2009年3月24日 福田くみ子議員
私は日本共産党を代表いたしまして議案第27号、28号、29号に反対する立場から討論を行います。
まずはじめに、議案第27号平成21年度一般会計予算について反対の理由を4点に絞って述べたいと思います。
アメリカ発の経済危機は100年に一度と言われるような未曾有の混乱を世界中にもたらしています。とりわけ製造業の比率の高い本市においては雇用悪化や、関連する中小零細企業の倒産など市民生活に及ぼす影響は計り知れません。
反対の理由の第1は、新年度予算において、この経済危機の暴風雨の激しさに見合った精一杯の対策が盛り込まれているとは言いがたい点にあります。今議会の荒川議員の一般質問でも取り上げたように公共事業のあり方をゼネコン奉仕型から身近な生活に密着した公共事業に軸足を移すことと、直接内需拡大に繋がる具体策が必要です。国の緊急経済対策の地域活性化・生活対策臨時交付金は本市には交付されない為、少なくとも独自にこれに相当する2億2千万円規模で趣旨に沿った具体策を打つべきです。
反対の理由の2点目は、本市の教育費の割合は増やすべきという点です。教育費の割合はバランスシートで見ると中核市の中でも最低レベルといえます。とりわけソフト面の充実つまり教職員の人件費を増やすべきです。どんなに立派な入れ物や、計画を作っても人を育てる要はあくまで人です。
指導助手・図書館司書は、年収206万円で、長くても5年で使い捨て。このような不安定雇用では良い教育者は確保できません。指導助手・図書館司書は一気に正規化とは行かなくとも、正規化を視野に入れた待遇の改善が必要です。
また、同じく学校職員の給食調理員は直接雇用に戻すべきです。全校配置となった栄養士がその専門性を十分に発揮するためには、毎日、直接給食室に入って調理の指示や援助ができること、給食調理員と対等に連携するためには請け負い委託では限界があります。
市費の学校事務員の増員は、教師の多忙化解消のためにも急務です。単に目先のコスト削減ばかりに目を奪われるのではなく、人材を育てることや、学校現場において、より豊かな人間関係を構築することはとりわけ大切ではないでしょうか。
反対理由の3点目は、喫緊の最優先課題に正面から対応していない点です。とりわけ安心して暮らしていくための医療や福祉分野での市民の願いは切実です。保育園の入所申し込みは、雇用状況の悪化の中でさらに大きく増えることが予想されます。施設整備にお金のかからない家庭的保育事業でお茶を濁しても実態には見合いません。特養ホームの待機者1,273人に対し、新年度の新たな整備はありません。毎年増えるお年寄りの孤独死への対策も、「緊急通報システム」の設置や「ひとり暮らし高齢者等安心ネットワークシステム事業」など実態に見合った規模と内容になっていません。お年寄りが楽しみにしている「生きがい対応型ディサービス事業」も2割も削減の計画です。
また環境問題も「明日からでは間に合わない」はずなのに他人事のようです。ごみ減量化の鍵である生ごみ資源化は、相変わらず進みません。啓発が大事と始めた学校ごとの生ごみ資源化も、民間工場の出現で突如中断。ところが、度重なる工場の不具合で、見通しの立たない始末では、市民への説明はつきません。
反対理由の4点目は、市民の願いとはかけ離れた無駄遣いがある点です。その最たるものは、馬場通り西地区と宇都宮駅西口第4B地区の2つの再開発事業です。これらの事業は総事業費の2分の1合計で約55億円が税金で賄われます。そのうち21年度は、約20億円の支出が組まれています。馬場通り西地区再開発と一体の馬場通り中央地区再開発では、市が投入した公費は約40憶円。表参道スクェアとして華々しくオープンして1年半、店舗の撤退が相次いでいます。市民プラザや子どもセンターの利用実績を見ても、市民が強く望んでいた施設ではないことは明らかです。隣に「反対の大合唱」が起きている24階建ての高層マンションができれば賑わいが創出できるなどと誰が信じるでしょうか。市民の声に耳を貸さず、この経済危機の崖っぷちに「泥棒に追い銭」のように、さらにゼネコン奉仕の補助金をこの事業につぎ込むことは納得できません。
また、駅西口第4B地区再開発事業の、18階建てのホテル建設に多額の税金投入は市民の理解は得られません。いい加減にゼネコンへの奉仕はやめるべきです。
また、若年世帯家賃補助制度は、優先度と費用対効果の面からも見直すべきです。もちろん、議員の海外旅行など景気回復の見込みもないのに、もってのほかです。
以上、見通しの持てない経済状況の中、市民の切実な願いに添いどれだけ有効に使われているか検討した結果、新年度予算は、認められないとの結論に達しました。
次に議案第28号国民健康保険特別会計について反対の理由を大きく2点述べます。 1つ目の理由は、保険者として市は、憲法25条と国民皆保険制度の理念に基づく血の通った国保運営をすべきです。また,資格証明書の発行は中止すべきという点です。国保行政は自治事務であり、個別の裁量は保険者にゆだねられています。だからこそ、国の言いなりではなく、「資格証明書の発行をしない」との立場を貫く自治体があるのです。昨年秋以降の世界的な経済危機による雇用状況の悪化により、国民健康保険への加入者は急激に増え続けています。このような中、これまでのように、滞納対策を資格証明書の発行や非情な差し押さえなどの制裁措置に重点が置かれれば、医者にかかれず命を落とす悲しい事態がいっそう広がることが懸念されるからです。
2点目に、新年度こそ、一般会計からの繰り入れを思い切って増額し、保険税を引き下げ、悪循環からの脱却を図るべきです。本市の国保財政は、高すぎる保険税により、3割もの滞納者が常態化し、悪循環に陥っていると言えます。21年度の保険税収入は、収納率を約70%と見込んで組まれています。約7割の被保険者が全体を支えるという構図となり、それが高い保険税となってのしかかり、さらなる滞納を生み出す悪循環に陥っています。一般財政からの繰り入れを増やし、払える保険税に引き下げることが解決への道です。
次に議案第29号、介護保険特別会計についてです。2点に絞って理由を述べます。
1つ目は、保険料について介護給付基金を取り崩して、保険料の軽減に当てるべきです。厚生労働省からも可能な限り取り崩すよう通知されているはずです。保険料の算定は保険給付費などから逆算して決められ、毎年の執行残額が基金として積み立てられます。ところが、様々なサービス利用抑制政策により、毎年執行率は9割を切っています。工事などの入札ならば執行残は「お手柄」といいたいところですが、度重なる改悪で、多くの人たちが利用を手控える現実の中ではとても認められません。また、逆に見れば給付費を過大に見積もり、保険料をとりすぎた結果が、今期末の約30億円の基金といえます。ですから基本的には、基金はすべて歳入に入れ、保険料・利用料の軽減によって現在の被保険者に還元すべきです。
2点目は、包括支援センターについて、運営費は増額すべきです。この業務は、本来市の福祉として直営で行うべき内容です。少なくとも介護保険事業者とは、はっきり分離し、市民にわかりやすい公平な運営がなされるようにすべきです。そのためには、事務所を独立させ、地域に出られるように予算もしっかりつけるべきです。
議員の皆様の良識あるご判断を期待いたしまして、議案27号、28号、29号についての反対討論を終ります。