2010年 3月9日 福田くみ子議員の一般質問・答弁
福田議員
市長の政治姿勢についての第1番目に「大企業の誘致競争はやめて、中小企業支援の強化と育成で足腰の強い地域経済の構築を」について伺います。
新年度の予算案で、市は新たに企業立地補助金として、一企業にこれまででも最高額の上限10億円をホンダエンジニアリングに交付することを提案しています。いわゆるハイブリッド車の研究開発棟とのことで、優良な企業の進出は否定するものではありません。しかし、市民の納めた多額の税金が、一大企業の補助金として使われることについては、その費用対効果と、先を見通した地域経済をどのように構築するのかという観点から異を唱えるものです。
これまでも大企業については、国際競争力をつけるため、あるいは、不況の中でも大企業が良くなればそのうち国全体の景気が良くなると言う神話に翻弄され、大企業を優遇してきました。この結果、大企業の内部留保はこの1998年からの10年間で200兆円から、400兆円に倍増しています。しかし一方で、給与所得は、減る一方。いつでも使い捨てのできる安い労働力…非正規労働者を大量に生みだしまた。また、今回のトヨタ自動車のリコール問題は、安全や信頼を二の次にした経済効率最優先の急速な事業拡大や、下請けの単価切り下げなど、もうけ主義の結果といえます。
リーマンショック以来、世界でも日本の経済回復は大変遅く、その理由は日本経済の軸足が輸出頼み、つまり外需依存の脆弱な経済構造であるためといわれています。国民の景気回復の実感は、相変わらず低いまま、完全失業率、有効求人倍率ともに回復の兆しは見えず、倒産件数も最悪です。この10数年間、GDP世界第2位でも国民の生活実感は苦しく不安におののき、自殺件数は増える一方でした。大企業が世界的な競争に勝つことだけが、国民の幸せにつながらないことは明らかになったのではないでしょうか。
しかし、どんなに経済がグローバル化しても、50万人を超える宇都宮市民の暮らしの中にこそ、地域経済を支え活性化する力があることを忘れてはなりません。地元に根付いた、住民の暮らしを支える中小企業が作るものを地域の人たちが消費をする。地域内循環型の経済が活性化することが足腰の強い経済といえます。ここに、宇都宮市民が豊かに生きることのできるカギがあるのではないでしょうか。
そこで1点目に、今回の企業誘致補助金はどのような効果と、税収の増加を見込んでいるのか、2点目に、景気回復のカギは、内需拡大にあり、地域内経済の活性化にあると考えますか、3点目に、大企業の限りない誘致競争はやめて、中小企業の支援強化と育成にこそお金も力も知恵も注ぐべきではないか、市長の見解を求めます。
市長
福田議員のご質問に順次お答えいたします。
まず,「市長の政治姿勢について」のうち,「足腰の強い地域経済の構築」でありますが,「企業誘致補助金の効果と税収増加の見込み」につきましては,今回の補助金は,税収のみならず,「地域産業への波及効果」,「雇用機会の拡大」,「地域ブランド力の向上」など様々な効果を総合的に見込んだ上で,新年度予算に計上したものであります。
次に,「景気回復のカギである地域内経済の活性化について」及び「地元中小企業への支援強化と育成について」でありますが,本市産業の持続的・安定的な発展のためには,事業所の大小の隔てなく,経済環境の変化に柔軟に対応でき,内需・外需双方に配慮した産業集積の促進を図る必要があると認識しており,企業誘致と地域企業の支援をあわせて取り組んでまいります。
企業誘致につきましては,現在進めております次世代モビリティ産業に加え,新エネルギー分野や食品分野など次世代をリードする新しい産業分野などの立地促進に取り組んでまいります。
また,地域企業特に,中小企業に対しましては,「資金繰りや経営支援による経営の安定化」「新しい技術開発への支援による競争力強化」さらに,「誘致企業とのマッチングによる域内取引の拡大」など様々な角度からの事業支援に取り組んでまいります。
福田議員
市長の政治姿勢の2番目に宇都宮地域グリーンニューディール政策について伺います。グリーン産業の創出による中小企業・雇用・地域経済の活性化を目指す提案です。
ドイツは、日本と並ぶ自動車産業の盛んな国です。そのドイツでは再生可能な自然エネルギー分野が、生産拡大や雇用増によって自動車産業に代わる地位をドイツ経済の中で占めるという見通しを持っています。自然エネルギーは太陽光・熱、風力、小水力、地熱、波力、畜産や林業など地域の産業と結んだバイオマスエネルギーなど、まさに地域に固有のエネルギー源です。
小規模な自然エネルギー利用の設備であればアフターケアも考えて、大企業よりも地域の鉄工所、電気店、工務店などの仕事として普及を図っていくこともできます。地域の知恵と技術を生かすことでより有効に活用することが出来ます。そこから得られる電力やガスを販売することで地域に新たな収入が生まれます。事業の成果や副産物を地元に還元し、雇用や技術、資金の流れを生み出すことで地域の活性化に役立ちます。
国の法整備が遅れているもとでも先駆的な取り組みを進めている自治体があります。千葉大などの試算では、この自然エネルギーの「自給率」を全国では3,2%、都道府県別では、栃木県は全国24位の4%、なんと50市町村が100%を超しています。
岩手県葛巻町では、住民の電力すべてを風力発電でまかなっています。また、高知県梼原町では、風力、小水力、太陽光の利用と豊かな森林資源を生かした木質ペレットの普及で、町の電力利用の3割を自給しています。また、ペレットを含む森林の総合的な活用で、雇用を拡大しています。
温暖化対策で高い技術を持つ中小企業の力を地域経済の活性化に結び付けていくよう、住民の知恵を活かし地域で取り組んでいるNPOを支援し、行政・中小企業団体・労働団体が協力する仕組みを作ってはどうでしょうか。
そこで、第1に、グリーン産業の育成で、地域経済を活性化させる宇都宮地域ニューディール政策について、第2に、再生可能な自然エネルギーの飛躍的な導入について、市長の見解を伺います。
環境部長
まず,「グリーン産業の育成による宇都宮地域グリーンニューディール政策について」でありますが,低炭素・環境循環型社会の進展により,環境産業の分野は,将来に渡って大きな需要と雇用が見込まれる成長分野であり,本市の高いレベルの産業と環境が,ともに向上・発展していく好循環の実現を,先進自治体としてこれからも強く推し進めてまいります。
今後,本市の産業立地や地域特性を生かした,自動車産業における新動力システムや新燃料の開発,再生可能エネルギーの新技術開発,バイオマスエネルギーの循環的な活用などを視野に入れながら,行政,大学,中小業を含めた産業界などと連携を図りながら,環境産業と地域経済の活性化につきまして検討を進めてまいります。
福田議員
さて、再生可能な自然エネルギーのうち第1に、マイクロ水力発電の導入についてうかがいます。マイクロ水力発電は水路や小さな河川、水道管などの水源を活用し、小規模設備で発電できるため、もってこいのツールです。
宇都宮でも、21年度、マイクロ水力発電第1号が、水道管内に設置され、その効果が期待されています。しかし、水道管内とのことで、人目にはふれず、啓発にはあまり期待できません。そこで、質問の1点目に、啓発の効果も狙って、市内中心部を流れる釜川に、水車を設置、発電し、街路灯の電力に利用してはいかがでしょうか。2点目に、市内土地改良区などに働きかけて、用水路にマイクロ水力発電を設置、地域家庭や防犯灯、農業用の電力に活用してはいかがでしょうか。市長の見解を伺います。
環境部長
「釜川への小水力発電の導入について」でありますが,再生可能エネルギーの導入につきましては,「宇都宮市地球温暖化対策地域推進計画」の中で,重要な施策として位置づけており,本市の地域特性を踏まえた太陽光発電や小水力発電などにつきましては,発電効率の高い市有施設などへの率先的な導入を図っているところであります。
釜川への小水力発電の設置につきましては,平成20年度に,まちづくり推進機構の「宮再発見専門委員会」におきまして,専門家を招いて,小水力利用推進の調査研究を実施いたしました。
その中で,釜川では勾配が緩く,洪水を避けるために一定量以上の水は二層構造の下層部分に落ち,上層部分の水量の確保が難しく,十分な電力量が確保できないことから,現時点での釜川での小水力発電は難しいものと考えております。
次に,「農業用水路の小水力発電について」でありますが,実施にあたって前提となる水利権協議など課題がありますが,再生可能なエネルギーの有効活用という視点から,事業主体となる土地改良区に働きかけてまいります。
福田議員
第2に太陽光発電です。宇都宮市は日照時間が長く、太陽光発電には大変適しています。まさに地域固有のエネルギー源です。太陽光パネルの設置補助は、新年度においても21年度同様の補助額を維持して普及を後押しすべきではありませんか。
また、太陽光パネルのメーカーは、大手住宅メーカーやゼネコンと結びついてグループを作り、下請けを囲い込んで新築住宅の市場を握ろうとしています。この不況を打開するには、町の工務店の人たちにも仕事が行くような対策が必要です。特に、既存住宅の耐震化・バリアフリー化助成制度の拡充やリフォーム助成制度を設け,総合的な活用を進めることで、太陽光パネルの市場はさらに広がります。こうした住宅改修への補助制度は、大きな経済効果が見込めます。補助金を総合的に活用しながら、工務店・電気店の仕事を増やしていくことができます。そこで1点目に、太陽光発電のパネル設置補助の拡充と、2点目に、一般住宅への耐震化、バリアフリー化の助成を拡充することや、住宅リフォーム助成制度の創設などで、太陽光発電パネル設置を爆発的に増やし、地域の仕事おこしをしてはどうか、市長の見解を伺います。
環境部長
「太陽光発電のパネル設置補助の拡充について」でありますが,住宅用太陽光発電システムにつきましては,日照時間が長いという本市の地域特性を生かした,いわゆる地産地消の新エネルギーでありますことから,平成15年度に設置費補助制度を創設し,重点的に取組を進めております。
補助実績につきましては,今年度大幅に申請件数が伸びたことから,制度開始からの累計は約2,000件を超える見込みであります。
新年度予算案におきましても,平成21年度当初を上回る設置費補助額を計上したところであり,国,県の補助も合わせて活用できるようPRに努め,住宅用太陽光発電システムの更なる導入拡大を図ってまいります。
次に,「太陽光発電パネル設置促進による地域の仕事おこしについて」でありますが,住宅の新築・改修時における支援制度につきましては,本市におきましては「木造受託耐震改修補助」。「高齢者住宅改造補助」,などの制度があり,また,国におきましては「住宅版エコポイント制度」をはじめ,バリアフリーや省エネ改修の減税制度があるほか,国,県,市における太陽光発電や高効率給湯器の設置補助が行われているところであります。
これらの制度が積極的にまた,複合的に活用されることは,市民生活の視点からは,住まいの省エネ化や快適性の向上,そして安全で健康な笑顔あふれる生活の実現に寄与するものであり,また,地域における仕事おこしの視点からは,幅広い受注機会が創出され,大きな経済効果が期待できるものであります。
本市といたしましては,国や県などの関係機関とも連携を図りながら,これらの支援制度の一体的な周知を行うなど,積極的な活用を図り,市民生活の質的な向上と地域経済の活性化に努めてまいります。
福田議員
この項の3番目に、エコシティ宇都宮と、セルクリーンセンターについて伺います。
H18年8月に農水省の「バイオマスの環づくり交付金」2億6,000万円を受け,稼働開始した生ごみの資源化工場「エコシティ宇都宮」は、それから3年半、ほとんど計画通りの事業ができないままに、資金難に陥り差押えとなりました。
私は、宇都宮市の生ごみの資源化にかかわって、市内小中学校の給食の生ごみを環境教育の観点からも,中学校単位に順次処理機を設置する方針から、まともな検討もせず、処理費用の観点のみを理由に、エコシティ宇都宮への搬入へと方針転換したことは、21年の9月議会の一般質問やそれ以前の常任委員会でもお聞きしたところですが納得いくものではありませんでした。
今回のエコシティの破綻については、宇都宮市の責任は、その補助金の返還ばかりではなく、なぜこのような事態を招いたのかしっかりと検証する必要があります。つまり法令に基づいた処理施設の設置許可そのものが適正だったのか、また、今回の破綻の直接の要因となった技術的な問題、計画処理量の日量50トンの事業計画とは程遠い15トン前後での推移など、あまりにもずさんな事業計画を認めてきた宇都宮市の責任は重大だと考えます。
そこで第1にエコシティ宇都宮の事業計画認可にあたっての手続き、審査は適正だったのか、第2にこのような事態を回避することはできなかったのか、第3に補助金返還の見通しと今後の対応について市長の見解を伺います。
環境部長
「エコシティ宇都宮について」でありますが,まず,「補助金交付に関する事業実施計画の審査」につきましては,国の「バイオマスの環づくり交付金実施要綱」に基づき,市・県・国の審査を受け,交付決定されたものであり,適正なものと考えております。
また,一般廃棄物処理施設の設置許可等につきましても,「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」,「宇都宮市廃棄物処理に関する指導要綱」に基づき,適正に審査したものであります。
次に,「このような事態に至ったエコシティ宇都宮について」でありますが,民間事業者による事業系ごみの資源化事業は,「宇都宮市一般廃棄物処理基本計画」に位置付けた重要な施策でありますことから,これまでも安定稼動に向け,食品関連事業者などへの「食品リサイクル法」の周知,施設改修工事にあたっての技術的指導など,様々な支援を行ってきたところであり,このような事態に至ったことは大変残念なことであると考えております。
次に「補助金返還の見通しと今後の対応について」でありますが,補助金返還につきましては,「宇都宮市補助金等交付金規則」に基づき手続きを行っているところであります。
また,今後の対応につきましては,国・県と連携を図りながら情報収集などに努め,市としても法令に基づき適切に対応してまいります。
福田議員
つぎに、同じ平出工業団地内の隣接地に計画が着々と進んでいるセルクリーンセンターについて伺います。年明けの1月8日、峰地域のまちづくり懇談会において、この計画について住民から多くの懸念の声が上がりました。生活環境の破壊や危険性のほかに、搬入見込み量、および採算性、財務状況、資本金4,000万円、日量120トンを焼却処理する事業計画について、経営的に採算が合う事業なのか、地域内処理を実現するためと言いながら、日量120トンの計画は明らかに宇都宮市外からの搬入を見込んでいるのではないかなどの疑問も出されました。この「まちづくり懇談会への参加者は、200名を超え会場の峰小学校の多目的室はあふれんばかりの住民で埋め尽くされました。24,000筆を超える反対署名、4回にわたる大規模なデモ行進、まさに住民ぐるみの反対運動となっています。住民の皆さんのこの問題に対する関心の高さ、と不安が改めて浮き彫りになりました。
しかし、市長の答弁は、「法定受託事務だから市長の権限は及ばない。廃掃法などをクリアーすれば設置許可を出さざるをえない。」と、これまでの立場を繰り返しました。
そこで、第1にこのような市民の不安に、市長はどう応えていくのか、第2に、エコシティ宇都宮の今回の事態を招いた教訓は、セルクリーンセンターの認可にあたって生かされるのか、市長の見解を伺います。3点目に、事業計画のうち、採算性や財務状況、搬入見込み量の裏付けなど、事業継続の見通しについてどのように評価しているか、さらには専門委員にはその点について審査する専門家は含まれているのか伺います。
環境部長
「セルクリーンセンターについて」でありますが,まず,「住民不安への対応について」につきましては,住民と事業者が十分に話し合いを行い,相互理解を深めることが,不安の解消に繋がると考えておりますことから,市といたしましては,今後も引き続き,話し合いの場を設定するなど努めてまいります。
次に,「エコシティ宇都宮の事例が審査に反映されるのかについて」でありますが,廃棄物処理施設設置許可の審査につきましては,申請内容が,「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」等に定められた基準を満たしているか否かを判断するものであり,セルクリーンセンターの申請につきましても,法令等に基づき適正に審査してまいります。
次に「事業継続の見通しと意見聴取について」でありますが,申請時に添付された資金計画等により,事業を継続して行うに足りるかどうかを,法令等に基づき適正に審査してまいります。
また,専門委員の意見聴取につきましては,同法の規定に基づき,大気や騒音などの環境保全に関する事項について,意見聴取を行っているものであります。
福田議員
つぎにイベントと補助金等について伺います。宇都宮市では、「市民サービスの向上など行政目的を達成するための方策として補助金を交付している」としています。とりわけ、今回は補助金、負担金、交付金を支出しているイベントについて伺います。
市では、(1)補助金…公益上必要があると認められる場合に支出するもので、市自らが実施主体になるよりも民間活力を有効に活用し、効率的に事業を実施するもの、(2)負担金…法令又は契約等により、市の責任として、経費の一部または一部を負担するもの、(3)交付金…市が行うべき事務を事務効率化等の理由により、団体や組合等に依頼し、当該事務棟の報償として支出するもの、と定義しています。
その中で、他団体からの補助金や、参加料、広告料などの事業収入などを除いた額の全額を市が補助しているイベントは、21年度は20事業程度あります。その中でも、もっとも交付額の多いイベントは、ジャパンカップサイクルロードレースです。この開催交付金は、H16年17年が7,000万円、18,19年が6,804万円、H20年度が6,800万円、今年度6,785万6千円となっています。交付先は、同実行委員会です。しかし、これらの決算をみるとH18年度以降は、選手招へい費、設営費、運営費など事務費は、予算額すべてを使い切り残額ゼロの決算となっています。予算額ぴったりの運営などあり得ないことはもちろん、交付先となっている、同実行委員会会長は市長、副会長は副市長、事務局はスポーツ振興課です。宇都宮市が主体の事業といっても過言ではありません。このような事業が、予算額と決算額が同額で、不要額0円との決算で、毎年多額の交付金が、同じように支出されることに疑問をもつものです。そこで第1に、イベントの効果をどのように検証し、交付額を決定しているのか、継続及び廃止、新規事業を決定する際の基準はどこにあるのか、第2に、少なくとも全額、あるいは一定額以上の補助金を交付しているイベントについて、きちんとした総会開催と、委託費についても決算の報告を求めるべきではないでしょうか、市長の見解を求めます。
行政経営部長
「イベントと補助金等について」のご質問にお答えいたします。
ジャパンカップサイクルロードレースに代表される大規模なイベントにつきましては,イベントの開催を通して,本市の施策や魅力を広く内外に発信することにより,本市のブランド力の向上を図るとともに,開催当日には,市民はもとより,県外からも多くの方々が本市を訪れることにより,中心市街地をはじめとして,地域経済の拡大や交流人口の増加など,本市全体の活性化に寄与しており,大きな成果が得られているものと考えております。
このようなことから,本市のまちづくりを進めていく上で,イベントの開催は,大変,有意義なものと考えており,より効果的なイベントとなるよう開催目的や必要性,役割などを常に検証するとともに,事業計画や実績報告などに基づき,本市の交付額を決定しているところであります。
また,イベントなどに対する補助金等の交付に当たりましては,補助金等交付規則に基づき,補助事業者に対し,事業が適正に遂行されるよう,適宜,報告を求めるなど,指導しておりますとともに,事業完了後につきましては,本市に対する収支決算の報告を義務付けているものであります。
福田議員
つぎに、農業をめぐる問題については、企業の農業参入と耕作放棄地について伺います。H21年12月より、農外企業や外資に対して農業への参入を自由化し農地の所有に道を開く、農地法が改定となりました。
政府は耕作放棄地の広がりを強調し「意欲」ある担い手に農地利用を広げれば解消できるかの様に言います。しかし、耕作放棄地が広がる最大の原因は輸入自由化や価格暴落の野放し、減反の押しつけなど農家経営を成り立たなくしてきた歴代政府の農政です。農外企業の参入で、地域農業が活性化するなどというのは、幻想です。全国農業会議所が行った農外法人・企業の調査によれば、黒字の法人は、11%に過ぎず、63%が赤字です。オムロンやユニクロといった有数の企業が、最先端の農業経営ともてはやされながら数年であえなく撤退したのは、農業の厳しさと、企業経営の無責任さを物語るものです。
地域に密着した、土建業や食品会社などで雇用対策や原材料の確保のために農業に進出し、住民の雇用、就業の場の確保に一定の役割を果たしている例があるのも確かです。しかし、もうけ第一の株式会社が農業に進出す
るとすれば、耕作放棄地などは敬遠し平場の優良農地に集中し、そこで営農する認定農業者と競合することになるでしょう。環境保全の役割が大きいのに収益性の低い水田や畑作には参入は少ないのが現実です。地域の協同の財産として将来にわたって利用が求められる農地を目先の利潤追求が第1の農外企業に無制限に解放することは、農業の活性化どころか地域社会に重大な混乱と障害を持ちこむことになりかねません。
そこで、第1に農業への企業参入についての市長の見解を伺います。第2に、本市でも、企業参入の動きがあるとのことですが、本市として慎重な対応が求められていると考えます。市長の見解を伺います。第3に、本市の耕作放棄地の有効活用についてこれまでの取り組みの成果と今後の取り組みについて伺います。
市長
「農業をめぐる問題について」でありますが,議員ご指摘のとおり,農業従事者の減少や耕作放棄地の増加は,生産基盤の根幹に関る深刻な問題であり,本市農業の持続性を高めていくためには,耕作放棄地をはじめとする全ての農地を最大限に活用する必要があると認識しております。
このため,本市では,小規模や高齢な農家の販路拡大や農村女性による加工・販売活動など,地域の多様な担い手の活躍を支える中,認定農業者や集落営農組織などの「中核的な担い手」に対しましては,優先的に支援をしてきたところであります。
ご質問の「農業への企業参入について」でありますが,「中核的な担い手」の高齢化が加速している,後継者がいないなどの地域に起きましては,近い将来,一気に,大規模な農地が耕作困難になる恐れがあると懸念しております。
地域の実情によりましては,農業への参入意欲を示す企業のうち,一定規模の農地を集積し耕作する,あるいは農作業の雇用を創出するなど,地域農業の活性化につながると見込める企業につきましては,地域農業の「新たな担い手」として有効であると考えております。
次に,「企業参入に対する対応」につきましては,企業参入の促進にあたり,農地法など,関係法令の要件を満たすことはもとより,地元における話し合いへの参加や農村環境の維持・保全のための地域活動など,地域農業の「担い手」の一員としてしっかりと責任を果たし,地域との調和を図っていけるよう,慎重に調整してまいりたいと考えております。
次に「耕作放棄地の有効活用の成果と今後の取組」につきましては,これまで,「農地・水・環境保全向上対策」を活用し,地位奇異が主体となって行うコスモスをはじめとした,景観作物の作付などの支援をしてきたところであります。
今後は,農業委員会,宇都宮農業協同組合,農業公社などの関係機関とともに,昨年11月に設立いたしました「耕作放棄地対策協議会」の活動を通じ,耕作を請け負う担い手のあっせんや耕作再開のための農地復元に対する支援など,所有者の意向を把握しながら,地域の実情に応じた耕作放棄地の解消に努めてまいります。
福田議員
つぎに、女性の権利をめぐって質問します。「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」とは、性と生殖に関する健康・権利と訳されます。すべての女性は、妊娠、出産を含め女性が生涯にわたって自分の人生と健康を自己決定できる権利を持っています。その立場に立って、質問いたします。
まずはじめに、子宮頸がん予防ワクチンの公費助成についてです。この画期的なワクチンが開発され、日本でも昨年末に承認・販売される中、公費での接種が広がっています。世界ではすでに108カ国がワクチン接種をはじめ、オーストラリア、イギリス、フランス、ノルウェー、オランダなど先進30カ国では、公費接種が行われています。
日本では、子宮頸がんは特に20代、30代の若い女性に爆発的に増えており、年間15,000人が罹患、3,500人が亡くなっています。 “高校3年生で4割5割、大学生で8割から9割が、セックスを経験”といわれるように、性行動が早くなっています。ウィルスが原因の子宮頸がんは、性行動の開始から数年以内に検診を受けなくてはいけないのに、婦人科に行くのは35歳を過ぎてからなど、検診が必要な年代と、実際に検診を受ける年代とのかい離によって、爆発的に増えたと思われます。
子宮頸がんは、予防ワクチンの投与と検診で、ほぼ100%予防できる時代になりました。性行動を開始すれば、HPV…ヒトパピローマ・ウィルスに感染し、がんになる可能性がある、若い女性がそうした事実を知らされず、検診すら受けていない現状は、社会の責任です。
イギリスでは、2008年秋以来、12歳から18歳の少女に子宮頸がんワクチンを無料で接種しています。親や少女自身の理解を得る為に政府がBBCテレビでCMを流したり、ホームページでの情報提供、Arm Against Cervical Cancer(自分を守る腕)というおしゃれなステッカー、携帯に登録すれば次のワクチンをメールで知らせてくれるなどの取り組みを実施しています。国際細胞検査士の田渕未里さんは、「専門家や行政は、情報やサービスを提供し、女性が自己決定できる環境を整える責任がある。イギリスでは、ワクチンや検診制度とともに、5歳からの性教育も制度化した」と報告しています。
そこで第1に、「女性が正しい知識を持ち、自己決定する権利を保障する」ための行政の役割について、第2に小中学校での性教育の中に、「エイズ」と同様に「子宮頸がん予防について」をきちんと位置付けることについて、第3に、子宮頸がんの公費助成について市長の見解を求めます。
保健福祉部長
「子宮頸がん予防ワクチンの公費助成と性教育について」のご質問にお答えいたします。
まず,「女性が正しい知識を持ち,自己決定する権利を保証するための行政の役割について」でありますが,本市におきましては,男女が自分の人生と健康を自己決定することは,大変重要であると認識しております。
このため,男女共同参画推進条例の基本理念のひとつとして,「男女の生涯にわたる健康の確保」を掲げ,性と健康に関する正しい情報の提供や,妊娠・出産など,女性のライフステージに応じた健康支援等に取り組んでいるところであり,引き続き,男女が自己決定に基づき,健康な生活を営めるよう支援してまいります。
次に,「性教育の中への子宮頸がんの位置づけについて」でありますが,「子宮頸がん」につきましては,現時点において,早期予防が有効であると言われているものの,児童生徒への指導に際し,どの様な内容を指導するかなど,国の方針が明らかにされておりませんことから,今後の国の動向などを踏まえ,関係機関等と連携を図りながら,調査研究してまいります。
次に,「子宮頸がん予防ワクチンの公費助成について」でありますが,これまでもお答えいたしましたとおり,現在,国におきまして,子宮頸がん予防ワクチンの公費負担の検討が行われておりますことから,本市といたしましては,国の動向などを踏まえながら公費助成のあり方について検討してまいります。
福田議員
この項の2番目に、デートDV防止対策について伺います。DV被害者の約4割が、交際中からのDVがあったにも拘らず、認識がないままに結婚し、被害者となっているとのことです。DVに関する正しい情報がじゅうぶんに届かず、束縛=愛情といった間違った考えから抜け出せずに、被害者も加害者も生み出しているといえます。
本市ではH19年度より、高校生を対象に、H22年度からは、必要に応じて中学生に対しても「デートDV出前講座」を実施していますが、相談件数などからみると、「デートDV」との認識そのものが、浸透していないものと思われます。特別な授業としてではなく、教育の中に系統的に位置付けることが必要ではないでしょうか。
H16年に市教育委員会は、「小中学校における性教育の手引」をまとめました。当時、本市は10代女子の堕胎率や、援助交際の割合が全国一高いとされる中、保健体育的な視点で作成されたものとしては、大きな意味があったものと評価しています。
そこで第1に、「性教育の手引」にあらたな視点として、「デートDV」の問題を加えて、見直しをしてはいかがでしょうか。
第2に、わかりやすい教材として、「あなたとパートナーの間でこんなことは起こっていませんか」と、具体的事例でチェックしていく、「デートDVチェックリスト」を作って中学生や高校生に学校で、配布してはいかがでしょうか。2点について市長と教育長の見解を伺います。
教育長
「性教育の手引きの見直しについて」でありますが,学校における「性教育」は,その重要性が強調されている中で,性意識の多様化に伴い,児童生徒の実態に応じた指導が求められるようになってきております。
このような状況を踏まえ,平成16年12月に作成いたしました,「小中学校における性教育の手引き」につきましては,性教育の指導内容にとどまらず,「デートDV」の防止対策の基本となる生命尊重,人間尊重,男女平等の精神に基づく正しい異性観等を盛り込んでおり,今後とも,この手引きに基づいて,児童生徒が望ましい男女の人間関係を築くことができるよう取り組んでまいります。
次に,「デートDVチェックリストの作成・配布」でありますが,現在,本市におきましては,デートDV防止啓発のため,「デートDVチェックリスト」を記載したパンフレットを作成し,高校生等を対象としたDV防止出前講座等におきまして,活用しております。
DVを根絶するためには,若い世代からの予防啓発が大変重要であり,デートDVを予防し,気づきを促すためにも「デートDVチェクリスト」は,高校生等には一定有効と考えておりますが,中学生に対しましては,現在のところ配布は考えておりません。
福田議員
医療・福祉行政についての1つ目に,誰もが安心して医療が受けられるための国民健康保険について伺います。国民皆保険としての国民健康保険制度がありながらも、今ほど医者にかかれない層が産みだされ、社会問題となったことは、かつてなかったのではないでしょうか。
宇都宮市では、今年度、10月1日の保険証切り替え時点で、10割自己負担の資格証明書が3,530世帯で、昨年同時期に比べ、653世帯の増、約1.2倍に増えています。宇都宮市は、資格証明書の発行は、悪質滞納者に限ると繰り返してきました。本当に悪質滞納者がこんなに増えたのでしょうか。「健康で文化的な最低限度の生活」を営む権利を規定した憲法25条にそぐわない現状は、自己責任なのですか、市長の見解を求めます。
保健福祉部長
「資格証明書の発行について」でありますが,資格証明書につきましては,国民健康保険法により,保険税を1年以上滞納している世帯に対し,被保険者証の返還を求めた上で,資格証明書を交付しております。
交付にあたりましては,あらゆる機会を捉え,納税相談を実施する中で,納税の資力がありながらも,納付や相談がない方に対し,やむを得ず交付しているものであります。
福田くみ子議員
また、1か月及び3か月の短期保険証が3,620世帯交付されています。1か月の短期保険証は、その1ヶ月間の有効期限内に約束した納付がないと、次の1ヶ月間の保険証が送付されません。保険証が窓口に留め置かれることになり、事実上、無保険状態といえます。また、1か月ごとの保険証の送付は事務手続き上も煩雑な上、被保険者からすれば納入のいとまがなく払い忘れがあればたちまち、無保険になってしまいます。短期保険証の留め置きは、ある意味では、資格証明書よりも深刻な無保険状態であるといえます。
そこで、短期保険証について、第1に短期保険証で実際に、自宅に郵送していない、無保険状態の期間はあるのでしょうか。第2に、事実上窓口に留め置きとなっている世帯があるとすれば、何世帯ありますか。3点目に、短期保険証は、すべての期間について対象となる全世帯に郵送し、無保険状態はあってはならないようにすべきではないでしょうか。4点目に、短期保険証の期間は事務手続き上からも、費用対効果の上からも、1か月はやめて最低でも3カ月とすべきではないでしょうか。市長の見解を伺います。
保健福祉部長
「短期保険証となった場合の無保険状態の有無について」でありますが,被保険者の皆様には,納付状況に応じて,被保険者証,短期被保険者証,資格証明書のいずれかを交付しておりますことから,議員ご指摘のような状況はありません。
次に,「窓口で留め置きになっているかについて」と「短期保険証は全世帯に郵送することについて」でありますが,窓口で直接交付する場合を除き,原則的に,郵送で交付しておりますので議員ご指摘のような事例はありません。
次に,「短期保険証の期間を3ヶ月とすべきことについて」でありますが,1か月の短期被保険者証につきましては,定期的に納税者の生活状況を把握しながら,きめ細かな納税指導にも繋がっておりますことから,引き続き,交付してまいります。
福田議員
また、宇都宮市では国保運営協議会において、税率見直しに当たり、本市の収納率が全国比でも低い問題に対し、税額が高いほど収納率が低い傾向にある現実や、被保険者の負担をこれ以上引き上げることはできない、との共通認識に立ち、税率据え置きとの結論を出しました。これにより、一般会計からの繰り入れを大幅に増やし、不足財源に充てる形となります。日本共産党は、この間一貫して一般会計からの、繰り入れの大幅増額による保険税の引き下げを求めてきました。その立場からも、今回の約9億3,000万円の繰り入れ増は、大いに評価するものです。しかし、被保険者の過大な負担の実態からみれば、さらなる保険税の引き下げが、必要と考えています。そこで最後に、一般会計からの新しい繰り入れ基準について、その考え方と効果について、さらには今後の繰り入れの考え方について市長の見解を伺います。
保健福祉部長
「一般会計からの新しい繰入基準とその効果,今後の繰入の考え方について」でありますが,今回の繰入につきましては,特定健康診査・特定保健指導の経費の一部や失業により,国民健康保険に加入した方々の保険税の減免分などの負担増を繰り入れることにより,財政基盤の強化を図ったものであります。
また,現在,6月を目途に,現年度の「収納率の向上」や「医療費の適正化」を重点的な対策とした「(仮称)国民健康保険財政健全化計画」を策定しているところでありますことから,今後,この計画に位置づける様々な取組を総合的に推進し,安定的な事業運営と財政の健全化に努めてまいりますとともに,今後の繰入につきましては,国民健康保険の財政状況を見極め,国民健康保険運営協議会のご意見を十分伺いながら,適切に対応してまいります。
福田議員
この項の2番目に子どもと貧困の問題です。景気の悪化で失業が増え、家計の減収が子育て世代を直撃しています。医療面では、21年度から中学生までの子どもには、国保の資格証明書世帯であっても、短期保険証が送付されるようになり、今国会で成立すれば今年の7月からは高校生までに拡大されます。日光市では、これを前倒しして、4月から、しかも、短期保険証ではなく、1年間の正規保険証を交付することが明らかになりました。宇都宮市での高校生までの国保保険証についても、正規保険証としてはどうでしょうか。市長の見解を求めます。
保健福祉部長
「高校生までの保険証も正規保険証とすることについて」でありますが,現在,国におきましては,7月から,滞納がある世帯の高校生以下の子どもについて,すべて短期被保険者証が交付できるように法改正が見込まれておりますので,今後,国の見直しに併せて,適切に対応してまいります。
福田議員
また、生活保護世帯が急増している中で、宇都宮市の就学援助を受ける児童生徒も増えています。
しかし、全国の中核市41市の比較では、宇都宮市は、小学生7.37%で38位、中学生は10.26%で33位と低い水準となっています。高いところでは、下関市の小学生は33.78%、近くでは、川越市の中学生で17.06%などとなっており受給率は、大きなばらつきがあります。所得基準や内容、申請手続きも自治体によって大きく違いがある為です。
国の補助がなくなった2005年からは、申請に当たって、民生委員の助言を求める法的根拠はなくなりましたが、宇都宮は、あいかわらず、民生委員の意見を求めています。経済的に困難になった世帯にとって、地域の身近な民生委員に、実情を明かすことは抵抗感もあり、援助申請を抑制しているのではないでしょうか。必要な人が、利用しやすい制度にするためには、第1に、民生委員の意見書はやめて気軽に申請が出来るようにしてはどうか。第2に新入生には説明会を開くなど、より周知を図る取り組みをしてはいかがでしょうか。第3に実態に見合った支給内容の見直しが必要ではないか。市長の見解を求めます。
教育長
「就学援助に係る民生委員の意見書について」のご質問にお答えいたします。
就学援助の認定に際しては,所得基準のほか,児童生徒の生活状況を性格に把握する必要があり,学校の所見だけでは不十分な場合もあるため,学校や家庭の状況などについて,学校長や民生委員からの所見を頂くなど総合的に審査し,認定しているところであり,民生委員からの所見を頂くことは,より適正な認定を行うために必要なものと考えております。
次に,「就学援助制度を周知するための取組について」でありますが,就学援助制度につきましては,全保護者にチラシを配布しているほか,市ホームページや広報紙でPRに努めているところでありますが,特に新入生につきましては,保護者を対象とした入学説明会において,お知らせしているところであります。
再質問・再答弁
福田議員
何点か再質問をさせていただきたいと思います。
まずはじめに,国民健康保険の問題です。先ほど質問の中で冒頭に申し上げたのですけれども,一般会計からの繰入れの増額というのは大変私も評価しているところですけれども,先ほどのご説明だと内容がいまひとつよくわからない,新たな繰入の基準というのがこれからどういうふうに財政運営していくのかという部分ですごく重要になってくると思うので,新たな基準による繰入れという考え方の点でもう一度細かくご説明いただけないでしょうか。
保健福祉部長
今回,運営審議会からのご答申いただきまして,税率を維持しながら,まず自らの努力ということで収納率の向上,さらには一般会計からの繰入れということでございまして,特に一般会計からの繰入れにつきましては,ご答弁でも申し上げましたように,制度的に新たに20年度からスタートしました特定健康診査等に関る必要な事務費,さらには失業等により新たに国民健康保険に加入されてきた方の中に減免制度の適用等がございますので,そういったものを含めた中で,とりあえず保険者として自ら努力して収納率も向上させますが,その他の財政基盤の脆弱な部分については,一般会計からのご支援をいただいて,平成22年度の予算編成としたところでございます。以上でございます。
福田議員
今2点ほどおっしゃられたのですけれども,それで9億何千万円という額になるのでしょうか。
保健福祉部長
先ほど一部事例を申し上げただけでございますので,例えばそのほかに,先ほどの答弁にもありましてけれども,例えば資格証明書の交付世帯のお子さん達に短期被保険者証を交付するようになっておりますので,そこにも費用がかかっておりますし,また基本的に所得がない方に対する支援分,それなどを合わせて全体的に整理しましたのが先ほどの8億を含めて9億を超えた額になっているという形でございます。
福田議員
今おっしゃられた項目の中で一番大きい割合を占めるのは,どんな内容ですか。
保健福祉部長
今回整理した中で,割合として一番大きいのは所得のない方です。所得がない方への支援として,ご案内のように国民健康保険は自営業の方ですとか,様々な方がいらっしゃいますが,中には所得がない方も大変いらっしゃいますので,そういった構造変化も踏まえた中で,そういった所得がない方への支援分が多いという形でございます。
福田議員
ありがとうございました。無所得者の支援分ということで,この部分が一番大きいのではないかというふうに,私の調査によれば,9億3千万円の中の8億円ほどが無所得者の支援分ということで,こういう支援に宇都宮市が大きく乗り出したということは大変良い方向に向かったということで評価をしたいと思います。
次に資格証明書の部分ですけれども,資格証明書の送付の部分が大変多くなっている,資格証明書の交付については返事がないとか,連絡が取れないとかいうことでは悪質滞納者とは認めないのですか。
保健福祉部長
再質問にお答えいたします。
資格者証につきましては,ご答弁でも申し上げましたとおり,納税する資力をお持ちでありながら,こちらからの再三の呼びかけ,相談などに応じていただけないということで,滞納期間も1年を越しているということで,大きなものはどうしても,納めていただける資力がありながら,そういった相談にも乗っていただけないという方にやむを得ず交付しているところでございます。以上でございます。
福田議員
経済状況の悪化の中で資格証明書の方がこれだけ増えてしまうというのは,自然に考えるとやっぱり大変な方が増えているのかなという気が私はするのですけれども,この悪質滞納者,資格証明書を送られている方の中に,返事がないとか,連絡が取れないからやむを得ず送っちゃったという方も含まれているのでしょうか。
保健福祉部長
繰り返しで恐縮でございますが,1年以上税を納めていただけない方で,必ずしも無条件で資格証明書をお送りしているわけではありませんで,そういった中で納税相談に来ていただいて,分納で納めていただいている方,様々いらっしゃいますが,基本的には納税をしていただけない,1年以上滞納がある方で資力がありながら相談に応じていただけない方にやむを得ず交付しているということでございます。以上でございます。
福田議員
はっきりしないご答弁なのですけれども,資力がありながらというのが前提に必ずあるのですか。それは確認ができた方に限るのですか。
保健福祉部長
最初にお答えいたしましたが,何回か繰り返しお答えいたしましたが,無条件で資格証明書に切り替えるということではございませんで,例えば所得が少なくなった中で分納,一回に納められないで分納という方もいらっしゃいますし,こちらとしては,「資力がありながら」という部分を確認しながら,そういった方で1年以上納めていただけないで,相談も全く納めるつもりはないというのでしょうか,そういった方にやむを得ず交付しているという状況でございます。
福田議員
なかなかこちらの質問にストレートに答えていただけないのでよくわからないのですけれども,これは「資力がありながら」というところに限定をして送っているということで,私は理解したいと思いますけれども,だとしたら,それが1.2倍も増えたということに大変懸念を持つわけです。その辺のところをきちっと精査をしていただきたい。やっぱりこれは憲法にもかかわる問題で,健康で文化的な最低限度の生活という点では,この問題というのは大変重要な問題だというふうに認識しています。一方ではこれだけ宇都宮では資格証明書が多い,お隣のさいたま市あたりでは資格証明書を発行していないのです。こういう発行していない自治体もあるけれども,この違いは何なのか,私は市長の政治姿勢そのもの,どう考えるか,ここだと考えるのですけれどもいかがでしょうか。
保健福祉部長
これはまず第一義的には,ご答弁でも申し上げましたが,まず法の要請,1年以上納めていただけない方,先ほどの財政健全経営についても,税として皆様にお願いしているところでございますので,やはり納めていただける人,資力をお持ちの方には間違いなく納めていただくということが行政に求められている,また保険者としても,そうした努力をしていくというのはこれは当然の使命だというふうに考えておりますので,資格証明書につきましては,やむを得ず発行しているということでございます。以上でございます。
福田議員
この点については最後にしますけれども,要するにこの1.2倍に増えたのは,資力がありながら払えない,悪質滞納者が増えたというふうにおっしゃっているというふうにみてよろしいでしょうか。
保健福祉部長
悪質かどうかというのは色々あろうかと思いますが,何回も繰り返して恐縮でございますが,資力をお持ちで1年以上滞納している方で,相談も何も応じていただけない方に発行しているところでございます。以上でございます。
福田議員
次の質問に移りたいと思います。
短期保険証の問題ですけれども,郵送していない,1ヶ月の短期保険証の方は1ヶ月の期間内に納付がなければ,次の保険証は送付をしないというふうに私は認識しているのですけれども,いかがですか。
保健福祉部長
資格証明書になった方にはまず資格証明書が送られます。納税相談をしていただいて,例えば一部お支払をいただくということになれば,1ヶ月の短期被保険者証をお送りいたします。継続して納めていただけるようであれば,また保険証をお出しする。お尋ねの納めないという状況になれば,1ヶ月の短期被保険者証は送付されませんので,お手元には資格証明書があるという状況でございます。以上でございます。
福田議員
それでは1ヶ月の期間の間に納めなかった人は,次の送付の時には資格証明書に切り替えてすぐに送付しているということでよろしいですか。
保健福祉部長
再質問にお答えいたします。先ほどもお答えいたしましたように,1ヶ月の短期被保険者証をお送りすると同時に,資格証明書をお返しいただいてはおりませんので,お手元には資格証明書があるという状況でございます。以上でございます。
福田議員
一定期間,手元に資格証明書なり,短期保険証が届いていないという事態は1件もないというふうにとらえてよろしいですか。
保健福祉部長
議員ご指摘のような状況はございません。
福田議員
そういうことであれば,そのお話は信用したいと思います。無保険の問題というのは,最低限度の生活を営む権利の剥奪ではないかというふうに思っておりますので,今後ともその点については,きちんと手元に届かないことのないようにお願いしたいと思います。
次に就学援助制度についてお伺いします。先ほどの質問で,必要な人が,利用しやすい制度にしなくてはいけない,宇都宮市がなかなか援助率が上がっていかないというのは,地域的な状況はもちろんあるとは思いますけれども,宇都宮市の所得制限は,他の市よりも比較的広いのです。そういう意味では援助される人は,多くてもいいのではないかというふうに単純には考えるわけでございますけれども,これがなかなか援助率が低いということであれば,何か受けにくい理由があるんじゃないかと,自治体間で大きな格差があるというふうに思っていますけれども,その辺はどの様に考えておりますか。
教育次長
特に申請の状況はここ2年ほど,20年に前年よりも3%,今年度は4.5%ほど伸びていくというような状況にもございまして,全体の援助率そのものが他の市と比べて低いということでの,内容からその分析をしてその対策を講じるということについては,改めて私どもとしては必要ないというふうに考えてございます。以上です。
福田議員
民生委員のことについて今回出したのですけれども,やはりなかなかご近所の方に自分の家の苦しくなった状況というのをお話しするというのは,本当に心苦しいところがあります。やっぱり他で援助率が高い所をみてみますと,民生委員さんの関与をなくす,あるいは,本当に気軽に申請ができるようにするなど,周知徹底をするとか,実態に見合った内容にしていくなど,本当に中味の改善というのが進んでいるというような,そこのところに,大きな違いがあるというふうに私は認識しているところです。今後ともその内容については,より受けやすい制度にするためにお考えをいただけたらというふうに思います。以上を持ちまして私の再質問を終わりにいたします。