら、介護予防につなげることを目的にしており、現在、約650人の方にご利用いただいているところであります。
まず、「80歳以上の利用」につきましては、現在、原則、80歳以上のすべての方を対象者としており、また、「利用回数の拡大」につきましては、閉じこもりの解消に向けては、介護予防教室などさまざまなメニューもある中、本事業につきましては、より多くの高齢者にご利用いただけるよう、週当たりの利用回数の設定を行っているところであります。
今後とも、利用者ニーズの把握に努めるとともに、民生委員や地域包括支援センターなどと連携を図りながら、より多くの方にご利用いただけるよう周知に努めてまいります。
【福田くみ子議員】
救急医療情報キット・命のバトンについて伺います。私は08年6月議会で一度質問しておりますが、あらためて導入を求めます。これは、医療情報を入れた容器のことで、一人暮らしの高齢者など、救急隊員や医師が、患者の情報をいち早く正確に把握するためのものです。プラスチックの円筒形の容器の中に、持病や服薬の有無、緊急連絡先などを記入した用紙を入れておき、救急隊にわかりやすいように冷蔵庫にしまっておく、玄関にバトン所持を示すステッカーを張っておくのが決まりとなっています。ひとり暮らしや高齢者のみの世帯が急増する中で、地域医療体制の構築が喫緊の課題となっています。 夕張市では、このシステム導入にあたり医師会、消防本部、医療関係者、行政関係者などの参画を得て、プロジェクト会議を設置し検討と試行を重ね、大変好評だったことから、今年度からは市社協が本格的に事業を受け継いでいるとのことです。
もともとは、東京都港区が全国で初めて導入したものですが、財政破綻に追い込まれ、高齢化率44%という夕張市が、在宅医療を支える小道具として熱意をもって取り組んだものです。
今では全国に広がり、中核市では、高知市や長崎市・熊本市など8都市がすでに導入あるいは導入を決めています。また東京都では補助事業に指定、区市町村に対し、2分の1の助成を開始しました。
本市における救急医療情報キットの導入について市長の見解を伺います。
【保健福祉部長】
「救急医療情報キット『命のバトン』の配布について」でありますが、本市の二次救急医療は、昨年6月に新たな体制を構築し、稼動させたところであります。
新たな体制におきましては、救急搬送の円滑化を図るため、救急隊が救急医療機関に連絡する傷病者に関する事故種別や状況、年齢、性別、血圧などの傷病者様態項目を統一し、傷病者の収容可否を判断できる医師等に専用連携電話等で、直接連絡するなどの仕組みづくりを行い、救急医療機関への収容時間の短縮化を図ったところであります。
救急隊が救急搬送に必要となる傷病者の情報は、本人や家族、119番への通報者などから収集把握し、傷病者容態項目として、救急医療機関に連絡しておりますが、傷病者を受け入れた救急医療機関が治療を行う際に、傷病の種類や程度によっては、既往歴やかかりつけの医療機関などの情報を必要とすることも考えられますことから、議員ご提案の「救急医療情報キット」につきましては、今後、救急医療を総合的に検討している宇都宮市救急医療対策連絡協議会において、研究してまいりたいと考えております。