200796日 荒川つねお議員

 発言通告に基づき質問します。明快な答弁を求めます。

 市長の政治姿勢について4項目質問します。

 まず、先の参議院選挙では、安倍自民党・公明党政権が歴史的大敗をしました。この最大の要因は、小泉政権から引き継いだ弱い者いじめ、弱者切り捨てで国民の間に格差と貧困を広げ、大企業や富裕層だけがもうけを増やす構造改革路線に対する国民のノーの審判だと思うのですが、市長は今度の参議院選挙の結果と構造改革路線についてどの様にとらえているのか見解を求めます。

 

 次に再開発事業をめぐって質問します。

 このほど馬場通り中央地区が完了しました。さらに次々と再開発事業が計画されていますが、巨額の税金投入を伴うものであり、公益性をきちんと見極めることが市民の利益のために不可欠です。私はその点から宇都宮駅西口第四K地区や第四A地区は特に再開発事業の名に値しないと思っています。馬場通り西地区も同様です。

 本年6月の参議院財政金融委員会で、馬場通りの二つの再開発が取り上げられました。その中で、西地区について第一種市街地再開発事業の要件のうち、都市再開発法3条に該当しないのではないかという指摘があります。大林組62%、足利銀行23%、栃木銀行9%、ゼネコン・銀行の3社で94%の土地を占有し、他の地権者は2名。第三条の「当該区域内の土地利用が細分割されている等の状況があって不健全な土地利用の状況である」とは言えません。この点について改めて市長の見解を求めます。

 次に、国会から見てもこの再開発に対する本市の対応はグレーゾーンだと疑問視がされています。16階しか建てられないのを容積率の引き上げを行い、24階まで建てる様にした。その理由は事業者の採算を取るためと都市計画審議会でも答弁しています。金融がからんで不良債権の土地をゼネコンが極安で買い、地元銀行と手を結んで、再開発事業という仕組みを作って事業費の50%も税金をもらい、市に容積率まで緩和させ、二荒山の景観まで破壊する超高層マンションで大儲けをする。こんな不正義な再開発事業で大林組や足銀、栃銀奉仕する宇都宮市であっていいのか、この時点で改めて市長の見解を求めます。

 

 次に馬場通り中央地区広場水景施設整備工事の入札についてです。

 大林組が談合で指名停止を受けている中で、関連会社の大林道路が落札しました。

 この入札に応募したのはわずか2社でしたが、1社が入札前に辞退をしてしまいました。その結果、予定価格7,9936,500円のところ7,9275,000円、落札率99.17%で大林道路が落札という経過となりました。

 現在、本市の入札をめぐる状況は談合ができなくなったためか、低入札が続いている中でのこの有様です。この入札が手続上は有効かも知れませんが、市民は納得しません。

 市長は、市民の税金を最小限で最大限の効果のために努力すべき義務があります。

 1社が辞退した時点で、公平で競争性の確保のためにも、何故再入札を行わなかったのか答弁を求めます。

 また、この様な入札を行っていること自体が、再開発事業でのまさに留まることを知らない大林組と宇都宮市の官民癒着を白日のもとにさらす行為とは思いませんか。答弁を求めます。

 

 次に、「市民が主人公の市政か、市民監視・圧迫の市政か」についてです。

 本市において、公共空間への監視カメラの導入が異常なハイペースで進められています。

 「犯罪の未然防止」のかけ声でオリオンスクウェアや城址公園、市役所などに計28台。この他市中心商店街組合が独自に設置のもの約50台。そして、市では新たにJR宇都宮駅周辺に23台が計画されています。この様な人通りの多い所や市民の憩う公園などの公共の場所を、監視カメラによって24時間撮影・録画し続けるならば、多くの市民の行動記録が蓄積されることになります。「こんな所では安心してデートもできない」城址公園では若い人たちからのそんな声も聞こえてきそうです。嫌なら行かなければ済む所でもあります。しかし、駅前などはそういう訳にはゆきません。

 憲法13条に基づけば、「何人もその承諾なしにみだりにその容貌・姿態を撮影されない自由を有する」ことが認められています。例外的に公権力による写真撮影が許されるのは「現に犯罪が行われ、もしくは行われた後間がないと認められる場合」に限定されています。また、特定場所の撮影・録画が許容されうる要件は「@当該現場において犯罪が発生する相当高度の蓋然性が認められる場合であり、Aあらかじめ証拠保全の手段、方法をとっておく必要性及び緊急性がありBその撮影・録画が社会通念に照らして相当と認められる方法であること」と厳格に規定されています。「犯罪抑制」などという主観的理由で市民のプライバシーの権利や肖像権を蹂躙することは許されません。

 そこで質問ですが、市長は、この憲法13条を超越するいかなる合理的根拠をもって市民を監視するカメラの増殖を行っているのか、答弁を求めます。

 次に危機管理課の警察からの出向職員による市民圧迫の越権行為について質したいと思います。

 本年7月、行政経営課室内で、情報公開請求をめぐって市民と話し合いがあり、その対応の中で、行政経営課と行き違いがあり、市民の声が大きくなりました。が、すぐに同課の応接セットで話し合いがもたれ、合意がなされ終了しました。この場面が本市の不当要求対応マニュアルに該当する様なシーンでないことは明らかです。この話し合いが終了した直後に「庁内を巡回していたら大きな声が聞こえたから」として課内に入り込み、この市民に対し、警察から来ている危機管理課の○○と名乗り、別室で話を聞きたいと連行し始めました。その市民は警察と聞いて大変な恐怖を感じ連行されかかりましたが、2人だけになったのではどうされるかと思い、話を聞くなら行政経営課の職員も入れてと課内に戻り、決着のついている話を、危機管理課職員を入れて蒸し返すことになりました。これはまさに、危機管理課の警察出向職員による事情聴取で、最後には市民に「あなたは問題ありません」と言って引き上げていきました。まさに裁判官気取りであります。

 そこで質問ですが、危機管理課のこの職員がいたずらに庁内を巡回し、市民の動向を監視し、耳をそば立て、少し大きな声が聞こえただけで、当事者間の問題に断りなく介入したり、警察などと脅かして連行する、または既に当事者間で終了している話にまで介入し、蒸し返し事情聴取を行う。職員のこんな越権行為が許されているのか伺います。職員として市民こそ主人公の意識が希薄で、善良な市民を監視・圧迫するまさに用心棒まがいの仕事は、即刻中止を求め答弁を求めます。

 

 この項の最後に、「地域商店街にもっと応援を」についてです。

 私の知っている江曽島駅前通りの商店主は、次々とシャッターが下りて淋しくなっている商店街で、持ち前の商売へのひたむきさと地域で培った信用で元気に必死に頑張っています。大型店の様に、地域から儲けを吸い上げて他県の本社に持っていってしまうのではなく、地域住民に支えられ、地域に貢献し、地域経済を回転させて来たのが、こうした地域商店街の皆さん方です。今、市中心街の活性化という錦の御旗を掲げればなんでもありの応援が中心部では行われていますが、その一方では、各地域商店街に対する応援が取り残されていないでしょうか。私は市議4期目にあたり、地域商店街振興の課題をこれまで以上に系統的に取り組む決意です。

 今回は、「江曽島駅前商店街」の街路灯に光をあててみます。

 江曽島駅前通りとその周辺には、商店街華やかし頃、29基の街路灯が立てられました。しかし、現在、防犯灯として自治会が引き受けた部分を除いて、15基について灯がともらず、駅前なのに大変暗い商店街となっています。商店会が解散し、電灯代補助30%が打ち切られて久しいからです。雀宮の商店街は夜一斉に街路灯がともり、「お!ここは元気な商店街かな」と思わせます。監視カメラより遥かに防犯にも役立っています。地域商店街を元気にし、防犯の新たな役割も考慮し、商店街街路灯への補助要件、電気代補助率の見直しを行うべきではないでしょうか。また市長の地元でもある江曽島駅周辺商店街の灯の消えた街路灯全部に早急に灯がともる対策を立ててほしいと思います。2点答弁を求めます。

 

保健福祉行政に入ります。

 昨年4月に改悪された介護保険法のもとで、高齢者の生活を介護取り上げや負担増が襲っています。全国で様々な問題や課題が明らかとなっています。これは、本市の介護保険事業も例外ではありません。

 一生懸命介護に従事している現場の皆さんから緊急で深刻な声が上がっているのが「介護給付の抑制」を目的とした「ローカルルール」の問題です。「ローカルルール」とは、国の基準で決まっていないことを自治体が勝手に規制する問題です。監査や集団指導、研修、ケアプランチェックなどを通じて事業者に徹底されます。とりわけ本市の「日中独居となる高齢者への生活支援の居宅介護サービス」にこの問題が顕著に現れています。

 介護保険による訪問介護サービスのうち、掃除、洗濯、炊事などの「生活援助」が利用できるのは原則として独居世帯とされています。しかし、この原則の例外は、「同居家族に疾病や障害がある場合」をはじめとして国は広く認めています。国会の2003716日の衆院厚生労働委員会でも「ご家族、例えば心身がご健康であっても、家事ができる状態でも、勤務しておられて、日中要介護の高齢者の方がお一人の様な場合には、介護保険の給付の対象となる」と答弁しています。「日中独居」でも介護保険が使えることは家族の負担軽減、介護の社会化という、介護保険当初の看板からも当たり前のことです。また、生活援助が単なる家事手伝いではなく、高齢者の人権や生涯発達を保障する役割を担っていることを考えると当然であり、重要なサービスのはずです。

 ところがいま、本市においては、「家事は同居家族がやるもの」「介護サービスを受けるのは最後の最後の手段」「家族が一時間遅く出勤することでしのげないのか」それができなければ有料ヘルパーを頼め、頼めないなら地域でのサポートに頼れ」などなど、市の担当者が宇都宮のローカルルールを居宅事業者や介護関係者にここまで押し付ける指導、助言をしていることが私の調査で明らかになりました。

 ですから、ケアマネージャーさんが「日中独居」の高齢者の「生活援助」サービスを入れようとすると、居宅サービス事業者から「私の所では同居家族のいる方は受けられません」、こういう返事が返ってくる様になったとのことです。利用者の希望よりも県や市によるローカルルールの徹底で事業者のサービスの自主規制が広がり、ますますサービス範囲を狭め、サービスが切り捨てられ、自費サービスが横行しようとしています。

 そこで市長に伺います。市長は宇都宮市がこれほどひどいローカルルールを事業者や関係者に押し付けているのを知っているのですか。市長、自ら介護の現場の人たちの声を聞き、調査して、先に述べた国の答弁通りに是正すべきと思うが、答弁を求めます。

 次に、配食サービス、食の自立支援事業においても、かつてない利用抑制が始まっているのではとの訴えが寄せられています。

 例えば、78歳の男性Aさんは家で倒れ、2日後に発見、即入院、糖尿病とわかり治療して退院、介護度は入院時の4から今は1とのことです。78歳になるまで、全く調理の経験がなく、13回の食事がとれることは困難の状況でした。しかし、この高齢者の配食サービスは市で認められませんでした。「フラフラしていても、どうにか歩けるなら自分で食事調達はできるはず。1日1回だけ配食サービスを受けても、糖尿病療養にはならない。それなら有料で」ということらしいのです。糖尿病患者にコンビニ弁当はないでしょう。配食サービスを希望する高齢者のそれぞれの様々な実態を考慮せず、ハードルを高くして利用を抑えることにいつからなぜ変えたのか答弁を求めます。

 また、既に利用している高齢者に対し、再アセスメントを行う意向を示しているそうですが、これはいま配食サービスが必要で利用し、自立を保っている人まで先ほど言った様なきびしいふるい落としをする目的で行うのかおたずねします。

 最後に、この事業を配食サービス週5回の限度を週7回まで行うことや利用者数の増加など、充実させる具体的計画と目標はどうなっているのか質問します。

 

 次に、相次ぐ大増税や福祉・医療などの社会保障の改悪の中で、市民の中にも格差と貧困が広がっています。収入は増えないのに高い税負担にあえいでいます。

 こうしたもとで、市民のくらしを守り、負担軽減のための、現在ある制度を市民がきちんと利用できる様に、手立てを尽くすのは市長の責任であります。ところがそうなっていない。そこで今回は3つの制度について光をあて質問します。

 まず第一に、障害者控除対象者認定書の発行についてです。

 これは、要介護認定を受けた人の障害者控除についてです。65歳以上の人で障害者手帳のない人でも障害者に準ずる人は、障害者控除制度が適用されるもので、この障害者に準ずる人の範囲については国税庁が「障害者1級から6級と要介護認定とは連動していないが、しかし実態として要介護認定者が障害者控除の対象となりうることは、ほぼ一致する、限りなく近いもの」という見解を示しており、要介護認定者が障害者または特別障害者として市長の認定があれば、障害者控除27万円、特別障害者控除40万円が税法上受けられるものです。そこでおたずねします。平成18年度の宇都宮市での障害者控除対象者認定書の発行はわずか21件ですが、市長はこの少ない件数をどう捉えているのですか。また、税金の申告は最長5年間さかのぼって修正をすることができます。本市発行の障害者控除対象者認定書は、要介護等の認定を受けた日にさかのぼって適用できるようになっていない、これは市民に対して不親切で、納税者である市民の権利にもかかわることです。改善を願い答弁を求めます。

 次に国民健康保険に関して国保税の申請減免制度と医療費一部負担金減免制度の市民の活用について質問します。

 いま、市民は中核市の中で最も高い国保税に苦しんでいます。高すぎて払いきれないため、資格証や短期保険証の世帯も増えています。

 この様な中で、滞納を未然に防ぐために、国保法77条では、所得の少ない世帯や収入の大幅に減った世帯のために、保険税を減額したり、免除する減免制度があります。それに基いて本市においては国保税減免取扱い要綱があります。

 平成18年度国保特別会計決算を見ても明らかな様に、高すぎて払いきれず、収納率は85.49%になっています。その陰にはどれだけ多くの市民が高い国保税の納入に苦しみ、また払いきれずに、短期証や窓口で10割負担の資格証で医者にもかかれない状態に置かれているか、市長はご存知でしょうか。

 こういう市民と家族の中で、この減免制度の適用が受けられ、滞納や資格証発行などを未然に防げる人が沢山いるのではないでしょうか。

 そこで質問ですが、本市では、平成18年度の減免件数はわずか48世帯であります。このほど、中核市の状況を調査しましたが、35市のうち、ワースト5位です。一番多かったのは豊橋市12,606世帯です。宇都宮の262倍です。中核市35市の平均は1,200世帯。25倍です。同じ国保法に基づく減免制度でありながら、何故これほどの差で、宇都宮市民は重税に苦しまねばならないのか、明快な答弁を求めます。

 次に、本市の減免取扱い要綱は、所得割分の減免は適用されますが、所得が少なくなるほど負担の重い平等割や均等割は適用になりません。要綱をこの点で改善すべきと思うが答弁を求めます。

 次に、国保には患者の医療費の自己負担金を減免または減額する一部負担金減免制度があります。これは、国保法第44条にある規定で、特別な理由がある被保険者で一部負担金を支払うことが困難な人には減額や免除、徴収猶予をすることを明記しています。しかし、この制度については、昭和34年に厚生省が通達を出して、減免を特定の対象者に限って抑制することを行いました。調査によれば、中核市の多くの所で、本市を含め、いまだにこの通達に縛られ続け、この制度を市民に適用していないことがわかりました。しかし、その通達から48年、約半世紀を経ています。国保加入の市民のくらし・医療を取り巻く実態は厳しい方向に大きく様変わりをしています。その中で、先進自治体では、国保の保険者は自治体であるとの自覚の上に立ち、市民の置かれている実態に光を当てた減免制度の活用が行われています。

 京都府では、府内の自治体にこの制度を実施するよう指示を出し、京都市では所得基準が明確になっています。この制度を生かすための減免基準をより明確に示す自治体も増え、例えば東大阪市では、平成18年度19,401世帯、宮崎市355世帯、秋田市265世帯などを筆頭に17自治体で活用されています。「医者にかかりたくてもお金がなくてかかれない」こうした市民の訴えに応えられる一部負担金減免制度を市民のために生かすべきではないのか。この制度を絵に描いた餅から脱却することを求め、答弁をお願いします。

 

 この項の最後に、国民年金滞納者への国保短期証の発行問題で質問します。

 国は年金問題での自らのていたらくを棚上げして、国民年金を滞納すると市町村は来年4月から罰則として国民健康保険証を交付せず、短期保険証に切り替えられる社会保険庁改革関連法案を強行しました。しかし、これほど馬鹿げた、またそれぞれの制度の違いを理解せぬ乱暴なやり方はありません。これは過日の下野新聞報道にもある様に、受診控えや現役の低所得者に打撃を与え、混乱させるものです。

 この年金滞納者への短期保険証交付は地方自治体の義務ではありません。

 そこで市長に伺います。「宇都宮市においては、短期保険証の交付は実施しない」と明言してほしいのですがどうでしょう。答弁を求めます。

 

 次に、日本共産党市議員団は、合併後の河内・上河内地区の住民サービスに関するアンケート調査を6月に実施し、多数の回答がありました。その生の声から主な要望についておたずねします。

 第1に、学童保育について、開設時間、現行6時までを延長してほしいという要望です。宇都宮地区の様に個々の実態に基いて可能と思うがどうか。

 第2に、特定疾患医療受給者証の更新手続などが本庁又は保健所まで行かないとできなくなり困っている。地域自治センターでできる様にならないかということです。合併によるサービス後退は見直すべきと思うがどうか。

 第3に、お年寄りの外出支援のタクシー初乗り無料券がバスカードになったが、バスが13回しか走っていないのでは「利用できない」との声は当然です。宇都宮地区も含めて、タクシー初乗り無料券かバスカードか選択制を導入すべきと思うがどうか。

 第4に、宝井団地の下水道接続見通しはどうなっているのか。また、稚ヶ坂第2自治会の下水道について、目の前3m、道路反対側まで来ているのに、なぜ、同じ自治会内の「清澄団地」は整備しないのか、早急な解決についておたずねします。

 第5に、岡本駅西口の開設について要望が多いが、区画整理事業と連動した優先的整備または独自策はどうなっているのか。

 第6に、地域自治センターでの窓口対応の親切さと住民要望の実現に対応するスピード面で、本庁との格差が多く指摘されているが、自己分析の上、答弁を求めます。

 

 最後に教育行政について、まず、全国一斉学力テストと本市の学習内容定着度調査について伺います。全国一斉学力テストは2004年に文科省によって打ち出されました。「今までの教育に欠けていたものが競い合う心」「全国学力テストで競い合う教育を」という狙いで始められたものです。しかも、その旗振り役は財界、つまり日本経団連の教育提言にあります。そこには「学校間はもとより教員間の競争原理を働かせれば、21世紀に必要とされる人材育成が可能となろう」と書かれ、“もっと競争原理を”の大合唱です。

 さて、わが国の全国一斉学力テストは、既に競争教育の激化を引き起こし、教育の目的を見失い、教育と子どもの成長をゆがめる事態を広げています。東京足立区では、教師や校長が学校ぐるみで、テストの点数を引き上げるために不正な指示や、平均点を引き下げるような生徒をテストに参加させないといった差別を行いました。また、荒川区品川区などでも、併せて行われている学校選択制や小中一貫教育により、競争に拍車がかかり、地域から学校がなくなる事態を招き、教育格差を生み出し、機会均等を踏みにじる事態です。

 よもや、本市ではこのようなことはないにしても「指導に生かす」と言って成績を公表することは、弊害こそあれ役に立つものではありません。今必要なのは、学ぶ喜びを取り戻すことです。対象学年全員が参加する学力テストは、それに逆行するというのが、海外でも日本でもすでに共通認識となっています。以上のような点から、2つの一斉学力テストはやめるべきではないでしょうか。また、少なくとも、学習指導に生かすというのであれば、本市独自の学習内容定着度調査のみとして、結果の公表はせず、各学校・学年参加は自由とし、問題や答案は教師や生徒の手元に戻すべきではないでしょうか。市長及び教育長の見解を伺います。

 次に、“真の学力とは”についてです。教育評論家の尾木直樹さんは、「暗記型の詰め込みの結果を学力とは呼ばない」として、「自分と社会の未来を切り開く『市民としていきていく力』が学力」と述べています。今や世界の教育の流れは“脱競争”にあり、OECDが始めたPISAという国際学力調査は、競争的な学力への疑問を出発点としています。その経過説明の中で、「日本や韓国等の学力の成功は、他の重要な面、すなわち生徒の間における創造性、批判的思考、自信といったものの犠牲の上になされているのではないか」として、学習の達成度を、テストでの判定よりも教師と生徒の相互交流の積み重ねを重視して評価する「形成的評価」の意義を説いています。

 この学力調査で世界1位になったフィンランドでは、教育の柱は、第1に少人数学級、第2に教師は専門家として尊重される、第3に競争より共同を重視して、連帯を尊ぶ人間に育てることが学力の中身である、とされています。競争を乗り越え、主権者に必要な学力の形成こそが、21世紀に求められている学力と考えます。そこで、真の学力の中身とはどのようなものと考えるか、見解を伺います。またその「学力」は“競争原理”によって培われると考えるのか、市長及び教育長の見解を伺います。

 

2007.9.6荒川議員一般質問 答弁

 

市長

 荒川議員のご質問に、順次お答えいたします。

 まず、「市長の政治姿勢について」のうち、「参議院議員選挙の結果と構造改革路線について」でありますが、今回の参議院議員選挙の結果につきましては、新聞やテレビなどで報じられておりますように、年金問題や政治とカネの問題、格差問題への政府の対応、現職閣僚の不祥事や失言などにより、政府に対する国民の信頼感や安心感が揺らぎ、それが結果として表れたものではないかと受け止めております。

 また、これからも日本が豊かであるためには、時代時代に合わせて社会の仕組みを変えていく構造改革は必要であると考えております。

 

 次に、「合併後の河内・上河内地区の諸要望について」のうち、「岡本駅西口の開設と区画整理事業について」でありますが、「岡本駅西口の開設」には「駅西口広場」や「アクセス道路」の整備が必要不可欠であります。現在進めている「岡本駅西土地区画整理事業」におきましては、工事や移転計画などの全面的な見直しを実施しており、その中で、駅西口広場などについて検討してまいります。

 

 次に、「地域自治センターでの窓口対応の『親切さ』と住民要望の実現に対応するスピードについて」でありますが、窓口などでの市民の方々への対応につきましては、全庁的に「おもてなしの心」を持った対応に努めているところでありますが、地域自治センターにおきましても、今後とも親切・丁寧な対応に努めてまいります。

 また、地域自治センターで実施する事務事業につきましては、市民の日常生活に関係の深い証明書の交付などのサービスは地域自治センターで行い、税などの統一した基準に基づき、全市的に行う事務は、本庁に集約したところでありますが、今後はさらに地域自治センターと本庁の担当課との連携を密にして迅速な事務処理に努めてまいります。

 

都市開発部長

 「市長の政治姿勢について」の「再開発事業をめぐって」のうち「馬場通り西地区」の施行区域内には、敷地の大半を占める「旧上野百貨店新館」の建物が平成12年より未利用になっており、また、その敷地は、著しく不整形であり、更に、隣接して極めて小さい敷地が、存在いたします。

 このようなことから、都市開発法第3条の「施行区域の要件」に該当するものと認識しております。

 また、「容積率の引き上げについて」でありますが、この西地区では、賑わいの拠点となる広場や歩道状の空地などの創出を義務付けておりますことから、建物壁面の位置や建ぺい率に規制を加えたうえで、容積率の緩和を行っており、「24階まで建てられるようにするために容積率を引き上げた」ものではありません。

 なお、都市計画決定の過程におきましては、他の再開発地区と同様に都市計画審議会において厳正な審査が行われております。

 また、再開発事業は、「宇都宮市都心部グランドデザイン」など、本市の上位計画に沿って進められる事業に対して支援を行うものであり、一部の権利者に奉仕するものではありません。

 本市といたしましては、西地区の再開発事業を「中心市街地活性化のための重要事業」と位置づけており、今後とも、施行者であります組合に対して、適切な指導や支援を行ってまいります。

 

理財部長

 「市長の政治姿勢について」のうち、「再開発事業をめぐって」のご質問にお答えいたします。

 まず、「なぜ再入札を行わなかったのか」についてでありますが、「馬場通り中央地区広場水景施設整備工事」の契約にあたりましては、制限付き一般競争入札で実施いたしました。落札者である大林道路株式会社は、市内に本店または営業所があることや類似工事の実績があることなど、あらかじめ設定いたしました参加資格要件の全てを満たしていたものであり、適正に決定したものであります。

 一般競争入札は、工事概要や入札参加資格を広く公告して参加者を募集するものであり、意欲のある者は誰でも入札に参加できることから、例え1者の参加であっても公平性、競争性は確保されており、再入札の必要はないものと考えております。

 こうしたケースは昨年度、31件発生しており、いずれも再入札は行わずに落札決定としたところであります。

 次に、「官民癒着ではないのか」についてでありますが、入札契約事務をはじめ、本市の事務事業につきましては、関係法令を遵守して厳正に執行しており、議員が言われているような官民癒着はありません。

 

市民生活部長

 「市長の政治姿勢について」のうち、「市民が主人公の市政か、市民監視・圧迫の市政か」のご質問にお答えいたします。

 防犯カメラにつきましては、市民のプライバシーに配慮することはもちろんのことでありますが、市民の生命・身体・財産を犯罪から守るためのものであり、その設置には合理的な理由があるものと認識しております。

 平成18年度に実施いたしました、市政世論調査におきましても、約9割の市民が路上への防犯カメラの設置について肯定的な意見を寄せております。

 また、設置に当たりましては、大学教授や弁護士などで構成されている第三者機関の個人情報保護運営審議会に過去の判例で指摘されております「設置目的の正当性」や「客観的具体的な必要性」などの事項を個々に整理した上で諮問し、承認をいただいているところであります。

 今後とも防犯カメラの設置に当たりましては、市民のプライバシーとの調整を図りながら、必要性や妥当性を検討し、市民の安全・安心の確保に努めてまいります。

 

保健福祉部長

 「介護保険事業における『利用抑制』の動きについて」のご質問にお答えいたします。

 まず、「介護給付のローカルルール」についてでありますが、介護サービスは、利用者本人が加齢や疾病等により介護が必要になっても住みなれた地域で、できる限り自立した生活が営めるよう必要な介護サービスを活用しながら身体機能の低下を防ぎ、在宅での生活を維持することを目的としております。

 そのような中、「訪問介護サービス」につきましては、利用者の身体状況や個人の生活環境、ボランティア等の社会的資源の有効活用など総合的に判断し、利用者に適切なサービスが提供されるよう事業者やケアマネージャーに対し、国の基準等に基づいて、適正に指導しているところであり、議員、ご指摘の「ローカルルール」は、ありません。

 また、「同居家族に疾病がある場合」などの取り扱いにつきましても、これまでも国の考え方に基づき、利用者の身体状況や生活環境に応じ真に必要なサービスの提供ができるようケアマネージャ等への指導を行っているところであります。

 次に、「配食サービス、食の自立支援事業について」のうち、「いつから、なぜ変えたのか」についてでありますが、「食の自立支援事業」につきましては、平成18年度の介護保険制度改正に伴い、それまで、配食サービスを中心とした食事を提供する事業であったものを平成184月から、介護予防を目的として、高齢者の実態に応じた食の自立を支援する事業とし、配食サービスに加え、ホームヘルパーによる調理や、デイサービスにおける食事の提供などを組み合わせることができる事業に改めたものであります。

 次に、「再アセスメントの目的」についてでありますが、再アセスメントは、既に「食の自立支援事業」を利用されている方を対象に、利用者の身体状況や家庭環境などの変化に応じたサービスを提供する必要がありますことから、定期的に調査を行うものであり、「食の自立支援事業」にとって、この調査は不可欠であります。

 次に、「事業の具体的な計画と目標」についてでありますが、平成17年度に策定いたしました、「第4次高齢者保健福祉計画」において、平成20年度の配食サービスの目標値として年間利用者数を760人、延べ配食数を119,100食と定めているところであります。

 

 次に、「障害者控除対象者認定書の発行について」でありますが、まず、「障害者控除対象者認定書の発行件数をどのように捉えているのか」についてでありますが、

 介護保険制度が開始された平成12年度から18年度までの交付件数は、163件であります。

 本市におきましては、これまで広報紙やホームページ、介護保険の手引き等において周知に努めてきたところでありますが、議員ご指摘のとおり、平成18年度の交付件数は21件であり、より一層の制度の理解を広める必要があると考えており、今後、引き続き広報紙やホームページ等による、制度の周知に積極的に取り組んでまいります。

 次に、「障害者控除対象者認定書の改善について」でありますが、現在の、認定書の様式につきましては、国の様式に準じ、認定書の交付日を記載しておりますが、今後、いつから障害者に準ずる状態になったのか分るよう、要介護等の認定有効期間の記載欄を設けるなど、税の申告における市民の利便性の向上が図れるよう様式の改善を図ってまいります。

 

 次に、「合併後の河内・上河内地区の諸要望について」のうち、「特定疾患医療受給者証の更新手続きが地域自治センターでできるようにならないか」とのご質問についてでありますが、特定疾患に関する事務手続きにつきましては、事業の実施主体は栃木県であり、市町村を申請窓口としていないことから、県内における申請窓口は、栃木県の各健康福祉センターのみとなっております。

 旧2町におきましては。栃木県健康福祉センター職員が出向いて更新手続を受け付けておりました。

 合併により、旧2町に係る栃木県の事務につきましては、宇都宮市に引き継がれたところであり、特定疾患に係る申請事務につきましても、合併前と同様、保健所と本庁総合相談において行っているところであります。

 しかしながら、市民の利便性の観点から、申請事務手続きについて検討しているところであります。

 

 次に「高齢者の外出支援について」でありますが、本市におきましては、外出の機会が少なくなる75歳以上の高齢者に対し外出を促すとともに、中心市街地の活性化やバスの利用促進などを目的としまして平成15年度から高齢者専用バスカード購入補助事業を実施しているところであります。

 議員ご指摘の「タクシー初乗り券かバスカードか選択制の導入」につきましては、高齢者の外出に関する様々なニーズの把握に努め、どれらに対応するサービスはどうあるべきか、選択制の導入も含め、研究してまいりたいと考えております。

 

市民生活部長

 次に「保健福祉行政について」のうち、「国民健康保険税減免申請制度の活用について」でありますが、

 まず、「減免申請制度の活用」につきましては、本市におきましては、地方税法に関する通達を準用し、災害や病気等により前年に比べ大幅な収入の減少となり、保険税の納付が困難となった場合などにおいて納税者の事情を考慮し、保険税の減免を実施しております。

 もとより、減免制度は、納税者の負担能力に応じて行うものでありますことから、本市では、一律的、画一的に減免を行うことは考えておりません。

 また、「平等割や均等割の減免について」でありますが、国の軽減制度に基づき、低所得世帯に対し、国民健康保険税の7割、5割、2割の3段階で、軽減措置を講じており、対象世帯数は約35千世帯に達しているところであり、公平負担の原則から更なる減免を行うことは、考えておりません。

 次に、「国民健康保険医療費一部負担金免除制度の活用について」でありますが、医療費の一部負担金の免除につきましては、本市では、国の通達に基づいて震災、風水害などにより、死亡または身体障害者になった場合などに適用しております。

 また、先般の阪神・淡路大震災の際には国からの通知により一部要件を緩和し、被災者に対して免除してきたところであり、本市独自の免除については考えておりません。

 次に、「国民年金滞納者への短期被保険者証交付問題について」でありますが、この短期被保険者証交付につきましては、いまだに、国から対象者の基準や運用方法、費用負担などについて、具体的な内容が示されていないことから、今後、その内容が明らかになった時点で検討してまいりたいと考えております。

 

行政経営部長

 「市長の政治姿勢について」のうち、「市民が主人公の市政か、市民監視・圧迫の市政か」のご質問にお答えいたします。

 「市民圧迫の越権行為について」でありますが、山本正人議員のご質問にもお答えいたしましたとおり、今年度からは、不当は要求行為や職員に対する暴力行為のほかに、市の説明に納得がいかない場合などに頻繁に来課し、長時間に渡り大声で職員を恫喝したり、机をたたくなどの行為を繰り返すなど、職員の恐怖心をあおり、無理な要求を通そうとする悪質なクレーマーに対しましても、庁内が連携し、対応しております。

 議員ご質問の事案につきましても、不安を感じた職員から支援を求められたものであり、その際も相手方の同意のもとに、話し合いの場がもたれたものであります。

 本年度からの警察職員の配置につきましては、本市の危機管理力をより向上させるため、事件・事故への対応はもとより、窓口での不当な要求や、恫喝がなされた際などの職員に対する対応の支援や指導を目的としたものであり、ご質問にあるような「市民の動向を監視し」、「耳をそば立て」、「警察などと脅かして連行する」などといった事実はございません。

 今後とも、職員が「不当な要求」に屈することなく、「職務の公平性」を確保し、「市民の信頼」に応えていけるよう、また、市役所にお出でになる、お子さんをはじめとする市民の皆様が、このような場面に出くわし、恐怖や不安を感じないよう、このような事案に対しましては組織的に毅然と対応してまいります。

 

経済部長

 「市長の政治姿勢について」のうち、「地域商店街にもっと応援を」についてのご質問にお答えいたします。

 「商店街の街路灯への補助要件、電気代補助率の見直し」につきましては、現在の街路灯に関する補助要綱において補助要件といたしましては、江曽島駅周辺の商店などの皆様が共同し、団体として申請されれば、補助対象としているところであります。

 なお、補助率につきましては、厳しい財政状況の中、引き上げをすることは難しいものと考えております。

 次に、「江曽島駅周辺商店街の灯の消えた街路灯全部に早急に灯がともる対策」についてでありますが、先ほどの団体としての申請や自治会が防犯灯として申請する方法などがありますが、地元としてどのような方法がふさわしいのかご協議いただき、その手続などにつきましては相談いただきたいと考えております。

 

上下水道事業管理者

 「合併後の河内・上河内地区の諸要望について」のうち、「宝井団地の下水道接続等について」のご質問にお答えいたします。

 まず、「宝井団地」につきましては、公共下水道の接続にあたりました、団地自治会で管理しております下水道施設の移管について、これまで、旧河内町において団地住民と協議をしてきたところであります。

 今後も引き続き、団地住民の皆様の意見を聞きながら、公共下水道への接続につきまして検討してまいります。

 次に、「稚ヶ坂第2自治会内の清澄団地」につきましては、今年度に工事を実施し、下水道の整備が完了する予定となっております。

 

教育長

 合併後の河内・上河内地区の諸要望についてのうち、「学童保育の開設時間の延長について」のご質問にお答えいたします。

 本市における「子どもの家」「留守過程児童会」事業につきましては、市が地域の方々や利用児童の保護者で組織する運営委員会に事業を委託して実施しております。

 このため、基本的な運営内容につきましては、上河内・河内地域を含め、市が定めており、現在、すべての施設で午後6時までの開設としておりますが、保護者のニーズや地域の実情に応じ、運営委員会での話し合いで、保護者負担により、開設時間の延長は可能としており、上河内・河内地域に起きましても一部施設で既に実施しております。

 

 次に「教育行政について」のうち、「一斉学力テストをめぐって」でありますが、本市におきましては、国に先がけて、平成15年度から「学習内容定着度調査」を実施しており、その結果を踏まえた指導内容の重点化や指導方法の工夫・改善を図ることにより、正答率が8割を超える児童生徒が増加するなどの成果が上がっております。

 さらに、昨年度から、「学習と生活についてのアンケート」を実施し、学習に対する意識や取組状況などと学力との関連を明らかにしながら各学校における学習指導の充実を図っているところであります。

 また、「全国学力・学習状況調査」については、全国との比較のもとで本市の児童生徒の学力の状況にかかわる特徴や課題等を把握できますことから、定着度調査の結果に加えて活用することにより、一層の指導の充実・改善が図られるものと考えております。

 こうしたことから、今後とも、これらの調査を継続して実施するとともに、調査の結果や学校における指導の工夫・改善策などを保護者や地域住民に公表することにより、学校と家庭・地域との連携・協力のもとに児童生徒の学力向上に努めてまいります。

 次に「『真の学力とは』について」のうち、「真の学力の中身とはどのようなものか」についてでありますが、義務教育段階におきましては、すべての学習や日常生活の基盤となる正しく読み書きする力や計算する力とともに、各教科で学ぶ基礎的・基本的な知識・技能をしっかり身に付けることがまずは大切であります。

 こうした力に加え、自ら進んで学ぶ力や考える力、正しく判断し問題を解決する力などについても育てていかなければならないと考えております。

 次に、「その学力は競争原理によって培われるか」についてでありますが、こうした学力は、教師が教えるべきことをしっかり指導した上で児童生徒が競い合ったり励ましあったりするなど、集団の中で学びあうことを通して身に付けていくものであると捉えておりますので、互いに伸ばしあうことができるよい意味での競争や切磋琢磨などを通して学力を育成していくことは必要であると考えております。 

 2007.9.6

再質問・答弁

荒川議員

 今の答弁を聞いていて、一部良かったという点もありますけれども、私は今、市民のくらしが大変になっている中で、活用するものはきちんと活用すると、ここで努力を払うのは市長として当然であると思いますが、今、宇都宮市のそういう制度がどれだけ利用されているのか、軒並み、中核市の中でワーストから数えるほうが早いものばかりです。そういう点で、市民は大変冷たい状況に、先ほどの市民生活部長の答弁でも明らかなように、今市民が苦しんでいる時に、ああいう冷たい態度です。その一方で、再開発などをめぐって、ゼネコンなどには先ほどの答弁のように大変甘い答弁になっております。私はこれは、市長の政治姿勢は文字通り「強気を助けて弱きをくじく」、こういう政治姿勢が今の答弁の中でも明らかになったのではないかと、この様に思っております。来年、いよいよ今頃を過ぎますと市長選挙に入っていくわけですが、市長、こんな「強気を助けて弱きをくじく」ような政治姿勢で市長選挙に臨むのですか。まずは総論としてその点についてお聞きしたいと思います。

市長

 市長選挙は、たぶん来年になると思っておりますが、市長選挙については、全く考えている時間もありませんし、ただ々与えられた4年間の任期を全うするだけ、その余裕もございません。

 

荒川議員

 4年間を全うするのも結構ではございますが、そういう点では、今の構造改革の中で、本当に市民が大変な状況になっている、これに対して、本当に温かい手を差し伸べる残りの任期であるように要望しておきたいと思います。
 それでは具体的にお聞きしたいと思います。
 まず最初に、「障害者控除対象者証明書」の発行の件であります。これについては、「一生懸命頑張る」こういうような答弁もありました。また、さかのぼることについても見直しするように検討していくというような話もありました。もうすでに中核市22市の中で、さかのぼって適用しておりますので、ぜひ早く、ここから実現できるようお願いしたいと思います。それで質問は、宇都宮市では21件でありますけれども、その周知方法が先ほどのインターネットやそれから広報とか「介護保険の手引き」HPなどでそれをやっていくんだ、周知徹底をはかっていくんだと、こういうことでありました。しかし私は、今のやり方を続けたのでは、件数を増やそうとしても、これは増えないと思っているのです。そういう点で、例えば岐阜市の例でありますけれども、岐阜市では対象者になる人に申請書の手引きを全員に送りました。そうしましたら、3,245世帯が申請を出して、これが「証明書」として発行されました。そういう点ではやはり今のやり方だけではこの21件という件数は、本来ならば控除が受けられのに、受けられなくて大変なところで重税にあえぐ事態だと、こういう事を防げるのではないかという点で、毎年とは言いませんが1回は全対象者にお知らせを出すということをやってもいいのではないかと思うのですがどうでしょうか。

 

保健福祉部長

 荒川議員の再質問にお答えいたします。この「障害者控除対象者証明書」につきましては、対象となりますのが、第1号被保険者でありまして、要介護認定者というのが対象となるわけでございまして、この方たち平成193月現在で9,300人程度いらっしゃいます。できれば、現時点で、この方たちに1回は全員に個別通知を出したいと、そのように検討していきたいと考えております。
 次に、「障害者控除対象者認定書の改善について」でありますが、現在の様式につきましては、国の様式に準じ、認定書の交付日を記載しておりますが、今後、いつから障害者に準ずる状態になったのか分るよう、要介護等の認定有効期間の記載欄を設けるなど、税の申告における市民の利便性の向上が図れるよう様式の改善を図ってまいります。

 

荒川議員

 ありがとうございました。それでは次に移ります。これは黙っているわけにはいかない市の職員による越権行為であります。ここまで居直るというか、ここまで言うのかと、ある意味では内心恐ろしくなりました。ここにやりとりをしたテープがあります。2回目の事情聴取の時の。これを聞けば分りますが、この危機管理課の担当者は、市民が「職員に要請されて来たのですか」と聞いたら、「いや違うんだ、巡回をしていたら大きな声が聞こえたので入って来たのだ」と本人が言っているのですよ。これなのにもかかわらず、「市の担当者からの要望で入って来た」などと、これがまさに口裏を合わせるというように、口裏を合わせて事実を捻じ曲げ、更に市民を悪質なクレーマーにまでしている。私はこれはとても許すわけにはいきません。本当にこれは、後は時間がいくらあっても足りませんので、事実を明らかにした上で、本当にこの件で危機管理課の職員の対応は全く問題はなかったのですか?その点について聞きたいと思います。

 

行政経営部長

 ただ今の再質問に関してお答えいたします。今回の対応につきましては、全く問題はなかったというふうに受け止めております。

 

荒川議員

 本当にこの問題に関しては、唖然として、開いた口がふさがらないと、こういう状況であります。宇都宮市もここまで物事をきちんと捉えることができなくなっているのか、今、そのように思うわけであります。
 少し、私が何故この問題を提起したのかという事でありますが、ご承知のように、警察官の仕事又は警察の仕事というのは、本質的には市民はどこかで犯罪を犯すものだと、市民は犯罪予備軍だとこういう事を前提にして、だから監視をし、悪い事をすれば取り締まるのだと、これが警察官の仕事でもあると思うのです。ですから、例えば交通違反の取締りを見て下さい。違反をしようとしたら、「そんなことをしたら危ないよ」と止めてくれますか?違反をした後に「はいあなたは違反をしました」ということで捕まえるわけでしょう。警察官の本質なんですよ。しかし、宇都宮市の職員の仕事とはいったいどういう事なのか。憲法と地方自治法に誓いをたてて、全体の奉仕者として市民の福祉の向上に最大限の力を発揮する、これが宇都宮市の職員の仕事なのです。ですから、こういうところにこういう立場の人が出向して来る。来てもらいたくないですけれどいいでしょう。しかしこういう市民が主人公の立場に相反する、こういう人たちが出向で入って来た場合には市の職員として仕事をする時にはどういう立場で仕事をするのか、ここが明らかになっていないから、私はこの問題が起きたのだとこう思うのですが、どうですか。

 

行政経営部長

 警察官の出向に関しましては「安全・安心を向上させるため」ということで今、3名の方が警察から市へ出向していただいております。以上です。

 

荒川議員

 もう1点だけ、確認をしておきますが、そうすると、今宇都宮市には「不当要求などに対する対応マニュアル」に、今度の市民の方は明らかに違反をして、危機管理課の職員が入ってきてなおかつ話が終っている問題まで立ち入ってさらに蒸し返すところにまで介入をすると、このことも対応マニュアルに、そのようになっているのですね。その点を確認したいと思います。

 

行政経営部長

 ただ今の再質問にお答えいたします。「不当要求等の対応マニュアル」というものにつきましては、平成15年の7月に策定をしてございます。先ほど答弁でも申しましたように、いわゆるクレーマー対策ということにつきましては、今年度からの取り組みということでございまして、これは庁内の「不当要求等防止対策委員会」、こちらで4月にそういうこともやっていくということで組織決定をしたところでございます。以上でございます。

 

荒川議員

 この問題は事実経過から見ても対応が間違っていると、こういうことを指摘をして、この問題は後でそれなりの対応をすることに致しまして次の質問に入っていきたいと思います。
 介護保険の利用抑制の問題でありますが、宇都宮市では、「ローカルルール」はないと、というのは、先ほど私が言いましたように、国の基準、つまり、衆議院の国会での答弁のその通りに生活介助などのサービスも行われているというふうに理解していいのでしょうか。

 

保健福祉部長
その通りでございます。

 

荒川議員

 もう一点確認をいたしますが、そうしますと、居宅介護事業者などに、同居家族がいる場合には先ほど言ったように「様々なサービスを受けるのは最後の手段なのだから」というようなことも含めて、同居をしていたのではそういうものは受けるなと、場合によってはこのコムスンの問題などもありましたけれども、そういう間違いをした時には、さかのぼってペナルティーを課すぞと、こんなふうなこと、それから、先ほど言いましたように、介護サービスというのは生活保護じゃないのですけれども、最後の最後の手段なのだと、こんなことは一切言っていないということで確認をしていいのでしょうか。

 

保健福祉部長

 市としては、制度があってそれを適正に利用できるように、そういった指導をしているところでございます。

 

荒川議員

 適正にやるというのは、適正というのはなかなか広い意味があって、どちらにもとれる場合もあるのですが、先ほど私が言いましたように、介護サービスの市の担当者は、これは最後の最後まで我慢をしてどうしてもダメな時にはこのサービスを受けなさいとか、それから今言ったように、居宅介護事業者などに、同居家族がいる場合にはそういうものを受けたりして何かあった時には、コムスンのようにペナルティーがさかのぼって課せるんだぞとか、そういうようなことは一切指導していないということでよろしいのでしょうか。

 

保健福祉部長

 そういう指導はしておりません。

 

荒川議員

 私は実際、調査をして色々聞きまして、そういう中で様々なそういうような利用抑制が今行われていることが明らかになっております。

 下野新聞によりますと、高齢者虐待、家族による虐待が栃木県で329件、介護施設の人たちから報告されている、こういうことが言われているわけでありますけれども、この宇都宮市では「ローカルルール」がないと言うならば、こうした高齢者虐待などについてもそういうことが起こらないように、しっかりとしていただきたいと思っています。その点では、市長自身がもう1回調査をしてもらいたいと思いますがいかがでしょうか?

 

※質問時間終了 答弁なし