2010.3.25福田くみ子議員

 私は、日本共産党を代表して、議員案第2号宇都宮市議会議員定数条例の一部改正に反対する討論を行います。
 この議員案は、これまでの市議会議員定数50議席を47議席に削減しようとするものです。反対理由の第1は、現定数の50は、51万人を擁する地方自治体では決して多いとは言えず、これ以上削減することは、議会の権限・機能が果たせなくなりかねないからです。議会での論議が住民の利益を十分反映して活発に行われているのか。住民本位の条例が検討され尽くされているのか。執行機関とのなれ合いはないのか。監視や批判が住民の立場に立ってきちんと行われているのかなど、議会が住民の代表機関としての役割をその機能にふさわしく果たしているのか、問われています。地方分権時代と言われる中で議会の役割はますます大切で重いものになっています。
 首長と議会の両方が直接選挙で選ばれるという二元代表制をとっているのが、日本の地方自治制度の特徴です。首長と議会がそれぞれ独自の権限と役割を持ち、相互にチェック・アンド・バランスの関係を保ちつつ、お互いの独断や暴走を防ぐという民主主義の仕組みです。
 名古屋市では、議員定数半減という暴挙が市長から提案され、否決されました。河村市長は、この二元代表制に異議を唱え、首長の権限強化を目指しています。つまり、議員を半数に減らし、批判勢力を締め出し、市長の言いなりの議会に変え、憲法が定める議会のチェック機能が働かないような専制体制をつくろうというのがこのねらいです。憲法の定める地方政治の民主的原則が名古屋では危機にさらされていると言えます。
 名古屋は特異な例であって、今回の本市の定数減とは別な次元であるとは言い切れない問題です。無駄の削減を理由にした議員の定数削減は、チェック・アンド・バランスを崩す危険な論理であり、行き着くところは、多様な意見を排除する民主主義の破壊につながるということを、私たち議員はみずからが声を大にして市民に訴えるべきではないでしょうか。
 反対理由の第2は、経済情勢や市の財政状況が厳しいからというのであれば、定数削減よりも、議員報酬削減こそ先にやるべきです。議会も行革の一環として、定数削減ありきで議論が進められてきましたが、そもそも一般会計における議会費の占める割合はわずか0.6%にすぎず、議員定数削減が財政難の解決になるなどということはありません。今回の提案のように、議員を3人減らしても約3,400万円余、一般会計に対しては0.018%の減にすぎません。
 一方、議員報酬を10%減らせば6,200万円の減、海外視察の中止で616万円の減、両方では6,816万円を節約することができます。地域住民とのパイプを細くすることなく、議会費を節約する方法は、知恵を出し合えば幾らでもあります。厳しい経済情勢や財政状況の中で、議会と議員も身を切れと主張するのならば、それは定数の削減で市民とのパイプを細くして、市民の多様な意思の反映を弱めることではなく、議員報酬の削減や海外視察の中止こそ、まず行うべきと考えます。
 あくまで議員報酬には手をつけず、物見遊山の海外旅行と言われる姉妹都市への視察の温存を主張する議員が、財政削減を理由に定数削減のみを主張するのは筋が通りません。財政削減は、議員定数削減ありきの論理では、議会制民主主義の自殺行為であることを私たち議員は認識すべきです。
 さて、私たち議員は、市民の皆さんから議員を減らせの声が寄せられていることについて、どうしてなのかしっかり考えなくてはなりません。それは、市執行部と車の両輪と言われる議会の果たすべき役割と機能を十分に果たしていないことへの大きな不満と不信があるからではないでしょうか。住民の声に耳を傾けることはもちろん、議会の説明責任、住民の中に出向いての議会報告会など、市政に関心を持ってもらい、住民の意思が十分に反映される地方自治を実現するための議会改革は急務です。議員が数人減ったところで何の影響もないと言われる議会では、恥ずかしい限りではないでしょうか。市民の思いをしっかり受けとめ、たゆまぬ努力と研さんによって議会改革と活性化を進め、議会の機能と役割をきっちり果たすことでこそ、こたえるべきではないでしょうか。
 以上をもちまして、議員定数削減の議員案に反対する討論を終わります。議員各位の良識ある御判断を期待いたします。