2010.3.25 福田くみ子議員
日本共産党を代表して、議員案第6号永住外国人の地方参政権付与の法制化に反対する意見書に反対する討論を行います。
反対理由の第1は、この意見書案では、1995年2月28日の最高裁判例の一部を引用し、この判決の本来の趣旨を矮小化した解釈を持って、永住外国人への地方参政権の付与を否定する根拠としている点です。
この判決全体の主旨は、「永住外国人への地方参政権付与は、憲法上禁止されているものではなく、国の立法政策の問題である」というのが、世間一般の誤解のない解釈といえます。
この裁判は、当時大阪に居住していた韓国籍の男性が、自らが選挙人名簿に登録されていなかったことから、いわゆる定住外国人には憲法上、地方公共団体における選挙権が当然に保障されているとして、選挙管理委員会に異議の申し出をしたところ却下されたもので、その却下決定の取り消しを求めた裁判です。原告は、「外国人には、参政権が憲法上当然に保障されている」と主張したわけですがそれに対し「憲法上当然に保障されているわけではない。」としただけであって、「保障してはいけない」と解釈するのは一般的ではありません。
さらにこの判決では、後半部分のいわゆる傍論の部分で「わが国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に密接な関連をもつに至ったと認められるものについて、法律を持って、選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されるものではない。」と述べています。これは、原告の訴えの主旨である、「外国人には、参政権が憲法上当然に保障されている」とについての判決が、いわゆる主文といわれる前半部分で述べられ、その傍らにある論議についての最高裁の見解を述べているもので、あえて定住外国人の地方参政権について踏み込んだ解釈をのべているところに大きな意義があります。
自民党議員会が提案している意見書では、1995年のこの最高裁判決文の中から、「住民とは地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当である」という、判決文の一部だけを引用し、この最高裁判例が、あたかも永住外国人に地方参政権を付与することが憲法違反であるとの判決だったように述べていることは、無理のある論理といえます。
反対理由の第2は、意見書案が時代の流れに逆行するものだからです。ヨーロッパでは、すべての定住外国人か、特定の外国人かに違いはあるものの、ほとんどの国が地方参政権を認めています。OECD加盟30カ国で、二重国籍も認めず、かつ外国人に地方参政権を付与していないのは日本だけです。帰化しなければ地方の参政権を認めないという考えは、国際社会とのギャップを広げるばかりではないでしょうか。永住外国人を地方自治の担い手として迎え、日本国民と等しく参加する政治を実現することは、我が国の民主主義の成熟と発展につながります。
さて、
また、今議会には、同趣旨の陳情が提出されていましたが、突如取り下げとなったことで、委員会付託で論議されることもなく、議員案として1会派賛同もないまま、この場に提案されております。一党一会派のみの数の論理で、この歴史に逆行する意見書が、