2008年9月25日 福田くみ子議員
ただいまより、日本共産党を代表して議案126号と136号について反対の立場からその理由を述べ、討論といたします。
まず126号、家庭的保育の実施に関する条例の制定についてです。本市が行おうとしているこの事業は、保育所保育の補完的なものという位置づけである点から、児童福祉法24条の但し書きにある、保育所保育が行えない場合でも市町村は「適切な保護を行う責任がある」としている点を根拠に実施されるものと理解しています。しかしながら、今回の条例案はあまりにもあいまいな点が多く、広い意味での保育環境の低下が懸念されます。2008年の317名の待機児童と、平均で122%という高い入所率という現状の中で、待機児童の数だけを減らそうとする安上がりで安易な方法と言わざるを得ません。その理由を具体的に述べます。
1点目は、保育の場所について、自宅あるいはその他の場所としており、何の制約もなく、乳幼児の発達に必要な環境と安全を確保できる保障がない点です。
2点目は補助者の用件についてあいまいであり、特に子どもが3人以下の場合は、「保育ママ」が1人で長時間にわたり保育にあたることもありうる内容になっています。保育所の基準は、0歳児3人に対し保育士1人となっていますが、これは、保育所という特別に保育環境や条件の整っているところで、さらに常時近くに援助できる体制があってのことです。安全面からも、密室での保育という点からも、これは非常にリスクの高い保育体制と言えます。以上の理由により、この条例案に反対するものです。
次に136号決算の認定について反対の立場から討論を行います。さて2007年度は、小泉内閣を引き継いだ安倍内閣が、「美しい日本」を旗印に構造改革路線をさらに進めるべく旗振りをしましたが、小泉内閣以来の構造改革による格差と貧困の広がりは、国民の間に大きな怒りとなって噴出し、昨年7月に行われた参議院選挙では、自民党の過半数割れという結果をもたらしました。年金問題をはじめ、防衛省、農水省などの相次ぐ不祥事は、前代未聞の突然の首相辞任という事態を引き起こし、もはや自民党には政権担当能力がなくなっていることを示したとの見方もあります。それは、その後一年足らずで、再び政権を投げ出した福田前首相の今回の事態で、いっそう明らかになったと言えます。
このような状況であればなおのこと、住民にとって一番身近な地方の政治は、住民の暮らしをしっかり支える立場が求められるなか、本市の2007年度の税金の使い方について、そうは言いがたいとの結論を出しました。決算の認定に対する賛否について、我が党では、市民に身近な役立つ事業や一般的な事業について、反対するものではなく、税金の使い方についての考え方、優先順位やムダづかい等について認められない立場から、決算認定に反対するものです。具体的に理由を述べます。
第一に行革路線の中で進められている委託化と、職員の非正規化の流れは、コストさえ安ければよしとして、長い目で見とおした行政効果や、先行投資といった観点を忘れて刹那的な、いわば使い捨てとも言える雇用を増やしている点です。人件費から換算すると、非正規雇用は非常勤・臨時あわせて1,815人に上ります。これはいまや、社会問題となっているワーキングプアーを、
たとえば、その最たるものは教育の専門家でもある指導助手で、19年度においては130名雇用しています。月額172,000円、年収2,064,000円です。任用期間は1年で、最長4回の更新ができます。正規雇用の教員と同様に教員資格を持ち、ひとたび学校に行けば子どもたちからも保護者からも同じ先生です。もちろん、教育者としての誇りと責任は当然求められるわけです。教育現場でのこのような雇用の格差は、人間関係にも微妙な影を落とし、本来持っている力が発揮できないケースも多々あると言います。
このほかにも学校には、図書館司書業務嘱託員93名、学校業務嘱託員80名、調理業務臨時職員58名、など500名近い日正規雇用の職員がいます。教育は未来への先行投資です。また教育の要は、人材にあります。少なくとも人間をあいてとし、専門性と継続性の求められる教員、司書などの学校職員、保育士、などについては正規雇用を原則とすべきです。
第2に、事業の優先順位と費用対効果の観点からムダづかいと思われる事業をあげます。中心市街地活性化の名の下進められた大型公共事業、中心市街地への居住促進が狙いの若年夫婦家賃補助制度などです。
まず、ムダづかいといえる大型公共事業の最たるもの、宇都宮城址公園について、当初、年間50万人が訪れるシミュレーションをしていましたが、19年度は11万人。これまでに投入した税金約146億円。平成19年度は管理委託費3,857万円・市民の会への交付金1,220万円が有効に使われたとは認められません。
表参道スクウエアは、開設から僅か1年でテナントが撤退する有様です。人の出入りはテナント等で働く人、フィットネスクラブ会員等が主で閑散としています。市民プラザも市役所から近く、二重投資と言えます。賑わいが創出されたとは言い難い状況にあります。平成19年度は保留床買い取りで20億2,728万円、補助金・2億9,646万円。その他、総事業費65億円のうち、市は補助金として6億円を投入しています。
また、オリオンスクウエアについても、トイレ整備に7,000万円は驚きです。トイレ整備のはずが、いつの間にか交流施設整備に事業は拡大、事業実施の理念と一貫性のなさは、市民に説明がつきません。
若年夫婦世帯家賃補助は、中心市街地への定住促進が目的ですが、19年度の補助世帯数は150世帯で、19年度中に補助対象からはずれた29世帯のうち、引き続き中心市街地に住み続けているのは3世帯のみという状況です。年間4,278万円かけた費用対効果が問われます。
第3には、市民の命と暮らし守る喫緊の課題を置き去りにしている点です。命とくらしを守る最後のパスポート、国民健康保険は、保険税引き下げのための一般会計からの思い切った繰り入れが必要です。滞納による資格証明書の発行は2,600件、屈辱的な短期保険証は5,000件に上ります。滞納率約3割という状況が続き、収納対策の強化は功を奏したとは言えません。滞納者の76%が年間所得200万円以下では払いたくても払えないというのが現状です。
滞納する世帯が多ければ、その分保険税は高くなる仕組みであり、滞納分をはじめから見込んで予算を立てるばかりか、国保財政から支出される介護保険、及び老人保険の拠出金は、滞納分は考慮されず、高い負担が求められています。50億円にも上る滞納額のうち、執行部の言う『悪質』滞納者に対する差し押さえによって回収できたのは、僅かに1,200万円です。3割にも上る滞納を残りの7割の加入者に上乗せして益々負担を重くし、さらに滞納を増やす悪循環に陥っているのです。この悪循環を断ち切るには、一般会計からの政策的繰り入れを増やし、国保税を思い切って大幅に引き下げる必要があります。また、窓口で払う一部負担金も、低所得者への減免を拡充し、誰もが安心して医療が受けられるようにすべきです。
最後にまとめとして、様々な財政指標を見てみると、本市の財政は大変健全ですが、市民1人あたりの税負担額は中核市39市中2番目、市民1人当たりの歳出総額は23番目、つまり、市民の負担は重く、見返りは少ないのが本市の特徴と言えます、格差社会の中、費用対効果に見合った身近な公共事業を精査し、今や切実な願いとなっている密着した福祉や教育にしっかりとお金をかけていくべきです。以上議案136号の反対の理由と致します。
議員各位の良識あるご判断を求め反対討論を終わります。